本間社長ブログ
御殿場市の賃貸オーナー向け補助金2026|給湯器は11/16予約期限、旧耐震RCの診断補助2/3、固定資産税とブロック塀・工法選び
目次
- 御殿場市の賃貸オーナーが使える制度 早見表(令和8年度)
- 【予約は11月16日まで】賃貸集合給湯省エネ2026を御殿場市の物件で使う
- 旧耐震のRC・S造賃貸物件|御殿場市の非木造耐震診断は基準額の2/3を補助
- 道路沿いのブロック塀は所有者の責任|御殿場市の撤去・建替え補助
- 感震ブレーカー補助は「入居者が申請・オーナーが承諾」|御殿場市の賃貸住宅での使い方
- 固定資産税の減額|賃貸オーナーが狙えるのは耐震改修だけ
- 御殿場市の賃貸市場で、修繕がNOIと物件価値に効く仕組み
- 修繕の税務|経費にできる工事と減価償却する工事
- 富士山麓の気候に合わせた修繕仕様と工法選び
- 出口から逆算する|御殿場市の収益物件を「売れる状態」に保つ
- 令和8年度の残り5か月でやること(御殿場市の賃貸オーナー向け)
- よくあるご質問
- この記事のポイント
- 主なお問い合わせ先(御殿場市)
- 出典・参考資料

-
著作者プロフィール
株式会社明誠 代表取締役
本間 幸紘
大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。
御殿場市で賃貸マンション・アパート、社宅や寮として貸している建物、テナントビルを所有するオーナーさまに向けて、令和8年度に御殿場市と国の制度のうち、賃貸物件で実際に使えるもの・使えないものを公式ページをもとに整理しました。御殿場市は富士山の東麓に広がる高原の市で、東名・新東名のインター、御殿場プレミアム・アウトレットなどの観光・商業施設、自衛隊関連の拠点を抱え、単身者や転勤世帯の賃貸需要が厚い市場です。
株式会社明誠の本間です。マンション・ビル・ホテルの大規模修繕に20年以上携わってきました。本記事では補助金の額面だけでなく、入居率・NOI(実質賃料収入)・固定資産税・売却時の評価にどう効くかまで、オーナーの投資判断の材料としてまとめます。結論を先に書くと、御殿場市の賃貸オーナーが令和8年度の残り期間で優先すべきは次の3つです。
- 国の賃貸集合給湯省エネ2026:交付申請の予約期限は2026年11月16日。11月4日時点で予算の約70%が埋まっています。
- 旧耐震の非木造(RC・S造)賃貸の耐震診断補助:御殿場市の「TOUKAI-0」事業は、延べ床面積に応じた基準額の2/3を補助。1,000㎡級の物件でも数百万円規模になり得ます。
- 道路沿いのブロック塀の撤去・建替え補助:所有者が申請する制度で、最大26.6万円(撤去)/43.2万円(建替え)。
一方で、感震ブレーカー補助は賃貸住宅だと「入居者が申請し、オーナーは承諾する」側、省エネ・バリアフリー改修の固定資産税減額は賃貸住宅が対象外と、市のページに明記されています。ここを取り違えると計画が空振りになるため、順に見ていきます。
御殿場市の賃貸オーナーが使える制度 早見表(令和8年度)
2026年11月6日時点で御殿場市・資源エネルギー庁・国土交通省の公式ページに掲載されている内容をもとに、オーナー目線で整理しました。
| 制度 | 補助・減額の内容 | オーナーが申請できるか | 期限・注意 |
|---|---|---|---|
| 国:賃貸集合給湯省エネ2026 | エコジョーズ等1台5万円/7万円+加算3万円 | ◎ オーナーが登録事業者に発注し、事業者が申請 | 予約は11月16日まで(予算到達で前倒し終了) |
| 市:建築物の耐震診断費補助(TOUKAI-0) | (診断費と基準額の少ない方)×2/3 | ◎ 昭和56年5月31日以前の非木造住宅・住宅以外の建築物 | 着手前申請・予算到達で終了 |
| 市:木造住宅の無料耐震診断 | 静岡県耐震診断補強相談士を無料派遣 | ◎ 共同住宅も対象。所有者または居住者 | 空き家は対象外 |
| 市:木造住宅の耐震補強費補助 | 補強工事費×8/10(上限115万円) | △ 共同住宅も対象だが、申請者は市内に住所を有する所有者・居住者 | 補強計画と工事を同一年度内に完了 |
| 市:ブロック塀等の除却費補助 | (工事費と1m×2万円の少ない方)×2/3、上限26.6万円 | ◎ 塀の所有者 | 避難路・通学路等に面し高さ60cm超 |
| 市:ブロック塀等の建替え費補助 | (工事費と1m×5.84万円の少ない方)×2/3、上限43.2万円 | ◎ 塀の所有者 | 組積造以外の塀・柵へ転換 |
| 市:感震ブレーカー設置補助 | 既存住宅 2/3(上限5万円) | △ 賃貸住宅は居住者が申請、家主の承諾が必要 | 受付は毎年4月1日〜2月末、着工前申請 |
| 市:固定資産税の耐震改修減額 | 翌年度分、1戸120㎡分まで税額1/2 | ○ 住宅であれば賃貸も要件確認の余地あり | 市ページの記載は「令和8年3月31日までの工事」。以降は課税課へ確認 |
| 市:省エネ・バリアフリー改修の固定資産税減額 | 翌年度分、税額1/3 | × 市ページに「賃貸住宅は対象となりません」と明記 | — |
表の金額は各制度の公式ページの記載です。市の地震対策補助はいずれも「事業に着手する前に申請」「予算額に到達次第受付終了」「申請前に建築住宅課へ相談」が共通ルールで、令和8年4月1日に交付要綱が一部改正されています(御殿場市 建築物等の地震対策補助制度概要)。
【予約は11月16日まで】賃貸集合給湯省エネ2026を御殿場市の物件で使う
補助額は1台5万円〜10万円、申請は登録事業者が行う
賃貸集合給湯省エネ2026事業は、既存の賃貸集合住宅で従来型の給湯器を省エネ型(エコジョーズ・エコフィール)に交換する工事を補助する国の制度です。補助対象はオーナー等ですが、申請手続きと補助金の受け取り・オーナーへの還元は、事前登録した「賃貸集合給湯省エネ事業者」(施工業者またはリース事業者)が行います。オーナーが直接申請することはできず、登録のない事業者との契約は対象外です。
| 区分 | 補助額(1台あたり) |
|---|---|
| 追い焚き機能なし(基本額) | 5万円 |
| 追い焚き機能あり(基本額) | 7万円 |
| 加算(追い焚きなし) | 共用廊下を横断するドレン排水ガイドの敷設で+3万円 |
| 加算(追い焚きあり) | 三方弁工事・三本管工事で浴室へドレン排水する場合+3万円 |
出典:賃貸集合給湯省エネ2026事業「加算について」。補助は1住戸1台までです。
期限は国土交通省の報道発表で、申請予約が2026年11月16日、交付申請が12月31日とされ、申請額(予約を含む)が予算上限に達した時点で締め切られます(国土交通省 住宅省エネ2026キャンペーン報道発表)。公式サイトでは2026年11月4日午前0時時点で予算に対する申請額の割合が約70%と表示されていました。残り10日ほどで、予算の3割を全国のオーナーで取り合う状況です。
御殿場駅周辺の単身向け24戸で試算すると
御殿場駅や南御殿場駅の周辺で、単身向け24戸・追い焚きなしの物件を想定します。全戸で給湯器を交換し、共用廊下を横断するドレン排水ガイドも敷設できれば、1台あたり5万円+3万円=8万円、24台で192万円の補助です。交換費を1台20〜30万円とすると工事総額は480〜720万円、補助後の実質負担は288〜528万円程度になります(機種・配管条件で変わる目安です)。
御殿場市は標高の高い高原の街で、冬の朝は氷点下まで冷え込みます。給湯器は凍結や経年劣化による故障が冬に集中しやすく、壊れた日から入居者は入浴できません。壊れてから1台ずつ交換するより、補助を使って計画的に一斉交換するほうが、退去リスクと修繕費の平準化の両面で有利です。なお、エコジョーズのドレン排水は自治体によって取扱いが異なるため、資源エネルギー庁が公開している「ドレン排水の取扱い 地方公共団体等一覧」で御殿場市の扱いを施工業者と確認しておきましょう。
今週中にやること
- 取引のある設備業者・管理会社が登録事業者かどうかを、公式サイトの事業者検索で確認する
- 交換台数・追い焚きの有無・ドレン排水ルートを現地で確認し、予約申請を11月16日より前に出してもらう
- 交換前・交換後の写真の撮影ルールを業者と共有する(写真がないと申請できません)
旧耐震のRC・S造賃貸物件|御殿場市の非木造耐震診断は基準額の2/3を補助
「TOUKAI-0」の非木造診断は、面積が大きいほど基準額も大きい
御殿場市の「建築物の耐震診断費補助制度」は、昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された建築物(木造の専用住宅を除く)の耐震診断費を補助します。非木造の賃貸マンションや、住宅以外のテナントビル・店舗・事務所も対象です。申請者は耐震診断を実施する者で、所有者以外が申請する場合は所有者の承諾書が必要です。
補助額は、1棟ごとに「診断に要する経費」と「補助基準額」の少ない方に2/3を掛けた額(千円未満切り捨て)です。一戸建て以外の建物の基準額は、延べ床面積の区分ごとに次の単価を合算します。
| 延べ床面積の区分 | 基準額(1㎡あたり) |
|---|---|
| 1,000㎡以内の部分 | 3,670円 |
| 1,000㎡超〜2,000㎡以内の部分 | 1,570円 |
| 2,000㎡を超える部分 | 1,050円 |
延べ1,200㎡のRC賃貸マンションで試算
昭和50年代前半に建った延べ1,200㎡・4階建てのRC造賃貸マンションを想定します。基準額は、1,000㎡×3,670円=367万円と200㎡×1,570円=31.4万円の合計398.4万円です。
- 診断費が360万円の場合:少ない方は360万円 → ×2/3=補助240万円、自己負担120万円
- 診断費が450万円の場合:少ない方は基準額398.4万円 → ×2/3=補助265.6万円、自己負担184.4万円
診断費は図面の有無やコンクリート強度試験の本数で大きく変わるため、上記はあくまで試算です。また、階数3以上かつ床面積1,000㎡以上の建物は、日本建築防災協会のネットワークに登録された耐震判定委員会の評定を受ける必要があると市のページに記載されています。評定の期間と費用も見積りに含めてもらいましょう。
診断結果は「売れるかどうか」に直結する
旧耐震のRC物件は、買主の金融機関が融資を渋る、あるいは評価額を大きく下げる理由になりがちです。耐震診断の結果は、「補強すればいくらで新耐震相当になるか」を数字で示す材料になり、売却時の価格交渉で「わからないリスク」を「見積り可能なコスト」に変えます。診断して耐震性が足りないとわかっても、すぐに補強工事をする義務が生じるわけではありません。出口の時期から逆算して、補強・建替え・現況売却のどれが手残りを最大にするかを比べる、そのための投資と捉えるのが合理的です。
木造アパートは「無料診断」→「最大115万円の補強補助」
旧耐震の木造アパートなら、市の「木造住宅の無料耐震診断」が使えます。在来軸組工法の戸建て・長屋・共同住宅が対象で、所有者または居住者が申し込めます(空き家は対象外)。
診断で耐震評点1.0未満とされた場合は、「木造住宅の耐震補強費補助制度」で、補強工事費の8/10(上限115万円)が補助されます。たとえば補強工事費180万円なら、8/10は144万円ですが上限が適用されて補助115万円・自己負担65万円です。ただし、申請者は「住宅の所有者・居住者(市内に住所を有する者に限ります)」とされているため、市外にお住まいのオーナーは、申請の方法を建築住宅課に事前確認してください。補強計画と補強工事を同じ年度内に終える必要もあるため、11月の今からだと令和8年度内の完了は工程的に厳しく、令和9年度の早い時期の申請を前提に、冬のうちに診断と業者選定を済ませるのが現実的です。
道路沿いのブロック塀は所有者の責任|御殿場市の撤去・建替え補助
賃貸物件の敷地を囲うブロック塀が地震で倒れ、通行人にけがをさせれば、責任を問われるのは塀の所有者であるオーナーです。御殿場市は、緊急避難路・避難路・通学路(私道を除く)・避難地に面し、道路の地盤面からの高さが60cmを超えるブロック塀等について、撤去と建替えの両方を補助しています(いずれも令和8年度の受付を開始済み)。
| 事業 | 基準額 | 補助率 | 限度額 |
|---|---|---|---|
| 除却(撤去) | 塀の長さ1mにつき20,000円 | 2/3以内 | 266,000円 |
| 建替え(フェンス等へ転換) | 塀の長さ1mにつき58,400円 | 2/3以内 | 432,000円 |
対象の塀は全て撤去することが条件で、門扉・門柱は対象外、補助対象かどうかは市職員が現地調査で判定します。長さ15mの塀をフェンスに建て替え、工事費が70万円だった場合、基準額は87.6万円なので少ない方の70万円×2/3=46.6万円となり、限度額が適用されて補助43.2万円です。アパートの駐車場まわりや、通学路に面した古い店舗付き住宅で該当するケースが少なくありません。外壁改修の足場や工事車両の段取りと合わせて行えば、仮設費や近隣対応を一度で済ませられます。
感震ブレーカー補助は「入居者が申請・オーナーが承諾」|御殿場市の賃貸住宅での使い方
御殿場市は令和7年度から「感震ブレーカー設置事業費補助金」を設けています。既存住宅の一般世帯なら購入・設置費の2/3(上限5万円)、要介護3〜5の方や障害者手帳をお持ちの方がいる特例世帯は10/10(上限10万円)です。対象機器は感震機能付きの住宅用分電盤で、電気工事業者による設置が必要です(簡易タイプ・コンセントタイプは対象外)。
オーナーにとって大事なのは、市のページに「賃貸住宅の場合、申請者は申請住宅の居住者に限ります。合わせて、家主の承諾が必要」と書かれている点です。つまり、賃貸住宅ではオーナーが自分で一括申請する制度ではありません。近隣の裾野市の制度とは申請者の範囲が異なるため、市をまたいで物件をお持ちの方は注意してください。
それでもオーナーにできることはあります。分電盤の交換は建物設備の更新でもあるため、入居者から申請の相談があったときに承諾書をすぐ出せるよう、管理会社と手順を決めておくこと、そして大規模修繕や電気設備更新のタイミングで「この制度が使えます」と入居者に案内することです。通電火災のリスクが下がることは、建物そのものを守ることにつながります。受付は毎年4月1日〜2月末、工事着工前の申請が必須で、1住戸1回限りです。
固定資産税の減額|賃貸オーナーが狙えるのは耐震改修だけ
御殿場市の「家屋に対する課税」のページには、住宅の改修に伴う3つの固定資産税減額が掲載されています。
| 減額の種類 | 内容 | 賃貸住宅 |
|---|---|---|
| 耐震改修 | 翌年度分、1戸120㎡分まで税額1/2(工事費50万円超、昭和57年1月1日以前からある住宅) | 要件確認の余地あり(賃貸除外の記載なし) |
| バリアフリー改修 | 翌年度分、1戸100㎡分まで税額1/3 | 対象外と明記 |
| 省エネ改修 | 翌年度分、1戸120㎡分まで税額1/3 | 対象外と明記 |
ここで注意したいのは、市のページの記載がいずれも「令和8年3月31日までに行われた改修工事」となっている点です。令和8年4月以降に完了する工事の扱いは、このページだけでは確認できません。耐震改修による減額を見込んで工事時期を決める場合は、課税課(0550-82-4139)に適用期限と賃貸住戸の扱いを事前に確認し、確認した内容を記録しておくことをおすすめします。申告は工事完了日から3か月以内です。
「省エネ改修をすれば固定資産税も下がる」と考えて断熱や窓の工事内容を決めると、賃貸物件では空振りになります。省エネ投資の価値は、税ではなく光熱費の低い部屋として入居者に選ばれることで回収する、と整理しておくと判断がぶれません。
御殿場市の賃貸市場で、修繕がNOIと物件価値に効く仕組み
御殿場市の賃貸需要は、工場・物流・観光施設で働く単身者、自衛隊関連や企業の転勤者、首都圏から移り住む子育て世帯と、層が分かれています。どの層にも共通するのは、冬の寒さと結露、給湯・暖房設備の故障に敏感だという点です。外壁のひび割れから雨水が入り、壁内の断熱材が濡れれば、結露とカビの相談が増え、退去の理由になります。
入居率が1%動くと、キャッシュフローにはどれだけ差が出るでしょうか。月額賃料6万円・24戸の物件なら、満室時の年間賃料は1,728万円です。入居率が95%から90%に下がると、年間86.4万円の減収になります。退去のたびに発生する原状回復費と広告料を加えると、差はさらに広がります。築年数なりの劣化は、賃料の下落圧力として静かに効いてきます。
売却時には、買主はレントロール(入居状況)・修繕履歴・建物の安全性の根拠の3点を見ます。収益還元法では、年間NOIが50万円下がれば、キャップレート6%の場合で物件価格は約830万円下がる計算です。修繕は「費用」であると同時に、出口価格を守る「投資」でもあります。
修繕の税務|経費にできる工事と減価償却する工事
修繕費と資本的支出の区分
外壁塗装や防水工事で、建物の価値を維持・原状回復するための支出は修繕費として、その年の経費(損金)にできるのが原則です。一方、性能を高めたり耐用年数を延ばしたりする支出は資本的支出として資産に計上し、減価償却していきます。耐震補強工事や、より高性能な設備への更新は資本的支出になりやすい項目です。
判断に迷う場合の目安として、国税庁は1件20万円未満の支出や、おおむね3年以内の周期で行う修理は修繕費として扱えること、60万円未満または前期末取得価額の10%以下の支出も修繕費にできる特例があることを示しています(国税庁 資本的支出と修繕費の区分の特例)。見積書の段階で「どの工事を修繕費、どれを資本的支出にするか」を税理士と相談し、工種ごとに金額を分けた見積書を業者に依頼しておくと、申告がスムーズです。
補助金は収入として計上する
補助金は受け取った年の収入(法人は益金、個人は総収入金額など)として扱うのが原則で、受給時に課税対象になる点に注意が必要です。資産の取得に充てた補助金には圧縮記帳などの特例が使える場合がありますが、個人と法人で取扱いが異なります。補助金の入金時期と工事の完了時期がずれると、年をまたいで課税と経費計上が分かれることもあるため、資金計画とあわせて税理士に確認してください。
順番は「計画した工事に補助を当てる」
補助金があるから工事をするのではなく、長期修繕計画で必要になる工事に、使える補助を当てはめるのが正しい順番です。給湯器の一斉交換は「今年中」、耐震診断は「売却や大規模修繕の2〜3年前」、ブロック塀は「外壁工事と同時」と、物件ごとに時期を決めていきましょう。
富士山麓の気候に合わせた修繕仕様と工法選び
雨と凍結に予算を寄せる
御殿場市は海から離れた内陸の高原にあり、沿岸の市のような塩害対策は必ずしも主眼になりません。その代わり、雨が多く、冬は冷え込みが厳しい土地柄です。外壁のひび割れやシーリングの劣化部から入った水が凍って膨らむ「凍害」で、タイルの浮きや塗膜のはがれが進みやすくなります。御殿場の物件では、塗料のグレードよりも下地補修とシーリングの打ち替え、屋上・バルコニーの防水に予算を厚めに配分するのが、雨漏りと退去を防ぐ近道です。
費用の目安は、外壁塗装で1㎡あたり3,500〜4,500円、屋上防水で5,000〜8,000円程度、30戸規模の賃貸マンションの大規模修繕で総額3,500〜5,000万円程度がひとつのレンジです(劣化状況と仕様で大きく変わる参考値です)。明誠の料金の考え方は「大規模修繕の料金の考え方」にまとめています。
足場費は総工費の15〜25%。建物ごとに工法を選ぶ
大規模修繕の総工費のうち、仮設足場は15〜25%程度を占めるのが一般的です。たとえば10階建て・外周80m・工期3か月の建物で、足場が168万円かかるところをロープアクセス工法なら59万円程度に抑えられた試算例もあります(建物形状によって差は大きく変わります)。
明誠は、通常足場工法・ロープアクセス工法(無足場工法)・両者を部位ごとに使い分けるハイブリッド工法の3つから、建物ごとに最適な組み合わせを提案できる数少ない会社です。御殿場の強い風や冬季の作業日数も考えて、足場が向く面とロープアクセスが向く面を分けて見積もります。ロープアクセス工法は、作業員がメインロープとバックアップロープの2本に接続し、2点以上の吊元を確保して作業する方式で、IRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の訓練を受けた作業員が施工します。技術の詳細は姉妹サイト「ロープアクセスドットコム」で解説しています。明誠の工法そのものについては「明誠のロープアクセス工法の技術詳細」と「ロープアクセス工事の安全管理」もあわせてご覧ください。
入居中の工事で退去を出さない
足場を建物全体に組むと、数か月にわたって窓の前にメッシュシートが張られ、洗濯物も干せず、防犯面の不安も出ます。単身者の多い物件では、この期間に更新を見送られることがあります。ロープアクセス工法なら、作業中の面だけに人が下りるため、入居者の生活への影響と工期を小さく抑えやすいのが特長です。外壁の打診調査や部分補修だけを先に行いたい場合にも向いています。工法の比較や事例は、ロープアクセスドットコムの工法解説でも紹介しています。
株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけ、ロープアクセス工法での高所作業について、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業で過去16年間、墜落による労働災害ゼロを続けています。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部として、塗装・防水・タイル・電気・看板の専門職が加盟しています。
出口から逆算する|御殿場市の収益物件を「売れる状態」に保つ
売却を考え始めてから慌てて修繕すると、工事費をそのまま価格に上乗せすることはできず、手残りが減りがちです。出口の3〜5年前から、次の順で準備しておくと効果的です。
- 修繕履歴の整理:いつ、どこを、いくらで直したかを一覧にします。給湯器の一斉交換や防水工事の記録は、買主の安心材料になります。
- 旧耐震物件は診断を先に:市の補助で耐震診断をしておけば、補強費の見積りを示して価格交渉ができます。
- 外壁・防水の劣化を止める:雨漏りや外壁の浮きは、買主の指摘で大きな値引きにつながりやすい項目です。
- 敷地まわりの安全:危険なブロック塀は、補助を使って撤去・建替えしておけば、重要事項説明で問題になりません。
オーナー向けの考え方は「オーナー向けの修繕投資の考え方」と「ビルオーナー向けサービス」でも紹介しています。
令和8年度の残り5か月でやること(御殿場市の賃貸オーナー向け)
| 時期 | やること |
|---|---|
| 11月16日まで | 賃貸集合給湯省エネ2026の予約を登録事業者に依頼(予算到達で早期終了の可能性) |
| 11月〜12月 | 旧耐震のRC・S造は建築住宅課に相談し、耐震診断の見積りを取る。予算残があれば申請 |
| 12月31日まで | 給湯器交換工事の完了と交付申請(事業者が実施) |
| 1月〜2月末 | 感震ブレーカーの補助を入居者へ案内し、承諾手続きを整える(受付は2月末まで) |
| 2月〜3月 | 木造アパートの無料耐震診断を申し込み、令和9年度の補強補助の申請準備。外壁・防水の劣化調査と長期修繕計画の見直し |
| 令和9年4月以降 | 新年度の予算で、耐震補強・ブロック塀・大規模修繕の申請を早めに |
よくあるご質問
Q. 御殿場市に、賃貸アパートの外壁塗装や屋上防水そのものに使える補助金はありますか?
A. 2026年11月6日時点で、御殿場市の公式ページで賃貸物件の外壁塗装・防水工事そのものを対象とした補助は確認できませんでした。外壁工事と同時に、耐震診断・ブロック塀・給湯器交換など使える補助を組み合わせるのが現実的です。
Q. 旧耐震のRC造賃貸マンションの耐震診断に、御殿場市の補助は使えますか?
A. 使えます。昭和56年5月31日以前に建築された非木造の建築物が対象で、診断費と基準額(延べ床面積に応じて1㎡あたり3,670円・1,570円・1,050円で算出)の少ない方の2/3が補助されます。着手前の申請が必要で、予算に達すると受付終了です。
Q. 感震ブレーカーの補助は、オーナーがまとめて申請できますか?
A. 御殿場市の制度では、賃貸住宅の場合の申請者は居住者に限られ、家主の承諾が必要とされています。オーナーは承諾書の手続きを整え、入居者に制度を案内する役割になります。
Q. 賃貸集合給湯省エネ2026は、今からでも間に合いますか?
A. 申請予約の期限は2026年11月16日ですが、11月4日時点で予算の約70%が埋まっており、予算上限に達した時点で締め切られます。申請は登録事業者が行うため、すぐに業者へ相談してください。
Q. 賃貸物件で省エネ改修をした場合、固定資産税は下がりますか?
A. 御殿場市のページでは、省エネ改修とバリアフリー改修の減額は「賃貸住宅は対象となりません」と明記されています。耐震改修の減額(翌年度分・1戸120㎡分まで税額1/2)は賃貸除外の記載がありませんが、適用期限の記載が令和8年3月31日までとなっているため、課税課へ事前に確認してください。
Q. 補助金をもらうと税金はどうなりますか?
A. 補助金は原則として受け取った年の収入に計上し、課税対象になります。資産の取得に充てた場合は圧縮記帳などの特例が使えることがあるため、工事前に税理士へご相談ください。
Q. 御殿場市の物件でも明誠に相談できますか?
A. はい。静岡県東部は明誠の施工エリアです。1棟の現地調査と、補助を組み込んだ修繕計画・キャッシュフロー試算のご相談を承ります。大規模修繕のご相談・お問い合わせからご連絡ください。
この記事のポイント
- 賃貸集合給湯省エネ2026は予約期限11月16日、11月4日時点で予算の約70%。登録事業者への依頼を今週中に。
- 旧耐震の非木造は、延べ床面積に応じた基準額の2/3を補助。1,200㎡なら最大265.6万円の試算。
- 木造アパートは無料診断→補強費の8/10(上限115万円)。申請者の住所要件に注意。
- ブロック塀は撤去最大26.6万円、建替え最大43.2万円。外壁工事と同時に。
- 感震ブレーカーは賃貸では入居者が申請。省エネ・バリアフリーの固定資産税減額は賃貸対象外。
同じ御殿場市の管理組合向けには「御殿場市のマンション補助金と大規模修繕(管理組合向け)」を、近隣のオーナー向けには「裾野市の賃貸オーナー向け補助金2026」「三島市の賃貸オーナー向け補助金2026」を公開しています。明誠のこれまでの施工事例は「明誠の施工事例」からご覧いただけます。
お持ちの物件で、まだこれらの制度の検討を始めていないオーナーさまは、ぜひ一度ご相談ください。1棟の現地調査と利回り改善シミュレーションだけでも承ります。
主なお問い合わせ先(御殿場市)
- 耐震診断・耐震補強・ブロック塀:御殿場市 建築住宅課(0550-82-4224)
- 感震ブレーカー:御殿場市 危機管理課(0550-82-4370)
- 固定資産税の減額:御殿場市 課税課(0550-82-4139)
- 賃貸集合給湯省エネ2026:登録事業者、または事業公式サイトの問い合わせ窓口
出典・参考資料
- 御殿場市「建築物等の地震対策補助制度概要」
- 御殿場市「建築物の耐震診断費補助制度」
- 御殿場市「木造住宅の無料耐震診断」
- 御殿場市「木造住宅の耐震補強費補助制度」
- 御殿場市「ブロック塀等の除却費補助制度」
- 御殿場市「ブロック塀等の建替え費補助制度」
- 御殿場市「感震ブレーカーの設置費用の一部を補助します」
- 御殿場市「家屋に対する課税」
- 御殿場市「御殿場市プロジェクト「TOUKAI-0」総合支援事業費補助金交付要綱(令和8年3月16日告示第132号)」
- 資源エネルギー庁「賃貸集合給湯省エネ2026事業 公式サイト」「加算について」
- 国土交通省「住宅省エネ2026キャンペーンに関する報道発表」
- 国税庁「資本的支出と修繕費の区分の特例」
本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年11月6日時点で公表されている御殿場市および資源エネルギー庁・国土交通省・国税庁の公式情報をもとに執筆しています。御殿場市の地震対策補助は令和8年4月1日に交付要綱が一部改正されており、いずれも予算の範囲内で、予算到達次第受付終了です。固定資産税の減額について、市のページの記載は令和8年3月31日までの工事となっているため、それ以降の工事の扱いは課税課へご確認ください。賃貸集合給湯省エネ2026事業の予算消化率は2026年11月4日時点の公式表示です。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、必ず御殿場市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。本記事は税務助言ではありません。具体的な税務処理は税理士にご相談ください。
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この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
最終更新:2026年11月6日
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