大規模修繕はロープアクセスが提案可能な東京の明誠へ

創業から6000棟超の施工実績

ペロブスカイト規制緩和と大規模修繕の同時実施──屋上・外壁を「発電する資産」に変える2026年度、マンション・ビルオーナーが今動くべき5つの実務

ペロブスカイト規制緩和と大規模修繕の同時実施──屋上・外壁を「発電する資産」に変える2026年度、マンション・ビルオーナーが今動くべき5つの実務

結論先出し:屋上防水・外壁改修と「発電」を分けて考える時代は、もう終わる

2026年度から、化石燃料の使用量が多い1万2,000の事業者を対象に、工場・店舗の屋根に太陽光パネルの導入目標を策定する義務が始まります。経済産業省は同時に、薄くて軽い次世代電池である「ペロブスカイト太陽電池」の普及に向けた規制の見直しを2026年度中に措置する方針を打ち出しました。環境省は2026年度予算で、窓・壁・屋根と一体化したBIPV(建材一体型太陽光発電)の導入に補助率2/3〜3/4の高水準支援を継続します。

私はこの動きを、「屋上防水と外壁改修と発電設備を、別々の工事として時間軸で順番に並べる時代は、もう終わる」という大きな転換点として受け止めています。マンション・ビルのオーナーや管理組合にとって、大規模修繕の周期に合わせてペロブスカイトBIPVを同時導入できれば、足場費・養生費・申請費の重複が消えるだけでなく、修繕積立金不足という長年の悩みに対しても「電気代の自家消費削減」「余剰電力の収益化」という新しい解を出せるからです。

本稿では、現場で20年以上、ロープアクセスと足場工事の両方で大規模修繕の見積もりを引き続けてきた私の視点から、2026年度のペロブスカイト・BIPV規制緩和の論点と、オーナー・管理組合が「今すぐ動くべき5つの実務」を整理します。

2026年度に動く制度の全体像──3つの政策パッケージ

ここでまず、2026年度に動く政策の塊を3つに分けて整理しておきます。

第一に、経済産業省が打ち出した「太陽光設置目標の策定義務化」です。化石燃料の使用量が多い特定事業者制度の対象となる1万2,000事業者を対象に、屋根置きの太陽光パネル導入目標を策定する義務が2026年度から始まります。多くの工場・倉庫は重い設備を屋根に載せる前提で設計されていないため、軽量で曲面にも対応できるペロブスカイト型が「事実上の選択肢」となる構図です(出典:日本経済新聞「太陽光、工場や店舗に26年度から設置目標義務 ペロブスカイト」「太陽光設置目標を義務に 工場や店 1.2万事業者対象 来年度から、ペロブスカイト導入促す」)。

第二に、政府全体としての「ペロブスカイト普及に向けた建築物関連規制の見直し措置」です。スマートグリッドフォーラムが報じた通り、政府はペロブスカイトの社会実装を加速させるために、建築物への適用見直しを2026年度中に措置する方針を示しています(出典:スマートグリッドフォーラム「政府がペロブスカイト普及へ規制緩和」)。これは、屋根や外壁という「建築物の主要構造部・外装」にBIPVを設置する際の、建築基準法・防火・耐風・耐荷重の運用ハードルを下げる動きです。

第三に、環境省が2026年度予算で継続する「ペロブスカイト・BIPV導入支援事業」です。建物の屋根・窓・インフラ空間への導入に対し、補助率は最大2/3または3/4。フィルム型で10kg/㎡以下、1施設あたり5kW以上、自家消費率50%以上、FIT/FIPは対象外、施工後のデータ提出義務といった要件があります(出典:環境省「ペロブスカイト太陽電池の導入支援事業」政府部門におけるペロブスカイト太陽電池の率先導入について(環境省地球環境局))。

この3つは、それぞれ別の役所が、別のタイムラインで動いているように見えます。しかし大規模修繕の現場から見ると、「2026年度〜2027年度に決定される設置目標・規制緩和・補助金の組み合わせ次第で、屋上防水と外壁改修の最適タイミングが大きくずれる」という1つの論点に集約されるのです。

なぜ「大規模修繕と同時にBIPV」なのか──現場のコスト構造から見た合理性

正直にお話しすると、私はかつて「太陽光は太陽光、防水は防水」という縦割りで案件を回していました。ところが2010年代半ば以降、修繕周期の途中で太陽光の設置工事を入れざるを得なくなった現場を何件も担当する中で、考えを大きく変えました。

ある中規模分譲マンション(13階建・60戸)では、大規模修繕の3年後に管理組合が「屋上に太陽光を載せたい」という議案を可決し、後追いで設置工事を行いました。その結果、足場架設・養生・防水層への再貫通・保証の再確認といった工程がほぼ丸ごと重複し、太陽光単体での工事費は当初見積もりの1.7倍まで膨れ上がりました。さらに防水層を再貫通したことで、メーカー保証の延長交渉が長期化し、結果的に「導入は5年延期」という決議が下されたのです。

このとき私が痛感したのは、「屋上防水・外壁改修・太陽光設置・避雷設備更新は、本来1つの工事として設計しないと、足場費と申請費が3〜4回ダブる」という冷たい事実でした。国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインでも、修繕計画は少なくとも5〜7年に1回見直すよう求められています(出典:国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン」)。この見直しのタイミングで、ペロブスカイト・BIPVの導入可否を必ず検討項目に入れる──ここが、2026年以降の管理組合運営の分かれ目になると私は考えています。

ペロブスカイトの軽量性(10kg/㎡以下相当)は、既存マンションの屋上耐荷重問題、特に旧耐震・新耐震境目世代の建物群でこそ価値を発揮します。シリコン系の重い結晶パネル(一般に16〜20kg/㎡)を載せるには構造補強が必要で、その補強費は1棟あたり数百万円〜1,000万円規模に達することも珍しくありません。ペロブスカイトは「補強なしで載せられる可能性が初めて生まれた」という選択肢なのです(出典:自然エネルギー財団「ペロブスカイト太陽電池に高まる期待」YKK AP「秋葉原駅前広場 BIPV実証実験」)。

ロープアクセス・無足場工法が、BIPV普及の隠れた主役になる理由

ここでもう1つ、業界の中であまり大きく語られていない論点をお伝えします。それは、「ペロブスカイトBIPVの普及には、ロープアクセス・無足場工法の存在が、想像以上に大きく効いてくる」という事実です。

シリコン系の重量パネルを屋上に設置する従来工事では、足場架設は前提でした。一方でフィルム型ペロブスカイトは、1枚あたり数kg以下と軽量で、巻物のような形状で現場に搬入できます。屋上であれば屋上面からの直接施工で済むケースが多く、外壁であれば足場ではなくロープアクセスの職人が、安全帯と化学アンカー、専用接着剤を使って施工する方法が現実的になります。

実際、欧州のBIPV施工現場では、ロープアクセス技術者(IRATA/SPRAT資格保有者)が外壁ペロブスカイトの貼付を担う事例が報告され始めています。日本ではロープアクセスは橋梁・煙突・大規模煙突点検が主戦場でしたが、BIPVの拡大に合わせて「建築物外壁の発電設備施工」という新しい主戦場が生まれつつあります。明誠が日本で初めて立ち上げたロープアクセス工事フランチャイズには、塗装・防水・タイルに加えて電気工事の専門会社も加盟しており、BIPV施工に必要な「外壁施工+電気接続」の一気通貫対応が組める体制が整っています。

私は2026年から2027年にかけて、ロープアクセス技術者の中に「BIPV施工士」のような社内資格を整備していく必要があると考えています。施工品質の標準化、安全管理、検査基準の明確化──ここを業界として整備できれば、日本のBIPV普及は欧州を追い抜くスピードで広がる可能性があると本気で思っています。

3工法の使い分けが、BIPV同時施工の品質を決める

ここで明誠が日本で数少ない「3工法提案できる会社」である強みを率直に申し上げさせてください。BIPVを大規模修繕と同時に施工する場合、足場とロープアクセスの使い分けが、工期・コスト・住民への影響の3点を大きく左右します。

通常足場工法は、屋上に大型設備(パワーコンディショナや蓄電池)を一気に搬入する場合に依然として有効です。重量物の安全な揚重、職人の同時並行作業、雨天時の養生範囲の広さなど、メリットは多々あります。一方で足場費は工事全体の15〜25%を占めることもあり、住民の窓を遮る期間も長くなります。

ロープアクセス工法(無足場工法)は、外壁BIPV(壁面一体型のペロブスカイトフィルム)の施工で真価を発揮します。フィルム型ペロブスカイトは軽量で大型の足場架設を必要としないため、ロープアクセスの職人が直接外壁に施工できるケースが増えています。窓を遮らない、足場費が大幅に削減できる、工期が短くなる──これは特に賃貸ビル・ホテル・テナント物件で「営業を止めない大規模修繕」を実現する強力な武器になります。

ハイブリッド工法は、屋上ペロブスカイトと外壁BIPVを同時に施工する大規模案件で最適化のカギを握ります。屋上は足場とローダーで重量物搬入、外壁はロープアクセスで施工──と部位ごとに使い分けることで、足場費を全体で20〜35%削減できる試算が出ます。

「3工法から最適提案できる」とは、単なるカタログ上の話ではありません。BIPV同時施工のような複合工事こそ、提案力が金額として表れる領域なのです。

オーナー・管理組合が今すぐ確認すべき5つの実務

ここからは、2026年度のペロブスカイト規制緩和・補助金活用を視野に入れて、マンション・ビルオーナー、管理組合が今すぐ確認すべき5つの実務を整理します。

実務1:長期修繕計画の見直しに「BIPV導入可否」を必ず項目化する

国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインに沿った5〜7年ごとの計画見直しに合わせて、「次回大規模修繕の際にBIPVを同時施工するか」を明示的に議案化してください。検討項目は4つです。第一に屋上の耐荷重(旧耐震基準か新耐震か、構造補強の要否)、第二に外壁の方位と日射量、第三に共用部の電力使用量(夜間照明・エレベーター・給水ポンプ)、第四に管理組合の議決ハードル(共用部の変更は区分所有法第17条で4分の3以上の特別決議が必要)。この4項目を1つの議題として扱うことで、「太陽光は別議案」という後追い意思決定を防げます。

実務2:屋上・外壁の「ありのまま」を一度きちんと計測する

私が現場で最も多く見るのは、「屋上防水の改修履歴がはっきりしないまま、見積もり比較に入ってしまう」というケースです。ペロブスカイトを載せる際には、屋上防水層の種類(アスファルト、ウレタン、塩ビシート等)、改修履歴、メーカー保証の残存年数、ドレン・パラペットの状態、避雷設備の更新時期──この5点をワンセットで台帳化する必要があります。建物管理組合が単独でこの台帳を整備するのは難しいので、設計コンサルか施工会社と連携し、ロープアクセスや高所点検技術を使った「点検と並行した計測」を提案してください。橋梁点検でロープアクセスが標準化しつつある流れは、マンション・ビルの屋上・外壁点検にも応用できる時代になっています(参考:インフラ高所点検 ロープアクセス橋梁点検(YouTube))。

実務3:補助金の「使えるタイミング」と「使えない条件」を早めに把握する

環境省のBIPV補助は、フィルム型中心で10kg/㎡以下、1施設あたり5kW以上、自家消費率50%以上、FIT/FIP不可、施工・導入後のデータ提出が条件です。マンションの場合、共用部の電力消費だけでは5kW・自家消費率50%を満たさないケースがあり得るため、共用部だけでなく蓄電池との組み合わせや、専有部での電力小売(管理組合発電・各戸供給)の可否を早い段階で検討する必要があります。東京都のマンション改良工事助成制度は、外壁塗装・屋上防水と並んで太陽光発電設備設置工事も融資対象に含まれており、国の補助金との重ね使いができる場面もあります(出典:東京都マンションポータルサイト「マンション改良工事助成制度」環境省BIPV支援事業概要)。

実務4:見積もりは「足場費・申請費の重複」が消えているかを必ずチェックする

これは私が一番声を大にして申し上げたい論点です。大規模修繕と同時にBIPVを施工する見積もりを取り寄せた際、「足場費」「養生費」「申請費」「廃材処分費」がそれぞれ独立して計上されている見積もりが、いまだに多く出回っています。本来、同時施工であればこの4項目の大半は1回分に圧縮できるはずです。見積もり比較表を作る際は、横軸に「屋上防水」「外壁改修」「BIPV設置」「シーリング更新」「鉄部塗装」を並べ、縦軸に「直接工事費」「足場費」「養生費」「申請費」「諸経費」を入れて、足場費・養生費の数字が部位ごとに重複していないかを必ず確認してください。重複が消えていない見積もりは、その時点で再見積もりを依頼すべきです。

実務5:管理組合の合意形成スケジュールを「住民説明会から逆算」して組む

国土交通省の調査でも、大規模修繕の最大の難所は「住民合意形成」です。BIPV同時施工となれば、議案の複雑さは一段上がります。先日、マンション住民説明会の進め方について現場のプロが「説明会は意見を言う場でもあるんやで」と発信していたコラムを読みましたが、まさにその通りで、説明会は「決まったことを伝える場」ではなく、「不安・反対意見を引き出して論点を整理する場」です(参考:マイベストプロ/宇野俊明「説明会は意見を言う場でもあるんやで」「説明会って、ただの集まりちゃうで!」)。BIPV導入の議論では「初期費用」「保証の重複」「故障時の責任主体」「景観影響」「20年後の撤去費」の5論点が必ず出ます。これらを総会の3〜6か月前から段階的に説明し、第1回説明会で論点を引き出し、第2回で具体策を提示する2段階方式が私の推奨です。

大規模修繕とBIPV同時施工で「ここを間違えると致命的」な3つの落とし穴

5つの実務を整理した上で、私が現場の見積もり・設計打ち合わせで何度も繰り返し見てきた、「ここで失敗すると後戻りができない」3つの落とし穴も共有しておきます。

落とし穴1:屋上防水の保証と発電設備の保証が二重に走り、責任の所在が曖昧になる

これは現場で最も頻発する問題です。屋上防水は通常、防水材メーカーが10〜15年の保証を提供しますが、防水層を貫通して発電設備を設置すると、メーカーは「貫通部由来の漏水は保証対象外」と判断するのが一般的です。一方、発電設備のメーカーは「防水層の劣化由来の故障は対象外」と返してくる。結果として、漏水や発電不良が発生した瞬間に「どちらの責任か」を巡って数か月から1年単位で交渉が止まる事例が、私の手元だけで過去5年間に7件あります。BIPV同時施工であれば、貫通部設計を防水層側に最適化できるため、保証主体を「貫通部含めて防水材メーカー」「BIPV側は発電性能のみ保証」と整理しやすくなります。これは設計段階で必ず詰めるべき論点です。

落とし穴2:管理組合の議案構成が「太陽光は別議決」になっていると、合意形成が二重に難航する

区分所有法第17条が定める共用部の変更は、原則4分の3以上の特別決議が必要です。大規模修繕と太陽光導入を別議案にすると、「修繕は賛成、太陽光は反対」という分裂議決が発生し、結果としてどちらも進まなくなるケースが私の周辺でも複数あります。私が推奨しているのは、「大規模修繕計画の中にBIPVを含めた『1つの議案』として提案し、不採択時はBIPV部分のみ取り下げて修繕本体は進める」という設計です。議事録の文言設計が極めて重要なので、管理組合の理事の方は必ず弁護士か、合意形成支援の専門家に文案チェックを依頼してください。

落とし穴3:補助金申請のタイミングが、工事入札のタイミングとずれている

環境省のペロブスカイト・BIPV補助は公募期間と採択発表のスケジュールが固定されており、年度内に交付決定を得るには、工事入札・契約・着工のスケジュールを補助金側に合わせる必要があります。「とりあえず修繕を発注してから補助金を申請する」という順序では、ほぼ確実に不採択になります。逆に「補助金の交付決定を待ってから入札を始める」とすると、修繕本体の工期がずれて住民への影響が長引きます。この調整を間違えると、補助金1,000万円規模の支援がそっくり受けられなくなる、もしくは修繕本体が半年遅れる、という二者択一に追い込まれます。施工会社と補助金申請の専門家を、設計段階から「同じ打ち合わせテーブル」に座らせるのが、私の経験上の唯一の解です。

大規模修繕とBIPVを同時にやった建物の、20年スパンの数字感

ここで、私が手元の見積もり・概算データから組み上げた「20年スパンの収支イメージ」を、参考までにお示しします。あくまで標準的な分譲マンション(13階建・60戸・延床面積約4,500㎡・屋上面積約600㎡)を想定した試算であり、実際の数字は建物条件で大きく振れるとご理解ください。

通常パターン(大規模修繕のみ)の場合、12〜15年周期の大規模修繕費用が約1.2億円、外壁追従修繕・防水追従工事を合わせて20年スパンで合計約2.5〜3.0億円。共用部電力料金は年間約120万円〜180万円が積み上がる構造です。

BIPV同時施工パターンの場合、初回の大規模修繕+BIPV同時施工の総額は約1.4〜1.5億円。BIPVの初期費用は約2,000万円〜2,500万円ですが、環境省補助2/3が適用されると実質負担は約700万円〜1,000万円。発電による共用部電力削減効果は年間約60万円〜100万円、余剰電力の売電・自家消費融通で年間追加で約30万円〜50万円。20年スパンで見ると、共用部電力料金の総削減額は約1,200万円〜1,500万円、BIPVの寿命到来時の交換費用が約1,000万円。差し引きの累積収支は、通常パターンより500万円〜1,500万円改善する試算になります。

この数字以上に重要なのは、「修繕積立金を取り崩す圧力が、毎月数千円から1万円規模で軽くなる」という日々の感触です。修繕積立金の値上げが管理組合の最大の争点になるマンションが多い中で、共用部電力料金の継続的な圧縮効果は、住民の納得感を変える可能性を秘めていると私は感じています。

私が大規模修繕の現場で感じる、2026年の本当の意味

私はこの仕事を始めた頃、「屋上防水は10〜15年に1度、外壁塗装は12〜15年に1度、太陽光は20年に1度」と教わりました。それぞれの工事の周期がほぼバラバラだったからこそ、足場・申請・住民合意も「その都度」設計していたのです。

しかし、ペロブスカイトの登場とBIPVの実装が現実になった今、屋上防水と外壁改修と発電設備の「3つのライフサイクル」は、初めて重なり始めました。ペロブスカイトの寿命がシリコン系より短い(現時点で10〜15年想定)という事実は、一見ネガティブに見えますが、実は「大規模修繕と完全に同期させられる」という意味で、修繕計画上は極めて好都合なのです。

2026年度から始まる設置目標義務化、規制緩和、補助金──これらはマンション・ビルオーナーに対して、ある問いを突きつけています。「あなたの建物の屋上・外壁を、これからも『費用を吸い込み続ける場所』として持ち続けますか。それとも『電気と資産を生み出す場所』に変えますか」。

この問いに、すぐに正解を出す必要はありません。ですが、次の大規模修繕の議案を作る前に、必ず一度立ち止まって、「BIPV同時施工の可能性を排除せずに見積もりを取った場合と、従来通り防水だけを更新した場合の、20年スパンの収支比較」をしてみてください。これだけで、管理組合の議論の質は確実に変わります。

公共工事入札に挑戦している私が、民間オーナーに伝えたい3つのこと

明誠は2026年から公共工事の入札に挑戦しています。講座2期生として、入札参加資格、技術提案書、施工計画書の作成までを一通り経験する中で、私が「民間オーナーにも伝えたい」と思った3つのことがあります。

第一に、「契約書の技術者条項」の重要性です。公共工事では監理技術者の専任義務が極めて厳格に運用されますが、民間の大規模修繕でも、契約書に「監理技術者・主任技術者の交代に関する条項」を明記しているかどうかで、トラブル時の交渉力が大きく変わります。BIPV同時施工のような複合工事では、防水・塗装・電気工事の各専任技術者の配置義務が交錯するため、契約段階で技術者の体制図と交代承認手続を文書化する慣行を、民間案件にも広げていきたいと考えています。

第二に、「総合評価方式」の発想を民間に持ち込む価値です。公共工事の総合評価方式では、価格だけでなく技術提案・施工実績・地域貢献度を加点評価します。民間の大規模修繕で「価格の安い順」に施工会社を選んでしまうと、BIPVの工程設計力・防水とBIPVの一体保証提案・住民説明会の運営支援といった非価格要素が見えなくなります。私が御提案している「明誠の見積もり比較表」は、まさにこの総合評価方式の発想を民間案件に翻訳したものです。

第三に、「品確法の発想を共用部にも」です。公共工事品質確保促進法(品確法)は、ライフサイクルコストと施工後の維持管理性を発注段階から評価することを求めています。民間マンションの大規模修繕でも、20年スパンの修繕積立金推移・BIPV寿命と修繕周期の同期・住民の生活影響──この3点を見積もり比較の基準に組み込めば、入札参加の施工会社の提案の質は確実に変わります。

ロープアクセス・フランチャイズだからこそ提供できる、これからの大規模修繕

最後に、私が代表を務める明誠と、私が運営する一般社団法人全国建設業支援協会(JCSA)のスタンスを、利益相反開示として明確にしておきます。

明誠は、塗装・防水・タイル・電気・看板・点検といった専門職が加盟する、日本で初めてのロープアクセス工事フランチャイズを運営しています。フランチャイズ加盟各社は、足場費を抑えながら専門領域に集中することで、高品質・低価格を実現してきました。BIPV同時施工のような複合工事は、単一の施工会社では工程設計が難しいため、フランチャイズ網の中で「専門職連携」を組める明誠の体制が活きる領域です。

JCSAでは、建設業の経営者・現場責任者向けに、法改正・補助金・新工法のオンラインセミナーや交流会、ビジネスマッチングを提供しています。2026年度のペロブスカイト・BIPV関連の規制緩和・補助金については、JCSAのセミナーで実務担当者向けに「補助金申請の落とし穴」「見積もり比較表のテンプレート」「住民説明会のロールプレイ」などを順次公開していく予定です。

私自身、現場叩き上げで20年以上、足場とロープを行き来してきた者として申し上げると、2026年度は「大規模修繕の前提が静かに、しかし決定的に変わる」年になります。マンション・ビルオーナーの皆さま、管理組合の理事の皆さま、ぜひ一度、長期修繕計画の見直しタイミングをカレンダーで確認してみてください。そして、BIPVを「絶対にやる」「絶対にやらない」のどちらでもなく、「やる可能性を排除しない形で見積もりを取り直す」という第三の選択肢を、必ず議論の俎上に載せていただきたいと思います。

明誠は、3工法のどれが御社の建物にとってベストなのかを、忖度なしにお伝えします。ロープアクセスありき、足場ありき、ではなく、建物の特性・住民の事情・資金計画から逆算して、最も合理的な工法を提案する。これが私たちの仕事の核心です。御相談は、いつでもお気軽にどうぞ。

主要出典