本間社長ブログ
真鶴町のマンション補助金|大規模修繕と美の基準【2026】
目次
- 早見表:真鶴町のマンションで使える制度・使えない制度
- 真鶴町のマンションの特徴-相模湾に突き出た「美の町」
- 真鶴町ならではの注意点①:景観計画の届出と「美の基準」
- 真鶴町ならではの注意点②:町の窓リノベ促進事業と国の窓リノベ事業
- 真鶴町のその他の制度:耐震診断・生け垣・空き家バンク
- 本命の制度:神奈川県のマンションアドバイザー派遣-真鶴町の管理組合は無料で使えます
- マンション管理計画認定制度-真鶴町は「神奈川県」が認定します
- マンション長寿命化促進税制-認定の取得から逆算を
- 真鶴町のマンションの大規模修繕-足場か、ロープアクセスか、公平に比べます
- 制度を使うときの共通の落とし穴
- 真鶴町のマンションが大規模修繕に向けて動く5つのステップ
- 賃貸マンション・ビルのオーナーの方へ
- よくあるご質問
- この記事のポイントまとめ
- 出典・参考資料

-
著作者プロフィール
株式会社明誠 代表取締役
本間 幸紘
大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。
2026年10月11日 更新
「真鶴町のマンションで、大規模修繕に使える補助金はありますか?」
先に結論をお伝えします。2026年10月時点の真鶴町公式サイトで確認できた範囲では、外壁塗装や屋上防水といった共用部分の大規模修繕の工事費を、管理組合に補助する町の制度は見つかりませんでした。 町の住宅関連の制度は、「窓の断熱改修」への定額補助、木造住宅の耐震診断補助、生け垣の設置補助、空き家バンクの4つが中心です。
ただし、真鶴町にはほかの町にない大きな特徴があります。町独自の「美の基準」と景観計画に基づく色彩基準があり、外壁の塗り替えなど外観を大きく変える修繕では、町への届出が必要になる場合があるという点です。補助金の有無より、この手続きと色選びを工事の計画に組み込めるかどうかが、真鶴町の大規模修繕では大きな分かれ目になります。
こんにちは、株式会社明誠の本間です。マンション・ビル・大手ホテルチェーンの大規模修繕に20年以上携わってきました。この記事では、真鶴町のマンション管理組合の理事長さま・理事の皆さまに向けて、町・県・国の制度を「共用部に使えるか、使えないか」で仕分けし、あわせて景観計画の届出と色彩基準の読み方、そして修繕積立金を守るための工法の選び方をお伝えします。
早見表:真鶴町のマンションで使える制度・使えない制度
2026年10月時点の真鶴町公式ページと、神奈川県・国の公表資料をもとに整理しました。
| 制度 | 窓口 | 管理組合(共用部)で使えるか | 内容 |
|---|---|---|---|
| 真鶴町先進的窓リノベ促進事業 | 真鶴町 都市計画課 | △ 要確認(町ページに共同住宅の扱いの記載なし) | 窓1か所あたり3万円・5万円・8万円の定額、同一住宅の上限30万円。先着順で、受付は2026年12月25日まで |
| 国の先進的窓リノベ2026事業 | 国(窓リノベ事業者が申請) | ○ 管理組合も補助対象者に含まれる | 住宅は1戸あたり上限100万円。交付申請は遅くとも2026年12月31日まで |
| 木造住宅耐震診断補助事業 | 真鶴町 都市計画課 | × マンションは対象外 | 1981年以前に着工した木造の戸建て等が対象。診断費の2/3以内・上限2万円 |
| 生け垣設置に関する補助事業 | 真鶴町 都市計画課 | △ 要確認(町ページは2017年3月の更新) | 新たに生け垣を設置する場合に1mあたり5,000円、上限10万円 |
| 空き家バンク | 真鶴町 都市計画課 | × 補助ではなく物件情報の制度 | 町の登録・案内制度。補助金の記載はなし |
| マンションアドバイザー派遣事業(令和8年度) | 神奈川県 住宅計画課 | ○ 相談に使える(工事費の補助ではない) | 派遣料無料、1回3時間以内、年度内最大2回。2027年2月26日まで |
| マンション管理計画認定制度 | 神奈川県(町村部は県が認定) | ○ 間接的に有利 | 長寿命化促進税制などの前提になる |
| マンション長寿命化促進税制 | 国(申告は町の税務担当) | ○ 間接的に有利 | 一定の大規模修繕を2027年3月31日までに完了した場合、翌年度の固定資産税を減額 |
ポイントは、共用部の工事費に直接使える町の補助は見当たらない一方で、「窓の断熱改修」「県の無料アドバイザー」「管理計画認定と税制」を組み合わせる余地があることです。そして、真鶴町では景観計画の届出と色彩基準が、工事の段取りに直結します。
真鶴町のマンションの特徴-相模湾に突き出た「美の町」
真鶴町は神奈川県の西部、足柄下郡にある町です。相模湾に突き出した真鶴半島を中心に、海と緑、坂のある港町の風景が広がっています。マンション管理の観点では、次の3つが特徴です。
1つ目は、真鶴町が「町村部」なので、マンション管理計画の認定やアドバイザー派遣の窓口が神奈川県になることです。市と比べて町独自のマンション支援策が少なく、県の制度を使いこなすことが大切になります。
2つ目は、海に近い立地による劣化の進み方です。海沿いの建物では、潮風による鉄部(手すり・扉・配管など)のさびや、シーリング(外壁の継ぎ目を埋めるゴム状の材料)の劣化が、内陸より早く進む傾向があります。海側と山側で、劣化の度合いがはっきり違うことも珍しくありません。
3つ目は、景観への配慮が強く求められる町だということです。真鶴町は「まちづくり条例」の中に、町の暮らしの風景を守るための「美の基準」を定めています。大規模修繕の外壁塗装でも、この基準や景観計画が関わってきます。
私の経験では、海沿いや斜面地の建物で「築12年だから全面改修」と一律に決めてしまうと、まだ使える部分まで工事することになりがちです。劣化に合わせて工事範囲と時期を組み立てることが、補助金を探すのと同じくらい、修繕積立金を守るカギになります。
真鶴町ならではの注意点①:景観計画の届出と「美の基準」
真鶴町の大規模修繕で、他の町と一番違うのがここです。町の公式ページ(美の町真鶴~真鶴町まちづくり条例「美の基準」~、2026年4月1日更新)によると、真鶴町は「懐かしい港町の生活風景を保全していく」ことを目的に、「美の基準デザインコードブック」を作成して、美のまちづくりを進めています。コードブックは、次の9つの章で構成されています。
| 章 | 内容の考え方 |
|---|---|
| 美の基準について | 美の基準の位置づけ |
| 場所 | 建物が建つ場所への配慮 |
| 格づけ | 場所ごとの扱い |
| 尺度 | 人や周囲の建物とのスケール |
| 調和 | 周辺との調和 |
| 材料 | 使う材料の選び方 |
| 装飾と芸術 | 装飾のあり方 |
| コミュニティ | 地域とのつながり |
| 眺め | 眺望・風景への配慮 |
コードブックはCC-BYライセンスで公開されており、冊子は1冊2,400円で販売されています。町は条例の運用30年の評価報告書(2025年3月版)も公表しています。
外観を変える修繕は、届出が必要になる場合があります
町の景観法の届出についてのページでは、建築物の色の塗り替えなどで、届出が必要になる場合があると案内されています。町の景観計画に係る届出(PDF)では、届出対象の行為として、次のような項目が読み取れます。
- 建築物の新築・増築・改築・移転(床面積10㎡以下を除く)
- 門・塀・垣・柵・擁壁などで高さ2m以上のもの
- 外観の変更となる修繕・模様替・色彩の変更で、面積が総面積の3分の1以上のもの
マンションの大規模修繕では、外壁全体を塗り替えることが多いため、3つ目の項目に当たる可能性があります。ただし、PDFの表記からは届出対象行為と特定届出対象行為の区分がはっきり読み取れず、届出の時期(着工の何日前か)や、対象となる区域の範囲も、町のページには記載がありませんでした。ここは事前に町へ確認していただきたい点です。確認しないまま着工してしまうことが、一番のリスクだと考えてください。窓口は都市計画課 都市計画係(0465-68-1131)です。
色彩基準-原色を避けた、落ち着いた暖かい色
町の色彩基準(PDF)には、建築物等の基本的な配色について「原色を避け、落ち着いた暖かい色彩とし、周辺の環境と調和した配色とする」という趣旨の原則が示されています。地区は「真鶴港地区」と「その他の地域」に分かれ、マンセル値(色を数値で表す国際的な表示方法)で色相ごとの明度・彩度の上限が定められています。表面に着色していない木材、土壁、石などの自然素材や、スレート・硝子などの素材色は適用除外とされ、金属(アルミなど)を使う場合は推奨色に適合するよう注意することとされています。
私が現場でよく経験するのは、「今の色と同じで塗り替えるだけだから問題ない」と考えて、見積りの段階で色の確認を飛ばしてしまうケースです。色の変更を伴う場合はもちろん、同じ色での塗り替えでも、届出の要否や基準への適合を事前に町へ確認しておくと、着工後のやり直しを防げます。
理事会では、次の順番で進めるのが現実的です。
- 建物の現状の色と、色彩基準のマンセル値の範囲を、塗装業者と一緒に確認する
- 塗り替え面積が外壁の総面積の3分の1以上になるかを、図面で算出する
- 町の都市計画課に、届出の要否・時期・必要書類を事前相談する
- 色見本(実際の塗料のサンプル)を町の基準に照らして選び、総会に諮る
真鶴町ならではの注意点②:町の窓リノベ促進事業と国の窓リノベ事業
真鶴町の先進的窓リノベ促進事業(2026年10月1日更新)は、エネルギー価格高騰による負担を軽くし、住宅の省エネ化を進めるために、窓の断熱改修を補助する制度です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 町内の既存住宅を所有し、居住している方(住民基本台帳に記録されている方) |
| 対象工事 | 断熱性能の高い窓等への改修。国の窓断熱改修補助事業で性能基準を満たして登録された製品が対象 |
| 補助額(窓1か所あたり) | 小(0.8㎡未満)3万円/中(0.8㎡以上1.4㎡未満)5万円/大(1.4㎡以上)8万円 |
| 上限 | 同一住宅への補助総額の上限は30万円 |
| 受付期間 | 2026年12月25日まで(先着順、予算額に達した時点で終了) |
| 申請のタイミング | 工事着手前に、申請書と見積書の写し、工事予定箇所の写真などを提出 |
| 実績報告 | 工事完了後、2月28日までに行う |
| 窓口 | 都市計画課 都市計画係(0465-68-1131) |
町のページには、マンションなど共同住宅の扱いについて記載がありません。対象者が「既存住宅を所有し居住している方」とされているため、区分所有者が自分の住戸の窓を改修する場合に使える可能性はありますが、管理組合として共用部のサッシをまとめて改修する場合に対象になるかは、読み取れませんでした。着工前の申請が条件のため、契約や発注の前に都市計画課へ確認してください。
国の先進的窓リノベ2026事業は、管理組合も補助対象者に含まれます
国の「先進的窓リノベ2026事業」の交付申請の手引き(2026年7月31日版、PDF)によると、補助対象者となる工事の発注者には、集合住宅の管理組合・管理組合法人が含まれています。主な内容は次のとおりです。
- 住宅の補助上限は1戸あたり100万円(1申請あたり合計5万円以上が必要)
- 補助額は、製品の性能区分・サイズ・建物の種類に応じた定額
- 申請は消費者本人ではなく、登録された窓リノベ事業者が行う
- 工事請負契約は工事着手前に結ぶ必要があり、工事完了は遅くとも2026年12月31日まで
- 交付申請の予約は遅くとも2026年11月16日まで、交付申請は遅くとも2026年12月31日まで(予算上限に達し次第終了)
共用部の窓(廊下やホールの窓など)が対象になるかは、今回確認した範囲の手引きからは読み取れませんでした。また、期限が2026年末と近いため、これから総会を開いて決議する管理組合には、スケジュールが厳しいのが実情です。まずは各住戸の窓について、区分所有者の方への情報提供から始めるのが現実的でしょう。町の制度との併用ができるかも、町の窓口で確認してください。
真鶴町のその他の制度:耐震診断・生け垣・空き家バンク
木造住宅耐震診断補助事業
町の補助制度のお知らせ(2017年3月10日更新)に掲載されている木造住宅耐震診断補助事業は、1981年以前に着工した木造の戸建て等(2階建て以下)が対象です。診断費の3分の2以内・上限2万円で、鉄筋コンクリート造のマンションは対象外です。旧耐震基準(1981年5月以前に建築確認)のマンションの管理組合は、後述する県のアドバイザーに、耐震性の考え方を相談してみてください。
生け垣設置に関する補助事業
同じページには、新たに生け垣を設置する場合の補助も掲載されています。町内の住宅用地や事業用地の所有者・管理者が対象で、1mあたり5,000円(上限10万円)、コンクリート塀や石塀を撤去して設置する場合は1mあたり1万円です。マンションの敷地や共用部の生け垣が対象になるかは、町のページからは読み取れません。ページの更新日が2017年のため、現在の制度内容も含めて、都市計画課に確認が必要です。
空き家バンク
空き家バンク情報(2026年7月22日更新)は、町が2024年4月から直営で運営している物件情報の制度で、補助金の記載はありません。町が案内しているのは、さがみ信用金庫の「空き家対策専用住宅ローン」(空き家バンク登録物件の購入・リフォームに利用でき、当初3年間は固定金利0%)です。マンションの共用部には関係しない制度ですが、住戸の売買を考える区分所有者の方には参考になります。
ブロック塀・太陽光などの補助
町のサイトでは、ブロック塀の撤去補助や、住宅用の太陽光・蓄電池への補助は、今回の確認では見つかりませんでした。見落としの可能性もありますので、必要な場合は都市計画課などに問い合わせてください。
本命の制度:神奈川県のマンションアドバイザー派遣-真鶴町の管理組合は無料で使えます
町の補助が共用部の工事費に使えない以上、大規模修繕を前に管理組合が最初に使いたいのがこの制度です。神奈川県のマンションアドバイザー派遣事業(2026年6月26日更新)によると、内容は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 県内の分譲マンションの管理組合、または管理組合等の承認を得た委員会(大規模修繕工事委員会など)。横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市は対象外のため、真鶴町は対象 |
| 費用 | 無料 |
| 回数・時間 | 年度内2回まで。1回につきアドバイザー1〜2名、3時間以内。夜間・休日にも対応 |
| 申込期間 | 令和8年6月26日〜令和9年2月26日(申込者が多い場合は早期に終了。2回目の申請を受けられないことがある) |
| 事務局・事前相談 | NPO法人 かながわマンション管理組合ネットワーク(045-620-6300、受付10時〜16時、土日祝休み) |
| 県の問い合わせ先 | 県土整備局建築住宅部住宅計画課 民間住宅グループ |
アドバイザーは中立の立場で考え方を整理してくれる人です。工事の見積りや工法の比較は、施工会社から複数取り寄せ、アドバイザーの助言を判断の物差しにする、という使い方がよいでしょう。
マンション管理計画認定制度-真鶴町は「神奈川県」が認定します
マンション管理計画認定制度は、管理組合の管理計画が一定の基準を満たしていることを、自治体が認定する制度です。神奈川県のマンション管理計画認定 申請の手引き(令和4年4月版、PDF)によると、真鶴町を含む県内14町村(葉山町、寒川町、大磯町、二宮町、中井町、大井町、松田町、山北町、開成町、箱根町、真鶴町、湯河原町、愛川町、清川村)では、神奈川県が認定を行います。
主な認定基準は次のとおりです。
- 管理者等と監事を定め、集会(総会)が年1回以上開かれていること
- 管理費と修繕積立金を区分して経理し、修繕積立金を他の会計に充てていないこと
- 修繕積立金の3か月以上の滞納額が全体の1割以内であること
- 長期修繕計画が県の標準様式に準拠し、7年以内に作成・見直しされ、計画期間30年以上・大規模修繕工事を2回以上含むこと
- 将来の一時金の徴収を予定しておらず、計画の最終年度に借入金の残高がないこと
- 組合員名簿と居住者名簿を作成し、年1回以上更新していること
県独自の基準はなく、認定は5年ごとの更新が必要です。窓口は県土整備局建築住宅部住宅計画課 民間住宅グループ(045-210-6557)で、申請前の事前相談が勧められています。オンライン申請と事前確認ができる、マンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」(03-6261-1274)もあります。手引きは令和4年4月版のため、最新の様式や手数料は県に確認してください。
マンション長寿命化促進税制-認定の取得から逆算を
国のマンション長寿命化促進税制は、一定の要件を満たしたマンションが長寿命化工事を行った場合に、各住戸の翌年度の固定資産税を減額する制度です。国土交通省のページには「管理計画認定マンション」などの区分が示されており、詳しい要件は告示と制度概要の資料に記載されています。
自治体が公開している解説(船橋市の案内、2026年4月1日更新)によると、主な内容は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象マンション | 完成から20年以上・10戸以上 |
| 対象工事 | 2023年4月1日から2027年3月31日までに完了した長寿命化工事(外壁塗装等・床防水・屋根防水の3つを含む。過去に長寿命化工事を行ったことも必要) |
| 修繕積立金の要件 | 管理計画の認定を受け、認定基準に達する水準まで積立金を引き上げた場合、または助言・指導を受けて長期修繕計画を適切に見直した場合 |
| 減額内容 | 翌年度の建物部分の固定資産税を3分の1減額(1戸あたり100㎡まで)。都市計画税は減額されない |
| 申告 | 工事完了から3か月以内に、固定資産税の担当課へ申告 |
| 制限 | 耐震・バリアフリー・省エネ改修の減額と同一年度に併用できない。同一の建物で1回限り |
これは全国共通の国の制度ですが、細かい運用は自治体で違いが出ることがあります。工事の完了時期から逆算して、認定の取得を先に済ませておくことが大切です。真鶴町の申告窓口や必要書類は、町の税務担当に確認してください。
真鶴町のマンションの大規模修繕-足場か、ロープアクセスか、公平に比べます
町の補助が共用部に使えない以上、工事費そのものを適正に抑えることが、修繕積立金を守る最大の手段になります。
費用の目安
金額は物件によって大きく変わるため、あくまで参考値です。私たちが見積りの入口でお伝えしている目安は次のとおりです。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 30戸規模マンションの大規模修繕 総工費 | 約3,500万〜5,000万円 |
| うち仮設足場の割合 | 総工費の約15〜25% |
| 外壁塗装 | 1㎡あたり約3,500〜4,500円 |
| 外壁の打診調査 | 1㎡あたり約250〜500円 |
| 防水工事 | 1㎡あたり約5,000〜8,000円 |
10階建て・外周80m・工期3か月の建物を例にとると、足場の費用が約168万円かかるところ、ロープアクセスでは約59万円、差額は約109万円という試算になります。実際の見積りは、建物の形状・劣化状況・工事範囲によって変わります。料金の考え方は大規模修繕の料金の考え方(明誠)でもご紹介しています。
3つの工法を、公平に比べる
明誠は、次の3つの工法から建物に合う方法を提案しています。
| 工法 | 向いている建物・工事 | 強み | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 通常の足場仮設工法 | 外壁の全面補修、塗装・防水・タイル・サッシ交換を一括で行う大規模修繕 | 作業の安全性と品質を確保しやすく、全面的な工事に適する | 設置・解体の費用と工期がかかる。足場期間中は防犯・採光・ベランダ使用に配慮が必要 |
| ロープアクセス工法(無足場工法) | 外壁の部分補修、シーリングの打替え、調査・点検、部分塗装 | 足場が不要なため、工期と費用を抑えやすい。居住者の生活への影響が少ない | 作業内容によっては向かない。専門技能を持つ職人が必要 |
| ハイブリッド工法 | 面ごと・部位ごとに足場とロープを使い分けたい建物 | 部位ごとに最適な方法を選べ、総額を最適化しやすい | 計画と工程管理に専門性が必要 |
ロープアクセス工法では、作業者がメインロープとバックアップロープの2本に接続し、屋上などに2点以上の吊元(ロープを固定する支点)を確保して作業します。明誠の工法の詳細は明誠のロープアクセス工法の技術と実績で、業界全体の安全基準や施工例は姉妹サイトのロープアクセスドットコム(無足場工法の専門メディア)で詳しく紹介しています。安全管理の考え方は明誠の高所作業の安全管理にまとめています。
ここは正直に申し上げます。 私たちは3つの工法をすべて扱うので、足場が最適なら足場を、ロープが向くならロープを提案します。どれか1つに誘導するための記事ではありません。
斜面地・海沿いの建物で、ロープアクセスが役立つ場面
真鶴町のように坂や斜面の多い地形では、資材の搬入経路が狭い、足場を組むための敷地に余裕がないといった事情が出る建物があります。こうした場合、足場の設置に手間と費用がかかりやすく、工法の比較が一段と重要になります。
また、海に近いマンションでは、海側の面だけ鉄部のさびやシーリングの劣化が早いことがよくあります。全面改修の周期を待たずに、劣化の進んだ面だけを部分補修したい場合、足場を組まないロープアクセスなら、仮設費を抑えて早めに手当てできます。
早めの部分補修には、もう1つの効果があります。小さな劣化のうちに止水しておくと、次の大規模修繕で下地補修の数量が膨らむのを防げるのです。補助金が少ない町では、この「劣化を育てない」発想が、長い目で見た修繕積立金の節約につながります。
景観計画と工法選びはセットで考える
色彩基準への適合は、工法ではなく塗料と色の選び方の問題です。ただし、届出に時間がかかると、足場の設置期間(リース費用)が延びて、総額に響きます。届出や協議の時期が工事の工程に影響する場合は、着工前に済ませておくか、足場を組まない部分補修と全面塗り替えを分けて計画することも選択肢になります。
明誠について、数字でお伝えします
株式会社明誠は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・大手ホテルチェーンの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業について、明誠と全国のフランチャイズ加盟企業では、過去16年間、墜落による労働災害ゼロを維持しています。IRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けた作業員が施工し、ISO9001の品質マネジメントシステムを運用しています。また、日本初のロープアクセス工事のフランチャイズ本部として、塗装・防水・タイル・電気・看板の各分野の専門職と連携しています。
真鶴町のマンションで、理事会が確認したいこと
- 長期修繕計画が7年以内に見直されているか、計画期間が30年以上あるか
- 修繕積立金の3か月以上の滞納がどの程度あるか
- 外壁の塗り替え面積が、総面積の3分の1以上になるか(景観計画の届出の目安)
- 現在の外壁の色が、町の色彩基準に合っているか
- 海側と山側の面で、鉄部・シーリング・外壁の劣化に差があるか
- 窓・サッシの改修を、2026年内の国・町の制度に間に合わせられるか
- 県のマンションアドバイザー派遣を、今年度すでに使ったか(年度内最大2回)
- 長寿命化促進税制の期限(2027年3月31日完了)に工事が間に合うか
現場で見てきたこと
補助金の少ない町の管理組合さまから、「うちは何も使える制度がないから、積立金を上げるしかない」という声をよく伺います。けれども実際に建物を見ると、全面足場が必要な工事と、部分補修で済む工事が混ざっていることが少なくありません。私は、建物診断の段階で面ごとの劣化を記録し、「今やるべき工事」と「次回に回せる工事」を分けた資料を理事会にお出しするようにしています。この仕分けだけで、総額が大きく変わることがあります。
景観に配慮が求められる地域では、さらに「色と届出」の確認が加わります。私は、見積りの段階で、色の選定と届出の要否を工程表に書き込むようにしています。後から手続きが見つかって工事が止まる、という事態を避けるためです。
管理組合向けのサービス内容はマンション管理組合さま向けの大規模修繕サービスにまとめています。明誠のこれまでの施工の様子は、明誠の施工事例からご覧いただけます。
制度を使うときの共通の落とし穴
失敗しやすい3つのパターン
- 着工してから申請しようとする:町の窓リノベ促進事業は着工前の申請が条件で、国の事業も工事請負契約と着手の順序が決められています
- 年末・年度末の期限を見落とす:町の窓リノベは2026年12月25日、国の窓リノベは交付申請が遅くとも2026年12月31日、県のアドバイザー派遣は2027年2月26日、長寿命化促進税制は2027年3月31日までの工事完了が条件です
- 景観計画の届出を確認しない:色や外観を大きく変える修繕では、届出が必要になる場合があります。工事の契約前に町へ相談しておくと安心です
理事会で使える質問リスト
町や県の窓口へ問い合わせるとき、次の質問をそのまま使えます。
- 管理組合として共用部の窓を改修する場合、町の先進的窓リノベ促進事業は対象になりますか(都市計画課 0465-68-1131)
- 外壁全面の塗り替えは、景観計画の届出の対象になりますか。届出は着工の何日前までに必要ですか
- 現在の外壁の色は、色彩基準の範囲内ですか。同じ色で塗り替える場合も届出は必要ですか
- マンションの敷地内の生け垣の設置は、町の補助の対象になりますか
- 町内のマンションの管理計画認定は、どこへ相談すればよいですか(神奈川県 住宅計画課)
- 県のマンションアドバイザー派遣は、現在受け付けていますか(かながわマンション管理組合ネットワーク)
- 長寿命化促進税制の申告書類は、町のどの窓口に出せばよいですか
真鶴町のマンションが大規模修繕に向けて動く5つのステップ
- 長期修繕計画と修繕積立金の残高を確認する:工事の時期と予算の上限を把握します。計画が古ければ、見直しから始めます
- 県のマンションアドバイザーに相談する:無料で、長期修繕計画や修繕積立金、管理計画認定の考え方を中立の立場から整理できます
- 建物診断(劣化調査)を面ごとに行う:海側・山側の劣化の差を記録し、「今やる工事」と「次回に回せる工事」を分けます。ロープアクセスでの外壁調査の方法も選択肢の一つです
- 景観計画の届出と色彩基準を、町の都市計画課に事前相談する:塗り替え面積、色、届出の時期を、工事の工程表に組み込みます
- 工法を比べて見積りを取り、総会で決議する:足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3つで比べ、仮設費を分けて記載してもらいます。管理計画認定の取得時期と長寿命化促進税制の期限も、工程表と1枚にまとめます
賃貸マンション・ビルのオーナーの方へ
真鶴町の窓リノベ促進事業は「既存住宅を所有し、居住している方」が対象のため、賃貸物件のオーナーさまが自分では居住していない場合に使えるかは、町に確認が必要です。一方、国の窓リノベ事業では、賃貸住宅のオーナーも補助対象者に含まれます。賃貸物件の修繕では、空室期間を短くし、入居者の生活への影響を抑えることが収益に直結します。足場を組まないロープアクセスは、こうした点でもメリットがあります。ビルオーナーさま向けのサービスはビルオーナーさま向け大規模修繕サービスをご覧ください。
隣接する自治体の事情は、湯河原町のマンション補助金や箱根町のマンション補助金の記事でも整理しています。
よくあるご質問
Q. 真鶴町で、マンションの大規模修繕工事費に使える補助金はありますか?
A. 2026年10月時点の真鶴町公式ページで確認した範囲では、共用部分の外壁塗装や屋上防水などの工事費を管理組合に補助する制度は見つかりませんでした。県の無料アドバイザー派遣や、管理計画認定と長寿命化促進税制の組み合わせ、窓の断熱改修の補助が現実的な手立てです。
Q. 真鶴町の窓リノベ促進事業は、マンションでも使えますか?
A. 町のページには共同住宅の扱いの記載がありません。対象者は「町内の既存住宅を所有し居住している方」で、補助額は窓1か所あたり3万円・5万円・8万円の定額、同一住宅の上限は30万円です。着工前の申請が条件のため、契約の前に都市計画課(0465-68-1131)へ確認してください。
Q. マンションの外壁を塗り替えるとき、町への届出は必要ですか?
A. 町の景観計画に係る届出では、外観の変更となる修繕・模様替・色彩の変更で、面積が総面積の3分の1以上のものが対象として示されています。マンションの外壁全面の塗り替えは該当する可能性があります。届出の要否と時期は、都市計画課に事前に確認してください。
Q. 真鶴町のマンションでも、県のマンションアドバイザー派遣は使えますか?
A. 使えます。横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市を除く県内の分譲マンションの管理組合が対象で、派遣料は無料、年度内2回までです。令和8年度の申込期間は2027年2月26日までです。
Q. 真鶴町のマンションの管理計画認定は、どこに申請しますか?
A. 真鶴町を含む県内の町村部では、神奈川県が認定を行います。窓口は県土整備局建築住宅部住宅計画課 民間住宅グループです。マンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」で事前確認を受けてから申請する方法もあります。
Q. 足場を組まない大規模修繕は、本当に可能ですか?
A. 外壁の部分補修、シーリングの打替え、調査・点検、部分塗装などでは、ロープアクセス工法で足場を組まずに施工できます。外壁全面の改修やサッシのカバー工法では足場が向く場合もあり、明誠では3つの工法から建物に合う方法をご提案しています。
Q. 相談や見積りに費用はかかりますか?
A. 明誠では、建物の状況確認と概算のお見積りを無料で承っています。補助金・税制・景観計画の情報整理だけのご相談でもかまいません。大規模修繕の無料相談・お問い合わせからお声がけください。
この記事のポイントまとめ
- 真鶴町の2026年10月時点の公式ページで、共用部の外壁・防水などの大規模修繕工事費に使える町の補助は確認できず。耐震診断補助は木造の戸建て等、空き家バンクは補助ではなく物件情報の制度
- 町の窓リノベ促進事業は窓1か所3万・5万・8万円の定額、上限30万円、先着順で2026年12月25日まで。共同住宅の扱いは町のページに記載がなく、着工前に町へ確認が必要
- 国の先進的窓リノベ2026事業は、管理組合も補助対象者に含まれる。交付申請は遅くとも2026年12月31日まで
- 真鶴町は「美の基準」と景観計画があり、外観の変更となる修繕・色彩の変更で総面積の3分の1以上の場合などは届出の対象になり得る。色彩基準は原色を避けた落ち着いた暖かい色
- 県のマンションアドバイザー派遣は真鶴町で使える。無料・年度内2回・2027年2月26日まで。管理計画認定は県、長寿命化促進税制は2027年3月31日完了が期限
出典・参考資料
- 真鶴町「真鶴町先進的窓リノベ促進事業」(2026年10月1日更新)
- 真鶴町「美の町真鶴~真鶴町まちづくり条例「美の基準」~」(2026年4月1日更新)
- 真鶴町「景観法の届出について」(2017年3月10日更新)
- 真鶴町「真鶴町景観計画に係る届出(PDF)」
- 真鶴町「色彩基準(PDF)」
- 真鶴町「補助制度のお知らせ」(2017年3月10日更新)
- 真鶴町「空き家バンク情報」(2026年7月22日更新)
- 環境省ほか「先進的窓リノベ2026事業 交付申請の手引き(PDF)」(2026年7月31日版)
- 神奈川県「マンションアドバイザー派遣事業」(2026年6月26日更新)
- 神奈川県「マンション管理計画認定 申請の手引き(PDF)」(令和4年4月版)
- 国土交通省「マンション長寿命化促進税制(固定資産税の特例措置)」
- 船橋市「マンション長寿命化促進税制の案内」(2026年4月1日更新)
本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月11日時点で公表されている真鶴町、神奈川県、国の公式情報をもとに執筆しています。真鶴町の景観法の届出・補助制度のページには、2017年3月の更新日のものがあり、現在の運用と異なる可能性があります。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます(補助は予算額に達すると終了する場合があります)。実際に申請や届出をされる前に、真鶴町および神奈川県の該当窓口へ最新の内容をご確認ください。本記事は法的・税務上の助言ではありません。
真鶴町は、大規模修繕の工事費に直接使える補助金が多い町ではありません。その一方で、景観計画の届出や色彩基準という、この町ならではの確認事項があります。県の無料アドバイザーと管理計画認定、劣化に合わせた工事範囲の仕分け、そして工法の比較によって、修繕積立金を守る手立てはあります。総会資料の準備や工事範囲の整理だけでも、お力になれることがあります。ご相談だけでも遠慮なくお問い合わせフォームからお声がけください。
▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア
この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・大手ホテルチェーンの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
最終更新:2026年10月11日
関連記事(姉妹サイト)
ロープアクセス工法の詳細や実例については、姉妹サイト「ロープアクセスドットコム」の以下の記事もぜひご覧ください。
本間社長の著書のご案内
『大規模修繕工事 職人だから言える本当の話 —— 見積書では見えない業界の裏側と、修繕積立金を守る発注術』(Kindle版)を出版しています。20年以上の現場経験から、管理組合・オーナーが修繕積立金を守るための発注術と、業界の内幕を書き下ろしました。

