大規模修繕はロープアクセスが提案可能な東京の明誠へ

創業から6000棟超の施工実績

大規模修繕の“工事会社選び”が命運を分ける——塗装・防水の倒産が2000年以降で最多ペースに入った2026年、管理組合とオーナーが施工会社の危険サインを見抜き、工法と体制でリスクを下げる実務【2026年7月】

大規模修繕の“工事会社選び”が命運を分ける——塗装・防水の倒産が2000年以降で最多ペースに入った2026年、管理組合とオーナーが施工会社の危険サインを見抜き、工法と体制でリスクを下げる実務【2026年7月】

今朝のニュースで、私が思わず手を止めた見出し

今朝、いつものように業界のニュースに目を通していると、ひとつの見出しで手が止まりました。「塗装・防水工事の倒産が2000年以降で最多ペース」。数字を追う仕事を20年近く続けてきた私でも、正直に申し上げて、この数字にはひやりとしました。

私は大規模修繕の現場でずっと働いてきました。マンションやビル、ホテルの外壁を塗り、屋上を防水し、タイルを直す——その仕事を担うのは、多くの場合、地域の中小の専門工事会社です。その塗装・防水の会社が、いま過去に例のないペースで倒産している。これは他人事ではなく、これから大規模修繕を控えている管理組合の理事長さまや、収益物件をお持ちのオーナーさまにとって、「自分の物件の工事は途中で止まらないか」という、きわめて現実的な問題に直結します。

今日は、この倒産増加のニュースを入り口に、「大規模修繕の工事会社選び」で失敗しないための実務を、現場の視点から整理してお伝えします。読み終えるころには、次の理事会や発注判断で「どこを見ればよいか」が具体的に見えているはずです。少し長くなりますが、お付き合いください。

この記事の主役はあくまで工事会社選びです。工法(足場・ロープアクセス)や修繕積立金の話も出てきますが、すべては「安心して任せられる相手をどう見極めるか」につながる材料として読んでいただければと思います。


まず数字で押さえる:2026年の塗装・防水工事の倒産はどれくらい深刻か

1〜5月で80件、2000年以降最多だった前年に次ぐ高水準

出どころのはっきりした一次データから確認します。帝国データバンクの調査によると、2026年1〜5月に発生した「塗装工事」と「防水工事」の倒産は80件(内訳は塗装工事56件、防水工事24件)でした。これは、通年の件数が2000年以降で最多となった2025年(通年206件、うち1〜5月は87件)に次ぐペースだと報告されています(出典:帝国データバンク「『塗装・防水工事』の倒産動向(2026年1-5月)」2026年6月8日)。

負債額別に見ると、1億円未満が69件と全体の約86.3%を占めました。つまり、倒れているのはその多くが小規模事業者だということです。ここが今回の数字のいちばんの肌感覚だと私は思います。大企業が派手に倒れているのではなく、地域で外壁や防水を担ってきた身近な会社が、静かに、しかし数多く姿を消しているのです。

なお、この集計は「負債1000万円以上・法的整理による倒産」が対象です。廃業や事業停止など統計に表れない「静かな撤退」まで含めれば、体感としての数字はさらに大きいと私は受け止めています。

なぜ「川下」の塗装・防水がしわ寄せを受けるのか

塗装工事と防水工事は、大規模修繕という長い工程のなかでも「川下(かわしも)」——つまり仕上げに近い後半の工程に位置します。ここが構造的に弱い立場に置かれやすい。前工程(足場架け、下地補修、シーリング打ち替えなど)が遅れれば、そのしわ寄せは最後の塗装・防水にまとめて降りかかります。工期が押しても、竣工日は動かせないことが多い。結果として、無理な突貫や追加人員の投入で採算が崩れる。私はこの構図を、現場で数えきれないほど見てきました。

専門用語を少しかみ砕くと、「川下工程」というのは、他社の作業が終わらないと自分の作業に入れない、順番の後ろにいる仕事のことです。後ろにいる者ほど、前の遅れを全部かぶる。塗装・防水の会社が資金繰りに苦しみやすいのは、腕の問題ではなく、この立ち位置の問題でもあるのです。


なぜ今、これほど倒産が増えているのか——3つの構造要因

倒産の増加を「たまたま」で片づけると、工事会社選びを誤ります。背景には、当分ゆるまない3つの構造要因があります。

要因1:資材の高騰と、中東情勢によるナフサ不足

塗料や防水材の多くは、ナフサ(原油を精製してつくる石油由来の原料)から生まれる溶剤や樹脂を使っています。養生シートや容器といった副資材もナフサが原料です。帝国データバンクの同じ調査は、中東情勢によるナフサ不足の影響で、すでに塗料・防水材の納期や価格に影響が出ていると指摘しています。現場では、値上がり幅が読めずに工事金額の見積り提示が難しくなったり、資材が入らずに工期が遅れたりするケースが起きています。

私の実感でも、ここ数年で塗料や防水材の見積りは「去年の単価が使えない」状態が続いています。仕入れが上がっても、工事金額に転嫁しきれない会社ほど、体力を削られていきます。

要因2:職人の高齢化・引退による人手不足と、労務費の上昇

もうひとつは人です。塗装も防水も、腕のある職人がいてこそ成り立つ仕事です。ところが高齢化で職人の引退が進み、人手不足が慢性化しています。人が足りなければ、外注費や人件費は上がる。ここでも、上がったコストを工事金額に反映できない会社から、利益が消えていきます。

数字の体感として申し上げると、40戸規模のマンション1棟の外壁改修でも、塗装・防水にかかわる職人は延べで数百人工(にんく=1人が1日働く単位)に及びます。その一人ひとりの単価が上がっている以上、「去年と同じ金額でやります」という見積りは、どこかに無理を隠していると考えたほうが安全です。

要因3:価格転嫁できない下請け構造と、それを正そうとする改正建設業法

3つ目が、いちばん根が深い「価格転嫁できない構造」です。安い工事単価・短い工期で案件を取り合う競争が、いまも各地で起きています。無理な条件で受注し、人件費や工期遅れが想定を超えて不採算に陥り、資金繰りに行き詰まる——帝国データバンクが描くこの流れは、私が現場で見てきた倒産の典型そのものです。

この構造にメスを入れようとしているのが、2025年12月12日に全面施行された改正建設業法です(出典:国土交通省「建設業法・入契法改正(令和6年法律第49号)について」)。ポイントは大きく2つあります。

ひとつは「労務費の基準」です。著しく低い労務費による見積りの提出や、その変更依頼が禁止されました。国は職種ごとに標準的な労務費の基準値を定めて公表しており、2025年12月時点で13の職種分野・99の基準値が示されています(出典:国土交通省「労務費に関する基準ポータルサイト」)。もうひとつは価格転嫁のルール化で、資材高騰時の請負代金の「変更方法」を契約書の法定記載事項とし、資材高騰のおそれがあるときは受注者から発注者へ事前に情報を通知する仕組みが整えられました。

私はこの改正を、現場の人間として素直に歓迎しています。ただし、法律が整っても、実際に適正な単価で発注し、適正な体力の会社を選ぶかどうかは、最後は発注者——つまり管理組合とオーナーの判断にかかっています。だからこそ、次の「会社の見極め方」が重要になるのです。


管理組合・オーナーにとっての本当のリスク——「工事が途中で止まる」だけではない

工事会社が倒産すると何が起きるか。「工事が止まる」だけを想像しがちですが、実務ではもっと広い範囲に影響が及びます。

工期途中の倒産で起きること

第一に、工事の中断です。足場がかかったまま、外壁が下地のまま数か月放置される——これは資産価値にも住民の安全にも直結します。第二に、前払金の焦げつきです。着手金や中間金を支払っていた場合、その回収は簡単ではありません。第三に、瑕疵(かし)保証の空洞化です。「瑕疵保証」とは、工事後に不具合が出たときに施工会社が直す約束のことですが、その会社が消えてしまえば、約束の相手そのものがいなくなります。

修繕積立金は、住民の皆さまが長い年月をかけて積み上げてきた大切なお金です。国のガイドラインでも、段階的に積立額を上げていく方式では計画最終額を基準額の1.1倍以内に収めるなど、無理のない積立の考え方が示されています(出典:国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(令和6年6月改定))。その積立金を、施工会社の倒産という「工事の質とは別の理由」で毀損させてはいけない。私がこの仕事でいちばん悔しい思いをするのは、良い工事をしたかったのに、相手の資金繰りのせいで話が壊れてしまうときです。

「安値・短工期」に飛びつくと、倒産リスクを自分から抱え込む

ここは正直に申し上げます。相見積りで極端に安い金額や、極端に短い工期を提示してくる会社には、注意が必要です。帝国データバンクの調査も、安い工事単価や短い工期で案件を確保しようとする競争が、その後の不採算化と資金繰りの行き詰まりにつながっていると指摘しています。つまり、いちばん安い見積りに飛びつくことは、いちばん倒れやすい会社を選んでしまうリスクと背中合わせなのです。

もちろん、コストを下げる努力は大切です。私たちも工法の工夫でコストは徹底的に抑えます。ただし「安さの理由」が説明できる安さと、「誰かが無理をしている」安さは、まったく別物だと考えています。


施工会社の“危険サイン”を見抜く7つのチェックポイント

では、実務としてどこを見ればよいか。私が理事長さまやオーナーさまに、いつもお伝えしているチェックポイントを表にまとめます。専門知識がなくても確認できるものばかりです。

# 見るポイント 危険サイン 確認の仕方
1 見積りの内訳 「一式」ばかりで数量・単価・労務費が見えない 数量内訳書と労務費の明示を求める
2 極端な安値・短工期 相場から大きく外れて安い/異様に工期が短い 他社2〜3社と比較し、安さの根拠を質問
3 建設業許可・経営状況 許可の有無や更新状況が確認できない 許可番号・決算内容・完成保証の有無を確認
4 施工体制 元請が何をやり、どこに下請けに出すか不明瞭 施工体制台帳・自社施工比率を確認
5 契約書の中身 資材高騰時の代金変更方法が書かれていない 改正建設業法に沿った変更条項の有無を確認
6 保証とアフター 保証書がない/会社の継続性に不安 保証年数・保証主体・第三者保証の有無
7 実績と現場対応 近隣・同規模の実績を示せない 施工実績と、現地調査時の説明の丁寧さ

この7点は、腕の良し悪しを測るというより、「この会社は最後まで走り切れる体力と誠実さがあるか」を測るための項目です。とくに1番の見積り内訳と、5番の契約書の変更条項は、改正建設業法が後押ししてくれるので、いま強く求めやすくなっています。

私はこれを、必ずワンセットでご提案するようにしています。1社だけを見て決めるのではなく、この7点で複数社を横並びにすると、価格だけでは見えなかった「安心して任せられるかどうか」が浮かび上がってきます。


「工事会社選び」で失敗しないための、見積りと体制の実務

チェックポイントを踏まえて、とくに効く2つの実務を深掘りします。

見積りは「労務費が見えるか」で読む

改正建設業法の労務費の基準は、裏を返せば「労務費をきちんと見積書に書ける会社かどうか」を、発注者が確かめる物差しになります。数量と単価、そして労務費の内訳が明示された見積りは、それだけで一定の誠実さの証拠です。逆に「工事一式◯◯円」としか書かれていない見積りは、安く見えても、どこで無理をしているかが読めません。

大規模修繕は、大規模修繕工事という長い工程の集合体です。足場、下地補修、シーリング、塗装、防水、タイル……それぞれに数量と単価があります。その内訳を開示できる会社は、工程管理も原価管理もできている会社である可能性が高い。私は見積書を「価格表」ではなく「その会社の仕事の設計図」として読むようにしています。

元請の施工体制と、下請構造を確認する

もうひとつは施工体制です。元請会社が自社でどこまで施工し、どの工程をどんな協力会社に任せるのか。ここが不透明だと、いざ一次下請けが倒れたときに、工事全体が止まりやすくなります。逆に、専門工事を担う協力ネットワークが厚く、代替がきく体制であれば、1社の不調が全体の停止に直結しにくい。

管理組合の立場でこれを確認するのは難しく感じるかもしれませんが、遠慮は要りません。管理組合向けの大規模修繕サポートを掲げる会社であれば、施工体制の説明はむしろ歓迎するはずです。説明を面倒がる会社かどうかも、ひとつの判断材料になります。


現場から:私が「これは危ないな」と感じた見積りの話

抽象論だけでは伝わりにくいので、実際にあった話を、物件が特定されない形にして紹介します。あるとき、築20年ほど・50戸規模のマンションの理事長さまから、「3社の相見積りのうち1社が飛び抜けて安いので、そこに決めようと思う」とご相談をいただきました。金額を拝見すると、確かに他の2社より2割ほど安い。ただ、内訳を見ると外壁塗装も屋上防水も「一式」で1行にまとめられ、数量も単価も労務費も書かれていませんでした。

私は正直に申し上げました。「この安さの理由が、見積書からは読み取れません」と。念のため数量を割り戻して概算してみると、その金額では、この規模の外壁面積を適正な人工(にんく)で仕上げるのは相当に厳しい。どこかで工程を削るか、誰かが無理をしないと成立しにくい数字でした。

理事会にお願いして、3社すべてに数量内訳と労務費の明示を求めていただいたところ、その1社だけが対応をためらいました。最終的に管理組合は、金額は少し高くても内訳を開示できる会社を選ばれました。その後、飛び抜けて安かった会社は資金繰りが厳しいという話が地域で聞こえてきた——というのが結末です。私はこのとき、「安さそのもの」ではなく「安さを説明できるかどうか」が、いかに大事な分かれ目かを、あらためて痛感しました。

もちろん、内訳を出せない会社がすべて危ないわけではありません。ただ、住民の皆さまの積立金を預かる判断としては、「説明できる相手」を選ぶほうが、はるかに安全です。私はこれを、必ず理事長さまにお伝えするようにしています。


数字で見る:足場費を抑えると、どこまでコストが動くか

工事会社選びと工法選びは、実はコストの面で深くつながっています。ここは戸あたりの財布感覚でお伝えします。

一般に、マンションの大規模修繕では、足場の架設・解体にかかる費用が工事費全体の2割前後を占めることがあります。仮に総額6,000万円の工事なら、足場だけで1,000万円を超えることも珍しくありません。50戸のマンションなら、単純計算で戸あたり20万円強が「足場」に使われている計算です。ここは工事の品質そのものではなく、あくまで「作業のための仮設」にかかるお金だという点が大切です。

ロープアクセス工法を部分的にでも取り入れられれば、この足場費と、架設・解体に要する日数を圧縮できます。全面をロープアクセスに置き換えられるとは限りませんが、たとえば手すりや庇(ひさし)まわり、部分的な補修、点検・調査などをロープアクセスに切り替えるだけでも、仮設コストと工期の両面で効いてきます。資材も人手も高騰している今だからこそ、「削れるのは品質ではなく仮設」という発想が、積立金を守る現実的な一手になります。

ただし、ここでも正直に申し上げます。工法でコストを下げられても、それを担う施工会社の体力が伴わなければ意味がありません。安い工法を、無理な単価で受けた会社に任せれば、結局は倒産リスクを抱え込むことになる。工法選びと会社選びは、必ずワンセットで考える——これが私の一貫したお願いです。


明誠の考え方——直営と専門職ネットワーク、そして3工法でリスクを分散する

ここからは、私たちがどう考えているかを、自社サービスの紹介として率直にお話しします(利益相反にあたる部分ですので、見出しで明確に区切っておきます)。

専門職のフランチャイズ・ネットワークが「途中で止まらない」体制をつくる

私たち明誠は、塗装・防水・タイル・電気・看板など、各分野の専門職が加盟するフランチャイズのネットワークを持っています。これは日本でも数少ない取り組みだと自負しています。なぜこの体制がリスクに強いか。理由はシンプルで、特定の1社に依存しないからです。ある工程の協力会社が不調でも、同じ品質基準を共有する専門職が代替できる。工事全体が1社の資金繰りで止まる、という事態を構造的に起こしにくくしています。

しかも、各分野の専門職が直接手を動かすため、中間マージンが積み重なりにくく、高品質と低価格を両立しやすい。安さの理由が「誰かの無理」ではなく「体制の合理性」から来ている——私が先ほど申し上げた「説明できる安さ」とは、まさにこのことです。

足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3工法で、コストと工期のリスクを下げる

もうひとつの強みが工法です。私たちは、通常の足場を架ける工法、足場を架けないロープアクセス工法、そして両者を部位ごとに使い分ける足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3工法から、建物にとって最適なものをご提案できます。

資材も人手も高騰するいまの局面では、工事費の2割前後を占めることもある足場費をどう抑えるかが、コストを左右します。ロープアクセス(産業用ロープで作業員が下降しながら施工する無足場工法)を使えば、足場の架設・解体の費用と工期を圧縮でき、居住者や利用者の生活への影響も小さく抑えられます。一方で、全面改修や複雑な形状には足場が向く場面もある。だからこそ「1工法しか持たない会社」より、「3工法から選べる会社」のほうが、コストと工期のリスクを分散しやすいのです。

ただし、正直に申し上げれば、ロープアクセスにも不向きな条件はあります。大面積を一度に仕上げる工程や、重量物を扱う作業は足場が適します。デメリットも含めて両論をお伝えしたうえで、建物ごとに最適な組み合わせをご提案する——これが私たちの基本姿勢です。


発注前に押さえたい「備えの実務」——完成保証と瑕疵保険

倒産リスクの時代に、会社選びと並んで大切なのが「もしも」への備えです。ここでは、契約前に確認しておきたい2つの仕組みを、素人向けにかみ砕いてご説明します。専門用語が続きますが、いずれも住民の皆さまの積立金を守る盾になるものです。

完成保証——工事が途中で止まらないための保険

「完成保証」とは、万が一、施工会社が工事の途中で倒産しても、第三者(保証会社など)が工事の完成や、別の会社への引き継ぎを保証してくれる仕組みのことです。大規模修繕は数か月にわたる長い工事ですから、その間に施工会社の資金繰りが悪化する可能性はゼロではありません。完成保証がついていれば、工事が宙に浮いて足場だけが残る、という最悪の事態を避けやすくなります。契約前に「完成保証はつきますか」と一言確認するだけで、リスクの見え方は大きく変わります。

瑕疵保険——工事後の不具合に、会社が消えても備える

もうひとつが「瑕疵(かし)保険」です。これは、工事後に外壁のひび割れや防水の不具合など、いわゆる施工不良が見つかったときに、補修費用が保険でカバーされる仕組みです。ポイントは、施工会社が倒産したあとでも保険が機能するという点にあります。先ほど、会社が消えれば瑕疵保証の「約束の相手」もいなくなると申し上げましたが、瑕疵保険はその弱点を補ってくれます。国が登録した保険法人の保険を使えるか、保証年数は何年かを、見積りの段階で確認しておくと安心です。

私はいつも理事長さまに、「工事の品質は現場で守り、万が一の備えは契約で守る」とお伝えしています。この2つは車の両輪です。良い会社を選ぶことと、その良い会社が万が一のときにも住民に迷惑をかけない仕組みを整えること——どちらも、発注者であるみなさまが主導権を持って確認できることなのです。


まとめ:次の理事会で、今日確認したい3つのこと

長くなりましたので、最後に要点を絞ります。塗装・防水工事の倒産が過去最多ペースに入った2026年、大規模修繕の工事会社選びで守っていただきたいのは、次の3つです。

第一に、いちばん安い見積りに飛びつかないこと。安さの理由が説明できるか、労務費が見積書に明示されているかを確認してください。第二に、会社の体力と体制を見ること。建設業許可、決算、保証、施工体制台帳、そして1社が不調でも工事が止まらない協力ネットワークがあるかを確かめてください。第三に、契約書に資材高騰時の変更方法が書かれているかを、改正建設業法を根拠に求めることです。

これは私が現場で20年見てきた、嘘偽りのない感想です。良い工事は、良い会社選びから始まります。工法の比較でも、施工会社の見極めでも、あるいは「うちの物件の場合はどうか」という一点だけでも、無料相談・現地調査からお気軽にお声がけください。総会や理事会の前段階の整理だけでも、きっとお力になれることがあります。次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。


よくある質問(FAQ)

Q1. 相見積りで一番安い会社を選ぶのは、やはり危険なのでしょうか?
安さそのものが悪いわけではありません。問題は「安さの理由が説明できるか」です。工法の工夫や体制の合理性で安いなら合理的ですが、労務費や工期に無理を隠した安さは、工事の中断や倒産リスクと背中合わせです。見積り内訳と労務費の明示を必ず確認してください。

Q2. 工事の途中で施工会社が倒産したら、支払ったお金や積立金はどうなりますか?
前払金の回収や瑕疵保証の履行は容易ではありません。だからこそ、着手前に完成保証(工事完成を第三者が保証する仕組み)の有無や、会社の財務状況を確認しておくことが重要です。積立金という大切な資産を、工事の質とは別の理由で失わないための備えです。

Q3. 「労務費の基準」は、発注者である管理組合にも関係がありますか?
関係します。2025年12月に全面施行された改正建設業法で、著しく低い労務費による見積りは禁止されました。管理組合は「労務費が見積書に明示されているか」を確認することで、無理のない適正な発注ができているかを自分たちで点検できます。

Q4. ロープアクセス(無足場工法)にすれば、必ず費用は下がりますか?
必ずではありません。足場の架設・解体費や工期を圧縮できるため下がる場面は多いのですが、大面積を一度に仕上げる工程や重量物作業では足場が適することもあります。建物の形状や工事範囲によって最適解は変わるため、3工法を比較したうえでの判断が安全です。

Q5. 小さな地域の工事会社は、避けたほうがよいのでしょうか?
一概には言えません。地域の会社にも誠実で腕の良い会社は数多くあります。重要なのは規模の大小ではなく、体力(財務・保証)と体制(1社依存でないか)です。7つのチェックポイントで横並びに比較すれば、規模だけでは見えない実力が見えてきます。

Q6. 今の管理組合で、まず何から手をつければよいですか?
まずは手元の見積書を1〜2社分、内訳が数量・単価・労務費まで開示されているかという目で読み直してみてください。そのうえで、比較のために工法や体制の異なる会社の話も聞いてみる。理事会で1分でもこの話題を出すことが、最初の一歩になります。


出典・参考資料

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の契約・法務・会計上の判断については、専門家および公的機関の最新情報をご確認ください。数値・制度は2026年7月時点の公表情報に基づいています。