
先日は川崎市で痛ましい事故が起きました。
まだ1名の発見がされていないようで、ご冥福をお祈りするとともに、一刻も早い発見を望んでおります。
足場の倒壊や転落、資材の落下による死亡事故は毎年のように発生をしており、昔と比べると足場の仕様や職人が身にまとう装備も変わり、
安全性が少し高くなってきてはいるものの、依然として問題解決になっていないのが現状です。
建設業における死亡事故を過去30年間を振り返ってみると、足場からの死亡災害が160件で最多のようです。
以下、代表的な事例を御紹介します。
- 1996年(平成8年)
橋台建設工事で足場を解体中、足場上から約8m下へ墜落し死亡した事例が、厚労省の死亡災害DB平成8年版に掲載されています。 - 1997年(平成9年)
厚労省の死亡災害DB平成9年版には、約6mの足場から墜落して死亡した事例が確認できます。検索結果の要約上は詳細が省略されていますが、足場起因の死亡事故として収録されています。 - 1999年(平成11年)
橋梁新設工事で、支保工兼はねだし足場の解体作業中に足場から河床へ墜落した死亡事故が、厚労省の死亡災害DB平成11年版にあります。 - 2000年(平成12年)
厚労省の死亡災害DB平成12年版には、建築用鉄骨部材に関連する作業中、足場から墜落して死亡した事例が掲載されています。検索要約では全文は見えませんが、足場分類・墜落・死亡として確認できます。 - 2003年(平成15年)
厚労省の死亡災害DB平成15年版では、足場1段目に上っていて足場から地面へ墜落した死亡事例が確認できます。低い段でも死亡事故に至っている点が重要です。 - 2007年(平成19年)
住宅の塗装作業で、2階屋根用に組み立てた「一側足場」上から約5.5m下のコンクリート地面に墜落し死亡した事例が、厚労省の死亡災害DB平成19年版に掲載されています。ヘルメット未着用だったことも要約に示されています。 - 2010年(平成22年)
厚労省の死亡災害DB平成22年版には、足場上で解体した部材をつり綱で地上へ降ろす作業中、足場から地上へ墜落して死亡した事例が収録されています。 - 2011年(平成23年)
外壁張替工事で、高さ約1.7mの足場上から墜落し、頭や肩を強打、12日後に死亡した事例が厚労省の死亡災害DB平成23年版に掲載されています。これも「比較的低い高さでも死亡に至る」典型例です。 - 2015~2016年(平成27・28年)
厚生労働省の「足場からの墜落・転落による死亡災害事例」では、少なくとも次のような死亡事例がまとめて示されています。
・足場2層目作業床上で、外壁養生シートを片づけ中、作業床と手すりの間から後ろ向きに墜落
・躯体外壁の施工状況を点検中、作業床と手すりの間から足場外側に墜落
・最上層で防水シート巻上用ウインチを移設中、手すり等が外された箇所から墜落
・住宅外壁取付作業で、足場の手すりに乗って作業中に墜落
・3層目で窓枠コーキング作業中、バランスを崩し足場内側と建物の間に墜落
・校舎解体工事で、躯体と外部足場の隙間から墜落
・躯体屋上から足場へ、さらに足場から通路へ移ろうとして隙間から墜落。 - 2017年(平成29年)
厚労省の死亡災害DB平成29年版では、足場3層目から墜落して死亡した事例が確認できます。検索要約では詳細は省略されていますが、建築工事業の足場事故として載っています。 - 2020年(令和2年)
沖縄労働局の死亡災害発生状況によると、足場解体作業中、足場上から約18m下の地上に墜落して死亡した事故が発生しています。発生時期は2020年1月下旬、被災者は30歳代とされています。 - 2020年12月(令和2年)
長崎労働局の災害事例では、工場のスレート屋根補修工事で使用した足場の解体作業中、腐食していた既設点検台の床面を踏み抜いて約8.8m下に墜落し死亡した事例が掲載されています。足場作業に付随して、既設の脆弱な床を踏み抜いたタイプです。 - 2023年頃に公表された2022年事例
広島労働局の死亡災害速報では、足場の解体作業中、足場の2層目で建枠を外していた被災者が墜落した死亡事故が紹介されています。公表資料は再発防止を目的とした速報形式です。 - 2024年3月末時点で公表された事例
呉労働基準監督署の資料では、足場の解体作業で足場材の荷下ろしを行っていたところ、被災者が墜落し死亡、手すりが外れていたという事例が示されています。 - 2025年6月(令和7年)
東京労働局の令和7年建設業死亡災害事例では、RC造集合住宅新築工事で外部足場の解体作業中、枠組足場16段目(高さ約27m)の足場床から地面へ墜落した死亡事故が掲載されています。 - 2025年9月(令和7年)
東京労働局の同資料には、建屋の屋根に足場の控えを取り付けるため、組立途中の足場を通路として移動中、足場6層目から約8m下へ墜落した死亡事故も掲載されています。 - 2025年12月(令和7年)
東京労働局の同資料では、足場作業床からはしごを使って下りようとしたところ墜落し、死亡した事故も確認できます。足場そのものの上だけでなく、昇降時も重大リスクであることを示しています。 - 2025年1月(令和7年)
広島労働局の死亡災害等速報では、橋梁補修工事でつり足場を組み立て中、足場材を搬入していたところ、つり足場とともに約20m下へ落下し死亡した事例が示されています。これは足場上からの墜落というより、足場自体の崩落を伴う死亡事故です。
補足して押さえるべき点
この30年の公開事例を見ると、死亡事故の発生場面はかなり共通しています。典型的には、足場の解体中、手すりや防護設備を外した後の作業中、躯体と足場の隙間の移動中、足場を通路代わりに使った移動中、荷下ろしや部材移設中、はしご昇降中です。厚労省の平成27・28年事例集でも、まさにこれらのパターンが多数並んでいます。
またロープアクセスと混在される「ブランコ」による事故も調べてみました。
厚労省の資料「ブランコ作業における墜落死亡災害概要(平成20年~平成24年)」では、次の10件が整理されています。これは2008年3月~2012年4月の公表事例です。
- 2008年3月・東京
8階建てビルの5階窓ガラス清掃中、バランスを崩してブランコ台から落下。グリップ未使用。 - 2008年11月・埼玉
ビル窓ガラス清掃中、ロープが切れて墜落。会社支給品ではなく、現場に長期間放置されていた所有者不明のブランコとロープを独断で使用していた事例。 - 2008年11月・東京
6階建てビルの外壁塗装工事中、5階からロープごと墜落。 - 2010年1月・宮城
12階建てホテルの窓ガラス清掃のため、屋上からロープを垂らして作業に入る際、屋上に結んだロープがほどけて12階屋上から1階へ転落。 - 2010年6月・東京
8階建てビルの6階窓ガラス清掃中、ロープが金属製雨どいとの接触部で切断して転落。 - 2010年8月・栃木
ビル窓ガラス清掃の準備中、屋上から転落。メインロープとライフラインは取っていたとされています。 - 2010年11月・福島
火力発電所で窓ふき作業の準備中、タービン棟屋上から約21m下へ墜落。 - 2010年12月・愛知
7階建てビル外壁清掃中、メインロープとともに墜落。 - 2011年8月・東京
10階建てビルのガラス清掃中、8階付近からロープごと落下。 - 2012年4月・東京
ホテル屋上でガラス清掃のためのロープ作業を準備中、柵を乗り越えようとした際に建物外へ落下。
2. 2014年に東京で集中して発生した死亡事故
東京労働局は、2014年に東京のビルのガラス清掃作業で4人が死亡したと注意喚起しています。公表資料では次のような事例が示されています。
- 2014年・東京 事例1
ブランコ作業中、メインロープが吊り元から外れてブランコ台から墜落。ライフラインで地面への墜落自体は避けたものの、安全帯で宙づりとなり、約1時間後に救出され搬送先病院で死亡確認。 - 2014年・東京 事例2
8階建てビルの窓ガラス清掃のため、6階ベランダからブランコ作業で下りる準備中に墜落し、下方の労働者に激突。墜落した作業者と激突された労働者の2名が死亡。 - 2014年・東京 事例3
屋上通路の足場板に、メインロープとライフラインロープをともに固定してブランコ作業をしていたところ、足場板が固定鉄骨から外れ、足場板ごと墜落。
3. 2018年の東京の死亡事例
- 2018年1月・東京
東京労働局の第三次産業死亡災害事例では、清掃員がビルの窓をブランコ作業で清掃中に滑り落ち、胴ベルト型安全帯で宙づり状態となっているところを発見され、搬送先病院で死亡が確認されたとされています。
4. 法面工事など「ロープ高所作業」の死亡事故
静岡労働局の資料では、2019年・2021年のロープ高所作業による死亡災害が確認できます。
- 2019年9月
法面の既設モルタル撤去工事で、法面上部で浮石撤去作業中、何らかの理由で接続器具をメインロープから取り外した際に、高さ約15mから墜落して死亡。ライフライン未使用。 - 2021年2月
豪雨で崩落した林道の復旧工事で、法面でロープ高所作業をしていた2名に崩落した地山の一部が落下し、1名が死亡。これは純粋な「墜落」だけでなく、ロープ作業中の落石・崩落災害です。 - 2017年1月・東京
被災者(40代男性)が2階建て建造物屋上の手すり外側に立ち、安全帯を使わずにメインロープの緊結などロープ高所作業の準備をしていたところ体勢を崩して墜落し死亡。
5. 「類似作業」として厚労省資料に載っている死亡事例
厚労省の別資料「ブランコ作業の類似作業における墜落死亡災害概要(平成20年~平成24年)」には、ロープ・親綱・グリップ等を用いる類似高所作業の死亡事例が載っています。ロープアクセスと完全一致ではないものもありますが、法面作業や親綱移動中の死亡事故として参考になります。
主なものは次のとおりです。
18. 2008年2月・北海道 発電所内の照明灯から降りる際に足を滑らせ、地上約16m位置で宙づりとなり救助後も意識が戻らず死亡。
19. 2008年9月・山梨(法面) 急斜面で丸太を組み立て固定しようとしていた際、ワイヤー切断で丸太とともに滑落。親綱から安全帯を外していた。
20. 2009年2月・山梨(法面) 切り株を法面に沿って切り下げる作業中、移動時に足を滑らせ、グリップが親綱から抜けて転落。
21. 2009年7月・新潟(法面) 法面の吹付モルタル補修中、親綱がゆるみ転落。
22. 2009年10月・北海道 集水井内部に進入後、親綱が切断し約33m落下。
23. 2009年11月・山梨(法面) 落石防止工事で掘削機を運搬中、親綱を替えようとして安全帯(グリップ)を外したところバランスを崩し、高さ約60mの斜面を転落。
ここまでで見える傾向
公的資料で確認できた範囲では、死亡事故は大きく次の型に分かれます。
ロープのほどけ・切断・擦れ切れ、吊り元や固定物の不適切さ、準備中の墜落、ライフライン未使用、安全帯や接続器具を一時的に外したこと、宙づり後の救助遅延です。東京労働局の資料でも、2014年の死亡災害の多くは基本的な安全対策で防げた可能性があるとされ、ライフライン未接続や固定不良が主因として示されています。
ブランコ作業は装備からみても安全性が高いとは言えず、やはり死亡事故が発生しています。
一方でブランコと似て非なるロープアクセスの安全性とは、どのようなものなのでしょうか。
ロープアクセス(ロープ高所作業)は、「危険そう」という直感的な印象を持たれがちですが、実際には適切な教育・装備・手順のもとで運用される限り、非常に安全性の高い高所作業手法として世界的に評価されています。本稿では、その安全性の高さについて、構造的な理由、統計的背景、他工法との比較、そして実務的観点から整理します。
1. ロープアクセスの安全性は「設計思想」から高い
ロープアクセスの最大の特徴は、「人の安全を前提に設計された作業体系」である点です。特に重要なのが二重安全(冗長性)の考え方です。
基本構成として、作業者は必ず
・作業用ロープ(メインロープ)
・安全確保用ロープ(ライフライン)
の2系統に同時接続されます。
つまり、仮に一方のロープに異常が発生しても、もう一方が機能することで即座の墜落を防ぐ構造になっています。この「単一障害では致命事故にならない設計」は、航空・医療・原子力などの安全分野と同様の思想です。
さらに、下降器・バックアップデバイス・フルハーネス・カラビナなど、すべての器具が国際規格(EN規格等)に準拠しており、機器単体でも極めて高い信頼性を持っています。
2. 安全性を支える厳格な教育・資格制度
ロープアクセスの安全性は、単に装備だけでなく、人材教育の水準の高さによっても支えられています。
代表的な国際資格としては
・IRATA(Industrial Rope Access Trade Association)
・SPRAT(米国)
などがあり、これらは世界的に標準化された安全基準を持っています。
特にIRATAでは、以下のような特徴があります。
- レベル1~3の段階的資格制度
- 実技中心の厳格な試験
- 3年ごとの再認証
- 作業中の監督者(レベル3)の配置義務
これにより、未熟な作業者が単独で危険作業を行うことが制度上防がれている点が重要です。
また、現場では必ず「レスキュープラン(救助計画)」が事前に策定され、万一の事態にも迅速に対応できる体制が求められます。
3. 統計的に見ても事故率は低い
ロープアクセスは高所作業であるためゼロリスクではありませんが、統計的には非常に低い事故率を示しています。
国際的に見ると、IRATAの年次レポートでは、数千万作業時間あたりの重大事故発生率が他の建設作業より低い水準で推移しています。これは、足場作業や高所作業車と比較しても優位な傾向です。
一方、日本の建設業全体では、墜落・転落が死亡災害の最大要因であり、その多くは足場や屋根、開口部からの転落です。これに対してロープアクセスは、
- 常時安全帯接続(フリーフォールが起きにくい)
- 作業範囲が限定される(不用意な移動が少ない)
- 危険箇所に長時間滞在しない
といった特徴により、構造的に事故リスクが抑えられています。
4. 足場工法との比較で見える安全性
一般的に高所作業といえば足場が主流ですが、ロープアクセスは以下の点で安全性の優位性があります。
(1)墜落の仕組みが根本的に異なる
足場では、作業者が手すりの外に出る、開口部から落ちる、移動中に踏み外すなど、「人のミスが直接墜落につながる」構造です。
一方ロープアクセスでは、常にロープで身体が保持されているため、仮にバランスを崩しても即座に自由落下することはありません。
(2)構造物リスクが少ない
足場は「組立」「解体」という工程自体に重大なリスクがあります。実際、死亡事故の多くは足場の解体中に発生しています。
ロープアクセスは足場を組まないため、
・組立崩壊
・資材落下
・構造不良
といったリスクを根本的に排除できます。
(3)作業時間の短縮=リスク低減
ロープアクセスは設置・撤去が迅速で、作業時間が短くなります。これは単純に危険にさらされる時間が短くなることを意味します。
5. 実務的に見た安全性の高さ
現場レベルで見ると、ロープアクセスは「管理しやすい安全性」を持っています。
まず、作業者は常に限られた人数で作業するため、監督の目が行き届きやすいという特徴があります。足場作業のように多数の作業員が広範囲で動く場合に比べ、ヒューマンエラーの発見・是正が容易です。
また、作業前には必ず
- アンカー(固定点)の強度確認
- ロープの摩耗チェック
- 天候・風速の確認
などを行うため、事前リスク評価の精度が高いのも特徴です。
さらに、ロープアクセスでは「危険な場所に無理に立つ」必要がないため、心理的にも安定した作業が可能です。これはヒューマンエラーの抑制にも寄与します。
6. それでも事故が起きる理由
安全性が高いとはいえ、事故がゼロではないのも事実です。過去の事故を見ると、その多くは
- ライフライン未使用
- ロープの固定不良
- 機器の不適切使用
- 手順逸脱
といった基本ルールの違反に起因しています。
つまり逆に言えば、ルールを守れば極めて安全性が担保される作業体系とも言えます。
まとめ
ロープアクセスは、
・二重安全構造
・高度な教育制度
・国際規格に基づく装備
・統計的に低い事故率
・足場より優位なリスク構造
といった複数の要素により、高所作業の中でも特に安全性の高い工法の一つと評価できます。
重要なのは、「危険そうに見える」ことと「実際に危険である」ことは必ずしも一致しないという点です。ロープアクセスは見た目の印象に反して、むしろ科学的・構造的に安全が設計された作業手法であり、適切に運用される限り、今後さらに普及が進む合理的な工法と言えるでしょう。
世界的に安全性が認められている技術でもあることから、高い評価ですが、とはいえ、人が行うことに変わりはなく、弊社では年4回のトレーニングを徹底して万に一つの可能性も無くすようにしています。
弊社は通常の足場による大規模修繕工事と無足場工法によるロープアクセス工事の両方から最適なご提案が出来る日本でも数少ない事業形態で、ロープアクセスによる工事は通表の足場による工事と比べて平均20%ほど安く工事が可能です。
一方でロープアクセスで工事を行える会社が非常に少ないため、ロープアクセスによる工事が行える会社を増やすためにFC本部として安価に施工が出来る会社を増やしています。
事業内容として外壁打診調査、漏水調査、ピンポイントの塗装、防水、タイル補修など建物の事であれば何でも行っています。
また空室対策、不動産管理、地震保険や補助金助成金申請サポート、各専門の士業の御紹介などオーナー様の様々なお困りごとをトータルでサポートもしております。
相談は無料ですので、お悩みがある方は、お気軽にお問い合わせください。
https://meiseitosou.com/contact/


