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創業から6000棟超の施工実績

御殿場市のマンション補助金2026|管理組合が使える制度と大規模修繕の進め方

御殿場市のマンション補助金2026|管理組合が使える制度と大規模修繕の進め方

御殿場市で分譲マンションの理事を務めておられる方から、こんなご相談をよくいただきます。「大規模修繕に使える補助金は、御殿場市にありますか」。

先に結論を申し上げます。2026年8月時点で、御殿場市が分譲マンションの共用部の大規模修繕工事そのものに直接お金を出す補助制度は、公開されている情報からは確認できませんでした。

正直に書きます。ここで記事を閉じてしまうと、それで終わりです。けれども私が御殿場市の公開資料を一次情報から読み込んでいくと、他の市の記事では出てこなかった数字と論点がいくつも出てきました。

  • 御殿場市の建築物耐震診断費補助には、近隣の三島市・裾野市にはある「限度額200万円」という記載が見当たりません
  • 御殿場市のブロック塀補助は、撤去だけ(上限26万6千円)よりフェンスに建て替えたほう(上限43万2千円)が補助が厚い
  • 御殿場市の想定被害は南海トラフではなく相模トラフ沿いの元禄型関東地震で、全壊・焼失約7,150棟。人口規模が近い三島市(約2,700棟)の2.6倍です
  • 御殿場の年降水量は2,874.6mm。三島市の1,868.2mmの1.5倍を超えます。これは工期に直結します

私は建設・改修の業界で20年以上、マンションやビルの大規模修繕をやってきました。現場で20年やってきて、私が一番悔しい思いをするのは、「知っていれば使えたのに」という制度を、工事が終わってから理事長さまに教えられることです。

この記事では、御殿場市の管理組合が2026年度に現実的に使える公的な仕組みを、市と県の一次情報だけを根拠に整理します。最終更新:2026年8月23日


この記事で答える3つの質問

  1. 御殿場市のマンション管理組合が今年度使える補助金は何か? → 建築物耐震診断費補助、ブロック塀等の除却・建替え費補助、そして静岡県のマンション管理士無料派遣(受付10件・11月14日締切)です。
  2. 共用部の大規模修繕そのものへの補助はあるか? → 公開情報では確認できませんでした。だからこそ、工事費そのものを下げる工法選定が効いてきます。
  3. 今週やるべきことは何か? → 電話2本と、県への申込書1枚のファクスです。具体的な番号は本文で示します。

結論:御殿場市の管理組合が2026年度に触れるべき制度は5つ

まず全体像を表にします。金額と根拠は、すべて市・県の公式ページから引いています。

# 制度・仕組み 内容 上限・条件 窓口
1 静岡県 マンション管理士の無料派遣 専門家が管理組合に来て助言 受付10件/各組合2回まで/令和8年11月14日締切 静岡県マンション管理士会 FAX 0544-27-6561
2 御殿場市 建築物耐震診断費補助 非木造住宅・住宅以外の耐震診断費 経費と基準額の少ない額の2/3(限度額の記載が市ページに見当たらず) 建築住宅課 0550-82-4224
3 御殿場市 ブロック塀等除却費補助 危険なブロック塀の撤去 1m2万円との少ない額の2/3・上限26万6千円 建築住宅課 0550-82-4224
4 御殿場市 ブロック塀等建替え費補助 塀を撤去しフェンス等に転換 1m5万8,400円との少ない額の2/3・上限43万2千円 建築住宅課 0550-82-4224
5 マンション長寿命化促進税制 大規模修繕後の固定資産税減額 御殿場市ページに記載が見当たらず(要確認) 課税課 0550-82-4139

出典は本文の各セクションに一次情報のリンクを置きます。ここで先に1つだけ申し上げると、1番の県の無料派遣が、御殿場市の管理組合にとって現時点で最も価値が高い入口です。理由は後述します。


まず今週:静岡県のマンション管理士無料派遣は「10件」しかありません

御殿場市には、分譲マンションの管理を正面から扱う市独自の相談窓口や補助制度が、公開ページからは見つかりませんでした。ではどこに相談すればよいのか。

答えは静岡県です。

静岡県は令和8年度も「マンション管理組合活動活性化支援事業」として、マンション管理士を管理組合に無料で派遣しています(出典:静岡県「マンションの管理」)。

派遣事業の条件(令和8年度)

項目 内容
受付件数 10件(上限に達した時点で終了)
派遣回数 各管理組合 2回まで
申込期限 令和8年11月14日(土曜) ※定数に達し次第早期終了
派遣期限 令和9年1月31日(日曜)まで
申込先 一般社団法人静岡県マンション管理士会
メール t_gotoh@tx.thn.ne.jp / ファクス 0544-27-6561
費用 無料(県の委託事業)

静岡県内には分譲マンションが何百棟とあります。そのなかで10件です。私はこの数字を見たとき、正直「早い者勝ちだ」と思いました。

2回をどう使うか(私の提案)

派遣は2回まで。私が理事長さまにお伝えしているのは、この2回を次のように使い分けることです。

  • 1回目:長期修繕計画と修繕積立金の水準チェック。「うちの積立金は足りているのか」を第三者に判定してもらう
  • 2回目:相見積りの比較と、業者選定プロセスのチェック。金額だけでなく「数量の拾い方が妥当か」を見てもらう

工事会社である私が言うのも妙な話ですが、発注者側に専門家がついている現場のほうが、私たちも仕事がしやすいのです。話が早いし、後から「聞いていない」が起きません。

申込書は県のページからWord形式でダウンロードできます。理事会の次の開催を待つ必要はありません。理事長印を押してファクスを1枚送るだけです。


御殿場市には県のマンション管理セミナーが来ません。では、どこへ行くか

静岡県は令和8年度、県内9会場でマンション管理セミナーを開催します。開催地を見てください。

開催地 開催日 会場
浜松市 令和8年7月25日(土) 可美公園総合センター
磐田市 令和8年8月29日(土) 磐田商工会議所
三島市 令和8年9月12日(土) 三島市役所
熱海市 令和8年10月予定
沼津市 令和8年10月予定
静岡市 令和8年11月予定
伊東市 令和8年12月予定
富士市 令和9年2月予定
浜松市 令和9年2月予定

(出典:静岡県「マンションの管理」

御殿場市は入っていません。

ただ、悲観する話ではありません。御殿場市役所から三島市役所までは、国道246号と伊豆縦貫道を使って車でおよそ40分。東名の御殿場ICから沼津ICまでは20分ほどです。9月12日(土)の三島市回と、10月予定の沼津市回は、御殿場の管理組合にとって十分に日帰りできる距離です。

私が理事長さまによく申し上げるのは、「行くなら2人で行ってください」ということです。理事長ご本人と、次期理事の候補。マンション管理の一番の敵は理事の任期が1年で切れることです。2人で聞いておけば、来年度に話がゼロに戻りません。


御殿場市の耐震診断補助:ここに他市との差があります

ここからは市の制度です。御殿場市は「プロジェクトTOUKAI-0(トウカイ・ゼロ)」という県と連携した総合支援事業を持っています(出典:御殿場市「建築物等の地震対策補助制度概要」)。

その中で、分譲マンションの管理組合が入口に立てる可能性がある唯一の建物系メニューが「建築物の耐震診断費補助制度」です。

制度の中身

項目 内容
対象 昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された建築物(木造の専用住宅を除く)
除外 国・地方公共団体その他の公の機関が所有するもの
申請者 耐震診断を実施する者(所有者以外なら所有者承諾書が必要)
補助額 1棟ごとに、診断に要する経費と補助基準額を比較して少ない額の2/3(千円未満切捨て)

補助基準額(一戸建ての住宅以外の場合)は、延べ床面積の区分ごとに単価を積み上げます。

延べ床面積 基準額
1,000㎡以内の部分 1㎡につき 3,670円
1,000㎡を超え2,000㎡以内の部分 1㎡につき 1,570円
2,000㎡を超える部分 1㎡につき 1,050円

(出典:御殿場市「建築物の耐震診断費補助制度」

ここが御殿場市の特徴です

2つ、他市の記事を書いてきた私の目に留まった点があります。

1つ目。「一戸建ての住宅以外」という区分を単価で別建てにしている。

一戸建ては136,000円の定額ですが、それ以外は面積単価。つまり制度の設計上、共同住宅のような大きな建物を想定していると読めます。近隣の三島市は事業名が「非木造住宅」で共同住宅の明文がなく、対象かどうかを電話で確認する必要がありました。御殿場市はその点、単価表の作りが素直です。

2つ目。市のページに「限度額」の記載が見当たりません。

これは重要です。三島市も裾野市も「限度額200万円」と明記しています。ところが御殿場市のページには、補助額の説明にも基準額の表にも、限度額の一文がありません。それどころか、市は次のような計算例まで載せています。

(補助基準額算出例) 延べ床面積1,500㎡の一戸建ての住宅以外の建築物の場合/1,000㎡×3,670円/㎡=3,670,000円…①/500㎡×1,570円/㎡=785,000円…②/基準額(①+②)=4,455,000円

基準額445万5千円。その2/3は297万円です。もし限度額が本当にないのであれば、200万円上限の近隣市より条件が良いことになります。

ただし、私はこれを「御殿場市は上限なし」と断定しません。 補助の詳細は御殿場市プロジェクト「TOUKAI-0」総合支援事業費補助金交付要綱(令和8年3月16日告示第132号)に定められており、令和8年4月1日から一部改正されています。ウェブページに書かれていないだけで、要綱に限度額が定められている可能性は十分にあります。

電話で聞くべき2つのこと

市自身が「補助金の交付申請前に必ず建築住宅課へご相談ください」と書いています。つまり事前相談は正規の手順です。遠慮する必要はありません。

建築住宅課 TEL 0550-82-4224(メール kenchiku@city.gotemba.lg.jp)

聞くことは2つだけです。

  1. 「分譲マンションの共用部分の耐震診断は、建築物等耐震診断事業の対象になりますか」
  2. 「補助額に限度額はありますか。ある場合はいくらですか」

この2問で、御殿場市の管理組合にとっての前提条件が確定します。所要時間は5分もかからないはずです。

注意点:予算枠と事前申請

制度には落とし穴があります。市が明記しているのは次の2点です。

  • 事業に着手する前に申請が必要(交付決定通知後に着手)
  • 予算額に到達次第、受付を終了

つまり「診断を頼んでしまってから申請」は通りません。そして年度後半になるほど枠が埋まるリスクが上がります。診断をやると決めたなら、早い時期に動くほうが有利です。


御殿場市の耐震「工事」補助はどうなっているか:正直に整理します

耐震診断に補助があるなら、耐震補強工事にもあるのでは、と思われるはずです。

御殿場市の建築物等の地震対策補助制度概要を見ると、木造住宅以外の建築物について並んでいるメニューは、「建築物の耐震診断費補助制度」の1本だけです。木造住宅には無料診断・補強費補助・除却費補助の3本があるのに対して、非木造は診断のみ。

これは市の計画本文とも整合します。第4期御殿場市耐震改修促進計画(令和8年度〜令和12年度)概要版の支援制度欄には、建築物についてこう書かれています。

特定建築物については、個別訪問等により耐震改修の必要性を丁寧に説明するとともに、早期の耐震化へ誘導する。耐震診断といった基本的な補助事業を継続し、耐震化を支援する。

診断は支援する。工事は「誘導する」。この書き分けは、行政文書としては明確です。

近隣市との比較

同じ静岡県東部の3市を並べてみます。

非木造の耐震診断 非木造の補強計画 非木造の補強工事
御殿場市 あり(2/3・限度額の記載なし) 公開情報で確認できず 公開情報で確認できず
三島市 あり(2/3・限度200万円) 記載なし あり(ただし勧告・指導を受けたもの等に限定)
裾野市 あり(2/3・上限200万円) あり(2/3・上限30万円) あり(既成市街地の避難路沿道の特定建築物に限定)

つまり御殿場市の管理組合にとっての現実は、「調べるところまでは補助が出るが、直すところは自力」です。

これは悪い話ばかりではありません。私が理事会で申し上げているのは、次の二段構えです。

  1. 診断費は補助込みで予算を組む(自己負担は3分の1)
  2. 補強や改修の工事費は、補助ゼロ前提で長期修繕計画に載せる

補助が出る前提で計画を作って、後から「対象外でした」となるのが一番まずい。最初から自力の数字で組んでおけば、あとで補助が使えたときはそのぶん楽になるだけです。


御殿場市のブロック塀補助:撤去より「建替え」のほうが補助が厚い

ここは御殿場市のなかで、管理組合が確実に使える可能性が高いメニューです。令和8年度の受付は既に始まっています。

2つの制度を並べます

項目 除却(撤去) 建替え(フェンス等に転換)
基準額 長さ1mにつき 20,000円 長さ1mにつき 58,400円
補助率 経費と基準額の少ない額の 2/3以内 経費と基準額の少ない額の 2/3以内
限度額 266,000円 432,000円
対象の位置 緊急避難路・避難路・通学路(私道を除く)・避難地に面するもの 同左
高さ要件 道路の地盤面から 60cmを超えるもの 同左
撤去の範囲 補助対象となるブロック塀等を全て撤去すること 該当する既存塀を全て撤去し、組積造以外の塀・柵に転換
対象外 門扉・門柱・フェンス等の柵、組積造でない工作物 門扉・門柱

(出典:御殿場市「ブロック塀等の除却費補助制度」同「ブロック塀等の建替え費補助制度」

読み方が2つあります

1つ目。基準額が2.9倍、限度額が1.6倍違います。

撤去だけなら1mあたり2万円、上限26万6千円。フェンスに建て替えるなら1mあたり5万8,400円、上限43万2千円です。

御殿場市は「危険な塀をなくす」だけでなく「安全な塀に替える」ところまで面倒を見る設計になっている、と私は読みました。マンションの敷地境界の塀を撤去したまま放置すると、目隠しがなくなって居住者から苦情が出ます。撤去と目隠しの回復をセットで考えるなら、建替え事業のほうが金額的にも実務的にも合理的です。

2つ目。「全て撤去」が条件です。

部分撤去は認められません。「危ないところだけ3mやる」ができない。これは予算に効きます。敷地境界の塀が20m続いているなら、20m全部です。

実務で見落とされがちな塀

私が現場でよく見るのは、次の場所の塀を管理組合が把握していないケースです。

  • 駐輪場の裏側
  • 駐車場の外周(隣地との境)
  • ゴミ置き場の脇
  • 敷地の裏手、普段人が通らない側

敷地図を広げて30分。理事2人で歩けば洗い出せます。市の職員が現地調査に来て倒壊の危険性を判定する仕組みなので、自己判断で「うちは大丈夫」と決めないほうがよいです。

塀は「別契約」に切り出してください

これが実務上、一番大事な点です。

補助の条件は「事業に着手する前に必ず補助金交付の申請を行い、市からの交付決定通知後に事業に着手する」こと。大規模修繕の本体工事と塀の工事を同じ請負契約に混ぜてしまうと、本体の着工日が塀の「着手」とみなされる恐れがあります。

私はいつも理事長さまに、「塀だけは別契約に切り出して、交付決定を待ってから着工しましょう」とお伝えしています。金額は小さくても、手順を間違えると補助がゼロになります。


マンション長寿命化促進税制:御殿場市のページに記載が見当たりません

大規模修繕を終えた管理組合が使える国の制度に、マンション長寿命化促進税制があります。一定の要件を満たす大規模修繕を行うと、工事完了の翌年度分の固定資産税(居住用専有部分)が減額される仕組みです(出典:国土交通省「マンション長寿命化促進税制(固定資産税の特例措置)」)。

減額割合は市町村の条例で定められます。近隣では三島市が「3分の1」、富士市も「3分の1」と市の公式ページに明記していました。

では御殿場市はどうか。

御殿場市の「家屋に対する課税」ページに掲載されている家屋の減額措置は、次の4つです。

減額措置 減額内容 対象
新築住宅 120㎡までの部分の1/2(3〜7年度分) 新築
住宅耐震改修 120㎡までの部分の1/2(翌年度1年分) 昭和57年1月1日以前から所在
バリアフリー改修 100㎡までの部分の1/3(翌年度1年分) 築10年以上・高齢者等が居住
省エネ改修 120㎡までの部分の1/3(翌年度1年分) 平成20年1月1日以前から所在

マンション長寿命化促進税制の記載が見当たりません。

ここも私は断定を避けます。「制度が使えない」とは書きません。市のウェブページに載っていないだけで、条例上は措置されている可能性があります。裾野市の記事を書いたときも同じ状況でした。

課税課に聞くべき3項目

課税課 TEL 0550-82-4139 / 0550-82-4130

  1. 「マンション長寿命化促進税制について、御殿場市の条例で減額割合は定められていますか。何分の1ですか」
  2. 「申告は区分所有者ごとですか。それとも管理組合が取りまとめて提出できますか」
  3. 「大規模の修繕等証明書は、どの資格者が発行したものを受け付けますか」

2番目は地味ですが効きます。三島市は「管理組合が取りまとめて提出する場合は、添付書類は全体で1部のみ」と明記していました。100戸のマンションで100部の添付書類を集めるのか、1部で済むのか。事務負担が桁違いです。

制度を使うために工事仕様で気をつけること

長寿命化促進税制の対象となる工事は、一般に外壁塗装等・床防水(廊下やバルコニー等)・屋根防水の3つを同一の工事として実施することが求められます。

現場でよく起きるのが、「予算が厳しいから屋上防水は次回に回そう」という理事会の判断です。金額を削る判断としては真っ当なのですが、それをやると税制の要件を外します。

もう1つ。大規模の修繕等証明書の発行を、請負契約に含めておいてください。 申告期限は工事完了日からおおむね3か月以内です。竣工してから証明書の発行を頼むと、間に合わないことがあります。私はこれを、必ず契約書の項目に入れるようにしています。


管理計画認定制度:御殿場市は「市」なので、県では申請できません

マンション管理計画認定制度は、管理組合が作る管理計画が一定の基準を満たすことを自治体が認定する仕組みです。認定を取ると、住宅金融支援機構の共用部分リフォーム融資の金利が優遇されるなどのメリットがあります。

静岡県のページには、はっきりこう書かれています。

マンション管理計画認定制度(対象:県内の町域)

つまり県が受け付けるのは町域のみ。御殿場市は「市」ですから、県への申請はできません。

では御殿場市が受け付けているのか。私が市の公開ページを探した範囲では、マンション管理計画認定制度に関する市の案内ページは見つけられませんでした。ここも「制度がない」とは断定しません。ページになっていないだけの可能性があります。

建築住宅課 0550-82-4224 への電話に、もう1問足してください。

「マンション管理計画認定制度の申請は、御殿場市で受け付けていますか。受け付けている場合、手数料はいくらですか」

参考までに、静岡県の認定申請手数料は令和8年4月1日に改定されています。

事前確認適合証 長期修繕計画数 令和8年3月31日まで 令和8年4月1日から
有り 1 3,800円 4,000円
有り 2以上 3,800円+1,700円×(計画数-1) 4,000円+1,800円×(計画数-1)
無し 1 26,900円 28,100円
無し 2以上 26,900円+15,500円×(計画数-1) 28,100円+16,200円×(計画数-1)

(出典:静岡県「マンションの管理」

事前確認適合証があるかないかで、手数料が7倍違います。 適合証は公益財団法人マンション管理センターの管理計画認定手続支援サービスを利用して取得します。県も国も、この経路を事実上の王道として設計しています。

認定基準を理事会のチェックリストに

認定基準は5つの分野に整理できます。理事会で自己点検してみてください。

分野 チェック項目
管理組合の運営 管理者等が定められているか/集会を年1回以上開催しているか/管理規約が適切に定められているか
管理規約 緊急時の専有部立入り、修繕等の履歴情報の管理等について定めているか
管理組合の経理 管理費と修繕積立金の口座が区分されているか/滞納に対する措置を講じているか
長期修繕計画 計画期間が30年以上かつ残存期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれるか/7年以内に見直しされているか/計画期間内に借入金の残高がない設定か
その他 区分所有者名簿・居住者名簿を年1回以上更新しているか

私の経験上、実務で引っかかるのは決まって「7年以内の見直し」「計画期間30年以上・大規模修繕2回以上」の2つです。

そしてここが大事なのですが、長期修繕計画の見直しは、どのみち大規模修繕の前に必ずやります。 認定を取ると決めておけば、その作業が一度で済みます。決めていないと、修繕のために1回、認定のためにもう1回、同じ作業を発注することになります。順番の問題です。


2026年の新しい論点:マンション管理適正化支援法人の登録制度

これは他市の記事でもあまり触れられていない、新しい話です。

令和7年5月30日に「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律(令和7年法律第47号)」が公布され、同年11月28日に一部施行されました。これにより「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」にマンション管理適正化支援法人の登録制度が新設されています。

一般社団法人・一般財団法人・NPO法人などの民間団体が都道府県等の登録を受け、公的な立場からマンション管理の専門支援を行う仕組みです。

登録主体は次のように分かれます。

支援法人の業務区域 登録主体
市の区域
町の区域

静岡県のページには、こう書かれています。

静岡県は、現段階では、登録制度は実施していません。 なお、各市が所管する市の区域における登録制度については、各市のマンション担当部署に直接お問い合わせください。

御殿場市は市ですから、市域の登録主体は御殿場市です。建築住宅課への電話に、この1問も足しておくとよいと思います。

「マンション管理適正化支援法人の登録制度について、御殿場市で所管する予定はありますか」

今日答えが出る話ではありません。ただ、理事会の引き継ぎ事項に「来年また聞くこと」として1行残しておけば、制度が動き出したときに真っ先に情報が取れます。

あわせて、令和7年に国土交通省がマンション標準管理規約の改正を行っています。県のページから改正パンフレットのPDFがダウンロードできます。規約改正を検討している管理組合は、次の総会の前に一度目を通しておく価値があります。


御殿場市の想定被害は、南海トラフではありません

ここから、御殿場市という土地そのものの話に入ります。

第4期御殿場市耐震改修促進計画(令和8年度〜令和12年度)の概要版には、静岡県第4次地震被害想定に基づく御殿場市の建物被害が載っています。掲載されているのは元禄型関東地震(相模トラフ沿い、冬の夕)のケースです。

被害区分 揺れ 液状化 人工造成地 山崖崩れ 火災 合計
全壊・焼失 約6,200 5未満 約50 5未満 約900 約7,150棟
半壊 約5,000 5未満 約200 5未満 約5,200棟
合計 約11,200 約250 約900 約12,350棟

想定されている地震の規模は次のとおりです。

区分 南海トラフ巨大地震 相模トラフ沿いの地震(元禄型関東地震)
震源 駿河湾から日向灘に掛けての南海トラフに沿った領域の全部 相模トラフ沿い
規模 マグニチュード9.0程度 マグニチュード8.2程度
発生頻度 千年から数千年に1回 千年から数千年に1回

私はこの数字を、近隣市の記事を書いたときの数字と並べて驚きました。人口約10万人の三島市の全壊・焼失想定が約2,700棟。人口約8.5万人の御殿場市が約7,150棟です。

御殿場市は東に箱根外輪山、北に富士山を背負い、相模トラフに近い。地形と震源との位置関係が、この差を生んでいます。

これは「怖がらせる」ために書いているのではありません。理事会が総会で予算の話をするとき、この数字を1行引用するだけで、議案の説明が変わるからです。「うちの市は約7,150棟の全壊・焼失が想定されています」と根拠付きで言えるかどうか。私はそこに実務的な意味があると思っています。


第4期計画が変えたこと:「経年劣化が進んだ建築物」も対象になりました

第4期御殿場市耐震改修促進計画で、私が最も注目したのは対象建築物の定義です。

対象建築物:現行の耐震基準の施行以前に建築に着手された建築物又は地震により被害を受けた建築物若しくは経年劣化が進んだ建築物

旧耐震だけではありません。経年劣化が進んだ建築物が明示的に対象に入りました。

さらに、計画の定性的な目標にはこう書かれています。

新築時の耐震性能の維持・回復:経年劣化による耐震性能の低下が懸念されるため、定期的な調査で劣化状況を把握し、必要な対策を講じるなど適切なメンテナンスにより安全性確保を目指す。

屋外における安全性確保:倒壊の危険性のあるブロック塀等の安全性確保を目指す。屋外広告物・外装材等の安全性確保を目指す。

屋内における安全性確保:家具等の転倒、天井の落下に対する安全性確保を目指す。エレベーター、エスカレーター等の建築設備の安全性確保を目指す。

高層建築物や免震建築物は、長周期地震動により共振し被害を受けるおそれがあるため、国は平成28年に新たな考え方を示しており、これについても配慮する。

私が20年この仕事をしてきて、今の管理組合にお伝えしたいことがほぼそのまま書いてあります。

新耐震だから安心、では済まなくなりました。

躯体が新耐震基準で建てられていても、外壁のタイルは浮きます。シーリングは切れます。バルコニーの手すりの付け根は錆びます。地震のときに落ちるのは、躯体ではなく外装材です。

私はいつも理事長さまに、こうお伝えしています。「大規模修繕は、きれいにする工事ではありません。落ちるものを落ちないようにする工事です」。第4期計画の「屋外広告物・外装材等の安全性確保」という一文は、それを行政の言葉で書いたものだと私は受け取っています。


御殿場市の耐震施策の実績値:数字で見ると

指標 第3期計画の目標 現状 第4期計画の目標
住宅の耐震化率 95.0% 94.2%(令和5年度) 耐震性が不十分なものをおおむね解消
特定建築物の耐震化率 96.0% 95.7%(令和6年度末) 同上
大規模建築物の耐震化率 100.0%(令和6年度末)
ブロック塀等の改善総延長 3.0km 2.6km(令和6年度) 3.5km

住宅の耐震化率は平成30年の92.3%から令和5年に94.2%へ。要緊急安全確認大規模建築物は令和2年度末の66.6%から令和6年度末に100.0%へ到達しています。

御殿場市住宅耐震化緊急促進アクションプログラム2026(令和8年4月)を見ると、年度ごとの補助実績も分かります。

年度 耐震診断 耐震改修工事 除却工事
令和4年度 20戸 11戸 3戸
令和5年度 11戸 12戸 5戸
令和6年度 40戸 14戸 5戸
令和7年度 13戸 13戸 5戸
令和8年度(目標) 24戸 18戸(補強計画・補強工事)

この数字は木造住宅が中心です。御殿場市が把握している「昭和55年以前の木造住宅の所有者の約7割は、65歳以上の高齢者が家計を主に支えている」という調査結果も計画に書かれています。

つまり、御殿場市の耐震施策の主戦場は木造戸建てです。 分譲マンションの管理組合が「市の耐震施策の中に自分たちの居場所がない」と感じるのは、ある意味で当然なのです。

だからこそ、管理組合の側から動く必要があります。行政の担当課は、聞かれれば答えてくれます。聞かれなければ、木造戸建ての戸別訪問で手一杯です。


御殿場市の気候は、工期をはっきり左右します

ここからは、私が一番申し上げたい技術的な話です。

御殿場市には気象庁のアメダス観測所があります。平年値(1991〜2020年)を見てください。

項目 御殿場 参考:三島
年降水量 2,874.6mm 1,868.2mm
年間日照時間 1,733.9時間 2,003.2時間
年平均気温 13.2℃ 16.3℃
1月の日最低気温 -1.9℃
2月の日最低気温 -1.2℃
12月の日最低気温 0.5℃

(出典:気象庁「御殿場(静岡県)平年値」

月別の降水量はこうなります。

降水量(mm) 降水量(mm)
1月 104.6 7月 361.4
2月 128.9 8月 247.5
3月 253.3 9月 372.5
4月 248.4 10月 315.2
5月 255.7 11月 185.5
6月 297.4 12月 104.3

年降水量2,874.6mmは、三島市の1.5倍を超えます。 そして最も多いのが9月の372.5mm、次いで7月の361.4mm、10月の315.2mmです。

影響1:雨天中止日が多い=工期が読みにくい

塗装も防水もシーリングも、濡れた面には施工できません。降った日はもちろん、降った翌朝も下地が乾くまで待ちます。

私が御殿場エリアの管理組合に必ず申し上げるのは、次の2つです。

  • 見積りを取るとき、「雨天中止を何日見込んだ工程ですか」と聞いてください。 答えられない業者は、この土地の工事を分かっていません
  • 総会で住民に工期を伝えるときは、業者の提示工期に2週間上乗せしてください。 「3か月」と言って4か月かかると信頼を失います。「3か月半」と言って3か月で終われば喜ばれます

同じ工事、同じ金額でも、伝え方ひとつで理事会の1年が変わります。

影響2:冬の朝の氷点下と、凍結融解

塗料やシーリング材の多くは、施工可能な気温の下限がおおむね5℃です。御殿場の1月は日最低気温が-1.9℃、2月が-1.2℃。朝は動けず、日中だけ動ける日が続きます。 実働時間が短くなるぶん、工期が延びます。

もう1つ、建物側の話があります。凍結融解です。

外壁のひび割れや浮いたタイルの裏に入った水は、氷点下になると凍ります。水は凍ると体積がおよそ9%増えます。膨らんだ氷がひび割れを押し広げ、日中に融ける。これを一冬に何十回も繰り返すと、去年は500円玉くらいだった浮きが、翌春には手のひら大になっています。

私が20年見てきて、これは沿岸部の塩害よりも進行が読みにくい。御殿場では「去年見たときは小さかったから今年も大丈夫」が通用しません。

屋上防水の膨れを、畳1枚分ほど見つけたのに1年放置した現場があります。翌年に見たら数倍に広がっていて、下地まで水が回っていました。最上階の天井にシミが出て、費用は当初の数倍、居住者との関係修復に半年かかりました。台風シーズンが終わった秋に、年1回の点検を。 これだけで防げます。

影響3:塩害は相対的に軽い

御殿場市は駿河湾に面していません。内陸の高原都市です。市街地の標高はおよそ250〜700m、市役所で約450mあります。

沼津市・富士市・静岡市清水区の管理組合向けに記事を書いたときは、「塩害対策の防錆仕様を削ってはいけない立地です」と書きました。御殿場市は逆です。

見積書に、沿岸部と同じグレードの重防食仕様が一律で入っているなら、その根拠を聞いてよいと思います。「なぜこの仕様なのか」を説明できる業者かどうかの判定にもなります。そして浮いた予算は、凍結融解対策の下地補修と、シーリングのグレードアップに回してください。御殿場ではそちらのほうが効きます。

御殿場市の工事適期カレンダー

以上を踏まえると、御殿場市の工事適期はこうなります。

時期 評価 理由
3月下旬〜5月 気温は上がるが降水量も多い(3月253.3/4月248.4/5月255.7mm)
6月〜7月 梅雨(6月297.4/7月361.4mm)。7月は年間2番目の多雨
8月 247.5mm。標高がある分、沿岸部より作業環境は良い
9月〜10月中旬 ×〜△ 9月372.5mmは年間最多。台風シーズンと重なる
10月下旬〜11月 11月185.5mmは年間最少に近い。年間で最も明確な窓
12月〜2月 降水は少ないが朝が氷点下。実働時間が短い

御殿場市の工事の窓は、10月下旬から11月がもっとも明確です。 ただしこの窓を押さえるには、前年の秋までに業者選定を終えている必要があります。

いま、2026年8月にこの記事を読んで動き始めた管理組合が現実的に狙えるのは、2027年の春か秋です。焦る必要はありません。ただ、逆算すると「今月やること」は決まってきます。


ここから先は、私の会社が利益を得る話につながります

先に申し上げておきます。ここから書くのは工法の話で、私の会社が仕事をいただく話につながります。 利益相反があることを承知のうえで読んでください。そのうえで、数字は正直に書きます。

補助金の話をずっとしてきましたが、御殿場市で管理組合が動かせる公的なお金は、ブロック塀で最大43万2千円、耐震診断で数十万〜200万円台という規模です。

一方、仮設足場は総工事費のおよそ15〜25%を占めます。

総工事費 仮設足場費の目安(15〜25%)
3,000万円 450万〜750万円
5,000万円 750万〜1,250万円
8,000万円 1,200万〜2,000万円

桁が2つ違います。

私が理事会で何度も見てきた光景があります。ブロック塀の43万円の申請書類について3時間議論して、750万円の仮設費を5分で通す。 悪気があるわけではありません。申請書類は目の前にあって具体的で、仮設費は見積書の1行だからです。

私からのお願いは1つだけです。理事会が議論に費やす時間の配分を、金額の大きさに合わせてください。


3つの工法を比較します

大規模修繕の外壁・防水工事には、大きく3つのアプローチがあります。

工法 特徴 向く建物 向かない建物
通常足場工法 従来型の仮設足場を全面に架設 下地補修の物量が多い建物/複雑な形状/中低層 敷地に余裕がなく架設できない建物/仮設費を抑えたい案件
ロープアクセス工法(無足場工法) 産業用ロープで作業員が降下して施工。足場を架けない 高層/足場の架設が困難/部分補修/仮設費の圧縮を最優先する案件 タイル浮きが広範囲で物量が多い建物/全面的な下地打ち替えが必要な建物
ハイブリッド工法 部位ごとに足場とロープアクセスを使い分け 面によって傷み方が違う建物/総合的なコスト最適化が必要な大規模物件 極端に小規模で、切り替えの段取り替えが割に合わない建物

ロープアクセス工法(足場を架けずにロープで施工する無足場の工法)の技術情報や安全基準については、姉妹サイトのロープアクセスドットコムに詳しくまとめています。

そして、正直に申し上げます。ロープアクセスは全ての建物に向くわけではありません。

タイルの浮きが広範囲に及んでいて下地補修の物量が多い建物は、足場を架けたほうが安く、早く終わります。そういうときは私は「今回は足場でいきましょう」と申し上げます。3つとも持っているから、正直に言えるのです。1つしか持っていなければ、その1つを勧めるしかありません。

御殿場市で気をつけたい「敷地に余裕がある」という思い込み

御殿場市は土地に余裕のあるマンションが多い地域です。だから「架けられる」。

けれども、架けられることと、架けるべきことは別です。理事会で次の3つを問うてみてください。

  1. 今回の工事は、全面改修が必要な状態ですか。それとも部分補修で足りますか。 劣化診断の結果を、面ごと・部位ごとに見ていますか
  2. 居住者が2〜3か月、バルコニーを塞がれる生活を受け入れられますか。 洗濯物、窓の開閉、プライバシー、防犯。特に高齢の居住者が多い建物では、この負担が大きい
  3. 見積書の「仮設工事」の内訳を見ましたか。 一式ではなく、㎡単価とリース期間の内訳になっていますか

御殿場では「面ごとに傷み方が違う」

前のセクションで書いた気候の話が、ここにつながります。

御殿場市の建物は、方位によって劣化の進み方がはっきり違います。

主な劣化要因 対策の重点
南面・西面 紫外線による塗膜劣化、シーリングの硬化 塗料グレード、シーリングの追従性
北面 日照が少なく乾きにくい。藻・カビ、凍結融解が最も進む 防藻・防カビ、ひび割れ処理の徹底
屋上・パラペット・笠木 降水量2,874.6mmの直撃、凍結融解 防水層のグレード、笠木まわりの納まり
妻面(開口が少ない面) 一様な劣化。補修物量が少ないことが多い 高所作業のコスト効率

面によって傷み方が違うということは、面によって最適な工法も違うということです。

バルコニー側は下地補修が多いので足場を架け、開口が少なく補修物量の少ない妻面と屋上まわりはロープアクセスで対応する。これがハイブリッド工法の考え方です。御殿場市の建物では、この使い分けが技術的にも金額的にも効いてきます。


モデルケース:御殿場市の建物で試算すると

実在の物件ではありません。私がこれまで扱った案件の平均的な数字から組んだモデルです。

ケース1:御殿場駅周辺/築26年・8階建て・42戸

項目 通常足場 ハイブリッド
総工事費 7,000万円 6,100万円
差額 ▲900万円
1戸あたり 約167万円 約145万円(▲約21万円
工期 約4か月 約3か月(約1か月短縮

組み方:バルコニー側は足場を架けて下地補修を確実に。開口の少ない妻面と屋上まわりはロープアクセス。仮設のリース期間が1か月短くなるだけで、金額はここまで動きます。

ケース2:市郊外/築42年・5階建て・18戸

項目 通常足場 ロープアクセス主体
総工事費 3,300万円 2,700万円
差額 ▲600万円
1戸あたり 約183万円 約150万円(▲約33万円
資金 一時金が必要 機構融資と組み合わせて一時金ゼロも検討可

18戸で3,300万円ということは、1戸あたり183万円です。100戸のマンションなら1戸33万円で済む工事が、18戸だと183万円になる。戸数が少ないマンションほど、工法選定の効き方が大きいということです。

御殿場市は小規模な分譲マンションが少なくありません。ケース2のほうが自分たちに近い、という管理組合は多いと思います。


修繕積立金が足りないとき、打ち手は4つです

# 打ち手 メリット デメリット
一時金の徴収 借入なしで済む 総会の合意が最も難しい。滞納リスク
住宅金融支援機構の共用部分リフォーム融資 管理組合名義・全期間固定 返済負担が続く
段階施工(工事を分割) 1回の支出を抑えられる 仮設費が回数分かかり、総額はむしろ増える
工法の見直し 工事費そのものを下げる 設計を固めた後では選べなくなる

私が理事長さまに必ず申し上げるのは、「④を最初に検討してください」ということです。

理由は順番にあります。設計に入る前なら4つとも選べます。 ところが設計事務所と仕様を固めて、足場前提で数量を拾ってしまうと、④は事実上消えます。そこから先は①②③の3択です。

③の段階施工は要注意です。一見すると負担が軽くなりそうですが、仮設費は工事の回数だけかかります。 2回に分ければ足場を2回架ける。総額は増えます。

住宅金融支援機構の3つの制度

②で使えるのは、住宅金融支援機構の制度です。

金利は情勢によって変わりますので、ここでは断定を避けます。ただ、100戸のマンションが2,000万円を10年で借りる場合、金利が0.2%違うだけで総支払額は数十万円動きます。管理計画認定を取ると金利優遇の対象になる制度があります。

そして総会実務の話を1つ。議案の性格が変わります。

「一時金50万円をお願いします」という議案は通りません。「月々3,000円の見直しをお願いします」なら議論の土俵に乗ります。②を組み合わせるというのは、同じ資金調達を、通る形の議案に変えるということでもあります。


18か月逆算カレンダー(御殿場市版)

大規模修繕は、思い立ってから工事開始まで1年半かかります。御殿場市の制度に合わせた逆算表をつくりました。

時期 やること 連絡先
今週 静岡県のマンション管理士無料派遣に申込(10件枠・11/14締切) 静岡県マンション管理士会 FAX 0544-27-6561
18か月前 劣化診断の実施。長期修繕計画の見直しが7年以内か確認
17か月前 過去の工事記録・図面・保証書の収集
16か月前 管理計画認定の受付を市がしているか確認。認定基準5分野を自己点検 建築住宅課 0550-82-4224
15か月前 建築物等耐震診断事業の対象か、限度額があるかを電話確認 建築住宅課 0550-82-4224
14か月前 アスベスト事前調査を工程と予算に計上(自己負担前提で)
12か月前 工法の選定。設計はこの後です
11か月前 長寿命化促進税制の条例有無と減額割合を確認。仕様書に3工事が入るか点検 課税課 0550-82-4139
10か月前 マンション管理センターへ事前確認を依頼し、適合証を取得
9か月前 資金計画。機構への事前相談。相見積り先を市内に限定しない
8か月前 管理計画認定の申請(申請先を確認済であること)
7か月前 敷地図でブロック塀を洗い出し、通学路・避難路沿いか市に確認 建築住宅課 0550-82-4224
6か月前 ブロック塀の交付申請。本体工事とは別契約に 建築住宅課 0550-82-4224
4か月前 交付決定後に契約
着工時 雨天中止の見込み日数を工程表で再確認
竣工後3か月以内 固定資産税の減額申告 課税課 0550-82-4139
引き継ぎ時 電話した日付・担当課・聞いたこと・答えの4点をA4 1枚で申し送り

最後の行が実は一番大事です。理事の任期が1年なら、この18か月カレンダーは2代の理事会をまたぎます。

私が見てきた失敗の多くは、技術の失敗ではなく引き継ぎの失敗です。「去年、市に電話したらしいけど、誰が何を聞いたか分からない」。それでまた最初から電話し直す。A4を1枚残しておくだけで、次の理事会が半年得をします。


アスベストについて:御殿場市には補助が見当たりません

築年数の古いマンションで大規模修繕を行う場合、石綿(アスベスト)の事前調査が必要になります。

近隣市の状況を整理します。

分析調査への補助 除去等への補助
静岡市 あり(限度25万円) あり(1/3・限度60万円)
沼津市 あり(限度25万円) あり(2/3・限度120万円)※令和8年度の除去等は予算終了
富士市 あり(費用の全額・限度25万円/棟) あり(2/3・限度60万円/敷地)
御殿場市 公開情報で確認できず 公開情報で確認できず

御殿場市には、民間建築物の吹付けアスベスト対策への補助制度が、公開ページからは見つかりませんでした。

したがって御殿場市での現実解は、「調査費は自己負担前提で工程と予算に計上する」です。

なぜここまで言うか。現場の話をします。

足場を架けた後に、機械室の天井裏から吹付け材が出てきたことがあります。工事は止まりました。分析に出して、結果が出るまで待って、対応方針を決めて、追加の見積りを出して、理事会で決議して。その間ずっと、足場のリース料だけが積み上がっていきます。

私の経験上、後から見つかりやすいのは次の6か所です。

  • 機械室
  • 電気室
  • 屋内駐車場の天井
  • 階段室の裏側
  • エレベーター機械室
  • パイプシャフト(PS)

平成29年度から、事前調査には建築物石綿含有建材調査者の関与が必要になっています。業者選定のとき、「調査者の資格を持っている方はいますか」と1問聞いてください。


相見積りで確認すべき3つのこと

御殿場市は分譲マンションの絶対数が多くありません。市内だけで探すと、相見積り先が2社になってしまうことがあります。

範囲を広げてください。 御殿場市は東名の御殿場IC、新東名の御殿場JCT、JR御殿場線、そして小田急のロマンスカーが乗り入れる御殿場駅を持っています。新宿からおよそ100分、東京からも静岡市からも日帰り圏です。宿泊費や長距離移動費が見積りに乗らないという、山間部の市にはない地の利があります。市内に限定する理由がありません。

そのうえで、見積書で確認すべきことは3つです。

1. 数量の根拠は「図面拾い」か「現地実測」か

図面から拾っただけの数量は、現地の実態とずれます。特にタイルの浮きシーリングの延長は、実測しないと当たりません。

2. 仕様はメーカー名・製品名・グレードまで書かれているか

「シリコン塗料」では比較になりません。同じ「シリコン」でも耐用年数が倍違うことがあります。メーカー名・製品名・希釈率・塗布回数まで書かせてください。

3. 「別途」の中身と、下地補修の数量超過時の単価

これが一番、後で揉めます。

見積書に「タイル浮き補修 想定50㎡」と書いてある。実際に打診してみたら120㎡あった。この70㎡分をいくらで精算するのか。契約前に、数量超過時の㎡単価を見積書に明記させてください。

「タイル浮き想定50㎡が実際120㎡」は、決して珍しくありません。私はむしろ、想定通りに収まるほうが少ないと思っています。だからこそ、単価を先に決めておく。これは紛争予防の話です。


御殿場市の管理組合が今週できること

長い記事になりました。最後に、行動に落とします。

1. 静岡県のマンション管理士無料派遣に申し込む(今週中)
申込書は県のページからダウンロード。ファクス0544-27-6561へ。10件です。

2. 御殿場市 建築住宅課に電話する(5分)
TEL 0550-82-4224
・分譲マンションの共用部は耐震診断補助の対象か
・補助額に限度額はあるか
・管理計画認定の申請を市で受け付けているか

3. 御殿場市 課税課に電話する(5分)
TEL 0550-82-4139
・マンション長寿命化促進税制の減額割合は
・管理組合が申告を取りまとめられるか

4. 敷地図を広げて、ブロック塀を洗い出す(30分)
駐輪場の裏、駐車場の外周、ゴミ置き場の脇。理事2人で歩けば終わります。

5. 9月12日(土)の三島市セミナーを理事会の議題に載せる
理事長と次期理事候補の2名で。車で40分です。

電話2本で20分。それだけで、御殿場市の管理組合が置かれている前提条件がはっきりします。


よくある質問(FAQ)

Q1. 御殿場市に、マンションの大規模修繕工事そのものへの補助金はありますか?
A. 2026年8月時点で、御殿場市が分譲マンションの共用部の大規模修繕工事に直接補助する制度は、公開情報からは確認できませんでした。使えるのは耐震診断費補助とブロック塀等の除却・建替え費補助です。

Q2. 御殿場市の耐震診断補助に上限額はありますか?
A. 市のウェブページには限度額の記載が見当たりません。ただし補助の詳細は交付要綱に定められており、令和8年4月1日から一部改正されています。建築住宅課(0550-82-4224)への電話で確定させてください。

Q3. 築30年のマンションですが、耐震診断補助の対象になりますか?
A. 対象は昭和56年5月31日以前に建築された建築物です。築30年(1996年前後の竣工)は対象外となります。ただし第4期御殿場市耐震改修促進計画は「経年劣化が進んだ建築物」も計画の対象建築物としており、劣化診断そのものの重要性は変わりません。

Q4. ブロック塀の補助は、撤去と建替えのどちらが有利ですか?
A. 金額だけを見れば建替えです。基準額が1mあたり2万円(撤去)に対し5万8,400円(建替え)、限度額が26万6千円に対し43万2千円。撤去後の目隠しの回復も同時に済みます。ただしどちらも「補助対象となる塀を全て撤去する」ことが条件です。

Q5. 補助金の申請は工事の後でもできますか?
A. できません。御殿場市は「事業に着手する前に必ず補助金交付の申請を行い、市からの交付決定通知後に事業に着手する必要があります」と明記しています。また予算額に到達次第、受付は終了します。

Q6. 御殿場市で想定されている地震は南海トラフですか?
A. 第4期御殿場市耐震改修促進計画で建物被害が示されているのは、相模トラフ沿いの元禄型関東地震(M8.2程度)です。全壊・焼失が約7,150棟、半壊が約5,200棟と想定されています。南海トラフ巨大地震(M9.0程度)も想定地震として記載されています。

Q7. 大規模修繕はいつ着工するのがよいですか?
A. 気象庁の平年値から見ると、御殿場市で最も条件が良いのは10月下旬〜11月です(11月の降水量185.5mmは年間で最少水準)。9月は372.5mmで年間最多かつ台風シーズンにあたります。冬は降水量こそ少ないものの、1月の日最低気温が-1.9℃で実働時間が短くなります。

Q8. ロープアクセス工法にすれば必ず安くなりますか?
A. なりません。タイルの浮きが広範囲で下地補修の物量が多い建物は、足場を架けたほうが安く早く終わります。建物の状態と形状によって最適解は変わります。私たちは3つの工法を持っているので、「今回は足場でいきましょう」と申し上げることもあります。

Q9. 修繕積立金が足りません。何から考えればよいですか?
A. 打ち手は一時金・機構融資・段階施工・工法見直しの4つです。設計に入る前なら4つとも選べますが、足場前提で仕様と数量を固めた後では工法見直しが事実上できなくなります。順番として、工法の検討を最初に置くことをお勧めします。

Q10. 静岡県のマンション管理士無料派遣は、御殿場市の管理組合も使えますか?
A. 使えます。対象は県内のマンション管理組合で、市町の区別はありません。受付は10件、各組合2回まで、申込期限は令和8年11月14日(土)です。


この記事のポイントまとめ

  • 御殿場市に共用部の大規模修繕への直接補助は、公開情報では確認できない
  • 静岡県のマンション管理士無料派遣は受付10件・令和8年11月14日締切・各組合2回まで
  • 御殿場市の建築物耐震診断費補助は経費と基準額の少ない額の2/3。市ページに限度額の記載がない
  • 補助基準額は延べ床1,000㎡以内が1㎡3,670円、1,000〜2,000㎡が1,570円、2,000㎡超が1,050円
  • ブロック塀は撤去が上限26万6千円、建替え(フェンス等への転換)が上限43万2千円
  • ブロック塀補助は「対象となる塀を全て撤去」が条件。部分撤去は不可
  • 補助金はすべて事前申請・交付決定後の着手。予算額到達で受付終了
  • マンション長寿命化促進税制の記載が御殿場市の課税ページに見当たらない。要確認
  • 管理計画認定制度は県が町域のみ対象。市域の受付有無は市に確認が必要
  • 第4期耐震改修促進計画は「経年劣化が進んだ建築物」も対象に含めている
  • 御殿場市の想定被害は元禄型関東地震で全壊・焼失約7,150棟
  • 御殿場の年降水量2,874.6mmは三島市の1.5倍超。工期に直結する
  • 冬は日最低気温-1.9℃(1月)。凍結融解でひび割れ・浮きが冬ごとに拡大する
  • 内陸市なので塩害は相対的に軽い。防錆仕様の一律適用は根拠を確認してよい
  • 工事の窓は10月下旬〜11月。押さえるには前年秋までに業者選定完了
  • 仮設足場は総工事費の15〜25%。ブロック塀43万円とは桁が2つ違う
  • 県のセミナーは御殿場市開催なし。三島市9月12日・沼津市10月予定が最寄り

出典・参考資料

御殿場市

静岡県

国・公的機関

関連情報


主なお問い合わせ先

用件 窓口 連絡先
耐震診断補助・ブロック塀補助・管理計画認定 御殿場市 建築住宅課 0550-82-4224(FAX 0550-70-1030/kenchiku@city.gotemba.lg.jp)
固定資産税の減額(長寿命化促進税制ほか) 御殿場市 課税課 0550-82-4139 / 0550-82-4130
マンション管理士の無料派遣 一般社団法人静岡県マンション管理士会 FAX 0544-27-6561 / t_gotoh@tx.thn.ne.jp
マンション管理施策全般 静岡県 くらし・環境部 住まいづくり課 054-221-3084
管理計画認定の事前確認 公益財団法人マンション管理センター 公式サイト

御殿場市の管理組合の皆さまへ

御殿場市の公開資料を丸一日かけて読み込んで、私が受けた印象を正直に書きます。

御殿場市の耐震施策は、木造戸建てを主戦場に組み立てられています。 昭和55年以前の木造住宅の所有者の約7割が65歳以上の高齢者で家計を支えている、という調査結果まで計画に載っています。市の担当課がそこに人手を割くのは、行政判断として合理的です。

その一方で、非木造の建築物に用意されているのは「診断」までで、「工事」の補助は見当たりません。 分譲マンションの管理組合から見れば、市の耐震施策の中に自分たちの居場所が用意されていない、と感じられても仕方がない状況です。

ただ、私はもう1つのことに気づきました。御殿場市の建築物耐震診断費補助は、基準額の表に「一戸建ての住宅以外」という区分をきちんと持っていて、しかも1,500㎡の建物の計算例まで載せている。 一戸建てを想定した制度に共同住宅を無理やり当てはめている書き方ではありません。そして、他市が明記している限度額の記載がない。

これは、聞いてみる価値がある差だと思います。

「うちの市には何もない」で止めてしまうのは、もったいない。県の無料派遣は御殿場市の管理組合も同じように使えます。県のセミナーは車で40分の三島市で9月12日に開かれます。市の耐震診断補助は、条件次第で近隣市より有利かもしれません。

ロープアクセス工法そのものについてもっと知りたいという方は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで一般的な安全基準や施工事例を解説していますので、そちらもご覧ください。

まずは電話2本で20分です。建築住宅課0550-82-4224と、課税課0550-82-4139。 そして静岡県のマンション管理士無料派遣の申込書だけは、今週中にファクスしてください。10件です。

理事会の次の開催を待つ必要はありません。ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。


執筆者:本間 幸紘(株式会社明誠 代表取締役)
専門領域:マンション大規模修繕/ロープアクセス工法/建物長寿命化計画
実務経験:建設・改修業界 20年以上
所属:一般社団法人 全国建設業支援協会(JCSA)

株式会社明誠について:東京都東大和市を拠点に、東京・関東一円および静岡県内で、ロープアクセス工法・通常足場工法・ハイブリッド工法の3つを建物特性に応じて提案できる改修会社です。日本で初めてロープアクセス工事のフランチャイズを展開しています。

最終更新:2026年8月23日


ご注意:本記事の制度情報は2026年8月23日時点で公開されている一次情報に基づいています。補助制度は年度ごとに内容が変わり、予算額に達した時点で受付が終了します。申請の前に、必ず各窓口で最新の内容をご確認ください。本記事は特定の申請結果を保証するものではありません。