
2026年に入っても、ホテルをめぐるニュースが途切れません。神戸では市役所本庁舎の建て替えにあわせて高級ホテルの誘致が決まり、広島では駅前や宮島で新規開業が相次ぎ、北海道の小樽でも「ホテルラッシュ」と報じられるほど建設・計画が立て込んでいます。背景にあるのは、過去最高を更新し続けるインバウンド需要です。けれど私は、こうした「新設」のニュースを見るたびに、その先にある「もうひとつの波」のことを考えます。新しく建つホテルは、いずれすべて、大規模修繕を必要とする既存ホテルになるからです。
私は東京・関東を中心に、マンション・ビル・ホテルの大規模修繕に長く携わってきました。足場を架ける従来工法だけでなく、ロープアクセス(無足場工法)、そして両者を組み合わせるハイブリッド工法まで、建物ごとに最適な工法を提案することを仕事の柱にしています。とりわけホテルの改修は、住む人のための住宅やオフィスとは違う難しさがあります。建物が「稼いでいる最中」に手を入れなければならないからです。
この記事では、まず足元のインバウンドとホテル建設ラッシュの現状を正確に整理します。そのうえで、新設の陰で確実に膨らんでいく「既存ホテルの大規模修繕」という需要、そしてそれを「営業を止めずに・コストを抑えて」実現するための工法選択について、現場の目線でお伝えします。煽るつもりはありません。淡々と、事実と根拠で。なお、本記事は一般的な解説であり、個別の建物に関する判断は、必ず現地調査と専門家の確認を前提にしてください。
何が起きているのか——インバウンド4,000万人とホテル建設ラッシュ
訪日客は過去最高、消費額も9.5兆円に
まず、足元の数字を押さえておきます。日本政府観光局(JNTO)の発表を各種メディアが報じたところによれば、2025年の訪日外客数はおよそ4,268万人に達し、前年比15.8%増で、初めて4,000万人を突破して過去最高を更新しました。インバウンド消費額もおよそ9.5兆円と、前年比16.4%増で、3年連続の過去最高だと報じられています。コロナ禍で一度ほぼゼロまで落ち込んだ訪日需要が、わずか数年で「過去最高」を塗り替え続けている——これが2026年の出発点です。
宿泊の現場にも、その熱ははっきり表れています。報道ベースの観光庁・宿泊旅行統計によれば、2025年12月のホテル全体の客室稼働率はおよそ59.1%、なかでもシティホテルは73.5%と高い水準でした。都道府県別では東京がおよそ80.5%、大阪がおよそ79.1%と、大都市のホテルはほぼ満室に近い日が珍しくない状況です。需要が供給を上回る局面では、客室単価も上がりやすく、ホテル経営にとっては追い風が続いていると言えます。
神戸・広島・小樽——新設ラッシュの最前線
この追い風を受けて、全国で新しいホテルが次々と動き出しています。
象徴的なのが神戸です。2026年6月、阪急阪神不動産などのコンソーシアムが「神戸市役所本庁舎2号館再整備事業」の建設工事に本格着手したと発表しました。報道によれば、新たな2号館は高さ約135メートル、地下2階・地上29階建てで、ヒルトンのラグジュアリーブランド「コンラッド」が4階と20〜28階に入居し、「コンラッド神戸」として2030年の開業を予定しているとされています。コンラッドの兵庫県への進出は初めてで、神戸の新たなランドマークになると報じられています。ここで見落とせないのは、建て替えの対象となった旧2号館が「建築から60年以上が経過した老朽化建物」だったという点です。今まばゆい新築も、時間が経てば必ず更新の時を迎える——その事実を、この事業そのものが示しています。
広島も活況です。報道や各種まとめによれば、2026年は市電「八丁堀」至近に158室規模のホテルが開業するなど駅前エリアで新規開業が相次ぎ、宮島でも有名リゾート系の宿が54室規模で開業を予定しているとされています。北海道の小樽でも、観光客の回復を背景にホテルの建設・計画が少なくとも複数件、同時並行で進んでいると報じられています。インバウンドの「数の拡大」を受けて、客室という器を増やす動きが全国で続いているのです。
一方で、業界では「2020年以降の建設ラッシュで人材が枯渇し、運営や施工の質を保つのが難しくなっている」という声も聞かれます。器が増えるスピードに、それを良好な状態に保つ人手と技術が追いついていない——この“ねじれ”は、これから新設ホテルが歳を重ねるにつれて、より深刻なテーマになっていくはずです。
新設ラッシュの「次」に必ず来るもの——大規模修繕という宿命
建物は必ず劣化する——おおむね10〜15年で最初の節目
華やかな開業ニュースの陰で、私がいつも意識しているのは「建物は竣工した瞬間から劣化が始まる」という当たり前の事実です。どんなに立派なホテルでも、外壁の塗膜やシーリング(目地材)は紫外線や雨風で少しずつ傷み、タイルは温度変化の繰り返しで浮きが生じ、屋上やバルコニーの防水層は経年で性能が落ちていきます。一般に、外装の塗装やシーリングはおおむね10〜15年、屋上防水も15年前後を一つの目安として、計画的な更新が必要になるとされています。
つまり、2024年から2027年にかけて全国で開業する大量の新設ホテルは、2035年から2040年代にかけて、ほぼ一斉に「最初の大規模修繕」の時期を迎えることになります。今のホテル建設ラッシュは、十数年後の「ホテル大規模修繕ラッシュ」の予約表でもあるのです。さらに言えば、いま現在もすでに、築十数年から数十年を数える既存ホテルが全国に膨大に存在しています。建設ラッシュの裏側で、「直すべきホテル」の母数は静かに、しかし確実に積み上がっています。
ホテルの外皮が背負う「特別な責任」
なぜホテルの大規模修繕が、そんなに大事なのか。それは、ホテルの外壁・屋上・バルコニーといった「建物の外皮」が、ほかの建物以上に重い責任を背負っているからです。
第一に、安全です。ホテルには不特定多数の宿泊客や通行人が出入りします。外壁タイルやモルタルの剥落は、そのまま落下事故のリスクであり、万一の事故はオーナー・運営者にとって重大な賠償責任に直結します。第二に、防水・耐久です。外壁や屋上の防水性能が落ちれば、雨漏りが客室や共用部の内装を傷め、最悪の場合は客室を閉じて補修せざるを得なくなります。稼働率がそのまま収益に響くホテルにとって、「使えない客室」は売上の直接の損失です。第三に、印象です。後で詳しく触れますが、外観の古さや汚れは、宿泊客の満足度や口コミ評価に静かに効いてきます。安全・耐久・印象——この3つを同時に守る最前線が、ホテルの外皮なのです。
立地が違えば、傷み方も違う
もうひとつ付け加えておきたいのは、ホテルの外皮の傷み方は、立地によって大きく変わるという点です。今回ニュースになった神戸・小樽は、いずれも海に近い街です。海沿いの建物は、潮風に含まれる塩分の影響(塩害)で、鉄部のサビや塗膜の劣化、コンクリートの中性化が進みやすい傾向があります。観光地として人気の高い臨海エリアのホテルほど、外装のメンテナンスサイクルを内陸より短めに見ておく必要がある、ということです。
一方、都市部の高層ホテルは、足場をかけにくい立地条件そのものが課題になります。隣接する建物との距離が近く、敷地に余裕がない都市型ホテルでは、そもそも建物全体に足場を架けること自体が難しかったり、架けられても通行や近隣への影響が大きくなったりします。リゾート地のホテルなら景観への配慮、都市部のホテルなら足場の物理的制約——立地ごとに異なるこうした条件を踏まえて工法を選べるかどうかが、ホテル改修の成否を分けます。画一的に「足場を架けて全面改修」とするのではなく、その建物がどこに、どう建っているかから逆算して提案することが大切だと、私は考えています。
ホテルの大規模修繕が、マンションと決定的に違う3つの理由
私は分譲マンションの大規模修繕も数多く手がけてきましたが、ホテルの改修には、マンションとは明確に異なる難しさがあります。ここを理解しているかどうかで、提案の質はまったく変わります。
理由1.営業を止められない——「稼働=収益」だから
分譲マンションの大規模修繕は、住民の生活への配慮は必要ですが、建物が「収益を生む稼働」をしているわけではありません。一方ホテルは、客室が埋まること自体が収益です。工事のために客室を閉じたり、足場で景観や採光を損なって予約が減ったりすれば、その分がそのまま売上の減少になります。とくにインバウンドで稼働率が高止まりしている今、「工事のために売上を落とす」コストは、平時よりはるかに重くのしかかります。だからこそホテルの改修では、「いかに営業を止めず、稼働を維持したまま直すか」が、最優先の設計条件になります。
理由2.景観・ブランドが、そのまま資産価値になる
ホテルにとって、外観は単なる見た目ではなく、ブランドそのものです。とりわけインバウンドの高付加価値層や、ラグジュアリーブランドを冠したホテルでは、建物の佇まいや清潔感が、客室単価を支える重要な要素になります。大規模修繕は本来、その価値を「守り・高める」ための投資ですが、工事の進め方を誤ると、工事期間中の景観悪化でかえってブランドを傷つけてしまうこともあります。足場が建物全体を数か月覆い、宿泊客が「工事中のホテル」という印象を持って帰る——これは、せっかくの改修が逆効果になりかねない典型例です。
理由3.繁忙期を外す「工期設計」が命になる
ホテルには明確な繁忙期と閑散期があります。観光シーズンやイベント時期に大がかりな工事をぶつければ、最も稼げる時期の収益を自ら削ることになります。逆に、稼働が落ち着く時期を見極めて工事を計画できれば、収益への影響を最小限に抑えられます。マンションの修繕が「住民合意のスケジュール」で動くのに対し、ホテルの修繕は「収益カレンダー」で動く——この発想の違いを共有できる施工会社かどうかは、見積金額そのものと同じくらい重要です。
「稼働を止めない修繕」を可能にする工法の選択肢
では、営業を止めず、景観を損なわず、繁忙期を避けてホテルを直すには、どうすればよいのか。鍵を握るのが、「工法の選択肢を複数持っているかどうか」です。大規模修繕というと、建物全体に足場を架ける大がかりな工事をイメージしがちですが、ホテルのように稼働を重視する建物では、それが最適とは限りません。私たちは、建物の特性に応じて、大きく3つの工法から最適な方法をご提案しています。
| 工法 | 特徴 | 向いている建物・場面 |
|---|---|---|
| 通常足場工法 | 建物の周囲に仮設足場を架けて施工する従来型。広い面を一度に、安定して施工できる。 | 中低層、複雑な形状、外壁全面を一括で改修したい場合 |
| ロープアクセス工法(無足場) | 産業用ロープで作業員が懸垂し、足場を架けずに施工する。足場費を抑え、工期を短縮しやすく、宿泊客や通行人の動線・景観への影響を最小化できる。 | 高層、足場の架設が難しい立地、部分補修、稼働とコストを最重視するホテル |
| ハイブリッド工法 | 足場とロープアクセスを部位ごとに使い分ける。総合的にコストと工期を最適化できる。 | 大規模・複雑な物件で、全体最適を図りたい場合 |
足場を組む従来工法は、外壁全面をまとめて改修するような大がかりな工事に強い一方、足場の設置・撤去に費用と時間がかかり、足場が建物を覆う期間は景観・採光・出入りに影響します。ホテルでは、これが予約数や満足度の低下につながることがあります。その点、ロープアクセス工法は足場を架けないため、足場費を抑え、工期を短縮しやすく、宿泊客への影響を小さくできます。一方で、外壁全面を一気に施工する場面では足場のほうが効率的なこともあり、万能ではありません。だからこそ、「足場ありき」でも「ロープありき」でもなく、3つの選択肢から建物ごとに最適解を選べることが、結果としてホテルの稼働とコストを守ることにつながります。
ロープアクセス(無足場工法)がホテル改修で効く理由
私たちが力を入れているロープアクセス工法(無足場工法)は、まさに「稼働を止めたくないホテル」のために生まれたような工法です。その強みを、もう少し具体的にお伝えします。
足場費と工期を圧縮できる
足場を架ける従来工法では、足場の架設と撤去そのものに、相応の費用と日数がかかります。建物が大きく、高くなるほど、その負担は膨らみます。ロープアクセス工法は、産業用ロープで作業員が建物の上部から懸垂しながら作業するため、足場を架けません。その結果、足場費がかからず、架設・撤去にかかる工期も不要になります。とくに、外壁の一部にだけ劣化が出ているような部分補修や、高層部・狭小地で足場をかけにくい立地では、コストと工期の両面で効果が大きく出ます。高層ホテルや、隣接建物との距離が近くて足場を組みにくい都市型ホテルでは、この強みが際立ちます。
「チェックアウト〜チェックイン」の隙間で直せる
ロープアクセスの大きな利点は、施工の柔軟さです。足場という大きな構造物を建てないため、作業エリアを限定し、宿泊客の動線や景観をふさがずに作業できます。業界では、客室の窓まわりの補修などを、その客室がチェックアウトしてからチェックインまでの空き時間に合わせて進める、といった「営業を止めない段取り」も実践されています。足場で建物全体を覆い、数か月にわたって「工事中のホテル」にしてしまうのではなく、必要な部位を、必要なタイミングで、ピンポイントに直していく——この発想が、稼働を維持しながらの修繕を可能にします。実際、「数か月にわたる外壁工事の最中も、ホテルは営業を続けられた」という事例も報告されています。
もちろん、外壁全面を一度に塗り替えるような大規模改修では、足場のほうが効率的なこともあります。だからこそ、足場・ロープ・ハイブリッドという3つの選択肢を持ち、建物ごとに使い分けられることが重要なのです。「稼働を止めたくない」「景観を損ねたくない」「足場費を抑えたい」というホテルならではのニーズに対して、ロープアクセスやハイブリッドという答えを用意できるかどうかで、提案の幅はまったく変わってきます。
インバウンド時代に問われる「資産価値の維持・向上」
建物のコンディションが、客室単価を支える
インバウンド需要が「数の拡大」から「質の深化」へと移りつつある、と各種の市場分析は指摘しています。つまり、ただ部屋数を増やすだけでなく、高付加価値な滞在体験を提供し、より高い単価を取れるホテルが評価される時代に入りつつある、ということです。この流れのなかで、建物のコンディションはこれまで以上に重要になります。どれだけ内装やサービスを磨いても、外壁が汚れていたり、タイルにひびが入っていたり、雨漏りの染みが残っていたりすれば、宿泊客が抱く印象は確実に下がります。外装の状態は、口コミ評価や写真映え、そして最終的には客室単価という形で、収益に静かに効いてくるのです。
大規模修繕は、こうした「資産価値を守り、高める」ための計画的な投資です。場当たり的に劣化を放置し、雨漏りや剥落が起きてから慌てて直すのでは、結局コストはかさみ、その間の機会損失も膨らみます。長期修繕計画にもとづいて、いつ・どこを・どの工法で・いくらで直すのかを描いておくことが、遠回りのようで一番の近道になります。
「直す投資」を、収益カレンダーに織り込む
ホテルの大規模修繕は、コストではなく、将来の稼働と単価を守るための投資です。だからこそ、その投資をいつ・どう実行するかを、収益のカレンダーに織り込んで考えることが大切です。閑散期に、稼働への影響が小さい工法で、優先順位の高い部位から手を入れていく。この設計ができれば、「直すための損失」を最小限に抑えながら、建物を長く稼ぐ資産として維持できます。新設ラッシュで競合が増えるこれからの市場では、「きれいで安全な状態を保ち続けられるホテル」かどうかが、選ばれる理由のひとつになっていくはずです。
高品質と低価格を両立させる「専門職ネットワーク」という選択肢
ホテルの大規模修繕は、塗装、防水、タイル補修、シーリング、電気、看板など、複数の専門工事の集合体です。これらをどう束ねるかで、品質とコストは大きく変わります。私たちは、各分野の専門職がネットワークとして連携する仕組みを築くことで、それぞれの工事を専門性の高い職人が担いながら、中間マージンを抑えて高品質と低価格を両立させることを目指しています。
ロープアクセスの分野では、専門職が加盟するフランチャイズの仕組みを通じて、塗装・防水・タイル・電気・看板といった各分野の技術を、地域を越えて提供できる体制づくりも進めています。一社ですべてを抱え込むのではなく、得意分野を持つ専門職が連携することで、難易度の高い建物にも、適正な価格で品質を担保しながら対応できる——これが、これからのホテル改修に求められる体制だと考えています。全国でホテルが増えていくということは、全国で「直せる技術」を持つ担い手が必要になるということでもあります。
また、建設業界全体の底上げという観点から、私たちは一般社団法人全国建設業支援協会(JCSA)の運営にも関わっています。建設業の経営支援に役立つ情報発信、オンラインセミナー、交流会、事業者同士のビジネスマッチングなどを通じて、業界全体の技術と経営の質を高めていく取り組みです。建設ラッシュで人手と技術が逼迫しがちな時代だからこそ、こうした業界横断のネットワークが持つ意味は大きいと感じています。
ホテルオーナー・運営者が今すぐできる5つのチェック
最後に、ホテルや宿泊施設を所有・運営している方が、今すぐ着手できる確認事項を5つにまとめます。どれも、大きなお金をかける前にできる「点検」が中心です。
第一に、外壁・屋上・バルコニーなど、建物外皮の劣化状況を把握することです。タイルの浮きや剥落、シーリングの劣化、屋上防水の傷み、手すりの腐食などは、安全と資産価値に直結します。落下事故のリスクがある部位は、優先して点検すべきです。打診調査やドローン、ロープアクセスによる近接目視など、稼働を止めずに状態を確認する方法もあります。
第二に、長期修繕計画の有無と中身を見直すことです。竣工から何年が経ち、次の大規模修繕の目安はいつなのか。場当たり的な補修を繰り返すより、いつ・どこを・どの工法で・いくらで直すかを計画として持っておくほうが、トータルコストは下がり、金融機関や投資家への説明力も上がります。
第三に、繁忙期と閑散期を踏まえた「工事の時期」を考えておくことです。最も稼げる時期に大がかりな工事をぶつけないだけで、収益への影響は大きく変わります。早めに計画しておくことで、閑散期に合わせた段取りが組みやすくなります。
第四に、雨漏りや剥落といった「すでに出ている不具合」を放置しないことです。小さな雨漏りも、放っておけば内装被害や客室の閉鎖につながり、結果的に大きな出費になります。早期の対処が、最終的なコストを抑えます。
第五に、大規模修繕を検討する段階で、複数の工法を提案できる会社に相談することです。足場工法しか選択肢がない会社に依頼すれば、足場ありきの見積もりになります。足場・ロープアクセス・ハイブリッドを比較したうえで、稼働とコストの両面から最適解を出せるかどうか。ここで、最終的な負担額と営業への影響が大きく変わってきます。見積もりを取る際は、「御社で対応できる工法は何種類ありますか」「営業を続けながらの施工は可能ですか」と一言聞いてみると、その会社の引き出しの多さが見えてきます。
まとめ——新設ラッシュの裏で、「直す力」がホテルの価値を決める
2026年、インバウンド4,000万人時代を背景に、神戸・広島・小樽をはじめ全国でホテルの建設ラッシュが続いています。華やかな開業ニュースは、観光立国へ向かう日本の勢いを映していますが、私はその陰に、もうひとつの確実な未来を見ています。今まばゆい新築ホテルも、十数年後には一斉に大規模修繕の時期を迎え、そして今この瞬間にも、築年数を重ねた既存ホテルが全国で更新の時を待っているという事実です。
ホテルの大規模修繕は、マンションとは違い、「営業を止められない」「景観がブランドそのもの」「繁忙期を外す工期設計が命」という固有の難しさを抱えています。だからこそ、足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3工法から、稼働とコストの両面で本当に最適な方法を選べることが、ホテルの収益と資産価値を守る決め手になります。とりわけロープアクセス(無足場工法)は、足場費と工期を抑え、宿泊客への影響を小さくしながら必要な部位を直せる、ホテル改修にとって心強い選択肢です。
「うちのホテルは、次の修繕をどう進めればいいだろう」。少しでもそう感じたら、まずは現状の点検と、長期の視点での計画づくりから始めてみてください。建物を“稼ぎ続ける資産”として長く守っていくために、私たちにできるお手伝いがあれば、いつでもご相談いただければと思います。
※本記事は2026年6月時点の報道および公開情報に基づく一般的な解説であり、特定の建物に関する診断・助言ではありません。実際の修繕の要否・時期・工法は、必ず現地調査と建築士・専門業者の確認のうえでご判断ください。
出典・参考
- 日本政府観光局(JNTO)/観光庁 訪日外客数・インバウンド消費額(2025年実績、各種報道による:訪日客約4,268万人・前年比15.8%増、消費額約9.5兆円・前年比16.4%増)
- 観光庁 宿泊旅行統計(2025年12月/ホテル全体稼働率約59.1%、シティホテル約73.5%、東京約80.5%、大阪約79.1%/報道による)
- 阪急阪神不動産 ニュースリリース/共同通信ほか「神戸市役所本庁舎2号館再整備事業」(高さ約135m・地下2階地上29階、コンラッド神戸2030年開業予定、2026年6月)
- 広島・小樽の新規ホテル開業に関する各種報道・まとめ(2026年)
- ホテル・旅館の無足場(ロープアクセス)改修に関する各種業界解説・施工事例


