
先日、京都の名門ホテルが「営業を終了し、解体して建て替える」という報道が流れました。運営する不動産会社は、改修も検討したうえで、設備の古さと耐震補強の負担を理由に「長期的には建替えのほうが有利」と判断したと伝えられています。
このニュースを、単なる一棟のホテルの話だと読み流してしまうのは、私はもったいないと思っています。なぜなら、これは今、賃貸マンション・商業ビル・ホテルといった収益不動産を持つすべてのオーナーさまの机の上に載っている、たった一つの問いだからです。
「この建物、あといくらかけて、あと何年使うのか」
私は大規模修繕の現場で20年近く、足場の上とロープの先の両方からこの問いに向き合ってきました。今日はその経験から、資材高騰の時代に「改修か、建替えか」をどう考えればいいのか、そして改修を選ぶなら、稼働を止めずにコストを抑える方法があるという話を、できるだけ正直にお伝えします。
ここからが本題です。
なぜ今、「改修か建替えか」がこれほど重い問いになったのか
理由は一つ。つくり直すコストが、ここ数年で別物になったからです。
国土交通省が毎月公表している「建設工事費デフレーター」という指標があります(出典:国土交通省 建設工事費デフレーター)。これは物価の動きをならして、過去と今の建設コストを比べられるようにした“ものさし”です。難しい言葉ですが、要は「同じ建物を建てるのに、何倍のお金がかかるようになったか」を表す数字だと思ってください。
このものさしで見ると、集合住宅(鉄筋コンクリート造)の指数は2026年3月時点で143.3、前年同月比でおよそ5.5%上がっています。事務所(鉄骨造)も141.2で前年同月比3.4%増。基準とする2015年度を100とすれば、わずか10年で建てる費用が4割前後も膨らんだ計算です。
数字だけだとピンと来ないかもしれません。私はいつもオーナーさまに、こうお伝えしています。「10年前なら10億円で建て直せた建物が、今は14億円前後かかる時代になりました」と。建替えという選択肢は、資材と人件費の高騰によって、年々“重く”なっているのです。
建替えが重くなると、相対的に「改修」が見直される
ここで誤解してほしくないのは、私は「建替えは悪だ」と言いたいわけではない、ということです。京都のホテルのように、耐震性能や設備配管が根本から限界を迎えている建物では、全面建替えのほうが合理的なケースは確かにあります。
ただ、建替えコストが膨らむほど、「まだ使える躯体を、適切に直して長く使う」という改修の費用対効果が、相対的に上がってきます。私の経験上、築20〜40年の収益物件の多くは、躯体(建物の骨組み)そのものはまだ健全で、傷んでいるのは外壁・防水・シーリング・鉄部といった“表面”であることがほとんどです。
つまり、骨はしっかりしている。傷んでいるのは皮膚と関節。そういう建物を、皮膚の傷だけを理由に解体してしまうのは、私はとても惜しいと感じます。
資材高騰は「待てば下がる」のか——海外情勢と建設コストのつながり
「では、しばらく待てば資材が安くなって、建替えも改修もやりやすくなるのでは」。こう考えるオーナーさまは少なくありません。お気持ちはよく分かります。けれど、私は安易に「待ち」をおすすめしません。
理由をお話しします。建設資材の価格は、国内事情だけで決まりません。鋼材やセメント、塗料の原料、そしてそれを運ぶ燃料は、海外の資源価格や為替、海上輸送のコストに強く影響されます。実際、報道では海外情勢の悪化を理由に、地方のリゾートホテルの造成工事の着手が延期されるといった動きも出ています。海の向こうの出来事が、巡り巡って日本の現場の見積りに乗ってくるのです。
そして人件費。建設業では技能者の高齢化と人手不足が続き、加えて2024年度から時間外労働の上限規制が建設業にも適用されました。働き方が是正されること自体は良いことですが、短期的には「同じ工事をするのに、より多くの人と日数が必要になる」方向に働きます。資材と人件費、この二つが同時に上がり続けているのが今の構造です。
私の現場感覚で言えば、「来年になれば落ち着くだろう」という前提で先送りした結果、翌年の見積りがさらに上がっていた、という光景を何度も見てきました。もちろん未来は誰にも断言できません。ただ、「待てば必ず下がる」という保証はどこにもない、ということは正直に申し上げておきます。だからこそ、コストが読めない今は、総額を膨らませない“工法の工夫”がますます効いてくるのです。
現場で本当にあった話——「建替えしかない」が覆った日
少し、現場の話をさせてください。個人や物件が特定されない範囲でお伝えします。
ある築30年あまりの中規模の収益マンションで、オーナーさまは別の会社から「外壁の傷みがひどく、足場を全面に組んで大規模にやり直すか、いっそ建て替えるしかない」と言われていました。提示された足場費だけで数千万円、工期は半年近く。その間、空室が増える不安もあって、オーナーさまは「もう建て替えたほうがいいのかもしれない」と半ばあきらめておられました。
私が現地で壁を一面ずつ見て歩いて感じたのは、「これは皮膚の傷であって、骨の病気ではない」ということでした。傷んでいたのは主に北面と西面のシーリング(外壁の目地を埋めるゴム状の防水材)と、一部のタイルの浮き。躯体そのものは、打診(壁を専用の道具で叩いて音の違いで内部の状態を調べる調査)でも大きな問題は見当たりませんでした。
そこで私は、傷みの集中している面だけをロープアクセスで重点的に施工し、足場は本当に必要な一部だけに絞るハイブリッドの計画をお出ししました。結果として、当初言われていた金額から大きく圧縮でき、工期も短くなり、何より入居者の方々に住み続けてもらいながら工事を終えることができました。
工事の最終日、オーナーさまが「壊さなくて、本当によかった」とぽつりとおっしゃった。私が現場で20年やってきて、一番うれしい瞬間はこういうときです。逆に一番悔しいのは、まだ十分使える建物が、選択肢を出し切らないまま「壊すしかない」と判断されてしまうことなのです。
「改修か建替えか」を判断する5つの軸
では、オーナーさまは何を見て決めればいいのか。私が現場で必ず確認している5つの軸を、順にお話しします。
軸1:躯体(コンクリート)の健全性
最優先はここです。コンクリートの中性化(空気中の二酸化炭素でコンクリートがアルカリ性を失い、内部の鉄筋が錆びやすくなる現象)が鉄筋の位置まで進んでいるか、ひび割れから雨水が回って鉄筋が膨張していないか。ここが致命的なら、改修より建替えが視野に入ります。逆にここが健全なら、改修で十分長く使えます。
軸2:耐震性能
1981年6月以前の旧耐震基準で建てられた建物は、耐震診断と補強が大きなテーマになります。耐震補強に多額がかかるなら、京都のホテルのように建替えへ傾く判断もあり得ます。ただし耐震改修という方法も制度的に整備されており(参考:建築物の耐震改修の促進に関する法律)、一概に建替えが有利とは限りません。
軸3:収益性と稼働の継続
これは収益不動産ならではの軸です。建替えは、解体から竣工まで数年、その間の家賃収入や宿泊売上がゼロになります。ホテルや満室の賃貸マンションでは、この“逸失利益”が建替えコスト以上に効いてきます。改修なら、入居者・利用者が住み・泊まりながら工事ができます。
軸4:修繕積立金・自己資金の体力
国土交通省の調査では、計画上必要な修繕積立金に対して実際の積立が不足しているマンションは全国で36.6%、2割超不足している物件も11.7%に上ります(出典:国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」令和6年6月改定)。建替えには改修の何倍もの資金が要ります。お金の体力は冷静に見るべき軸です。
軸5:長期修繕計画との整合
国土交通省は令和6年6月に「長期修繕計画作成ガイドライン」も改定し、計画期間や周期の考え方を示しています(出典:国土交通省 報道発表資料(令和6年6月))。目先の一回ではなく、25年・30年の総額で改修と建替えを比べることが大切です。
改修を選ぶなら——「どう直すか」でコストは大きく変わる
5つの軸を踏まえ、「まだ改修で十分長く使える」と判断できたとします。ここからが、私たちのような専門会社の出番であり、オーナーさまの利益を一番大きく左右するポイントです。
実は、同じ「外壁・防水の大規模修繕」でも、工事のやり方(工法)次第で、総額も、工期も、稼働への影響も、まるで違ってきます。
工法その1:通常の足場を組む工法
建物全体に仮設足場をかける、最もオーソドックなやり方です。複雑な形状や、全面的に大量の作業が必要な建物には適しています。ただし、足場の架設・解体そのものに大きな費用と工期がかかり、足場があること自体が宿泊客や入居者にとって圧迫感や防犯上の不安につながることもあります。
工法その2:ロープアクセス工法(無足場工法)
これは産業用のロープで作業員が壁面を上下しながら施工する、足場を組まない工法です(無足場工法とも呼びます)。足場の架設・解体が不要なので、その分の費用と工期を圧縮できます。
私がこの工法をホテルや稼働中のビルに必ず提案するのは、営業を止めなくていいからです。足場で建物全体を覆うと、客室からの眺望もふさがり、宿泊単価にも響きます。ロープアクセスなら、必要な面を必要なときだけ施工でき、稼働への影響を最小限にできます。京都のホテルの報道を見て、私が真っ先に思ったのも「営業しながら直す道は本当になかったのだろうか」ということでした。
詳しくはロープアクセス工法のご紹介もご覧ください。
工法その3:ハイブリッド工法(足場+ロープアクセス)
そして私が一番お伝えしたいのが、この“いいとこ取り”です。作業量が多く足場が向く部位には足場を、足場を架けにくい部位やコスト最重視の部位にはロープアクセスを、と部位ごとに使い分けます。
「足場かロープか」の二択ではなく、「この建物にとって一番安く・速く・迷惑をかけない組み合わせは何か」を設計する。私はこれを、必ずワンセットで提案するようにしています。日本では、この3つの工法を建物特性に応じて出し分けられる会社は、まだ多くありません。
戸あたり・室あたりで考える——オーナーの財布感覚での比較
数字を体感に落とし込みましょう。あくまで一般的な傾向としてですが、私の現場感覚を表にします(建物条件で大きく変動します。確定額は必ず現地調査のうえ算出します)。
| 比較項目 | 全面足場のみ | ロープアクセス活用 | ハイブリッド |
|---|---|---|---|
| 足場の架設・解体コスト | 大きい | ほぼ不要 | 部位限定で中程度 |
| 工期 | 長め | 短縮しやすい | 中程度(最適化) |
| 稼働・営業への影響 | 大きい(眺望・防犯) | 小さい | 小さめに調整可 |
| 向いている建物 | 低中層・複雑形状 | 高層・足場困難・稼働継続が命 | 大規模・総合最適 |
たとえば100室のホテルで、足場費だけで数千万円規模になることは珍しくありません。これを部分的にでもロープアクセスへ置き換えられれば、室あたりの負担は確実に軽くなります。「建物全体で◯百万円安く」ではなく「1室あたり◯万円軽く」という財布感覚で比べると、判断がぐっと現実的になります。
総会・取締役会の前に確認したい5つの質問
管理組合の理事長さま、法人オーナーさまが、業者選定の前に必ず確認しておくべき質問を挙げます。これは私が「逆の立場なら必ず聞く」と思う5つです。
- うちの建物の躯体は、改修で十分長く使える状態か(中性化・鉄筋の状態の診断結果は)
- 足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3案を、それぞれの総額と工期で比較提示してくれるか
- 工事期間中、入居者・利用者の生活や営業への影響をどこまで抑えられるか
- 見積りの内訳(特に足場費と諸経費)は、項目ごとに開示されているか
- 25〜30年の長期で見たとき、改修と建替えの総額はどう違うのか
正直に申し上げます。1社だけの見積りで「建替えしかありません」と言われたら、私は一度立ち止まることをおすすめします。改修の可能性、工法の選択肢を出し切ったうえでの結論かどうか。そこにオーナーさまの数千万円〜数億円がかかっています。
ただし、改修が万能ではない場合もある
両論併記でお話しします。次のような場合は、改修より建替え・大規模リニューアルが合理的なことがあります。
- 躯体の劣化や中性化が鉄筋まで深く進み、補修範囲が躯体全体に及ぶ場合
- 旧耐震基準で、耐震補強に建替えに迫る費用がかかる場合
- 用途変更や容積率の余裕活用で、建替えにより収益力が大きく上がる場合
- 設備配管が寿命で、壁を壊さないと更新できない構造の場合
大事なのは、「改修ありき」でも「建替えありき」でもなく、数字で並べて比べることです。私たちが3工法を出し分けるのも、結局は「この建物にとっての最適解」を一緒に探すためです。
一社一括で頼める体制が、コストと品質を両立させる
最後に、私たちの体制の話を少しだけ。大規模修繕は、塗装・防水・タイル・電気・看板など、複数の専門職が関わります。これを別々の会社に発注すると、間に何重もの中間マージンが乗り、現場の連携も悪くなりがちです。
私たちは、ロープアクセス工事として日本で初めてのフランチャイズ展開を行い、各分野の専門職に加盟いただくことで、高品質と低価格を一社一括で両立できる体制をつくってきました。専門職が直接つながっているから、無駄な中間コストを省け、工程の連携もスムーズです。
大規模修繕の総合的なご相談は大規模修繕工事のご紹介もあわせてご覧ください。
見積書で必ず見てほしい「足場費」という一行
ここで、オーナーさまの利益に直結する実務的な話を一つ。大規模修繕の見積書を受け取ったら、私は必ず「仮設足場」の項目を見てくださいとお伝えしています。
なぜなら、足場の架設・解体費は、工事全体のなかでも大きな割合を占めることが多いからです。建物の規模や形状にもよりますが、足場関連が総額の2〜3割に達することも珍しくありません。ここが“ブラックボックス”になっていると、総額が膨らみやすいのです。
足場には、もう一つ見えにくいコストがあります。足場を組むと、その上から防犯ネットや養生シートで建物全体が覆われます。これは安全のために必要なものですが、同時に外から室内が見えにくくなり、空き巣の侵入リスクが上がるという指摘もあります。稼働中の店舗やホテルでは、足場と養生が「営業しているのか分かりにくい」状態をつくり、集客に影を落とすこともあります。
ロープアクセスやハイブリッドを検討する価値は、まさにここにあります。足場という大きな一行を、必要最小限まで圧縮できれば、総額も、稼働への影響も、防犯上の不安も、まとめて軽くできるのです。私は見積りを拝見するとき、いつもこの“足場という一行”をオーナーさまと一緒に見るようにしています。
ロープアクセスへの誤解を解いておきたい
無足場のロープアクセスというと、「安全なのか」「品質は足場に劣るのではないか」というご不安をいただくことがあります。正直に、両面からお答えします。
まず安全について。ロープアクセスは、作業者の命を預けるメインのロープと、万一に備えるバックアップのロープという、二重の支持を基本とします。墜落制止用器具(いわゆる安全帯)の使用も含め、高所作業には法令上のルールがあり、訓練を受けた技術者が手順を守って施工します。むやみに危険な“軽業”ではなく、手順と装備で安全を確保する技術だと考えてください。
品質についても、足場と同じ作業を、面ではなく線で移動しながら丁寧に行います。むしろ作業者が壁面に近く、一面ずつ集中して向き合えるため、ピンポイントの補修では細やかに対応できる場面もあります。
ただし、これも万能ではありません。広い面積を一気に塗り替えるような大量作業や、複雑に入り組んだ低層部などは、足場のほうが効率的なこともあります。だからこそ、私たちは「ロープありき」ではなく、部位ごとに最適な工法を組み合わせるハイブリッドを基本に考えるのです。
工事の前にオーナーがやっておくと得をする3つの準備
最後に、相談に来られる前にやっておくと、判断が早く・正確になる準備を3つだけ。
一つ目は、過去の修繕履歴と図面を手元にまとめておくこと。いつ、どこを、どう直したかが分かると、診断の精度が上がります。
二つ目は、現在の修繕積立金の残高と、今後の積立計画を把握しておくこと。お金の体力が分かると、改修・建替えの現実的な比較ができます。
三つ目は、「この建物をあと何年使いたいか」というオーナーさまご自身の方針を、ざっくりでいいので決めておくこと。あと10年なのか、30年なのかで、最適な工事はまったく変わります。
この3つがあれば、私たちもより具体的で、現実に即したご提案ができます。
改修を後押しする「支援制度」も追い風になっている
もう一つ、改修を選ぶオーナーさまに知っておいていただきたいのが、国の支援制度の動きです。
国土交通省の2026年度予算では、住宅局関係の予算が前年度比1.20倍の2,068億円計上され、既存の建物(既存ストック)の省エネ改修やバリアフリー化への支援が一層充実するとされています(出典:国土交通省 報道発表資料(令和6年6月) ほか国交省関連資料)。
ここに、改修ならではの大きな利点があります。建替えは原則として“新築”であり、こうした「既存ストックを直して長く使う」ための支援とは性格が異なります。一方、外壁や屋上の改修に合わせて断熱性能を高めるような省エネ改修であれば、制度の対象になり得ます。つまり、改修は支援制度という追い風を受けやすいのです。
ただし、補助制度には必ず注意点があります。予算枠に達した時点で受付が締め切られること、対象工事や申請の要件が年度ごとに変わること、申請のタイミングが工事の発注前でなければならない場合があること。私はオーナーさまに、「制度はあくまで現時点の情報であり、必ず最新の公募要領をご確認ください」と必ずお伝えしています。「絶対に受けられます」とは、どの会社も言えないはずです。
それでも、改修というルートには「支援を受けながらコストを抑えられる」可能性があるという事実は、建替えと比べるうえで見逃せない一点だと思います。
25年・30年で考える——「総額」で比べてはじめて見える答え
最後に、判断を一回の工事費ではなく、長い時間軸の「総額」で考えることの大切さを、簡単な考え方でお示しします。
たとえば、ある建物について「今、改修にいくらかかるか」だけを見れば、改修は当然、建替えより安く済みます。けれど、ここで思考を止めてはいけません。「その改修で、あと何年もつのか」「次の修繕はいつ、いくら必要か」までを並べて、25年・30年の総額で比べることが大切です。
私はいつも、改修案・建替え案のそれぞれについて、「初期費用」「期間中の収益(家賃・宿泊売上)」「将来の修繕費」「想定使用年数」の4点を、ひとつの表に並べてお見せするようにしています。すると、目先の金額だけでは見えなかった答えが、はっきり浮かび上がってくることが少なくありません。
稼働を止めない改修であれば、工事期間中も収益が途切れません。これは総額の比較において、想像以上に大きな差になります。「工事費が安いか高いか」だけでなく、「その間にいくら稼げるか」まで含めて考える。これこそが、収益不動産のオーナーさまならではの視点だと、私は考えています。
よくあるご質問(FAQ)
Q. ロープアクセスは足場より本当に安いのですか?
A. 足場の架設・解体費が不要な分、その部分は確実に圧縮できます。ただし作業量が極端に多い建物では足場が向く場合もあり、一概にどちらが安いとは言えません。だからこそ、3工法を比較してお出しします。
Q. 稼働中のホテルやビルでも工事できますか?
A. ロープアクセスは必要な面だけを順に施工できるため、営業・稼働を続けながらの工事に向いています。私たちが最も得意とする領域です。
Q. 改修と建替え、どちらが得かを自分たちだけで判断できますか?
A. 躯体診断や耐震の専門的な判断が必要なため、まずは現地調査をおすすめします。判断材料を数字で揃えることが先決です。
Q. 修繕積立金が不足しています。それでも改修できますか?
A. 工法の最適化で総額を抑えられる余地があります。資金計画と工事計画はセットでご相談ください。
Q. 資材が高い今ではなく、価格が落ち着くまで工事を待つべきでしょうか?
A. 「待てば必ず下がる」という保証はありません。むしろ劣化が進めば補修範囲が広がり、総額が増えることもあります。先送りのリスクと、今動くコストを天秤にかけて判断されることをおすすめします。
Q. 1社の見積りだけで決めて大丈夫でしょうか?
A. 工法の選択肢を出し切ったうえでの結論かどうかが大切です。少なくとも足場・ロープアクセス・ハイブリッドの比較ができる会社に、一度ご相談いただくことをおすすめします。
Q. ホテルやテナントビルですが、繁忙期を避けて工事できますか?
A. ロープアクセスは面を分けて順に施工できるため、稼働や繁忙期に合わせた工程の調整がしやすい工法です。スケジュールのご希望からご相談ください。
まとめ——「壊す」前に、「長く使う」選択肢を並べてほしい
京都のホテルの報道は、私たちに「建物の終わらせ方」を考えさせます。建替えが正解の建物も、確かにあります。けれど資材も人件費も高騰し続ける今、「まだ使える躯体を、稼働を止めずに、賢く直して長く使う」という選択肢の価値は、これまで以上に高まっています。
そのとき鍵になるのが、足場・ロープアクセス・ハイブリッドという3つの工法を、建物に合わせて出し分けられるかどうかです。
これは私が現場で20年見てきた、嘘偽りのない感想です。「壊すしかない」と言われる前に、ぜひ一度、改修と工法の選択肢を並べてみてください。ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会や取締役会の前段階の整理だけでも、私たちがお力になれることがあります(お問合せフォーム)。
次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。
出典・参考資料
- 国土交通省「建設工事費デフレーター」
- 国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン(令和6年6月改定)」
- 国土交通省「「長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」及び「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」の改定について(令和6年6月)」
- ニュース報道:京都の大型ホテルの営業終了・解体・建替え方針(2026年)


