
総会の季節になると、私のところへ「本間さん、今年の修繕、また見積もりが上がったんですが、これ普通なんですか」というご相談が増えます。築20年前後のマンションをお持ちの理事長さま、収益物件を何棟か回しているオーナーさま。皆さま、決まって同じ顔をされます。「自分の物件だけが割高なのか、それとも世の中全体がそうなのか」が分からない、という顔です。
結論から申し上げます。それは、あなたの物件だけの話ではありません。日本全体で、建物を直すコストそのものが構造的に上がり続けています。そして2026年6月、その流れに対して業界団体が「初めて」と言われる動きを取りました。今日は、そのニュースを入り口に、現場で20年やってきた私が「値上げの前に必ず確認すること」を、できるだけ正直にお話しします。
2026年6月、建設業界で「初めて」の協議体ができた
2026年6月1日、デベロッパーが加盟する不動産協会と、建設大手が加盟する日本建設業連合会(以下、日建連)が、建設費高騰への対応を話し合う協議会を設置しました。報道によれば、両者が共同で協議体を設けるのは初めてのことです(出典:日本経済新聞「不動産と建設の業界2団体、建設費高騰で協議会 生産性向上など議論」)。
協議会は1年後をめどに、連携して解決すべき優先課題を整理し、取り組み方針をまとめる想定です。具体的なテーマごとの議論は実務者レベルの幹事会が担い、2026年度中に2〜3カ月に1回ほど開かれる予定とされています。背景には、再開発の停滞があります。建てる側も、発注する側も、「このままでは事業が成り立たない」という危機感を共有し始めた、ということです。
実はこの協議会、降って湧いた話ではありません。不動産協会は2025年11月に、建設費高騰への対応をめぐって日建連へ緊急の申し入れを行い、協議の場の設置を求めていました(出典:建設通信新聞Digital「建設費高騰問題で日建連に異例の申し入れ/実務協議の設置へ調整/不動産協会」)。発注者側が「異例の申し入れ」をするほど、現場の数字は逼迫していた、ということです。
ここで一度、立ち止まっていただきたいことがあります。これは新築の再開発や超大型案件だけの話だと思われがちですが、そうではありません。建物を直すための単価が上がっているという事実は、あなたのマンションやビルの「次の大規模修繕(建物全体を一斉に直す十数年に一度の大工事)」の見積もりにも、確実に効いてきます。ここからが本題です。
値上がりは「直す」だけでなく「建てる」も止め始めている
この建設費高騰は、修繕の現場だけの話ではありません。象徴的なのが、大型ホテルの建て替え計画にまで遅れが出ていることです。報道では、建設費の高騰を背景に、著名なホテルの建て替えで解体工事の着工時期が延期されるなど、計画の見直しが相次いでいるとされています(出典:朝日新聞「帝国ホテルも…建設費高騰で相次ぐ計画遅れ 業界は『異例』の協議会」)。「建てる」という最も体力のある事業者ですら、いったん立ち止まらざるを得ない。それが今の建設コストの水準だ、ということです。
加えて、足元では資材調達の不安も重なっています。中東情勢などを背景に、石油由来の建築資材の供給不安が指摘され、建築資材の品切れ・品薄が相次いでいるという報道もあります。塗料をはじめ、修繕に欠かせない資材が「お金を出しても、すぐには手に入らない」局面が出てきている、ということです。私の周りでも、特定の塗料や副資材の納期が読みにくくなったという声を、現場から実際に耳にします。
私がここで申し上げたいのは、不安を煽ることではありません。むしろ逆で、「価格が下がるのを待つ」という選択肢が現実的ではなくなりつつある、という事実を冷静に共有したいのです。待っている間にも資材費と人件費は上がり、必要な資材が手に入りにくくなる。だとすれば、限られた予算の中で「工法と段取りで賢く削る」ことに知恵を集中させるほうが、ずっと建設的だと私は考えています。
なぜここまで上がったのか——労務単価14年連続増という「構造」
「資材が高い」「人手が足りない」という話は、皆さまも耳にされていると思います。ただ、なんとなくの印象ではなく、公的な数字で押さえておくと、総会での説明がぐっと楽になります。
国土交通省は、令和8年(2026年)3月から適用する公共工事設計労務単価を、全国全職種の単純平均で前年度比4.5%引き上げました。全国全職種の加重平均値は25,834円となり、初めて25,000円を超えています。しかもこれは、平成25年度の改定から数えて14年連続の上昇です(出典:国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」)。
公共工事設計労務単価というのは、国が公共工事の予算を組むときに使う「職人さん一人を一日雇うといくらか」の基準額です。民間の大規模修繕に直接そのまま使うわけではありませんが、職人さんの賃金相場を映す代表的な指標として、民間工事の見積もりにも影響します。これが14年連続で上がり、ついに一日2.5万円を超えたという事実は、「人件費が一時的に跳ねている」のではなく「もう戻らない水準で上がり続けている」ことを意味します。
資材側も同じ方向です。日建連の整理では、2021年1月と比べて全建設コストは25〜29%ほど上昇しているとされています(2025年8月版の試算)。直近でも建設物価は前年同月比でプラス数%の上昇が続いており、ある調査では2025年8月の建設総合の建設物価指数(東京)は143、前年同月比+3.2%という水準が示されています。
私が現場で20年やってきて、一番悔しい思いをするのは、こうした「構造的な値上がり」を、まるで施工会社のさじ加減のように受け止められてしまうときです。値上がりの大半は、職人さんの正当な賃金と、世界的な資材コストの上昇から来ています。ここを誤解したまま総会で「もっと安い会社はないのか」という議論だけを続けると、肝心の「どこで本当にコストを削れるのか」という話にたどり着けません。
なお、大規模修繕は塗装・防水といった人件費の比重が高い工事が多いのも特徴です。つまり、労務単価の上昇がそのまま効きやすい構造を持っています。一般的な建築物価の上昇率よりも、修繕工事のほうが上振れしやすい、と私は現場感覚として受け止めています。
大規模修繕費は、この10年あまりで「約1.6倍」になった
数字を、皆さまの財布の感覚に置き換えてみます。
民間のコスト試算では、マンション大規模修繕の費用は1戸あたりで、2013年ごろの約93万円から、2025年には約150万円へと、この十数年で約1.6倍に上昇したとされています。2026年の予測値は1戸あたり約161万円という試算もあり、工事内容によっては1戸あたり200万円を超えるケースも珍しくない、というのが各社の見立てです(民間試算のため、あくまで目安としてご覧ください。出典:新東亜工業「マンション大規模修繕の費用推移」)。
100戸のマンションなら、1戸あたり50万円の差は、それだけで総額5,000万円の差です。これは決して小さな端数ではありません。だからこそ、私はオーナーさま・理事会に「総額の数字だけを見て一喜一憂しないでください」とお伝えしています。見るべきは「総額のうち、どこが構造的に動かせない費用で、どこが工夫の余地のある費用か」です。
そして、ここに収益不動産オーナーならではの論点が加わります。修繕の遅れや、見栄えの劣化は、空室率や家賃水準にそのまま跳ね返ります。直近では各地で募集家賃が最高値を更新したという調査も出ており、立地と建物の状態が良ければ賃料を維持・向上できる地合いではあります。逆に言えば、修繕を先送りして建物の印象を落とすことは、いまの市況では「取れるはずの家賃を自ら手放す」ことになりかねません。コスト削減と資産価値維持は、本来セットで考えるべきものなのです。
値上げの前に、私が必ず確認する「3つの工法」
ここからが、私が一番お伝えしたい部分です。建設費が構造的に上がっている時代に、オーナー・管理組合ができる現実的なコスト最適化は、「職人さんの賃金を値切ること」ではありません。それは品質低下と事故のリスクを呼ぶだけで、長い目で見れば最も高くつきます。
私が必ず確認するのは、「その建物に、どの工法が一番合っているか」です。大規模修繕の費用のうち、無視できない割合を占めるのが「仮設足場(建物の周りに組む作業用の足場)」の費用です。建物をぐるりと囲う足場は、組むのにも解体するのにも費用と工期がかかり、しかも工事が終われば撤去してしまう、いわば「直接は建物に残らないコスト」です。ここに手を入れられるかどうかが、総額を左右します。
私の会社では、次の3つの工法を、建物の特性に応じて使い分けています。
- 通常足場工法:従来どおり建物の周囲に仮設足場を組む方法です。複雑な形状や、中低層で全面的に手を入れる物件では、結局これが最も確実で合理的なことも多いです。
- ロープアクセス工法(無足場工法):産業用のロープで作業員が壁面に直接アクセスし、足場を組まずに塗装・防水・タイル補修などを行う方法です。足場費を圧縮でき、工期も短縮しやすく、居住者・利用者の生活への影響も抑えられます。高層物件や、足場が組みにくい敷地、コストを最重視する物件で力を発揮します。
- ハイブリッド工法:建物の部位ごとに足場とロープアクセスを使い分ける方法です。「正面は足場、背面や塔屋まわりはロープ」といった具合に組み合わせ、総合コストを最適化します。
正直に申し上げます。世の中の施工会社の多くは、この3つのうち1つか2つしか持っていません。足場しか持たない会社に相談すれば、当然「足場ありき」の見積もりが出てきます。ロープしか扱わない会社なら、足場が本当は最適な物件にも無理にロープを当てようとするかもしれません。私はこれを、必ず3つ並べて比較したうえでご提案するようにしています。なぜなら、建物にとってベストな工法は、会社の都合ではなく建物の形と状態が決めるものだからです。詳しくはロープアクセス工法のご紹介と大規模修繕工事のご紹介もご覧ください。
もう一つ、私たちには日本で初めてとなるロープアクセス工事のフランチャイズ展開があります。塗装・防水・タイル・電気・看板といった各分野の専門職が加盟しているため、中間に余計な業者を挟まずに、高品質と低価格を両立しやすい体制になっています。建設費が上がる時代ほど、この「無駄な中抜きを減らす」という発想が効いてきます。
「足場を二度組まない」という考え方
建設費高騰の時代に、私が最ももったいないと感じるのは、「足場を何度も組み直すこと」です。
たとえば、外壁塗装のために足場を組み、その数年後に防水のためにまた足場を組み、さらに数年後に省エネ改修でもう一度組む。仮設足場の費用は、組むたびに丸ごとかかります。先ほど申し上げたとおり、足場費は建物に残らないコストです。これを二度、三度と払うのは、構造的に値上がりしている時代には特に大きな損失になります。
だからこそ私は、「次に足場を組むなら、そのタイミングで一緒にやれることはないか」を必ず一緒に考えます。外壁・防水・必要なら省エネ改修まで、一度の仮設で束ねられないか。あるいは、足場を組むほどではない部分はロープアクセスで先に手当てして、足場の規模そのものを小さくできないか。こうした「段取りの設計」こそが、建設費高騰時代のコスト最適化の本丸だと、私は考えています。
現場で実際にあった話——足場の規模を3割減らせた管理組合
少し、現場の具体的な話をさせてください。あるとき、首都圏の築22年・80戸ほどのマンションで、理事長さまから「3回目の大規模修繕の見積もりが、前回の1.4倍近くになってしまった」とご相談をいただいたことがあります。最初に出ていた見積もりは、建物全面に足場を組む前提のものでした。
私は現地で建物を一周し、図面と劣化状況を照らし合わせました。すると、足場が本当に必要なのは正面と妻側(建物の短い側面)のタイル・シーリングの打ち替え部分で、背面とバルコニー側の塗装・防水のかなりの範囲は、ロープアクセスで十分に手が届くことが分かりました。そこで、足場を組む範囲を建物の一部に絞り、残りをロープアクセスで受け持つハイブリッドの組み方に変えました。
結果として、仮設足場の規模を当初案からおおむね3割ほど縮小でき、その分だけ総額を圧縮することができました。さらに副次的な効果として、足場で覆われる期間と面積が小さくなったため、「日当たりが悪くなる」「外から室内が見えて不安」といった居住者の不満も減りました。理事長さまからは「数字が下がったことより、住人からのクレームが減ったことのほうが助かった」と言われたのを、今でも覚えています。
ここで強調したいのは、「ロープアクセスにしたから安くなった」という単純な話ではない、ということです。建物を一度きちんと見て、どの部位にどの工法を当てるのが最適かを設計し直したから、足場の規模を適正化できた。工法は目的ではなく手段です。私はいつも理事長さまに、「まず建物を見せてください、答えはそこにあります」とお伝えしています。
修繕積立金の「値上げ」は、最後の手段にしてほしい
建設費が上がると、多くの管理組合がまっさきに「修繕積立金の値上げ」を検討します。もちろん、計画的な積立は健全な管理の基本ですし、不足しているなら見直しは避けられません。ただ、私は「値上げは最後の手段にしてほしい」とお伝えしています。
理由は二つあります。一つは、値上げが家計に与える負担が想像以上に重いことです。ある調査では、過去に積立金の値上げを経験した世帯の約7割が「家計への影響」を実感し、その半数以上が食費や光熱費といった生活必需費を切り詰めていたという結果が出ています。値上げは「数字の調整」ではなく、住民一人ひとりの暮らしに直結します。
もう一つは、値上げを急ぐ前に、工事側でできる工夫がまだ残っていることが多いからです。専門家からは、積立金の値上げ幅は急激にしすぎず段階的に、という考え方も示されています。だからこそ、いきなり積立金を引き上げる前に、「工法の見直しで総額をどこまで下げられるか」「足場を束ねて回数を減らせないか」を先に検討する順番が大切なのです。値上げの議論と工法の議論を同じテーブルに乗せること。これが、私が総会前のオーナーさま・理事会にお願いしている一番のポイントです。
収益物件オーナーへ——修繕は「出口」も左右する
ここからは、特に収益不動産をお持ちのオーナーさまに向けた話です。
賃貸として運用している物件では、修繕は単なる「コスト」ではなく、家賃と入居率、そして売却時の価格を左右する「投資」です。直近の市況では、各地で募集家賃が最高値を更新したという調査もあり、立地と建物状態が良ければ賃料を維持・向上しやすい地合いが続いています。逆に、外壁の汚れやひび割れ、防水の劣化を放置すれば、内見時の印象が落ち、家賃を下げざるを得なくなります。値下げで失う家賃は、修繕費よりもじわじわと、しかし確実に効いてきます。
さらに見落とされがちなのが、売却(出口)のときです。私の経験上、修繕の履歴がきちんと残っていて、直近で適切に手が入っている物件は、買い手から見て「安心して引き継げる物件」です。逆に、いつ何をやったか分からない物件は、買い手側が将来の修繕リスクを織り込んで価格を引いてきます。つまり、適切な修繕とその記録は、保有中の家賃だけでなく、売るときの価格にも効くのです。
だからこそ私は、収益物件のオーナーさまには「修繕を、保有から出口までの一本の線で考えてください」とお伝えしています。コストを最適化しつつ、建物の価値と記録をきちんと残す。その積み重ねが、最終的な投資リターンを大きく変えます。とりわけ複数棟をお持ちのオーナーさまは、棟ごとに足場を組む時期がばらばらになりがちです。ポートフォリオ全体で「いつ、どの棟に、どの工法で入るか」を一枚の表に落とすだけでも、数年単位で見たときの総支出はずいぶん変わってきます。
総会で必ず聞かれる5つの質問と、私の模範回答
6月は総会のシーズンです。理事長さま・オーナーさまから「総会でどう説明すればいいか」というご相談が一番増える時期でもあります。よく聞かれる5つの質問と、私がいつもお伝えしている答え方を、そのまま置いておきます。
質問1:「なぜ前回より見積もりが上がっているのか」
お答え:施工会社の都合ではなく、職人さんの賃金(労務単価は14年連続で上昇し、ついに一日2.5万円超)と資材費の構造的な上昇が主因です、と公的な数字で説明します。感情論を避け、出典を示すと納得が得られやすくなります。
質問2:「もっと安い会社に頼めば下がるのか」
お答え:賃金や資材の相場は会社をまたいでも大きくは変わりません。本当に差が出るのは「工法の選び方」と「段取り」です、とお伝えします。安さの正体が品質や保証の削減でないか、必ず確認すべきです。
質問3:「修繕積立金を値上げしないと無理なのか」
お答え:値上げの前に、工法見直しで総額をどこまで圧縮できるかを先に検討しましょう、と提案します。値上げ幅は世帯の家計を直撃します。過去に値上げを経験した世帯の多くが家計への影響を実感しているという調査もあり、まず工事側の工夫を尽くす順番が大切です。
質問4:「工事中、住人や利用者の生活はどうなるのか」
お答え:足場は防犯面・採光面・プライバシー面の負担が大きい一方、ロープアクセスを組み合わせると影響を抑えられる部位があります、と具体的に説明します。居住者の納得は、工事をスムーズに進めるうえで欠かせません。
質問5:「今やるべきか、もう少し待つべきか」
お答え:費用は構造的に上がり続けており、「待てば下がる」可能性は低い状況です。ただし、劣化を放置すると後の工事費が膨らむため、長期修繕計画(十数年単位の修繕の計画表)に照らして判断しましょう、とお伝えします。
ロープアクセスが効く物件・効かない物件(両論併記)
公平のために、デメリットもはっきり申し上げます。ロープアクセス工法は万能ではありません。
向いているのは、高層で足場の架設が難しい物件、敷地が狭く足場を建てにくい物件、部分的な補修や点検、そしてコストを最重視する物件です。一方で、外壁を全面的に張り替えるような大がかりな工事や、足場の作業床がどうしても必要になる工程が多い場合は、通常足場のほうが結果的に安全で合理的なこともあります。天候の影響も足場より受けやすく、強風時は作業を止める判断が必要です。
ですから私は、「御社の物件はロープアクセスで全部いけます」とは申し上げません。建物を一度きちんと見せていただいて、足場・ロープ・ハイブリッドの3案を並べ、それぞれの概算と工期、生活への影響をお示ししたうえで、オーナーさま・理事会に選んでいただく。これが一番フェアなやり方だと考えています。
いま、オーナー・理事会が動くべき順番
最後に、具体的な行動の順番を整理します。読み終えたら、ぜひ次の流れで動いてみてください。
- 長期修繕計画を引っぱり出す:次の大規模修繕がいつ予定されているか、積立金の残高はいくらかを確認します。
- 「足場を組む予定」を洗い出す:今後10年でいつ足場を組む計画か。複数回あるなら、束ねられないかを検討します。
- 3工法での比較見積もりを取る:足場前提の1社だけでなく、ロープアクセスやハイブリッドを扱える会社にも声をかけ、工法ごとの違いを見比べます。
- 総会で「数字と出典」で説明する:値上がりの理由を公的データで共有し、感情論ではなく工法と段取りの議論に持っていきます。
この順番で進めるだけでも、「とりあえず積立金を値上げ」という結論に飛びつく前に、いくつもの選択肢が見えてくるはずです。
よくあるご質問(FAQ)
Q. ロープアクセスにすると、どのくらいコストが下がりますか。
A. 物件の形状や工事範囲によって大きく変わるため、一律に「○%下がる」とは申し上げられません。足場費の比重が大きい物件ほど効果は出やすい傾向です。まずは実際の建物で概算を比較するのが確実です。
Q. 築古の収益物件でも相談できますか。
A. もちろんです。むしろ築年数が進んだ物件こそ、限られた予算で資産価値を守る工法選びが重要になります。出口(売却)を見据えた修繕履歴の整え方も含めてご相談いただけます。
Q. 相談すると、必ず工事を発注しないといけませんか。
A. そのようなことはありません。総会前の整理や、見積もりの読み解きだけでもお力になれます。
Q. ホテルやテナントビルでも対応できますか。
A. 対応しています。営業を止めずに進めたいホテルや、テナントの稼働に配慮したいビルでは、足場で全面を覆わずに済むロープアクセスの組み合わせが特に有効なことがあります。稼働への影響を抑えながら必要な部位を直す計画を、一緒に組み立てます。
おわりに
業界団体が初めて協議会をつくったというニュースは、裏を返せば「建設費の高騰は、もう個社の努力だけでは吸収しきれないところまで来ている」という業界からのメッセージでもあります。だからこそ、建物を持つ側にできる工夫——工法の選び方と、足場を二度組まない段取り——の価値が、これまで以上に大きくなっています。
これは私が現場で20年見てきた、嘘偽りのない感想です。総会の前の整理だけでも、見積もりの読み解きだけでも構いません。ご相談だけでも遠慮なくお声がけください(お問合せフォーム)。次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。
出典・参考資料
- 国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」
- 日本経済新聞「不動産と建設の業界2団体、建設費高騰で協議会 生産性向上など議論」
- 建設通信新聞Digital「建設費高騰問題で日建連に異例の申し入れ/実務協議の設置へ調整/不動産協会」
- 朝日新聞「帝国ホテルも…建設費高騰で相次ぐ計画遅れ 業界は『異例』の協議会」(2026年)
- 日本建設業連合会「建設資材高騰・労務費の上昇等の現状」
- 新東亜工業「マンション大規模修繕の費用推移を解説」(民間試算・目安)


