大規模修繕はロープアクセスが提案可能な東京の明誠へ

創業から6000棟超の施工実績

【2026年最新】三島市のマンション補助金・大規模修繕ガイド|管理組合が9月までに動くべき理由

【2026年最新】三島市のマンション補助金・大規模修繕ガイド|管理組合が9月までに動くべき理由

この記事で答える質問:静岡県三島市の分譲マンション管理組合が、2026年度(令和8年度)に使える補助金・税制優遇はどれで、大規模修繕の費用を下げるには何から動けばよいのでしょうか。

株式会社明誠の本間です。私はマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を20年近くやってきました。今日は静岡県三島市の分譲マンション管理組合に向けて、2026年8月22日時点で公表されている制度を、一次情報にあたって整理します。

先に申し上げます。三島市には「大規模修繕工事そのものに直接お金が出る補助金」は、公開情報の範囲では見当たりませんでした。がっかりさせてしまったなら申し訳ありません。ただ、三島市には他市にはない使いどころが確かにあります。しかも、この記事を読んでいる時点でいちばん近い締切は2026年9月8日です。順番にお話しします。


結論:三島市の管理組合が押さえるべきは「4つ」

三島市の公開情報を一次資料から洗った結果、分譲マンションの共用部改修に効く可能性があるのは次の4つでした。

# 制度・機会 効き方 直近の期限 窓口
1 令和8年度 マンション管理セミナー・相談会 情報と個別相談(無料) 2026年9月8日 申込締切 住宅政策課 055-983-2750
2 マンション管理計画認定制度 市の申請手数料が無料。融資金利・税制の入口 通年 住宅政策課 055-983-2750
3 マンション長寿命化促進税制 固定資産税が3分の1減額 工事完了から3か月以内 課税課資産税係 055-983-2627
4 非木造住宅の耐震診断事業(令和8年度) 診断費の3分の2以内・上限200万円 12月中に受付終了 住宅政策課建築指導係 055-983-2644

(出典:三島市 マンション管理セミナー・相談会三島市 マンション管理計画認定制度三島市 長寿命化に資する大規模修繕工事が行われたマンションに対する固定資産税の減額について三島市の地震対策補助事業について(令和8年度)

この4つに共通しているのは、どれも「工事を発注する前」に動かないと使えないという点です。見積書に判子を押してからでは間に合いません。ここが今日いちばんお伝えしたいことです。


【最速の一手】2026年9月12日、三島市役所でマンション管理セミナーがあります

三島市が2026年7月31日に更新した情報によると、令和8年度のマンション管理セミナーが次のとおり開かれます。

項目 内容
日時 令和8年9月12日(土曜日)13時30分〜16時30分(開場13時00分)
会場 三島市役所 本館 第1会議室
第1部 改正 区分所有法・標準管理規約 〜今、マンション管理組合が考えること〜(50分程度)
第2部 情報交換会(50分程度)
第3部 個別相談会(50分程度)
定員 30人(1組2名まで、先着順)
主催 静岡県マンション管理適正化推進協議会
参加費 無料(どなたでも参加できます)
申込 9月8日(火曜日)までに電話 055-983-2750/FAX 055-973-6722/電子申請

(出典:三島市 マンション管理セミナー・相談会

私がこの記事で真っ先にこれを持ってきたのには理由があります。

第一に、定員30人・先着順だからです。三島市内のマンションは97棟。1棟から2名ずつ来れば、それだけで枠が埋まる規模感です。

第二に、第3部に個別相談会が入っているからです。管理組合の理事会が抱える悩みは、たいてい「うちの場合はどうなのか」に集約されます。一般論のセミナーは世の中にいくらでもありますが、自分のマンションの話を無料でできる場は多くありません。

第三に、第1部のテーマが改正区分所有法と標準管理規約だからです。大規模修繕の決議要件や、所在不明の区分所有者をどう扱うかは、修繕工事の実務に直結します。理事長が代わるたびに「そもそも何割の賛成が要るんだっけ」から始まる管理組合を、私は何度も見てきました。

誰が行くべきか

理事長でなくても構いません。「どなたでも参加できます」と市が明記しています。私の経験上、いちばん効くのは理事長+修繕委員(または次期理事候補)の2名で行くパターンです。理事の任期が1年の管理組合では、聞いた話が翌年に引き継がれずに消えてしまうことがよくあります。2名で行けば、少なくとも1名は翌年も残る可能性が上がります。


三島市のマンションは97棟。長期修繕計画が「25年以上」なのは約47%

ここからが本題です。補助金の話をする前に、三島市が自分の市のマンションをどう見ているかを共有させてください。

三島市は「三島市マンション管理適正化推進計画」を、三島市住宅マスタープランの第5章として策定しています。計画期間は令和4年度から令和13年度までの10年間です。

その中に、私が読んで手が止まった数字がありました。

項目 三島市の数値 備考
市内のマンション棟数 97棟 うち約12%が旧耐震基準
25年以上の長期修繕計画を定めている割合 約47% 国平均54%(平成30年)を下回る
現状値(長期修繕計画25年以上のマンション数) 14棟(令和2年)
中間目標(令和8年度) 31棟 =2026年度がその年です
最終目標(令和13年度) 48棟

(出典:三島市住宅マスタープラン 第5章 三島市マンション管理適正化推進計画

読み方を3つお伝えします。

1つ目。97棟のうち、25年以上の長期修繕計画を持っているのが14棟でした。裏を返せば、80棟前後は「計画期間が短い」か「そもそも計画がない」ということになります。大規模修繕は12年前後の周期でやってきますから、25年に満たない計画は、2回目の工事を織り込めていない可能性があります。

2つ目。中間目標の年度が令和8年度、つまり2026年度です。14棟を31棟へ、と市は掲げています。担当課にとって、今年度は目標達成に向けて手応えが欲しい年です。いま相談に行く管理組合は、市にとって歓迎される相談者だと私は思います。

3つ目。市は「マンション住民の高齢化への問題意識が特に高い」とも書いています。三島市の人口は令和7年国勢調査の速報で103,085人。令和2年から4,698人減っています(出典:三島市 令和7年 国勢調査の結果について)。住民が減り高齢化するなかで、修繕積立金の値上げ議案は年々通しづらくなります。だからこそ「工事費そのものを下げる」という選択肢を、早い段階で検討していただきたいのです。


三島市の管理計画認定制度は「申請手数料が無料」

マンション管理計画認定制度は、管理組合の管理計画が一定の基準を満たすと、市から「適正な管理計画を持つマンション」として認定を受けられる制度です。三島市は令和4年4月から運用しています。

三島市の特徴は次の3点です。

項目 三島市の扱い
認定申請手数料 無料(※別途、公益財団法人マンション管理センターのシステム利用料および事前確認審査料が必要)
市独自の認定基準 設けていない(国が定めた基準のみ)
申請方法 マンション管理センターのオンラインシステム(管理計画認定手続き支援サービス)のみ。三島市の窓口に直接申請することはできない

(出典:三島市 マンション管理計画認定制度

手数料が無料というのは、同じ静岡県内でも珍しい部類に入ります。県内には、事前確認適合証がある場合とない場合で手数料に大きな差を設けている市もあります。三島市は「そもそも取らない」と決めているわけです。しかも市独自の上乗せ基準もありません。

ハードルの高さは、実質的にマンション管理センターの事前確認をどう通すかに集約されます。

認定基準の自己点検リスト

国が定めた認定基準は、大きく5分野に分かれます。理事会でチェックリストとして回してみてください。

分野 主なチェック項目
管理組合の運営 管理者等が定められているか/監事が選任されているか/集会(総会)を年1回以上開催しているか
管理規約 管理規約が作成されているか/緊急時の専有部立入や、修繕等の履歴情報の管理等について定められているか
管理組合の経理 管理費と修繕積立金の口座が区分されているか/修繕積立金の滞納に対する措置を講じているか
長期修繕計画の作成・見直し 計画期間が30年以上かつ残存期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれているか/7年以内に作成または見直しされているか/計画期間内に修繕積立金の借入金残高がないこと
その他 区分所有者名簿・居住者名簿を備え、年1回以上更新しているか/都道府県等の指針に照らして適切に管理されているか

(出典:三島市 マンション管理計画の認定基準(PDF)国土交通省 マンション管理計画認定制度

私がお会いする管理組合で、いちばん引っかかるのは「7年以内に見直し」と「計画期間30年以上」の2つです。10年前に作った長期修繕計画がそのまま棚に入っている、というケースは珍しくありません。逆に言えば、大規模修繕の準備として長期修繕計画を見直すタイミングは、認定を取るタイミングとぴったり重なります。二度手間になりません。

なお、認定制度そのものに関する相談は、一般社団法人日本マンション管理士会連合会が相談ダイヤル(03-5801-0858、平日10時〜17時)を設けています。


認定を取ると、お金の話が3か所で変わります

認定は「賞状をもらって終わり」ではありません。管理組合の財布に直接効く経路が3本あります。

1. 住宅金融支援機構の融資金利が下がる

マンション共用部分リフォーム融資は、管理組合名義で借りられる全期間固定金利の融資です。公益財団法人マンション管理センターの債務保証を使えば、理事長個人の連帯保証は不要とされています。管理計画認定を受けたマンションは金利引下げの対象になります。

金利は毎月見直されるため、この記事で「何%です」と断定することは控えます。検討時点の数字を住宅金融支援機構の金利ページでご確認ください。

ただ、体感としてお伝えすると、100戸で2,000万円を10年借りるとき、金利が0.2%違えば総支払額で数十万円動きます。認定手数料が無料の三島市では、この差がまるごと管理組合の手元に残る計算になります。

2. マンションすまい・る債の利率が上乗せされる

マンションすまい・る債は、管理組合が修繕積立金を運用するための債券です。2026年度は制度が拡充され、管理計画認定を受けたマンション向けの「認定すまい・る債」に加えて、マンション管理適正評価制度で4つ星以上、またはマンション管理適正化診断サービスでS評価を取得したマンション向けの「ステップアップすまい・る債」が設けられました。

2026年度の応募受付期間は2026年4月13日から2026年10月9日までです。募集口数には上限があり、応募は先着順とされています(出典:住宅金融支援機構 マンションすまい・る債)。

年1回しか募集がない制度です。10月9日を過ぎると次は来年になります。

3. 固定資産税が減額される(次章で詳しく)


【三島市の数字】マンション長寿命化促進税制の減額割合は「3分の1」

ここは三島市の公式ページが明確に書いてくれている、ありがたい部分です。

マンション長寿命化促進税制は、令和5年度税制改正で創設された制度です。管理計画の認定を受けたマンション等で、令和5年4月1日から令和9年3月31日までに長寿命化に資する大規模修繕工事が行われた場合、翌年度に課される建物部分の固定資産税が減額されます。

三島市の減額割合は「3分の1」です。

項目 三島市の内容
減額割合 一戸当たり100平方メートルの床面積相当分までの固定資産税額の3分の1(三島市条例で定める割合)
減額期間 工事完了年の翌年度分(完了日が1月1日の場合はその年度分)
対象工事期間 令和5年4月1日〜令和9年3月31日
申告期限 工事完了日から3か月以内(やむを得ない場合はこの限りでない)
申告先 財政経営部 課税課資産税係(055-983-2627/055-983-2758)
都市計画税 減額なし

(出典:三島市 長寿命化に資する大規模修繕工事が行われたマンションに対する固定資産税の減額について

この減額割合は市町村の条例で定めるため、自治体によって異なります。三島市は3分の1です。ネット上には他市の数字を一般論として書いた記事もありますから、三島市のマンションの方は三島市のページの数字でご判断ください。

対象となるマンションの要件

(1)管理計画認定マンション、または(2)助言・指導を受けた管理組合のマンション、のいずれかに該当する必要があります。

要件 (1)管理計画認定マンション (2)助言・指導を受けたマンション
居住用専有部分 有していること 有していること
築年数 新築から20年以上経過 新築から20年以上経過
総戸数 10戸以上 10戸以上
過去の工事 過去に長寿命化工事が行われたもの 過去に長寿命化工事が行われたもの
追加要件 令和3年9月1日以降に修繕積立金の平均額を認定基準まで引き上げたもの 助言・指導を受けて長期修繕計画を作成・見直し、基準に適合したもの

なお、過去の工事については「1から3の各工事が同時期に行われたものである必要はありません」と市が明記しています。ここは緩やかです。

「長寿命化工事」の定義がいちばん大事です

減額を受けるには、次の3つの工事が同一の工事請負契約の中で行われたなど、一体として扱われる工事である必要があります。

  1. マンションの建物の外壁について行う修繕または模様替(外壁塗装工事
  2. 直接外気に開放されている廊下、バルコニーその他これらに類する部分の防水の措置を講ずるための修繕または模様替(床防水工事
  3. 屋上部分、屋根またはひさしその他これに類する部分の防水の措置を講ずるための修繕または模様替(屋根防水工事

私はこれを、必ずワンセットで確認するようにしています。というのも、見積書の段階で3つのうち1つが落ちていることがあるからです。

たとえば「予算が厳しいので屋上防水は次回に回しましょう」という判断は、工事単体で見れば合理的です。しかし税制の観点では、それをやった瞬間に減額の対象から外れます。理事会でこの提案が出たら、「税制の3工事は揃っていますか」と一度確認していただきたいのです。


税制の落とし穴3つ(現場で本当に起きます)

落とし穴1:証明書を工事契約に入れ忘れる

申告には次の書類が必要です。

区分 提出書類 発行主体
共通 長寿命化に資する大規模修繕マンションに対する固定資産税の減額申告書
共通 大規模の修繕等証明書 建築士または住宅瑕疵担保責任保険法人
共通 過去工事証明書 建築士またはマンション管理士
共通 総戸数が分かる書類(建築図面等) 管理組合等
(1)の場合 管理計画の認定通知書または変更認定通知書の写し 管理組合
(1)の場合 修繕積立金引上証明書 建築士またはマンション管理士
(2)の場合 助言・指導内容実施等証明書 三島市役所 住宅政策課

太字にした3つの証明書は、建築士やマンション管理士に発行してもらうものです。工事が終わってから「そういえば証明書が要る」と気づくと、発行までの日数で3か月を食い潰します。

工事請負契約の段階で、証明書の発行を業務範囲に含めておく。 これだけで防げます。私が理事長さまにお伝えしているのは、契約書の内訳に「大規模の修繕等証明書の発行」という行が入っているか見てください、という一点です。

落とし穴2:管理組合が取りまとめられることを知らない

固定資産税は区分所有者ごとにかかる税金なので、原則は各区分所有者が申告します。100戸あれば100人が動くことになり、現実的ではありません。

ここで三島市の記載が効きます。市はこう書いています。

マンション管理組合にて各区分所有者の固定資産税の減額申告書を取りまとめてご提出いただく場合は、添付書類は全体で1部のみ添付してください。

つまり、管理組合が申告書を集めて、証明書などの添付書類は1部だけ付けて提出できるということです。100戸分の証明書のコピーを取る必要はありません。事務負担が大きく変わります。この一文を知らずに全戸分の書類を用意しようとして疲弊した管理組合を、私は他市で見たことがあります。

落とし穴3:認定のタイミングを外す

市は「減額申告時点かつ賦課期日(工事完了の翌年の1月1日)時点で管理計画の認定を受けている必要があります」と明記しています。

工事が終わってから認定を取りに行っても、間に合わない可能性があります。 認定は工事より先です。事前確認から認定通知までは数か月かかることを見込んでください。

なお、耐震改修・バリアフリー改修・省エネ改修・認定長期優良住宅の各減額措置とは、同じ年度に併用できません。別の年度であれば適用可能です。


令和8年度 三島市の地震対策補助事業を「マンション目線」で仕分けます

三島市は令和8年度から、従来の「TOUKAI(東海・倒壊)-0(ゼロ)」を「TOUKAI-0+(トウカイゼロプラス)」総合支援事業として再編し、8つの事業を実施しています。分譲マンションの共用部から見て、それぞれがどう届くかを整理しました。

# 事業名 分譲マンション(RC/SRC)から見た可否 2026年8月時点の受付状況
1 わが家の専門家診断事業 木造住宅が対象。RC造マンションには使えない 受付中
2 非木造住宅の耐震診断事業 可能性あり(要確認)。上限200万円 相談受付中
3 木造住宅の耐震改修事業(補強計画一体型) 木造住宅が対象 受付中
4 木造住宅の除却事業 木造住宅が対象 受付中
5 建築物の耐震改修事業(既存災害拠点施設等) 対象要件が厳しく、届きにくい(後述)
6 建築物の耐震改修事業(緊急輸送道路沿道) 勧告・指導を受けた建築物に限られる(後述)
7 ブロック塀等耐震改修促進事業 敷地内の塀が対象。使える 受付中(除却・建替とも)
8 耐震シェルター・防災ベッド整備事業 木造住宅(長屋・共同住宅を除く)が対象 相談受付中/受付中

(出典:三島市の地震対策補助事業について(令和8年度)地震対策補助事業の受付状況について(令和8年度)

8つのうち、マンションの共用部に効きそうなのは2番と7番です。


非木造住宅の耐震診断事業:マンションが狙える入口

昭和56年5月31日以前に着工された建築物(木造の住宅を除く)について、耐震補強が必要かどうかを専門家が判断する耐震診断の経費を補助する制度です。

項目 内容
補助率 1棟ごとに、事業に要する経費と基準額を比較して、いずれか少ない額の3分の2以内
限度額 200万円
基準額(一戸建ての住宅以外) 延べ面積1,000㎡以下:3,670円/㎡
1,000㎡超2,000㎡以下:1,570円/㎡
2,000㎡超:1,050円/㎡
基準額(一戸建ての住宅) 1棟あたり136,000円
端数処理 補助金額は1,000円未満切捨て
手続き 申請する前に、書類を添えて事前に相談が必要

(出典:三島市の地震対策補助事業について(令和8年度)

延べ3,000㎡のマンションで試算してみます

基準額は面積帯ごとの単価を積み上げます。延べ面積3,000㎡なら、

  • 1,000㎡分 × 3,670円=367万円
  • 次の1,000㎡分 × 1,570円=157万円
  • 残り1,000㎡分 × 1,050円=105万円
  • 合計:629万円

この629万円と実際の見積額を比べて少ない方の3分の2、ただし200万円が限度です。仮に見積額が400万円なら、400万円の3分の2で約266万円→限度額の200万円が交付される計算になります。

これは決して小さくありません。旧耐震のマンションで耐震診断を検討している管理組合にとっては、動く価値のある金額です。

ただし「対象になるか」は事前確認が要ります

正直に申し上げます。市のページは事業名を「非木造住宅の耐震診断事業」と書き、対象を「建築物(木造の住宅を除く)」としています。基準額の表には「一戸建ての住宅以外のもの」という区分がはっきりあり、共同住宅がここに含まれると読むのが自然です。

一方で、他市のように「非木造共同住宅(マンション)」と明文で書かれてはいません。ですから私は、この記事で「三島市のマンションは対象です」と断定することは控えます。

やっていただきたいのは、住宅政策課建築指導係(055-983-2644)への電話1本です。市自身が「申請する前に事前に相談してください」と書いていますから、相談すること自体が正規の手順です。聞くべきことは1つだけです。

「昭和56年5月31日以前着工の分譲マンション(RC造・延べ約○○㎡)の共用部の耐震診断は、非木造住宅の耐震診断事業の対象になりますか」

必要な添付書類も市が明示しています。付近見取図、配置図・平面図、耐震診断の経費の見積書の写し、建築年次が証明できる書類、所有者以外による申請の場合は所有者の承諾書です。管理組合が申請する場合の名義の扱いも、あわせて確認しておくとよいと思います。


耐震改修の補助が分譲マンションに届きにくい理由(正直な整理)

期待させたまま終わらせたくないので、5番と6番についても書いておきます。

5番「建築物の耐震改修事業(既存災害拠点施設等)」の対象建築物は、次のすべてに該当することが求められます。

  • 昭和56年5月31日以前に建築された既存建築物であること
  • (ア)災害時に重要な機能を果たす建築物(医療施設、避難所等)、または(イ)災害時に多数の者に危険が及ぶ恐れのある建築物(百貨店、劇場等)に該当すること(ア・イは延べ面積1,000㎡以上かつ原則3階以上)
  • 特定行政庁の勧告または耐震改修促進法に基づく指導を受けたもの

補助額は、耐震改修工事に要する費用と、延べ面積に基準額(51,200円/㎡、免震工法等の特殊な工法は83,800円/㎡)を乗じた額の少ない方に23%を乗じた額の3分の2以内、限度額1,500万円です。金額は大きいのですが、分譲マンションが(ア)や(イ)に当たると読むのは難しく、さらに勧告・指導を受けていることが条件になります。

6番「緊急輸送道路沿道」も同様に、勧告または指導を受けたものに限られます。三島市の緊急輸送道路等は、東駿河湾環状線、国道1号(三島塚原IC〜県道三島裾野線)、県道三島裾野線(国道1号〜市役所)、市道谷田168号線(三島玉沢IC〜静岡県健康福祉交流プラザ)とされています。沿道にマンションがあっても、市から指導を受けていなければ入口に立てません。

つまり三島市では、マンションの共用部の耐震「工事」に直接使える補助は、現状ほぼ見当たらないというのが公開情報からの結論です。使えるのは「診断」までと考えて、そこから先は自己資金・積立金・機構融資で組み立てる。この前提で資金計画を立てるほうが、後で慌てずに済みます。


【三島市固有の最大の落とし穴】「12月で受付終了」「年度をまたげない」

三島市の地震対策補助事業のページには、赤字級の重要な注記が2つあります。

※各事業の申請受付は、12月中で終了します。なお、予算がなくなり次第終了する場合があります。

※補助事業は必ず着手前(契約前)に申請が必要となります。事業に着手したものや終了したもの、年度をまたぐ事業には補助金を交付できないためご注意ください。

(出典:三島市の地震対策補助事業について(令和8年度)

この2つが、大規模修繕の工程と正面からぶつかります。

大規模修繕は、一般的に着工から竣工まで3〜6か月かかります。もし12月に申請して交付決定を受け、1月に着工したら、竣工は年度をまたいで4月以降になります。その時点で補助金が出ません。

私が三島市の管理組合にお伝えしたいのは、この一点です。

よくある進め方 三島市での結果
総会で工事を決議 → 業者選定 → 契約 → 補助金を探す 契約後の申請は不可。交付決定前の着手も不可
秋に申請 → 冬に着工 → 春に竣工 年度をまたぐため交付できない
春〜初夏に事前相談 → 交付決定 → 夏に着工 → 年内竣工 年度内に完結。可能性が残る

ブロック塀の撤去や耐震診断のように、工期が短く単独で完結する事業は、大規模修繕の一式契約から切り出して別発注にするのが現実的です。塀の撤去を本体工事に混ぜてしまうと、契約日が本体と同じになり、交付決定前契約で対象外になる恐れがあります。

理事会で覚えていただきたい順番はこうです。

  1. 補助金を使う工事(塀の撤去、耐震診断など)は先に切り出して、単独で交付決定→着工→年度内完了
  2. 本体の大規模修繕は、補助金の制約から切り離して、建物にとって最適な時期に発注

これを逆にやると、どちらも中途半端になります。


ブロック塀等耐震改修促進事業:通学路沿いなら「上限なし」

7番の制度です。ここは三島市の設計が非常に面白い。

事業の区分 補助率 補助金限度額
除却(避難路・避難地・通学路沿いの道路に面したブロック塀) 経費と「1m当たり基準額20,000円×延長」の少ない額の3分の2以内 上限なし
除却(上記以外の道路に面したブロック塀) 経費と「1m当たり基準額9,000円×延長」の少ない額の3分の2以内 1敷地につき18万円
緊急建替(避難路・避難地・通学路沿い) 経費と「1m当たり基準額58,400円×延長」の少ない額の3分の2以内 上限なし

(出典:三島市の地震対策補助事業について(令和8年度)

避難路・避難地・通学路沿いかどうかで、基準額が9,000円/mと20,000円/mに分かれ、しかも上限の有無が変わります。18万円で頭打ちになるか、上限なしで3分の2が出るか。この差は極めて大きい。

そして市は、こう書いています。

通学路沿いであるか確認しますので、事前に住宅政策課までご相談ください。

つまり、自己判断で「うちは通学路じゃないだろう」と決めつけてはいけないということです。市に聞けば教えてくれます。マンションの前の道を小学生が歩いているのを見たことがあるなら、確認する価値があります。

その他の注意点

  • 原則として高さ60cmを超える(4段以上の)ブロック塀を全段撤去することが条件です。危ない部分だけ部分撤去、は認められません。
  • 擁壁は対象外です。
  • 建替補助を使う場合、新しく築造する工作物は関係法令に適合する必要があります。
  • 補助金を受ける場合は事前に申請が必要です。

私が現場で見てきたなかで、管理組合が意外と見落とすのが敷地境界の塀です。エントランス周りは気にするのに、駐輪場の裏や駐車場の外周は「そういえば見ていなかった」となる。理事会で敷地図を広げて、道路に面した塀を全部書き出してみる。それだけで30分の作業です。


アスベストの補助は、三島市では見当たりませんでした

近隣市との差なので、あえて書きます。

静岡市、沼津市、富士市には、民間建築物の吹付けアスベストに関する調査・除去の補助制度が公表されています。一方、三島市については、同種の補助制度を公開情報の範囲で確認できませんでした。「ない」と断定するものではなく、「市のサイトで見つけられなかった」という意味です。

なぜこれを書くかというと、大規模修繕では足場を架けて天井を開けてから吹付け材が見つかることがあるからです。私が経験したなかで、いちばん胃が痛かったのは、機械室の天井裏から吹付け材が出てきて工事が止まり、分析結果を待つあいだ足場のリース料だけが積み上がったケースです。

発見されやすい場所は決まっています。

  • 機械室・ポンプ室の天井や梁
  • 電気室・受変電設備室
  • 屋内駐車場の天井
  • 階段室の裏側
  • エレベーター機械室
  • パイプスペース(PS)内部

昭和50年代以前に竣工したマンションで、これらの場所を一度も開けたことがないなら、設計段階で事前調査を工程に入れておくことをおすすめします。補助がない前提で、調査費を予算に計上しておく。これが三島市での現実的な備えだと私は考えます。

平成29年度から、吹付け材等の調査は建築物石綿含有建材調査者が実施することが法令上求められています。有資格者が在籍しているかは、業者選定時の確認事項に入れてよいと思います。


三島市耐震改修促進計画(令和8〜12年度)で変わったこと

三島市は2026年3月に、新しい耐震改修促進計画を公表しました。計画期間は令和8年4月1日から令和13年3月31日までの5年間です。

指標 数値 時点
住宅の耐震化率 93.4%(45,060戸中42,105戸) 令和5年
(参考)平成30年 91.0%
(参考)平成25年 85.9%
特定建築物の耐震化率 95.6%(389棟中372棟) 令和7年3月末
うち民間 93.4%
耐震性のない住宅 2,955戸(うち木造2,387戸=約80%) 令和5年

(出典:三島市耐震改修促進計画(令和8年度〜令和12年度)

新計画で私がいちばん注目したのは、対象建築物の考え方が広がったことです。従来は昭和56年5月以前の旧耐震建築物が中心でしたが、新計画では新耐震(昭和56年6月〜平成12年5月)の建築物、地震で被害を受けた建築物、経年劣化が進んだ建築物にも対象を拡大しています。

これは大規模修繕の文脈で読むと、こういう意味になります。

新耐震のマンションだから安心、では済まなくなった。

躯体の耐震性能が新築時に確保されていても、外壁のタイルが浮き、手すりの付け根が腐食し、シーリングが切れていれば、地震のときに落ちるものは落ちます。落ちた先に人がいれば、それは管理組合の責任問題です。

私はいつも理事長さまに、こうお伝えしています。大規模修繕は「きれいにする工事」ではなく「落ちるものを落ちないようにする工事」です。塗装は結果であって、目的ではありません。

ただし、計画に「マンション」の語は出てきません

正直に書きます。三島市耐震改修促進計画の本文に、「マンション」という語は登場しません。共同住宅は住宅等の分類定義に一度出てくるのみで、分譲マンション固有の施策や目標は書かれていません

これは三島市を批判したいのではありません。耐震の担当課から見れば、市内で耐震性が不足している住宅の約80%は木造戸建てなのですから、そちらに資源を振り向けるのは合理的な判断です。

ただ、管理組合の側からすると意味が変わります。行政の耐震施策のなかに、分譲マンションの居場所は用意されていない。 だから管理組合が自分で動くしかない、ということです。

一方で、マンション管理適正化推進計画のほうには、97棟という数字も長期修繕計画47%という数字も、高齢化への問題意識も、はっきり書かれています。三島市でマンションの話をする窓口は、耐震ではなく住宅政策(マンション管理)の側だと理解しておくと、電話をかける先を間違えずに済みます。


三島市で想定すべき地震は、南海トラフより「相模トラフ」

これは三島市の管理組合に、ぜひ知っておいていただきたい話です。

静岡県第4次地震被害想定に基づくと、三島市の被害が最大となるのは、レベル2の「相模トラフ沿いの元禄型関東地震(M8.2程度)」です。南海トラフ巨大地震(M9.0程度)も想定対象ですが、三島市においては相模トラフのほうが被害が大きいと市は整理しています。

項目 元禄型関東地震での三島市の想定
推定震度6強 市域の69.4%(42.6km²)
推定震度6弱 22.5%
推定震度5強 8.1%
全壊・焼失 約2,700棟(揺れ約1,400・火災約1,200・液状化約100)
半壊 約5,200棟
死者 約20人
重傷者 約200人

(出典:三島市耐震改修促進計画(令和8年度〜令和12年度)

このほか、富士川河口断層帯の地震(駿河トラフの海溝型と連動しM8程度の可能性)にも留意が必要とされています。

震度6強が市域の約7割、という数字は重いと思います。そして、液状化による全壊が約100棟と見込まれている点も見逃せません。三島市の南部および市中央部は狩野川沖積層からなる砂泥質の軟弱地盤とされています(出典:三島市地域防災計画 共通対策編)。

大規模修繕の現場でいうと、軟弱地盤は足場の設置に影響します。仮設足場は建物に緊結するだけでなく、地面にも荷重をかけます。地盤が緩い敷地では、敷板の増設や地盤補強が必要になり、仮設費が上振れすることがあります。見積書の「仮設工事」に地盤対策の項目があるかどうかは、確認しておいて損はありません。


三島市の立地と気候が、大規模修繕に与える3つの影響

ここは私の専門分野なので、少し踏み込みます。

影響1:三島市は海に面していない = 塩害は軽い

三島市は駿河湾に面していません。 西に沼津市・清水町・長泉町、南に函南町、北に裾野市、東に神奈川県箱根町と接する内陸の市です(出典:三島市地域防災計画 共通対策編)。市のハザードマップにも津波ハザードマップは存在せず、地域防災計画の「予想される災害」の区分にも津波はありません。

これは大規模修繕の仕様に直接効きます。隣の沼津市について書いた記事(沼津市のマンション補助金ガイド)では、駿河湾の塩害を理由に「防錆仕様を削ってはいけない立地」と申し上げました。三島市は違います。

海側と山側で防錆仕様を分ける必要が、三島市では相対的に薄い。 鉄部塗装のケレン等級や防錆下塗りの回数を、沿岸部と同じグレードで一律に見積もられているなら、その根拠を一度聞いてみてよいと思います。浮いた予算を、後述する凍結対策や下地補修に回せる可能性があります。

ただし油断は禁物です。三島市は箱根山麓から狩野川沖積低地まで標高差があり、市役所で24.9m、最高地点は941.5m(海ノ平)です。同じ市内でも環境が違います。「三島市だから塩害なし」ではなく、「この建物の立地なら」で判断してください。

影響2:冬の凍結が年32日ある

気象庁の平年値(1991〜2020年)によると、三島の日最低気温0℃未満の日数は年32.0日です(1月13.4日、2月10.0日、12月5.8日、3月2.7日)。年平均気温は16.3℃で温暖な部類ですが、真冬の朝は氷点下に落ちます。

塗装や防水は、気温が低いと材料が規定どおりに硬化しません。多くのメーカーが施工可能温度の下限を定めています。12月から2月の三島市は、作業できない朝が月に10日前後あると見込むのが現実的です。

一方で、降雪の深さの年合計は2cm、最深積雪1cmと、雪はほとんど降りません。山梨県内の市のように「11月下旬から3月中旬は凍結でほぼ止まる」ほどではありません。朝だけ止まって、日中は動ける。これが三島市の冬です。

影響3:年降水量1,868mm、9月がいちばん降る

三島の年降水量の平年値は1,868.2mm、年間日照時間は2,003.2時間です。月別で見ると、最多は9月の241.8mm、次いで7月223.4mm、6月212.7mm。最少は12月の65.1mmです。

そして市は「8月から10月にかけては台風の接近または上陸により、暴風雨による災害が発生することがある」と地域防災計画に明記しています。

(出典:気象庁 三島(静岡県)平年値三島市地域防災計画 共通対策編

三島市の工事適期カレンダー

以上をまとめると、こうなります。

時期 適性 理由
3月下旬〜6月上旬 気温・湿度が安定。年間で最良
6月中旬〜7月上旬 梅雨。降水量212mm
7月中旬〜8月 猛暑日は年2.8日と多くない。ただし真夏日は年59.6日
9月〜10月中旬 年間最多降水(9月241.8mm)+台風シーズン。足場の養生と倒壊リスク
10月下旬〜11月 気温安定・降水少。春に次ぐ好機
12月〜2月 △〜○ 降水は少ないが、氷点下の朝が月10日前後

年間で狙える窓は春(3月下旬〜6月上旬)と晩秋(10月下旬〜11月)の2つです。春の窓を押さえたいなら、前年の秋には業者選定を終えている必要があります。逆算すると、いま2026年8月に動き始めた管理組合が現実的に狙えるのは、2027年春です。


三島駅南口の再開発が、管理組合の工事費に効いてくる話

もう一つ、三島市固有の事情をお伝えします。

三島市は三島駅南口東街区を「広域健康医療拠点」として整備する再開発を進めています。全6棟の建設が予定され、A地区(4棟)は令和10年(2028年)2月竣工予定、B地区(2棟)は令和11年(2029年)2月竣工予定とされています(出典:三島市 三島駅南口周辺開発)。

私が申し上げたいのは、まちづくりの是非ではありません。職人と資材の需給の話です。

人口10万人規模の市で、6棟の大型工事が同時期に走ります。鳶、型枠、鉄筋、塗装、防水──どの職種も、地域の総量には限りがあります。2027年から2029年にかけて、三島市とその周辺では、職人の手配が今より難しくなる可能性があります。

これが管理組合にとって何を意味するか。

  1. 見積りが取りにくくなる。忙しい業者は、条件のよい現場を選びます
  2. 工期が伸びる。職人が押さえられなければ、工程は後ろにずれます
  3. 単価が上がる。需要が供給を上回れば、価格はそう動きます

対策は2つあります。1つは早めに動くこと。もう1つは、相見積りの候補を三島市内に限定しないことです。

三島市はJR東海道新幹線の三島駅があり、品川駅までひかり号で最短37分。東名高速の沼津IC、新東名の長泉沼津ICから約15分。国道1号と国道136号が交差し、東駿河湾環状道路も通っています。首都圏からも日帰り圏です。 宿泊費や長距離移動費を見積りに乗せずに来られる業者の選択肢は、山間部の市よりずっと広い。この地の利は、使わないともったいないと思います。


工事費そのものを下げる:3つの工法を比べてください

ここからは自社サービスの話を含みますので、見出しで区切ります。利益相反を明示したうえで、事実だけをお伝えします。私が代表を務める株式会社明誠は、足場工法・ロープアクセス工法・ハイブリッド工法の3つを扱う会社です。ポジショントークが混じらないよう、デメリットも並べて書きます。

仮設足場は総工事費の15〜25%を占めます

まずこの数字を頭に置いてください。大規模修繕において、仮設足場は工事費全体のおおむね15〜25%を占めるのが一般的です。

総工事費 仮設足場のおおよその費用
3,000万円 450万〜750万円
5,000万円 750万〜1,250万円
8,000万円 1,200万〜2,000万円

ブロック塀の補助金の上限が18万円(通学路沿いなら上限なしですが)、耐震診断の補助が上限200万円であることを思い出してください。桁が違います。

理事会で3時間かけて18万円の補助金を議論し、750万円の仮設費を「そういうものだから」と5分で通す。私はこの光景を何度も見てきました。議論に費やす時間の配分を、金額の大きさに合わせていただきたいのです。

3工法の比較

項目 通常足場工法 ロープアクセス工法(無足場) ハイブリッド工法
仮設費 高い(総額の15〜25%) 大幅に削減できる 部位ごとに最適化
工期 長い(架設・解体に各1〜2週間) 短い 中間
居住者の生活影響 バルコニーが2〜3か月使えない/窓が開けにくい 影響が小さい 部位により異なる
防犯面 足場からの侵入リスクあり リスクが小さい 部位による
適する部位 全面改修・大量の下地補修 高所・部分補修・アクセス困難な面 面ごとに使い分け
向かないケース 敷地に余裕がない/コスト最重視 大量のタイル張替え/全面的な下地補修 判断できる会社が少ない

ロープアクセス工法は、すべての建物に向くわけではありません。 タイルの浮きが広範囲で、下地補修の物量が多い建物では、足場を架けたほうが結果的に安く早く済むこともあります。私はそういうときは、正直に「足場でいきましょう」と申し上げます。ロープアクセス工法の技術的な背景や安全基準については、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで解説しています。

三島市で「ハイブリッド」が効く理由

三島市のマンションは、敷地に比較的余裕があるものが多い印象です。だから「足場を架けられる」→「だから足場」で思考が止まりやすい。

でも、架けられることと、架けるべきことは別です。理事会で3つ問いを立ててみてください。

  1. 今回は全面改修ですか、それとも部分補修が中心ですか
  2. 居住者が2〜3か月バルコニーを塞がれる生活を受け入れられますか
  3. 見積書の「仮設工事」の内訳を、金額の根拠まで説明してもらえましたか

三島市は海に面していないため、面による塩害の差は小さい。一方で、南面・西面は日照時間2,003時間の紫外線を受けてシーリングと塗膜の劣化が早く進みます。方位別・面別に劣化評価をしてもらうと、「この面は足場、この面はロープアクセス」という組み方が見えてきます。これがハイブリッド工法の実務的な意味です。

工法選定の全体像は大規模修繕工事のご紹介、ロープアクセス工法の詳細はロープアクセス工法のご紹介にまとめています。

現場でいちばん悔しいこと

現場で20年やってきて、私が一番悔しい思いをするのは、「もっと早く見ていれば安く済んだ」というケースです。

以前、屋上防水に畳1枚ぶんくらいの膨れがあるのを見つけたことがあります。理事長さまにお伝えしたのですが、「次の大規模修繕でまとめてやろう」ということになりました。1年後にうかがったら、膨れは数倍に広がり、下地まで水が回っていました。最上階のお部屋の天井にシミが出ていました。

費用は当初見積りの数倍になり、何より住民の方どうしの関係が一度こじれました。修復には半年かかりました。

台風シーズンが終わった秋に、年1回でいいので屋上とバルコニーを見て回る。それだけで防げることが、たくさんあります。三島市なら、11月がちょうどよい時期です。


モデルケース:三島市のマンションで試算してみます

実在の物件ではありません。三島市内でありうる条件で組んだ想定です。金額はあくまで目安として読んでください。

ケースA:三島駅周辺 築26年・8階建・42戸

項目 通常足場工法 ハイブリッド工法
総工事費 約7,000万円 約6,100万円
差額 約900万円の削減
1戸あたり 約167万円 約145万円(▲約21万円)
工期 約5か月 約4か月(1か月短縮)

組み方の例:バルコニー側は下地補修の物量が多いため足場を架け、妻面と屋上まわりはロープアクセスで対応する。バルコニーの使用制限期間が短くなるため、居住者の負担も軽くなります。

ケースB:市郊外 築42年・5階建・18戸

項目 通常足場工法 ロープアクセス主体
総工事費 約3,300万円 約2,700万円
差額 約600万円の削減
1戸あたり 約183万円 約150万円(▲約33万円)
資金 一時金が必要になる可能性 機構融資併用で一時金ゼロも視野

18戸で3,300万円は、1戸あたり183万円です。100戸のマンションなら1戸33万円で済む工事が、戸数が少ないだけで5倍以上の重さになります。小規模マンションほど、工法選定の効き目が大きいというのは、この算数から来ています。

三島市の97棟には、こうした小規模なマンションも少なくないはずです。


修繕積立金が足りないとき、打ち手は4つあります

# 打ち手 メリット デメリット
1 一時金の徴収 借入不要 総会で通りにくい。滞納リスク
2 住宅金融支援機構の融資 一時金ゼロで着工可能 返済負担が長期化
3 段階施工(工事を分割) 1回の負担が軽い 仮設費が回数分かかり、総額はむしろ増える
4 工法の見直し 総額そのものが下がる 判断できる会社が限られる

順番が大事です。④を最初に検討してください。

設計に入る前なら4つとも選べます。しかし業者を決めて仕様を固めてしまうと、④は選択肢から消えます。足場前提の設計図面ができあがってから「ロープアクセスでできませんか」と聞かれても、設計をやり直すことになり、時間もお金もかかります。

そして②の機構融資は、管理計画認定を取っていれば金利が下がります。認定を取り、金利を下げ、工法を見直す。この3つが噛み合うと、総会の議案の性格が変わります。「一時金50万円のお願い」から「月々数千円の見直し」へ。 通しやすさがまるで違います。

費用を抑える考え方は適正価格へのこだわりにもまとめています。


着工18か月前からの逆算カレンダー(三島市版)

理事の任期が1年の管理組合でも回せるよう、月単位で書き出しました。

時期 やること 窓口・連絡先
18か月前 劣化診断を実施。長期修繕計画の見直しが7年以内かを確認
17か月前 過去の工事記録を収集(過去工事証明書のため) 管理会社・保管書類
16か月前 認定基準の自己点検。管理規約の改正要否を判断 住宅政策課 055-983-2750
15か月前 旧耐震の場合、非木造住宅の耐震診断事業の対象か電話確認 住宅政策課建築指導係 055-983-2644
14か月前 アスベストの事前調査を工程と予算に計上(三島市に補助は見当たらないため自己負担前提) 業者・調査者
12か月前 工法選定(設計はこの後。順番を逆にしない)
11か月前 税制の要件確認。仕様書に外壁塗装・床防水・屋根防水の3工事が入っているか点検 課税課資産税係 055-983-2627
10か月前 マンション管理センターへ事前確認を依頼。適合証の取得 03-5801-0858(相談ダイヤル)
9か月前 資金計画の確定。機構への事前相談。相見積り先を市外にも拡大 住宅金融支援機構
8か月前 三島市へ認定申請(オンライン。市の手数料は無料) マンション管理センター経由
7か月前 ブロック塀の有無を敷地図で洗い出し。通学路沿いか市に確認 住宅政策課 055-983-2750
6か月前 ブロック塀の交付申請(本体工事とは別契約に切り出す 住宅政策課 055-983-2644
4か月前 交付決定を受けてから契約。着工前契約は不可
着工 年度内に完了する工程か再確認(年度をまたぐと補助金は交付されない)
竣工後3か月以内 固定資産税の減額申告(管理組合が取りまとめ可。添付書類は全体で1部) 課税課資産税係 055-983-2627
引き継ぎ時 「電話した日付・担当課・聞いたこと・答え」の4点をA4 1枚で申し送り

最後の行が地味ですが、いちばん効きます。理事の任期が1年だと、せっかく市に確認した内容が翌年に消えてしまいます。A4で1枚、4項目。これだけで次の理事会が半年ぶん先に進めます。


相見積りで見るべき3点

工法の話をした流れで、見積書の読み方も書いておきます。

1. 数量の根拠は「図面拾い」か「現地実測」か

下地補修の数量は、図面から拾った推定値なのか、実際に建物を叩いて調べた実測値なのかで、精度がまったく違います。図面拾いだけの見積りは、着工後に数量が跳ね上がることがあります。

2. 仕様はメーカー名・製品名・グレードまで書かれているか

「弾性塗料」「ウレタン防水」だけでは比較できません。同じウレタン防水でも、材料と工程で耐用年数が変わります。3社の見積りを並べたとき、仕様が揃っていなければ金額の比較に意味がありません。

3. 「別途」の中身と、下地補修の追加単価

見積書の「別途」は要注意です。何が別途なのかを明示させてください。そして、下地補修の想定数量を超えた場合の㎡単価を、契約前に見積書へ書かせる。 これは紛争予防として、私がいつも申し上げていることです。着工後に「追加です」と言われてから単価を交渉するのは、圧倒的に不利です。


よくある質問(FAQ)

Q1. 三島市に、マンションの大規模修繕そのものへの補助金はありますか?

A. 公開情報の範囲では見当たりませんでした。効くのは、管理計画認定制度(市の申請手数料は無料)、マンション長寿命化促進税制(固定資産税の3分の1減額)、非木造住宅の耐震診断事業(上限200万円)、ブロック塀等耐震改修促進事業の4つです。

Q2. 三島市のマンション長寿命化促進税制の減額割合は?

A. 一戸当たり100平方メートルの床面積相当分までの固定資産税額の3分の1です。減額されるのは工事完了年の翌年度分で、都市計画税は減額されません(出典:三島市)。

Q3. 管理計画認定の申請にお金はかかりますか?

A. 三島市への認定申請手数料は無料です。ただし、公益財団法人マンション管理センターのシステム利用料と事前確認審査料は別途かかります。申請は同センターのオンラインシステムのみで、三島市の窓口では受け付けていません。

Q4. 築30年のマンションですが、耐震診断の補助は使えますか?

A. 対象は昭和56年5月31日以前に着工された建築物です。築30年(1996年前後の竣工)であれば新耐震のため対象外です。旧耐震かどうかは建築確認の日付でご確認ください。判断に迷う場合は住宅政策課建築指導係(055-983-2644)へ事前にご相談ください。

Q5. 補助金の申請はいつまでにすればよいですか?

A. 三島市の地震対策補助事業は、各事業の申請受付が12月中で終了します。予算がなくなり次第終了する場合もあります。加えて「年度をまたぐ事業には補助金を交付できない」と明記されているため、年度内に完了する工程で組む必要があります(出典:三島市)。

Q6. ブロック塀の撤去、うちは補助が18万円までですか?

A. 避難路・避難地・通学路沿いの道路に面したブロック塀であれば、基準額20,000円/mで上限なしです。それ以外の道路沿いは基準額9,000円/mで1敷地18万円が上限です。市が「通学路沿いであるか確認しますので、事前にご相談ください」と案内していますので、自己判断せず住宅政策課へお問い合わせください。

Q7. ロープアクセス工法は、どんなマンションでも使えますか?

A. いいえ。タイルの浮きが広範囲で下地補修の物量が多い建物では、足場を架けたほうが安く早く済むこともあります。屋上にアンカーを設置できる構造かどうかも条件になります。技術的な考え方はロープアクセスドットコムをご覧ください。

Q8. 9月12日のセミナーは、理事長でなくても参加できますか?

A. 三島市は「どなたでも参加できます」と案内しています。定員30人(1組2名まで、先着順)、参加費は無料です。申込は9月8日(火曜日)までに電話055-983-2750、FAX 055-973-6722、または電子申請で受け付けています。

Q9. アスベストの調査費用に、三島市の補助はありますか?

A. 三島市については、民間建築物の吹付けアスベストに関する補助制度を公開情報の範囲で確認できませんでした。近隣の静岡市・沼津市・富士市には制度が公表されています。三島市では調査費を自己負担前提で予算に計上しておくことをおすすめします。


この記事のポイントまとめ

  • 三島市に大規模修繕への直接補助は見当たらない。効くのは認定制度・税制・耐震診断・ブロック塀の4つ
  • 直近の締切は2026年9月8日(9月12日開催のマンション管理セミナー申込)。定員30人・先着順
  • 三島市のマンションは97棟。25年以上の長期修繕計画があるのは約47%で国平均を下回る
  • 管理計画認定の市手数料は無料。市独自の上乗せ基準もない
  • マンション長寿命化促進税制の三島市の減額割合は3分の1。外壁塗装・床防水・屋根防水を同一契約で実施が要件
  • 税制の申告は工事完了から3か月以内。管理組合が取りまとめれば添付書類は全体で1部
  • 非木造住宅の耐震診断事業は経費の3分の2以内・上限200万円(対象可否は事前相談が必要)
  • 地震対策補助事業は12月中に受付終了、かつ年度をまたぐ事業は交付不可
  • ブロック塀は通学路沿いなら上限なし(基準額20,000円/m)、それ以外は1敷地18万円
  • 三島市は海に面していないため塩害は軽い。一方で氷点下の朝が年32日、9月は年間最多降水
  • 三島駅南口で全6棟の再開発が2028〜2029年竣工。職人・資材の需給は今後タイトになる可能性
  • 仮設足場は総工事費の15〜25%。補助金より先に、ここを検討する価値がある

静岡県東部の近隣市の記事もあわせてどうぞ

三島市の管理組合の方から「隣の市はどうなっているのか」と聞かれることがよくあります。制度は市ごとに違いますので、比較材料としてお使いください。


主なお問い合わせ先

用件 窓口 電話
マンション管理計画認定制度・セミナー 三島市 計画まちづくり部 住宅政策課 三島住まい推進室 055-983-2750
耐震診断・ブロック塀等の補助 三島市 住宅政策課 建築指導係 055-983-2644
固定資産税の減額申告 三島市 財政経営部 課税課 資産税係 055-983-2627/055-983-2758
三島市役所(代表) 〒411-8666 静岡県三島市北田町4-47 055-975-3111
管理計画認定制度の相談 一般社団法人 日本マンション管理士会連合会 03-5801-0858(平日10〜17時)

出典・参考資料

※本記事は2026年8月22日時点で公表されている情報をもとに作成しています。補助制度は年度ごとに内容・予算・受付期間が変更されることがあります。申請の前に、必ず各窓口の最新情報をご確認ください。また、本記事は税務・法務の助言を目的としたものではありません。個別の判断は、所管課および専門家にご相談ください。


執筆者:本間 幸紘(株式会社明誠 代表取締役)
専門領域:マンション大規模修繕/ロープアクセス工法/建物長寿命化計画
実務経験:建設・改修業界 20年以上
所属:一般社団法人 全国建設業支援協会(JCSA)

株式会社明誠について:東京都東大和市を拠点に、東京・関東一円でロープアクセス工法と従来足場工法の両方を提案できる改修会社です。日本初のロープアクセス工事フランチャイズを展開し、塗装・防水・タイル・電気・看板などの専門職が加盟しています。

最終更新:2026年8月22日


三島市の管理組合の方へ。この記事でいちばんお伝えしたかったのは、補助金の金額ではなく順番です。工法を決める前に長期修繕計画を開き、契約する前に市に電話をする。それだけで、使える制度の数が変わります。

まずは9月8日までに、セミナーの申込みだけでも入れてみてください。それが難しければ、電話2本で20分です。住宅政策課(055-983-2750)と建築指導係(055-983-2644)。理事会で1分だけでも、この話題を出していただけたらと思います。

ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。お問合せフォームからどうぞ。