「オフィスよりホテルは儲かるらしい」——その話、直す側から見ると景色が違います
先日、あるSNSの投稿が私の周りで少し話題になりました。「オフィスよりホテルは儲かる」という趣旨で、築63年の古いビルを急きょホテルに変更し、その工事現場を見学した、という内容です。数字の真偽はさておき、私が「なるほど」と思ったのは、その物件が「取り壊して建て替える」のではなく「今ある建物を活かして直す」方向に進んでいた点でした。
この記事は、収益ビルやホテル、賃貸マンションをお持ちのオーナーさま、そして管理組合の理事長さま・修繕委員の方に向けて書いています。「泊まる需要が伸びているらしい」「うちの築古ビルも何かできないか」——そんな漠然とした期待や不安を、公的なデータと、工事会社の立場から見た「本当に効く打ち手」に翻訳するのが狙いです。
結論から申し上げます。2026年のいま、建物で収益を上げる勝ち筋は「新しく建てる」ことではなく、「今ある建物を、正しい工法で、適正なコストで直して活かす」ことに移っています。私は大規模修繕の現場で20年近く仕事をしてきましたが、これほど「直す力」が資産価値を左右する時代はなかったと感じています。
2026年の数字が示す「泊まる需要」と「建てるコスト」の交差点
まず、なぜ「直して活かす」が有利なのか。感覚論ではなく、公的なデータで確認します。
インバウンドは過去最高圏、泊まる場所が足りない
日本政府観光局(JNTO)の推計によると、2025年の訪日外国人旅行者数は約4,268万人と過去最高でした。2026年に入っても勢いは続き、上半期(1〜6月)の累計は21,084,800人。6月単月は前年同月比では減ったものの、台湾・韓国・米国など15の市場で「6月として過去最高」を記録しています(出典:JNTO 訪日外客数 2026年6月推計値)。
年間4,000万人を超える人が訪れ、その多くがどこかに泊まる。ここに「客室が足りない」という圧力が生まれています。
ホテルの稼働率は高水準、とくにビジネス・シティホテルが堅い
観光庁の宿泊旅行統計調査を見ると、2025年(令和7年)の客室稼働率は全体で61.6%。施設タイプ別では、ビジネスホテルが75.3%、シティホテルが74.1%、リゾートホテルが56.9%、旅館が38.2%でした(出典:観光庁 宿泊旅行統計調査)。
ビジネスホテルとシティホテルが7割超という数字は、「立地の良い都市部の客室」が相当に埋まっていることを意味します。ここが「築古の都市型ビルをホテルへ」という発想が出てくる土台です。
都心オフィスは「新しい建物」が強く、築古は二極化
一方でオフィス市場はどうか。三鬼商事の調査では、2026年6月時点の東京都心5区の平均空室率は1.99%、平均賃料は坪あたり22,993円で、賃料は27か月連続の上昇となっています(出典:三鬼商事 オフィスマーケットデータ)。
ここで誤解してほしくないのは、「オフィスが余っているからホテルに変える」という単純な話ではない、という点です。空室率1.99%は歴史的な低さで、都心オフィス全体はむしろ好調です。ただし好調なのは主に新しい・大きいビルで、築年数の経った中小ビルは「選ばれるビル」と「選ばれないビル」に分かれつつあります。私は現場で、まさにその「選ばれにくくなってきた」築古ビルのオーナーさまから相談を受けることが増えました。
つまり2026年の構図はこうです。泊まる需要は強い。新築の建設費は高い。都心の良い立地には築古のストックがある。この3つが交差する地点に、「建てるより直して活かす」という選択が浮かび上がってきます。
なぜ今「コンバージョン」と「価値向上改修」が増えているのか
建物の用途を変えることを、業界では「コンバージョン(用途変更)」と呼びます。オフィスや店舗、古い建物をホテルや宿泊施設に転換する動きが、近年の都市部で確かに増えています。背景には、複合的な要因があります。
第一に、建設コストの高騰と人手不足です。新しく建てれば当然、資材費も人件費もかかります。近年の資材価格の上昇を考えると、更地から建て直す投資は回収のハードルが上がっています。
第二に、ストック(既存建物)の活用という発想の広がりです。まだ十分に使える躯体を壊してしまうより、外装・設備を直して使い続けるほうが、コスト面でも環境面でも合理的だという考え方が定着してきました。
第三に、泊まる需要の受け皿づくりです。前章で見たとおり、都市部の客室は不足気味です。良い立地の築古ビルを宿泊施設に転換できれば、供給不足の受け皿になり得ます。
第四に、環境や社会の目線です。まだ使える建物を壊さずに活かすことは、廃棄物の削減にもつながります。近年は、建物を長く大切に使うこと自体が、テナントや利用者、そして地域からの評価につながる時代になってきました。外観をきれいに保ち、安全を確保しているビルは、それだけで「きちんと管理されている」という信頼を発します。私は、修繕や改修を単なる出費ではなく「建物の信用をつくる投資」だと考えています。
そしてもう一点、忘れてはならないのが「タイミング」です。泊まる需要が強い今だからこそ、直して活かす選択に追い風が吹いています。ただ、需要はいつまでも同じ形では続きません。だからこそ、思い立ったときに建物の状態を確かめ、直すか・活かすか・どう活かすかの判断材料を早めにそろえておくことが、後々の選択肢を広げます。
ただし、ここで冷静に申し上げたいことがあります。コンバージョンは「儲かるらしい」という雰囲気だけで飛びつく話ではありません。用途を変えれば、建築基準法や消防法、旅館業法など、守るべきルールが増えます。躯体の状態次第では、想定外の補強費用がかかることもあります。私はいつもオーナーさまに、「まず建物の今の状態を正確に知ることから始めましょう」とお伝えしています。夢のある話ほど、足元の調査が効いてきます。
【重要】2026年5月の新ルール——旅館業許可で「建築基準法の適合確認」が厳格化
コンバージョンや宿泊施設への転換を考えるなら、2026年に入って動いた制度変更を必ず押さえてください。
2026年5月28日、厚生労働省と国土交通省の連名で、全国の自治体に向けて「旅館業の許可時における建築基準法への適合確認の徹底について」という通知が出されました(健生衛発0528第1号・国住指第164号)。
ポイントは、床面積200平方メートル以下の小規模な物件であっても、建築基準法上の安全性を建築士が証明する書類が、旅館業許可の手続きで実務上求められるようになる、という運用の徹底です。従来は、用途変更する床面積が200平方メートル以下なら建築確認申請が不要とされ、比較的手続きが軽いと受け止められてきました。今回の通知は、その「軽さ」に安全確認の面から歯止めをかけるものと理解できます(参考:厚生労働省 通知等の一覧、および行政書士各事務所による解説)。
これは「規制が厳しくなって残念」という話ではありません。むしろ、安全が確認された建物だけが宿泊施設として認められることは、まっとうに投資するオーナーさまにとってはプラスです。ただ、計画段階でこの確認を織り込んでおかないと、「取得してから許可が下りない」という事態にもなりかねません。用途変更を伴う投資を検討するなら、建物の状態調査と法適合の確認を、購入や着工の前段階で必ず組み込んでください。
なお、この段落は制度の一般的な解説であり、個別の許認可の可否を保証するものではありません。実際の申請にあたっては、所管の自治体や建築士、行政書士など専門家にご確認ください。
放置された外壁が招くリスク——タイル剝落・漏水・行政指導
「泊まる需要が伸びている」という明るい話の裏で、私が現場で強く感じているのは、外壁を放置したままの収益ビルやホテルが少なくない、という現実です。ここは、あえて厳しめに書きます。
まず、外壁タイルの剝落(はくらく=はがれ落ちること)です。都市部のビルは、外壁のタイルやモルタルが経年で浮き、あるとき突然、道路に落ちることがあります。人通りの多い立地であればあるほど、これは重大な事故につながりかねません。実際、外壁の落下は各地で報告されており、所有者・管理者の責任が問われる問題です。建築基準法では、一定規模の建築物について外壁を含む定期的な調査・報告が義務づけられており、劣化を放置してよいわけではありません(参考:国土交通省 定期報告制度)。
次に、シーリングの劣化による漏水です。シーリングとは、外壁の目地やサッシまわりに充填されている、ゴム状の防水材のことです。これが硬化・ひび割れすると、そこから雨水が壁の内部に入り込みます。ホテルなら客室の天井にシミが出て、クレームや客室の販売停止につながります。オフィスビルならテナントの什器や在庫を濡らし、賠償問題にもなりかねません。私は「雨漏りは、建物からの静かな警告です」と、いつもオーナーさまにお伝えしています。
三つめは、放置がコストを膨らませることです。小さなひび割れのうちに直せば部分補修で済んだものが、水が回って躯体(建物の骨組み)まで傷むと、大がかりな改修が必要になります。「まだ大丈夫」と先送りにした結果、数年後に何倍もの費用がかかった——私が現場で何度も見てきた、いちばんもったいないパターンです。
裏を返せば、外壁と防水を計画的に直しているビルやホテルは、それだけで「選ばれる建物」に近づきます。テナントもお客さまも、雨漏りやタイルの浮いた外観には敏感です。直すことは、守りであると同時に、静かな攻めでもあります。
稼働中のホテル・満室のビルを「止めずに」直す——ロープアクセスという選択
ここからが、工事会社としての本題です。
ホテルや収益ビルの改修が、賃貸マンションの大規模修繕と決定的に違う点。それは「営業を止められない」「稼働を落とせない」ことです。
ホテルは、客室が埋まっている限り、外壁を直すために全館を閉めるわけにはいきません。オフィスビルも、テナントが働いている以上、窓の外に足場を組んで景観と採光を長期間ふさぐのは、テナント満足度に直結します。私が一番悔しい思いをするのは、「工事のせいで大事なお客さまやテナントが離れてしまった」というケースを見聞きしたときです。
そこで私が必ず選択肢に入れているのが、ロープアクセス工法(無足場工法)です。これは、産業用のロープと専用器具を使い、作業員が建物の上から降りながら外壁の補修・シーリング(目地の防水材)打ち替え・塗装・タイルの補修などを行う工法です。足場を組まないため、次のような利点があります。
- 足場の架設・解体費がかからないため、部分的な補修ではコストを抑えやすい
- 工期が短くなりやすいため、営業や稼働への影響を最小化できる
- 建物の外観・景観をふさがないため、ホテルの見え方やテナントの採光を損ないにくい
- 足場が組みにくい高層部や狭い場所にもアプローチできる
たとえば、稼働中のホテルで「特定の面のシーリングだけが傷んで雨漏りの心配がある」という場合。全面に足場を組めば費用も工期も大きくなりますが、ロープアクセスなら、傷んだ面だけを狙って、しかも営業を止めずに直せることが少なくありません。私はこれを、ホテルや収益ビルのオーナーさまに「建物とお客さまの両方を守る直し方」としてご説明しています。
私の経験上の話をひとつ。都市部のある収益ビルで、上層階のシーリングが傷んで雨水がまわり、テナントから「壁がじわっと濡れている」というご相談をいただいたことがあります。全面に足場を組む案も出ましたが、傷んでいたのは限られた面だけでした。そこでロープアクセスに切り替え、営業を止めずに、傷んだ目地を狙って打ち替えたところ、足場を組む案よりも工期を短く、費用も抑えて収めることができました。オーナーさまに「テナントに気づかれないうちに終わっちゃったね」と言っていただけたときは、この工法をご提案してよかったと思いました。派手さはありませんが、収益物件の改修とは、こういう「静かに、確実に」の積み重ねだと私は考えています。
内部リンク:無足場工法の詳しい仕組みはロープアクセス工法のご紹介をご覧ください。
3つの工法をどう選ぶか——足場・ロープアクセス・ハイブリッド
ここで大切なのは、「ロープアクセスが万能」ではない、ということです。正直に申し上げます。ロープアクセスにも不向きな場面があります。外壁のほぼ全面を一度に大規模改修する場合や、重い資材を大量に上げ下ろしする工事では、足場を組んだほうが合理的なこともあります。
だからこそ私たちは、次の3つの工法を、建物の特性と工事内容に応じて使い分けています。
| 工法 | 向いているケース | 主なメリット |
|---|---|---|
| 通常足場工法 | 全面を一括で大規模改修する/中低層で複雑な形状 | 作業が安定し、広範囲を一度に施工できる |
| ロープアクセス工法(無足場) | 高層・狭所・部分補修/営業や稼働を止められない建物 | 足場費削減・短工期・景観と生活への影響が小さい |
| ハイブリッド工法 | 大規模で部位ごとに条件が違う建物 | 部位ごとに最適な工法を組み合わせ、総コストを最適化 |
ハイブリッド工法とは、たとえば「低層部と複雑な形状の部分は足場、単純な高層外壁面はロープアクセス」というように、1つの建物のなかで工法を使い分ける考え方です。これができる会社は、まだ多くありません。私たちは足場もロープアクセスも自前で提案できるからこそ、「足場ありき」でも「ロープありき」でもなく、その建物にとって一番コストと工期のバランスが取れる組み合わせを、フラットにご提案できます。
建物タイプ別に、ざっくりとした考え方の目安をお示しします。都市型のホテルや中高層の収益ビルは、稼働・営業を止めにくく、隣地も近いことが多いため、部分補修ではロープアクセスの相性が良い場面が多いです。低層で形状が複雑な建物や、外壁のほぼ全面を一括改修する場合は、足場を基本に考えたほうが安定します。大規模で部位ごとに条件が違う建物は、ハイブリッドで「使い分ける」ことでムダを削れます。もちろんこれは出発点にすぎず、最終的には現地を見て判断します。
工法の選び方に迷ったら、まずは建物を見せてください。図面と現地を確認すれば、「この建物ならこの組み合わせが合理的です」という具体的な方向性は、比較的早くお示しできます。大規模修繕全体の考え方は大規模修繕工事のご紹介にまとめています。
費用はどれだけ変わるのか——足場とロープアクセスのコスト構造
工法の話をすると、必ず聞かれるのが「で、いくら違うんですか」というご質問です。ここは相場感を、考え方として整理します。金額は建物の規模・形状・劣化状況で大きく変わるため、具体的な数字はあくまで「構造の理解」のためのものとお考えください。
まず知っておいていただきたいのは、通常の足場を使う工事では、工事費のなかで「足場の架設・解体」が相応の割合を占めるということです。足場は、外壁を直すための「作業のための仮設物」であって、直したい外壁そのものではありません。にもかかわらず、建物をぐるりと囲む足場を組んで解体するには、材料と手間、そして時間がかかります。
ここがロープアクセスの効きどころです。ロープアクセスは足場を組まないため、この「架設・解体」というコストのかたまりが、原理的に発生しません。そのため、次のような工事では特にコスト面で有利になりやすいのです。
- 外壁の一部の面・一部の高さだけを直したい部分補修
- 傷んだシーリングの打ち替えや、タイルの浮き補修など、範囲が限定される工事
- 高層部や、隣地が近くて足場が組みにくい場所の工事
逆に、外壁のほぼ全面を一度に塗り替えるような大規模改修では、足場を組んで一気に施工したほうが、結果的に効率が良いこともあります。だからこそ「工法ありき」ではなく、工事の中身に合わせて選ぶことが、いちばんの節約になります。
私がオーナーさまにいつもお伝えしているのは、「足場は”必要なときに”組みましょう」という一言です。全面改修なら足場を惜しまない。部分補修ならロープアクセスを検討する。その一手間の判断が、収益物件では効いてきます。
オーナーが修繕・改修で失敗しないための実務チェック
最後に、収益ビルやホテルのオーナーさまが、修繕・改修で損をしないための実務的なポイントを整理します。読み終えたら、次の一手が見えるように書きます。
1. まず「今の状態」を調べる。 夢のある転換や改修の前に、外壁・防水・シーリングの劣化状況を調査してください。ロープアクセスは、この「調査」の段階でも威力を発揮します。足場を組まずに高所の傷みを近接目視できるため、調査コストを抑えられます。
2. 見積書は「工法の内訳」で読む。 見積書を比べるとき、総額だけを見てはいけません。「足場の架設・解体費」がいくらか、その工事にその足場が本当に必要かを確認してください。部分補修なのに全面足場が前提になっていれば、工法を見直すだけで数十万円から数百万円単位でコストが変わることもあります。
3. 相見積もりは「工法が違う会社」で取る。 同じ足場前提の会社同士で相見積もりを取っても、比べられるのは金額の多寡だけです。足場とロープアクセスの両方を提案できる会社を1社入れると、「そもそも工法から変えられないか」という第三の選択肢が見えてきます。
4. 数字は「室あたり・面あたり」で体感する。 総額だけを見ると、大きな金額に思考が止まってしまいがちです。そこで、工事費を「客室1室あたり」「外壁1面あたり」に割り戻して考えてみてください。たとえば全面足場を前提とした工事が、ロープアクセスによる部分補修で収まれば、その差額は客室単価に換算して何泊分に相当するのか——というように、ご自身の収益感覚に落とし込むと、判断がぶれなくなります。修繕は「高い・安い」ではなく「その建物の収益に見合うか」で考えるのが、私のおすすめです。
5. 長期の視点で「直す計画」を持つ。 収益物件は、直し続けることで価値が保たれます。場当たり的な補修を繰り返すより、5年・10年先を見た改修計画を持つほうが、結局は安くつきます。外壁・防水・シーリングは、それぞれ傷み方も寿命も違います。「次に何を、いつ直すか」をあらかじめ地図にしておけば、突発的な出費に慌てることも減り、資金計画も立てやすくなります。
これらは、特別なテクニックではありません。ただ、「工法という選択肢がある」と知っているかどうかで、同じ建物でもかかるお金は大きく変わります。私が20年の現場で確信しているのは、その一点です。
よくあるご質問(FAQ)
収益ビルやホテルのオーナーさまから、実際によくいただくご質問をまとめました。
Q. 営業中のホテルでも、本当に外壁を直せますか。
A. 多くの場合、可能です。ロープアクセスは足場で建物を囲まないため、営業を続けながら、傷んだ面を狙って補修できます。作業の時間帯や動線をお客さまと調整すれば、稼働への影響は最小限にできることが多いです。まずは現地を確認し、どの範囲をどの工法で直すかをご提案します。
Q. ロープアクセスは足場より安全なのですか。
A. どちらも、正しい手順と資格を備えた作業員が行えば、安全に施工できます。ロープアクセスは国際的・国内的な技術基準に沿った資格制度があり、二重のロープで安全を確保するのが基本です。大切なのは工法の優劣ではなく、その建物に合った工法を、確かな技術で行うことです。
Q. 築古のビルをホテルに変えたいのですが、何から始めればいいですか。
A. まず建物の現況調査と、法適合の確認からです。2026年5月の通知で、旅館業許可の手続きでは建築基準法への適合確認がより重視されるようになりました。取得や着工の前に、外壁・防水の劣化状況と、用途変更に必要な要件を確認しておくことで、後戻りを防げます。
Q. 部分補修と全面改修、どちらがいいか分かりません。
A. 劣化の範囲によります。傷みが一部に限られていれば部分補修で足りることが多く、その場合はロープアクセスがコスト面で有利です。全体に劣化が進んでいれば、足場を組んだ全面改修のほうが結果的に合理的なこともあります。判断のために、まず調査をおすすめします。
Q. 相談だけでも大丈夫ですか。
A. もちろんです。図面を見せていただくだけ、現地を一度見せていただくだけでも、方向性はお示しできます。工事ありきではなく、まずは整理のお手伝いから始めさせてください。
まとめ——「直す力」が、これからの収益を分けます
2026年の建物経営は、「新しく建てる」よりも「今ある建物を、正しい工法で、適正に直して活かす」ことが勝ち筋になっています。インバウンドは過去最高圏、ホテルの稼働は高水準、都心の良い立地には築古のストックがある。この環境で問われるのは、建てる力ではなく「直す力」です。
そして直す力の核心は、工法の選択肢を持っていることにあります。足場、ロープアクセス(無足場)、その両方を組み合わせるハイブリッド——建物とお客さまの両方を守りながら、一番合理的な直し方を選べるかどうか。ここが、オーナーさまの収益とテナント満足を静かに左右します。
私は日頃、足場の工事もロープアクセスの工事も、どちらも自分たちの手で提案しています。片方しか持たない会社は、どうしても自分の得意な工法へと話を寄せがちです。私たちが両方を持っているのは、「その建物にとって一番いい直し方」を、しがらみなくお伝えするためです。ここは、私が20年やってきて一番こだわっている点だと、正直に申し上げておきます。
「うちのビルは何ができるだろう」「稼働を止めずに外壁を直せないか」——そんな段階のご相談でも、遠慮なくお声がけください。取得前・着工前の整理だけでも、お力になれることがあります。まずは現地を見せていただくところから、ご一緒させてください。次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。
内部リンク:ご相談はお問合せフォームから承っています。
出典・参考資料
- 日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(2026年6月推計値)」
- 観光庁「宿泊旅行統計調査」
- 観光庁「訪日外国人旅行者数・出国日本人数」
- 三鬼商事「オフィスマーケットデータ(東京)」
- 厚生労働省・国土交通省「旅館業の許可時における建築基準法への適合確認の徹底について」(令和8年5月28日付・健生衛発0528第1号・国住指第164号)/厚生労働省
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の許認可の可否や投資成果を保証するものではありません。用途変更・宿泊施設への転換にあたっては、所管自治体・建築士・行政書士等の専門家にご確認ください。


