大規模修繕はロープアクセスが提案可能な東京の明誠へ

創業から6000棟超の施工実績

大規模修繕の施工会社が「倒産」する時代へ——塗装・防水工事業者の倒産が2000年以降最多ペース、オーナー・管理組合が今すぐ確認すべき発注先の見極め方【2026年6月】

大規模修繕の施工会社が「倒産」する時代へ——塗装・防水工事業者の倒産が2000年以降最多ペース、オーナー・管理組合が今すぐ確認すべき発注先の見極め方【2026年6月】

工事が始まって、足場が建って、養生シートが張られた。あとは仕上がりを待つだけ——そう思っていた矢先に、施工会社から「会社をたたむことになりました」と連絡が入る。前払いした工事代金はどうなるのか。途中で止まった工事は誰が引き継ぐのか。10年保証のはずだったアフター保証は、もう紙切れなのか。

正直に申し上げます。これは、私が大げさに脅しているのではありません。2026年に入ってから、塗装・防水工事業者の倒産が「2000年以降で最も多いペース」で進んでいます。大規模修繕を控えた管理組合の理事長さま、そして収益物件を持つオーナーさまにとって、「どの工法で、いくらで直すか」と同じくらい——いや、それ以上に「どの会社に頼むか」が、いま資産を守れるかどうかの分かれ目になりつつあります。

私は大規模修繕の現場で20年近くやってきました。足場を組む工事も、ロープアクセス(産業用ロープで宙吊りになり、足場を架けずに外壁や屋上を施工する無足場工法)の工事も、その両方を組み合わせたハイブリッド工法も手がけています。その立場から、今日は「施工会社が消えるリスク」という、これまであまり正面から語られてこなかったテーマを、データと現場の両面からお話しします。

いま何が起きているのか——塗装・防水工事の倒産「80件」という数字

まず、事実から確認します。

帝国データバンク(TDB)が2026年6月8日に公表した調査によると、2026年1〜5月に発生した「塗装工事」と「防水工事」の倒産は合計80件。内訳は塗装工事が56件、防水工事が24件でした(出典:帝国データバンク「『塗装・防水工事』の倒産動向(2026年 1-5月)」)。

この80件という数字が、なぜ深刻なのか。理由は二つあります。

一つは、通年の倒産件数が「2000年以降で最多」を記録した2025年(1〜5月で87件)に次ぐペースで推移していること。つまり、過去四半世紀でいちばん倒産が多かった年に、肩を並べる勢いで増えているということです。

もう一つは、倒産した会社の顔ぶれです。負債額別で見ると、1億円未満の倒産が69件と全体の約86.3%を占めました(出典:帝国データバンク プレスリリース(PR TIMES))。これは、街の塗装屋さん・防水屋さんといった、地域に根ざした小規模事業者が真っ先に倒れているという意味です。塗装・防水は、マンションやビルの大規模修繕で必ず発生する工種です。その担い手が細っていくということは、いざ工事をしようと思ったときに「頼める会社が見つからない」「見つかっても割高になる」という形で、発注する側にも跳ね返ってきます。

別の調査会社・東京商工リサーチ(TSR)も同様の警鐘を鳴らしています。塗装工事業の倒産は2025年に143件と、23年ぶりの高水準に達しました(出典:東京商工リサーチ「『塗装工事業』の倒産143件 23年ぶり高水準」)。一過性の話ではなく、業界全体が構造的に揺れている、と捉えるべき局面です。

私は、この数字を最初に見たとき、現場で一緒に汗を流してきた職人さんたちの顔が浮かびました。腕は確かなのに、経営の体力が続かず店じまいする——現場で20年やってきて、私がいちばん悔しい思いをするのは、こういうときです。

なぜ倒産が増えているのか——「中東情勢」から始まる連鎖

倒産が増えている背景には、いくつもの要因が重なっています。順番に解きほぐします。

引き金は塗料・防水材の不足と値上がり

直接の引き金は、塗料と防水材の調達難です。中東情勢の悪化を起点に、塗料や防水材の原料となるナフサ(原油を精製してできる石油化学製品の基礎原料)の供給が不安定になりました。

塗装・防水工事は、ナフサ由来の溶剤(シンナーなど)に大きく依存しています。さらに、養生に使う保護シートや塗料を入れる容器といった副資材も、原料をたどればナフサに行き着く。つまり、工事の本丸も脇役も、まとめて値上がり・納期遅延の波に飲み込まれている状態です。

TDBも「塗料・防水材の値上げ幅が不透明で工事の見積もりが出しづらい」「資材調達の遅れで工期に遅延が生じている」ケースが出ていると指摘しています。私の現場でも、5月の連休前あたりから「いつもの材料がいつ入るか読めない」という声が職人さんから上がるようになりました。今後、ナフサ製品の供給不安が解消されなければ、倒産件数は2025年を上回り、2000年以降の最多を更新する可能性もある——TDBはそこまで踏み込んで警告しています。

値上げを「すぐに転嫁できない」小さな会社が倒れる

材料が上がっても、それを工事代金にすぐ反映できれば、会社は持ちこたえられます。問題は、小規模な専門工事会社ほど、価格転嫁の交渉力が弱いことです。

元請けから「この金額でやってくれ」と言われれば、断れば次の仕事が来ないかもしれない。だから無理を承知で受ける。材料費は上がっているのに受注単価は据え置き——この差が、薄い利益を食いつぶしていきます。負債1億円未満の小規模事業者が倒産の86.3%を占めたという事実は、まさにこの構造を映しています。建設業は、元請けから一次下請け、二次下請けへと仕事が流れる重層構造になっており、下にいくほど価格交渉の余地が小さくなる。倒産の波が「いちばん下」から来ているのは、偶然ではありません。

人件費(労務単価)の上昇も同時進行

追い打ちをかけているのが、人件費の上昇です。国土交通省が定める公共工事設計労務単価は、令和8年(2026年)3月適用分で全国全職種の加重平均が25,834円となり、初めて2万5千円を突破しました。平成25年度の改定から14年連続の上昇で、今回は前年度比4.5%の引き上げです(出典:国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」)。

職人さんの待遇が改善されるのは、業界の未来にとって良いことです。私も賛成です。ただ経営の現実として、材料費と人件費が同時に上がるなかで受注単価だけが上がらなければ、体力のない会社から順に資金繰りが行き詰まる。倒産の増加は、その帰結でもあるのです。

建設業の「担い手」はそもそも減り続けてきた

もう一段、大きな構図も押さえておきます。

国土交通省の建設業許可業者数調査によると、令和6年度末(2025年3月末)時点の建設業許可業者数は483,700業者で、2年連続の増加でした。一見、回復しているように見えます。しかし、業者数が最も多かった平成12年3月末と比べると、約11万7千業者(約19.5%)少ない水準にとどまっています。令和6年度の1年間だけでも、7,252業者が廃業の届出を出しています(出典:国土交通省「全国の建設業許可業者数は2年連続で増加〜令和6年度末の建設業許可業者数調査の結果〜」)。

加えて、現場で働く職人さんの高齢化も進んでいます。私の周りでも、腕のいい職人さんほど年齢が上がり、若い担い手への技能の引き継ぎが追いついていない。倒産で会社が消えるということは、その会社が抱えていた技術や職人さんのネットワークごと、地域から失われるということでもあります。一度失われた施工力は、すぐには戻りません。

つまり、この四半世紀で「工事を担う会社の母数」そのものが細ってきた。そこに今回の倒産ラッシュが重なります。母数が減り、そのなかでも経営体力のある会社とない会社の二極化が進む——大規模修繕を発注する側から見れば、「頼める会社」を選ぶ目が、これまで以上に問われる時代になった、ということです。

オーナー・管理組合に降りかかる「3つの実害」

ここからが本題です。施工会社が工事の途中で倒産すると、発注した管理組合やオーナーには、具体的にどんな実害が及ぶのか。私が現場で見聞きしてきた範囲で、大きく3つあります。

実害1:工事が止まり、足場が宙に浮く

最も困るのが、工事の中断です。足場を架けたまま施工会社が消えると、その足場の解体も、残りの工事も、宙に浮きます。新しい会社を探して引き継いでもらうにも、「前の会社がどこまでやったのか」「下地はどう処理されているのか」が分からなければ、引き受ける側もリスクを取れません。結果として、再見積もり・再契約に数カ月かかり、その間ずっと足場が建ったまま、というケースもあります。

居住者にとっては、洗濯物も干せず、防犯上も不安な状態が長引く。賃貸オーナーにとっては、入居者からのクレームや、最悪の場合は退去にもつながりかねません。

実害2:前払い金・出来高の回収が難しくなる

工事代金の一部を前払いしていた場合、倒産した会社からその回収はほぼ望めません。出来高(実際に終わった工事の分)を超えて支払っていた金額は、原則として戻ってこないと考えるのが現実的です。

私はいつも理事長さまに、「支払いは出来高に応じて、検査を挟みながら段階的に」とお伝えしています。契約のときに支払い条件をどう設計するかで、いざというときの傷の深さがまったく変わってくるからです。

実害3:アフター保証・瑕疵担保が「消える」

見落とされがちですが、いちばん長く効いてくるのがこれです。大規模修繕では、防水や塗装に5年・10年といった保証を付けるのが一般的です。ところが、保証を出した会社が倒産してしまえば、その保証は実質的に履行されません。数年後に屋上から雨漏りが起きても、「保証してくれるはずの会社が、もう存在しない」。

これは、工事が無事に終わったケースでも起こり得ます。だからこそ「無事に完成したから安心」ではなく、「10年後まで責任を取り続けられる会社か」という視点が要るのです。

現場で見た、ある「引き継ぎ工事」の話

少し具体的な話をします。物件が特定されないよう細部はぼかしますが、私が以前、別の会社が途中で立ち行かなくなった現場の引き継ぎを相談されたことがありました。

足場はすでに建っていました。外壁の下地補修まではどうにか終わっているように見えたのですが、いざ調べてみると、ひび割れの補修(シーリングの打ち替えなど)が一部しか終わっておらず、しかも、どこをどう処理したのかの記録がほとんど残っていない。引き継ぐ側からすると、「見えている範囲はやり直す前提で見積もるしかない」状態でした。結果として、管理組合は当初の予定より工期も費用も膨らみ、居住者は半年近く、足場と養生シートに囲まれた暮らしを強いられました。

このとき私が痛感したのは、「安いから」という理由だけで会社を選ぶと、いちばん高くつくのは発注したオーナー・管理組合の側だ、ということです。最初の見積もりが多少高くても、最後まで責任を持ってやり切れる会社に頼むほうが、トータルでは確実に安く済む。これは精神論ではなく、私が現場で何度も見てきた事実です。

発注先をどう見極めるか——理事会で使えるチェックの観点

では、倒産リスクの高い会社をどう避け、長く付き合える会社をどう選ぶか。専門的な財務分析まではできなくても、理事会レベルで確認できる観点があります。ここは表にまとめます。

確認の観点 具体的に見るところ なぜ大事か
経営の安定性 建設業許可の有無と業歴、決算書の提示可否 許可は5年ごとの更新制。業歴が長く決算を開示できる会社は一定の体力がある
施工体制 自社施工か、下請けへの丸投げか 重層下請けが深いほど、どこか一社の倒産で全体が止まりやすい
資材の調達力 塗料・防水材の仕入れルート、メーカーとの取引 調達難の局面で「材料が入らず工事が止まる」リスクを左右する
保証スキーム 保証の主体は誰か、メーカー保証や第三者保証の有無 施工会社が倒れても、メーカー保証や保証会社が残れば被害を抑えられる
支払い条件 出来高払いに応じるか、過大な前払いを求めないか 健全な会社ほど無理な前払いを求めない

すべてを完璧に調べる必要はありません。ただ、「この5つを質問してみて、誠実に答えてくれるか」だけでも、会社の姿勢はかなり見えてきます。逆に、相見積もりで極端に安い金額を出してきた会社には、「なぜこの値段でできるのか」を必ず確認してください。材料費も人件費も上がっているなかで不自然に安い見積もりは、どこかに無理がある——その無理が、数年後の倒産や手抜きという形で跳ね返ってくることがあるからです。

工法の選択が、施工会社の「健全さ」にもつながる理由

ここで、工法の話を絡めます。一見、倒産リスクと工法は無関係に思えるかもしれません。しかし、私の経験上、両者は深いところでつながっています。

大規模修繕の費用のなかで、足場の仮設・解体は決して小さくない割合を占めます。建物の規模や形状にもよりますが、足場費が工事全体の2〜3割に達することも珍しくありません。この足場費は、外壁や屋上を「直す」ためのお金ではなく、職人さんがそこに「行くため」のお金です。

ロープアクセス(無足場工法)を適切に使えば、この足場費を大きく圧縮できます。高層階や、足場を架けにくい形状の建物では、特に効果が出ます。足場という大きな固定費を削れる会社は、その分、無理な安値競争に巻き込まれずに、適正な利益を確保しながら良い仕事ができる。つまり、工法の引き出しが多い会社ほど、経営としても健全でいられる余地があるのです。

もちろん、ロープアクセスが万能というわけではありません。バルコニーの内側や、広い面を一気に塗る作業など、足場のほうが向く場面も確実にあります。だからこそ私は、足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3つを、建物ごとに使い分けることをお勧めしています。「足場ありき」でも「無足場ありき」でもなく、その建物にとっていちばんコストと品質のバランスが良い組み合わせを選ぶ。これが、結果として工事費を圧縮し、発注先の会社の体力にも余裕を生みます。

ロープアクセス工法そのものについては「ロープアクセス工法のご紹介」、3工法を組み合わせた大規模修繕の進め方については「大規模修繕工事のご紹介」で詳しくお伝えしています。

「足場を二度組まない」という発想がコストを左右する

もう一つ、お伝えしたいのが「足場を二度組まない」という考え方です。

大規模修繕では、外壁の塗装・防水と同時に、屋上防水やシーリングの打ち替え、鉄部の塗装など、複数の工事をまとめて行います。ところが、計画がばらばらだと、ある工事のために足場を組み、解体し、数年後に別の工事のためにまた足場を組む——という二度手間が起きます。足場費が工事全体の2〜3割を占めることを思えば、これは大きな無駄です。

ロープアクセスやハイブリッド工法をうまく使うと、この「足場の重複」を避けやすくなります。たとえば、足場が要る面は足場で一気に仕上げ、ロープアクセスで届く部分や、後から発生した小規模な補修は無足場で対応する。こうして固定費を抑えられれば、浮いた予算を本当に必要な補修や、修繕積立金の温存に回せます。修繕積立金が上昇し続けるいまの局面では、この「足場の二度組みを避ける」発想が、長期修繕計画全体の体力を左右します。

「専門職が束になる」体制が、調達難と人手不足への答えになる

倒産の最大の要因が、小規模な専門工事会社の「一社単独での経営の弱さ」にあるなら、その裏返しが答えになります。すなわち、塗装・防水・タイル・電気・看板といった各分野の専門職が、緩やかに束になって動ける体制です。

私たちは、ロープアクセス工事のフランチャイズという形で、各分野の専門職に加盟していただく仕組みを国内でいち早く立ち上げました。専門職が一つのネットワークでつながることで、資材の調達も、繁忙期の人手のやりくりも、一社で抱えるより格段に安定します。一社だけでは材料が手に入らない局面でも、ネットワーク全体で融通し合えれば、工事を止めずに進められる。これが、高品質と低価格を両立できる理由でもあります。調達難・人手不足・価格転嫁という、いま小規模事業者を倒産に追い込んでいる三つの圧力に対して、ネットワークで立ち向かう——これが私たちの考える、現実的な処方箋です。

加えて、私たちは一般社団法人全国建設業支援協会(JCSA)を運営し、全国の建設業者に向けて経営支援の情報発信やオンラインセミナー、交流会、ビジネスマッチングの場を提供しています。倒産が増えるこの局面だからこそ、業界全体の経営体力を底上げする取り組みにも、力を入れています。発注するオーナー・管理組合の皆さまにとっても、「経営を学び続けている会社か」は、長く付き合えるかどうかの一つの目安になるはずです。

もし工事の途中で施工会社が倒産したら——初動でやるべきこと

「すでに工事が進んでいる最中に、施工会社の様子がおかしい」。そんなときに慌てないために、初動の考え方を整理しておきます。あくまで一般的な手順であり、実際には弁護士など専門家への相談を前提にしてください。

第一に、支払いと出来高の状況を急いで突き合わせること。これまでいくら支払い、工事が実際にどこまで進んでいるのかを、写真や工程表とともに記録に残します。前払いが出来高を上回っているほど、損失は大きくなります。

第二に、足場や資材、現場の鍵といった「現場の管理権」がどうなっているかを確認すること。工事が止まったまま足場が放置されると、安全面・防犯面のリスクが続きます。誰が責任をもって現場を管理するのか、早い段階で整理が必要です。

第三に、保証書や契約書、施工記録を手元にそろえること。引き継ぎを別の会社に頼む場合でも、どこまでどう施工されたかの記録があるかどうかで、再見積もりの精度と費用がまったく変わってきます。

そして第四に、複数の会社から引き継ぎの相談を受けること。一社だけの言い値で決めると、足元を見られかねません。私のところにも、こうした引き継ぎのご相談は少なくありません。緊急時こそ、冷静に複数の選択肢を比べることが、被害を最小限にとどめる近道です。

よくあるご質問(FAQ)

Q. 相見積もりで一番安い会社を選ぶのは危険ですか? 安いこと自体が悪いわけではありません。問題は「なぜ安いのか」を説明できるかどうかです。材料費も人件費も上がっているなかで、根拠なく極端に安い見積もりは、利益を削りすぎているか、どこかを省いている可能性があります。安さの理由を質問し、納得できる答えが返ってくるかを確かめてください。

Q. 大手なら倒産の心配はないと考えてよいですか? 規模が大きいほど一般に体力はありますが、「大手だから心配ない」と言い切ることはできません。むしろ、自社でどこまで施工するのか、下請けへの依存度はどうか、という施工体制のほうが、現場の安定性に直結します。会社の規模だけでなく、実際に手を動かす体制を確認することをお勧めします。

Q. 保証はどうやって守ればよいですか? 施工会社の保証だけに頼らず、塗料・防水材のメーカー保証や、第三者の保証会社による保証を併用できないかを確認してください。施工会社が万一倒産しても、メーカー保証や第三者保証が残っていれば、被害を抑えられる場合があります。

Q. 施工会社の「経営の健全さ」は素人でも確認できますか? 完全な財務分析は難しくても、手がかりはあります。建設業許可の番号と業歴、過去の施工実績、決算書を見せてもらえるか、業界団体や経営支援の取り組みに参加しているか——こうした点を質問するだけでも、会社の透明性や姿勢が見えてきます。隠さず答えてくれるかどうかが、一つの判断材料になります。

Q. 工事はまだ数年先ですが、いま何をしておけばよいですか? 長期修繕計画の見直しと、発注先選びの基準づくりです。倒産が増える局面では、「いつ・いくらで・どの会社に頼むか」を早めに整理しておくほど、いざというときに慌てずに済みます。総会の前段階の整理だけでも、第三者の目を入れておく価値があります。

6月の総会シーズン、理事会で話してほしいこと

ちょうど今、6月はマンションの通常総会が集中する時期です。大規模修繕を数年内に控えている管理組合では、この機会にぜひ、次の3点を議題に少しだけ触れてみてください。

第一に、「発注先候補の会社の、経営の安定性をどう確認するか」。安さだけでなく、長く責任を取れる会社かどうかを選定基準に入れる、という共通認識を持つことです。

第二に、「契約時の支払い条件と保証の中身」。出来高払いを基本にする、保証はメーカー保証や第三者保証も併せて確認する、という方針を、発注前に固めておくことです。

第三に、「工法の選択肢を一社の言いなりにしない」。足場かロープアクセスか、あるいはその組み合わせか。複数の工法で提案を受け、それぞれのコストと工期、居住者への影響を比較したうえで決める。これだけで、見積もりの妥当性がぐっと判断しやすくなります。

なお、本記事は施工会社選定の一般的な考え方を整理したものであり、特定の会社の経営状態を保証・断定するものではありません。最終的なご判断は、複数の見積もりと専門家の助言を踏まえて行ってください。

まとめ——「直す技術」だけでなく「続く会社」を選ぶ時代に

塗装・防水工事業者の倒産が2000年以降で最多ペースに達したという今回のニュースは、単なる業界の内輪話ではありません。大規模修繕を発注する管理組合・オーナーにとって、「工事の途中や保証期間中に、頼んだ会社が消えるかもしれない」という、新しいリスクが現実になったということです。

これからの発注先選びでは、「直す技術があるか」だけでなく、「10年後まで責任を取り続けられる経営体力があるか」を、同じ重さで見てほしい。そして、足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3つの工法を建物ごとに最適に組み合わせ、工事費そのものを圧縮することが、結果として、発注する側にも施工する側にも余裕を生みます。工事費に無理がなければ、施工会社は適正な利益のなかで丁寧な仕事ができ、その余裕が10年後の保証履行にもつながっていく。発注の仕方ひとつが、巡り巡って自分たちの資産を守ることになるのです。

これは私が現場で20年見てきた、嘘偽りのない感想です。資産価値を守る大規模修繕は、技術と経営の両輪が回って初めて成り立ちます。総会の前段階の整理や、工法ごとの概算比較だけでも、お力になれることがあります。お問合せフォームから、ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。

出典・参考資料


※本記事は2026年6月12日時点の公表情報に基づいています。制度・統計の最新状況は各一次情報をご確認ください。投資・売買・税務に関する助言を目的としたものではありません。