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入間市マンション補助金2026|管理組合向けガイド

入間市マンション補助金2026|管理組合向けガイド

大規模修繕の見積書を手に、「この金額を、このまま総会にかけて本当にいいのだろうか」と手が止まった理事長さまは、決して少なくないはずです。私はこれまで20年近く、マンションやビルの大規模修繕の現場に立ってきましたが、埼玉県入間市の管理組合さまからのご相談で一番多いのが、まさにこの「修繕積立金と工事費のにらめっこ」です。

正直に申し上げます。入間市には、東京23区のように「分譲マンションの大規模修繕そのものに何百万円も出ます」という華やかな現金補助は、残念ながらありません。けれども、令和7年(2025年)4月に入間市で始まったばかりの制度をはじめ、管理体制・税制・融資という切り口で見れば、管理組合さまが使える公的な後押しは確かにあります。しかも、これらを正しい順番で組み合わせると、工事のタイミングと資金計画がぐっと立てやすくなります。

この記事では、入間市のマンション管理組合さまが2026年(令和8年度)に活用できる制度を、私が現場で理事会に説明するときと同じ順番で整理しました。使えるものは使える、使いにくいものは使いにくいと、はっきりお伝えします。

この記事でわかること(3行まとめ)

まず結論からお伝えします。入間市の管理組合さまが押さえるべき柱は、次の3つです。

  • マンション管理計画認定制度:令和7年4月に入間市で始まったばかりの制度です。直接お金が出るわけではありませんが、住宅ローン金利や国の税制優遇の「入口」になります。
  • 大規模修繕工事を行ったマンションに対する特例措置(長寿命化促進税制):計画的に修繕を重ねてきた組合ほど、翌年度の固定資産税が3分の1減額される形で報われます。
  • 耐震診断・耐震改修補助:旧耐震の建物向けですが、木造戸建て限定という注意点があります。

ここに埼玉県の無料アドバイザー派遣や住宅金融支援機構の融資を重ね、資産価値の維持という長い視点で組み立てる——これが私のおすすめする考え方です。

1. マンション管理計画認定制度(入間市が令和7年に始めた「新しい入口」)

最初にご紹介するのは、令和7年(2025年)4月1日から入間市で始まったマンション管理計画認定制度です。まだ動き出して1年ほどの、新しい制度です。

「これは補助金なんですか」と理事長さまによく聞かれます。正直にお答えすると、この制度そのものから直接お金が振り込まれるわけではありません。それでも私が毎回おすすめするのは、この認定が「管理のしっかりしたマンションである」という市の公的なお墨付きになり、そこから金融・税制の実利につながっていくからです。

どんな制度か

マンション管理計画認定制度とは、マンションの管理計画が一定の基準を満たす場合に、市が「適切な管理計画を持つマンション」として認定する制度です。手続きの流れは、まず公益財団法人マンション管理センターに基準適合の確認を依頼し、同センターが発行する事前確認適合証を得たうえで、「管理計画認定手続支援システム」(インターネット上の電子申請システム)を通じて市へ申請する、という順番になります。申請のパターンは4つ用意されていますが、いずれのパターンでも事前確認適合証が必要になる点は共通です。

入間市の認定基準

入間市の認定基準は、大きく5つの分野に分かれています。管理組合の運営(管理者等が定められ、監事が選任され、総会が年1回以上開催されていること)、管理規約(緊急時の専有部立入りや修繕履歴の管理などが規約に定められていること)、管理組合の経理(管理費と修繕積立金が区分経理され、3か月以上の積立金滞納が全体の1割以内であること)、長期修繕計画の作成および見直し(標準様式に準拠し、7年以内に見直され、計画期間30年以上で大規模修繕が2回以上含まれること)、そしてその他(組合員名簿・居住者名簿の整備、市の管理適正化指針への適合)です。

「当たり前のようでいて、意外とできていない」項目ばかりだと感じられたかもしれません。私の経験上、この基準に沿って自分たちの管理状態を点検するだけでも、組合の運営はかなり引き締まります。

認定を取ると何が変わるか

管理計画認定を受けたマンションには、一般に次のようなメリットが期待できます。

  • 市場での評価:適正に管理されたマンションであることが、売買や賃貸の市場で評価されやすくなります。
  • 住宅金融支援機構の融資・債券の優遇:フラット35やマンション共用部分リフォーム融資の金利引下げ、マンションすまい・る債の利率上乗せの措置が講じられる場合があります。
  • 国の長寿命化促進税制の要件充足:後述する固定資産税の減額(3分の1)は、この認定(または助言指導)が前提条件のひとつになっています。

入間市への申請手数料は無料です(ただし管理計画認定手続支援システムの利用や他団体の評価サービスの併用には別途費用がかかります)。認定は5年ごとの更新制で、更新時にも事前確認適合証と総会決議が必要になります。窓口は、入間市の都市整備部 都市計画課(電話 04-2964-1111・代表)です。

2. 大規模修繕工事を行ったマンションに対する特例措置(固定資産税が3分の1減額)

2つ目の柱は、入間市が「大規模修繕工事を行ったマンションに対する特例措置」として案内している、いわゆるマンション長寿命化促進税制です。正式には「長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに係る固定資産税の減額措置」といいます。国の制度ですが、市を通じて適用される、非常に重要なものです。

どういう制度か

管理計画の認定を受けたマンション等で、長寿命化に資する一定の大規模修繕工事が行われた場合、その翌年度に課される建物部分の固定資産税が3分の1減額されます。入間市の案内では、この「3分の1」という割合が明記されています。減額の対象になるのは、1戸あたり住宅部分の床面積100平方メートルまでです。

主な要件を整理します。

  • 築後20年以上が経過している10戸以上のマンションであること
  • 長寿命化工事を過去に1回以上適切に実施していること
  • 令和5年4月1日から令和9年(2027年)3月31日までの間に完了した長寿命化工事であること
  • 管理計画認定マンション(令和3年9月1日以降に修繕積立金を認定基準まで引き上げたもの)、または助言指導を受けて長期修繕計画を一定の基準に適合させたマンションであること

ここでいう「長寿命化工事」とは、外壁塗装等工事・床防水工事(廊下やバルコニーなどの防水)・屋根防水工事(屋上や屋根の防水)のすべてを指します。どれか一つではなく、三つセットで実施していることが問われる点に注意してください。

見落としがちな注意点

この特例措置には、実務上いくつか大事な留意点があります。まず、減額されるのは固定資産税のみで、都市計画税は減額されません。土地についての減額もありません。そして、当該マンションにつき、この減額は1度しか受けられません。さらに、耐震・バリアフリー・省エネ改修による減額と同じ年度に併用することはできません(別の年度であれば適用の余地があります)。

手続きは、工事完了日から3か月以内に、資産税課へ申告書を提出します。過去工事証明書や大規模の修繕等証明書、修繕積立金引上証明書といった書類は、建築士事務所に属する建築士やマンション管理士などが発行します。窓口は入間市の総務部 資産税課(電話 04-2964-1111・代表)です。

なぜ「管理計画認定」とセットなのか

お気づきのとおり、この税制の要件には「管理計画認定マンションであること」が含まれています。つまり、1の管理計画認定と、2の税制優遇は地続きなのです。私はこれを、必ずワンセットで理事会に提案するようにしています。外壁塗装・床防水・屋根防水を計画的にやりきってきた組合ほど、この減額の恩恵を受けられる。逆に、その場しのぎで一部だけ直してきた組合は要件を満たせません。きちんと計画修繕を積み重ねること自体が、税の面でも報われる時代になったということです。

3. 木造住宅耐震診断・改修補助(マンションには使いにくい点を正直に)

入間市には「木造住宅耐震診断・耐震改修・防災ベッド等補助制度」があります。ただ、名前のとおりこれは木造建築物向けで、分譲マンションの管理組合さまには使いにくい制度です。この点をあいまいにせず、正直にお伝えします。

補助の対象になるのは、昭和56年5月31日以前に着工された一戸建ての住宅または兼用住宅で、在来軸組構法または枠組壁工法(ツーバイフォー)、かつ地上2階建て以下のものです。補助の中身は、耐震診断が費用の2分の1(限度額5万円)、耐震改修工事が費用の23パーセント(限度額20万円)、防災ベッド等の設置が費用の2分の1(限度額10万円)です。いずれも先着順で、予算枠に達した時点で終了します。

お読みいただいてわかるとおり、この制度は木造の戸建て・兼用住宅が対象で、鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の分譲マンション共用部は対象外です。多くの分譲マンションはRC造・SRC造ですから、この補助はそのままでは使えません。

では旧耐震のマンションに打つ手がないかというと、そうではありません。ここで効いてくるのが法律の後押しです。耐震改修促進法(建築物の耐震改修の促進に関する法律)第25条では、耐震改修に伴う共用部分の変更決議について、区分所有法上の「各4分の3以上」の特別多数決議を「各過半数」に緩和する仕組みが用意されています。旧耐震のマンションで耐震改修を進める際は、この認定制度が合意形成の武器になります。耐震にまつわる相談は、入間市の都市整備部 開発建築課(電話 04-2964-1111・代表)が窓口です。

4. 埼玉県の無料アドバイザー派遣もあわせて使う

市の制度だけでなく、埼玉県のマンション支援も知っておくと、選択肢が大きく広がります。特に管理組合さまに心強いのが、埼玉県分譲マンションアドバイザーの無料派遣です。

埼玉県は、市が独自のアドバイザー派遣制度を整えるまでの間、令和9年度まで、対象となる市のマンション管理組合等へアドバイザー(マンション管理士などの専門家)を無料で派遣しています。入間市は、この無料派遣の対象市に含まれています。長期修繕計画の見直しや修繕積立金の設定、合意形成の進め方など、専門家に相談できる貴重な機会です。

令和8年度の申請は、令和8年4月1日から令和8年12月11日までとされ、予算の上限(令和8年度は13件)に達すると受付が終了します。件数に限りがあるため、活用を考える組合さまは早めに動くのが得策です。問い合わせ先は、埼玉県 都市整備部 住宅課 マンション・居住支援担当です。市の窓口で見えてきた課題を、県のアドバイザーで深掘りする——この二段構えが、管理組合さまにとって頼れる体制になります。

5. 住宅金融支援機構の融資という選択肢

大規模修繕の資金を、積立金と一時金だけでまかなうのが難しいとき、借入れも現実的な選択肢になります。ここでも管理計画認定が効いてきます。

住宅金融支援機構のマンション共用部分リフォーム融資は、管理組合が共用部の工事資金を借りるための制度です。管理計画認定を取得していると、融資金利が年0.2パーセント引き下げられ、さらに融資の保証料が2割程度割引になります。加えて、認定を取得している場合は返済期間を最長35年とすることもできます。これらの優遇は2026年度も継続して適用される見込みですが、金利は毎月見直されますので、実際に借り入れる際は最新の金利を機構の公式情報でご確認ください。

積立金を計画的に貯める「マンションすまい・る債」とあわせて、認定取得は「借りるとき」「貯めるとき」の両面で条件を有利にします。認定という入口が、いかに実利につながっているか——ここでも同じ構図が見えてきます。

6. 省エネ・脱炭素の補助金(管理組合には使いにくい点も正直に)

入間市には、令和8年度入間市ゼロカーボンシティ推進設備設置費補助事業という再エネ・省エネ設備向けの補助があります。太陽光発電システムは1キロワットあたり7万円(35万円まで)、定置用リチウムイオン蓄電池は価格の3分の1(50万円まで)、V2Hシステムは30万円、といった内容です。

ただ、ここでも正直にお伝えしなければならない点があります。この補助の対象者は「自ら居住している市内の既存住宅・新たに取得する市内の住宅に設備を設置する方」とされ、太陽光は発電電力の30パーセント以上を自家消費することが条件です。つまり、実質的に戸建て住宅を念頭にした制度で、分譲マンションの共用部に設備を設置するといった管理組合としての工事には、そのままでは使いにくいのが実情です。

さらに、予算にも注意が必要です。市の案内では、令和8年6月18日時点でV2Hは上限に達し、太陽光・蓄電池の予算残額もごくわずか(21万円)と公表されていました。先着順で予算がなくなり次第終了する制度ですから、居住者さま個人が戸建てで活用する場合でも、早めの確認が欠かせません。窓口は入間市の環境経済部 エコ・クリーン政策課(本庁舎B棟4階)です。省エネ改修を大規模修繕と一体で考えたい組合さまは、この市の補助だけにとらわれず、国や埼玉県の集合住宅向けメニューまで視野を広げるのが得策です。

7. 制度を「工事のタイミング」に落とし込む

ここまで複数の制度をご紹介しました。理事長さまが本当に知りたいのは、「で、うちは何から動けばいいのか」だと思います。私が理事会でお伝えしている、現実的な進め方を整理します。

まず、自分たちのマンションが旧耐震(昭和56年5月31日以前着工)かどうかを確認してください。旧耐震なら、耐震性の把握が最優先です。RC造マンションは市の木造向け補助の対象外ですが、耐震診断そのものは資産を守る第一歩ですし、耐震改修促進法の認定が合意形成を助けます。

次に、長期修繕計画と修繕積立金の状態を点検し、管理計画認定の基準に照らしてみてください。認定を急ぐ必要はありませんが、この点検を通じて「次の大規模修繕をいつ、いくらでやるべきか」の輪郭がはっきりします。そして、外壁塗装・床防水・屋根防水を計画的にやりきる道筋を描ければ、国の長寿命化促進税制(令和9年3月まで)による固定資産税3分の1減額も見えてきます。

最後に、制度には必ず期限と予算枠があることを忘れないでください。長寿命化促進税制は令和9年3月末までの工事完了が要件、県のアドバイザー派遣も令和9年度まで、市の省エネ補助は予算枠に達すれば締切です。「もう少し積立金が貯まってから」と先送りしているうちに、使えたはずの支援の期限が過ぎてしまう——これは本当にもったいないことです。

8. 工法の選択が、資金計画そのものを変える

補助金の話をしていると、つい「いくら戻ってくるか」に意識が向きます。でも私が現場で痛感するのは、そもそもの工事費を下げられれば、補助金の有無以上に効くということです。

マンションの大規模修繕というと、建物をぐるりと仮設足場で囲む工事を思い浮かべる方が多いと思います。もちろん足場は確実で優れた工法です。ただ、足場の架設・解体には相応の費用と工期がかかり、その間は居住者の窓が塞がれ、防犯面の不安も生じます。

私たちは、この足場に加えて、産業用ロープで作業員が壁面に直接アクセスするロープアクセス工法(無足場工法)、そして両者を部位ごとに使い分けるハイブリッド工法という選択肢をご提案できます。足場が架けにくい高層部や狭小地、あるいは全面ではなく部分的な補修で足りる箇所では、無足場工法が足場費と工期を大きく圧縮できることがあります。補助金や税制で軽くなる金額と、工法そのもので削減できる金額。この両輪で資金計画を組むと、積立金への負担がまるで変わってきます。

どの工法が最適かは、建物の形状・階数・劣化状況によって本当にケースバイケースです。だからこそ、1つの工法しか持たない会社ではなく、複数の工法を比較しながら「この建物にとってのベスト」を出せる体制が生きてきます。私たちがロープアクセスから足場まで一貫してご提案しているのは、まさにこの理由からです。詳しくは大規模修繕工事のご紹介ロープアクセス工法のご紹介管理組合さま向けのサービスのページもご覧ください。

比較軸 全面足場工法 ロープアクセス工法(無足場) ハイブリッド工法
費用の傾向 足場架設・解体費がかかる 足場費を圧縮できる場合がある 部位ごとに最適化
工期 架設・解体の期間が必要 短縮できる場合がある 部分的に短縮
居住者への影響 窓が塞がれる期間が長い 影響を抑えやすい 影響を部分的に抑制
向いている場面 全面的な劣化・複雑な作業 高層部・狭小地・部分補修 大規模で部位差が大きい建物

大切なのは、「無足場だから必ず安い・速い」という単純な話ではないということです。全面的に劣化が進んでいるなら、足場工法のほうが結果的に合理的なこともあります。だからこそ、私は必ず建物を実際に見てからご提案するようにしています。無足場での大規模修繕にご関心があれば、コストを抑えた大規模修繕の考え方もあわせてご覧ください。

コラム:現場で見た「戸あたりいくら」の話

抽象的な制度の話が続いたので、私が実際に立ち会った現場の数字の話を一つ。物件が特定されないよう、条件は一般化してお伝えします。

築22年、50戸ほどの中高層マンションでのことです。当初の長期修繕計画では2回目の大規模修繕を総額でおよそ7,000万円と見込んでいましたが、いざ見積もりを取ると、資材と人件費の上昇でその想定を上回りそうでした。理事会は「積立金が足りない、値上げしかないのか」と重い空気になっていました。

そこで私たちがご提案したのが、外壁の状態を面ごとに細かく診断し、全面を一律に足場で囲むのではなく、劣化の進んだ面はしっかり足場で、比較的健全で部分補修で足りる面はロープアクセスで、という部位ごとの使い分け、つまりハイブリッド工法でした。結果として、足場の架設面積そのものを抑えることができ、工期も当初想定より短くなりました。仮設にかかる費用の圧縮は、そのまま総額に効いてきます。

大切なのは、ここに公的な支援を重ねる視点です。この物件は新耐震でしたが、外壁塗装・床防水・屋根防水を計画的にやりきる工事だったため、管理計画に基づく長寿命化工事として、国の長寿命化促進税制の検討対象になりました。工法で工事費を抑え、税制で翌年度の負担を軽くする。この二つを同じ資料の上で理事会にお見せしたとき、「これなら区分所有者に説明できる」と理事長さまがおっしゃった表情を、私はよく覚えています。

繰り返しますが、「無足場にすれば必ず安くなる」という魔法はありません。あくまで建物を見て、劣化の実態に合わせて工法を組み立てた結果です。それでも、選択肢を複数持って比較できるかどうかで、戸あたりの負担は確かに変わります。

9. 現場から見た「補助金前」の3つの落とし穴

補助金や税制を知ることと同じくらい大切なのが、それを受ける「前」の準備です。私が入間市を含む埼玉県西部の管理組合さまとお付き合いする中で、繰り返し見てきた落とし穴を3つ、正直に共有します。

落とし穴1:長期修繕計画が「借り物」のまま止まっている

分譲時に管理会社から渡された長期修繕計画を、一度も見直さないまま10年、15年と使い続けている組合は珍しくありません。私の経験上、築15年を過ぎた建物で当初計画のとおりに費用が収まるケースはほとんどないと言っていいでしょう。資材や人件費が上がり、当初の見積もりと現実の工事費が乖離していくからです。管理計画認定の基準では、長期修繕計画がおおむね7年以内に見直されていることが問われます。補助や税制を語る前に、まずこの計画が生きているかを点検してください。

落とし穴2:修繕積立金の「戸あたり」感覚が抜けている

理事会では「総額3,000万円の工事」と聞くと身構えますが、区分所有者さまの財布感覚に翻訳しないと合意は進みません。仮に50戸のマンションで総額3,000万円なら、1戸あたりおよそ60万円です。私はいつも理事長さまに、「工事費は総額ではなく、戸あたりに割り戻して総会資料に載せてください」とお伝えしています。数字を体感できる形にするだけで、区分所有者さまの当事者意識が変わり、増額改定や借入れの議論も前に進みやすくなります。

落とし穴3:相見積もりの「土俵」がそろっていない

3社から見積もりを取ったのに金額がバラバラで比較できない、というご相談も多いです。原因の多くは、工事の範囲や仕様、そして工法の前提がそろっていないことにあります。A社は全面足場、B社は一部ロープアクセス、C社は仕様グレードが違う——これでは金額だけを並べても意味がありません。相見積もりを取る前に、「どの範囲を、どの工法の前提で、どの仕様でやるのか」という土俵をそろえておくこと。ここが整理できているかどうかで、最終的な金額は大きく変わります。

よくあるご質問(入間市の管理組合さまから)

Q. 入間市には、大規模修繕の工事費そのものに出る補助金はないのですか。
現時点で、入間市が分譲マンションの大規模修繕工事費に直接現金を出す制度は確認できていません。ただし、管理計画認定を前提とした固定資産税の3分の1減額(長寿命化促進税制)や、機構融資の金利引下げなど、「実質的な負担軽減」につながる仕組みは用意されています。現金補助の有無だけで判断せず、税制と融資まで含めて全体で考えることをおすすめします。

Q. うちは新耐震のマンションですが、使える制度はありますか。
はい。木造向けの耐震補助は旧耐震の戸建てが対象ですが、管理計画認定、長寿命化促進税制、そして大規模修繕そのものの工法最適化は、新耐震のマンションでも十分に検討価値があります。

Q. 管理計画認定は難しそうです。何から始めればいいですか。
まずは長期修繕計画と修繕積立金、管理規約が認定基準を満たしているかの自己点検からです。ここで課題が見えたら、埼玉県の無料アドバイザー派遣(入間市も対象)を活用して専門家に相談するのが近道です。ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。

まとめ

入間市の管理組合さまが2026年に押さえるべきは、令和7年に始まったマンション管理計画認定制度、固定資産税を3分の1減額する長寿命化促進税制、そして旧耐震向けの耐震補助(ただし木造戸建て限定)の考え方です。派手な工事費補助はなくとも、「認定→積立金の適正化→計画修繕→税制と融資の優遇」という一本の道でつないでいけば、資産価値の維持と資金負担の平準化を両立できます。そこに埼玉県の無料アドバイザーと工法の最適化を重ねれば、積立金への圧力はさらに和らぎます。

なお、私たちは全国の建設業を支援する一般社団法人全国建設業支援協会(JCSA)の運営にも携わっており、各分野の専門職と連携しながら、高品質で無理のない大規模修繕をご提案しています。制度は年度で変わり、予算枠にも限りがあります。まずは理事会で1分だけでも、この話題を出してみてください。そして工事の契約前に、一度ご相談ください。総会にかける前の資料づくりの段階から、私たちがお手伝いできることは少なくありません。お問合せフォームから、お気軽にどうぞ。次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。

出典・参考資料


本記事は2026年7月時点で公開されている公的情報にもとづいて作成しています。補助率・上限額・期限・減額割合などは年度や予算の状況により変更される場合があります。申請前に必ず各窓口の最新情報をご確認ください。