大規模修繕はロープアクセスが提案可能な東京の明誠へ

創業から6000棟超の施工実績

飯能市の賃貸マンション補助金2026|現金補助より「固定資産税減額」と「県の無料専門家派遣」を狙う市

飯能市の賃貸マンション補助金2026|現金補助より「固定資産税減額」と「県の無料専門家派遣」を狙う市

飯能市で賃貸マンション・賃貸アパートをお持ちのオーナーさまへ。この記事は、令和8年度(2026年度)に飯能市で賃貸オーナーさまが実際に使える制度だけを、正直に整理したものです。

結論から申し上げます。飯能市は、当ブログでこれまで取り上げてきた狭山市・入間市と同じ「限定特定行政庁」グループに属しながらも、賃貸マンションの共用部にそのまま使える現金補助は、令和8年度時点でほぼありません。木造住宅の耐震診断・改修補助は戸建て・兼用住宅限定でRC造・SRC造の共同住宅は対象外、住宅用省エネ設備の補助制度は令和7年度限りで廃止され、令和8年度からは「共同購入によるスケールメリット」を狙う別方式の事業に切り替わっています。ブロック塀の撤去補助は個人限定で上限10万円と小口です。

「では飯能市の賃貸オーナーには何も武器がないのか」というと、そうではありません。飯能市には、大規模修繕を実施したマンションの翌年度固定資産税を減額する税制優遇(マンション長寿命化促進税制)と、埼玉県が無料で専門家を最大2回まで派遣してくれる「分譲マンションアドバイザー派遣」という2つの土台があります。現金がその場で振り込まれるわけではありませんが、保有期間中の実質的な負担軽減や、合意形成の後押しという形で、NOI(実質賃料収入)の下支えに効いてきます。この記事では、その仕組みと、木造二階建て以下しか市の窓口で扱わない「限定特定行政庁」という飯能市特有の構造まで、順に整理します。

飯能市で賃貸オーナーが押さえるべき制度【令和8年度・一覧】

先に全体像です。飯能市は現金がその場で出る補助金より、税制優遇と専門家派遣という「間接支援」が主戦場になる市です。

制度名 種類 申請できる人 効果・補助額 令和8年度の状況
マンション長寿命化促進税制(固定資産税の減額) 税制優遇 築20年以上・10戸以上のマンション所有者 翌年度の固定資産税を専有部分100㎡まで一定割合減額(割合は飯能市の税条例による) 対象工事の完了期限:令和5年4月1日〜令和9年3月31日(2年延長済み)
マンション管理計画認定制度 認定制度(間接効果) 分譲マンションの管理組合・区分所有オーナー 固定資産税特例の前提資格の一つ、機構融資の金利引下げの入口 飯能市独自の受付開始時期は公式サイト上に明記が見当たらず、要確認
埼玉県分譲マンションアドバイザー無料派遣(市部) 専門家派遣(現物支援) 分譲マンションの管理組合 弁護士・建築士・マンション管理士等を無料で最大2回派遣 申請期間:令和8年4月1日〜12月11日/実施:令和9年3月15日まで
危険ブロック塀等撤去工事補助金 現金補助 ブロック塀を所有・管理する個人 撤去費の1/2、または長さ1mあたり1万円のいずれか低い方・上限10万円 市内事業者施工が条件、先着順(予算枠あり)
住宅用省エネ設備推進補助制度 現金補助(令和7年度で廃止) — — 令和8年度からは「太陽光パネル・蓄電池の共同購入事業」に切替。個人宅向けのスケールメリット方式で、賃貸共用部への直接補助ではない
木造住宅耐震診断・改修・防災ベッド補助 現金補助 木造戸建て・兼用住宅(2階以下、昭和56年5月31日以前)の所有者 診断2/3・上限5万円/改修23%・上限30万円(市内業者)または20万円(市外業者)/防災ベッド1/2・上限10万円 共同住宅(RC造・SRC造の賃貸マンション等)は対象外

※太字は本記事の核心です。上位3つが賃貸オーナーさまにとっての本命、下位3つのうち実際に使えるのはブロック塀撤去のみ、残り2つは正直に「対象外・不向き」と申し上げます。金額・条件は本文中に出典リンクを付けて詳述します。

この一覧を見て「補助金が薄い市だ」と感じられたなら、その感覚は正しいです。ただし、これは飯能市が不利な市という意味ではありません。飯能市は緊急財政対策の渦中にあり現金補助の新設余力が乏しい一方、税制優遇と県の無料専門家派遣という「お金のかからない支援」を組み合わせれば、動き出しの好機がまだ残っている街、というのが私の見立てです。

飯能市は「限定特定行政庁」|賃貸マンションの建築確認・12条点検は市役所ではなく川越建築安全センター

まず、飯能市の建築行政の構造から押さえておきます。飯能市は平成9年4月1日から「限定特定行政庁」に指定されており、市が自前で扱うのは木造・地階を除く階数2以下・延べ面積300㎡以下・高さ16m以下という小規模建築物(建築基準法第6条第1項第3号の建築物)だけです。

それ以外の建築物、つまりRC造・SRC造の賃貸マンションや、木造でも規模が大きい賃貸アパートについては、飯能市都市建設部建築課ではなく、埼玉県川越建築安全センター(川越市新宿町、電話049-243-2746)が建築確認・中間検査・完了検査、そして建築基準法第12条に基づく定期報告(12条点検)の受付まで一括して担当します。川越建築安全センターの管轄は、入間市・狭山市・飯能市を含む埼玉県西部・南西部の広域にまたがっており、当ブログでこれまで取り上げてきた狭山市(特定行政庁のため12条点検も補助金相談もすべて市役所1本)・入間市(限定特定行政庁で建築基準法6条1項4号までが市扱い)と並ぶ、川越センター管轄グループの3例目が飯能市です。

飯能市が扱う建築基準法6条1項3号は、入間市の4号建築物(木造以外も含む小規模建築物)よりもさらに狭い範囲で、「木造かつ2階以下」という条件が付く分、飯能市の場合は木造3階建て以上の賃貸アパートも川越建築安全センターの所管に入ります。同じ「限定特定行政庁」でも、市が自前で扱う範囲の線引きが自治体ごとに違う、という点は見落とされがちなので強調しておきます。

オーナーさまにとって、これが何を意味するか。外壁の打診調査(12条点検の全面打診)で「要是正」が出た場合、賃貸マンションであれば相談先は飯能市役所ではなく川越建築安全センターです。一方で、固定資産税の特例やブロック塀の補助といった市税・市の補助制度は、飯能市役所の各担当課が窓口になります。「点検は県、税と補助は市」という二段構えを最初に理解しておくと、相談先を間違えて時間を無駄にすることがありません。

12条点検では、竣工または外壁改修から10年を超えた建物について外壁全面の打診等調査が求められます(令和4年の告示改正で10年周期が明確化)。この全面打診が、賃貸オーナーさまにとって最初のまとまった出費になりがちです。調査のためだけに足場を組むと調査費より仮設費のほうが高くなる逆転が起きやすいため、この点は後段のロープアクセス工法の項で詳しく扱います。

正直な話|飯能市に賃貸マンション向けの耐震現金補助は見当たりません

ここは、読者の皆さまに正直にお伝えしなければならない部分です。

飯能市が案内している耐震補助は「木造住宅耐震診断補助金」「木造住宅耐震改修補助金」の2本立てです。しかしいずれも対象が「昭和56年5月31日以前に着工された木造の一戸建て住宅または併用住宅で、地階を除く階数が2以下のもの」と明確に定義されており、RC造・SRC造の賃貸マンションはもちろん、木造でも3階建て以上の賃貸アパートは対象外です。補助額は診断が費用の3分の2・上限5万円、改修は費用の23%・市内業者施工なら上限30万円(市外業者は上限20万円)で、いずれも先着順の予算枠があり、契約・着工前の申請が必須です。

これは、当ブログで以前ご紹介した狭山市(賃貸共同住宅が補助対象の表に名指しで載っている)とは明確に違う構図です。同じ川越建築安全センター管轄グループの入間市も「賃貸共同住宅」という言葉が条文に見当たらないと申し上げましたが、飯能市はさらに対象範囲を絞り込み、木造・2階建て以下という条件を明記している分、賃貸マンションオーナーにとっての現金補助の間口はより狭い、というのが取材を通じての率直な感触です。

大規模修繕工事そのものへの市直接の現金補助についても、公式サイト上に賃貸マンション向けの制度は確認できませんでした。もし今後、市が制度を新設した場合は、当ブログでも追ってご案内します。

唯一にして最大の武器|大規模修繕マンションの固定資産税減額(マンション長寿命化促進税制)

現金補助が薄いなかで、飯能市の賃貸オーナーさまが実際に狙える最大の武器が、この固定資産税の特例措置です。

これは国が令和5年度に創設した「マンション長寿命化促進税制」を、各市町村が条例で実施する仕組みで、次の要件をすべて満たすマンションについて、翌年度分の固定資産税額を、専有部分の床面積100㎡までの範囲で減額します。

  • 築後20年以上が経過していること
  • 10戸以上の区分所有マンションであること
  • 外壁塗装・床防水・屋根防水のすべてを過去に1回以上適切に実施していること
  • その上で、2回目以降の長寿命化工事を令和5年4月1日から令和9年3月31日までの間に完了していること(当初は令和7年3月末までの期限でしたが、国の措置で2年延長されています)
  • 国が定める管理計画認定を受けているか、国土交通大臣・都道府県知事等の助言・指導の対象となっていること

減額割合は国の制度上、市町村が条例で2分の1から6分の1の範囲内で定めることとされていますが、飯能市が具体的に何分の1を採用しているかは、本記事の執筆時点で市の公式サイト上に一覧としての明記が見当たりませんでした。入間市・狭山市が3分の1減額を明記しているのとは対照的です。飯能市で本特例の適用を検討される場合は、必ず事前に資産税担当課へ減額割合と申告要件をご確認ください。断定を避けてお伝えする理由は、誤った期待値でオーナーさまの意思決定を歪めたくないためです。

減額は1度限りで、対象は固定資産税のみ(都市計画税は対象外)。耐震改修・バリアフリー改修・省エネ改修による他の固定資産税減額措置とは、同一年度内の併用ができません。申告は工事完了日から3か月以内に、建築士やマンション管理士による証明書類を添えて資産税課へ提出する必要があります。

割合が不明でも、狙う価値がある理由

仮に飯能市の減額割合が最も低い6分の1だったとしても、大規模修繕という数千万円規模の支出に対して、公的に「やって当然の資産形成」と認められた証しが付くという意味合いのほうが、実務上は大きいと私は考えています。20年以上この業界で数多くの大規模修繕に携わってきた実感として、こうした「数字にしにくい信用」が、次の融資や売却の場面で効いてくる場面を何度も見てきました。金融機関に融資相談をする際、固定資産税特例の適用実績は、物件の管理レベルを客観的に示す材料になります。

問い合わせ先:飯能市 総務部 資産税課(飯能市大字双柳1|電話 042-973-2111 代表)

管理計画認定制度|飯能市の受付状況は「要確認」、でも県の無料専門家派遣は今すぐ使える

固定資産税特例の前提の一つとなる「マンション管理計画認定制度」は、令和4年4月に国が創設した仕組みで、埼玉県内では市部(19市)は各市が自前の認定窓口を持ち、町村部は埼玉県が窓口を代行する建て付けです。

問題は、飯能市が「市部」として独自に認定の受付を始めているかどうかが、本記事の執筆時点で公式サイト上に明確な案内として見当たらない点です。埼玉県は「市が制度を整備するまでの間」、対象市に対して無料の分譲マンションアドバイザー派遣という支援策を用意しており、飯能市はこのアドバイザー派遣の対象19市(熊谷市・飯能市・狭山市・鴻巣市・上尾市・戸田市・入間市・朝霞市・志木市・和光市・桶川市・久喜市・北本市・八潮市・富士見市・三郷市・坂戸市・鶴ヶ島市・吉川市)に含まれています。これは埼玉県が自らのページで案内している事実です。

認定基準は大きく5分野で、国の共通基準として次のような項目が求められます。

分野 主な基準
管理組合の運営 管理者・監事の設置、年1回以上の総会開催
管理規約 作成必須、緊急時の対応・情報提供に関する規定
経理の状況 修繕積立金と管理費の会計区分の明確化、修繕積立金の滞納が総戸数の1割以内
長期修繕計画 7年以内に作成・見直し、計画期間30年以上、大規模修繕工事を2回以上含む
その他 区分所有者名簿の適正な維持、年1回以上の確認

この状況下でオーナーさまが今すぐ動ける手段が、埼玉県分譲マンションアドバイザーの無料派遣です。弁護士・建築士・マンション管理士など専門家を、費用ゼロで最大2回まで管理組合に派遣してもらえる制度で、令和8年度の申請期間は令和8年4月1日から12月11日まで、実際の派遣は令和9年3月15日まで受けられます。長期修繕計画の見直しや、管理計画認定に向けた事前準備の相談に使える、投資対効果の高い支援策です。区分を複数お持ちで、これから大規模修繕の議決を控えている物件があれば、管理組合に対して「まず県のアドバイザー派遣を申し込んではどうか」と働きかけることが、資産防衛の一手になります。

管理計画認定を取得しているマンションの管理組合が共用部リフォーム融資を利用する場合、融資金利が年0.2%引き下げられ、融資保証料も2割引になる制度が住宅金融支援機構にあります。認定制度そのものの受付状況は要確認でも、こうした周辺の優遇策は先に押さえておく価値があります。

問い合わせ先:飯能市 都市建設部 建築課(電話 042-973-2170)、または埼玉県都市整備部住宅課(電話 048-830-5573)

個人オーナー限定|危険ブロック塀等撤去工事補助金

小口ですが、条件が合えば実際に使える現金補助もあります。飯能市ブロック塀等撤去工事補助金です。

対象は、道路に面し、道路に面する側の地盤面からの高さが1.2メートル以上で、点検調査により倒壊の危険性が確認された塀・門柱です。補助額は撤去費用の2分の1、または塀の長さ1メートルあたり1万円を掛けた額のいずれか少ないほうで、限度額は10万円。市内事業者が撤去工事を実施することが条件に含まれており、市税の滞納がないことも要件です。

ここで注意が必要なのは、飯能市公式サイトの申請者要件が「ブロック塀等を所有し、または管理する個人」と明記されている点です。狭山市の同種制度が法人を含む形で運用されているのとは対照的に、飯能市のページ上では個人限定と読めます。法人名義で賃貸物件を所有されているオーナーさまは、申請前に必ず飯能市建築課へ法人での申請可否を直接ご確認ください。この記事では、公式サイトの記載を正確に反映する立場から、断定を避けてお伝えします。

賃貸物件の敷地境界のブロック塀は、地震時に倒壊して通行人を負傷させた場合、工作物責任(民法第717条)で所有者が損害賠償責任を負う可能性があります。10万円の補助が出るかどうかより、そのリスクを外せるかどうかの話です。申請前に必ず現地確認が入る流れですので、まずは飯能市建築課(042-973-2170)へ一報を入れてください。交付決定・契約・工事着手の前に申請書を提出しないと、補助は一切出ません。

使えない制度を正直に|住宅用省エネ設備補助は廃止、令和8年度からの共同購入事業も賃貸には不向き

太陽光発電・蓄電池に補助が出ていた「飯能市住宅用省エネ設備推進補助制度」は、令和7年度をもって廃止されました。環境緑水課(電話042-973-2125)に確認したところ、令和8年度からは代替事業として「太陽光パネル及び蓄電池の共同購入事業」が始まっています。

この共同購入事業は、市が事業者を仲介し、参加希望者をまとめて発注することで、設置費用のスケールメリット(規模割引)を得られる仕組みであり、直接オーナーに現金を交付する補助金ではありません。福岡県や兵庫県尼崎市など他自治体でも同種の「共同購入」型事業が広がっていますが、いずれも個人宅を主な想定対象としており、賃貸マンションの共用部への太陽光・蓄電池導入を想定した制度設計にはなっていないのが一般的です。飯能市の共同購入事業についても、賃貸・事業用の共用部が対象に含まれるかどうかは、本記事の執筆時点で公式サイト上に明記が見当たりませんでした。

共用部への太陽光・蓄電池の導入をご検討中のオーナーさまは、飯能市の共同購入事業ではなく、国のZEH-M関連補助や、埼玉県の家庭向け補助制度の事業者向け枠の有無を別途ご確認いただくことをおすすめします。「制度が新設されたから」ではなく「賃貸オーナーとして使えるかどうか」で判断する姿勢が、無駄な期待と時間のロスを防ぎます。

補助金・税制優遇を受け取ったあとの税務|3つの論点

金額と税制の話をしたあとは、必ず税務の話をします。ここで差がつきます。

1. 現金補助は雑収入として課税されます

自治体から受け取るブロック塀撤去補助などの現金補助は、原則として受給した事業年度の雑収入(益金)に計上されます。10万円が入れば、その分だけ課税所得が増えます。「10万円まるごと手元に残る」という前提で資金計画を立てると、翌期の納税でずれます。

2. 固定資産税の減額は「収入」ではなく「支出削減」です

本記事の中心である固定資産税減額は、現金補助と違って課税所得を直接増やしません。支払うべき税額そのものが減るため、税引き後キャッシュフローへの効き方が現金補助とは異なります。減額分を雑収入として計上する必要がない代わりに、圧縮記帳のような特例の対象にもなりません。単純に、毎年の固定資産税という固定費が1年だけ下がる、とご理解ください。

3. 修繕費か資本的支出かで、手取りが変わります

外壁塗装・屋上防水の塗り替えは、原状回復の範囲であれば修繕費として一括損金算入できる可能性があります。一方、建物の耐用年数を延ばしたり価値を高めたりする工事は、資本的支出として資産計上し、減価償却していくのが原則です。同じ1,000万円の支出でも、修繕費なら当期に1,000万円の損金、資本的支出なら年間数十万円の償却にしかなりません。見積書を工種別に分けて計上しておくことが、税務上の区分と、将来の固定資産税特例の証明書類作成の両方で効いてきます。適用可否や具体的な区分は、必ず顧問税理士にご確認ください。

西川材の山あいで足場が組みにくい理由と、工法別のコスト比較

ここからは、工事の話です。

飯能市は面積約193.19平方キロメートル、人口約7.8万人。市域の約76%を森林が占め、西川材(にしかわざい)と呼ばれる良質な杉・檜の産地として知られてきた、山と住宅地が入り組む地形が特徴です。西武池袋線・JR八高線が通り、池袋まで急行で約50分。近年はムーミンバレーパークやメッツァを擁する観光都市としても知られますが、財政面では緊急財政対策の渦中にあり、市の裁量で使える予算に制約が生じています。この地形と財政の両方が、大規模修繕の現場で次のような問題として具体的に現れます。

  • 傾斜地・高低差のある敷地が多い:平地の少ない飯能では、建物の周囲に十分な作業スペースを確保できない現場が珍しくありません
  • 前面道路が狭い:資材搬入車両が付けられず、人力小運搬が増えて仮設費が膨らみます
  • 山間部の現場は資材運搬コストが上がる:足場材を山あいの現場まで運ぶだけで、平地に比べ運搬費が余分にかかります
  • 1階に店舗・テナントが入っている:足場と養生シートで看板が隠れると、テナントから営業補償を求められることがあります

つまり、飯能市のような傾斜地の多い立地では、足場が「建てにくい」または「建てると採算が合わない」物件が一定割合で存在します。私自身、現場に入るたびに「この敷地なら足場より先にロープアクセスを検討すべきだった」と感じる物件に何度も出会ってきました。

株式会社明誠は、通常足場工法・ロープアクセス工法(無足場工法)・両者を組み合わせたハイブリッド工法の3つから、建物の形状・立地・工事内容に応じて最適な工法をご提案できる、日本でも数少ない会社です。工法の技術的な背景は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで詳しく解説しています。

仮設費の比較(目安)

7階建て・外周65m・工期2.5か月の賃貸マンションを想定した場合の、仮設部分のみの概算です。

項目 通常足場工法 ロープアクセス工法
仮設費(概算) 約135万円 約49万円
差額 — 約86万円の圧縮
資材運搬(山間部想定) 別途加算されやすい 影響を受けにくい
設置・解体期間 各3〜4日 当日開始可能
防犯リスク 足場からの侵入懸念あり 該当なし

※あくまで目安・参考値です。実際の金額は建物形状、施工面積、工事内容、仕様、時期、立地条件により大きく変動します。必ず現地調査のうえ個別にお見積りいたします。

工種別の㎡単価の目安

工種 単価の目安
外壁塗装 3,500〜4,500円/㎡
外壁打診調査(12条点検) 250〜500円/㎡
屋上・バルコニー防水 5,000〜8,000円/㎡

20戸規模の賃貸マンション1棟の大規模修繕は、総額で2,500万〜4,000万円のレンジに入ることが多く、そのうち仮設足場が15〜25%を占めます。仮設費を80万円以上圧縮できるかどうかは、固定資産税特例(割合次第で年数万円〜十数万円規模)よりもむしろ大きな金額になることが多く、工法選択こそが飯能市の賃貸オーナーさまにとって最も即効性のある「節約策」だと私は考えています。料金の考え方は大規模修繕の料金の考え方にまとめています。

工期と入居者への影響

ロープアクセス工法は、足場工法の約60%の工期で完了します。前述の7階建て・外周65mであれば、足場2.5か月に対しロープアクセスは1.5か月前後が目安です。

工事期間中はバルコニーが使えず、洗濯物が干せず、窓を開けられず、養生シートで日当たりが落ちます。入居者にとっては純粋な生活の質の低下であり、退去を検討するきっかけになります。

数字にしてみます。20戸・平均賃料6万円の物件で、工事を機に2戸が退去し、次の入居まで平均2.5か月空いたとします。

  • 空室損失:6万円 × 2戸 × 2.5か月 = 30万円
  • 原状回復・募集費用(AD含む):1戸16万円として 32万円
  • 合計:62万円

仮設費の差額約86万円に、この62万円が上乗せされる可能性があると考えると、工法選択の重みが変わってきます。足場を架けない工事は、入居者に「工事をしていることに気づかれにくい」という、賃貸経営に固有の価値を持っています。

明誠のロープアクセス工法の技術詳細と、収益不動産オーナーさま向けのサービスもあわせてご覧ください。ロープアクセス工法での高所作業について、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。安全管理の考え方は明誠の安全管理体制に記載しています。

なお、12条点検の全面打診調査だけを先行して行う場合も、ロープアクセス工法なら足場を架けずに実施できます。調査で要是正が出た箇所だけをピンポイントで補修し、次回の大規模修繕までの時間を稼ぐという判断も可能です。無足場工法の適用範囲や技術基準については、ロープアクセスドットコムに専門的な解説をまとめています。

株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。IRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けた作業員が施工し、ISO9001品質マネジメントシステムを運用、日本ロープ高所作業協会の事務局も担当しています。また、日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部として、塗装・防水・タイル・電気・看板の各分野の専門職が加盟しており、中間マージンを圧縮した価格でご提供できる体制を整えています。実際の施工の様子は明誠の施工事例からご覧いただけます。

令和8年度の締切カレンダー(飯能市・オーナー向け)

期日 対象
随時(先着順・予算枠に達し次第終了) 危険ブロック塀等撤去工事補助金
令和8年12月11日 埼玉県分譲マンションアドバイザー無料派遣の申請期限
令和9年3月15日 埼玉県分譲マンションアドバイザー派遣の実施期限
令和9年3月31日まで 固定資産税特例の対象となる大規模修繕工事の完了期限(令和5年4月1日〜)
工事完了後3か月以内 固定資産税特例の申告期限(資産税課)

申請のタイミングにご注意ください。ブロック塀補助は「交付決定前に契約・着工してはいけない」タイプ、固定資産税特例は「工事完了後に申告する」タイプ、県のアドバイザー派遣は「年度内に申請枠が埋まり次第終了する」タイプです。この順序とスケジュールを間違えると、それだけで優遇がゼロになります。

よくあるご質問(FAQ)

Q1. 飯能市に賃貸マンション向けの耐震補助金はありますか?

A. 本記事の執筆時点で、市の公式サイト上に明記された賃貸マンション(RC造・SRC造の共同住宅)向けの現金補助は確認できませんでした。市の木造住宅耐震補助は2階建て以下の戸建て・兼用住宅限定で、共同住宅は対象外です。最新の制度新設の有無は、飯能市建築課(042-973-2170)へ直接ご確認ください。

Q2. 現金補助が薄いなら、飯能市の賃貸オーナーには何もメリットがないのですか?

A. いいえ。大規模修繕を実施したマンションへの固定資産税減額(割合は要確認、専有部分100㎡まで、工事完了は令和9年3月31日まで)と、埼玉県が無料で専門家を最大2回派遣してくれる分譲マンションアドバイザー制度という2つの支援があります。現金がその場で振り込まれるわけではありませんが、保有期間中の実質的な負担軽減や合意形成の後押しにつながります。

Q3. 太陽光発電や蓄電池を賃貸マンションの共用部に導入する場合、市の補助は使えますか?

A. 令和7年度で従来の補助制度は廃止されています。令和8年度からの「太陽光パネル及び蓄電池の共同購入事業」は個人宅向けのスケールメリット方式であり、賃貸共用部が対象に含まれるかは公式サイト上に明記が見当たりません。導入をご検討の場合は環境緑水課(042-973-2125)へ直接ご確認ください。

Q4. 法人名義で所有するブロック塀の撤去でも補助は使えますか?

A. 飯能市公式サイトの記載では申請者要件が「所有・管理する個人」とされています。法人名義での申請可否は明記が見当たらないため、必ず事前に飯能市建築課(042-973-2170)へ直接ご確認ください。

Q5. 12条点検で外壁の要是正が見つかった場合、どこに相談すればいいですか?

A. 賃貸マンションなど木造2階建て以下・延べ300㎡以下・高さ16m以下の小規模建築物に該当しない建物は、飯能市役所ではなく埼玉県川越建築安全センター(電話049-243-2746)が定期報告の窓口です。補修工事の施工会社選定については、明誠までお気軽にご相談ください。

Q6. マンション管理計画認定は飯能市で申請できますか?

A. 本記事の執筆時点で、飯能市が独自に認定の受付を始めているかは公式サイト上に明記が見当たりません。まずは飯能市建築課、または埼玉県都市整備部住宅課(048-830-5573)へ申請可否をご確認ください。認定の受付状況にかかわらず、埼玉県の無料アドバイザー派遣は先に申し込むことができます。

Q7. 工期はどれくらいですか?入居者への影響が心配です。

A. ロープアクセス工法なら足場工法の約60%の工期で完了します。7階建て・外周65mの賃貸マンションであれば、足場2.5か月に対しロープアクセス1.5か月前後が目安です。足場と養生シートを架けないため、入居者の生活への影響が大幅に軽減され、工事を理由とした退去のリスクを下げられます。

この記事のポイントまとめ

  • 飯能市に賃貸マンション名指しの耐震現金補助は現時点で見当たらない
  • 木造耐震補助は2階建て以下の戸建て限定、共同住宅は対象外
  • 最大の武器は大規模修繕マンションの固定資産税減額(割合は要確認、令和9年3月末完了分まで)
  • 管理計画認定の市独自受付は要確認、ただし埼玉県の無料アドバイザー派遣(最大2回)はすぐ使える
  • ブロック塀撤去補助は上限10万円・個人限定(法人は要確認)
  • 住宅用省エネ設備補助は令和7年度で廃止、令和8年度の共同購入事業も賃貸には不向き
  • 12条点検の窓口は市役所でなく埼玉県川越建築安全センター(入間市・狭山市と同じ管轄グループ)

飯能市の賃貸オーナーさまへ

正直に申し上げます。飯能市は、現金がその場で振り込まれる補助金という切り口だけで見れば、当ブログでこれまで取り上げてきた自治体の中でも、賃貸オーナーさまにとって手厚い市とは言えません。緊急財政対策の渦中にあることも、その一因だと私は見ています。

それでも私がこの記事で一番お伝えしたいのは、「補助金がない」と「打つ手がない」はイコールではないということです。固定資産税特例という税制優遇、そして埼玉県が無料で用意してくれている専門家派遣を組み合わせれば、大きな持ち出しなく合意形成と修繕計画づくりを前に進められます。それは固定資産税の減額だけでなく、金融機関からの評価、売却時の指値交渉、そして何より入居者に選ばれ続ける物件であり続けるための土台になります。

築年数なりの劣化は、賃料の下落圧力として静かに効いてきます。外壁のチョーキング、タイルの浮き、シーリングの切れは、内見に来た方の第一印象を確実に下げます。出口を見据えた修繕投資は、単年度の利回り改善より、物件価値そのものを底上げします。

飯能市で賃貸マンション・アパートをお持ちで、まだ修繕計画の検討を始めていないオーナーさまは、ぜひ一度お問い合わせください。1棟の現地調査と、足場工法・ロープアクセス工法・ハイブリッド工法の3案を並べたコスト比較シミュレーションだけでも、ご相談を承ります。固定資産税特例の完了期限(令和9年3月31日)から逆算した工事計画のご提案も可能です。


▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア


本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月24日時点で公表されている飯能市および埼玉県・国土交通省の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請・申告される前に、必ず飯能市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。

この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年9月24日

出典(飯能市・埼玉県・国土交通省 公式ウェブサイト)