大規模修繕はロープアクセスが提案可能な東京の明誠へ

創業から6000棟超の施工実績

鎌倉市の分譲マンション管理組合が使える補助金・税制活用ガイド|大規模修繕の負担を軽くする2026年度(令和8年度)の制度設計

鎌倉市の分譲マンション管理組合が使える補助金・税制活用ガイド|大規模修繕の負担を軽くする2026年度(令和8年度)の制度設計

「築30年を超えて、そろそろ2回目の大規模修繕。でも、足場が架けにくい場所が多くて見積もりが読めない」——大船・深沢・腰越、そして由比ガ浜や材木座といった鎌倉市内のマンションにお住まいの理事長さまから、こうしたご相談を続けていただいています。鎌倉は、海と山がすぐ近くにある、全国でも独特の地形を持つ街です。相模湾から吹き上げる潮風が外壁や鉄部を早く傷ませる一方、谷戸(やつ)と呼ばれる谷あいや斜面地に建つマンションも多く、隣地との境界が狭くて足場を組みにくい——そんな現場が、内陸の街よりずっと多いのです。

私は大規模修繕の現場で20年近く、足場の上とロープの先から建物を見続けてきました。そのなかで一番もったいないと感じるのは、「使える制度を知らないまま工事を終えてしまった管理組合」に出会うときです。固定資産税の減額、耐震診断の補助、無料の専門家派遣、低利の公的融資——鎌倉市には、管理組合が活用できる制度がきちんとそろっています。知っているか知らないかで、組合の負担は数十万円から、規模によってはそれ以上変わってきます。

この記事では、鎌倉市の分譲マンション管理組合が2026年度(令和8年度)に使える制度を、申請の順番に沿って、現場目線で整理しました。専門用語にはそのつど補足を入れますので、建築にお詳しくない理事長さまも、最後までお付き合いください。ここからが本題です。

鎌倉市のマンション管理組合が使える支援制度【2026年度・一覧】

まず全体像を押さえましょう。鎌倉市の分譲マンション管理組合が、大規模修繕や維持管理の場面で活用できる主な制度は、大きく「税」「耐震」「資金」「相談・認定」の4つに分けられます。

区分 制度名 概要 窓口
税の優遇 マンション長寿命化促進税制 一定要件を満たす長寿命化工事で、翌年度の固定資産税(家屋分)が3分の1減額 鎌倉市 資産税課
耐震の補助 マンション耐震診断補助金 旧耐震マンションの耐震診断費用の2分の1(上限150万円)を補助 鎌倉市 建築指導課
耐震の支援 耐震改修アドバイザー派遣 勉強会・検討会へ建築士を無料で派遣(耐震診断補助の前提) 鎌倉市 建築指導課
資金の調達 マンション共用部分リフォーム融資 管理組合向けの低利・長期の公的融資(住宅金融支援機構) 住宅金融支援機構/マンション管理センター
相談・認定 マンション管理計画認定制度 適正管理のお墨付き+融資金利の引下げ、税制の入口 鎌倉市 都市整備総務課/マンション管理センター

ここで強調しておきたいのは、これらは「どれか一つを選ぶ」ものではなく、組み合わせて使う発想が大切だということです。私はいつも理事長さまに、「工事の中身を決める前に、まず使える制度の地図を広げてください」とお伝えしています。順番が逆になると、せっかくの優遇を取り逃すことがあるからです。なぜそうなるのかは、記事の後半でご説明します。

なお、各制度には年度ごとの受付期間や予算枠、細かな要件があります。本記事の数値は2026年6月時点で鎌倉市・国の公式情報を確認したものですが、申請前には必ず各窓口の最新情報をご確認ください。

【税】マンション長寿命化促進税制:固定資産税が3分の1に

最初にご紹介したいのが、令和5年度の税制改正で創設された「マンション長寿命化促進税制」です。これは、一定の要件を満たしたうえで長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションについて、翌年度の建物部分の固定資産税を減額する制度です(出典:鎌倉市 マンション長寿命化大規模修繕工事に伴う固定資産税の減額について)。

鎌倉市の場合、減額の割合は翌年度分の家屋に係る固定資産税の3分の1です。ここは市町村によって条例で定める割合が異なる部分で、鎌倉市は「3分の1」と定めています。報道や他市の解説で「2分の1」という数字を目にすることがありますが、鎌倉市にお住まいの管理組合が確認すべきは、あくまで鎌倉市の公式情報です。なお、都市計画税(建物・土地にかかるもう一つの市税)は、この減額の対象にはなりません。

対象となる工事の中身

この税制が想定している「長寿命化に資する大規模修繕工事」とは、屋根防水工事、床防水工事、外壁塗装等工事といった、建物の寿命を延ばす王道メニューの工事を指します。大規模修繕の基本そのものですから、多くの管理組合にとって、ふだんの修繕計画の延長線上にある話だとお考えください。鎌倉のような海沿いの立地では、塩害で傷んだ外壁塗装や鉄部塗装、屋上・バルコニーの防水は、まさに「長寿命化」の中心になる工事です。

工事の要件としては、まず長寿命化に資する大規模修繕工事を過去に1度以上実施していること、そして2回目以降の大規模修繕工事が、令和5年(2023年)4月1日から令和9年(2027年)3月31日までの間に完了していることが求められます。期間が区切られている制度ですので、これから2回目の修繕を計画する管理組合は、この適用期間を意識してスケジュールを組むことが大切です。

対象となるマンションの要件

この制度の対象になるには、鎌倉市が示す要件を「すべて」満たす必要があります。要点を理事長さま向けにかみ砕くと、次のとおりです。

  1. 「管理計画認定マンション」または「市から助言・指導を受けた管理組合のマンション」であること
  2. 新築された日から20年以上が経過していること
  3. 総戸数が10戸以上であること
  4. 併用住宅の場合は、2分の1以上が居住用部分であること

そして、上記1の「管理計画認定」または「助言・指導」については、修繕積立金に関する条件が加わります。管理計画認定マンションの場合は、令和3年(2021年)9月1日以降に修繕積立金の額を認定基準まで引き上げていること助言・指導を受けたマンションの場合は、長期修繕計画について市の助言・指導を受けて作成・見直しを行い、一定の基準に適合していることが必要です。

ここが、この税制のいちばんのポイントです。固定資産税の減額を受けたいなら、その前提として「管理計画の認定」または「市の助言・指導にもとづく長期修繕計画の整備と修繕積立金の確保」が必要になる、ということです。だからこそ、工事に取りかかる前に、認定や相談の段取りから始めるのが正解になります。詳しくは記事後半の着手順でご説明します(認定・助言指導など制度の詳細は、鎌倉市 都市整備総務課 住宅担当、直通0467-61-3679へ)。

減額の範囲と申告のしかた

減額の対象になる床面積は、住宅1戸あたり100平方メートル相当分まで、という上限があります。一般的なファミリータイプの住戸であれば、多くがこの範囲に収まります。そして大切なのが申告期限です。工事完了から3か月以内に、鎌倉市 資産税課へ申告しなければなりません。減額は自動では適用されず、申告がなければ受けられません。

申告には、減額適用申告書のほか、「総戸数が確認できる書類(設計図等)」「建築士または住宅瑕疵担保責任保険法人が発行する大規模の修繕等証明書」「マンション管理士または建築士が発行する過去工事証明書」などが必要です。管理計画認定マンションの場合は認定通知書や修繕積立金引上証明書を、助言・指導を受けた場合は助言・指導内容実施等証明書を添えます。これらの証明書の様式は国土交通省のホームページにありますが、工事を担う施工会社や設計事務所が発行・準備に関わる書類も多いので、工事の契約前から「税制を使うつもりだ」と施工側に伝えておくことが、書類の取りこぼしを防ぐコツです。窓口は鎌倉市 資産税課(電話0467-61-3931)です。

なお、この長寿命化促進税制には、いくつか注意点があります。この制度による減額は、対象マンション1棟につき1回のみです。また、耐震改修・バリアフリー改修・省エネ改修にかかる固定資産税の減額制度とは同時に適用することはできません。複数の減額制度の対象になりそうな工事を計画している場合は、どれを使うのが得かを早めに比較しておきましょう。

【耐震】マンション耐震診断補助金:まず「現状を知る」費用を軽くする

次にご紹介するのが、鎌倉市の「マンション耐震診断補助金交付制度」です。これは、旧耐震基準のマンションが耐震診断を行う際の費用の一部を市が補助する制度です(出典:鎌倉市 マンション耐震診断補助金交付制度について)。

「耐震診断」とは、建物が大きな地震に対してどれくらい耐えられるかを、専門の資格者が調べる調査のことです。昭和56年(1981年)以前の旧耐震基準で建てられたマンションは、現在の耐震基準(新耐震)を満たしていない可能性があり、まずは現状を正確に知ることが、その後の判断のすべての出発点になります。

鎌倉市の補助は「アドバイザー派遣を受けたマンション」が対象

鎌倉市の耐震診断補助でまず押さえておきたいのが、対象の入口です。鎌倉市の制度は、「耐震改修アドバイザーの派遣を受けたマンションが耐震診断を実施する場合」に補助が受けられる、という設計になっています。つまり、いきなり診断の補助申請をするのではなく、まずアドバイザー派遣(後述)で勉強会・検討会を行い、そのうえで診断に進む、という流れが想定されています。

そのほかの対象要件は、次のとおりです。

  • 住戸の過半に区分所有者が居住していること
  • 住宅部分の延べ面積が全体の過半であること
  • 建築図面があること
  • 管理組合の集会において、耐震診断の実施に関する決議がなされていること
  • 耐震診断結果について、耐震判定委員会により適正であるとの評価を受けていること
  • 耐震診断を同一年度中に実施可能であること

補助額は「診断費用の2分の1・上限150万円」

鎌倉市の耐震診断補助の金額は、耐震診断に要する費用の2分の1、かつ上限150万円です。なお、延べ面積が1000平方メートル未満のマンションについては、1平方メートルあたり1,500円を限度とし、1,000円未満の端数を切り捨てた額が上限になります。

ここは、近隣の市と方式が異なる部分です。たとえば茅ヶ崎市のように「戸数×3万円」と「診断費用の2分の1」を比べて少ないほう、という設計の自治体もありますが、鎌倉市は「2分の1・上限150万円」というシンプルな上限方式です。診断費用が300万円なら、その2分の1の150万円が上限いっぱいの補助になり、診断費用が200万円なら、その2分の1の100万円が補助額になる、というイメージです。耐震診断は数百万円規模になることもあり、「まず調べる」の一歩を踏み出しにくい組合は少なくありません。その最初のハードルを下げてくれるのが、この補助制度です。

申請とスケジュールの注意点

この補助で気をつけたいのが、着手前の申請です。補助金の交付を受けて耐震診断を行おうとする場合、診断に着手する前に補助金交付申請の手続きが必要です。申請前に診断を始めてしまうと補助が受けられなくなりますので、ここは順番が肝心です。あわせて、診断の実施について集会で決議していること、診断結果が耐震判定委員会の評価を受けること、年度内に診断を完了できること、といった要件も満たす必要があります。窓口は鎌倉市 都市調整部 建築指導課(電話0467-61-3586)です。

【耐震】耐震改修アドバイザー派遣事業:無料で「検討の入口」をつくる

耐震診断補助の前段として、ぜひ活用していただきたいのが「耐震改修アドバイザー派遣事業」です。これは、役員会・理事会・総会などで行う耐震診断や耐震改修の勉強会・検討会に、市が依頼した建築士をアドバイザーとして無料で派遣してくれる制度です(出典:鎌倉市 鎌倉市耐震改修アドバイザーの派遣事業)。

対象は、昭和56年5月31日以前に建築確認を受けた共同住宅などです。派遣の回数は1施設につき3回まで、1回あたりの派遣時間は2時間以内で、午前9時から午後9時の間、土日でも可能です。アドバイザーの費用は市が負担します(会場は申込み側で用意)。前述のとおり、鎌倉市の耐震診断補助は「アドバイザー派遣を受けたマンション」が対象という建付けですので、旧耐震マンションの耐震対策は、この無料のアドバイザー派遣から始めるのが、制度的にも実務的にも自然な第一歩になります。

なお、耐震診断の結果を受けて耐震改修工事に進む場合、鎌倉市には「耐震改修工事費等補助金交付制度」もありますが、こちらは木造2階建て以下の一戸建て住宅などが対象で、鉄筋コンクリート造や鉄骨造の分譲マンションは対象外です(出典:鎌倉市 耐震改修工事等費用の補助制度について)。マンションの場合は、診断後の改修について、神奈川県や国の支援メニュー、また管理計画認定にもとづく融資の活用などを、建築指導課や専門家と相談しながら検討することになります。「マンションも工事費補助が出る」と早合点しないよう、ここは正確に押さえておきましょう。

【資金】住宅金融支援機構のマンション共用部分リフォーム融資

3つ目は、工事費そのものの資金調達です。修繕積立金だけでは大規模修繕の費用をまかないきれない——これは、私が現場で本当によく耳にする悩みです。そんなときの選択肢が、独立行政法人・住宅金融支援機構(旧・住宅金融公庫)の「マンション共用部分リフォーム融資」です。これは管理組合が借り入れの主体となれる、公的な低利・長期の融資制度です(出典:住宅金融支援機構 マンション共用部分リフォーム融資)。

民間のマンション修繕ローンと比べたこの融資の特長は、3つあります。第一に、管理組合名義で借りられること。個々の区分所有者が個人ローンを組む必要がありません。第二に、(公財)マンション管理センターの債務保証を利用することで、担保(土地・建物への抵当権設定など)を入れずに借りられること。第三に、金利が比較的低く、固定で見通しが立てやすいことです。金利は毎月見直されますが、お申込み時の金利が全期間にわたって固定で適用される仕組みになっています(出典:公益財団法人マンション管理センター 共用部分リフォーム融資と債務保証)。

そして見逃せないのが、後ほどご説明する「管理計画認定」を受けていると、この融資の金利が引き下げられるという連動です。適正に管理されているマンションほど、資金調達でも有利になる。制度どうしがつながっているわけです。金利は市場の動きで変わりますので、検討の際は必ず住宅金融支援機構の最新の金利情報をご確認ください。

【認定・相談】マンション管理計画認定制度をどう使うか

ここまで読まれて、「管理計画認定」という言葉が何度も出てきたことにお気づきだと思います。鎌倉市の「マンション管理計画認定制度」は、マンションの管理の適正化の推進に関する法律にもとづき、国の定める認定基準を満たし、適切な管理が行われているマンションの管理計画を、市が認定する制度です(出典:鎌倉市 マンション管理計画認定制度)。

認定を受けるメリット

管理計画認定を受けると、一般に次のようなメリットがあります。

  • 住宅金融支援機構の【フラット35】やマンション共用部分リフォーム融資の金利が引き下げられる
  • 住宅金融支援機構の【マンションすまい・る債】の利率が上乗せされる
  • 適正に管理されたマンションとして、不動産市場で評価されやすくなる
  • 住人の管理意識が保たれ、管理水準を維持・向上しやすくなる

加えて、これまで見てきたとおり、認定(とそれに伴う修繕積立金の引上げ)は、固定資産税の長寿命化促進税制を使うための「入口」にもなります。認定そのものに費用や手間はかかりますが、税の減額・融資の金利引下げ・資産価値の評価という複数のリターンにつながる、いわば「土台」の制度だと考えてください。

認定申請の流れ

鎌倉市の認定で、ひとつ実務的に重要な注意点があります。それは、申請方法や必要書類については(公財)マンション管理センターへ問い合わせる必要があり、市へ直接申請することはできないという点です。一般的な流れとしては、まずマンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」で、国の認定基準に適合しているかの事前確認を受け、適合していれば事前確認適合証が発行されます。その適合証を受けたうえで市へ認定の本申請を行い、市の確認を経て認定通知書が交付される、という段取りです。

実務的には、管理計画の中身——とくに長期修繕計画の内容や修繕積立金の水準——を、認定基準に合わせて整える作業が中心になります。ここは管理会社やマンション管理士、そして工事の見通しを示せる施工会社と連携しながら進めるのが現実的です。鎌倉市の制度の詳細は、都市整備総務課 住宅担当(直通0467-61-3679)にご確認ください。

どの制度を、どの順番で使うか【着手の5ステップ】

ここまでの内容を、実際の動きに落とし込みます。私が理事長さまにいつもお伝えしている、無理のない進め方が次の5ステップです。

ステップ1:現状把握と相談(今すぐ)。 まずは長期修繕計画と修繕積立金の現状を確認します。旧耐震マンションなら、建築指導課に耐震改修アドバイザー派遣を申し込み、無料の勉強会から始めましょう。あわせて、管理計画認定や長期修繕計画の助言・指導について、都市整備総務課に相談を。ここはすべて無料でできる範囲です。

ステップ2:管理計画の整備と認定(工事の前年〜当年)。 固定資産税の減額を見据えるなら、認定(または市の助言・指導にもとづく長期修繕計画の見直しと、必要な修繕積立金の引上げ)を、工事に着手する前に整えておきます。順番を逆にすると、税制の要件を満たせなくなる恐れがあります。

ステップ3:資金計画の確定(工事の半年前まで)。 積立金で足りない分は、住宅金融支援機構の共用部分リフォーム融資を検討します。認定を受けていれば金利引下げの対象になります。借入額・返済期間・月々の負担を、戸あたりに換算して総会で共有しましょう。

ステップ4:工事の発注と「税制を使う」宣言(契約時)。 施工会社との契約前に、「長寿命化促進税制を使うので、必要な証明書を出してほしい」と明確に伝えます。証明書の準備は施工側の協力が不可欠です。工事内容も、屋根・床の防水や外壁塗装など、長寿命化に資するメニューが軸になっているかを確認します。

ステップ5:工事完了と申告(完了後3か月以内)。 工事が終わったら、3か月以内に資産税課へ固定資産税減額の申告を行います。耐震診断補助を使った場合は、年度内に診断・支払い・報告まで終える段取りも忘れずに。

この順番を守るだけで、「制度はあったのに使えなかった」という取りこぼしは、ほとんど防げます。

工事の工法をどう選ぶか:足場・ロープアクセス・ハイブリッド

制度の話に続けて、工事そのものの「やり方」についても、現場の立場から少しだけお話しさせてください。大規模修繕の費用は、工事の中身だけでなく、どうやって建物の外側に手が届くようにするか(仮設のしかた)で、大きく変わるからです。とりわけ鎌倉は、谷戸や斜面地、海沿いといった、足場の条件が物件ごとに大きく違う街です。私たちは、建物に合わせて3つの工法を提案しています。

ひとつめは、従来からの足場(仮設足場)工法です。建物全体を足場で囲い、職人が安定した足場の上で作業します。複雑な形状の建物や、広い面を一度に塗り替える工事、低中層のマンションに向いています。一方で、足場の設置・撤去に費用と工期がかかり、足場が建つあいだは窓を開けにくい、防犯面が気になる、といった居住者への影響が生じます。鎌倉では、隣地との境界が狭い物件や斜面地の物件で、そもそも足場を全面に架けにくい、というケースも少なくありません。

ふたつめが、ロープアクセス工法です。これは、屋上などから下ろした産業用ロープに作業者がぶら下がり、足場を架けずに外壁の補修や塗装、シーリング(目地の打ち替え)などを行う「無足場工法」です。足場の設置費用がかからない分コストを抑えやすく、工期も短く、足場で建物を囲わないため居住者の生活への影響を最小限にできます。鎌倉のように、谷戸の狭い敷地や斜面に建ち、足場が架けにくい物件、あるいは海沿いで塩害により鉄部や外壁が部分的に傷んでいる物件では、必要なところにピンポイントで素早く手を入れられるロープアクセスの利点が、とくに生きます。ただし、塗り替える面が非常に広い全面改修では、足場のほうが効率的なこともあります。

みっつめが、両者を組み合わせるハイブリッド工法です。たとえば、面積の大きい正面や複雑な低層部は足場で、足場の架けにくい高層部や斜面側・海側の妻面はロープアクセスで、というように部位ごとに使い分けます。これにより、足場の総量を減らして費用と工期を抑えつつ、品質も確保する——大規模・複雑な物件で、総合的なコスト最適化が必要なケースに向いています。

なお、鎌倉は歴史的なまちなみを守るため、地区によっては建物の色やデザインに関する景観上の配慮が求められることがあります。大規模修繕で外壁色を選ぶ際は、こうした地域のルールを踏まえる必要がある場面もありますので、計画の早い段階で確認しておくと安心です。大切なのは、「最初からこの工法ありき」で決めないこと。私たちは3つの工法すべてを提案できる立場だからこそ、建物の形・立地・予算・居住者の事情を見たうえで、その物件にとっていちばん合理的な組み合わせをご提案できます。工法の選び方そのものが、修繕積立金を守る一つの手段になるのです。ロープアクセス工法の詳しい内容はロープアクセス工事のご案内を、大規模修繕全般の進め方は大規模修繕のサポートをご覧ください。

よくあるご質問(FAQ)

Q1. 鎌倉市の固定資産税の減額は、結局いくら安くなりますか?

減額されるのは、住宅1戸あたり100平方メートル相当分までの「家屋にかかる翌年度分の固定資産税」の3分の1です。実際の金額は、各住戸の家屋の評価額によって変わります。ご自宅の固定資産税額(家屋分)のおよそ3分の1が、1年度分軽くなるとイメージしてください。都市計画税は対象外です。正確な見込みは、工事内容が固まった段階で鎌倉市 資産税課にご確認ください。

Q2. 築20年ですが、まだ一度も大規模修繕をしていません。税制は使えますか?

長寿命化促進税制は「長寿命化に資する大規模修繕工事を過去に1度以上実施していること」が要件のひとつで、2回目以降の工事が対象になるのが基本です。1回目の大規模修繕では要件を満たしませんが、1回目をきちんと記録に残し、長期修繕計画を整えておくことが、2回目で税制を使うための準備になります。なお、対象となるのは令和5年4月1日から令和9年3月31日までに完了する工事ですので、2回目の時期が見えてきたら、適用期間を意識して計画を立てましょう。

Q3. まず何から始めればいいですか?

旧耐震(昭和56年以前)のマンションなら、まずは無料の「耐震改修アドバイザー派遣」を建築指導課に申し込み、勉強会で現状の共有から始めるのがおすすめです。耐震が気にならない築年数のマンションでも、長期修繕計画と修繕積立金の点検、そして管理計画認定の検討は、税制や融資の優遇につながる土台になります。いずれも、最初の相談はすべて無料の範囲でできます。

Q4. 谷戸で道が狭く、足場が架けにくい立地です。工事はできますか?

できます。むしろ、こうした立地こそロープアクセス工法が力を発揮する場面です。足場を全面に組まなくても、ロープで必要な箇所に作業者が下りて、外壁補修・塗装・シーリングなどを行えます。足場が架けにくい部分はロープ、広い面は足場、というハイブリッドでコストと品質を両立させる方法もあります。現地を見れば、その物件に合うやり方が必ず見つかります。点検だけでも早めに入れておくと、傷みが軽いうちに小さな費用で手を打てます。

おわりに——「知っているか」で、組合の未来は変わる

海と山に抱かれた鎌倉は、暮らしには豊かで、建物には少しだけ手間のかかる街です。潮風、斜面、狭い谷戸の道、そして守るべきまちなみ——だからこそ、この街のマンション管理組合には、使える制度を一つずつ味方につけてほしいと、現場を歩いてきた私は思います。固定資産税の3分の1減額、耐震診断費用の補助、無料の専門家派遣、低利の公的融資、そして管理計画の認定。一つひとつは小さく見えても、組み合わせて、正しい順番で使えば、組合の負担は確かに軽くなります。

そして、制度を使いこなす土台になるのは、「自分たちのマンションを、長く大切に住み継ぐ」という管理組合の意思です。長期修繕計画を整え、積立金を備え、適正な管理を続ける——その延長線上に、税制や融資の優遇が用意されています。難しく感じられるかもしれませんが、最初の一歩は「市の窓口に相談してみる」「アドバイザー派遣を申し込む」「現状を点検してもらう」だけで十分です。

私たちは、足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3つの工法から、その建物にいちばん合うやり方をご提案できる、数少ない会社です。制度の使い方から工法の選び方まで、押し売りはいたしませんので、まずは相談だけでもかまいません。鎌倉のマンションを、次の世代まで気持ちよく住み継いでいくお手伝いができれば、これほど嬉しいことはありません。ご相談はお問い合わせからお気軽にどうぞ。


参考・出典(2026年6月時点)