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創業から6000棟超の施工実績

東伊豆町のマンション補助金|大規模修繕2026年度版

東伊豆町のマンション補助金|大規模修繕2026年度版

この記事で答える質問:静岡県賀茂郡東伊豆町の分譲マンション管理組合が、2026年度(令和8年度)の大規模修繕で使える補助金はどれか。そして、共用部の工事に本当に届く制度はいくつあるのか。

結論から申し上げます。東伊豆町には「大規模修繕にお金を出します」という名前の補助金はありません。地方の町ではこれが標準です。

ただし東伊豆町には、私がこの連載で175の自治体を1つずつ読んできたなかで、はじめて出会った条文があります。町の補助金交付要綱の本文に「区分所有又は共有の建築物等の場合は、事業の実施について所有者間で承認されていることが確認できるもの(総会議事録、同意書等)」と書かれているのです。しかも別表には「マンション」という用途区分が、住宅とも建築物とも別に立っています。

町が、管理組合の総会を前提に制度を設計している。人口1万人規模の町でこれは珍しいことです。この1点だけでも、東伊豆町の理事会は電話をかける価値があります。

最終更新:2026年9月4日


この記事の結論:東伊豆町で共用部に効く制度は「3つ」

先に全体像を出します。東伊豆町の住宅系の制度を、分譲マンションの共用部の工事に使えるかどうかで仕分けた結果が下の表です。

制度名 共用部への適合 補助率・限度額 窓口
既存建築物耐震診断事業(東伊豆町既存建築物等耐震性向上事業費補助金) 基準額の2/3以内・限度200万円 建設整備課 建設管理係
安全で美しいいえなみ整備事業費補助金(ブロック塀等) 撤去2/3・限度26.6万円/改善2/3・限度33.3万円 建設整備課 建設管理係
緊急輸送ルート等沿道建築物 補強計画策定事業 ○(該当路線沿いのみ) 基準額の10/10以内 建設整備課 建設管理係
緊急輸送ルート等沿道建築物 耐震化助成事業 ○(該当路線沿いのみ) 基準額の4/5以内 建設整備課 建設管理係
住宅リフォーム振興事業補助金 △(専有部のみ・区分所有者個人) 20%・上限20万円 観光産業課 観光商工係
木造住宅等耐震性向上事業費補助金 ×(木造のみ) 建設整備課 建設管理係
がけ地近接危険住宅移転事業費補助金 ×(移転が前提) 建設整備課
マンション管理計画認定制度 ◎(工事ではなく体制) 手数料4,000円〜 静岡県 住まいづくり課

(出典:東伊豆町 非木造住宅・建築物耐震診断等補助金東伊豆町 安全で美しいいえなみ整備事業費補助金東伊豆町 住宅リフォーム振興事業補助金

理事会の時間は有限です。◎の3つを確実に取りにいって、×の3つには1分も使わない。これが今日の記事の使い方です。

私はいつも理事長さまに、「制度がないのではなく、知られていないだけのものが残っています」とお伝えしています。東伊豆町は、まさにそのパターンでした。


東伊豆町の分譲マンションが置かれている前提を3つの数字で

制度の話に入る前に、町の状況を数字で押さえます。ここを飛ばすと、総会で説明するときの土台が弱くなります。

項目 数値 出典・時点
人口 10,637人(男5,078人・女5,559人) 令和8年7月31日現在
世帯数 6,191世帯 令和8年7月31日現在
1世帯あたり人員 約1.72人 上記から算出

(出典:東伊豆町の人口

1世帯あたり1.72人。これは全国平均を大きく下回ります。単身世帯の多さに加えて、東伊豆町の場合はもう1つ理由があります。リゾートマンション・別荘としての区分所有です。

伊豆稲取、熱川、北川。相模灘を見下ろす斜面に建つ中高層の分譲マンションのなかには、区分所有者の住民票が町外・県外にある住戸が相当数を占める建物があります。

これが、東伊豆町の管理組合にとって最大の実務課題です。制度の話より先に、この話をさせてください。

総会の定足数が、工事の工程を決めてしまう

私が伊豆半島の管理組合とお付き合いして痛感するのは、「工事が遅れるのではなく、決議が遅れる」ということです。

区分所有者が首都圏や関西に散っていると、通常総会の出席者は限られます。委任状と議決権行使書の回収に、都市部のマンションの2倍以上の時間がかかります。

大規模修繕の実施決議は、多くの管理規約で普通決議(区分所有法第39条第1項に基づき、規約に別段の定めがなければ議決権の過半数)ですが、いずれにせよ「議案書を郵送し、返送を待ち、集計する」という時間は動かせません。

私が東伊豆町の理事会に申し上げるのは、この1点です。

議案の作成を、都市部のマンションより半年前倒しにしてください。

補助金の申請期限も、税制の期限も、この「半年」の中に埋まっています。ここから先の話は、すべてこの前提の上に載っています。


【背骨①】東伊豆町の要綱には「マンション」という行がある

ここからが本題です。

東伊豆町には「東伊豆町既存建築物等耐震性向上事業費補助金交付要綱」(平成26年3月5日要綱第5号)があります。最終改正は令和8年3月26日要綱第7号令和8年4月1日施行。つまり2026年度に改正されたばかりの、現行の制度です。

対象は「昭和56年5月31日以前に建築された非木造住宅・建築物」。鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨造(S造)の分譲マンションは、この「非木造住宅」に該当します。

この要綱の別表第4に、次の行があります。

用途 基準額(延べ面積1㎡あたり)
住宅(マンションを除く。 39,900円
マンション 51,700円(免震等特殊工法の場合は86,400円)
建築物 57,000円(免震等特殊工法の場合は93,300円)

(出典:東伊豆町既存建築物等耐震性向上事業費補助金交付要綱(PDF)

私はこの連載で、静岡県内の市町の要綱をずっと読み続けてきました。掛川市も袋井市も湖西市も、要綱の本文に「共同住宅」「マンション」「管理組合」の語が一度も出てこない自治体でした。

東伊豆町は違いました。「マンション」という用途が、住宅からわざわざ切り出されて、単価まで設定されている。人口1万人の町の要綱にです。

これが何を意味するか。町が、分譲マンションを制度の想定対象として扱っているということです。窓口に電話をかけたときに、「マンションですか」で話が止まらない可能性が高い。これは実務的に、とても大きな違いです。


耐震診断の補助はいくらになるのか【延べ面積別の試算表】

分譲マンションの管理組合がまず使える可能性があるのは、別表第1の一番上、「既存建築物耐震診断事業」です。

補助金の額は、要綱にこう定められています。

1棟ごとに、当該事業に要する経費と別表第2に定める基準額とを比較して、いずれか少ない額の3分の2以内の額とし、2,000,000円を限度とする。

基準額(別表第2)は、延べ面積の階層別に決まっています。

構造・用途 延べ面積 基準額
非木造戸建住宅 面積区分なし 204,000円
既存建築物(戸建住宅以外=マンション等) 1,000㎡以下の部分 1㎡あたり4,580円
同上 1,000㎡超〜2,000㎡以下の部分 1㎡あたり2,350円
同上 2,000㎡を超える部分 1㎡あたり1,570円

これを実際の建物にあてはめると、こうなります。

延べ面積 基準額 基準額の2/3 補助見込額(限度200万円)
300㎡ 1,374,000円 916,000円 916,000円
500㎡ 2,290,000円 1,526,000円 1,526,000円
655㎡ 約3,000,000円 約2,000,000円 限度額に到達
1,000㎡ 4,580,000円 3,053,000円 2,000,000円
2,000㎡ 6,930,000円 4,620,000円 2,000,000円
3,000㎡ 8,500,000円 5,666,000円 2,000,000円

※1,000円未満は切り捨て。

ここから読み取れることは1つです。

延べ面積がおおむね655㎡を超えると、基準額の側では限度額200万円に張り付く。

40戸で1戸70㎡なら専有部だけで2,800㎡。共用部を含めれば3,000㎡を超えます。分譲マンションであれば、基準額の側で限度額に届かないケースはまず考えにくい。

ただし、ここに落とし穴があります

要綱は「事業に要する経費と基準額とを比較して、いずれか少ない額の3分の2以内」と書いています。

つまり、実際の耐震診断の見積が150万円なら、比較して少ない方は150万円。その3分の2で100万円です。基準額の側が大きくても、そこまでは出ません。

200万円の限度額を使い切るには、診断そのものの事業費が300万円以上である必要があります。

これは、規模の大きな建物で、構造図面が残っていない、コンクリートのコア抜き試験が多数必要、といった条件が重なるケースです。中規模のマンションであれば、現実的な着地点は100万〜200万円のあいだとお考えください。

それでも、管理組合の会計から見れば大きな金額です。私の経験上、耐震診断を「お金がかかるから」と先送りしている組合ほど、この制度の存在を知りません。


【背骨②】要綱が「総会議事録」を名指ししている

もう1つ、東伊豆町の要綱で私が目を留めた条文があります。第5条(交付の申請)の添付書類の項です。

(カ)区分所有又は共有の建築物等の場合は、事業の実施について所有者間で承認されていることが確認できるもの(総会議事録、同意書等)

この一文が、耐震診断・補強計画策定・耐震補強工事・建替工事・除却工事の5つの事業すべてに、同じ文言で入っています。

役所の要綱で「総会議事録」という言葉が出てくるのは、書き手が管理組合の意思決定プロセスを理解しているということです。

そして、管理組合の側から見ると、この条文は申請の段取りをそのまま指定してくれていることになります。

東伊豆町での申請手順(管理組合の実務に翻訳すると)

順序 やること 誰が 注意点
1 建設整備課 建設管理係(0557-95-6303)に電話 理事長または担当理事 年度ごとの予算枠があるため、まず電話が要綱の指定
2 耐震診断の見積を取得 理事会 事業に要する経費の見積書の写しが添付書類
3 総会で診断実施を決議 管理組合 議事録が添付書類になる
4 交付申請書(様式第1号)+事業計画書(様式第2号)+事業収支予算書(様式第3号)を提出 理事長 着手前の申請が原則
5 交付決定通知(様式第4号)を受領 ここまで工事・診断に着手しない
6 診断実施 診断者
7 完了後30日以内、または年度の3月末日のいずれか早い日までに実績報告 理事長 期限の設計が独特
8 額の確定通知 → 請求書(様式第10号)を提出 理事長

実務で一番危ないのは3と4の順序です。総会の議事録が必要なのですから、「先に診断を頼んでから、あとで総会にかける」という進め方はできません。

そして、7の実績報告の期限。「完了した日から30日を経過した日」または「交付決定のあった年度の3月末日」のいずれか早い日、という書き方です。年度末に交付決定を受けた場合、3月末までしか猶予がないことになります。

私はいつも理事長さまに、「役所の期限は、工事の期限ではなく書類の期限です」とお伝えしています。工程表には、工事の完了日ではなく、書類の提出日をマイルストーンとして打ってください。

なお、補助金の収支に関する帳簿と領収書等の関係書類は、交付を受けた年度終了後5年間の保管義務があります。理事が毎年入れ替わる組合では、引き継ぎ書類の一覧にこの1行を足しておくことをおすすめします。


緊急輸送ルート等の沿道なら、桁が変わる

東伊豆町の要綱には、もう1段階上の制度が用意されています。

緊急輸送ルート等沿道建築物」に該当する場合です。これは、静岡県耐震改修促進計画で指定された道路に接し、地震で倒壊すると道路をふさいで避難を妨げるおそれのある建築物を指します。

東伊豆町を南北に貫く国道135号は、伊豆半島東海岸の生命線です。この沿道に建つ建物であれば、確認する価値があります。

事業区分 補助率 基準額(一戸建住宅以外)
緊急輸送ルート等沿道建築物 補強計画策定事業 10分の10以内(全額) 1,000㎡未満 300万円/1,000〜2,000㎡未満 480万円/2,000〜3,000㎡未満 600万円/3,000〜5,000㎡未満 720万円/5,000〜10,000㎡未満 900万円/10,000㎡以上 1,080万円
緊急輸送ルート等沿道建築物 耐震化助成事業 5分の4以内 マンション:延べ面積1㎡あたり51,700円(免震等特殊工法86,400円)

補強計画の策定が10分の10、つまり基準額の範囲なら実質的に自己負担なしという設計です。耐震化の工事本体も5分の4。通常の耐震診断(3分の2・限度200万円)とは金額の桁が違います。

ただし、これは「診断の結果、構造耐震指標値Is値が0.6未満だった」など、要綱第4条の要件を満たす建物に限られます。すべての建物が該当するわけではありません。

私が申し上げたいのは、「うちは関係ない」と決める前に、前面道路が緊急輸送ルート等に指定されているかを1回確認してほしい、ということです。確認は電話1本で済みます。


ブロック塀は「1敷地1回」——ここが東伊豆町の落とし穴

大規模修繕とセットで議案にすべきなのが、敷地内のブロック塀です。東伊豆町の制度は「安全で美しいいえなみ整備事業費補助金」といいます。

事業区分 基準単価 補助率 1敷地あたり限度額
ブロック塀等撤去事業 延長1mあたり20,000円 2/3以内 266,000円
ブロック塀等改善事業(緑化あり) 延長1mあたり38,400円 2/3以内 333,000円
ブロック塀等改善事業(緑化なし) 延長1mあたり38,400円 2/3以内 333,000円
美しいいえなみ整備事業(緑化のみ) 延長1mあたり38,400円 2/3以内 333,000円

(出典:東伊豆町安全で美しいいえなみ整備事業費補助金交付要綱(PDF)

延長別の試算はこうなります。

撤去する場合

塀の延長 基準額 補助見込額
10m 200,000円 133,000円
15m 300,000円 200,000円
20m 400,000円 266,000円(限度額に到達)
30m 600,000円 266,000円

フェンス等・生垣に改善する場合

塀の延長 基準額 補助見込額
5m 192,000円 128,000円
10m 384,000円 256,000円
13m 499,200円 332,000円(ほぼ限度額)
15m以上 576,000円以上 333,000円

つまり、撤去なら20m、改善なら13mで限度額に届きます。それ以上の長さがあっても補助額は増えません。マンションの敷地であれば、道路に面した塀が20mを超えることは珍しくないので、限度額を前提に予算を組んでいただいて構いません。

東伊豆町ならではの注意点が2つあります

1つ目:フェンスも生垣も同額です。

この連載で先日取り上げた湖西市では、生垣への改善だけが2倍以上優遇される設計でした。東伊豆町は緑化あり・緑化なしのどちらも38,400円/m・限度333,000円で同額です。

これは管理組合にとってむしろ判断が楽です。補助額に差がないなら、剪定という毎年の維持費が発生しないフェンスを選ぶ合理性が高くなります。生垣を選ぶなら、それは補助金ではなく景観の判断としてやるべきです。

2つ目:同一の敷地では1回しか使えません。

要綱第3条第2項に、こうあります。

同一の利用に供されている一団の土地において、本要綱又は東伊豆町生垣づくり補助金交付要綱の規定による補助金の交付を受けている場合は、補助の対象としない。

つまり、撤去と改善を両方申請して合算する、という組み立てができません。過去にこの補助金を使ったことがある敷地も対象外です。

さらに、第6条第3号に見過ごせない条件があります。

補助事業により取得し、又は効用の増加した不動産及びその従物については、事業完了から15年を経過するまでの期間内において、町長の承認を受けないで、補助金の交付の目的に反して使用し、譲渡し、交換し、貸し付け、又は担保に供してはならないこと。

15年です。マンションの大規模修繕は12〜15年周期ですから、次の大規模修繕をまたぎます。理事会が3年で入れ替わることを考えれば、この条件は管理組合の重要事項として、規約とは別の「引き継ぎメモ」に残しておく必要があります。

私が現場で20年やってきて、一番悔しい思いをするのは、こういう「知っていれば防げた話」を、あとから聞かされるときです。


住宅リフォーム振興事業補助金は、共用部には届かない。ただし——

東伊豆町には、金額の使い勝手が良い「住宅リフォーム振興事業補助金」があります。

項目 内容
補助額 工事金額(税抜)100万円以上:最大20万円/5万円以上100万円未満:工事金額(税抜)の20%(千円未満切り捨て)
受付 令和8年4月1日(水曜日)午前8時30分から再開・先着順
対象者 申請者またはその家族が東伊豆町に住民登録し、居住している者/補助対象住宅の所有者/町税等(介護保険料、水道料等を含む)を滞納していない者
上限管理 交付金額20万円・交付回数5回の上限に達していないこと
施工業者 町内に事業所を有する法人、または町内に住所を有する個人事業者で町民税申告している者。事前の資格登録が必要
完了届 同年度3月10日まで
その他 既に着工している工事は対象外。申請から交付決定まで1週間程度
窓口 観光産業課 観光商工係 0557-95-6301

(出典:東伊豆町 住宅リフォーム振興事業補助金

正直に申し上げます。この制度は共用部の大規模修繕には使えません。

対象は「申請者が所有し、居住している住宅」で、公式ページに「(貸家やアパートは対象外)」と明記されています。管理組合が申請者になる形は、この文言からは読み取れません。

ただし、私が理事会にお伝えしているのは別の使い方です。

「管理組合は周知役に徹する」という使い方

大規模修繕の説明会は、区分所有者が一斉に集まる年に一度の機会です。そこで専有部のリフォーム補助を配布資料の1ページに入れておく。これだけで理事会の評価が変わります。

  • 東伊豆町に住民登録があり、実際に住んでいる区分所有者は対象になり得る
  • 100万円以上の工事なら20万円
  • 交付回数5回までという設計なので、過去に使った人でも上限に達していなければ再度使える

最後の1点は、この連載の175自治体でもかなり珍しい設計です。「1世帯1回限り」の自治体が大半のなか、東伊豆町は累計20万円・5回まで使えます。

そして、この制度が観光産業課の所管である点も東伊豆町らしいところです。町内業者を使うことが条件になっている、つまり住宅政策ではなく地域経済振興の制度として設計されているからです。

大規模修繕の元請けが町外だと使えない、という論点

念のため申し上げておくと、この「町内業者限定」の条件は、共用部の大規模修繕で工事会社を選ぶときの話とは切り離してお考えください。

共用部の工事にこの補助金は使えないのですから、元請けの所在地を補助金の条件に引きずられて決める必要はありません。むしろ、東伊豆町のような立地では、伊豆半島内・県東部・首都圏まで含めて見積を取れる環境を作ることのほうが、金額へのインパクトが大きくなります。


マンション管理計画認定制度の窓口は「静岡県」です

ここでよく混乱が起きるので、はっきり書きます。

東伊豆町の分譲マンションの管理計画認定は、町ではなく静岡県が窓口です。

マンション管理計画認定制度は、マンションの管理の適正化の推進に関する法律にもとづき、管理組合が作成した管理計画が一定の基準を満たす場合に認定を受けられる制度です。静岡県のページには「対象:県内の町域」と明記されています。市の区域は各市が、町の区域は県が担当します。

認定申請手数料は令和8年4月1日に改定されました

事前確認適合証 長期修繕計画数 令和8年3月31日まで 令和8年4月1日から
有り 1 3,800円 4,000円
有り 2以上 3,800円+1,700円×(計画数−1) 4,000円+1,800円×(計画数−1)
無し 1 26,900円 28,100円
無し 2以上 26,900円+15,500円×(計画数−1) 28,100円+16,200円×(計画数−1)

(出典:静岡県 マンションの管理。認定の更新の手数料も同額です)

適合証の有無で7倍の差が出ます。事前確認適合証とは、公益財団法人マンション管理センターが交付する、法第5条の14各号の基準に適合することを証する書面のことです。

したがって、現実的なルートは1つです。公益財団法人マンション管理センターの管理計画認定手続支援サービスを利用して事前確認適合証を取り、そのうえで県に申請する。県へ直接申請すると適合証なしの28,100円になります。

認定を取ると何が変わるのか

管理組合の総会で「認定を取りましょう」と提案すると、決まって「それで何が得なのか」と聞かれます。答えは3つです。

  1. 固定資産税の減額(長寿命化促進税制)の入口になる(後述)
  2. フラット35の金利引き下げ
  3. 住宅金融支援機構のマンション共用部分リフォーム融資の金利引き下げ

3つ目は、東伊豆町のように修繕積立金の水準が読みにくい建物では重要です。認定が税制に間に合わなくても、マンション共用部分リフォーム融資の金利が下がるだけで、借入をする組合には実額の効果が出ます。


【2026年の新しい論点】マンション管理適正化支援法人という制度ができました

これは今年から始まった話なので、まだご存じない理事長さまが多いはずです。

令和7年5月30日に「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律」(令和7年法律第47号)が公布され、同年11月28日に一部が施行されました。これにより、マンションの管理の適正化の推進に関する法律に「マンション管理適正化支援法人」の登録制度が新設されました。

一般社団法人・一般財団法人・特定非営利活動法人などの民間団体が都道府県等の登録を受けることで、公的な立場からマンション管理の専門的支援を行う、という仕組みです。

支援法人の業務区域 登録主体
市の区域
町の区域

東伊豆町は町ですから、登録主体は静岡県になります。

そして、静岡県のページには現時点でこう書かれています。

静岡県は、現段階では、登録制度は実施していません

(出典:静岡県 マンションの管理

つまり、東伊豆町の管理組合が今すぐ支援法人のサービスを受けられるわけではありません。ここは正直に書きます。

ただ、区分所有法そのものが改正された年である、ということは知っておく価値があります。老朽化マンションの管理と再生を円滑にする方向で法律が動いている。理事会で「今年は何か変わったのか」と聞かれたときに答えられる材料として、頭の隅に置いておいてください。

あわせて、国土交通省は令和7年にマンション標準管理規約を改正しています。静岡県のページから改正パンフレットが公開されていますので、規約の見直しを検討している組合は目を通しておくと議論が早く進みます。


固定資産税の話:東伊豆町のページには「減額」の項目がありません

長寿命化促進税制について書きます。

これは、一定の要件を満たす大規模修繕工事を行ったマンションの翌年度の固定資産税を6分の1〜2分の1(参酌基準3分の1)減額する制度です。1戸あたり床面積100㎡までが対象になります。

主な要件は次のとおりです。

要件の種類 内容
建物 築20年以上・総戸数10戸以上
ルートA(認定ルート) 令和3年9月1日以降に修繕積立金の引上げを決議し、管理計画認定を受けている
ルートB(助言・指導ルート) 助言・指導を受けて長期修繕計画を見直し、積立金額が基準額以上等
工事 過去に長寿命化工事を実施済み、かつ今回の工事が要件を満たす
申告 工事完了後3か月以内に市町村へ申告
期限 令和9年3月31日までに工事完了

期限まで、この記事の公開時点で約19か月です。

東伊豆町の税のページを全部見ました

東伊豆町の税金のページに並んでいる税目は、税の証明/税の手続き/納付/固定資産税/軽自動車税/町民県民税/法人町民税/入湯税/その他税/確定申告の10項目です。

そして固定資産税のページの子ページは、次の2件だけでした。

  • 固定資産・名寄台帳兼課税台帳の閲覧は
  • 固定資産(土地・家屋)の異動等について

耐震改修による減額も、省エネ改修による減額も、バリアフリー改修による減額も、長寿命化促進税制も、専用のページが1つもありません

私はこの連載で、市町のサイトを「長寿命化促進税制がどこに書かれているか」で3つの型に分類してきました。専用ページがある型、住宅ページの中に書かれている型(磐田市・袋井市・湖西市)、そしてどこにも書かれていない型(清水町・函南町)。

東伊豆町は3つ目、しかも最も徹底した形です。

ここで大事なことを申し上げます。ページがないことと、使えないことは別です。

長寿命化促進税制は地方税法にもとづく全国共通の制度です。東伊豆町のサイトに説明ページがないのは、町の住宅政策の広報上の優先順位の問題であって、制度の適用可否とは別の話です。

確かめ方は電話1本です。税務課(0557-95-6201)に、こう聞いてください。

「分譲マンションの大規模修繕工事について、地方税法のマンション長寿命化促進税制による固定資産税の減額の申告を受け付けていますか。申告書の様式と、必要な添付書類を教えてください。」

制度名を正確に言うことが大事です。「大規模修繕の減税」では通じないことがあります。

都市計画税について

東伊豆町の税金ページの税目一覧に、都市計画税の項目は見当たりませんでした

この連載で見てきた静岡県内の自治体は三者三様でした。掛川市は市街化区域が定められておらず、条例で定める区域のみ課税。袋井市は市内全域で税率0.3%。湖西市は税率0.2%。そして東伊豆町は、町の税金ページに項目自体がない。

ここは断定を避けます。課税の有無は条例で決まるものであり、私が見たのは町のウェブサイトの構成だけだからです。

ただ、総会で説明する側としては、この違いは知っておいたほうがよい。

長寿命化促進税制で減額されるのは固定資産税です。総会で「税金が3分の1になります」と言うと、区分所有者は自分が払っている税額の総額をイメージします。正確に「固定資産税が」と言ってください。

そして、東伊豆町でご自宅の課税内容を確かめる一番確実な方法は、5月ごろ届く納税通知書を1枚見ることです。そこに何が課税されているかが書いてあります。


静岡県の支援:東伊豆町からは「熱海」と「伊東」が近い

補助金以外の支援にも触れます。ここは東伊豆町の理事会にとって、かなり条件が良い部分です。

令和8年度マンション管理セミナー(静岡県)

開催地 開催日 会場
浜松市 令和8年7月25日(土曜日) 可美公園総合センター
磐田市 令和8年8月29日(土曜日) 磐田商工会議所
三島市 令和8年9月12日(土曜日) 三島市役所
熱海市 令和8年10月予定
沼津市 令和8年10月予定
静岡市 令和8年11月予定
伊東市 令和8年12月予定
富士市 令和9年2月予定
浜松市 令和9年2月予定

(出典:静岡県 マンションの管理

この表を見て、私は東伊豆町の管理組合をうらやましいと思いました。

熱海市(10月予定)と伊東市(12月予定)。伊豆急行線で伊豆稲取駅から伊東駅まで約35分、熱海駅まで約1時間。日帰りどころか、午前中に出て昼過ぎには戻れる距離です。

しかも三島市は令和8年9月12日(土曜日)、この記事の公開から8日後です。三島市役所での開催。伊豆急行と伊豆箱根鉄道を乗り継ぐ形になりますが、まだ間に合います。

私はいつも理事長さまに、こうお伝えしています。

理事長ひとりで行かないでください。次期理事の候補と2人で行ってください。

セミナーの内容そのものより、帰りの電車で交わす「うちはどうする」という会話のほうが、組合を前に進めます。

マンション管理士の無料派遣(令和8年度)

項目 内容
受付件数 10件(上限に達した時点で終了)
申込期限 令和8年11月14日(土曜日)
派遣回数 各管理組合2回まで
派遣期限 令和9年1月31日(日曜日)
申込先 一般社団法人静岡県マンション管理士会(ファクス0544-27-6561)
費用 無料

県全体で10件です。静岡県内の分譲マンション数を考えれば、これはかなり少ない枠です。申込書に書く内容を、東伊豆町の管理組合向けに具体化すると、こうなります。

「築○年、○階建て、○戸の分譲マンションです。区分所有者の約○割が町外に居住しており、総会の議決権行使書の回収に時間がかかっています。2回目の大規模修繕にあたり、(1)長期修繕計画の見直しと修繕積立金の水準、(2)管理計画認定の取得の可否、(3)総会運営(委任状・議決権行使書の実務)について助言をいただきたい。」

3つ目を入れるのが、伊豆のマンションのポイントです。工事の話だけでなく、総会が回るかどうかが最大の論点だからです。

国のモデル事業は、今回は間に合います

国土交通省の「マンションストック長寿命化等モデル事業」の令和8年度第3回提案募集は、2026年9月14日(月曜日)から9月18日(金曜日)です。

この記事の公開日から10日あります。これは、この連載で扱ってきた自治体のなかでは珍しく、現実的な日程です。

とはいえ10日で新規に申請書類一式を整えるのは、正直に申し上げて厳しい。私がおすすめするのは、次の2つです。

  1. 国土交通省のマンション総合対策モデル事業のページから、必要書類の一覧だけ印刷する(15分で終わります)
  2. 次回募集に向けて、劣化状況調査と長期修繕計画の見直しの見積を先に取っておく

この事業は、老朽化マンションの再生に向けた先導的なプロジェクトを支援するもので、計画支援型と工事支援型があります。全国で採択される件数は限られますが、「応募を検討した」という事実そのものが、理事会の議論の質を上げます。


ここから先は、株式会社明誠のサービスの話を含みます

制度の話はここまでです。ここからは工法とコストの話に入りますが、私自身が改修会社の代表ですので、利益相反があることを先に開示します。そのうえで読んでいただければと思います。

まず「見積書のどこにお金が乗っているか」の話から

大規模修繕の見積書で、多くの管理組合が素通りしてしまう行があります。仮設工事です。

一般的に、大規模修繕工事の総額に占める仮設足場の割合は15〜25%程度です。金額にすると、こうなります。

工事総額 仮設足場の概算(15〜25%)
3,000万円 450万〜750万円
5,000万円 750万〜1,250万円
8,000万円 1,200万〜2,000万円

私が現場で20年見てきて思うのは、20万円の植栽剪定は真剣に議論されるのに、750万円の「仮設工事一式」の1行はそのまま可決される、ということです。

理事の皆さまが不真面目なのではありません。判断材料が渡されていないだけです。

見積書を受け取ったら、この1文を工事会社に伝えてください。

仮設工事を、架面積の平米単価とリース期間に分解して出してください。

これだけで、金額の根拠が見えます。断られるようなら、それも1つの情報です。

ロープアクセス工法という選択肢

足場を組まずに、屋上からロープで作業員が下降して外壁の調査・補修・塗装・シーリング打ち替えを行う工法があります。ロープアクセス工法(無足場工法)といいます。

産業用の登山技術を応用したもので、命綱とは別に必ずバックアップのロープを取る二重系統が基本です。ロープアクセス工法の安全基準や技術的な解説は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムにまとめています。

そして、東伊豆町の建物には、この工法が効きやすい条件がそろっています

東伊豆町の立地条件 足場工法での問題 ロープアクセスの効き方
相模灘を望む傾斜地に建つ建物が多い 足場の脚部を水平に組むための地盤処理・段差処理に費用と工期がかかる 屋上からの下降なので地盤の条件に左右されにくい
海側が擁壁・崖地に接している 擁壁側に足場を建てる余地がない、あるいは擁壁に荷重をかけられない 建物側から吊り下げるため擁壁に負担をかけない
国道135号から入る狭い町道が多い 足場部材を積んだ4t車が現場に入れない 資材量が大幅に少なく、軽トラック規模で搬入できる
敷地に余裕がなく駐車場が建物に近接 全周に足場を組むと駐車場が長期間使えない 面ごとに施工でき、駐車場の閉鎖期間を短くできる
区分所有者の在宅率が低い(別荘・リゾート利用) 足場とメッシュシートが長期間かかることへの説明機会が少ない 工期そのものが短くなる

3つ目の「狭い道」は、営業トークではなく物流の話です。足場部材が現場に届かない立地では、そもそも足場という選択肢が成立しません。

正直に申し上げます。ロープアクセスは万能ではありません

ここは毎回、同じことを書いています。

私が「今回は足場でいきましょう」と申し上げる現場は、普通にあります。

足場工法が有利な条件
外壁タイルの張り替え面積が大きく、材料の荷揚げが大量に発生する
屋上防水の全面改修で、資材の搬入量が多い
バルコニーの手すりや隔て板を全戸交換するなど、水平方向の移動が多い工事
外壁の欠損が広範囲で、足場上での面的な作業が必要

そして、これも正直に書いておきます。

バルコニー内部の作業が必要な点は、工法にかかわらず同じです。ロープアクセスにしても、居住者の立ち入りがゼロになるわけではありません。減るのは「外部足場が窓の前に架かっている期間」です。

そのうえで、部位ごとに足場とロープアクセスを使い分けるハイブリッド工法が、多くの建物で最も合理的な着地点になります。3つの工法から選べることの意味は、大規模修繕工事のご紹介ロープアクセス工法のご紹介のページにまとめています。


東伊豆町のマンションで、モデルケースを2つ

実在の建物を特定できない形で、東伊豆町の一般的な条件をもとに試算します。

ケース1:伊豆稲取駅圏/築28年・6階建て・42戸

項目 全面足場 ハイブリッド工法
工事総額 6,400万円 5,500万円
差額 ▲900万円
1戸あたり 約152万円 約131万円(▲約21万円)
工期 5.5か月 4か月

海側の面と道路側の高層部をロープアクセス、低層部と搬入量の多い面を足場、という配分です。

ケース2:熱川・北川方面/築33年・5階建て・30戸(海沿いの傾斜地)

項目 全面足場 ロープアクセス主体
工事総額 4,500万円 3,650万円
差額 ▲850万円
1戸あたり 150万円 約122万円(▲約28万円)
工期 5か月 3.5か月

30戸で4,500万円は、1戸あたり150万円です。同じ工事を150戸のマンションでやれば1戸あたり30万円前後になります。

戸数が小さいほど、工法の選定が1戸あたりの負担に効きます。

東伊豆町の分譲マンションは、都市部と比べて総戸数が小さい建物が多い。だからこそ、工法の話を設計段階で持ち出す価値があります。

そして、これが最も大事な点です。

工法は、設計を発注したあとでは実質的に選べません。着工の15〜13か月前に決めてください。


修繕積立金が足りないときの4つの打ち手

東伊豆町のように、区分所有者の高齢化と町外居住が重なる建物では、積立金の不足は現実的な課題です。打ち手は4つあります。

打ち手 内容 注意点
1. 工事範囲の絞り込み 劣化診断にもとづき、次期に送れる部位を分ける 送った部位の劣化進行を長期修繕計画に反映する
2. 工法の見直し 仮設費を圧縮する 設計発注前でないと選べない
3. 借入 住宅金融支援機構のマンション共用部分リフォーム融資 管理計画認定で金利引き下げ
4. 一時金または積立金の増額 総会決議 議案書に「一時金50万円」と「月々3,000円」の両方を載せる

4つ目について補足します。人は「50万円」という数字を見ると身構えますが、「月3,000円」なら判断できます。同じ金額を2通りの見せ方で議案書に載せるだけで、可決率が変わります。

そして、段階施工には注意点があります。仮設費は施工の回数分かかります。2回に分ければ足場代も2回。さらに、長寿命化促進税制の「3点セット一体で行う工事」の要件を外してしまう可能性もあります。安く見えて高くつく、という典型例です。


見積書のチェック5点【東伊豆町版】

私が管理組合にお渡ししているチェックリストです。5点目まで、そのまま使ってください。

1.下地補修の「仮定数量」を超えた分の単価を、契約前に契約書へ明記する

これが最重要です。外壁のひび割れ補修やタイル浮きの数量は、足場を架けるまで正確には分かりません。だから見積書には「仮定数量」が入ります。問題は、超過した分の単価が契約書にないケースです。

工事が始まって足場が架かった状態で、管理組合が対等に交渉することはできません。

契約書に入れる文例です。

「下地補修工事について、仮定数量を超過した場合の精算単価は、見積書記載の単価と同一とする。数量の確定は、監理者立会いのもと計測により行い、写真および計測記録を添付するものとする。」

これを嫌がる会社は、そこで分かります。

2.高圧洗浄の排水計画

東伊豆町は海に向かって傾斜する地形です。洗浄水は下へ流れます。近隣の敷地、町道、そして海。排水の経路と養生の方法を書面で出してもらってください。これは環境の話であると同時に、近隣との関係の話です。

3.予備日の設定と、超過した場合の費用負担

相模灘に面する立地では、降雨と強風で作業が止まる日が読みにくい。見積書に予備日が何日設定されているか、そして予備日を超過した場合の足場リース延長費用は誰の負担になるかを、契約前に確認してください。

4.工事監理者と施工会社の資本関係

設計監理方式を採るなら、監理者が施工会社と資本関係にないことを確認します。「第三者の目」を入れるための費用ですから、そこが独立していなければ意味がありません。

5.温泉の引湯配管が共用部にある場合の扱い

これは東伊豆町ならではです。温泉を各戸に引いている建物では、引湯配管や熱交換器が共用部に含まれていることがあります。温泉成分による配管の腐食・スケール付着は、一般的な給水配管とは劣化の進み方が違います。

見積書の設備工事の欄に、温泉配管の点検・更新が入っているか。入っていないなら、それは「対象外」なのか「見落とし」なのか。ここは必ず確認してください。長期修繕計画に温泉設備の項目がない建物を、私は実際に何件も見ています。


東伊豆町の建物が受けている、方位別の劣化条件

劣化診断の報告書を「外壁全体で○%劣化」という形で受け取ってはいけません。方位別に分けてもらってください。補修数量の根拠になりません。

東伊豆町の建物が受けている条件を、方位別に整理します。

方位 主な劣化要因 重点的に診るべき部位
東〜南東面(海側) 相模灘からの飛来塩分。金属部の腐食が最も早い 手すり・避難ハッチ・屋外階段・EV機械室扉・アルミサッシまわりのシーリング
南面 紫外線による塗膜劣化とシーリングの伸縮疲労 外壁塗膜のチョーキング、サッシまわりシーリング
西〜北西面(山側) 冬季の季節風。塗膜の摩耗とシーリングの早期硬化 メッシュシートの開放・復旧の人工が工程に乗る
北面 放射冷却による結露。コケ・藻の発生 防藻・防カビ仕様の検討
建物基部・擁壁側 崖地・傾斜地に近接する建物では、擁壁のクラックと排水 擁壁の目地・水抜き孔・法面の排水

東側の飛来塩分は、東伊豆町の建物にとって最大の要因です。鉄部の塗装周期を、山側と海側で分けて長期修繕計画に書いている組合は多くありません。ここを分けるだけで、次の12年の見え方が変わります。

そして最後の行、擁壁。東伊豆町にはがけ地近接危険住宅移転事業費補助金という制度があります。これは住宅の移転を支援する制度でマンション共用部には使えませんが、町の中に土砂災害特別警戒区域や災害危険区域が存在することを示しています。

劣化診断を発注するとき、「擁壁と法面も一緒に見てください」と1行足してください。追加費用はほとんどかかりませんし、次の総会で聞かれたときに答えられます。


工事の適期はいつか【東伊豆町版】

時期 向き不向き 理由
3〜5月 気温・湿度とも安定。ただし4月下旬以降は観光シーズンで搬入路が混む
6〜7月 梅雨。予備日を7〜10日多めに
8月 観光ピーク。国道135号の渋滞で資材搬入の時間が読みにくい
9〜11月 最も条件が良い。台風の通過後は要注意だが、気温・湿度が塗装に最適
12〜2月 温暖で晴天率は高い。ただし季節風で高所作業の中止日が出る。予備日3〜5日追加

東伊豆町で特徴的なのは、観光シーズンと工事工程の関係です。8月と年末年始、そして2月の雛のつるし飾りの時期は、町内の交通量が普段と変わります。資材搬入の時間帯を工程表に書き込んでおくと、後で揉めません。


着工19か月前からの逆算カレンダー

長寿命化促進税制の期限(令和9年3月31日完了)から逆算すると、こうなります。

時期 やること
19〜16か月前 劣化状況調査の発注。管理計画認定の準備開始(事前確認適合証のルート)
15〜13か月前 工法を決める(ここを過ぎると設計が固まり、実質的に選べなくなる)
12か月前 定時総会で工事実施と予算を決議
9〜6か月前 施工会社の選定・相見積
3か月前 補助金の交付申請(着手前が原則)
着工直前 改修前の写真撮影(高圧洗浄後は二度と撮れません)
完了後3か月以内 固定資産税の減額申告

律速になるのは工事ではなく、総会です。

東伊豆町のように区分所有者が町外に多い建物では、ここにさらに数か月の余裕を見てください。

証明書まわりの落とし穴を3つ

  1. 建築士との契約書に「大規模の修繕等証明書の発行」を明記する。あとから頼むと追加費用になったり、そもそも発行できないと言われたりします。
  2. 着工前の写真は、高圧洗浄をした瞬間に撮れなくなります。議事録に「改修前の写真撮影を、高圧洗浄着手前に完了させること」と3行書いておいてください。
  3. 前回の施工会社が廃業していると、過去の工事内容の証明が難しくなります。前回の工事の書類(契約書・仕様書・完了報告書・写真)が管理室にあるか、今週中に確認してください。

今週できること(合計1時間かかりません)

所要時間 やること
5分 建設整備課 建設管理係(0557-95-6303)へ電話。「昭和56年以前の分譲マンションの耐震診断補助について」
5分 税務課(0557-95-6201)へ電話。「マンション長寿命化促進税制の申告について」
5分 屋上に上がる。防水層の状態と、温泉配管があればその外観を見る
15分 敷地内のブロック塀を採寸する(道路に面した延長をメートルで)
15分 管理室で、前回の大規模修繕の書類一式を探す
10分 静岡県のマンション管理士無料派遣の申込書をダウンロードする(令和8年11月14日締切

電話2本は今日中に。予算枠は年度ごとで、先着順の制度もあります。


よくある質問(FAQ)

Q1. 東伊豆町に、分譲マンションの大規模修繕そのものに使える補助金はありますか?
A. 工事費を直接補助する町独自の制度はありません。ただし、昭和56年5月31日以前に建築された非木造の建物であれば、既存建築物耐震診断事業(基準額の3分の2以内・限度200万円)が使えます。診断は大規模修繕の設計の土台になるため、実質的に工事の入口の補助になります。(出典:東伊豆町 非木造住宅・建築物耐震診断等補助金

Q2. 管理組合が申請者になれますか?
A. 東伊豆町の要綱には、区分所有または共有の建築物の場合は「総会議事録、同意書等」を添付すると明記されています。つまり要綱が区分所有建物を想定した設計になっています。申請者の名義を管理組合とするか理事長個人とするかは、建設整備課 建設管理係(0557-95-6303)にご確認ください。

Q3. 補助金の申請は工事の前ですか、後ですか?
A. 事業の実施前です。東伊豆町の各制度のページには「事業の実施前に補助金交付申請を行ってください」と明記されています。交付決定通知を受け取る前に着手すると、補助の対象外になります。

Q4. ブロック塀の撤去と、フェンスへの建て替えの両方に補助は出ますか?
A. 同一の一団の土地で、この要綱またはかつての生垣づくり補助金の交付をすでに受けている場合は対象外になります。1敷地につき1回とお考えください。撤去のみなら限度26.6万円、フェンス等・生垣への改善なら限度33.3万円です。(出典:東伊豆町安全で美しいいえなみ整備事業費補助金交付要綱(PDF)

Q5. 東伊豆町の住宅リフォーム補助金は、マンションの共用部に使えますか?
A. 使えません。公式ページに「申請者が所有し、居住している住宅が対象です。(貸家やアパートは対象外)」と明記されています。ただし、東伊豆町に住民登録して居住している区分所有者の専有部のリフォームには使える可能性があります。交付回数5回まで・累計20万円までという設計なので、説明会資料に1ページ入れておく価値があります。

Q6. 管理計画認定の申請先はどこですか?
A. 静岡県です。マンション管理計画認定制度の対象は、市の区域は各市、町の区域は県と整理されています。東伊豆町は町なので、静岡県くらし・環境部建築住宅局住まいづくり課(054-221-3084)が窓口です。手数料は令和8年4月1日改定で、事前確認適合証がある場合4,000円、ない場合28,100円です。(出典:静岡県 マンションの管理

Q7. 区分所有者の多くが町外に住んでいます。総会が成立しません。
A. 伊豆のリゾートマンションで最も多いご相談です。実務としては、(1)議案書の発送を通常より2か月前倒しする、(2)委任状と議決権行使書の両方の様式を同封する、(3)返信用封筒に切手を貼る、(4)議案の要約を1枚にまとめて同封する、の4点で回収率が変わります。静岡県のマンション管理士無料派遣(令和8年11月14日締切)で、この点を相談テーマにすることもできます。

Q8. ロープアクセス工法は、傾斜地や崖地に建つマンションでも使えますか?
A. むしろ有利な条件です。足場は地盤の上に組むため、傾斜地や擁壁際では脚部の処理に費用と工期がかかります。ロープアクセスは屋上から下降するため、地盤の条件に左右されにくいという特性があります。ただし、外壁タイルの大面積張り替えなど資材の荷揚げが大量に発生する工事は足場が合理的です。部位ごとに使い分けるハイブリッド工法を含めてご検討ください。技術的な解説はロープアクセスドットコムにまとめています。


この記事のポイントまとめ

  • 東伊豆町の要綱の別表には「マンション」という用途区分が独立して存在する
  • 既存建築物耐震診断事業は基準額の2/3以内・限度200万円。昭和56年5月31日以前の非木造が対象
  • 延べ面積655㎡を超えると基準額の側では限度額に届く。ただし事業費が300万円以上必要
  • 要綱が「区分所有又は共有の場合は総会議事録、同意書等」と管理組合の総会を名指ししている
  • 令和8年3月26日改正・4月1日施行。2026年度の現行制度である
  • 緊急輸送ルート等の沿道なら補強計画策定10/10・耐震化助成4/5と桁が変わる
  • ブロック塀は撤去20m・改善13mで限度額に到達。ただし1敷地1回のみ
  • ブロック塀補助には事業完了から15年の財産処分制限がついている
  • 住宅リフォーム補助は共用部には使えないが、専有部は5回まで使える
  • 管理計画認定の窓口は町ではなく静岡県。手数料は適合証ありで4,000円
  • 令和7年法律第47号でマンション管理適正化支援法人制度が新設された(静岡県は未実施)
  • 町の固定資産税ページに減額の子ページは2件のみ。ページがないことと使えないことは別
  • 県のマンション管理セミナーは熱海(10月予定)と伊東(12月予定)が近い
  • マンション管理士の無料派遣は県全体で10件・令和8年11月14日締切
  • 総会の定足数確保が工程の律速。議案作成は都市部より半年前倒しに

主なお問い合わせ先

窓口 電話番号 主な担当
東伊豆町 建設整備課 建設管理係 0557-95-6303 耐震診断補助・ブロック塀補助・がけ地移転
東伊豆町 税務課 0557-95-6201 固定資産税・長寿命化促進税制の申告
東伊豆町 観光産業課 観光商工係 0557-95-6301 住宅リフォーム振興事業補助金
東伊豆町役場(代表) 0557-95-1100 〒413-0411 静岡県賀茂郡東伊豆町稲取3354
静岡県 くらし・環境部建築住宅局住まいづくり課 054-221-3084 管理計画認定・県セミナー
一般社団法人静岡県マンション管理士会 ファクス 0544-27-6561 マンション管理士無料派遣の申込
一般社団法人日本マンション管理士会連合会 相談ダイヤル 03-5801-0858 管理全般の相談

実務メモ:建設整備課と税務課は同じ町役場(稲取3354)にあります。1回の来庁で両方回れます。開庁時間は月曜日から金曜日の8時30分から17時15分までです。


東伊豆町の建物のこと、まずはご相談ください

株式会社明誠は、マンション・ビル・ホテルの大規模修繕を専門とする改修会社です。通常の足場仮設工事、無足場のロープアクセス工事、その両方を組み合わせたハイブリッド工法という3つの選択肢から、建物にとって最適な工法をご提案します。

  • 傾斜地・崖地に建っていて、足場が組めるのか分からない
  • 海側の鉄部の傷みが早い。原因と対策を知りたい
  • 補助金が使えるのか、まず建物を見てほしい
  • 相見積の条件がそろっているか、第三者の目で見てほしい
  • 温泉の引湯配管が長期修繕計画に入っていない

こうしたご相談に、無料の現地調査・お見積りで対応しています。お問い合わせフォームからご連絡ください。管理組合向けのサービスについても承ります。

総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。


執筆者:本間 幸紘(株式会社明誠 代表取締役)
専門領域:マンション・ビル・ホテルの大規模修繕/ロープアクセス工法(無足場工法)/建物長寿命化計画
実務経験:建設・改修業界 20年以上
所属:一般社団法人 全国建設業支援協会(JCSA)

株式会社明誠について:東京都東大和市を拠点に、東京・関東一円と全国のフランチャイズ加盟店を通じて、ロープアクセス工法・足場工法・ハイブリッド工法の3つを提案できる改修会社。ロープアクセス工事として日本初のフランチャイズを展開し、塗装・防水・タイル・電気・看板など各分野の専門職が加盟しています。

最終更新:2026年9月4日

注記:本記事は2026年9月4日時点で公開されている情報にもとづいて作成しています。補助制度は年度途中で内容・金額・受付状況が変更されることがあります。また、要綱の解釈や適用の可否は個別の建物の条件によって異なります。申請にあたっては、各制度の公式ページと窓口で最新の内容をご確認ください。本記事は法務・税務の助言を目的としたものではありません。


出典・参考資料


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