大規模修繕はロープアクセスが提案可能な東京の明誠へ

創業から6000棟超の施工実績

渋谷区のマンション漏水・防災対策|谷底の内水氾濫と11か所の土砂災害警戒区域から逆算する大規模修繕2026年度版

渋谷区のマンション漏水・防災対策|谷底の内水氾濫と11か所の土砂災害警戒区域から逆算する大規模修繕2026年度版

2026年9月18日 更新

渋谷区の桜丘で、築25年の賃貸マンションのオーナーさまから電話をいただいたことがあります。夕方の集中豪雨のあと、「地下の機械式駐車場のピットに水が溜まっている」と。現場に行くと、駐車場の入口スロープは乾いていました。水は外から流れ込んだのではなく、建物の排水管を逆流して、地下から湧き上がっていたのです。

私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンション・ビル・ホテルの外壁と向き合ってきました。仮設足場を組む工事も、ロープ1本でぶら下がる無足場の工事も、どちらも現場でやってきた人間です。

渋谷区は、23区のなかでも「地形の高低差がそのまま水のリスクになる」区だと感じています。海に面していないので高潮も津波もない。そのかわり、渋谷川・宇田川が刻んだ深い谷と、その両側に迫る崖が、水の行き先をすべて決めています。

今日は、渋谷区が公表している最新のハザード資料から逆算して、渋谷区の分譲・賃貸マンションで先に手を打つべき漏水ポイントと、防災上の共用部の修繕優先度を整理します。


結論:渋谷区は「高潮がない代わりに、谷底の内水と崖が主役の区」です

先に結論から申し上げます。渋谷区で大規模修繕の順番を決めるとき、私が最初に確認するのは屋上ではありません。自分の建物が台地の上にあるのか、谷底にあるのか、崖の際にあるのかです。

渋谷区は、高潮ハザードマップについて「作成予定なし」と明記しています。雨水出水(内水)単独のハザードマップも「未作成(作成時期未定)」です(出典:渋谷区「洪水ハザードマップ・浸水実績」/更新日 2026年4月30日)。湾岸区で最優先になる高潮・塩害対策は、渋谷区ではほぼ考えなくてよい。そのぶん、リスクが3つに絞り込めます。

立地 該当エリアの例 主なリスク 最優先の対策
渋谷川・宇田川の谷底 渋谷・道玄坂・桜丘町・渋谷駅周辺・東・広尾の低地 内水氾濫(下水道の能力超過) 地下階の逆流防止・排水ポンプ・受電設備の位置
神田川・玉川上水沿いの低地 本町・初台・幡ヶ谷・笹塚・西原の一部 神田川流域の外水+内水 開口部の止水・1階住戸の床下
台地の縁の崖(崖線・急傾斜地) 本町三丁目/西原一丁目・三丁目/元代々木町/代々木五丁目/神宮前六丁目/神山町/広尾五丁目/恵比寿四丁目 土砂災害・擁壁の劣化 擁壁改修・斜面側の排水と外壁

この3類型のどこに自分の建物が当たるかを、区のハザードマップで先に確定させる。それをやらずに「まず屋上防水から」と進めてしまうと、順番を1つ間違えるだけで数百万円が無駄になります。渋谷区の理事会でいつも最初にお伝えしているのは、この一点です。


渋谷区のハザードマップを1枚で読む

渋谷区が公表している資料は、種類ごとの「作成状況」が公式に整理されています。管理組合の書類棚を整理するときに、この表を1枚コピーして貼っておくだけで議論が早くなります。

種別 渋谷区の作成状況 作成基準 備考
洪水 作成済(日本語版は令和8年4月改訂版 想定最大規模降雨 外水と内水の両方を加味
雨水出水(内水)単独 未作成 作成時期未定
高潮 未作成 作成予定なし
津波 該当なし(海に面していない)
土砂災害 作成済(令和元年9月26日の都指定を受けて作成) 土砂災害防止法 区内11か所が警戒区域

(出典:渋谷区「洪水ハザードマップ・浸水実績」渋谷区「渋谷区土砂災害ハザードマップ」

想定されている雨は「1時間153ミリ」

渋谷区の洪水ハザードマップが前提にしているのは、1時間最大雨量153ミリ、24時間総雨量690ミリという想定最大規模の降雨です。対象は「神田川流域」と「渋谷川流域」の2つ。水防法第14条に基づく外水氾濫に加えて、雨水出水(内水氾濫)も加味した図になっています。

1時間153ミリという数字は、正直に申し上げてピンと来ないと思います。東京の下水道が標準で想定しているのは1時間50ミリ前後です。つまり設計値の3倍の雨を想定した図だ、ということです。

令和8年3月に、内水の「法定図」が出ました

もう1つ、管理組合として押さえておきたい動きがあります。令和8年3月、東京都下水道局が水防法に基づく雨水出水浸水想定区域図を公表しました。渋谷区に関係するのは次の2つです。

渋谷区のハザードマップは、水防法上は「洪水ハザードマップ」としての要件は満たすが、「雨水出水ハザードマップ」としての要件は満たさない――区自身がそう注記しています。だから、内水(地面に降った雨が下水道からあふれる現象)のリスクを正確に見るなら、都の区域図を別に見に行く必要がある。ここは見落とされやすいところです。

私はいつも理事長さまに、「区のマップと都の区域図、2枚セットで見てください」とお伝えしています。

過去の浸水実績は地図情報システムで見られます

渋谷区は、過去に浸水実績があった箇所を渋谷区地図情報システムで公開しています。以前は区役所11階の窓口でしか見られませんでしたが、令和2年8月31日からインターネットで閲覧できるようになりました。

ハザードマップは「これから起きうること」、浸水実績は「実際に起きたこと」です。私の経験上、修繕の優先順位を決めるときに効くのは、圧倒的に後者です。自分の敷地の周囲200メートルに実績の印が打たれているかどうか。ここは必ず確認していただきたい。


渋谷区の地域特性と漏水事故の関係

谷底エリア:渋谷駅周辺・桜丘・道玄坂下・東

渋谷という地名のとおり、渋谷駅の一帯はすり鉢の底です。周囲の宮益坂・道玄坂・スペイン坂という「坂」の名前が、そのまま高低差を物語っています。

谷底のマンション・ビルで私が見てきた漏水は、外から入る水より、内から上がる水のほうが多い。具体的には次の3つです。

  1. 排水管の逆流:下水道本管の水位が上がると、建物側の排水が流れず、地下階の床排水口や地下ピットから逆流する
  2. 地下駐車場スロープからの流入:スロープの上端に段差がなく、道路の表面水がそのまま流れ込む
  3. 地下ピットへの湧水:地下水位が高いエリアで、コンクリートの打継ぎ部から少しずつ滲む

このうち1番目は、大規模修繕の対象と思われていないことが多い。ですが逆流防止弁(排水が逆向きに流れないようにする弁)の設置と点検は、防水工事より優先度が高い場合があります。

なお、渋谷駅東口の地下約25メートルには、約4,000立方メートルの雨水を一時的に貯められる「渋谷駅東口雨水貯留施設」が2020年8月31日から供用されています。1時間50ミリを超える強い雨のときに取水し、雨が止んでからポンプで古川幹線へ排水する仕組みです(出典:広報東京都「渋谷をまもる雨水貯留施設」)。

ただし、これはまちを守る施設であって、個別の建物を守る施設ではありません。「渋谷駅前に貯留施設ができたからうちは大丈夫」という理解は危険です。建物ごとの対策は、建物ごとにやるしかない。

神田川流域:本町・初台・幡ヶ谷・笹塚

区の北西部、神田川と旧玉川上水に沿ったエリアです。ここは渋谷川流域とは別の系統で、外水(川があふれる)と内水の両方が想定されています。

このエリアで多いのは、築30年以上の中規模マンションで、1階住戸の床下と玄関ポーチまわりの問題です。建物が道路より低い位置にあると、道路の表面水が敷地内に入り、雨水枡があふれる。排水設備の容量ではなく、地面のレベル差の問題であることが多い。

崖の際:本町三丁目、西原、元代々木町、代々木五丁目、神宮前六丁目、神山町、広尾五丁目、恵比寿四丁目

渋谷区では、令和元年9月26日に東京都が区内11か所を土砂災害警戒区域に指定し、そのうち9か所を土砂災害特別警戒区域に指定しました。令和5年6月21日には、うち1か所(元代々木町)が解除のうえ新たに指定されています(出典:渋谷区「土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域等の指定について」)。

所在地 警戒区域(イエロー) 特別警戒区域(レッド)
本町三丁目 あり あり
西原一丁目 あり あり
元代々木町(2か所) あり 1か所あり/1か所なし
西原三丁目 あり あり
代々木五丁目 あり あり
神宮前六丁目 あり あり
神山町 あり あり
広尾五丁目 あり あり
恵比寿四丁目(2か所) あり 1か所あり/1か所なし

神宮前六丁目や神山町、広尾五丁目といった、いわゆる「高級住宅地」「商業の一等地」の名前が並ぶのが渋谷区の特徴です。地価が高いエリアだから安全、ということはまったくない。

崖の際に建つマンションで私が見てきた漏水は、空から降る水ではなく、横から来る水です。冒頭の等々力の例と同じ構造で、建物の一方が地中に接していると、屋上防水をいくらやっても直りません。

擁壁(斜面を支えるコンクリートの壁)の水抜き穴が詰まっているのも定番です。水抜き穴は擁壁の背面の水圧を逃がすためのものですが、土砂や落ち葉で埋まると機能しない。大規模修繕の足場を組んだついでに、擁壁の水抜き穴の清掃を組み込むだけで、数十万円で効果が出ることがあります。


大規模修繕で必ずチェックすべき漏水ポイント7つ

ここからが本題です。渋谷区の物件で、私が調査のときに必ず見る7か所を順番に挙げます。優先度の高い順です。

1. 屋上防水の立上りと笠木

屋上の防水層そのものより、壁に立ち上がった部分の端部が先に切れます。特に笠木(パラペットの天端の金物)のジョイントは、シーリングが10年前後で硬化して隙間ができる。谷底エリアは風の巻き込みが強く、横殴りの雨が笠木の裏から入ります。

2. ドレン(排水口)まわり

屋上の排水口です。落ち葉とビニール袋で詰まっているケースが、渋谷区では本当に多い。街路樹の多い明治通り・青山通り沿い、それと神宮の森に近い神宮前・代々木エリアは特にです。

1時間50ミリを超える雨では、ドレンが1つ詰まっただけで屋上が数センチのプールになります。ドレンの清掃は年2回、台風期の前と落葉期の後。これは費用がほとんどかかりません。

3. バルコニー排水と手すり壁の付け根

バルコニーの床防水と、手すり壁(腰壁)の立上りの取り合い部分。ここは動きが大きく、ひび割れが入りやすい。下階の天井に染みが出る漏水の、かなりの割合がここです。

4. 外壁のシーリング(目地の弾性材)

タイル張りでも吹付けでも、コンクリートの打継ぎ目地には必ずシーリングが入っています。耐用年数の目安は10〜15年。硬くなってひび割れると、そこから雨水が壁の中に入り、内部の鉄筋を錆びさせます。

5. サッシまわり

窓枠とコンクリートの取り合い。築20年を過ぎたマンションで、原因不明の漏水があったら、私はまずここを疑います。外からは見えにくく、内装を剥がさないと確認できないことも多い箇所です。

6. エキスパンションジョイント

建物が複数棟に分かれていて、渡り廊下でつながっている場合の継ぎ目です。地震で動くことを前提に、あえて隙間を設けてカバーをかけてある。このカバーの下の防水が切れていても、外からはまず見えません

7. 地下階・地下ピットの逆流防止と排水ポンプ

谷底エリアでは、これを7番目ではなく1番目に持ってくることもあります。逆流防止弁が固着していないか、排水ポンプが実際に動くか。年1回の実働試験をやっている管理組合は、私の実感で3割もありません。

漏水の原因調査と工法の選び方については、漏水対応の考え方にもまとめています。


漏水の緊急対応でロープアクセスが強い理由

ここは、私がいちばんお伝えしたい話です。

漏水は、いつも都合の悪いときに起きます。金曜の夕方、台風の直撃日、年末年始。そして足場は、その日には組めません

仮設足場を架けるには、道路使用許可、近隣への挨拶、資材の搬入、組立てで、どんなに急いでも1週間から10日はかかります。渋谷区のように前面道路が狭く、交通量が多く、隣地との距離がないエリアでは、さらに時間がかかることも珍しくない。

ロープアクセス工法は、屋上にロープを固定できれば、その日のうちに原因箇所まで到達できます。作業員2名と装備一式で現場に入り、午前中に調査、午後に応急処置。これが現実的にできる。

私が渋谷区の物件で実際にやったのは、雨漏りの通報を受けた日の午後に屋上からロープで下降し、ひび割れを特定してシーリングで応急止水、翌週に本復旧という流れでした。足場を待っていたら、その間の10日間、雨のたびに室内に水が入り続けていたはずです。

コストの話も正直に

費用の目安も申し上げます。10階建て・外周80メートル・工期3か月のマンションで、仮設足場が約168万円かかるところ、ロープアクセスなら約59万円という比較になることがあります(差額の目安は約109万円)。もちろん、建物の形状・工事内容・作業条件で大きく変わりますので、あくまで参考値としてお考えください。

緊急の部分補修であれば、調査から応急処置まで数万円〜十数万円のレンジで収まるケースも多くあります。足場を組むかどうかで、桁が変わります。

株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業について、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では、過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。作業員はIRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けた者に限っています。

工法そのものの技術的な詳細は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで解説しています。同業者の方やフランチャイズ加盟をご検討の方は、そちらをご覧ください。明誠側の工法紹介はロープアクセス工法のご紹介にまとめています。

足場とロープアクセスを組み合わせる「ハイブリッド」という選択

渋谷区の物件では、道路に面した2面だけ足場を架け、隣地との隙間がない2面はロープアクセスという組み合わせが、いちばん合理的になることがよくあります。

「足場かロープか」の二者択一ではありません。部位ごとに使い分けて、総額を下げる。これができる会社は、日本でもまだ多くありません。


防災上の共用部:位置と修繕優先度

漏水の話と防災の話は、実は同じ1本の線でつながっています。水が入って壊れると、いちばん困るのが防災設備だからです。

共用部 渋谷区での注意点 修繕・対策の優先度
受電設備(キュービクル) 地下に置いている建物は要注意。浸水で停電すると、エレベーターも給水ポンプも全停止 ★★★ 地下設置なら嵩上げ・防水扉を最優先で検討
給水ポンプ・受水槽 地下ピット内設置が多い。浸水で断水が長期化 ★★★ 受電設備とセットで
エレベーター(ピット) ピットに水が入ると復旧に1〜2週間。管制運転装置の有無を確認 ★★ 地震時管制・浸水時の停止位置を確認
非常用発電機 設置階と燃料タンクの位置。地下だと浸水で使えない ★★ 年1回の実負荷試験
避難通路・バルコニー隔て板 隔て板の前に私物が置かれていないか。劣化して割れていないか ★★ 大規模修繕で一斉交換が合理的
外部階段・避難ハッチ 鉄部の腐食。渋谷区は谷底の湿気が高いエリアがある ★★ 4〜6年周期の鉄部塗装

国土交通省は、電気設備の浸水対策と、地下空間の浸水対策について、それぞれガイドラインを公表しています。地下に受電設備がある建物は、一度これに目を通しておくだけで、理事会の議論の質が変わります

私はこれを、必ずワンセットで提案するようにしています。外壁の防水と、地下の電気設備。この2つは、別々の話に見えて、同じ「水を建物に入れない」という1つのテーマです。


渋谷区で使える助成・支援制度

分譲マンションの耐震化支援事業

渋谷区は、区内の分譲マンションの耐震診断・補強設計・耐震改修工事の費用の一部を助成しています(出典:渋谷区「一般分譲マンションの耐震化支援事業」/更新日 2026年4月10日)。

主な対象条件は次のとおりです。

  • 昭和56年6月1日前に建築工事に着手したもの(いわゆる旧耐震)
  • 分譲マンションであること
  • 地階を除く階数が原則として3階以上であること
  • 複合用途の場合、延べ面積の過半が居住の用途であること
  • 2以上の区分所有者が存すること
  • 診断結果や補強設計の内容について、評定などを取得すること

助成額と助成率は区のパンフレットに整理されています(分譲マンション耐震化支援事業パンフレット(PDF))。金額は延べ面積などの条件で変わりますので、必ず最新のパンフレットと窓口で確認してください。

ここで1つ注意点があります。明治通り・山手通りなどの一般緊急輸送道路、国道20号・国道246号・首都高速道路などの特定緊急輸送道路に接する建物は、この事業ではなく別の沿道建築物耐震化促進事業が対象になります。渋谷区は幹線道路が多い区ですから、自分の建物がどちらに当たるかを先に確認したほうが早い。

(注)既定の予算額に達した場合は終了となりますので、事前に受付状況をお問い合わせください。問い合わせ先は木密・耐震整備課整備促進係(03-3463-2647)です。

分譲マンション耐震化促進アドバイザー派遣(無料)

渋谷区は、分譲マンション耐震化促進アドバイザー派遣を無料で行っています。「何から始めればいいかわからない」という段階であれば、まずこれを使うのが早い。

止水板の助成について(渋谷区の状況)

近隣の世田谷区・港区・品川区・大田区などは止水板設置等の助成制度を設けていますが、渋谷区について、2026年9月18日時点で同種の制度は公式サイト上で確認できませんでした。制度は年度途中で新設されることもありますので、浸水対策をご検討の際は、渋谷区の土木部企画管理課(03-3463-2773)に直接ご確認いただくのが確実です。


渋谷区で「今週動けること」を決めるための、雨の話

最後に、数字を1つだけ。

気象庁の「日本の気候変動2025」によれば、アメダスで観測された1時間降水量50ミリ以上の短時間強雨の発生回数は、1976〜2024年の49年間で約1.5倍に増加しています。1時間80ミリ以上では約1.7倍です(出典:気象庁「日本の気候変動2025」気象庁「アメダスで見た短時間強雨発生回数の長期変化について」)。

観測地点が増えたからではありません。1,300地点あたりに換算したうえでの比較です。

つまり、20年前に建てた建物の防水性能は、20年前の雨を前提にしているということです。設計時に想定していなかった降り方を、いま実際に受けている。渋谷区のように谷が深く、下水道に一気に水が集まる地形では、この差がそのまま漏水事故として出てきます。

現場で20年やってきて、私が一番悔しい思いをするのは、「あと1年早く相談してもらえていれば、この金額で済んだのに」という場面です。躯体(建物の骨組み)に水が回って鉄筋が錆びると、費用は一気に跳ね上がります。


よくあるご質問

Q. 渋谷区は高潮ハザードマップがないと聞きましたが、本当に安全ということですか?

A. 渋谷区は海に面していないため、高潮ハザードマップは「作成予定なし」と公式に整理されています。ただし、これは高潮のリスクがないという意味であって、内水氾濫のリスクがないという意味ではありません。むしろ渋谷区で主役になるのは内水です。区の洪水ハザードマップと、東京都下水道局の雨水出水浸水想定区域図の両方をご確認ください。

Q. 自分の建物が土砂災害警戒区域に入っているかは、どこで確認できますか?

A. 渋谷区土砂災害ハザードマップの地図面(本町/西原・元代々木町・代々木/神宮前・神山町/広尾・恵比寿の4エリアの詳細図)と、東京都土砂災害警戒区域等マップで確認できます。区役所本庁舎11階の土木部企画管理課でも閲覧できます。

Q. 崖側の外壁からの漏水は、大規模修繕で直りますか?

A. 地中に接している部分からの浸入であれば、通常の外壁塗装や屋上防水では止まりません。まず調査で浸入経路を特定することが先決です。原因の切り分けができていない状態で工事に入るのが、費用が無駄になる最大のパターンです。漏水対応の考え方にも詳しくまとめています。

Q. 前面道路が狭くて足場が架けられません。外壁の点検はどうすればよいですか?

A. ロープアクセス工法であれば、屋上からロープで下降しながら打診調査と補修が同時にできます。地面の条件に左右されないのが最大の利点です。渋谷区のように隣地との距離がない物件では特に有効です。上空からの俯瞰が必要な場合はドローン調査と組み合わせることもあります。技術的な詳細はロープアクセスドットコムでも解説しています。

Q. 打診調査の費用はどれくらいですか?

A. 一般的な目安は1平方メートルあたり250〜500円ですが、建物の高さ・形状・調査範囲により変動します。足場を架けずにロープアクセスで実施する場合、足場費用がまるごと不要になるぶん、総額が抑えられるケースが多くあります。料金の考え方もご参照ください。

Q. 漏水の緊急対応は、どれくらいで来てもらえますか?

A. 状況によりますが、ロープアクセスであれば足場の設置を待つ必要がないため、当日から翌営業日での初動が可能なケースが多くあります。まずは状況をお電話かフォームでお知らせください。

Q. 地下の受電設備の嵩上げも相談できますか?

A. 電気設備そのものの工事は専門の電気工事会社が行いますが、明誠は日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部として、塗装・防水・タイル・電気・看板の各分野の専門職が加盟しています。建物全体としての取りまとめが可能です。まずはお問合せフォームからご相談ください。

Q. 相談は無料ですか?

A. 現地調査と概算のご提示までは無料で承っています。管理組合向けのご説明資料もご用意しています。


まとめ:今週、渋谷区の理事会で動けること3つ

  1. 管理室のハザードマップの版を確認する — 洪水ハザードマップ日本語版は令和8年4月改訂版が最新です。古ければ区役所本庁舎11階または各出張所で差し替えを
  2. 東京都下水道局の雨水出水浸水想定区域図で、自分の敷地を確認する — 令和8年3月公表の法定図です。渋谷区のマップだけでは内水の法定リスクは読み切れません
  3. 地下階の逆流防止弁と排水ポンプを、実際に動かしてみる — 点検記録の紙ではなく、実働です。台風期のいまがいちばん適した時期です

渋谷区は、高潮も津波もない代わりに、渋谷川・宇田川の谷と、台地の縁の崖という地形が水の動きをすべて決めている区です。だからこそ、「23区の平均的な修繕計画」がいちばん当てはまらない区でもあります。自分の建物がどこに立っているかを地図で確定させることから、修繕の議論を始めていただきたいと思います。

ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。管理組合さま向けのサービス内容は管理組合向け大規模修繕のご案内、賃貸・オーナー物件はビルオーナー向けのご案内、収益不動産としての資産価値維持の考え方はオーナー向けの提供価値にまとめています。

明誠のこれまでの施工事例(約6,000棟)は https://rita-construction.com/blog/category/works/ からご覧いただけます。


出典・参考資料

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月18日時点で公表されている渋谷区および国土交通省・東京都の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、必ず渋谷区および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。


この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年9月18日