
株式会社明誠の本間です。今日は山梨県南都留郡鳴沢村にマンション・リゾートマンションをお持ちの管理組合の皆さま、そして区分所有者の方に向けて書きます。
この記事で答える質問は1つです。「鳴沢村のマンションで大規模修繕をするとき、村・県・国のどの補助金が共用部に使えるのか」。
先に結論を申し上げます。鳴沢村には、マンションの共用部改修に正面から使える村独自の補助金は、令和8年9月18日時点の村公式サイト上では確認できません。ただし、これまで私が書いてきた180近い自治体の記事のなかで、鳴沢村は「使えない理由」がここまで一本の線で説明できる自治体は初めてでした。
その線とは、住民票です。
鳴沢村の住宅系補助金は、耐震診断も浄化槽も、対象者の条件に「村内に住所を有する」「かつ居住している」という一文が入っています。一方で鳴沢村は、富士桜高原別荘地だけで3,830区画という別荘ストックを抱える村です。建物の数と、そこに住民票を置いている人の数が、大きくねじれている。だから鳴沢村では、補助金の可否が建物の劣化状況ではなく、申請する人の住所で決まってしまうのです。
その例外が1つだけあります。本文で詳しく書きますが、ブロック塀の制度です。
結論|鳴沢村の管理組合が令和8年度に確認すべき制度の早見表
判断に必要な情報を、まずこの1枚に圧縮しました。「共用部に使えるか」の欄だけ先に見ていただいて構いません。
| 制度 | 窓口 | 共用部(マンション)に使えるか | 金額・条件 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| 鳴沢村 木造住宅耐震診断支援事業 | 村 振興課 | 使えない(木造在来工法・2階建て以下・延べ300㎡以下・村内在住の所有者が居住) | 診断費用は全額村負担 | 鳴沢村 |
| 鳴沢村 耐震改修支援事業 | 村 振興課 | 使えない(上記の木造診断が前提) | 補助限度額 1,437,500円 | 鳴沢村 |
| 鳴沢村 ブロック塀等撤去改善促進事業費補助金 | 村 振興課 | 可能性あり・要確認(公表ページに住所要件の記載なし。「1敷地あたり」で設計) | 撤去のみ2/3・上限15万円/撤去+フェンス改善2/3・上限30万円 | 鳴沢村 |
| 鳴沢村 浄化槽設置事業補助金 | 村 住民課 | 使えない(村内に住所を有する個人・専用住宅が対象) | 5人槽531,000円/6〜7人槽616,000円/8人槽以上778,000円 | 鳴沢村 |
| 鳴沢村 老朽空家除却事業費補助金 | 村 企画課 | 使えない(個人所有の住宅の除却。更地化が条件) | 補助対象経費の2/3・上限100万円 | 鳴沢村 |
| マンション管理計画認定制度 | 山梨県 建築住宅課(町村部は県が所管) | 制度そのもの。融資金利引下げ等の入口 | 適合証あり3,600円/適合証なし25,500円 | 山梨県 |
| マンション長寿命化促進税制 | 村 税務担当へ申告 | 使える(共用部の大規模修繕が対象) | 令和9年3月31日までに工事完了。1戸100㎡相当まで固定資産税を1/3減額 | 国土交通省 |
| マンション共用部分リフォーム融資 | 住宅金融支援機構 | 使える(共用部改修の資金調達) | 管理組合申込み。管理計画認定等で金利引下げ | 住宅金融支援機構 |
| 鳴沢村景観計画の行為届 | 村 企画課 | 補助金ではないが必須手続き(区域は鳴沢村全域) | 行為に着手する30日前までに届出 | 鳴沢村 |
この表を見て「ほとんど使えないじゃないか」と思われたはずです。正直に申し上げます。そのとおりです。
ただ、私がこの記事で本当にお伝えしたいのは、補助金の有無ではありません。鳴沢村のマンションは、補助金が少ないことよりも、「誰も建物を見ていない期間が長い」ことのほうが、はるかに大きな金額のリスクになるという話です。後半でそこに入ります。
なぜ鳴沢村の補助金は「住民票」で線が引かれているのか
村の制度設計を、条文の言葉から読む
鳴沢村の補助金ページを順番に開いていくと、同じ形の一文が繰り返し出てきます。
- 木造住宅耐震診断の条件:「村内に住所を有する者が所有し、かつ居住しているもの」(出典:鳴沢村「耐震診断・耐震改修をしましょう」)
- 浄化槽設置事業補助金の対象者:「鳴沢村内に住所を有する個人(住宅の建設によって鳴沢村に住所を有する予定の者を含む。)であって、専用住宅に浄化槽を設置する事業を行う者」(出典:鳴沢村「浄化槽設置事業補助金について」)
- 老朽空家除却の対象空家:「村内に存する住宅で個人が所有するもので、過去に連続して5年以上生活の本拠として常用された実績のあるもの」(出典:鳴沢村「老朽空家除却事業費補助金」)
浄化槽の補助金ページには、ご丁寧に「転入確約書」という様式まで用意されています。鳴沢村に住民登録のない方が申請するときに使う書類です。つまり村は、「これから村民になる人」までは支援するが、「村民にならない所有者」は支援の対象に置いていない。
これは村を批判している話ではありません。人口3,000人規模の村が、限られた予算で定住と生活環境の維持に資源を集中させるのは、行政判断としてまったく筋が通っています。事実、村の制度一覧には定住促進新築住宅等購入支援、三世代同居等支援、奨学金返還支援といった定住系の補助が並んでいます(出典:鳴沢村「補助金・助成制度」)。村の優先順位がはっきりしている、ということです。
「建物の数」と「住民の数」がねじれている村
一方で、鳴沢村にある建物のストックは、住民の数とは別の論理で積み上がってきました。
富士桜高原別荘地は鳴沢村に広がる別荘地で、3,830区画、総面積約660万平方メートルとされています(出典:富士桜高原別荘地、および富士観光開発による事業案内)。村の住民基本台帳上の人口は約3,000人規模で、村は各年4月1日時点の年齢別人口と世帯数を公表しています(出典:鳴沢村「鳴沢村の人口データ」、令和8年4月1日更新)。
私はこの数字の並びを見たとき、現場屋として最初に思ったのはこういうことでした。この村の建物は、大半が「持ち主が日常的に見ていない建物」だ。
分譲マンションでも同じことが起きます。区分所有者の住所が東京・神奈川・埼玉に散っていて、年に数回しか来ない。総会は書面決議か委任状が中心になる。理事のなり手がいない。この構図は、私が伊豆の町や富士北麓のリゾートマンションで何度も見てきたものです。
そして、ここが本題です。補助金が使えないことより、「劣化の発見が2〜3年遅れること」のほうが、金額としてはるかに大きい。
村の制度①:木造住宅耐震診断・耐震改修支援事業(共用部には使えません)
条件を一つずつ突き合わせると、RC造マンションは全項目で外れる
鳴沢村は山梨県と共同で、昭和56年5月以前に着工された木造住宅を対象に、耐震診断を無料で実施しています。診断費用はすべて村が負担します(費用の一部は国と県の補助を活用)。
診断の対象になる住宅の条件は5つです。
- 昭和56年5月31日以前に着工され、木造在来工法で建築された住宅(プレハブ工法、2×4工法等は除く)
- 村内に住所を有する者が所有し、かつ居住しているもの
- 2階建て以下のもの
- 延べ床面積300平方メートル以下のもの
- 専用住宅または併用住宅で住宅部分の面積が過半のもの
(出典:鳴沢村「耐震診断・耐震改修をしましょう」/更新日:2024年4月1日)
鉄筋コンクリート造や鉄骨造の共同住宅は、1番の「木造在来工法」で外れます。仮に木造の共同住宅であっても、3番の「2階建て以下」と4番の「延べ300㎡以下」で、ほぼ確実に外れます。さらに2番の居住要件がある。3重に外れる構造です。
耐震改修支援事業のほうは、診断の総合評点が1.0未満の木造住宅を1.0以上に上げる改修工事が対象で、補助限度額は1,437,500円。対象者は既存木造住宅の所有者で、世帯全員が村税を滞納していないことが条件です。耐震シェルター設置支援事業は、総合評点0.7未満の木造住宅が対象で限度額24万円。いずれも木造住宅の制度です。
なお村は「鳴沢村住宅耐震化緊急促進アクションプログラム2026」を公表しています。村が住宅耐震化を年度の計画として管理しているということですから、非木造・共同住宅の扱いについて今後の方針を尋ねる相手として、振興課(0555-85-3083)は的確な窓口です。
非木造の耐震は「村の補助」ではなく「国の枠組み」で考える
昭和56年5月31日以前に着工された分譲マンションで耐震性が気になる場合、村の木造制度ではなく、国の住宅・建築物安全ストック形成事業などの枠組みで、県・村を通じた支援が受けられるかを確認する流れになります。マンション区分の耐震診断・耐震改修に対する国の考え方は、国土交通省の耐震化支援のページに整理されています(出典:国土交通省「住まいの耐震化 補助金・支援制度について」)。
ここは村の公式サイトに個別の案内が出ていないため、私が断定的に「使えます」と書くべきではない領域です。村の振興課と山梨県建築住宅課の両方に、同じ質問を投げてください。町村部は県が所管している業務が多く、村だけに聞いて終わると答えが出ないことがあります。
村の制度②:ブロック塀等撤去改善促進事業費補助金|鳴沢村で管理組合が唯一手を伸ばせる可能性がある制度
「1敷地あたり」で設計されている、という事実
鳴沢村ブロック塀等撤去改善促進事業費補助制度の概要は、次のとおりです。
対象工事:道路・公園等に面している高さ1メートル以上のブロック塀、石塀、レンガ塀等を撤去する場合、または撤去してフェンス等へ改善する場合
補助額
| 工事種別 | 対象経費 | 補助率 | 補助限度額 |
|---|---|---|---|
| 撤去のみ | 【撤去費】または【10,000円×塀の長さ】のいずれか少ない額 | 2/3 | 1敷地あたり15万円 |
| 撤去し、フェンス等へ改善 | 【撤去・改善費】または【38,300円×塀の長さ】のいずれか少ない額 | 2/3 | 1敷地あたり30万円 |
(出典:鳴沢村「ブロック塀等の撤去・改善費用の補助制度について」)
私がこの制度に注目したのは、村の公表ページに「村内に住所を有する個人」という対象者要件が書かれていないからです。制度が「1敷地あたり」という単位で設計されていて、対象が人ではなく敷地の塀に向いている。マンションの外構ブロック塀は、まさに「1敷地の、道路に面した塀」です。
ただし、これを「管理組合でも使えます」と断定することは、私にはできません。 要綱の本文に対象者の規定がある可能性があり、公表ページの記載だけでは確認できないからです。ここは正直に書きます。
理事会がすべきことは、電話1本
確認の仕方は具体的にお伝えします。振興課(0555-85-3083)に、次の3点をそのまま聞いてください。
- 分譲マンションの管理組合名義で、共用部である外構ブロック塀の撤去・改善に、この補助金を申請できるか
- 申請者が個人でなければならない規定が要綱にあるか
- 区分所有建物の場合、総会決議の議事録などの添付が必要か
そして、もう1つ絶対に外せない注意点があります。村が発行する「交付決定通知書」が届く前に契約・着手した工事は補助対象外です。これは村のページに明記されています。大規模修繕の工事契約を先に結んでしまうと、その中に外構工事が含まれていた時点で補助の道が消えます。見積の段階で外構ブロック塀を別契約にしておく——これが鳴沢村の理事会にとって、実務上いちばん効く一手です。
金額の感覚もお伝えします。たとえばマンション前面の道路沿いに、高さ1.2mのブロック塀が20m続いているとします。撤去してフェンスへ改善する場合、38,300円×20m=766,000円と実際の工事費を比べて少ない額の2/3、ただし上限30万円。つまり30万円が上限に張り付くケースが多いはずです。大規模修繕の総額から見れば小さい額ですが、外構は修繕積立金から出ていく費用です。使える制度は使いましょう。
村の制度③:浄化槽設置事業補助金|「専用住宅」という一文で共同住宅が外れる
鳴沢村は、生活排水による地下水の汚濁を防止するため、合併処理浄化槽を設置する者に補助金を交付しています。金額は人槽区分ごとに決まっていて、決して小さくありません。
| 人槽区分 | 新規設置/単独浄化槽から合併浄化槽への入れ替え | 設置後30年を経過した合併浄化槽の入れ替え |
|---|---|---|
| 5人槽 | 531,000円 | 309,000円 |
| 6〜7人槽 | 616,000円 | 340,000円 |
| 8人槽以上 | 778,000円 | 412,000円 |
(出典:鳴沢村「鳴沢村浄化槽設置事業補助金について」/更新日:2024年7月19日)
ただし対象者は「鳴沢村内に住所を有する個人」であり、対象となる建物は「専用住宅=主に居住の用に供する建物であって延べ床面積の2分の1以上を居住の用に供する建物」と定義されています。
この2つの条件のうち、共同住宅にとって致命的なのは前者です。管理組合は個人ではありません。
なぜこれを丁寧に書くかというと、富士北麓のリゾートマンションでは、浄化槽が共用部の設備として存在しているケースが珍しくないからです。私はこれまでの現場で、「浄化槽の更新費用が長期修繕計画に入っていなかった」管理組合を何度も見てきました。建物本体の防水や外壁には目が向いても、地中に埋まっている設備は計画から漏れやすい。
浄化槽をお持ちのマンションは、長期修繕計画の中に「浄化槽更新」の項目があるかどうかを、今月の理事会で確認してください。村の補助が使えない以上、100%を積立金で賄う前提の計画になっていなければいけません。
村の制度④:老朽空家除却と環境対策施設設置補助金
老朽空家除却事業費補助金は、著しく老朽化し居住の用に適さなくなった空家の除却に対し、補助対象経費の2/3・上限100万円を交付する制度です。更新日は2026年6月1日で、令和8年度に入ってから更新されている、村のなかでは最も新しい情報です。
ただし対象空家は「村内に存する住宅で個人が所有するもので、過去に連続して5年以上生活の本拠として常用された実績のあるもの」。かつ補助対象工事は「敷地内にある建築物、工作物、立木、地下埋設物、動産等の全てを除却し、更地にするもの」です。区分所有建物の一部住戸には当てはまりません。
もう1つ、環境対策施設設置補助金があります。村は「一般家庭に環境対策施設を設置した場合に補助金を交付します」としていますが、公表ページの本文に補助金額や対象設備の具体的な記載がなく、交付要綱のPDFを参照する形式になっています(出典:鳴沢村「環境対策施設設置補助金について」/更新日:2022年3月1日)。
ここは推測で埋めません。金額・対象設備・「一般家庭」に共同住宅の共用部が含まれるかは、住民課(0555-85-3082)へ直接ご確認ください。更新日が令和4年である点も含め、現行年度の運用は窓口確認が必要です。
山梨県の制度|鳴沢村のマンションは「県」が管理計画認定の窓口です
町村部は山梨県が所管している
マンション管理計画認定制度は、管理組合の管理計画が一定の基準を満たす場合に、地方公共団体から「適切な管理計画を持つマンション」として認定を受けられる制度です。
重要なのは窓口です。山梨県は町村部にあるマンションのみを対象として、令和4年4月1日から認定の受付を開始しています。鳴沢村は村ですから、認定申請の相手は村役場ではなく、山梨県県土整備部建築住宅課(企画担当/055-223-1730)です。
そして山梨県独自の基準はありません。国の基準だけを満たせばよい、ということです。これは管理組合にとってシンプルで、ありがたい話です。
手数料は「適合証の有無」で7倍違う
| 区分 | 適合証あり | 適合証なし |
|---|---|---|
| 認定(更新)申請手数料(長期修繕計画が1つ) | 3,600円 | 25,500円 |
| 長期修繕計画が2以上ある場合の加算 | 1長期修繕計画あたり1,600円 | 1長期修繕計画あたり14,700円 |
| 変更認定申請手数料 | 適合証なしの額の2分の1(100円未満切り捨て) | 同左 |
(出典:山梨県「マンション管理計画認定制度について」/ページ更新日:2025年12月24日)
公益財団法人マンション管理センターが発行する適合証を先に取ってから県へ申請する方法が原則です(出典:公益財団法人マンション管理センター「管理計画認定手続支援サービス」)。21,900円の差は、適合証を取るための手間に見合います。
そして県は、申請を予定している場合は申請前に建築住宅課企画担当へ相談してほしいと明記しています。鳴沢村のような別荘型・リゾート型のマンションでは、長期修繕計画の作成状況や総会の開催実績が認定基準に届いていないことが多い。相談の場で「何が足りないか」を先に聞けるのは、管理組合にとって大きな価値があります。
国の制度|長寿命化促進税制と共用部分リフォーム融資
マンション長寿命化促進税制は期限が迫っています
築20年以上・総戸数10戸以上のマンションで、外壁塗装等工事・床防水工事・屋根防水工事が一体として実施される長寿命化に資する大規模修繕工事を行った場合、申告により翌年度分の固定資産税が、1戸あたり100㎡相当分まで3分の1減額されます(出典:国土交通省「長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに係る固定資産税の減額措置(マンション長寿命化促進税制)」)。
対象期間は令和5年4月1日から令和9年3月31日までに工事が完了したもの。今日が令和8年9月18日ですから、残りは約1年半です。
ここで私が理事長さまにいつもお伝えしているのは、「外壁塗装だけ」では対象にならないという点です。外壁・床防水・屋根防水が一体でなければいけません。鳴沢村のような別荘型マンションでは、予算の都合で工事を分割し、「今年は外壁だけ」「来年は屋根だけ」とする判断が出やすい。その分割が、この税制の適用を落としてしまうことがあります。
減額の適用や必要な申告手続きは自治体ごとに運用が異なりますので、鳴沢村役場(0555-85-2311)の税務担当へ、工事の計画段階で確認してください。
共用部分リフォーム融資は管理組合名義で申し込める
住宅金融支援機構のマンション共用部分リフォーム融資は、管理組合が申込人となって共用部改修の資金を調達できる制度です。管理計画認定を受けている等の条件で金利引下げが適用されます(出典:住宅金融支援機構「マンション共用部分リフォーム融資」)。
先ほどの管理計画認定と、この融資は一本の線でつながっています。認定を取る → 金利が下がる → 修繕積立金の不足を借入で埋めるコストが下がる。鳴沢村のように区分所有者が全国に散っていて、一時金の徴収が現実的に難しいマンションほど、この順番が効いてきます。
鳴沢村で工事を始める前に|景観計画の行為届と、富士北麓の気候
区域は「鳴沢村全域」。着手の30日前までに届出
鳴沢村景観計画は、計画の区域が鳴沢村全域で、平成27年10月1日から効力が発生しています(出典:鳴沢村「鳴沢村景観条例・鳴沢村景観計画」)。村内に「規制のかからない場所」はありません。
景観計画区域内の行為の届出は、行為に着手する30日前までに、景観計画区域内行為届出書(様式第1号)に建築物・工作物などの別紙を添えて村長へ提出する必要があります(出典:鳴沢村景観条例施行規則)。村には太陽光発電施設・移動通信用鉄塔について個別の景観形成基準も置かれていて、村が景観をかなり細かく運用していることがわかります。
大規模修繕で外壁の色を変える場合、この届出が工程に効いてきます。30日は、理事会1回分の時間です。私はいつも理事長さまに、「色を決める総会と、工事着手日の間に最低1か月半は空けてください」とお伝えしています。届出を忘れて着工日をずらすと、足場の解体日やロープの設置日まで全部ずれて、最終的に職人の手配と天候のいい時期を逃します。
なお、別荘地内のマンションの場合は、村の景観届出とは別に、別荘地の管理規約や建築協定がかかっていることがあります。窓口が2つある、と考えておいてください。
標高1,000m前後の凍結融解が、外壁に効く
鳴沢村は富士山北麓、標高がおおむね1,000m前後の地域です。私が現場屋として気にするのは、この標高がもたらす凍結融解です。
日中に溶けた水がタイルの裏やひび割れに入り込み、夜間に凍って膨張する。これが冬のあいだ毎日繰り返されます。都市部のマンションでは20年かけて進む外壁の浮きが、富士北麓では十数年で同じところまで来ることがある。私は伊豆や富士北麓の現場で、築15年でタイルの浮きが広範囲に出ていた建物を実際に見ています。
それから、冬期の施工制約です。塗料にもシーリング材にも施工可能な気温の下限があります。鳴沢村では12月〜3月の工程は現実的に組みにくい。逆に言えば、春から秋の施工枠は取り合いになります。工事の1年前には業者を押さえておくのが安全です。
令和8年6月26日の地震のあとに、鳴沢村のマンションで見ておくべきこと
令和8年6月26日22時29分頃、山梨県東部・富士五湖を震源とするマグニチュード5.6(暫定値)、深さ20kmの地震が発生し、最大震度6弱を山梨県の富士河口湖町で観測しました。東北地方から中国地方にかけて震度5強〜1を観測し、山梨県東部・富士五湖を含む地域で長周期地震動階級1が観測されています(出典:気象庁「令和8年6月26日22時29分頃の山梨県東部・富士五湖の地震について」)。
鳴沢村は富士河口湖町に隣接しています。あれから3か月足らずです。
ここで、本記事の前半で書いた「誰も建物を見ていない」という問題が効いてきます。人が常時住んでいるマンションなら、地震のあと住民が「階段のここにひびが入った」と気づきます。別荘型のマンションでは、誰も気づかないまま冬が来ます。そして凍結融解が、そのひび割れを広げます。
私が理事会にお勧めするのは、次の3点です。
- 外構ブロック塀の点検を先にやる。村がブロック塀の点検チェックポイントのPDFを公開しています(出典:鳴沢村)。倒壊した塀は、人に当たれば命に関わり、管理組合の責任問題になります。危険が確認された場合は速やかに注意表示を行うよう、村も呼びかけています。
- 外壁の全面調査を、地震後の記録として残す。「地震の前からあったひびなのか、後からできたのか」を証明できる資料がないと、保険でも工事の判断でも不利になります。
- 調査は、足場を組む前にやる。ここが工法の話につながります。
足場か、ロープアクセスか、ハイブリッドか|鳴沢村の立地で費用と工期がどう変わるか
調査だけのために足場を組むのは、もったいない
大規模修繕で最も重いコストの1つが仮設足場です。一般に30戸規模のマンションの大規模修繕は総額3,500〜5,000万円程度、そのうち仮設足場が15〜25%を占めるというのが、私の実感に近いレンジです(物件により大きく変動します。あくまで目安としてお読みください)。
ここで、株式会社明誠が3つの工法から提案できるという話をさせてください。利益相反になりますので、ここからは自社サービスの話だと明示したうえで書きます。
| 工法 | 特徴 | 鳴沢村の物件で向くケース |
|---|---|---|
| 通常足場工法 | 従来型の仮設足場。全面的な打ち替えや広範囲の補修に強い | 中低層、複雑形状、補修範囲が広い建物 |
| ロープアクセス工法(無足場工法) | 産業用ロープで高所作業。足場費を削減し工期を短縮。居住者・利用者への影響が小さい | 調査・部分補修、急斜面や樹林に囲まれて足場を架けにくい別荘地内の物件 |
| ハイブリッド工法 | 部位ごとに足場とロープアクセスを使い分ける | 大規模・複雑物件で総合コストを最適化したいケース |
参考として、10階建て・外周80m・工期3か月の想定で、仮設足場が約168万円かかるところをロープアクセスで約59万円に抑えられたケースがあります(差額およそ109万円)。これは条件が揃った場合の数字で、すべての建物で同じ差が出るわけではありません。建物形状・作業範囲・アンカー設置の可否で変わります。
外壁の打診調査の単価は概ね250〜500円/㎡、外壁塗装は3,500〜4,500円/㎡、防水は5,000〜8,000円/㎡というのが一般的なレンジです。いずれも目安であり、実際の見積は物件により大きく変動します。ロープアクセス工法そのものの技術解説は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムに詳しくまとめています。
鳴沢村の物件でロープアクセスが効く理由は「工期」と「調査の身軽さ」
鳴沢村で私が重視するのは、金額よりもむしろ工期です。
前述のとおり、鳴沢村では冬期の施工が現実的に難しい。春から秋の限られた枠で工事を終わらせなければならない。足場工法で3か月かかる工事が、ロープアクセスなら1.5〜2か月で終わるなら、その差は「令和8年度中に終わるか、令和9年度に持ち越すか」の差になります。持ち越せば、その冬のあいだ劣化は進み続けます。
もう1つは、調査の身軽さです。地震後の点検のために足場を1棟丸ごと組むのは費用的に現実的ではありません。ロープアクセスなら、調査のためだけに降りることができます。ドローンによる外観調査と組み合わせれば、費用を抑えて記録を残せます。明誠ではドローン調査とロープアクセス工法を組み合わせた調査を行っています。
明誠のことも、数字で書いておきます
信頼していただくための材料として、手前味噌ですが書いておきます。
- 株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました
- ロープアクセス工法での高所作業について、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています
- IRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けた作業員が施工にあたります
- 日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部として、塗装・防水・タイル・電気・看板の各分野の専門職が加盟しています。だから「高品質かつ低価格」を両立できます
- 代表の私は、一般社団法人 全国建設業支援協会(JCSA)の代表理事も務めています
料金に対する考え方は大規模修繕の料金の考え方に、管理組合向けのサービス内容は管理組合向けサービスにまとめています。これまでの施工事例は明誠の施工事例(約6,000棟)からご覧いただけます。工法ごとの技術的な裏付けをさらに深く知りたい方は、ロープアクセスドットコムもあわせてご覧ください。
よくあるご質問
Q. 鳴沢村に、マンションの大規模修繕に直接使える村の補助金はありますか?
A. 令和8年9月18日時点の村公式サイト上では確認できません。村の住宅系補助金は木造住宅・専用住宅・個人所有を前提としており、分譲マンションの共用部を対象にした制度は公表されていません。可能性があるのは外構のブロック塀撤去・改善の補助のみで、これも管理組合名義で使えるかは村 振興課(0555-85-3083)への確認が必要です。
Q. マンション管理計画認定の申請は、村役場に出すのですか?
A. いいえ、山梨県です。県は町村部にあるマンションを対象に、令和4年4月1日から認定の受付を開始しています。窓口は山梨県県土整備部建築住宅課 企画担当(055-223-1730)です(出典:山梨県)。
Q. 認定申請の手数料はいくらですか?
A. 長期修繕計画が1つの場合、適合証ありで3,600円、適合証なしで25,500円です。長期修繕計画が2以上ある場合は、それぞれ1計画あたり1,600円/14,700円が加算されます(出典:山梨県)。
Q. 別荘として使っていて住民票が村にない場合、村の補助金は使えませんか?
A. 村の耐震診断は「村内に住所を有する者が所有し、かつ居住しているもの」、浄化槽補助は「鳴沢村内に住所を有する個人」が対象です。住民票がない場合、これらは対象外になります。ただしブロック塀の制度については公表ページに住所要件の記載がないため、村へご確認ください。
Q. 外壁の色を変えるとき、どんな手続きが必要ですか?
A. 鳴沢村景観計画の区域は村全域です。景観計画区域内で行為を行う場合、行為に着手する30日前までに村長へ届出が必要です(出典:鳴沢村景観条例施行規則)。別荘地内の物件は、別荘地側の管理規約・建築協定も併せてご確認ください。
Q. 固定資産税が下がる制度があると聞きましたが、鳴沢村でも使えますか?
A. マンション長寿命化促進税制は全国共通の制度です。築20年以上・総戸数10戸以上で、外壁塗装等・床防水・屋根防水を一体で行う大規模修繕が対象。令和9年3月31日までに工事完了が条件です(出典:国土交通省)。申告手続きは鳴沢村役場の税務担当(0555-85-2311)へご確認ください。
Q. 工事の費用はどれくらいかかりますか?
A. 30戸規模の大規模修繕で総額3,500〜5,000万円程度、うち仮設足場が15〜25%というのが一般的な目安です。外壁打診調査は250〜500円/㎡、外壁塗装3,500〜4,500円/㎡、防水5,000〜8,000円/㎡が目安ですが、物件の規模や劣化状況で大きく変動します。概算のお見積りは無料でお出しできますので、お問い合わせフォームからご相談ください。
Q. ロープアクセスだと工期はどれくらい短くなりますか?
A. 条件が揃えば足場工法の6割程度の工期が目安です。10階建て・外周80m規模で、足場3か月に対しロープアクセス1.5〜2か月。鳴沢村のように冬期の施工が難しい地域では、この差がそのまま「年度内に終わるかどうか」に直結します。
この記事のポイントまとめ
- 鳴沢村の住宅系補助金は「村内に住所を有し居住している個人」が前提。管理組合は原則対象外
- 唯一の可能性はブロック塀等撤去改善補助(撤去2/3・上限15万円/改善2/3・上限30万円、1敷地あたり)
- 交付決定通知書の前に契約・着手した工事は対象外。外構は大規模修繕本体と別契約にする
- マンション管理計画認定の窓口は村ではなく山梨県。手数料は適合証ありで3,600円
- 長寿命化促進税制は令和9年3月31日までの工事完了が条件。外壁・床防水・屋根防水は一体で
- 景観計画区域は村全域。色を変えるなら着手30日前までに行為届
- 別荘型マンション最大のリスクは補助金の少なさではなく、劣化の発見が遅れること
出典・参考資料
- 鳴沢村「耐震診断・耐震改修をしましょう」(更新日:2024年4月1日)
- 鳴沢村「ブロック塀等の撤去・改善費用の補助制度について」
- 鳴沢村「鳴沢村浄化槽設置事業補助金について」(更新日:2024年7月19日)
- 鳴沢村「鳴沢村老朽空家除却事業費補助金」(更新日:2026年6月1日)
- 鳴沢村「環境対策施設設置補助金について」
- 鳴沢村「補助金・助成制度」
- 鳴沢村「鳴沢村景観条例・鳴沢村景観計画」/鳴沢村景観条例施行規則
- 鳴沢村「鳴沢村の人口データ」(更新日:2026年4月1日)
- 山梨県「マンション管理計画認定制度について」(ページ更新日:2025年12月24日)
- 国土交通省「長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに係る固定資産税の減額措置」
- 国土交通省「住まいの耐震化 補助金・支援制度について」
- 住宅金融支援機構「マンション共用部分リフォーム融資」
- 公益財団法人マンション管理センター「管理計画認定手続支援サービス」
- 気象庁「令和8年6月26日22時29分頃の山梨県東部・富士五湖の地震について」(報道発表日:令和8年6月27日)
- 富士桜高原別荘地「別荘地のご案内」
本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月18日時点で公表されている鳴沢村および国土交通省・山梨県の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、必ず鳴沢村および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。
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鳴沢村のマンションは、持ち主の多くが村の外にいます。だからこそ、建物の状態を「誰かが定期的に見に行く仕組み」を、管理組合が自分で作らなければいけません。補助金が少ない村だからと諦めるのではなく、県と国の制度を使い、工法で工期と費用を削る。そこは私たちがお手伝いできる領域です。ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。
この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
最終更新:2026年9月18日


