「うちのマンションも、そろそろ2回目の大規模修繕なんだけど、稲城市に補助金ってあるんですか」——先日、稲城市内の築24年・60戸の管理組合の理事長さまから、こんなご相談をいただきました。理事会で修繕積立金の残高表を眺めながら、少しでも負担を軽くできる制度がないかと探しておられたのです。
私は大規模修繕の現場を20年近く見てきましたが、この「補助金はあるのか」という問いに、正直にお答えするのはなかなか難しいものです。稲城市のような多摩地域の自治体は、23区に比べて「分譲マンションの共用部専用」の直接補助が手薄なことが多いからです。だからといって「使える制度はありません」で片付けてしまうのは、あまりに不親切だと私は思っています。
この記事では、2026年度(令和8年度)に稲城市の分譲マンション管理組合が現実的に活用できる制度を、稲城市・東京都・国の制度まで含めて整理します。結論から申し上げると、稲城市の場合は「市の直接的な工事費補助」に頼るのではなく、管理計画認定という土台をつくり、東京都の利子補給と固定資産税の減額(節税)を組み合わせるのが王道です。総会前の資料づくりの一助になれば幸いです。
まず全体像:稲城市で管理組合が使える制度マップ
細かい話に入る前に、全体像をお示しします。稲城市の分譲マンション(区分所有のマンション)に関わる修繕・改修の支援制度は、大きく次のように整理できます。
| 制度名 | 実施主体 | 主な対象 | 支援の形 |
|---|---|---|---|
| マンション管理計画認定制度 | 稲城市(国制度) | 管理組合 | 認定による優遇の入口 |
| マンション改良工事助成制度 | 東京都(機構連携) | 分譲マンション管理組合 | 利子補給(最大20年) |
| マンション長寿命化促進税制 | 稲城市(課税課) | 区分所有家屋 | 固定資産税の減額 |
| 稲城市商工会 住宅改修等補助金 | 稲城市商工会 | 市内の住宅所有者 | 工事費の一部補助 |
| 木造住宅耐震診断・改修助成金 | 稲城市 | 木造戸建て(原則) | 診断費・改修費の助成 |
| カーボンニュートラル住宅設備等補助金 | 稲城市 | 住宅所有者(省エネ機器) | 設置費の定額補助 |
ここで大事なのは、「管理組合(共用部)」で使えるものと、「区分所有者個人(専有部)」で使えるものが混在している点です。大規模修繕は共用部の工事ですから、管理組合として本命に据えるべきは、上の表のうち管理計画認定制度・東京都のマンション改良工事助成・長寿命化促進税制の3つです。ここを外して、商工会や省エネの個人向け制度ばかり見ていると、「思ったより使えなかった」となりがちです。ここからが本題です。
稲城市のマンション事情と、大規模修繕の「現実」
稲城市は多摩地域の南東部に位置し、多摩ニュータウンや若葉台、南山東部土地区画整理地区など、計画的に開発された住宅地に分譲マンションが集まっています。比較的新しい物件も多い一方で、ニュータウン初期に建った築30年超の物件もあり、1回目の大規模修繕を終えて、2回目・3回目を迎える管理組合が着実に増えている、というのが私の現場実感です。
大規模修繕とは、外壁塗装や屋上防水、鉄部塗装、シーリング(外壁の目地を埋める防水材)の打ち替えなどを、おおむね12〜15年周期でまとめて行う工事のことです。マンションの資産価値を維持し、居住者の安全を守るために欠かせません。ただ、費用は決して小さくありません。一般的な中規模マンションで、1戸あたり100万円前後の工事費がかかることも珍しくありません。60戸なら、単純計算で6,000万円規模になります。
私が理事長さまとお話ししていて一番多いお悩みは、「修繕積立金が足りるか不安」というものです。国土交通省の調査でも、修繕積立金が長期修繕計画上の必要額に対して不足しているマンションが一定割合あることが指摘されています(出典:国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果」)。だからこそ、使える制度は一つ残らず確認しておきたい。私はいつも、そうお伝えしています。
【土台】稲城市のマンション管理計画認定制度
稲城市の管理組合が、補助や優遇を考えるうえで最初に押さえたいのが「マンション管理計画認定制度」です。これは補助金そのものではありませんが、後で紹介する節税や融資優遇の入口になる、いわば土台の制度です。
そもそも管理計画認定制度とは
管理計画認定制度とは、マンションの管理計画が国の定める一定の基準を満たしている場合に、市が「きちんと管理されているマンションですよ」と認定してくれる制度です。国の「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」にもとづくもので、稲城市は「稲城市マンション管理適正化推進計画」を策定し、令和5年(2023年)4月から認定制度を実施しています(出典:稲城市「マンション管理計画認定制度について」、稲城市「稲城市マンション管理適正化推進計画を策定しました」)。
認定の主なチェック項目には、管理組合の運営体制、管理規約の整備、集会(総会)の開催、そして長期修繕計画の作成状況や修繕積立金の積立状況などがあります。つまり「お金を配る制度」ではなく、「管理の質を見える化する制度」だとご理解ください。
認定を受けると何が得か
認定を受けるメリットは、大きく次の3つです。
第一に、住宅金融支援機構の「フラット35」や「マンション共用部分リフォーム融資」の金利引き下げが適用されます。第二に、後述するマンション長寿命化促進税制(固定資産税の減額)を受けるための条件のひとつを満たしやすくなります。第三に、これは数字に表れない価値ですが、「認定マンション」であることが分譲・賃貸の際のアピール材料になり、資産価値の維持につながります。
なお、認定または更新の申請には手数料がかかります。金額は年度や区分により異なりますので、正確な額は稲城市 都市建設部 まちづくり再生課(電話:042-378-2111)にご確認ください。私はいつも理事長さまに、「認定はゴールではなく、優遇を受けるためのパスポート」とお伝えしています。まずここを整えることが、遠回りに見えて一番の近道です。
【本命】東京都マンション改良工事助成制度(利子補給)
稲城市の管理組合が、共用部の大規模修繕そのものに対して最も現実的に活用できる本命が、東京都の「マンション改良工事助成制度」です。稲城市は東京都内の市ですから、この都の制度の対象になります。
これは、共用部分の外壁塗装や屋上防水、バリアフリー化などを計画的に改修する管理組合に対し、独立行政法人住宅金融支援機構と連携して東京都が利子補給(借入金の利息の一部を都が肩代わりすること)を行う制度です(出典:東京都マンションポータルサイト「分譲マンションの修繕への助成(マンション改良工事助成制度)」)。稲城市の公式サイトでも、住宅金融支援機構と連携した助成(利子補給)として案内されています(出典:稲城市「住宅関連制度等一覧」)。
助成の中身
住宅金融支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資」を受けた管理組合に対し、東京都が金利を1%分(金利が1%未満の場合はその金利分)低くなるよう利子補給します。利子補給の期間は、機構の融資の返済期間に応じて最大20年です。
利子補給の対象となる金額は、次のうち最も低い額が限度とされています。
- リフォーム融資の予約金額
- 融資対象工事費
- 融資対象工事費から補助金を差し引いた額
- 戸当たり200万円(耐震改修工事を伴う場合は600万円)×住宅戸数
たとえば利子補給対象額6,000万円・融資金利1.5%・20年返済のモデルで考えると、利息のうち1%分を最長20年にわたって都が肩代わりする計算になり、総額でみれば数百万円単位の負担軽減につながり得ます。60戸で1戸あたりに直せば、利息負担が数万円から10万円前後軽くなる可能性がある、ということです。読者の財布感覚で言えば、決して小さな額ではありません(具体的な試算は融資条件により変わりますので、機構・都の窓口でご確認ください)。
2026年度(令和8年度)の受付期間
令和8年度の申込みは、次の2期に分かれています(出典:東京都マンションポータルサイト、同上)。
- 第1期:令和8年(2026年)5月13日(水)〜9月30日(火)
- 第2期:令和8年(2026年)10月1日(木)〜令和9年(2027年)2月19日(金)
募集戸数は各期2,500戸で、申込戸数が募集戸数に達した場合、または申込額が予算額に達した場合は、その時点で受付が締め切られます。受付は窓口または郵送で収受した順、つまり先着順です。ここは正直に申し上げますが、「予算枠に達したら締切」という制度は、動きが遅いと間に合わないことがあります。総会での決議や融資の段取りを逆算して、早めに動くに越したことはありません。制度の詳細や最新の年度情報は、必ず東京都マンションポータルサイトでご確認ください。
【節税】マンション長寿命化促進税制(固定資産税の減額)
補助金ではありませんが、実質的な負担軽減として見逃せないのが「マンション長寿命化促進税制」です。これは、一定の要件を満たす長寿命化の大規模修繕工事を行ったマンションについて、翌年度分の固定資産税が減額される制度で、稲城市でも実施されています(出典:稲城市「家屋の改修に対する固定資産税の減額(耐震、バリアフリー、省エネ改修、マンション大規模修繕工事)」)。
対象となる工事と要件
対象となるのは、長寿命化に資する大規模修繕工事、具体的には外壁塗装等工事・床防水工事・屋根防水工事です。そのうえで、マンション(区分所有家屋)が次の要件を満たす必要があります。
- 築後20年以上が経過している
- 10戸以上のマンションである
- 過去に1回以上、大規模修繕工事を適切に行っている
- 長寿命化工事を適切に実施するために必要な修繕積立金が確保されている
この「修繕積立金が確保されている」の部分が、先ほどの管理計画認定制度とつながります。具体的には、次のいずれかを満たすことが求められます(出典:稲城市、同上)。
ひとつは、市の認定を受けた管理計画認定マンションのうち、令和3年(2021年)9月1日以降に修繕積立金の額を管理計画の認定基準まで引き上げていること。もうひとつは、市から長期修繕計画に係る助言または指導を受けて、長期修繕計画の作成または見直しを行い、その計画が一定の基準に適合することとなったことです。
減額の割合と申告のしかた
減額される割合は、家屋の固定資産税額(1戸あたり床面積100平方メートル相当分までが対象)に対して、国の標準では2分の1を参酌して各自治体の条例で定めるとされています。つまり「必ず半額」と断言はできません。稲城市での具体的な減額割合と最新の運用は、稲城市の課税課にご確認ください。
申告は、工事完了後3か月以内に「マンションの大規模修繕に伴う固定資産税減額申告書」に必要書類を添えて提出する必要があります。ここは期限が短いので要注意です。工事が終わってから慌てて調べ始めると間に合わないことがありますので、私はいつも「工事の計画段階で、税の減額もセットで段取りしておきましょう」とお伝えしています。
稲城市商工会 住宅改修等補助金(専有部・個人向け)
ここまでが管理組合(共用部)向けの本命でした。ここからは、区分所有者の皆さまが専有部で使える可能性のある制度を、正直なところも含めてご紹介します。
稲城市商工会では、市民が住宅のリフォームをする際に、市内の業者により施工した場合、その経費の一部を補助する「住宅改修等補助金事業」を実施しています(出典:稲城市商工会「住宅改修等補助金事業」)。令和7年度は申請受付が令和7年5月12日から令和7年12月26日まででした。令和8年度についても同様の事業が案内されていますので、最新の受付期間・補助率・上限額は、必ず稲城市商工会にご確認ください。
注意したいのは、この補助金は基本的に「住宅所有者が自宅を市内業者でリフォームする」ことを想定した制度だという点です。マンションの共用部大規模修繕そのものに使えるかは、対象範囲や施工業者の要件次第となります。専有部のリフォーム(室内の内装や設備更新など)を検討している区分所有者の方には、選択肢になり得ます。私は「共用部の話」と「専有部の話」を混同しないよう、いつも切り分けてご説明しています。
参考:木造住宅耐震・省エネ設備の補助(管理組合には使いにくい理由)
稲城市には、このほかにも住宅向けの補助制度があります。ただ、分譲マンションの管理組合にとっては使いにくいものが多いので、「なぜ使いにくいのか」も含めて正直に整理しておきます。
木造住宅耐震診断・改修助成金
稲城市は、木造住宅の耐震診断・耐震改修・除却(解体)に対する助成を行っています。耐震診断については、診断に要した費用(税抜き)の額または10万円のいずれか低い方を助成するといった内容です。令和7年度からは、除却も対象に加わり、対象となる建築時期も一部拡大されました(出典:稲城市「木造住宅耐震改修等助成金」)。
ただし、名前のとおり原則として木造住宅が対象です。鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)が大半の分譲マンションでは、この制度は基本的に対象外になります。耐震について何か使える制度がないかは、後述のとおり東京都のマンション向け支援も含めて検討するのが現実的です。
カーボンニュートラル住宅設備等補助金(省エネ)
稲城市は、太陽光発電設備や蓄電池などの省エネ・創エネ機器の設置費用を補助する「カーボンニュートラル住宅設備等補助金」も実施しています。令和7年度は、太陽光発電で1キロワットあたり2万円・上限8万円(4キロワットまで)、蓄電池で定額4万円といった内容でした(出典:稲城市「令和7年度稲城市カーボンニュートラル住宅設備等補助金のご案内」)。
ただし、これは戸建てや各住戸単位の設備設置を主に想定した制度で、しかも令和7年度は予算に達して早期に受付終了となりました。年度ごとに予算枠が設定され、人気の制度は早々に締め切られるのが実情です。共用部の大規模修繕とあわせて共用部に太陽光を載せる、といった大規模な計画でなければ、管理組合として直接活用するのは難しい場面が多いでしょう。ここも「使えたらラッキー」くらいの位置づけで見ておくのが正直なところです。
制度を「組み合わせる」稲城市の王道ロードマップ
ここまで見てきたとおり、稲城市には「工事費を直接、大きく補助する」制度は多くありません。だからこそ、複数の制度を順番に組み合わせて、総額をじわじわ圧縮していくのが王道です。私が理事長さまにお勧めしている順番は、次のとおりです。
まず①管理計画認定という土台をつくります。これが後の優遇の入口になります。次に②修繕積立金の水準と長期修繕計画を整え、③マンション長寿命化促進税制で固定資産税の減額を狙える状態にします。そのうえで④東京都のマンション改良工事助成(利子補給)で借入負担を抑え、必要に応じて⑤専有部は商工会や省エネ補助を各区分所有者が個別に検討する。この順で積み上げるのが、稲城市での現実的な戦略です。
大切なのは、これらが「工事を決めてから探す」ものではないという点です。管理計画認定も、積立金の引き上げも、税の減額要件も、すべて事前の段取りが要ります。私はこれを、必ずワンセットでご提案するようにしています。
モデルケースで見る(築24年・60戸のマンション)
イメージしやすいよう、冒頭でご相談いただいたような「築24年・60戸」のマンションを例に、ざっくりとした流れを描いてみます(あくまで一般的な想定で、実際の金額は物件と制度の運用により変わります)。
まず、外壁塗装・屋上防水・床防水を含む2回目の大規模修繕を計画したとします。工事費は仮に6,000万円規模。ここで、事前に管理計画認定を取得し、修繕積立金を認定基準まで引き上げていれば、工事後にマンション長寿命化促進税制の申告ができ、翌年度の固定資産税が減額される可能性が出てきます。100平方メートル相当分までとはいえ、60戸分が対象になれば、区分所有者全体で見たときの効果は無視できません。
さらに、工事費の一部を住宅金融支援機構のリフォーム融資でまかなえば、東京都の利子補給により利息の1%分が最長20年軽くなります。これらを積み上げると、「補助金を1本もらう」よりも、トータルの負担軽減は大きくなることが十分あり得ます。戸あたりに換算して、理事会で「一世帯あたりこれくらい効きます」と説明できると、総会での合意も得やすくなります。
よくあるご質問(稲城市のマンション補助金 FAQ)
Q1. 稲城市には、マンションの大規模修繕工事費を直接補助してくれる制度はありますか。
正直に申し上げると、工事費そのものを大きく直接補助する市独自の制度は、現時点では手薄です。稲城市の強みは、管理計画認定を土台に、東京都の利子補給と固定資産税の減額(長寿命化促進税制)を組み合わせられる点にあります。「1本の補助金」より「複数制度の合わせ技」で効かせるのが、稲城市の実情に合った考え方です。
Q2. 管理計画認定を受けると、固定資産税は必ず安くなりますか。
認定を受けただけでは減額されません。減額は、外壁塗装等・床防水・屋根防水を含む長寿命化の大規模修繕工事を実際に行い、築20年以上・10戸以上・過去1回以上の修繕・積立金確保などの要件を満たしたうえで、工事完了後3か月以内に申告して初めて適用されます。認定は、その要件(積立金の確保)を満たすための土台という位置づけです。
Q3. うちは新耐震(昭和56年6月以降)のマンションです。耐震の支援は受けられませんか。
稲城市の木造向け耐震助成は、RC造やSRC造のマンションは原則対象外です。マンションの耐震については、東京都のマンション向け支援や、共用部改良の融資・利子補給の枠組みの中で検討するのが現実的です。まずは中立の専門家に、管理と建物の状態を一度診てもらうことをお勧めします。
Q4. 補助金と利子補給、税の減額は、同時に使えますか。
性質が違うので、基本的には併用の設計が可能です。東京都の改良工事助成は「共用部工事の借入利息」、長寿命化促進税制は「翌年度の固定資産税」、商工会補助は「専有部などの工事費」に対するものです。ただし、それぞれ申請期間・予算枠・要件・申告期限が異なります。順番と時期の設計が肝心で、ここは専門家と一緒に組み立てるのが安全です。
Q5. まだ工事をするか決めていません。今から動く意味はありますか。
あります。むしろ、決める前の今が動きどきです。管理計画認定も、積立金の引き上げも、税の減額要件も、事前の段取りが前提になります。「工事を決めてから制度を探す」と間に合わないことがあるのです。理事会で1分だけでも、この話題を出しておいてください。
工事の「工法」で総額はさらに変わります
制度で総額を圧縮したうえで、最後にもうひとつ大きく効いてくるのが、工事の「工法」です。ここは私たち施工会社の本業なので、少しだけお話しさせてください。
大規模修繕というと、建物全体に足場を組むのが当たり前だと思われがちです。ですが私たちは、足場を使う従来工法に加えて、ロープアクセス工法(産業用のロープで作業員が降下しながら外壁の補修や塗装を行う、足場を組まない工法)、そして両者を部位ごとに使い分けるハイブリッド工法の3つから、その建物にとって一番いい方法をご提案しています。3つの工法を自社で提案できる会社は、日本でも多くありません。
たとえば、足場が組みにくい形状の棟や、部分的な補修で足りる箇所は、ロープアクセスにすると足場の仮設費と工期をまとめて削減できます。私が現場で20年やってきて、いちばん悔しいのは「全面に足場を組んだが、実際に傷んでいたのは一部だけだった」というケースです。工法の選択は、そのまま積立金の使い方に直結します。稲城市のように高低差や斜面地の物件も少なくない地域では、なおさら効いてきます。
ロープアクセス工法の詳しい内容はロープアクセス工法のご紹介を、大規模修繕の総合的な進め方は大規模修繕工事のご紹介をご覧ください。
総会前に、理事会でそろえておきたい資料
制度を活用しようと思ったとき、意外とつまずくのが「総会での合意形成」です。補助や優遇の話は、数字が具体的でないと理事会でも総会でも通りにくいものです。私が理事長さまにいつもお伝えしているのは、次の資料を早めにそろえておきましょう、ということです。
ひとつめは、最新の長期修繕計画と修繕積立金の残高推移です。長寿命化促進税制の要件でも、積立金の確保が問われますから、ここは避けて通れません。ふたつめは、管理計画認定の取得状況(または取得予定)がわかる資料。みっつめは、東京都の利子補給を使う場合の、住宅金融支援機構のリフォーム融資の概算返済シミュレーションです。
これらがそろっていると、「制度を使うと一世帯あたりいくら軽くなるのか」を、区分所有者の皆さまの財布感覚で説明できます。私の経験上、総会がスムーズに進むマンションは、例外なくこの「戸あたり換算の資料」を用意しています。逆に、制度名だけを並べても、「結局うちにいくら効くの」という質問で止まってしまいがちです。稲城市のように複数制度の合わせ技が前提になる地域では、この一覧化がとりわけ効いてきます。
なお、これらの資料づくりや制度の要件確認は、管理会社任せにせず、施工会社や中立の専門家の目も入れておくと安心です。工事の内容と制度の要件は密接に結びついているため、「工事の設計段階」で制度をにらんでおくと、後戻りが減ります。正直に申し上げますが、ここを別々に進めてしまい、あとで「あの要件を満たしていなかった」と気づくケースを、私は現場で何度も見てきました。
まとめ:稲城市は「土台づくり→利子補給→節税」の順で
最後に、稲城市のマンション管理組合が押さえるべき順番を、もう一度整理します。まず①管理計画認定という土台をつくる。その上で②修繕積立金と長期修繕計画を整え、③東京都の利子補給で借入負担を抑え、④長寿命化促進税制で工事後の固定資産税を軽くする。専有部は⑤商工会補助や省エネ補助を各区分所有者が個別に検討する。市の直接補助が薄い分は、認定・融資・税で取り返す。これが稲城市での王道です。
補助金や税制は、年度ごとに要件も金額も変わります。この記事の数字も、必ず各窓口の最新情報でご確認ください。そのうえで、「う


