大規模修繕はロープアクセスが提案可能な東京の明誠へ

創業から6000棟超の施工実績

甲府市のマンション補助金|管理組合の大規模修繕2026

2026年8月15日 更新

「甲府市の分譲マンションで大規模修繕をするとき、市の補助金は使えるのか?」——この記事は、その一点に正面からお答えします。

先に結論から申し上げます。甲府市が2026年度(令和8年度)に公表している住まい系の制度を私が確認した範囲では、分譲マンションの共用部分の大規模修繕そのものに、市から直接現金が交付される補助金は見当たりません。しかも、かつて存在した「甲府市住宅リフォーム助成事業」は、市が公式ページで明記しているとおり平成29年度をもって終了しています(出典:甲府市/甲府市住宅リフォーム助成事業の終了について)。

ただ、ここで話が終わるわけではありません。甲府市には令和5年7月に始まった「甲府市マンション管理計画認定制度」という、全国的に見てもかなり早い段階で整備された仕組みがあります。そして国の税制優遇、低利融資、さらに甲府市独自の耐震化支援。これらを組み合わせ、そのうえで工法を最適化すれば、管理組合の実質負担は大きく変わります。

私は株式会社明誠の本間と申します。マンション・ビル・ホテルの大規模修繕を20年近く手がけ、通常の足場を架ける工法とロープアクセス工法(無足場工法)の両方を扱ってきました。甲府市の理事長さま・理事会の皆さまが、総会の前に押さえておくべき論点を、公的な一次情報のリンク付きで整理します。


この記事の結論:甲府市の管理組合が握るべき「四本柱」

甲府市の分譲マンション管理組合が、2026年度に現実的に手を伸ばせる支援は、次の4つに集約されます。

  1. 甲府市マンション管理計画認定制度(令和5年7月開始。融資優遇と税制の入口になる)
  2. マンション長寿命化促進税制(大規模修繕の翌年度、建物部分の固定資産税が減額される)
  3. 住宅金融支援機構のマンション共用部分リフォーム融資/マンションすまい・る債(低利で借り、有利に積む)
  4. 甲府市建築物耐震化支援事業(避難路沿道の建築物であれば、耐震診断・設計・改修に補助の道がある)

そして5つ目が、補助金ではないものの効き目としては最も大きい工法の選択です。足場を全面に架けるか、ロープアクセス工法で無足場にするか、部位ごとに使い分けるハイブリッド工法にするか。ここで数百万円から千数百万円の差が生まれる現場を、私は何度も見てきました。

打ち手 種類 効き目の目安 窓口
甲府市マンション管理計画認定制度 認定制度 融資金利引下げ・税制要件・市場評価 甲府市 まちづくり総室住宅課住宅係 055-237-5812
マンション長寿命化促進税制 税の減額 翌年度の建物固定資産税を減額 甲府市 資産税課家屋係 055-237-5426
機構の共用部分リフォーム融資 低利融資 全期間固定・理事長の個人保証不要 住宅金融支援機構
甲府市建築物耐震化支援事業 市の補助 耐震診断・設計・改修に補助(要綱による) 甲府市 建築指導課指導係 055-237-5828
ブロック塀等耐震対策事業 市の補助 3分の2以内・限度額25万円 甲府市 建築指導課指導係 055-237-5828
工法の最適化 工事側 総工費の1〜2割規模で変動 施工会社(明誠など)

以下、それぞれを一次情報にあたりながら順に解説します。


まず正直に:甲府市の「共用部大規模修繕への直接補助」は確認できません

まず、期待を持たせたまま読み進めていただくのは誠実ではないので、最初にはっきり書きます。

甲府市の公式サイトで「住まい」カテゴリの助成メニューを確認すると、掲載されているのは次の4つです(出典:甲府市/助成)。

  • ブロック塀等耐震対策補助について
  • 甲府市住宅リフォーム助成事業の終了について
  • 耐震改修工事への補助
  • 甲府市結婚新生活支援事業

このうち「甲府市住宅リフォーム助成事業」は、平成25年度から実施され、平成29年度をもって終了しました。市のページには「住宅の省エネに関する国補助金についてご相談等がある場合には、各補助制度の事務局へお問い合わせください」とあり、市としては国の制度へ案内する立場になっています。

つまり、「甲府市 マンション 大規模修繕 補助金」で検索して、リフォーム助成事業の古い記事にたどり着いた方は、その情報は既に失効しています。ここは総会資料に書いてしまうと後で訂正が必要になる箇所なので、特に注意してください。

では甲府市の管理組合は打つ手がないのか。そんなことはありません。むしろ甲府市は、マンション管理の「制度面」では山梨県内で先行しています。次章から具体的に見ていきます。


【本命①】甲府市マンション管理計画認定制度|令和5年7月スタート

甲府市は令和5年5月に推進計画を策定し、7月から認定を開始

マンション管理計画認定制度は、マンションの管理計画が一定の基準を満たす場合に、「マンション管理適正化推進計画」を策定した地方公共団体が、適正な管理計画を持つマンションとして認定する制度です。根拠法はマンションの管理の適正化の推進に関する法律(マンション管理適正化法)です。

甲府市は、令和5年5月に「甲府市マンション管理適正化推進計画」および「甲府市マンション管理適正化指針」を策定し、令和5年7月から「甲府市マンション管理計画認定制度」を開始しています(出典:甲府市/マンション管理計画認定制度)。

ここは重要なポイントです。認定制度は「推進計画を策定した自治体の区域内のマンション」しか申請できません。山梨県が策定した「山梨県マンション管理適正化推進計画」(令和4年度〜令和12年度)は、対象区域を市部を除く町村部としています(出典:山梨県/マンション管理計画認定制度について)。したがって、甲府市内のマンションは県ではなく甲府市が認定事務の主体です。窓口を間違えないでください。

認定を受ける4つのメリット

甲府市が公式に掲げている効果・メリットは次のとおりです。

メリット 内容
意識と管理水準 区分所有者のマンション管理への意識が高く保たれ、管理水準の維持向上が図れる
市場評価 適正な管理水準で管理されているマンションとして、市場において評価される
税制 長寿命化に資する大規模修繕工事が実施された場合に、建物部分の固定資産税額の減額特例措置が適用される
融資・債券 住宅金融支援機構の「フラット35維持保全型」借入金利引下げ、「マンション共用部分リフォーム融資」借入金利引下げ、「マンションすまい・る債」の債券利率上乗せ

3つ目と4つ目に注目してください。認定は、それ自体でお金がもらえる制度ではありません。ですが、次章の長寿命化促進税制の要件になり、機構融資の金利引下げの条件にもなります。認定=お金の入口と理解していただくのが正確です。

申請方法は「オンラインのみ」。書面申請は不要

甲府市の運用で特徴的なのは、申請の入口です。

  • 認定申請・認定更新申請マンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」を利用し、オンライン申請。認定申請書・認定更新申請書による書面申請は不要
  • 変更認定申請:変更認定申請書による書面申請
  • 詳細は「甲府市マンション管理計画認定制度申請の手引」に記載

なお、市への申請手数料の有無・金額について、甲府市のページ上では明示を確認できませんでした。マンション管理センターの手続支援サービス自体には利用料が発生する運用が一般的ですが、金額は年度により変わります。ここは推測で書くべきではないので、まちづくり総室住宅課住宅係(055-237-5812/本庁舎8階)へ電話で確認することを強くおすすめします。理事会の予算計上前の5分の電話が、後の混乱を防ぎます。

認定基準は国の基準ベース。実務上の壁は3つ

甲府市は市独自の上乗せ基準を設けている旨の記載が見当たらず、国の基準に沿った運用と考えられます。実務で管理組合がつまずきやすいのは、だいたい次の3点です。

  1. 長期修繕計画が30年以上、かつ残存期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれているか
  2. 長期修繕計画の作成・見直しが7年以内に行われているか
  3. 修繕積立金の額が、長期修繕計画に照らして不足していないか

3つ目でつまずく組合が非常に多いのが実情です。逆に言えば、認定を目指す過程で長期修繕計画を見直し、積立金の水準を適正化することそのものが、管理組合にとって最大の価値でもあります。認定はゴールではなく、健康診断だと考えてください。


【本命②】マンション長寿命化促進税制|翌年度の固定資産税が減額される

制度の骨格

一定の要件を満たす長寿命化工事(大規模修繕等)を行ったマンションについて、工事完了の翌年度分の建物部分の固定資産税額が減額される制度です。国土交通省が所管し、市町村が条例で減額割合を定めます(出典:国土交通省/マンション長寿命化促進税制(固定資産税の特例措置))。

項目 内容
対象工事期間 令和5年4月1日〜令和9年3月31日に完了した工事
減額対象 建物部分の固定資産税(都市計画税は対象外)
対象面積 居住用専有部分1戸あたり床面積100平方メートル相当分まで
減額割合 市町村の条例で定める割合(参酌基準は3分の1、範囲は6分の1〜2分の1)
適用回数 1回限り

甲府市の減額割合は「要確認」。断定は避けてください

ここは正直に書きます。甲府市が条例で定めている減額割合について、市の公式ページ上での明示を私は確認できませんでした

自治体によって割合は割れています。東京23区や小田原市は2分の1、高崎市・太田市・佐野市は3分の1を明示しています。甲府市がどの割合を採っているかを、他市の例から推測して総会資料に書くのは危険です。

甲府市 市民部 資産税課 家屋係(055-237-5426/本庁舎3階)に、次の3点を必ず電話確認してください。

  1. 長寿命化促進税制の減額割合
  2. 申告期限(多くの自治体で工事完了後3か月以内。期限を1日過ぎると適用されません)
  3. 必要書類の一覧(証明書の取得に日数がかかります)

私の経験上、この電話を「工事が終わってから」かける管理組合が本当に多い。着工前にかけてください。要件を満たすように工事内容を組み立てられるかどうかで、結果が変わります。

要件のチェックリスト

国の制度要件は次のとおりです。着工前にすべて満たせるか確認してください。

  • [ ] 築20年以上が経過している
  • [ ] 総戸数10戸以上
  • [ ] 過去に1回以上の長寿命化工事(大規模修繕)を実施済み
  • [ ] 屋根防水・床防水・外壁塗装等を含む工事を一体的に実施
  • [ ] 管理計画の認定を受けている、または助言・指導を受けて修繕積立金を適正な水準に引き上げている
  • [ ] 工事完了後、期限内に市へ申告する

なお、耐震改修・バリアフリー改修・省エネ改修による固定資産税の減額措置とは重複適用できないのが一般的な取扱いです。どれを取るのが有利かは、資産税課への確認を含めて事前に整理してください。


【本命③】住宅金融支援機構の融資と債券|理事長の個人保証は不要です

補助金がないなら、借り方と積み方で差をつける。ここが管理組合の腕の見せどころです。

マンション共用部分リフォーム融資

住宅金融支援機構が、管理組合を借主として共用部分の修繕資金を融資する制度です。実務上のメリットは大きく3つあります。

  1. 全期間固定金利なので、返済計画が総会の場で確定的に説明できる
  2. マンション管理センターの債務保証を利用すれば、理事長個人の連帯保証は不要
  3. 管理計画の認定を受けていると金利が引き下げられる

2つ目は、理事長のなり手不足に悩む組合には決定的です。「理事長になったら個人保証を負わされる」という誤解が、なり手を減らしている現場を私は何度も見ています。制度上そうではない、と説明できる材料になります。

金利は毎月見直されるため、この記事で具体的な数字を書くことはしません。総会の直前に住宅金融支援機構の公式サイトで最新の適用金利を確認してください。

マンションすまい・る債

修繕積立金を安全に、かつ普通預金より有利に積み立てるための債券です。管理計画の認定を受けたマンションには利率の上乗せがあります。募集は年度単位で行われ、応募期間が限られるため、理事会の年間スケジュールに「すまい・る債の募集確認」を組み込んでおくことをおすすめします。

甲府市も公式ページで、認定のメリットとして機構の3制度(フラット35維持保全型・共用部分リフォーム融資・すまい・る債)を明示しています。市が正面から案内している以上、遠慮なく使ってください。


【甲府ならでは】建築物耐震化支援事業|避難路沿道のマンションは必ず確認を

ここからが、他市の記事には書けない甲府市固有の話です。

163件の避難路沿道建築物、報告期限は令和8年3月末

建築物の耐震改修の促進に関する法律の改正により、一定の建築物の所有者には耐震診断の実施と結果の報告が義務付けられています。甲府市は所管行政庁として、次のように公表しています(出典:甲府市/甲府市建築物耐震化支援事業について)。

区分 内容
要緊急安全確認大規模建築物 昭和56年5月31日以前に建築。病院・店舗・旅館等の不特定多数が利用する建築物、学校・老人ホーム等。対象3件、報告期限は平成27年12月末日
避難路沿道建築物 昭和56年5月31日以前に建築。甲府市が指定する緊急輸送道路等の避難路沿道建築物で、倒壊時に前面道路を半分以上閉塞するおそれのあるもの。対象163件、報告期限は令和8年3月末日

そして耐震診断結果の報告状況として、市は次の数字を公表しています。

安全性の評価 棟数
I:地震の振動及び衝撃に対して倒壊し、又は崩壊する危険性が高い 106棟
II:倒壊し、又は崩壊する危険性がある 46棟
III:倒壊し、又は崩壊する危険性が低い 10棟

診断結果報告書の記載例として、市は鉄骨造・鉄筋コンクリート造・鉄筋鉄骨コンクリート造・木造の4種類を用意しています。つまり、RC造・SRC造の建物——分譲マンションを含む——が対象範囲に入り得るということです。

耐震診断・設計・改修に補助制度がある

甲府市は「建築物耐震化支援事業として、耐震診断等に要する費用に対し補助を行っています」と明記しています。補助対象経費の限度額・補助率・添付書類は甲府市建築物耐震化促進事業費補助金交付要綱に定められており、要綱は令和8年度版が公開されています。

実務上、必ず守っていただきたい注意が2つ市のページに書かれています。

  • 交付決定後に、耐震診断・耐震設計又は耐震改修等に着手すること(先に着工すると対象外)
  • 予算の状況に応じて、希望の年度に対応できない場合がある(早めの相談が必須)

昭和56年5月31日以前に建築され、緊急輸送道路等の沿道に建つRC造・SRC造マンションにお住まいの管理組合は、大規模修繕の計画と耐震化を同じテーブルに乗せて考える価値があります。足場を架ける工事は10年に一度。そのタイミングで耐震補強を同時施工できれば、仮設費を二重に払わずに済みます。

窓口はまち開発室 建築指導課 指導係(055-237-5828/本庁舎7階)です。なお、管理組合名義での申請可否や具体的な補助率は要綱と個別事情によりますので、断定せず、まず電話で相談してください。


使える/使えないを正直に仕分けする

甲府市の他の制度についても、管理組合の共用部大規模修繕に使えるかどうかを率直に整理します。

ブロック塀等耐震対策事業《補助》:★敷地内の塀には使える可能性あり

倒壊のおそれのあるブロック塀等の撤去・改修工事に対する補助です(出典:甲府市/ブロック塀等耐震対策補助について)。

項目 内容
対象 避難路等に面し、避難路等からの高さが1メートルを超えるブロック塀等
申請者要件 ブロック塀等の所有者であること、市税の滞納がないこと
補助額 見積額と単価計算額のいずれか少ない額の3分の2以内、かつ限度額25万円
撤去工事の単価 撤去する塀等の延長1メートルにつき12,000円
耐震改修工事の単価 改修に伴い撤去する塀等の延長1メートルにつき19,000円
注意 交付決定前に工事着手したものは対象外

金額は大きくありませんが、大規模修繕に合わせて敷地内の古いブロック塀を撤去する管理組合は少なくありません。「ついでにやる」なら、先に交付決定を取る。この順序さえ守れば、25万円が手元に残ります。逆に順序を間違えると、1円も出ません。私が現場で最も多く見る「もったいない」がこれです。

なお、ブロック塀を生け垣に改造する場合は、公園緑地課の「生垣設置奨励助成」という別の制度もあります。

甲府市やまなしKAITEKI住宅普及促進事業費補助金:共用部大規模修繕には使えません

最大120万円という金額の大きさから期待されがちですが、要件を読むと管理組合の大規模修繕には使えません(出典:甲府市/甲府市やまなしKAITEKI住宅普及促進事業費補助金について)。

  • 対象は、山梨県が定めるやまなしKAITEKI住宅基準を満たした住宅を建築または取得した方
  • 対象住宅は新築・増築又は改築住宅であること
  • 自ら居住する目的で建築又は取得した個人が対象
  • 山梨県内に本店を有する建築業者が施工した住宅であること
  • 申請期間は令和8年4月1日〜令和9年2月26日
  • 認定通知日又は購入日から3か月以内の申請が必要
  • 窓口はまちづくり部住宅課(本庁舎8階)、郵送不可・窓口持参のみ

要するに個人の住宅取得・建築を支援する制度であり、既存分譲マンションの共用部分の修繕は対象になりません。ここは総会で誤解が生じやすいので、はっきり整理しておいてください。

木造住宅耐震診断・耐震改修補助:RC造・SRC造マンションは対象外

甲府市の木造住宅耐震診断(無料)・木造住宅耐震改修/建替え補助・耐震シェルター設置補助は、いずれも木造住宅が対象です。RC造・SRC造の分譲マンションの共用部分には使えません。前章の「建築物耐震化支援事業」とは別メニューですので混同しないでください。


2026年4月施行の改正区分所有法で、決議のハードルが下がりました

補助金の話から少し離れますが、2026年の大規模修繕を考えるうえで最も影響が大きい変更です。

2026年4月1日、改正区分所有法が施行されました。管理組合にとって実務的に大きいのは、共用部分の大規模修繕等に関する決議要件の緩和です。

項目 改正前のイメージ 改正後のイメージ
決議の母数 区分所有者「全員」を母数とする 出席した区分所有者を母数とする方向へ緩和
欠席・無回答者 事実上「反対」と同じ効果になっていた 母数から除外され、反対票として作用しない
所在不明の区分所有者 決議の障害になっていた 裁判所の関与する手続により母数から除外可能

甲府市に限らず、築40年を超えるマンションでは、相続によって所有者が県外に散り、連絡がつかない住戸が出てきます。これまではその1戸が決議を止めてしまうことがありました。改正後は、そこが構造的に解消されます。

ただし、建替え等の重い決議については従来の要件が残る部分があります。「決議が全部ゆるくなった」と単純化して総会で説明すると、後で混乱します。マンション管理士や弁護士に条文を確認したうえで、議案書に反映してください。


甲府盆地の気候と大規模修繕|猛暑・凍結融解・強い日射

甲府市は、山梨県の県庁所在地であり、四方を山に囲まれた甲府盆地の中心にあります。この地形が、建物の劣化の仕方を決めています。

甲府の建物が受けるダメージの特徴

  1. 夏の猛暑と強い日射:甲府盆地は日本有数の暑さで知られ、日照時間の長さも全国トップクラスです。強い紫外線は、外壁塗膜の劣化とシーリング材の硬化・痩せを加速させます。南面・西面のシーリングが先に切れる建物が多いのはこのためです。
  2. 冬の放射冷却と凍結融解:盆地特有の放射冷却で朝方に強く冷え込みます。外壁のひび割れに入った水が凍って膨張し、融けて縮む。この繰り返し(凍結融解)が、タイルの浮きやコンクリートの爆裂を進行させます。海沿いの塩害とは違うタイプの、しかし確実な劣化要因です。
  3. 塩害は軽微:内陸のため、沿岸部のような鉄部の急速な腐食は起こりにくい。ここは甲府のマンションにとって有利な条件です。

甲府市での外壁塗装・防水工事のベストシーズン

塗料も防水材も、施工時の気温と湿度に品質を左右されます。私の実務感覚では、甲府市では次のような整理になります。

時期 適性 理由
3月下旬〜6月上旬 気温が安定し、湿度も比較的低い。最も条件が良い
6月中旬〜7月中旬 梅雨で工程が延びやすい。雨天中止が積み重なる
7月下旬〜8月 猛暑。塗膜の乾燥が早すぎて仕上がりにムラが出やすく、職人の熱中症リスクも高い
9月〜11月中旬 気温・湿度とも安定。台風の接近時期だけ注意
11月下旬〜3月上旬 × 朝の冷え込みで結露・凍結。多くの塗料が施工可能気温を下回る

「総会が終わったからすぐ着工」ではなく、気候の窓に合わせて逆算する。工期が延びれば仮設費も管理費も増えます。総会の時期そのものを見直す価値があります。

現場でよく見る「1年放置」の代償

屋上防水の膨れを「畳1枚くらいだから来年でいい」と判断された管理組合を担当したことがあります。1年後にうかがうと、膨れは数倍に広がり、水が下地まで回っていました。表層の部分補修で済むはずだった工事が、下地の撤去・乾燥・再形成を含む工事になり、費用は当初見積りの数倍になりました。最上階の住戸には天井のシミが出ていました。

防水の劣化は、面積ではなく時間で拡大します。甲府のように凍結融解のある地域では、冬をひとつ越すごとに状況が悪くなると考えてください。


補助金より効く「工法選び」|足場・ロープアクセス・ハイブリッド

ここまで制度の話をしてきましたが、実は管理組合の負担を最も大きく動かすのは、補助金でも税制でもなく工法の選択です。

大規模修繕工事の見積書を分解すると、仮設足場費が総工費の15〜25%程度を占めることが珍しくありません。この部分に手を入れられるかどうかで、数百万円単位の差が出ます。

3つの工法の比較

項目 通常足場工法 ロープアクセス工法(無足場工法) ハイブリッド工法
仮設費 大きい(総工費の15〜25%程度) ほぼ不要 部位ごとに最小化
工期 架設・解体に時間を要する 架設不要のため短縮しやすい 中間
居住者への影響 全戸に足場・メッシュシートがかかり、日照・通風・視界・防犯面の負担が長期化 作業箇所以外は通常どおりの生活 足場エリアのみ限定的
適する建物 中低層、形状が複雑、全面的な改修が必要 高層、足場架設が困難、部分改修、コスト最重視 大規模・複雑で、総合的な最適化が必要
注意点 足場の防犯対策が別途必要 作業員の技能と安全管理体制が品質を左右する 工区分けの設計力が問われる

株式会社明誠は、この3つの工法すべてを扱い、建物ごとに最適な組み合わせを提案できる、日本でも数少ない会社です。多くの会社は足場工法しか持たないため、足場を架ける前提でしか見積りが出てきません。ロープアクセス工法の技術情報・安全基準・施工事例については、姉妹サイトのロープアクセスドットコムに詳しくまとめていますので、比較検討の材料にしてください。

また明誠は、ロープアクセス工事としては日本で初めてとなるフランチャイズ展開を行っており、塗装・防水・タイル・電気・看板などの各分野の専門職が加盟しています。専門工事を直接組み合わせられる体制が、品質を保ちながら価格を抑えることにつながっています。ロープアクセス工法の考え方はロープアクセス工法のご紹介、施工品質の担保については明誠の品質保証、価格の考え方は適正価格へのこだわりをご覧ください。


甲府市のモデルケース2本|数字で見ると差がわかる

実際の案件をもとに、条件を一般化したモデルケースを2つ示します。金額は建物条件・仕様・時期で変動しますので、あくまで考え方の目安としてご覧ください。

ケースA:甲府駅周辺・築25年・11階建て・48戸

  • 従来の全面足場工法での見積り:約9,000万円
  • ハイブリッド工法(低層部は足場、高層部と屋上まわりはロープアクセス)での見積り:約7,800万円
  • 差額:約1,200万円、1戸あたり約25万円

48戸で1,200万円。修繕積立金の1年分を優に超える金額です。この差は、足場の架設面積を高層部で削ったことによる仮設費の圧縮と、工期短縮による現場管理費の減少から生まれています。

ケースB:郊外・築40年超・5階建て・18戸

  • 従来の足場工法での見積り:約3,200万円
  • ロープアクセス主体での見積り:約2,600万円
  • 差額:約600万円

小規模なマンションほど、1戸あたりの負担は重くなります。18戸で600万円は、1戸あたり約33万円。この組合では、差額の圧縮に加えて住宅金融支援機構の共用部分リフォーム融資を併用し、さらに管理計画認定の取得を並行して進めました。


修繕積立金が足りない——そのときの4つの打ち手

「補助金がないなら、そもそも資金が足りない」。甲府市の管理組合からも、よくいただく相談です。打ち手は4つあります。

  1. 工法の見直しで工事費そのものを下げる:前章のとおり。最初に検討すべきはここです。借りる前に、減らす。
  2. 工事を分割し、優先順位をつける:屋上防水と外壁のひび割れ補修を先行し、意匠的な要素を次回に回す。ロープアクセス工法は部分施工に向いているため、この戦略と相性が良い。
  3. 住宅金融支援機構の共用部分リフォーム融資を使う:全期間固定・理事長の個人保証不要。総会で説明しやすい。
  4. 積立金の値上げを段階的に実施する:一度に倍にするのではなく、5年かけて段階的に。長期修繕計画の見直しとセットにすれば、合意は取りやすくなります。管理計画認定の要件を満たすことにもつながります。

このうち1と2は施工会社と、3と4は管理会社・マンション管理士と進める話です。別々に検討せず、同じテーブルに乗せてください。工法を変えれば必要な借入額が変わり、必要な値上げ幅も変わります。


大規模修繕の18か月逆算カレンダー

甲府市の気候を踏まえると、着工月から逆算した準備スケジュールはこうなります。

時期 やること
着工18か月前 修繕委員会の設置。長期修繕計画の現状確認。管理計画認定の要件チェック
着工12か月前 劣化診断・建物調査の実施。甲府市 住宅課(055-237-5812)と資産税課(055-237-5426)へ制度確認の電話
着工9か月前 工事仕様の確定。相見積り(3社程度)の依頼。工法の比較検討
着工6か月前 施工会社の選定。臨時総会または通常総会での決議。融資申込みの準備
着工3か月前 契約締結。居住者説明会の実施。工程・生活影響の周知
着工 気候の窓(3月下旬〜6月上旬、または9月〜11月中旬)に合わせる
完了後3か月以内 長寿命化促進税制の申告(期限は必ず資産税課へ事前確認)

一番の失敗パターンは、総会の日程が先に決まっていて、着工が真夏か真冬に押し込まれるケースです。18か月前から動けば、この事故は防げます。


相見積りで失敗しない3つのポイント

3社から見積りを取ったのに、金額がバラバラで比較にならない。よくある話です。原因はほぼ3つに絞られます。

  1. 数量を揃える:ひび割れ補修の延長、タイル張替えの枚数、シーリングの延長。各社が自分の想定で数量を入れると、比較不能になります。発注者側で数量を確定して配るのが原則です。
  2. 仕様を揃える:塗料のグレード(アクリル・ウレタン・シリコン・フッ素)、防水の工法(ウレタン塗膜・塩ビシート・アスファルト)を指定する。同じ「外壁塗装」でも、耐用年数が倍違います。
  3. 「別途」の扱いを揃える:仮設費、廃材処分費、諸経費、消費税。「一式」という記載が多い見積書ほど、後で追加費用が出ます。内訳の粒度を揃えて出させることです。

そのうえで、金額だけでなく工法の提案内容を比較してください。足場ありきの見積りしか出てこない会社と、ロープアクセスを含む選択肢を提示できる会社では、そもそも土俵が違います。


よくある質問(FAQ)

Q1. 甲府市に、マンションの大規模修繕へ直接使える補助金はありますか?
A. 私が公開情報を確認した範囲では、共用部分の大規模修繕工事そのものへ市が直接現金を交付する制度は見当たりません。かつての甲府市住宅リフォーム助成事業も平成29年度で終了しています。使うべきは管理計画認定・長寿命化促進税制・機構融資、そして避難路沿道であれば建築物耐震化支援事業です。

Q2. 甲府市のマンション管理計画認定制度は、いつから始まりましたか?
A. 甲府市は令和5年5月に「甲府市マンション管理適正化推進計画」と「甲府市マンション管理適正化指針」を策定し、令和5年7月から認定制度を開始しています。(出典:甲府市

Q3. 認定の申請はどこに出せばよいですか?山梨県ですか、甲府市ですか?
A. 甲府市内のマンションは甲府市が窓口です。山梨県の推進計画は対象区域を市部を除く町村部としているため、県には申請できません。認定申請・更新申請はマンション管理センターの手続支援サービスからオンラインで行い、書面申請は不要です。

Q4. 認定を受けると、いくらもらえますか?
A. 認定自体に現金の交付はありません。効果は、長寿命化促進税制の要件を満たすこと、住宅金融支援機構の融資金利引下げとすまい・る債の利率上乗せ、そして市場での評価向上です。お金の「入口」と考えてください。

Q5. 長寿命化促進税制で、甲府市はいくら減額してくれますか?
A. 減額割合は市町村の条例で定まり、参酌基準は3分の1、範囲は6分の1〜2分の1です。甲府市の割合について公式ページでの明示を確認できなかったため、断定は避けます。資産税課家屋係(055-237-5426)へ着工前にご確認ください。

Q6. 築25年、12戸のマンションです。長寿命化促進税制は使えますか?
A. 築20年以上・10戸以上という基本要件は満たしています。あとは過去の大規模修繕実績、屋根防水・床防水・外壁塗装等の一体施工、管理計画認定または助言・指導による積立金の適正化、そして期限内申告が要件です。要件の充足は着工前に確認してください。

Q7. 昭和55年築のマンションです。耐震関係で使える市の制度はありますか?
A. 昭和56年5月31日以前の建築で、甲府市が指定する緊急輸送道路等の避難路沿道にあり倒壊時に前面道路を半分以上閉塞するおそれがある建築物は、耐震診断の報告義務の対象です(対象163件、報告期限は令和8年3月末日)。甲府市建築物耐震化支援事業による補助の道もあります。建築指導課指導係(055-237-5828)へご相談ください。

Q8. ロープアクセス工法は足場工法より品質が落ちませんか?
A. 工法の違いは「職人がどこに立つか」であって、塗料や防水材そのものは同じものを使います。品質を左右するのは下地処理の丁寧さと作業員の技能・管理体制です。適した部位に適した工法を当てる設計ができていれば、品質は落ちません。技術的な詳細はロープアクセスドットコムをご参照ください。


この記事のポイントまとめ

  • 甲府市に共用部大規模修繕への直接補助はなく、住宅リフォーム助成事業も平成29年度で終了している
  • 甲府市マンション管理計画認定制度は令和5年7月開始。申請はオンライン、窓口は住宅課055-237-5812
  • 長寿命化促進税制の減額割合は甲府市の条例次第。資産税課055-237-5426へ着工前に要確認
  • 昭和56年以前・避難路沿道のマンションは建築物耐震化支援事業の対象になり得る(対象163件)
  • ブロック塀の撤去・改修は3分の2以内・限度25万円。交付決定前の着工は対象外
  • 甲府盆地は猛暑・強い日射・凍結融解。施工は3月下旬〜6月上旬、9月〜11月中旬が適期
  • 補助金より効くのは工法選び。3工法の使い分けで総工費が1〜2割動く

執筆者:本間 幸紘(株式会社明誠 代表取締役)
専門領域:マンション大規模修繕/ロープアクセス工法/建物長寿命化計画
実務経験:建設・改修業界 20年以上
所属:一般社団法人 全国建設業支援協会(JCSA)

株式会社明誠について:東京都小平市を拠点に、東京・関東一円でロープアクセス工法と従来足場工法の両方を提案できる改修会社です。日本初のロープアクセス工事フランチャイズを展開し、塗装・防水・タイル・電気・看板の専門職が加盟することで、高品質と適正価格を両立しています。甲府市をはじめ山梨県内のマンション・ビル・ホテルのご相談も承ります。

大規模修繕の進め方でお悩みでしたら、お問合せフォームからお気軽にご相談ください。管理組合向けのサービス内容は管理組合さま向けサービスにまとめています。

最終更新:2026年8月15日

※本記事は2026年8月15日時点で公開されている情報にもとづいています。補助制度・税制・受付期間は変更されることがあります。実際のご検討にあたっては、必ず各制度の公式ページおよび担当窓口で最新の内容をご確認ください。


出典・参考資料