大規模修繕はロープアクセスが提案可能な東京の明誠へ

創業から6000棟超の施工実績

大規模修繕の談合38社処分と「二つの老い」|管理組合の自衛策7項目【2026年最新】

大規模修繕の談合38社処分と「二つの老い」|管理組合の自衛策7項目【2026年最新】

うちのマンションの大規模修繕は、適正な価格で発注できているのだろうか——。この記事は、その一点にお答えするために書きました。

2026年6月、マンションの大規模修繕工事をめぐる談合について、公正取引委員会が施工会社と設計コンサルタント合わせて38社に排除措置命令を出す方針を固めたと、複数の報道機関が伝えました。課徴金の総額はおよそ16億円と報じられています。そして同じ時期、国土交通省の統計は「建物の老朽化」と「居住者の高齢化」という二つの老いが同時進行している現実を示しています。

私は株式会社明誠の本間と申します。建設・改修の現場に20年以上いて、足場を組む工事もロープアクセス工法による無足場の工事も、両方を自分の目で見てきました。今回の報道について、業界の内側にいる人間として、正直に申し上げたいことがあります。


この記事の結論|変えるべきは「発注方式」より先に「情報の非対称」

先に結論をお伝えします。

今回の報道を受けて、「設計監理方式はダメだ、責任施工方式に変えよう」という単純な話に飛びつくのは、私はおすすめしません。方式を変えても、管理組合側に価格の妥当性を判定する物差しがなければ、同じことが起きるからです。

管理組合が本当に取り戻すべきは、次の3つです。

  1. 見積書を「工種ごとの単価×数量」まで分解して読める状態にすること
  2. 設計コンサルタントと施工会社の資本・人的関係を書面で確認すること
  3. 足場を前提としない工法も含めて、複数の見積り根拠を持つこと

とくに3つ目は見落とされがちです。大規模修繕の総工事費のうち、仮設足場費はおおむね1〜2割を占めます。足場を前提にするかどうかで、そもそも見積書の土台が変わります。ロープアクセス工法(産業用ロープで高所に直接アプローチする無足場工法)という選択肢を持っておくと、足場ありきの見積書に対して「では足場なしならいくらか」という比較の軸を1本増やせます。ロープアクセス工法の一般的な安全基準や事例は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで解説しています。

以下、順を追ってご説明します。


何が起きたのか|公取委が38社に排除措置命令の方針(2026年6月)

報道されている事実関係

まず、報道されている内容を整理します。断定的に書けない部分は、そのまま「報じられています」と記します。

項目 報じられている内容
発表時期 2026年6月11日〜12日にかけて各社が報道
対象社数 施工会社36社+設計コンサルタント2社の計38社(認定は約40社)
法的根拠 独占禁止法違反(不当な取引制限)
課徴金 施工会社に対し総額およそ16億円の納付命令の方針
対象地域 関東地方のマンション
対象期間 遅くとも2021年(令和3年)秋ごろ以降
対象工事 外壁改修、内装、防水などの大規模修繕工事、100件以上

出典:日本経済新聞「マンション修繕談合30社超 公取委が排除命令へ 100件以上、課徴金計16億円」時事ドットコム「公取委、マンション修繕工事で談合認定」

なお、これらは報道ベースの情報です。処分の最終的な内容・対象・日付は、公正取引委員会の報道発表でご確認ください。制度や処分の内容は変更される可能性があります。

何が問題視されたのか

報じられているところによると、対象となった各社は、管理組合が発注する大規模修繕工事の見積り合わせや入札の前に、あらかじめ受注する会社と価格を話し合って決めていたとされています。

ここで注目すべきは、設計コンサルタント2社が対象に含まれているという点です。設計コンサルタントは、本来は管理組合の側に立ち、中立の立場で施工会社を選定するために雇われる存在です。その中立であるはずの立場が受注調整に関わっていたとされる点が、今回の件の構造的な特徴だと私は受け止めています。

もう一つ、2025年5月には、大阪府東大阪市に本社を置く工事会社の社員2人が、神奈川県の大型マンションの修繕委員会に「住民になりすまして偽名でもぐり込んだ」とされる事案も報じられました(出典:Wedge/Yahoo!ニュース「マンションが迎える〝二つの老い〟とは?」)。

正直に申し上げます。同じ業界にいる人間として、この報道はこたえました。私が20年やってきて一番悔しいのは、真面目に見積りを積み上げている職人や会社まで、ひとまとめに疑いの目で見られてしまうことです。


なぜ設計監理方式が狙われたのか|「利益相反」という構造の穴

3つの発注方式の違い

大規模修繕工事の発注方式には、主に3つのパターンがあります。専門用語なので、まず簡単にご説明します。

発注方式 仕組み 想定されるメリット 注意したい点
設計監理方式 設計コンサルタントが調査・設計・工事監理を担当し、施工は別会社が担当 第三者の目で施工品質をチェックできる コンサルタントの中立性が崩れると、チェック機能が働かない
責任施工方式 施工会社が調査・設計・施工まで一貫して担当 窓口が一本化され、責任の所在が明確 施工会社の見積りを検証する第三者がいない
管理会社主導方式 管理会社が元請となり、工事を取りまとめる 日常管理との連携がとりやすい 中間マージンと発注先の固定化が起きやすい

「中立であること」は仕組みで担保されていない

設計監理方式そのものは、悪い方式ではありません。むしろ国土交通省も、管理組合が第三者の専門知識を活用する手段として位置づけています。

ただし国土交通省は、令和5年4月3日付の通知「マンションの大規模修繕工事に関する発注等の実態と留意事項について」(国住参マ第231号/国不建キ第60号)の中で、設計コンサルタントが利益相反行為を起こさない中立的な立場を保つ形で施工会社の選定が公正に行われるよう留意する必要がある旨を、すでに注意喚起しています(出典:国土交通省 通知本文(PDF))。

つまり、行政は3年以上前からリスクを指摘していたわけです。それでも今回のような事態が報じられたのは、「中立であること」が精神論に委ねられていて、仕組みとして担保されていなかったからだと私は考えています。

私はいつも理事長さまに、こうお伝えしています。「コンサルタントさんを信じないでください、という話ではありません。信じたうえで、確認できる形にしておきましょう」と。

管理組合が書面で確認できる3点

具体的には、次の3点を契約前に書面で確認しておくことをおすすめします。

  1. 資本関係・人的関係の申告:設計コンサルタントと、応札する施工各社との間に、資本関係・役員兼務・元従業員の在籍などがないか
  2. 報酬の出所:コンサルタントが施工会社側から一切の金銭・便宜を受けていないことの表明(誓約書の形が望ましい)
  3. 選定過程の記録:見積り合わせの開封を理事会立会いで行い、議事録に金額を残すこと

この3点は、どの発注方式を選んでも有効です。方式の議論より先に、この3点を固めるほうが実効性は高いと、私は現場で感じています。


同時に進む「二つの老い」|数字で見るマンションストックの現実

談合の話と老朽化の話は、別々のニュースに見えて、実は根っこがつながっています。順にご説明します。

建物の老い

国土交通省の資料によると、日本のマンションストックは2023年末時点で約704.3万戸。このうち築40年以上は約137万戸で、この数は10年後に約274万戸、20年後には約464万戸に増えると推計されています(出典:国土交通省「マンションを取り巻く現状と課題」)。

20年で3倍を超えるペースです。数字だけ見ると実感が湧きにくいので、体感に置き換えます。現在の築40年超マンション3棟のうち2棟は、まだ築40年に達していない「これから老朽化する棟」という状態です。

人の老い

もう一つの老いは、居住者の高齢化です。国土交通省の令和5年度マンション総合調査によると、

  • 世帯主が70歳以上の割合は25.9%(前回調査より+3.7ポイント)
  • 昭和59年(1984年)以前に完成したマンションでは、70歳以上の割合が55.9%

(出典:国土交通省 報道発表「高経年マンションに居住する70歳以上の世帯主が半数以上に」(令和6年6月21日)

古いマンションほど、住んでいる方も高齢である。これが「二つの老い」の実態です。

なぜこれが談合の話とつながるのか

理由はシンプルです。修繕委員会の担い手が減り、専門知識を持つ第三者への依存度が上がるからです。

私が伺う現場でも、修繕委員が集まらず、理事の輪番が回らず、「もう管理会社さんとコンサルさんにお任せするしかない」という空気になっている組合は少なくありません。その依存が強いほど、外部の専門家が中立でなかったときのダメージは大きくなります。

「二つの老い」は建物と人の話ですが、その帰結として組合のチェック機能の老いが起きている。私はそう見ています。


修繕積立金は36.6%が不足|割高な発注が最も効いてしまう場所

積立金不足の現状

同じく令和5年度マンション総合調査によると、

  • 計画上の積立額に対して、現在の積立額が不足しているマンションの割合は36.6%(前回調査より+1.8ポイント)
  • 長期修繕計画(計画期間25年以上)に基づいて積立金額を設定しているマンションは59.8%(前回調査より+6.2ポイント)

(出典:国土交通省 報道発表(令和6年6月21日)

3棟に1棟以上が、計画より積立金が足りていない。この状態で工事費が想定より1割高く発注されると、何が起きるか。

100戸のマンションで試算すると

読者の財布の感覚に近づけるため、仮の数字で置いてみます。あくまで説明のための試算で、実際の金額は建物の形状・面積・劣化状況で大きく変わります。

項目 仮の金額
100戸マンションの大規模修繕工事費(仮定) 1億2,000万円
これが10%割高だった場合の差額 1,200万円
1戸あたりの負担増 12万円
月額修繕積立金13,054円※で換算すると 約9.2か月分

※月額13,054円は、令和5年度マンション総合調査における平均的な修繕積立金額の水準として報じられている数字です。

1戸あたり12万円。一時金を集めるか、次回の工事を先送りするか、積立金を値上げするか。どれを選んでも、住んでいる方に痛みが出ます。

修繕積立金が潤沢な組合にとって割高発注は「損」ですが、積立金が不足している組合にとっては「工事ができない」に直結します。 談合の被害が最も深く刺さるのは、実は体力のない組合のほうです。ここが、私が今回の件で一番申し上げたい点です。

積立金が足りない場合の資金調達の考え方は、過去記事「修繕積立金の不足で1億円超の借入も|2026年の回避策」にまとめています。


管理組合が今すぐできる自衛策7項目

ここからが本題です。明日の理事会から使える形で、7つに絞ってお伝えします。

① 見積書を「一式」で受け取らない

見積書に「外壁改修工事 一式 ○○円」とだけ書かれていたら、それは比較できない見積書です。工種ごとに「単価×数量」で分解された内訳書を求めてください。

分解されていれば、A社とB社の差額がどの工種で生まれているかが見えます。「足場費で300万円違う」「タイル張替の数量想定が3倍違う」といった具体が見えて初めて、比較が始まります。

② 数量根拠(劣化調査結果)を工事会社と共有する

各社が別々の前提数量で見積もっていたら、金額を並べても意味がありません。劣化診断の結果(打診調査のタイル浮き面積、シーリング総延長など)を全社に同一条件で提示してください。

③ 設計コンサルタントに利益相反の不存在を書面で確認する

前述の3点(資本関係・報酬の出所・選定過程の記録)です。口頭ではなく書面で。これを嫌がる相手であれば、その反応自体が判断材料になります。

④ 見積り合わせは理事会立会いで開封し、議事録に金額を残す

開封の場に理事が複数名立ち会い、その場で全社の金額を読み上げて議事録化する。地味ですが、事後の調整を難しくする効果があります。

⑤ 応札社を「紹介された会社」だけで固めない

コンサルタントや管理会社からの紹介が悪いわけではありません。ただ、紹介ルート以外から1社は入れておく。この1社が、価格の物差しになります。

この論点は、管理会社が発注者となる「管理者方式」でも同じ構造で起きます。過去記事「マンション管理業者31社に是正指導・49件|「管理者が発注者」になった2026年、大規模修繕の見積書」で詳しく整理しています。

⑥ 足場を前提としない工法の見積りも取る

仮設足場は総工事費のおおむね1〜2割を占めます。ロープアクセス工法や、足場とロープアクセスを部位ごとに使い分けるハイブリッド工法での見積りを1本取っておくと、足場ありきの金額が妥当かどうかを検証できます。詳しくは後述します。

⑦ 管理計画認定制度・長期修繕計画の最新ガイドラインを確認する

長期修繕計画作成ガイドラインは令和6年6月に改定されています(出典:国土交通省「長期修繕計画標準様式・長期修繕計画作成ガイドライン」(PDF))。また、管理組合の運営や修繕計画に関する客観的な情報は、公益財団法人マンション管理センターでも公開されています。

7項目チェックリスト(理事会でそのまま使えます)

# 確認項目
1 見積書は工種ごとに単価×数量で分解されているか
2 全社に同一の劣化調査結果・数量条件を提示したか
3 コンサルタントから利益相反不存在の書面を取得したか
4 見積り開封を理事会立会いで行い、議事録に金額を残したか
5 紹介ルート以外の応札社を1社以上入れたか
6 足場を前提としない工法の見積りを取得したか
7 長期修繕計画は令和6年6月改定ガイドラインに沿っているか

工法の選択肢を持つと、価格の妥当性が判定できる

ロープアクセス工法とは

ロープアクセス工法(無足場工法)は、産業用ロープと専用器具を使い、作業員が建物の高所へ直接アプローチして施工する工法です。ビルの窓ガラス清掃で、ロープで降りてくる作業員をご覧になったことがあるかと思いますが、あの技術を改修工事に適用したものと考えていただくと近いです。

「危なくないのか」というご質問をよくいただきます。ロープアクセスはメインロープとバックアップロープの2本を独立して使う二重系が基本で、器具の点検基準や資格の考え方も体系化されています。一般的な安全基準や施工事例はロープアクセスドットコムにまとめていますので、判断材料としてご覧ください。

3つの工法の比較

比較軸 通常足場工法 ロープアクセス工法(無足場) ハイブリッド工法
仮設費 総工事費のおおむね1〜2割 足場費が原則不要 足場が必要な部位のみ計上
工期 架設・解体の期間が別途必要 架設・解体が不要な分、短縮しやすい 部位ごとに最適化
居住者への影響 全戸のバルコニー・窓周りに足場がかかる期間が長い 施工箇所のみ・短期間に限定しやすい 影響範囲を限定できる
防犯面 足場からの侵入リスクへの対策が必要 足場が無いため当該リスクが生じにくい 足場設置部位のみ対策
向いている建物 中低層、形状が複雑、全面的な改修 高層、足場架設が困難、部分改修、コスト重視 大規模・複雑で総合的な最適化が必要
向かないケース 敷地に余裕がない、隣地が近い 全面打診・全面塗替えで施工量が極めて多い場合

ただし、ロープアクセスが常に安いわけではありません。 ここは正直に申し上げます。外壁の全面打診・全面塗替えのように施工量が非常に多い工事では、足場を組んだほうが総額で有利になるケースがあります。私が「必ずロープアクセスで」と言わないのは、そのためです。

大事なのは「両方の見積りを持てること」

私が理事会でよくお伝えするのは、「安い工法を選んでください」ではなく、「両方の見積りを机に並べてください」ということです。

足場ありの見積りしか手元にないと、その金額が高いのか安いのか判定できません。足場なしの見積りが1本あるだけで、「足場費として計上されている○○万円は妥当か」という問いが立てられます。この問いこそが、談合が最も嫌がるものです。

株式会社明誠は、通常の足場仮設による工事、ロープアクセス工法による無足場工事、そして両者を部位ごとに使い分けるハイブリッド工法の3つを、建物の特性に応じてご提案しています。詳しくはロープアクセス工法のご紹介および大規模修繕工事のご紹介をご覧ください。

※本セクションは、当社サービスのご紹介を含みます。判断材料の一つとしてお読みいただければ幸いです。


私が現場で見てきた「相見積もりが機能しない」瞬間

数字の話が続いたので、現場の話を一つさせてください。物件が特定されないよう、詳細は変えています。

築24年、6階建て、48戸のマンションでのことです。3社から相見積もりを取っていて、金額は9,800万円、1億200万円、1億500万円。理事長さまは「ちゃんと3社比べたので大丈夫だと思います」とおっしゃいました。

私が内訳書を拝見して気になったのは、3社とも仮設足場の数量が完全に同じ数字だったことです。足場の数量は、隣地との離隔や庇の出、設置できない部位の扱いで、会社ごとに多少ばらつくのが普通です。それがぴったり一致していた。

理由は単純で、3社ともコンサルタントが作成した設計数量書をそのまま転記していたからでした。そして、その数量には現地では足場を架けられない北面の一部が含まれたままになっていました。悪意があったとは限りません。図面上の計算がそのまま残っていただけかもしれません。

ただ、結果として3社の見積りは「同じ前提で少し違う金額」になっていて、比較しているようで比較になっていませんでした。私は現地を確認して、その部位は足場ではなくロープアクセスで対応する前提の見積りを1本お出ししました。最終的にどの会社が受注したかはここでは申し上げませんが、理事会で「なぜこの数量なのか」という議論が生まれたこと自体が、一番の成果だったと思っています。

現場で20年やってきて、私が一番もったいないと感じるのは、相見積もりを取ったこと自体で安心してしまう瞬間です。3社から取ることに意味があるのではなく、3社の前提が違うから意味がある。ここだけは、どうかお伝えさせてください。


賃貸マンション・ビルのオーナーさまへ

ここまで分譲マンションの管理組合を主な読者として書いてきましたが、収益不動産をお持ちのオーナーさまにも触れておきます。

管理組合と違い、オーナーさまの発注は意思決定が速いという大きな利点があります。総会も修繕委員会も不要です。一方で、チェックする第三者が誰もいないという弱点があります。談合という文脈では、組合とは違う形のリスクがあるとお考えください。

オーナーさまの場合、判断軸に「入居率」と「稼働の停止」が加わります。

論点 分譲マンション管理組合 賃貸マンション・ビルのオーナー
意思決定 総会・理事会の合意が必要 オーナー単独で可能
チェック機能 理事会・修繕委員会・区分所有者 原則として存在しない
重視される指標 積立金とのバランス、住民の納得 入居率、賃料維持、工事中の解約防止
足場の影響 居住者の生活影響・防犯 入居者の不満・退去、テナントの営業影響

足場を組むと、外から見て「工事中の物件」になります。募集中の部屋の内見にも影響しますし、1階に店舗が入っていれば売上に響きます。足場をかける期間を短くする、あるいは部分的にロープアクセスに切り替えるだけで、この影響はかなり抑えられます。

修繕費として計上できる支出か、資本的支出として減価償却の対象になるかは、工事内容によって扱いが変わります。私は税務の専門家ではありませんので、この点は必ず顧問税理士にご確認ください。


よくある質問(FAQ)

Q1. 談合報道があった会社に、うちの工事を頼んでも大丈夫ですか?

A. 報道されている社名だけで一律に判断するのは、私はおすすめしません。処分の対象・内容は公正取引委員会の報道発表で確認したうえで、その会社が再発防止策を公表しているか、見積書の内訳を工種ごとに開示するか、という具体的な行動で判断されるほうが実質的です。

Q2. 設計監理方式はやめて、責任施工方式にすべきですか?

A. 方式の切り替えだけでは解決しません。責任施工方式には「施工会社の見積りを検証する第三者がいない」という別の弱点があります。本文の「自衛策7項目」のうち①②④⑥は、どちらの方式でも実行できます。まずそこからをおすすめします。

Q3. 修繕積立金が足りません。工事を先送りしてもよいですか?

A. 先送りは選択肢の一つですが、劣化が進むと同じ工事の単価が上がる傾向があります。まず劣化診断で「今やるべき部位」と「次回でよい部位」を切り分けることをご検討ください。国土交通省の令和5年度調査では、計画に対して積立金が不足しているマンションは36.6%で、決して例外的な状況ではありません(出典:国土交通省 報道発表)。

Q4. ロープアクセス工法にすれば必ず安くなりますか?

A. いいえ。施工量が非常に多い全面改修では、足場を組んだほうが総額で有利になるケースがあります。建物の高さ・形状・施工数量によって結論が変わりますので、両方の見積りを取って比較されることをおすすめします。

Q5. 築何年から大規模修繕を考えるべきですか?

A. 一律の年数はありません。国土交通省の長期修繕計画作成ガイドライン(令和6年6月改定)では、計画期間30年以上かつ大規模修繕工事が2回含まれる期間以上を目安としています(出典:国土交通省(PDF))。実際の着手時期は、劣化診断の結果と積立金の状況から判断するのが現実的です。


この記事のポイントまとめ

  • 2026年6月、大規模修繕の談合で38社に排除措置命令の方針と報じられた
  • 設計コンサルタント2社が含まれ、中立性の構造的な穴が問題視された
  • 築40年超マンションは20年後に約464万戸へ、二つの老いが同時進行
  • 修繕積立金が計画に対し不足する組合は36.6%、割高発注の痛手は大きい
  • 見積書の内訳分解と、足場を前提としない見積り1本が最大の自衛策になる

出典・参考資料

※制度・処分内容・統計は更新される可能性があります。実際のご判断の際は、必ず公的機関の最新情報をご確認ください。


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今回の報道で、業界に対する信頼が揺らいだことは事実だと思います。ただ、私はこれを「工事会社を疑ってください」という話にはしたくありません。管理組合が見積書を読める状態になり、工事会社が内訳を開示する。それが当たり前になれば、真面目にやっている会社ほど選ばれるようになります。

見積書の読み方の整理だけでも構いません。総会の前段階で「この数量は何を根拠にしているのか」を一緒に確認する、そんな使い方でもお問合せフォームからご相談だけでも遠慮なくお声がけください。

これは私が現場で20年見てきた、嘘偽りのない感想です。次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。


執筆者:本間 幸紘(株式会社明誠 代表取締役)
専門領域:マンション大規模修繕/ロープアクセス工法/建物長寿命化計画
実務経験:建設・改修業界 20年以上
所属:一般社団法人 全国建設業支援協会(JCSA)

株式会社明誠について:東京都東大和市を拠点に、東京・関東一円でロープアクセス工法と従来足場工法の両方を提案できる改修会社。日本初のロープアクセス工事フランチャイズを展開し、塗装・防水・タイル・電気・看板など各分野の専門職が加盟しています。東京都知事認可(般-29)第148121号。

最終更新:2026年9月9日