大規模修繕はロープアクセスが提案可能な東京の明誠へ

創業から6000棟超の施工実績

【2026年6月】塗料・防水材が「入荷未定」に|ナフサ不足で大規模修繕の工期が遅れる前に、マンション・ビルオーナーがやるべきこと

【2026年6月】塗料・防水材が「入荷未定」に|ナフサ不足で大規模修繕の工期が遅れる前に、マンション・ビルオーナーがやるべきこと

「来月から外壁の塗り替えに入る予定なのに、塗料が手に入らないかもしれない」。

先日、あるマンションの理事長さまから、こんなご相談をいただきました。総会で修繕予算をようやく通したばかり。なのに「材料が止まっている」という話が耳に入り、不安になられたのです。

結論から申し上げます。この不安は、決して大げさではありません。いま全国の建設現場で、塗料・防水材・接着剤といった「石油から生まれる資材」の品薄が現実に起きています。そして大規模修繕を控えるオーナーさま・管理組合にとって、これは「工期の遅れ」と「コストの上振れ」に直結する話です。

私は塗装・防水・タイルの大規模修繕を20年近くやってきました。正直に申し上げて、材料がここまで読めない局面は、そう何度もありません。この記事では、いま何が起きているのか、それがあなたの建物にどう響くのか、そして慌てず・損せず動くために今この時期にやるべきことを、現場の視点で整理します。


まず、ニュースの要点を3行で

  • 中東情勢(イラン戦争)の長期化で、塗料・防水材・接着剤の原料である「ナフサ」由来の化学品が不足し、建設現場で出荷制限・受注停止・納期長期化が広がっています。
  • 全国建設業協会は2026年4月30日、国土交通大臣に緊急要望を行い、「工事の中止や遅延が避けられない状況も発生している」と表明しました(出典:全国建設業協会/ブルームバーグ報道)。
  • 政府は2026年6月2日、塗料・シンナーの原料となるトルエンなどを最大で例年の約1.8倍まで供給を拡大し、「年度を越えて供給を継続できる」見通しを示しました(出典:時事ドットコム 2026年6月2日)。

つまり「足りない」という事実と、「政府が手を打ち始めた」という事実が、同時に進行している状況です。ここからが本題です。


なぜ塗料や防水材が止まるのか——「ナフサ」という言葉をかみ砕く

ニュースで連呼される「ナフサ」。聞き慣れない方も多いと思いますので、まずここを丁寧に説明します。

ナフサとは、原油を精製してできる「粗製ガソリン」のことです。これがプラスチックや塗料、ゴム、接着剤など、私たちの身の回りのありとあらゆる化学製品の「おおもとの材料」になります。

大規模修繕に関わる流れをごく簡単に書くと、こうなります。

原油 → ナフサ → トルエン・キシレンなど(溶剤の原料) → シンナー・塗料・防水材・接着剤 → 現場

ここで重要なのが「シンナー」です。シンナーは塗料を薄めて塗りやすくする溶剤(うすめ液)で、油性塗料を使う現場では欠かせません。このシンナーの原料であるトルエン・キシレンが、中東からのナフサ供給の目詰まりで不足しているわけです。

さらに、防水工事で使うウレタン防水材シーリング材(窓まわりや目地を埋める弾力性のある充填材)、屋上の塩ビシート、下地に使う接着剤——これらもほとんどが石油由来です。だから「塗装だけ」の話ではなく、大規模修繕の主要工種がまとめて影響を受けるのです。

私がこの構造をしつこく説明するのには理由があります。原因が「一つの材料」ではなく「石油という川上」にあるため、ある材料を別の材料で代替しようとしても、その代替材料も同じ川から流れてきている、という逃げ場のなさがあるからです。


どの資材が、どれくらい厳しいのか

全国建設業協会が71種類の建設資材について行った2026年4月の調査では、塗料・断熱材・防水剤・ポリ塩化ビニル管(塩ビ管)を中心に、出荷制限・受注停止・数量割り当てが拡大していると報告されています。これまで数日で入手できていた塗料や電線、設備機器までもが「入荷未定」になるなど、納期の長期化が顕著だとされています(出典:ブルームバーグ報道(全国建設業協会の発表))。

大規模修繕に関わる工種に当てはめると、影響の出やすさはおおむね次のように整理できます。

工種 主に使う資材 影響の受けやすさ 補足
外壁塗装(油性) 油性塗料・シンナー 溶剤系の調達が特に逼迫。色番号によっては納期未定も
防水(ウレタン・塩ビシート) ウレタン材・塩ビシート・接着剤 屋上・バルコニーの工期に直結
シーリング 変成シリコン等の充填材 中〜大 目地・サッシまわり。劣化放置は漏水リスク
タイル張替・補修 接着剤・エポキシ 接着剤の納期に左右される
給排水・配管 塩ビ管 中〜大 設備改修を同時に行う場合は要注意

※上記は2026年4〜6月時点で報じられている傾向にもとづく整理です。資材ごとの状況は週単位で動いており、メーカーや在庫状況によって差があります。実際の納期は必ず施工会社・メーカーにご確認ください。

水性塗料は比較的影響が小さいと言われますが、すべての部位を水性で賄えるわけではありません。下地や旧塗膜との相性、耐久性の要求によっては油性を選ばざるを得ない場面があり、「水性に切り替えれば解決」という単純な話にはなりません。ここは専門家が現場ごとに判断すべきところです。


政府の対応——「1.8倍供給」は朗報。ただし“即解消”ではない

2026年6月2日、高市首相は中東情勢に関する関係閣僚会議で、塗料やシンナーの流通に目詰まりが生じていることを踏まえ、原料となるトルエンなどを最大で例年の約1.8倍供給する方針を示しました。あわせて、商社経由だけでなく、石油化学メーカーや石油元売りからシンナー・塗料メーカーへ直接供給する仕組みも設けるとしています。ナフサの代替調達は従来の約85%の水準まで回復しているとも説明されました(出典:時事ドットコム 2026年6月2日NHKニュース)。

これは現場にとって、間違いなく前向きな話です。私も少しほっとしました。

ただし——ここは正直に申し上げます。「方針が示された」ことと「現場に物が届く」ことの間には、必ずタイムラグがあります。原料が増産されてから、それがシンナーや塗料になり、問屋を経て現場に並ぶまでには時間がかかります。色番号ごとの在庫の偏りも残ります。

ですから「政府が動いたからもう大丈夫」と工程を楽観し切るのは早計です。逆に「全部止まるから今すぐ全部発注しろ」と慌てるのも違います。大事なのは、自分の建物の修繕がどの工種に、どの時期に、どれだけ依存しているかを把握したうえで、優先順位をつけて動くことです。


あなたの建物に、具体的にどう響くのか

ここからが、オーナーさま・管理組合にとっての実務の話です。資材逼迫は、主に三つの形で跳ね返ってきます。

1. 工期の遅延

材料が入らなければ、職人がいても工事は進みません。特に梅雨明け後の夏場は防水・塗装の需要が一斉に高まる時期で、ただでさえ職人と材料の取り合いになります。そこに資材不足が重なると、「足場を組んだのに材料待ちで止まる」という最悪の事態が起こり得ます。足場は組んでいる期間そのものが費用ですから、待ち時間がそのまま無駄なコストになります。

2. 見積りの“賞味期限”切れ

資材価格が動いている局面では、見積りの有効期限が短くなりがちです。半年前にもらった見積りが、今はもう通用しない、ということが普通に起こります。総会で承認した予算と、実際の発注額がズレる原因になります。

3. 価格転嫁・スライド条項の発動

公共工事の世界では、資材高騰に対応するため、実勢価格の調査頻度を上げ、設計変更や価格転嫁(いわゆるスライド条項=資材価格が一定以上動いたら契約金額を見直す仕組み)を適切に運用するよう、業界団体から国に要請が出ています。民間の大規模修繕でも、契約書に資材スライドの取り決めがあるかどうかで、もめ方が大きく変わります。

私がいつも理事長さまにお伝えしているのは、「安いか高いかの前に、止まらないか・もめないかを見てください」ということです。資材が読めない時期は、価格の数%より、工期の数週間と契約の一文のほうが、結果的に大きな差になります。


現場で実際に起きたこと

少しだけ、私の現場の話をさせてください。

数年前、ある別の理由で塗料の特定色が全国的に品薄になったことがありました。あるマンションの大規模修繕で、外壁の指定色がちょうどその色番号に当たってしまったのです。足場はすでに全面に架かっている。職人も手配済み。なのに塗料だけが来ない。

あのとき私は、メーカーの担当者に何度も頭を下げ、近い色番号への変更を理事会に提案し、一部の面を先行して別工程に振り替えて、なんとか足場の延長を最小限に抑えました。それでも、当初より工期は10日ほど延びました。足場費にしておよそ数十万円。住民の皆さまにも、ベランダが使えない期間が延びるご不便をおかけしました。

このとき骨身にしみたのは、「材料が読めない時期は、工程を一本道で組んではいけない」ということです。どこかが止まっても全体が止まらないよう、先行できる工種・後回しにできる工種をあらかじめ仕分けしておく。これができるかどうかで、資材逼迫の局面では結果がまるで変わります。

いま起きているナフサ不足は、当時の「一色だけ」とは比べ物にならない、塗料・防水・接着剤を横断する逼迫です。だからこそ、工程の組み方と工法の選び方が、これまで以上にものを言います。


工法の選び方で「工期リスク」は下げられる——足場・ロープアクセス・ハイブリッド

ここで、私たちのような施工会社の出番です。資材が読めない時期に効いてくるのが、「どの工法で工事を組むか」という設計です。

大規模修繕には、大きく三つの工法があります。当社はこの三つすべてを建物の特性に応じて提案できる、日本でも数少ない会社です(→大規模修繕工事のご紹介)。

工法 仕組み 資材逼迫期の強み 向いている建物
通常足場工法 建物全体に仮設足場を架ける 面で一気に施工できる 中低層・複雑形状
ロープアクセス工法(無足場) 産業用ロープで吊り下がって施工 足場の架設・解体が不要。部分先行・部分対応が機動的 高層・足場が架けにくい・コスト最重視
ハイブリッド工法 部位ごとに足場とロープを使い分け 「待てる面は後回し、急ぐ面は先行」の工程設計ができる 大規模・複雑物件

注目していただきたいのは、ロープアクセス工法(建物の外壁に足場を架けず、産業用ロープで作業者が吊り下がって作業する無足場の工法)の機動力です。

足場工法は、全面に足場を架けてから工事を始めます。だから「材料待ちで全体が止まる」と、架けっぱなしの足場費がのしかかります。一方ロープアクセスは、足場の架設・解体という大がかりな前後工程がないため、材料が入った面から順に、小さく着手して小さく仕上げることができます。資材が小ロットでしか入らない局面では、この「小回り」が効きます。

そしてハイブリッド工法なら、たとえば「材料が確保できている北面の防水は先に着手し、塗料待ちの南面は工程を後ろにずらす」といった設計が可能です。一本道の工程ではなく、止まりにくい工程を組む。これが資材逼迫期の工期を守るうえで、私が最も重視している点です(→ロープアクセス工法のご紹介)。


なぜ専門職フランチャイズが、資材逼迫期に強いのか

もう一つ、当社の強みをお話しさせてください。

当社は、ロープアクセス工事として日本で初めてフランチャイズ展開を行っており、塗装・防水・タイル・電気・看板といった各分野の専門職が加盟しています。一見すると資材不足とは関係なさそうですが、こういう局面でこそ効いてきます。

理由は二つあります。

一つは、各分野の専門職が直接つながっていること。塗料が厳しければ防水を先に、という工種の組み替えを、間に何社も挟まずに現場の判断で素早くできます。元請—下請—孫請と何層も重なっていると、こうした柔軟な組み替えは時間がかかりますが、専門職が同じネットワークにいれば話が早いのです。

もう一つは、中間マージンを削れること。資材が高騰している局面では、施工側のコストはどうしても上がります。そのなかで仕上がりの品質を落とさず価格を抑えるには、施工体制そのものの無駄を削るしかありません。専門職が直接加盟する仕組みは、いわゆる「中抜き」を減らし、高品質と低価格を両立させるための土台になっています。

私はこれを、必ずワンセットで提案するようにしています。工法の選択肢と、専門職のネットワーク。この二つがそろって初めて、「資材が読めない時期でも、止めずに・もめずに・品質を落とさず」修繕をやり切れるからです。


今この時期に、オーナー・管理組合がやるべき5つのこと

では、具体的に何をすればよいのか。優先度順に5つ挙げます。

1. 修繕の「時期」を施工会社と再確認する
今年〜来年に塗装・防水を予定しているなら、まず施工会社に「現時点で、想定している資材の納期はどうか」を確認してください。色番号・材料メーカーまで踏み込んで聞くのがコツです。

2. 見積りの有効期限と、資材スライドの扱いを確認する
見積りがいつまで有効か。資材価格が一定以上動いたときに契約金額をどう扱うか(スライド条項の有無)。この二点を、契約前に必ず文書で確認してください。後から「言った・言わない」でもめるのが一番つらいので。

3. 工程を「一本道」にしない設計を相談する
材料待ちで全体が止まらないよう、先行できる工種・後回しにできる工種を仕分けてもらいましょう。足場工法だけでなく、ロープアクセスやハイブリッドで工期リスクを下げられないか、複数案を出してもらうのが理想です。

4. 緊急性の高い劣化(漏水・剥落リスク)を優先する
シーリング切れや防水の劣化を放置すると、漏水という二次被害につながります。資材が逼迫していても、安全・漏水に直結する部位は優先して手当てすべきです。「全部待つ」ではなく「危ない所から」です。

5. 総会・理事会で、この状況を共有しておく
6月は総会シーズンです。「資材高騰と納期長期化が起きている」という事実を、今のうちに理事会で共有しておくと、後で工期や金額が動いたときの合意形成がぐっと楽になります。


ただし——慌てて発注すべきではないケースもあります

ここは両論併記で正直にお伝えします。

「資材が止まるなら、今すぐ前倒しで発注しよう」——この判断が、必ずしも正解とは限りません。

たとえば、長期修繕計画上まだ数年先でよい工事を、不安だけで前倒しすると、本来不要な出費を早めることになります。劣化が進んでいない部位を慌てて触る必要はありません。また、価格が高止まりしている今まさに発注すると、割高な単価で契約してしまう可能性もあります。政府の供給拡大策が効いてくれば、半年〜1年で状況が緩む可能性も指摘されています。

だからこそ、判断の軸は「不安」ではなく「劣化の実態と緊急度」であるべきです。漏水・剥落につながる部位は急ぐ。まだ余裕のある部位は、状況を見ながら最適なタイミングを計る。この見極めこそ、専門家に相談する価値のあるところだと、私は考えています。


よくあるご質問(FAQ)

Q1. ナフサ不足はいつまで続きますか?
正確な終息時期を断言できる人はいません。政府は供給拡大と年度を越えた供給継続の見通しを示していますが、中東情勢に左右されるため流動的です。「数か月で楽になる」という見方もあれば「価格は元には戻らない」という見方もあります。確実なのは、今は週単位で状況が動いているということです。

Q2. 水性塗料に変えれば問題は解決しますか?
部分的には有効ですが、万能ではありません。下地や旧塗膜との相性、求める耐久性によっては油性が必要な場面があります。「水性に統一すれば解決」と単純化せず、部位ごとに専門家の判断を仰いでください。

Q3. 見積りが半年前より上がっていました。ぼったくられているのでしょうか?
資材価格が実際に上がっているため、適正な見積りでも金額が上がっている可能性は十分あります。大切なのは、見積りの内訳(材料費・労務費・足場費)が明示され、値上がりの根拠が説明できるかどうかです。複数社で内訳を比べると、適正さが見えてきます。

Q4. 工期が延びると、足場代も増えますか?
足場工法の場合、足場を架けている期間が延びれば、そのぶん費用が増えるのが基本です。だからこそ、材料待ちで止まらない工程設計や、足場に依存しないロープアクセスの活用が、コスト面でも意味を持ちます。

Q5. 今、相談だけしておくことに意味はありますか?
大いにあります。むしろ今やるべきは「発注」より「整理」です。自分の建物がどの工種にどれだけ依存しているかを把握し、優先順位をつけておくだけで、いざ動くときの判断が速く・正確になります。


まとめ——「止めない・もめない・品質を落とさない」修繕へ

最後に、要点をもう一度整理します。

いま、ナフサ不足によって塗料・防水材・接着剤の品薄が現実に起きており、全国建設業協会も「工事の中止や遅延が避けられない状況」と表明しました。政府は原料供給を例年の約1.8倍に拡大する方針を示しましたが、現場に物が行き渡るまでにはタイムラグがあります。

この局面で大規模修繕を控えるオーナーさま・管理組合がやるべきは、不安に駆られて慌てることでも、楽観して放置することでもありません。自分の建物の劣化の実態と緊急度を把握し、工程を一本道にしない設計と、最適な工法の選択で、工期とコストのリスクを下げることです。

私たちは、足場・ロープアクセス・ハイブリッドの三つの工法から建物にとってベストな組み方を提案でき、塗装・防水・タイルなどの専門職が直接つながるネットワークを持っています。資材が読めない時期だからこそ、この組み合わせが効きます。

総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。「うちの修繕、このまま予定通りいくのか」と少しでも不安に感じたら、ご相談だけでも遠慮なくお声がけください(→お問合せフォーム)。資材の状況も、工法の選択肢も、まずは一緒に整理するところから始めましょう。


出典・参考資料

※本記事の数値・日付は、上記の報道・公的情報にもとづき2026年6月5日時点で整理したものです。資材の納期・価格は週単位で変動しており、実際の状況は施工会社・メーカーへ個別にご確認ください。