江東区で使える賃貸オーナー向け補助金活用ガイド|計画修繕調査・耐震・省エネを「NOIを下げない順」に整理する
築年数の進んだ賃貸マンション・ビルを江東区内で保有しているオーナーさまから、私のところに最近よく届く相談がふたつあります。ひとつは「修繕費が読めず、キャッシュフローが詰まる」というもの。もうひとつは「築古を売るか、直して持つか、判断材料が欲しい」というものです。
このふたつ、実は同じ問題を別の角度から見ているだけです。鍵になるのは、「修繕で出ていく現金をどれだけ補助金・税効果で取り返せるか」。江東区の制度は、分譲管理組合向けの体裁で書かれているものが多いため、賃貸オーナーが読むと「うちは関係ないのかも」と離脱してしまいがちです。
しかし実際には、賃貸住宅にも適用される制度、賃貸住宅オーナー向けに事業所枠から狙える制度、東京都・国の制度との合わせ技で効くものがいくつもあります。私自身、江東区内で築20年〜35年の物件を持つオーナーさまの現地調査をやらせていただく機会が多く、毎回「この制度、知っていればもう少しキャッシュアウトを抑えられたのに」という場面に出会います。
この記事では、江東区在住・所有のオーナーさまが、2026年度(令和8年度)にまず押さえるべき補助金・助成制度を、NOI(実質賃料収入)を下げない順に整理します。投資家としての判断軸——入居率、賃料単価、出口価格、税効果——から、それぞれの制度の「使い所」を解説していきます。
結論先出し:江東区オーナーが最初に読むべき制度は5つ
時間がない方のために、まず結論からお伝えします。江東区で収益不動産を保有するオーナーが2026年度に検討する価値が高い制度は、次の5つです。
- 江東区マンション計画修繕調査支援事業(大規模修繕の事前調査費用を最大79万円超まで助成)
- 江東区民間建築物耐震改修等助成(旧耐震マンション・ビルの耐震診断〜改修)
- 江東区アスベスト分析調査費助成(中小企業・医療法人・社福法人が所有する建築物が対象、上限10万円)
- 江東区地球温暖化防止設備導入助成(集合住宅・事業所用)(LED改修・窓断熱改修等)
- 東京都マンション改良工事助成制度/国「みらいエコ住宅2026」(江東区制度と組み合わせる広域制度)
このうち、1と2は賃貸マンションも原則対象、3は法人オーナー向け、4は設備更新、5は広域制度との合わせ技という整理になります。詳細はこの記事で順番に分解していきます。
正直に申し上げます。私はいつもオーナーさまに、「補助金は受給時に雑収入として課税される点に注意」「修繕費か資本的支出かで税務処理が変わる」とお伝えしています。補助金は「もらってトクするだけのもの」ではなく、税務処理とセットで設計しないと、入口で得して出口で損をすることがあるからです。この記事の最後にも、税務上の論点をまとめて整理しておきます。
江東区の賃貸市場の前提整理:なぜ今、計画的修繕がNOIを左右するのか
ここからが本題です。
江東区は、湾岸エリア(豊洲・東雲・有明)の超高層タワーから、亀戸・大島・砂町といった内陸の中層賃貸エリア、門前仲町・清澄白河の築古リノベ需要エリア、そして商業ビル・倉庫が混在する塩浜・新木場まで、築年も用途も極端にバラついた区です。
私が江東区の物件を歩いて感じるのは、築20年〜35年の中規模賃貸マンションが想像以上に多いということです。バブル後期〜2000年代前半に建てられたファミリー賃貸・単身者向けマンションが、ちょうど2回目の大規模修繕(築25年前後)のタイミングを迎えています。
ここで効いてくるのが、入居率と賃料単価です。
| 観点 | 築15年 | 築25年 | 築35年 |
|---|---|---|---|
| 賃料下落圧力 | 緩やか | 強くなる | 同エリアの新築と20%超の差 |
| 入居期間 | 4〜6年 | 3〜5年 | 2〜4年(退去時の原状回復費も増加) |
| 修繕投資のタイミング | 1回目大規模修繕 | 2回目大規模修繕 | 3回目+設備全面更新 |
| 出口戦略 | 売却容易 | リファイナンス可 | 売却・建替・継続保有の判断分岐点 |
築年数なりの劣化は、賃料の下落圧力として静かに効いてきます。月額家賃が3,000円下がるだけでも、20戸の物件なら年間72万円のNOI低下。これが10年続けば720万円のキャッシュフロー差です。
修繕は「コスト」ではなく「NOIの底上げ投資」——この視点で補助金制度を見直すと、使える制度の幅が一気に広がります。
江東区で大規模修繕を「無足場(ロープアクセス)」で考えるべきオーナー
私の会社(株式会社明誠)では、マンション・ビル・ホテルの大規模修繕工事を、通常の足場仮設工法、ロープアクセス工法(無足場)、両者のハイブリッド工法の3つから建物特性に応じてご提案しています。
江東区の物件で特にロープアクセスをご検討いただきたいのは、次のような物件です。
- 湾岸エリアの高層・超高層タワー:足場架設のコストとリスクが大きく、ロープアクセスの優位性が出やすい
- 道路斜線・隣地境界が厳しい中層物件:足場が組みづらく、組めても近隣調整に時間がかかる
- 入居率を維持したい賃貸物件:足場架設による居室内採光・プライバシー影響を最小化したい
- 部分補修・スポット補修:全面足場をかけるほどの工事ではない場合
ロープアクセス工法は、足場架設費・解体費が不要なため、工事総額で15〜30%程度のコスト削減が見込めるケースが多いです(物件形状・工事内容により変動します)。賃貸オーナーにとっては、修繕投資の利回り改善に直結する選択肢になります。
詳しくは、ロープアクセス工法のご紹介、大規模修繕工事のご紹介をご覧ください。
制度1:江東区マンション計画修繕調査支援事業(賃貸マンションも対象)
ここからが、江東区独自制度の中で最初に検討すべき制度です。
制度の概要
江東区は、建築後7年以上経過した耐火建築物の民間マンションについて、大規模修繕の前段階で必要となる調査費用の一部を助成しています。
ポイントは、要綱に「分譲住宅の共用部分または賃貸住宅の賃貸部分の調査」と明記されていること。つまり、賃貸マンションも対象になります(出典:江東区「マンション計画修繕調査支援事業」)。
助成額(戸数別の上限)
| 戸数 | 助成限度額 |
|---|---|
| 60戸以下 | 219,000円 |
| 61〜90戸 | 282,000円 |
| 91〜120戸 | 287,000円 |
| 121〜200戸 | 388,000円 |
| 201〜300戸 | 520,000円 |
| 301〜400戸 | 624,000円 |
| 401〜500戸 | 709,000円 |
| 501戸以上 | 793,000円 |
助成率は調査費用の3分の1(千円未満切捨て)です。
対象となる調査項目
- 屋上・屋根、バルコニー、外部廊下などの防水に関する調査
- 外壁、内壁、天井、床などの壁面に関する調査
- 手すり、扉、階段、配管などの鉄製品に関する調査(電気・ガス・通信・エレベーター等の設備を含む)
オーナー視点で重要なのは、「修繕計画を作成するために必要な調査」が対象になっているという点です。長期修繕計画の見直し、または2回目の大規模修繕前の現況調査として、調査費用そのものを区が一部負担してくれます。
申請のタイミングと注意点
調査を実施する1ヶ月前までに申請が必要です。これは見落としがちな点で、業者から見積もりを取って「すぐ調査に入りたい」となった段階で気づくと、間に合いません。
私はいつもオーナーさまに、「現地調査・診断のスケジュールを業者と決める前に、まず区役所住宅課に一本電話をください」とお伝えしています。1ヶ月の事前申請ルールを知らずに着手してしまい、助成を取り損ねた事例を何件か見てきました。
この制度のオーナー視点での旨味
ここがオーナーさまに一番効くポイントです。
大規模修繕の現況調査・劣化診断は、相場で1棟あたり50万円〜200万円程度かかります。3分の1助成で上限が60戸以下219,000円なら、調査費用の実質負担は3〜4割減になります。
さらに重要なのは、この調査結果は税務上「修繕費」として損金算入できる点です。次の大規模修繕の根拠資料となり、資本的支出と修繕費の区分けにも使えます。NOIを直接押し上げる投資ではないですが、修繕費の経費化を強化し、課税所得を圧縮できる——これがオーナー向けの最大の旨味です。
制度2:江東区民間建築物耐震改修等助成(旧耐震マンション・ビルの守りの一手)
築年数で言えば昭和56年5月31日以前に建築された建物のオーナーさまには、こちらが最重要制度になります。
制度の概要
江東区は、非木造住宅等、マンション(分譲・賃貸)、民間特定建築物、一般緊急輸送道路沿道建築物について、耐震診断・耐震設計・耐震改修工事に対する助成を実施しています(出典:江東区「マンション、一般緊急輸送道路沿道建築物などの耐震化」)。
賃貸マンションも明確に対象になっており、要件・助成額は建物用途・位置によって細かく分かれます。詳細は事前相談が必須なので、まずは江東区役所建築調整課にお問い合わせください。
オーナーが押さえるべき3つのポイント
第一に、耐震診断は損金算入できる調査費用として扱える可能性が高い項目です。診断結果次第で「改修するか、売却するか、解体・建替するか」の判断材料になりますから、現金で消える費用ではなく、経営判断のための情報投資として位置づけられます。
第二に、緊急輸送道路沿道の建物は別枠で手厚い助成があります。江東区内で言えば、永代通り、清洲橋通り、新大橋通り、明治通りなどの沿道に建つビル・マンションは、診断・改修の両方で別格の助成が設計されています。お持ちの物件がこの沿道に該当するか、事前にご確認ください。
第三に、耐震改修後の物件は、賃貸市場での「説明材料」が増えるという効果があります。「旧耐震」とだけ言われると入居検討者は身構えますが、「旧耐震だが新耐震基準相当に補強済」と言える物件は、家賃水準を維持しやすくなります。これは投資家としての出口戦略にも直結します。
出口価格への影響
旧耐震マンションは、売却時のキャップレート(収益還元利回り)を厳しく見積もられがちです。買い手側は「将来の耐震改修コスト」「住宅ローン審査でハネられるリスク」を上乗せして利回りを要求するため、結果として売却価格が10〜20%下振れるケースを私は何度も見てきました。
耐震改修助成を活用して新耐震基準相当まで補強しておけば、出口時の値引き圧力を和らげられます。「耐震改修費を出す」ではなく、「出口価格の目減りを防ぐ」——この視点で投資判断をしてください。
制度3:江東区アスベスト分析調査費助成(中小企業・医療法人・社福法人オーナー向け)
ここは特に法人オーナー、医療法人、社会福祉法人にとって重要な制度です。
制度の概要
区内に建築物を有する中小企業、学校法人、社会福祉法人、医療法人等を対象に、アスベスト分析調査費用の一部を助成します(出典:江東区「アスベスト分析調査費助成」)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 助成率 | 調査費用の2分の1以内(千円未満切捨て) |
| 上限額 | 10万円 |
| 申請期限 | 令和8年(2026年)3月31日までに完了報告書提出可能な調査 |
| 重要な注意 | 分析調査を実施する前に申請が必要。事後申請は不可 |
この制度がなぜオーナーに効くのか
クリニックビル、サービス付き高齢者向け住宅、特別養護老人ホーム、保育園など、社会福祉法人・医療法人が運営する建物のオーナーにとっては、アスベスト含有調査は避けて通れません。
特に大規模修繕の前段階——外壁吹付け材、配管保温材、天井裏のスレート系建材など、アスベスト含有の可能性がある建材が見つかった場合、事前の分析調査をせずに工事を始めると、後から法令違反になるリスクがあります。
私はいつも法人オーナーさまにお伝えしています。「アスベスト調査は、出費というより法令対応コストの圧縮として組み込んでください」と。10万円上限の助成は、調査会社1〜2件分の費用を実質ゼロに近づけられる規模です。
工事との連動
アスベストが含有していると判明した場合、大規模修繕工事は「アスベスト除去」または「封じ込め」を伴う特殊工事となります。当社(明誠)では、このアスベスト含有建材の処理を含む大規模修繕にも対応しており、ロープアクセスと足場の使い分けで、除去作業エリアのコスト最適化を図ります。
調査結果次第では工事計画が大きく変わりますから、「調査 → 計画見直し → 工事」の順番を逆にしないことが重要です。
制度4:江東区地球温暖化防止設備導入助成(LED・窓断熱で入居率を守る)
「入居率1%の改善が、年間どれだけのキャッシュフロー差になるか」——これがオーナー視点での投資判断軸です。
制度の概要
江東区は、区内に省エネ設備を導入する個人・事業者・管理組合等に助成しています。集合住宅及び事業所でのLED照明への改修工事(既築のみ)が対象で、集合住宅とは1棟の建物のうち独立した住戸が5戸以上あるものを指します(出典:江東区「地球温暖化防止設備導入助成」)。
また、窓のリフォーム(断熱改修)も対象設備に含まれており、賃貸マンションの共用部・専有部の更新で活用できます。
オーナーが効かせるべき使い方
第一に、共用部LED化です。 廊下・階段・エントランス・駐車場照明を蛍光灯からLEDに更新すると、共用部の電気代が年間40〜60%程度削減されるケースが多くあります(物件規模・使用時間で変動)。これは管理費の圧縮、つまりNOIの直接的な押し上げです。
第二に、窓断熱(内窓・複層ガラス)です。 内窓1箇所の設置で、その住戸の断熱性能は体感できるレベルで変わります。「冬寒い、夏暑い」というクレームは、退去理由の上位に必ず入ります。窓断熱で退去率を年1〜2ポイント下げられれば、原状回復費・募集広告費の圧縮効果だけでも十分な投資回収になります。
第三に、修繕費・資本的支出の整理を必ずやることです。 LED照明への器具交換は、1器具あたりの単価と性能向上の有無で、税務上「修繕費」になるか「資本的支出」になるか分かれます。賃貸オーナーは、税理士に確認したうえで、可能な限り損金算入できる構成で発注計画を組んでください。
制度5:東京都・国の広域制度を江東区制度と組み合わせる
江東区独自制度だけでは届かない範囲は、東京都および国の制度との合わせ技で補います。
東京都マンション改良工事助成制度(分譲のみ)
東京都は、住宅金融支援機構の融資を利用してマンション共用部分の改良工事を行う管理組合に対し、金利1%相当の利子補給を実施しています(令和8年度の募集も開始済み、出典:東京都「分譲マンション管理組合向け マンション改良工事助成の募集開始」)。
ただし、対象は分譲マンション管理組合であり、賃貸マンションのオーナー単独利用はできません。とはいえ、区分所有マンションを複数戸保有して管理組合の理事を務めるオーナーさまには、自身の所有戸数分のキャッシュアウトを抑える効果があります。
国「みらいエコ住宅2026事業」
国は2026年度、みらいエコ住宅2026事業を実施しています(出典:国土交通省「みらいエコ住宅2026事業」)。
賃貸住宅は「長期優良住宅・ZEH水準住宅」の新築が対象になっており、新築賃貸物件の建設・建替を計画しているオーナーさまには大きな後押しになります。リフォームについては、2026年度から窓工事(開口部の断熱改修)が必須化されている点も押さえておいてください。
江東区ZEH・東京ゼロエミ住宅助成
国の補助対象住宅として確定を受けた戸建て住宅を対象に、江東区が独自助成を上乗せしています(出典:江東区「ZEH・東京ゼロエミ住宅助成」)。賃貸戸建を建設するオーナーさまには検討の余地があります。
補助金活用時の税務注意点:オーナーが必ず押さえるべき3つ
ここは何度でも言わせてください。補助金は「もらえば終わり」ではありません。
1. 補助金は受給時に雑収入として課税される
国・都・区を問わず、原則として補助金は受給時に雑収入(事業所得・不動産所得)として課税されます。法人オーナーの場合は益金算入です。「100万円もらった→100万円トクした」ではなく、「100万円受給→所得税・住民税で30〜50%が出ていく」という前提で資金計画を組んでください。
2. 修繕費か資本的支出かで結果が大きく変わる
工事費用そのものについて、修繕費(一括損金算入)か資本的支出(減価償却)かの判定は、税務上の最重要論点です。
| 項目 | 修繕費(損金一括) | 資本的支出(資産計上) |
|---|---|---|
| 防水補修 | 原則修繕費 | 全面改修で性能向上があれば資本的支出 |
| 外壁塗装 | 原則修繕費 | 防水性能・断熱性能を新たに付加した場合は資本的支出 |
| LED交換 | 器具単価次第 | 性能向上が明らかな場合は資本的支出 |
| 耐震改修 | 性質上ほぼ資本的支出 | 減価償却で複数年に分けて経費化 |
| 計画修繕調査 | 原則修繕費(情報投資) | — |
修繕費か資本的支出かで、初年度の課税所得が数百万〜数千万円単位で変わることがあります。必ず税理士と工事業者の打ち合わせを並行で進めてください。
3. 圧縮記帳の検討
要件を満たす一定の補助金については、圧縮記帳を用いて受給した補助金額相当を取得価額から差し引き、課税繰延を図ることができます。耐震改修・省エネ改修にひも付く設備投資には、この処理が効くケースがあります。これも税理士確認が必須の領域です。
ケーススタディ:江東区 築28年の賃貸マンション(30戸)の場合
イメージしやすいように、私の経験を踏まえた仮想ケースで整理します。
前提:
– 江東区東陽の賃貸マンション、築28年、30戸
– 2回目の大規模修繕を計画中、工事費見積もり 6,000万円
– ロープアクセス工法併用で約15%のコスト削減を見込む
活用想定する制度:
| 制度 | 想定助成額 | 用途 |
|---|---|---|
| 江東区マンション計画修繕調査支援事業 | 約219,000円 | 事前現況調査 |
| 江東区地球温暖化防止設備導入助成(LED) | 数十万円規模 | 共用部LED化 |
| 江東区アスベスト分析調査費助成(法人所有の場合) | 上限10万円 | 外壁吹付け材調査 |
経営判断のポイント:
– 大規模修繕費6,000万円のうち、修繕費として損金算入できる部分と、資本的支出で減価償却する部分を税理士と切り分け
– 工事完了後、リファイナンスと家賃改定を検討し、NOIを底上げ
– 出口を見据えた修繕投資は、利回り改善より物件価値そのものを底上げします
オーナー単独でこれを設計するのは、正直しんどいと思います。私たちのような大規模修繕業者と、税理士と、信頼できる管理会社の三者で「現地調査 → 助成金マッピング → 工事計画 → 税務戦略」を一気通貫で組むのが、もっとも効率的なやり方です。
よくある質問(FAQ)
Q1:賃貸マンションは江東区の補助金対象外と聞いたが本当か?
部分的に正しく、部分的に違います。マンション共用部分リフォーム支援事業(債務保証料助成)は分譲のみですが、マンション計画修繕調査支援事業・耐震改修助成は賃貸も対象です。制度ごとに対象が異なるので、一括りに判断せず、個別に確認してください。
Q2:補助金の申請は工事業者がやってくれるのか?
業者によります。当社では、助成制度のマッピングから申請書類の作成サポートまで、現地調査の段階で一緒に組み立てる運用をしています。ただし、最終的な申請主体はオーナーさま(または管理組合)になるので、書類は必ず内容を理解したうえで提出してください。
Q3:足場とロープアクセス、どちらが助成金の通りが良いのか?
工法の違いで助成額が変わることは原則ありません。助成は工事内容・建物用途・申請手続きで判定されます。むしろ、ロープアクセスを使うと工事総額が下がるため、相対的に助成カバー率(助成額÷工事費)が上がります。
Q4:申請が間に合わないときはどうすればよいか?
一部の制度は事前申請が絶対条件で、事後申請は受理されません(アスベスト分析調査費助成、計画修繕調査支援事業など)。スケジュールが厳しい場合は、工事開始時期を1〜2ヶ月後ろ倒しにしてでも申請を通す判断が、長い目で見て正解になることが多いです。
Q5:複数の補助金は併用できるか?
制度ごとに併用ルールが異なります。原則として、同一工事・同一費用に対して複数の補助金を重複適用することはできませんが、工事項目を切り分けて別々に申請することは可能です。事前に区役所と相談してください。
結語:今、動くべきオーナーさまへ
私はこの仕事を20年近くやってきて、補助金制度を最大限活用できているオーナーさまと、そうでないオーナーさまの差を、何度も見てきました。
差は、ほぼひとつの行動で決まります。「修繕の話を、見積もりを取る前に、まず区役所と業者に同時に相談しているかどうか」——これだけです。
見積もりを取って、工事業者を決めて、契約してから「助成金が使えるか確認したい」と相談されると、ほとんどの制度で事前申請の期限を逃しています。順番が逆なんです。
江東区の制度は、決して派手な金額ではありません。耐震改修や緊急輸送道路沿道のような重い制度を除けば、1件あたり数十万円〜数百万円規模です。それでも、入居率改善・NOI底上げ・出口価格維持の観点で見れば、十分に投資効果のある金額です。
お持ちの江東区内の物件で、まだ大規模修繕の検討が手付かずのオーナーさまは、ぜひ一度お問合せください。1棟の現地調査と利回り改善シミュレーションだけでも、ご相談を承ります。ロープアクセス工法を含めた工法比較、補助金マッピング、修繕費と資本的支出の切り分け試算まで、ワンセットでお出しします。
これは私が現場で20年見てきた、嘘偽りのない感想です。次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。
出典・参考資料
- 江東区「マンション計画修繕調査支援事業」
- 江東区「マンション、一般緊急輸送道路沿道建築物などの耐震化」
- 江東区「アスベスト分析調査費助成」
- 江東区「(個人住宅用・集合住宅用)地球温暖化防止設備導入助成」
- 江東区「ZEH・東京ゼロエミ住宅助成」
- 江東区「マンション共用部分リフォーム支援事業」
- 東京都「分譲マンション管理組合向け マンション改良工事助成の募集開始」
- 東京都マンションポータルサイト「分譲マンションの修繕への助成(マンション改良工事助成制度)」
- 国土交通省「みらいエコ住宅2026事業について」
- 国土交通省「みらいエコ住宅2026事業 公式サイト」
※本記事は2026年5月20日時点の公開情報に基づきます。各制度は年度途中での予算枠到達による締切、要綱改正があり得ます。最新情報は必ず江東区役所および各実施機関の公式ホームページでご確認ください。本記事の内容は法的・税務的助言ではありません。具体的な税務処理は税理士に、申請手続きの最終判断は所管窓口にご相談ください。


