大規模修繕はロープアクセスが提案可能な東京の明誠へ

創業から6000棟超の施工実績

伊豆の国市のマンション補助金|大規模修繕2026年版

伊豆の国市のマンション補助金|大規模修繕2026年版

この記事で答える質問:静岡県伊豆の国市の分譲マンション管理組合が、2026年度(令和8年度)の大規模修繕で使える補助金・支援制度は何か。そして、そのうち「今週動かないと間に合わないもの」はどれか。

最終更新:2026年8月24日

株式会社明誠の本間です。マンション・ビル・ホテルの大規模修繕工事を、足場を架ける従来工法と、足場を架けないロープアクセス工法(産業用ロープで職人が壁面を昇降して施工する無足場工法)、そしてその両方を部位ごとに使い分けるハイブリッド工法の3つで提案している会社を経営しています。

このシリーズでは、自治体ごとに「管理組合が実際に使える公的支援」を一次情報だけで洗い直しています。三島市、裾野市、御殿場市、伊豆市と静岡県東部を書いてきて、今回が伊豆の国市です。

先に結論を申し上げます。伊豆の国市は、私がこれまで書いてきた静岡県東部の4市とは、決定的に違う市でした。

何が違うのか。伊豆の国市は、市として「伊豆の国市マンション管理適正化推進計画」を策定し、令和5年12月からマンション管理計画認定制度を自前で実施しています。しかも、認定申請に伴う市への手数料は無料です(出典:伊豆の国市「マンション管理の適正化」/2026年7月16日更新)。

三島市・裾野市・御殿場市・伊豆市の記事では、私はいずれも「静岡県は管理計画認定制度の対象を『県内の町域』と明記しているため、市である当該市は県では申請できない。市が受付をしているかは公開情報から確認できなかったので、電話で確認してください」と書くしかありませんでした。

伊豆の国市には、その但し書きが要りません。市が計画を作り、制度を動かし、手数料も取らない。静岡県に直接申請する場合の手数料が事前確認適合証ありで4,000円、なしで28,100円(令和8年4月1日改定)であることを考えると、この「無料」は小さくない差です(出典:静岡県「マンションの管理」/2026年1月5日更新)。

そしてもうひとつ。伊豆の国市は、市内の分譲マンションを10棟673戸と全数把握し、その一覧を推進計画に公開しています。 市の名前で「うちの市にはマンションが何棟あって、何戸あって、いつ建ったか」をここまで開示している自治体は、この連載でも多くありません。

その中身が、また重い。詳しくは本文で書きますが、10棟のうち7棟が1990年から1992年の3年間に集中して竣工しています。 つまり伊豆の国市の分譲マンションは、2030年から2032年にかけて、ほぼ同時に築40年を迎えます。市自身が「10年後には築40年以上のマンションが現在の約17.5倍になる」と書いているのは、この一点に尽きます。

管理組合の理事長さまにとって、これは他人事ではありません。同じ時期に、同じ市内の複数の管理組合が、同じように「そろそろ大規模修繕を」と動き出すということです。工事会社も、設計事務所も、マンション管理士も、数は限られています。

この記事では、伊豆の国市の管理組合が2026年度に使える制度を、市の一次情報だけで整理します。そのうえで、11階建て・13階建てが並ぶ伊豆の国市のマンションで、仮設足場という前提を疑うと何が起きるのかを、私の仕事の話として正直に書きます。

長い記事です。目次代わりに、先に「この記事の結論5つ」を置いておきます。

  1. 伊豆の国市は市として管理計画認定制度を実施しており、市への認定申請手数料は無料。県に申請する場合(町域のみ対象)とは前提が違う。
  2. 市の耐震・ブロック塀・アスベストの各補助は受付期間の目安が4月中旬〜11月末で先着順。2026年8月下旬の今、残りは約3か月。
  3. 市の建築物等耐震診断事業は「非木造住宅・建築物」が対象で、基準額表に「1,000平方メートル以内3,670円/平方メートル」等の面積単価が定められている。ただし限度額の記載が市ページに見当たらない。
  4. マンション長寿命化促進税制は市のページに明記があり、3分の1減額・管理組合による申告の取りまとめ可。令和9年3月31日までの工事完了が要件。
  5. 静岡県のマンション管理士無料派遣は県内10件枠・令和8年11月14日締切。伊豆の国市に市独自の管理相談窓口は見当たらないため、専門家に無料で相談できる公的ルートはここが実質的な入口。

伊豆の国市に分譲マンションは何棟あるのか|市が公開した10棟673戸の中身

まず、この市の分譲マンションがどういう構成なのかを共有させてください。ここを外すと、あとの話が全部ぼやけます。

伊豆の国市は、伊豆の国市マンション管理適正化推進計画(PDF)(令和5年12月策定)の中で、市内のマンション立地状況を一覧で公開しています。個別の建物名は本記事では扱いませんが、集計するとこうなります。

10棟673戸、うち8棟がリゾートマンション

項目 数値
市内マンション棟数 10棟
市内マンション総戸数 673戸
うちリゾートマンションと市が分類 8棟
築40年以上(令和5年12月時点) 1棟38戸(市内全体の5.6%)
10年後の築40年以上見込み 9棟667戸(現在の約17.5倍
竣工年の分布 1974年に1棟、1990〜1992年に7棟、1995年に1棟 ほか
階数の分布 3階〜13階。9階以上が7棟
最大規模 11階建て145戸

(出典:伊豆の国市マンション管理適正化推進計画・参考資料「市内マンション状況」)

この表を、私は工事屋の目で3回読み直しました。読み直すたびに、伝えるべきことが増えました。

論点1:2030年から2032年に、市内のほぼ全戸が一斉に築40年を迎える

10棟のうち7棟が1990年・1991年・1992年に竣工しています。戸数でいうと593戸。市内673戸の88%が、この3年間に生まれた建物です。

築40年になるのは2030年・2031年・2032年。つまり、あと4年から6年です。

大規模修繕は、一般に12年から15年の周期で行われます。1991年竣工なら、2026年の今はすでに3回目の大規模修繕の検討期に入っている計算になります。そして4回目が、築40年前後で来ます。

築40年を超えたマンションで何が起きるかは、私は現場で何度も見ています。外壁の話ではありません。設備です。 給水管、排水管、受変電設備、エレベーター。躯体は手を入れれば持ちますが、設備には寿命があります。そして設備の更新は、外壁塗装のように「今年は見送ろう」が効きません。

私が理事長さまに毎回申し上げているのは、「築40年の壁は、外壁工事の壁ではなく、資金計画の壁です」ということです。伊豆の国市の管理組合は、その壁が市内で同時に来る。

論点2:9階以上が7棟ある

これは工法の話に直結します。

仮設足場の費用は、総工事費のおおむね15%から25%を占めます。そして足場の費用は、壁面積に比例するのではなく、高さと架設・解体の手間に強く効きます。 5階建てと13階建てでは、同じ延べ面積でも足場の単価構造がまったく違います。

伊豆の国市には13階建て、12階建て、11階建てが並んでいます。この階数帯は、私の会社が最も「足場以外の選択肢を検討する価値がある」とお伝えしている領域です。理由は後段の工法比較で詳しく書きます。

論点3:8棟がリゾートマンションであること

ここが伊豆の国市の管理組合にとって、最大かつ固有の課題です。

市自身が推進計画の中で「リゾートマンション特有の課題把握に努め、重点的に取り組みを進めます」と明記しています。行政が計画文書にこう書くとき、それは「課題がある」と認識している、ということです。

リゾートマンションの管理組合運営で何が難しいか。私が現場で聞いてきたのは、だいたいこの3つです。

  1. 区分所有者の多くが市外・県外に住んでいる。 総会に足を運べる人が限られ、委任状と議決権行使書の運用がそのまま総会の成否を決める。
  2. 連絡先が古いまま更新されていない住戸がある。 相続で名義が変わったまま届出がない、転居して郵便が届かない、といった住戸が一定数ある。
  3. 「使う頻度が低いから修繕にお金をかけたくない」という意見が出やすい。 常住していない所有者にとって、積立金の値上げは実感の伴わない負担に映る。

このうち2番目については、伊豆の国市の管理計画認定基準が、そのまま処方箋になっています。認定基準の「5 その他」に、こう書かれています。

管理組合がマンションの区分所有者等への平常時における連絡に加え、災害等の緊急時に迅速な対応を行うため、組合員名簿、居住者名簿を備えているとともに、1年に1回以上は内容の確認を行っていること

年に1回、名簿の中身を確認する。それだけです。しかし、遠方所有者が多いマンションで、これを実際に毎年やっている管理組合は、私の実感では多数派ではありません。

そして、名簿の精度は、大規模修繕の合意形成の精度そのものです。総会の議案を送っても届かない住戸が5%あれば、それは決議の分母から5%が抜けているのと同じことです。

論点4:市が実態調査を予告している

推進計画には、市が市内全マンションを対象に実態調査を行うと明記されています。内容は2段構えです。

調査 内容
基礎調査 土地・家屋登記事項証明書をもとにデータベース化(所在地、建物名称、構造、階数、登記年月等)
アンケート調査 管理組合向け。戸数、築年数、用途(自己居住用・賃貸用)、管理組合の運営状況、管理委託状況、管理規約の有無、長期修繕計画・修繕積立金に関する事項、管理者及び委託管理会社の氏名・名称及び連絡先 等

必要に応じて未回答の管理組合への再送、調査員による現地調査、ヒアリング調査も実施すると書かれています。

理事長さまにお願いしたいことは、ひとつだけです。市からアンケートが来たら、必ず返してください。

理由は2つあります。ひとつは、無視すると再送や現地調査の対象になり、結局手間が増えるから。もうひとつは、こちらのほうが大事なのですが、このアンケートが「市の助言・指導」ルートの入口だからです。

この「助言・指導」が、後述するマンション長寿命化促進税制の要件に直結します。伊豆の国市では、管理計画の認定を取らなくても、市の助言・指導を受けて長期修繕計画を適切に作成・見直しすれば、税制の対象になりうる道が用意されています。アンケートを返すことは、その道の入口に立つことでもあります。


伊豆の国市の共用部大規模修繕そのものへの直接補助はあるか|結論と、その先

正直に申し上げます。

2026年8月時点で公開されている伊豆の国市の情報からは、「分譲マンションの共用部の大規模修繕工事そのものに、市が工事費を直接補助する制度」は確認できませんでした。

外壁塗装をしたら何割、防水をしたら上限いくら、という形の補助は見当たりません。これは三島市・裾野市・御殿場市・伊豆市と同じで、静岡県東部ではむしろ標準的な状態です。

ただ、ここで記事を終わらせては意味がありません。私が理事長さまにお伝えしたいのは、こういうことです。

「工事費そのものへの補助はない。しかし、工事にたどり着くまでの過程を支える制度は、伊豆の国市にはむしろ手厚く揃っている。」

具体的には、次の6つです。この記事は、この6つを1本ずつ潰していく構成になっています。

# 制度 内容の要点 窓口
1 マンション管理計画認定制度 市が実施。市への認定申請手数料は無料 都市計画課 055-948-2909
2 マンション長寿命化促進税制 固定資産税を翌年度1年間、3分の1減額。管理組合が申告を取りまとめ可 税務課 資産税係 055-948-2907
3 建築物等耐震診断事業 非木造住宅・建築物の耐震診断費の3分の2以内。基準額は面積単価 危機管理課 055-948-1482
4 建築物補強計画策定事業 特定建築物等の補強計画策定費。1,000平方メートル未満で1棟300万円 危機管理課 055-948-1482
5 安全な通学路等整備(ブロック塀等撤去改善)事業 撤去は上限10万円、改善は上限25万円 危機管理課 055-948-1482
6 民間建築物アスベスト分析調査事業費補助金 分析調査費の10分の10以内・1棟25万円限度 環境政策課(大仁庁舎)0558-76-8002

(各制度の詳細と出典は以下の各章で示します)

ここでひとつ、伊豆の国市ならではの注意点を先に書いておきます。

窓口が4つの課に分かれていて、しかも庁舎が分かれています。

伊豆の国市は2005年に伊豆長岡町・韮山町・大仁町が合併して誕生した市です。その名残で、危機管理課・市民課・税務課は伊豆長岡庁舎、都市計画課は伊豆長岡庁舎別館2階、環境政策課は大仁庁舎にあります。

「役所に行けば一度に全部聞ける」と思って出かけると、二度手間になります。私の提案は単純です。行くのではなく、電話を4本かけてください。 1本5分、合計20分です。何を聞くかは、この記事の各章の末尾に台本として書いておきます。

マンション管理計画認定制度は伊豆の国市で申請できる?→はい、市が実施しており手数料は無料

この記事で一番お伝えしたいのが、この章です。

令和5年12月から、伊豆の国市が自前で運用している

伊豆の国市は「マンション管理の適正化」のページで、こう明記しています。

令和5年12月から伊豆の国市でもマンション管理計画認定制度を開始します。

(出典:伊豆の国市「マンション管理の適正化」/2026年7月16日更新)

制度の枠組みを整理します。

項目 伊豆の国市の内容
実施開始 令和5年12月
認定基準 国が定めた基準。市独自の基準は設けていない
申請方法 (公財)マンション管理センターのインターネット電子システム(管理計画認定手続支援サービス)による申請のみ
事前確認適合証 同システム内で発行されるものが必要
市への認定申請手数料 無料
別途必要な費用 (公財)マンション管理センターへのシステム利用料および事前確認審査料
窓口 都市計画課(伊豆長岡庁舎別館2階)055-948-2909

「市独自の基準を設けていない」というのは、管理組合にとって朗報です。国の標準どおりに整えれば通るということで、伊豆の国市だけの追加ハードルを心配する必要がありません。

静岡県に申請する場合とは前提が違う

なぜこれが大きいのか。比較で見ていただくのが早いと思います。

伊豆の国市 静岡県(町域が対象)
対象区域 伊豆の国市内 県内の町域(市は対象外)
認定申請手数料(適合証あり・計画1つ) 無料 4,000円(令和8年4月1日改定。改定前3,800円)
認定申請手数料(適合証なし・計画1つ) 28,100円(改定前26,900円)
更新時 同上 同上

(静岡県の手数料は静岡県「マンションの管理」より)

この連載で、私は静岡県の手数料表を何度も引用してきました。適合証があるかないかで7倍前後の差がつくので、「マンション管理センター経由が王道です」と書いてきました。

伊豆の国市の場合、市への手数料はそもそも無料です。それでも申請方法はマンション管理センターのシステム経由のみと決まっているので、センターのシステム利用料と事前確認審査料は必要になります。「無料」は市に払うぶんがゼロという意味であって、費用が一切かからないという意味ではありません。 ここは正確に理解しておいてください。

認定基準5分野を、理事会のチェックリストに落とす

伊豆の国市の認定基準は、推進計画に全文が載っています。理事会でそのまま使えるように、チェックリスト形式に組み直しました。

1. 管理組合の運営

  • [ ] 管理者等が定められている
  • [ ] 監事が選任されている
  • [ ] 集会(総会)が年1回以上開催されている

2. 管理規約

  • [ ] 管理規約が作成されている
  • [ ] 災害等の緊急時や管理上必要なときの専有部の立入り、修繕等の履歴情報の管理等について規約に定めがある
  • [ ] 管理組合の財務・管理に関する情報の書面の交付(または電磁的方法による提供)について規約に定めがある

3. 管理組合の経理

  • [ ] 管理費と修繕積立金等が明確に区分して経理されている
  • [ ] 修繕積立金会計から他の会計への充当がない
  • [ ] 直前の事業年度末時点で、修繕積立金の3か月以上の滞納額が全体の1割以内

4. 長期修繕計画の作成及び見直し

  • [ ] 長期修繕計画が「長期修繕計画標準様式」に準拠して作成され、計画の内容と修繕積立金額が総会で決議されている
  • [ ] 長期修繕計画の作成または見直しが7年以内に行われている
  • [ ] 計画期間が30年以上で、残存期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれる
  • [ ] 将来の一時的な修繕積立金の徴収を予定していない
  • [ ] 計画期間全体での修繕積立金の平均額が著しく低額でない
  • [ ] 計画期間の最終年度において借入金の残高がない計画になっている

5. その他

  • [ ] 組合員名簿・居住者名簿を備え、1年に1回以上は内容を確認している
  • [ ] 都道府県等マンション管理適正化方針に照らして適切である

私の経験上、実務で引っかかるのは太字にした3つです。特にリゾートマンションが多い伊豆の国市では、「5. その他」の名簿の年1回確認が、そのまま管理組合の体力を映す項目になります。

そして「4」の2つ目と3つ目。長期修繕計画の見直しは、どのみち大規模修繕の前にやります。 認定を取るか取らないかを先に決めておけば、その作業を一度で済ませられます。順番を逆にして「工事が終わってから認定を検討しよう」とすると、計画をもう一度いじることになります。

私が理事長さまに毎回お伝えしているのは、この順番論です。認定を取るかどうかは、長期修繕計画の見直しに着手する前に決めてください。 決断そのものより、決断のタイミングのほうが、費用と手間に効きます。

認定を取ると何が得か

伊豆の国市はページで4つのメリットを挙げています。

  1. 区分所有者の管理への意識が高く保たれ、管理水準を維持しやすくなる
  2. 適正に管理されたマンションとして、市場において評価される
  3. 適正に管理されたマンションが存在することで、立地している地域価値の維持向上につながる
  4. 住宅金融支援機構の【フラット35】およびマンション共用部分リフォーム融資の金利引き下げ等が受けられる(詳細は機構へ直接確認)

工事屋の立場から言うと、4番目が実務的にいちばん効きます。大規模修繕の資金が足りないとき、機構の共用部分リフォーム融資を使う管理組合は少なくありません。そのときの金利が下がるということは、総返済額が変わるということです。

もうひとつ、リゾートマンションが多い伊豆の国市では2番目も軽くありません。市外の所有者が売却を検討したとき、「管理計画認定マンション」という表示があるかないかは、買い手の判断材料になります。理事会が積立金の値上げを提案するときに、「値上げは資産価値の話でもあります」と説明できる根拠になる、という言い方のほうが総会では通りやすいかもしれません。

都市計画課に聞くこと(電話台本)

伊豆の国市 都市計画課 055-948-2909

  1. 「管理計画認定制度について、令和8年度も市で受け付けていますか。申請前に市へ相談したほうがよい点はありますか」
  2. 「認定の前に、市の助言・指導を受けて長期修繕計画を見直すルートについても教えてください。助言・指導内容実施等証明書は市が発行すると税務課のページにありました」
  3. 「マンション管理適正化支援法人の登録制度について、市の区域は市が登録主体と静岡県のページにあります。伊豆の国市で登録制度を実施する予定はありますか」

3番目は、2026年時点の新しい論点です。令和7年5月30日公布の「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律」(令和7年法律第47号)により、令和7年11月28日に一部施行された「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」で、マンション管理適正化支援法人の登録制度が新設されました。

静岡県は「現段階では、登録制度は実施していません」と明記し、「各市が所管する市の区域における登録制度については、各市のマンション担当部署に直接お問い合わせください」としています。伊豆の国市は市なので、登録主体は伊豆の国市自身です。 今すぐ管理組合が何かする話ではありませんが、理事会の引き継ぎ事項に一行入れておく価値はあります。


マンション長寿命化促進税制は伊豆の国市で使える?→はい、市のページに明記あり・3分の1減額

伊豆の国市は「大規模の修繕等が行われたマンションに係る固定資産税の減額措置」というページを持っています(2026年4月27日更新)。この連載で、市の側にこのページがきちんとあった市は多くありません。

(出典:伊豆の国市「大規模の修繕等が行われたマンションに係る固定資産税の減額措置」

制度の中身

項目 内容
減額割合 家屋に係る固定資産税(建物部分100平方メートルまで)の3分の1
減額期間 2回目以降の工事が完了した年の翌年度の1年間
適用回数 1戸につき1回限り
対象 区分所有のマンション。居住部分のみ

5つの要件(全部満たす必要があります)

  1. 新築された日から20年以上が経過しているマンションであること
  2. 総戸数が10戸以上のマンションであること(店舗・事務所等の用に供しているものも含む総戸数)
  3. 過去に長寿命化工事を1度以上実施していること
  4. 令和5年4月1日から令和9年3月31日までの間に、2回目以降の長寿命化工事を完了していること
  5. 次の(ア)(イ)いずれかに該当すること
    – (ア)管理計画認定マンションで、令和3年9月1日以降に修繕積立金の額を管理計画の認定基準まで引き上げたもの
    – (イ)市の助言指導を受けて、適切に長期修繕計画を作成または見直しを行ったマンションで、長期修繕計画が一定の基準に適合することとなったもの

ここが伊豆の国市の面白いところです。(ア)の認定ルートと、(イ)の助言・指導ルートの、両方が市の中で完結します。 認定通知書も、助言・指導内容実施等証明書も、どちらも伊豆の国市都市計画課が発行すると、市の税制ページの提出書類一覧に明記されています。

つまり伊豆の国市の管理組合には、税制に乗るための道が2本あります。認定を取りにいく道と、市の助言・指導を受けて長期修繕計画を整える道です。前者のほうが手続きは重く、得られるメリット(機構の金利引き下げ等)は大きい。後者は、市の実態調査アンケートに答えるところから始まります。

長寿命化工事の定義に、落とし穴があります

市のページはこう定義しています。

長寿命化工事とは、屋根防水工事、床防水工事及び外壁塗装工事のことを指します。減額対象となるのは、上記3つの工事を一体で実施した場合に限ります。(一の工事請負契約であることや、一の総会決議で工事実施が決議されるなど一体として扱われる工事であることが必要です。)

私が現場で何度も見てきた失敗が、まさにここです。

「予算が厳しいので、屋上防水は次回に回しましょう」。 総会でよく出る、まったく合理的に聞こえる提案です。しかしこの一言で、税制の対象から外れます。3つが揃わないと対象にならないからです。

もうひとつ。「一の工事請負契約であること」。 外壁塗装はA社、防水はB社、と分けて発注すると、一体性の説明が難しくなります。分離発注が悪いという話ではなく、税制を取りにいくなら契約の組み方から設計する必要がある、という話です。

なお、過去に行った長寿命化工事については、3つの工事をすべて実施している必要はありますが、一体で行っている必要はない、と市は明記しています。過去分は3つ揃っていればよく、今回分は一体でなければならない。 ここを取り違えると、要件3を満たしているのに諦めてしまうことになります。

申告は管理組合が取りまとめられます

市は手続きについて、次の2つの方法を示し、「なるべく1.の方法によるお手続きにご協力くださいますようお願いいたします」と書いています。

  1. マンションの管理組合が、各区分所有者の申告書を取りまとめ、各種証明書などの必要書類1部を添えて提出する
  2. マンションの管理組合が、事前に税務課へ各種証明書などを1部提出し、その後、各区分所有者が各自で申告書のみを市に提出する

これは実務上とても大きな情報です。遠方に住む区分所有者が多いリゾートマンションで、各自が個別に証明書を揃えて申告するのは、現実的にほぼ不可能です。 管理組合が取りまとめられるなら、理事会が動けば全戸が減額を受けられます。

そして、証明書は全体で1部でよい。100戸のマンションで、100部の大規模修繕等証明書を建築士に発行してもらう必要はありません。

提出期限は「工事後3か月以内」

ここも毎回申し上げていることですが、長寿命化工事後3か月以内という期限があります。

工事が終わってから証明書の発行を依頼すると、間に合わないことがあります。市のページによれば、必要な証明書は次のとおりです。

書類 発行機関
大規模の修繕等が行われたマンションに係る固定資産税減額申告書 伊豆の国市の様式(PDF・エクセル)
マンションの総戸数を確認できる書類 設計図の写し等
過去工事証明書 登録を受けた建築士事務所に所属する建築士またはマンション管理士
大規模修繕等証明書 登録を受けた建築士事務所に所属する建築士または住宅瑕疵担保責任保険法人
管理計画の認定通知書(認定ルートの場合) 伊豆の国市都市計画課
修繕積立金引上証明書(認定ルートの場合) 建築士またはマンション管理士
助言・指導内容実施等証明書(助言・指導ルートの場合) 伊豆の国市都市計画課

私が理事長さまにお願いしているのは、「大規模修繕等証明書の発行を、工事の請負契約書に書き込んでください」ということです。契約に入っていれば、竣工と同時に動きます。入っていなければ、竣工後に別途依頼することになり、その分だけ3か月が削られます。

税務課に聞くこと(電話台本)

伊豆の国市 税務課 資産税係 055-948-2907

  1. 「長寿命化促進税制について、令和8年度も市で受け付けていますか」
  2. 「管理組合が申告書を取りまとめる場合、事前に相談したほうがよいタイミングはありますか」
  3. 「過去工事証明書について、当時の工事記録がどこまで残っていれば発行できそうか、事例があれば教えてください」

3番目は、築30年を超えたマンションでよく詰まる論点です。1回目の大規模修繕が20年前で、当時の書類が段ボールのどこかにある、という状態はまったく珍しくありません。「過去工事記録の収集」は、大規模修繕の準備で最も早く着手すべき作業のひとつです。 これは補助金の話ではなく、単純に時間がかかる作業だからです。

伊豆の国市地震対策推進事業6本を、マンション目線で仕分けする

伊豆の国市の耐震関係の補助は、「伊豆の国市地震対策推進事業」という1ページにまとまっています(2026年4月1日更新/窓口は危機管理課 055-948-1482)。

(出典:伊豆の国市「伊豆の国市地震対策推進事業」

全6事業を、分譲マンションの管理組合という立場から仕分けするとこうなります。

# 事業名 管理組合に効くか 補助の内容
1 わが家の専門家診断事業 ×(木造のみ) 無料の簡易耐震診断。戸建住宅・長屋・共同住宅だが木造が対象
2 木造住宅耐震補強助成事業(補強計画一体型) ×(木造のみ) 費用の10分の8と115万円の少ない額
3 安全な通学路等整備(ブロック塀等撤去改善)事業 撤去:上限10万円/改善:上限25万円
4 建築物等耐震診断事業 非木造住宅・建築物の診断費の3分の2以内
5 建築物補強計画策定事業 △〜○ 特定建築物等。1棟300万円〜1,080万円の基準額
6 耐震シェルター・防災ベッド設置事業 ×(木造のみ) 2分の1・上限40万円(高齢者等50万円)

まず、よくある誤情報を潰しておきます

インターネットで「伊豆の国市 耐震 補助 115万円」と検索すると、そういう数字が出てきます。これは木造住宅耐震補強助成事業(補強計画一体型)の金額であって、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造のマンション共用部には当たりません。

対象は「市内にある昭和56年5月31日以前に建築された木造住宅」で、(1)戸建住宅、長屋、共同住宅、(2)店舗・作業所等の併用住宅。別荘や空き家は対象外と明記されています。木造の共同住宅は対象に入りますが、伊豆の国市の分譲マンション10棟は9階から13階の高層が中心です。木造ではありません。

理事長さまご自身が市内に旧耐震の木造戸建てをお持ちなら、この制度はご自身のために使えます。そしてこの情報を、掲示板に貼るなり総会資料に1行入れるなりして居住者に共有することは、費用ゼロで管理組合の信頼残高を積める行為です。私はこれを毎回おすすめしています。

なお、市の令和8年度アクションプログラムには「木造住宅耐震化プロジェクト『TOUKAI-0+』が令和8年度より開始するという情報を、広く拡散する」と書かれています。木造側の制度は2026年度に切り替わったところなので、詳細は危機管理課にご確認ください。

建築物等耐震診断事業|「非木造住宅・建築物」と明記されている

ここが、マンション管理組合にとって伊豆の国市で最も現実的な補助です。

市のページの記載を、そのまま引用します。

昭和56年5月31日以前に建築された非木造住宅・建築物の耐震診断をする場合、市から耐震診断の費用の一部を補助します。

補助額と補助率は2本立てです。

対象 補助の計算
1戸建住宅 経費と134,000円/棟を比較して少ない額の3分の2以内
建築物 下の基準額表から算出される額と経費を比較して少ない額の3分の2以内

基準額表:

対象建築物の床面積 補助額
1,000平方メートル以内の部分 3,670円/平方メートル
1,000平方メートル超2,000平方メートル以内の部分 1,570円/平方メートル
2,000平方メートル超の部分 1,050円/平方メートル

この基準額表を、伊豆の国市の実際のマンション規模に当てはめて計算してみます。

試算:延べ床面積3,000平方メートル(40戸程度)の場合

  • 1,000平方メートル以内の部分:1,000 × 3,670円 = 3,670,000円
  • 1,000超〜2,000平方メートルの部分:1,000 × 1,570円 = 1,570,000円
  • 2,000平方メートル超の部分:1,000 × 1,050円 = 1,050,000円
  • 基準額の合計:6,290,000円
  • その3分の2:約419万円

試算:延べ床面積8,000平方メートル(100戸超・11階建てクラス)の場合

  • 1,000 × 3,670円 = 3,670,000円
  • 1,000 × 1,570円 = 1,570,000円
  • 6,000 × 1,050円 = 6,300,000円
  • 基準額の合計:11,540,000円
  • その3分の2:約769万円

ここで、正直に留保を書きます。

市のページには、この事業の限度額の記載が見当たりません。 三島市と裾野市は、同種の事業に「上限200万円」と明記しています。御殿場市も限度額の記載がなく、私は御殿場市の記事で「要綱に定めがある可能性があるので、断定は避けて電話で確認してください」と書きました。伊豆の国市も同じ扱いにします。

上の試算はあくまで基準額表を機械的に当てはめたものであって、市が「419万円出します」と言っているわけではありません。 要綱に限度額の定めがあるかどうか、そして分譲マンションの共用部が対象になるかどうかは、必ず危機管理課に確認してください。

そのうえで申し上げると、基準額表がわざわざ面積単価で3段階に分かれているという事実は、それなりに重い意味を持ちます。一戸建てだけを想定しているなら、134,000円/棟の一本で足ります。面積単価を用意しているのは、大きな建物を想定しているからです。

建築物補強計画策定事業|金額は大きいが、要件が厳しい

補強計画(耐震補強の設計)の費用を補助する制度です。金額表を見ると、静岡県東部の他市と比べても目を引きます。

用途 対象建築物の床面積 補助額(基準額)
一戸建て住宅 1,800千円/棟
一戸建て住宅以外 1,000平方メートル未満 3,000千円/棟
一戸建て住宅以外 1,000〜2,000平方メートル未満 4,800千円/棟
一戸建て住宅以外 2,000〜3,000平方メートル未満 6,000千円/棟
一戸建て住宅以外 3,000〜5,000平方メートル未満 7,200千円/棟
一戸建て住宅以外 5,000〜10,000平方メートル未満 9,000千円/棟
一戸建て住宅以外 10,000平方メートル以上 10,800千円/棟

補助率は、緊急輸送路ルート等沿道建築物以外が3分の2以内、緊急輸送路ルート等沿道建築物が6分の5以内です。

裾野市の補強計画策定事業が上限30万円だったことを思うと、桁が違います。ただし、対象要件が厳しい。

昭和56年5月31日以前に建築され、以下の(1)(2)いずれかの条件を満たす建築物。
(1)災害時に重要な機能を果たす建築物又は災害時に多数の者に危険が及ぶおそれのある建築物で、床面積1,000平方メートル以上で原則地上3階以上であり、特定行政庁の勧告又は耐震改修促進法に基づく指導を受けたもの
(2)静岡県耐震改修促進計画に規定する耐震診断義務付け対象道路(緊急輸送路等)沿いの既存耐震不適格建築物

つまり、床面積と階数の条件は伊豆の国市の高層マンションなら多くが満たしますが、「特定行政庁の勧告又は指導を受けたもの」という条件が入ります。放っておいて自動的に対象になるものではありません。

(2)の緊急輸送路沿道については、自分のマンションが該当するかどうかは、敷地の前面道路次第です。伊豆の国市は国道136号と伊豆縦貫自動車道が縦に走る市です。 該当の可能性がゼロとは言えません。これも電話1本で確認できます。

ブロック塀は、伊豆の国市では近隣より薄い

正直に書きます。伊豆の国市のブロック塀補助は、静岡県東部の中では手薄なほうです。

事業 基準単価 補助率 上限
撤去事業 延長1メートルにつき9,200円 3分の2以内 1敷地につき10万円
改善事業 改善された安全な塀等の延長1メートルにつき38,400円 3分の1以内 1敷地につき25万円

近隣3市と並べます。

撤去の上限 改善・建替えの上限
伊豆の国市 10万円 25万円(改善・3分の1以内)
伊豆市 266,000円 通常の改善166,000円(3分の1)/生垣等への作り替え333,000円(3分の2)
御殿場市 266,000円 建替え432,000円(3分の2)

伊豆の国市で押さえておくべき条件は3つです。

  1. 改善事業の対象になる道路が限定されている。 撤去事業は「道路に接するブロック塀」ですが、改善事業は「緊急輸送路、避難路、避難地等に面しているブロック塀」に限られます。
  2. 改善で他の塀に転換する場合は、金属製フェンス等の安全な塀にすること。組積造の塀は含まない。 ブロック塀からブロック塀への作り替えは想定されていません。
  3. 市職員が完了検査を行います。

撤去の対象条件も明記されています。原則60センチメートルを超えるブロック塀等で、かつ次のいずれかを満たすもの。

  • 基礎の根入れが地盤から30センチメートル未満
  • 塀の高さが地盤面から2メートル超
  • 控え壁が3.2メートルごとにない
  • 塀の傾き、ひび割れがある
  • 塀に鉄筋が入っていない

管理組合の実務としては、こうお願いしています。

敷地図を広げて30分。駐輪場の裏、駐車場の外周、ゴミ置き場の脇、隣地境界。この4か所を見てください。 マンションの敷地には、本体の陰に隠れたブロック塀が意外と残っています。そして、それらは長期修繕計画に載っていないことが多い。

そのうえで、塀の工事は本体の大規模修繕とは別契約に切り出してください。 補助は交付決定通知を受けてから着手するのが原則です。本体工事の契約に混ぜ込むと、着工時期が本体に引きずられ、交付決定前の着手になりかねません。

危機管理課に聞くこと(電話台本)

伊豆の国市 危機管理課 055-948-1482(伊豆長岡庁舎1階)

  1. 建築物等耐震診断事業について、分譲マンションの共用部(区分所有建物)は対象になりますか。申請は管理組合名義で可能ですか」
  2. 「同事業に限度額の定めはありますか。基準額表から算出した額の3分の2、という理解でよいですか」
  3. 「令和8年度の受付枠はまだ残っていますか。受付は4月中旬から11月末が目安で先着順とページにありました」
  4. 「うちの敷地の前面道路が緊急輸送路や避難路に該当するかを確認したいのですが、どこで調べられますか」

受付期間は「4月中旬から11月末が目安」|今は8月下旬です

市のページの冒頭に、こう書かれています。

補助事業は必ず着手(契約)前に申請が必要となります。また、事業は単年度で完了するものとし、予算の範囲内で補助を行います。申請は先着順です。受付期間は4月中旬から11月末が目安となりますので、お早めにご相談ください。

この記事を公開している2026年8月24日は、その期間のちょうど真ん中を過ぎたところです。残りは約3か月。

そして「単年度で完了するもの」という条件も重い。11月末に申請しても、年度内に事業を終えて実績報告まで出せなければ意味がありません。 耐震診断には期間がかかります。実務的な締切は、11月末よりかなり手前にあると考えたほうが安全です。


アスベストの分析調査は全額補助|ただし除去の補助は見当たりません

伊豆の国市には「民間建築物アスベスト分析調査事業費補助金」があります(2026年4月1日更新/窓口は環境政策課・大仁庁舎 0558-76-8002)。

(出典:伊豆の国市「民間建築物アスベスト分析調査事業費補助金」

項目 内容
補助対象建築物 市内の区域に存する民間建築物(用途・所有形態を限定する文言は見当たらない)
補助対象石綿 建築基準法で規制されている「吹付けアスベスト等」に該当する建材
補助対象経費 所有者等が分析機関に対して支払う経費
補助金の額 補助対象経費の10分の10以内。1棟あたり25万円を限度
申請期間 令和8年4月1日(水)から令和8年11月30日(月)まで(補助予定枠に達した場合はこれ以前に締切)
受付 先着順、予算がなくなり次第終了
提出方法 市役所環境政策課窓口(大仁支所)へ持参(郵送不可)
重要 事業着手前に交付申請し交付決定を受ける必要がある。着手済み・完了済みは申請不可

近隣市と比べてみます。

分析・調査 除去
伊豆の国市 10分の10以内・25万円 公開情報では確認できず
富士市 全額・25万円 3分の2・60万円
沼津市 25万円 3分の2・120万円
静岡市 25万円 3分の1・60万円
伊豆市 公開情報では確認できず 3分の2以内・1敷地120万円

伊豆の国市は「調査は全額、除去は自力」という構造です。伊豆市とはちょうど逆になります。

管理組合の実務としては、こう読んでください。

調査費は補助で賄える前提で計画に入れてよい。しかし、除去費は自己負担前提で長期修繕計画に載せてください。

私が現場で最も悔しい思いをするのが、この論点です。足場を架けて、工事が始まって、機械室の天井裏を開けたら吹付け材が出てきた。その瞬間、工事は止まります。分析に出して、結果が出るのを待って、除去の計画を立てて、届出をして。その間、足場のリース料だけが日割りで積み上がっていきます。

止まっている足場ほど、見ていて虚しいものはありません。

吹付けアスベストが出やすい場所は、経験上この6か所です。

  1. 機械室(受水槽・ポンプ室)の天井裏
  2. 電気室・受変電設備室
  3. 屋内駐車場の天井
  4. 階段室の裏側
  5. エレベーター機械室
  6. パイプスペース(PS)内部

平成29年度から「建築物石綿含有建材調査者」という資格制度が動いています。業者選定の際に「事前調査は建築物石綿含有建材調査者が行いますか」と1問聞いてください。 これは価格の話ではなく、工程が止まるかどうかの話です。

そしてもうひとつ、伊豆の国市固有の実務。環境政策課は大仁庁舎です。 危機管理課・税務課がある伊豆長岡庁舎とは別の建物です。しかも郵送不可で持参が必要。段取りに入れておいてください。

業者への追加質問

見積り依頼のときに、こう聞いてください。

「アスベストの事前調査で吹付け材が見つかった場合、分析調査の交付決定を待ってから着手できる工程を組めますか。その場合、足場や仮設のリース費用はどう扱われますか」

この質問に対する答え方で、その会社が段取りを考えているかどうかが分かります。「そのときは相談ということで」という答えが返ってきたら、契約書の「別途」の欄をよく見てください。

静岡県のマンション管理士無料派遣は10件枠|申込期限は令和8年11月14日

伊豆の国市は市として管理計画認定制度を持っていますが、「管理組合の相談に無料で乗ってくれる専門家を派遣する」制度は、市の公開情報では確認できませんでした。 そこを埋めるのが静岡県の事業です。

(出典:静岡県「マンションの管理」/2026年1月5日更新)

令和8年度 マンション管理組合活動活性化支援事業(マンション管理士の無料派遣)

項目 内容
内容 県内のマンション管理組合に専門家(マンション管理士)を派遣し、業務補助および助言等を行う
受付件数 10件(上限に達した時点で申込終了)
派遣回数 各管理組合2回まで
申込期限 令和8年11月14日(土曜)(定数に達し次第、早期終了)
派遣期限 令和9年1月31日(日曜)まで
申込先 一般社団法人静岡県マンション管理士会 メール t_gotoh@tx.thn.ne.jp / ファクス 0544-27-6561
費用 無料(県が一般社団法人静岡県マンション管理士会に業務を委託)

静岡県全体で10件です。 政令市を含む県内全域の管理組合が対象で、10件。数字を見て「これは早いもの勝ちだ」と思われたら、その感覚は正しいと思います。

私からの提案は、2回の使い方を先に決めておくことです。

1回目:長期修繕計画と修繕積立金の水準チェック

今の長期修繕計画が何年前のものか。計画期間は30年以上あるか。大規模修繕が2回以上含まれているか。積立金の水準は計画に対して足りているか。管理計画認定を目指すなら、この1回目が事実上の予行演習になります。

2回目:相見積りの比較と、業者選定プロセスのチェック

見積書が3社出そろった段階で使う。数量の拾い方が各社で違わないか。仕様のグレードが揃っているか。「別途」の中身がどうなっているか。

私は工事を請ける側の人間ですが、それでも申し上げます。発注者側に専門家がついている現場のほうが、私たちも仕事がしやすいのです。 質問が具体的になり、判断が早くなり、後から「聞いていない」が起きにくくなる。専門家が入ることを嫌がる工事会社があったら、その理由を聞いてみてください。

県のマンション管理セミナーに、伊豆の国市は入っていません

令和8年度のセミナー開催予定は9会場です。

開催場所 開催日 会場
浜松市 令和8年7月25日(土) 可美公園総合センター
磐田市 令和8年8月29日(土) 磐田商工会議所
三島市 令和8年9月12日(土) 三島市役所
熱海市 令和8年10月予定
沼津市 令和8年10月予定
静岡市 令和8年11月予定
伊東市 令和8年12月予定
富士市 令和9年2月予定
浜松市 令和9年2月予定

伊豆の国市での開催予定はありません。

ただし、伊豆の国市は立地に恵まれています。伊豆の国市役所から三島市役所までは、伊豆縦貫自動車道と伊豆中央道で車およそ25分から30分。 伊豆箱根鉄道駿豆線を使えば伊豆長岡駅から三島駅まで20分強です。9月12日の三島市回は、十分に日帰りの射程です。10月の熱海市回・沼津市回も同様です。

セミナー参加について、ひとつ提案があります。

理事長おひとりではなく、次期理事候補の方とお二人で行ってください。

管理組合の理事は任期1年のところが多い。この記事の後半で示す準備カレンダーは18か月です。つまり、大規模修繕の準備は必ず2代の理事会をまたぎます。知識が引き継がれないと、翌年ゼロから始まります。 二人で聞いておけば、少なくとも片方は残ります。


伊豆の国市の地震・水害リスクは、近隣4市と何が違うのか

補助金の話から少し離れますが、ここは総会の議案説明で1行引用できる根拠になるので、書いておきます。

想定される揺れの被害は、近隣より小さい

伊豆の国市耐震改修促進計画に記載された静岡県第4次地震被害想定によれば、伊豆の国市の南海トラフ沿いの地震による全壊・焼失棟数は、レベル1(相対的に発生頻度が高い地震)で約200棟、レベル2(最大クラス)で約300棟と想定されています。

(出典:伊豆の国市「伊豆の国市の耐震化」/2026年4月3日更新、静岡県第4次地震被害想定関連資料

近隣と並べると、伊豆の国市の位置づけが見えます。

想定の性格
御殿場市 相模トラフ沿いの元禄型関東地震で全壊焼失約7,150棟
三島市 相模トラフ沿いで全壊焼失約2,700棟
伊豆市 南海トラフで全壊焼失約1,500棟・死者約1,400人(土肥地区の津波)
伊豆の国市 南海トラフでレベル2でも約300棟

伊豆の国市は伊豆半島の内陸部にあり、海に面していません。津波の直接被害の想定が小さいことが、この数字の背景にあります。

ただし、「揺れの被害想定が小さい」ことと「建物を放っておいてよい」ことは別です。 私が現場で見てきた被害は、建物が倒れる被害ではありません。タイルが剥がれて落ちる、庇のコンクリート片が落ちる、屋外階段の手すりの付け根が抜ける。人に当たれば、それで終わりです。

伊豆の国市の耐震改修促進計画のランク表を読むと、市が耐震性能を「1a・1b・2・3」の4段階で判定し、RC造・S造・SRC造については Is/Et の値で分類していることが分かります。分譲マンションの躯体が新耐震基準(昭和56年6月1日以降)で建っているなら、躯体の耐震性そのものは基本的に確保されています。 伊豆の国市の10棟のうち9棟は1990年以降の竣工です。

だからこそ、管理組合が向き合うべきは躯体ではなく、「落ちるもの」です。外壁タイル、モルタル、シーリング、手すり、笠木、屋外広告物。大規模修繕は、きれいにする工事ではありません。落ちるものを落ちないようにする工事です。 私は理事長さまにいつもこの言い方をしています。

木造の耐震化補助は、実績が急減しています

伊豆の国市住宅耐震化緊急促進アクションプログラム2026(令和8年4月)から、木造住宅の補助実績を並べます。

年度 耐震診断費 補助戸数 耐震改修工事費 補助戸数
令和元年度 6戸 1戸
令和2年度 2戸 5戸
令和3年度 8戸 4戸
令和4年度 70戸 4戸
令和5年度 96戸 9戸
令和6年度 76戸 9戸
令和7年度 3戸 11戸
令和8年度目標 10戸 10戸

(出典:伊豆の国市住宅耐震化緊急促進アクションプログラム2026(PDF)

診断が令和5年度の96戸から令和7年度の3戸へ、大きく減っています。一方で改修工事は令和7年度に11戸と過去最多です。

これをどう読むか。私は「診断すべき木造住宅が一巡し、施策の重心が改修へ移った」と読んでいます。市が令和8年度に「TOUKAI-0+が令和8年度より開始するという情報を、広く拡散する」と書いているのも、新しい枠組みで再度掘り起こしにいく、ということでしょう。

管理組合にとって重要なのは、この事実です。伊豆の国市の耐震施策の主戦場は、木造戸建てです。 分譲マンションの側から動かない限り、行政のほうから声はかかりません。この記事の各章で「電話してください」と繰り返しているのは、そういう構造だからです。

水害|狩野川という論点は、伊豆の国市固有です

伊豆の国市を語るとき、地震だけでは足りません。狩野川があります。

市の防災ページには「その他河川の浸水想定区域図の公表」「過去の冠水被害状況」といった項目が並び、さらに「【6月18日大雨災害について】弁護士会無料相談」というページが掲載されています(伊豆の国市 消防・防災)。2026年6月に、市内で大雨災害が発生したということです。

これは総会で使える、生々しい根拠です。「南海トラフが来たら」より、「今年の6月に何が起きたか」のほうが、住民の実感に届きます。

そして、水害はマンションの大規模修繕と無関係ではありません。むしろ、外壁より先に手を打つべき箇所があります。

確認箇所 なぜ重要か
受変電設備(キュービクル)の設置高さ 浸水すると全戸が停電。復旧に数週間かかることがある
エレベーター機械室・ピット 浸水するとエレベーターが長期停止。高層階の高齢居住者に直撃する
地下または半地下の駐車場 排水ポンプの能力と作動確認。管理会社任せになりがち
1階の防火扉・電気錠 冠水後に作動不良を起こす
屋外の受水槽・給水ポンプ 浸水後の衛生管理

大規模修繕の設計をするときに、「今回の工事に、電気設備の浸水対策を1項目でも入れられませんか」と設計者に聞いてみてください。足場やロープを架けて職人が動いている期間は、屋上や設備まわりに手を入れる絶好の機会です。別工事で組むより安く済むことがあります。

伊豆の国市のマンションは、9階建て以上が7棟。高層マンションで停電すると、階段しかありません。 13階まで水を運ぶことがどういうことか、想像していただければと思います。


伊豆の国市の気候と、大規模修繕の工事適期

工法や補助金の前に、そもそも「いつ工事をするか」で結果が変わります。

まず、正直に留保を書きます。伊豆の国市内に気象庁の公式な平年値観測点があるかを、私は今回確認できませんでした。 そこで、隣接する三島市の観測点の平年値(1991〜2020年)を参照値として使います。伊豆の国市と三島市は、狩野川流域の同じ内陸盆地状の地形で、直線距離はおよそ10キロメートルです。

静岡地方気象台は、静岡県の気象特性としてこう整理しています。

平年の年間降水量は、平地で1800〜2300mm前後、多雨地域は静岡市山岳部で3000mm、富士山麓で2800mm、少雨地域は遠州地方と伊豆半島の西海岸で1600〜2000mm

(出典:静岡地方気象台「静岡県の気象特性」

参照値として、三島の年降水量は1,868.2ミリメートル、年平均気温16.3度。この連載で書いてきた御殿場(2,874.6ミリメートル、13.2度)や、伊豆市の天城山(4,552.6ミリメートル)と比べると、伊豆の国市の気候は静岡県東部ではかなり穏やかな部類に入ると考えられます。

工事屋の目で、これは何を意味するか。

伊豆の国市は「工事しやすい市」です。ただし条件がつきます

要素 伊豆の国市(三島参照値) 御殿場市 伊豆市天城側
年降水量 約1,868mm 2,874.6mm 4,552.6mm
年平均気温 約16.3℃ 13.2℃
冬の朝の氷点下 少ない 1月日最低-1.9℃ 天城側は降雪も
塩害 内陸で軽い 内陸で軽い 土肥は沿岸で強い

御殿場市の記事では「雨天中止日が多いので、業者工期に2週間上乗せして住民に伝えてください」と書きました。伊豆の国市では、その上乗せ幅はもう少し小さくてよいと考えられます。

冬の施工についても同じです。塗料やシーリングの施工可能温度はおおむね5度が目安ですが、御殿場のように冬の朝が恒常的に氷点下という条件ではありません。伊豆の国市は、冬期でも午前中から実働できる日が比較的多い市だと考えてよいでしょう。

そして塩害。伊豆の国市は駿河湾にも相模湾にも面していません。沿岸部と同じ重防食仕様が一律で見積りに入っているなら、その根拠を聞いてよい立地です。

私は沼津市・富士市・静岡市清水区の記事では「塩害対策を削ってはいけない立地です」と書きました。伊豆市の記事では、土肥地区は沿岸、修善寺は内陸、と同じ市の中で結論を分けました。伊豆の国市は、市全体が内陸です。鉄部の防錆仕様に沿岸部並みのグレードが入っているなら、その予算を下地補修とシーリングのグレードアップに回せないか、設計者に相談する価値があります。

ただし、削ってよいという話ではありません。狩野川の湿気、そして温泉地であることを忘れないでください。

温泉地であることの、意外な影響

伊豆の国市は伊豆長岡温泉を擁する「いで湯のまち」です。温泉があるということは、地域によっては硫化水素をはじめとする温泉成分が大気中に含まれることを意味します。

これは金属部材にとっては厳しい条件になり得ます。銅や銀は硫化しやすく、鋼材も条件次第で腐食が進みます。温泉街に近い立地のマンションで、手すりや金物の傷み方が「築年数のわりに早い」と感じるなら、塩害とは別のメカニズムを疑ってよいと私は考えています。

これは断定できる話ではありません。温泉成分の影響は、源泉からの距離、風向、建物の配置で大きく変わります。ただ、劣化診断のときに「この立地で、鉄部の傷み方に特徴はありますか」と診断者に一言聞いてみることは、無駄にならないはずです。

伊豆の国市の工事適期表

時期 評価 理由
3月下旬〜5月 気温が安定。花粉と黄砂の付着には注意
6月〜7月上旬 梅雨。狩野川流域は大雨のリスク
7月中旬〜8月 ○〜△ 施工可能だが猛暑。職人の熱中症対策で実働時間が削られる
9月〜10月中旬 ×〜△ 台風シーズン。伊豆半島は進路に入りやすい
10月下旬〜11月 年間で最も安定。伊豆の国市の最良の窓
12月〜2月 御殿場ほど冷え込まない。晴天率が高く、実は狙い目

御殿場市・裾野市の記事では「12月〜2月は朝が氷点下で実働が短い」と書きました。伊豆の国市では、冬期がむしろ選択肢に入ります。 内陸でも温暖、雨が少なく、晴天が多い。ここは、他の静岡県東部の市とはっきり違う点です。

そして、これは交渉材料にもなります。工事会社の繁忙期は春と秋です。 冬に施工できる立地なら、閑散期の見積りを取れる可能性があります。「12月から2月の着工なら、価格はどうなりますか」と聞いてみてください。答えは会社によりますが、聞かない手はありません。

今が2026年8月下旬です。今から準備を始めた管理組合が現実的に狙えるのは、2027年の春か、2027年の秋です。 良い時期を押さえるには、その前年の秋までに業者選定を終えている必要があります。

ここから先は、私の会社が仕事をいただく話につながります

先に断っておきます。ここから書くことは、私の会社の商売に直接つながる内容です。そのうえで読んでいただきたいので、見出しで区切りました。判断は理事会でしてください。

仮設足場は、総工事費の15%から25%を占めます

大規模修繕の見積書を見ると、たいてい一番上に「仮設工事」があります。そして多くの場合、金額の内訳が「一式」の1行で終わっています。

総工事費 仮設足場の概算(15〜25%)
3,000万円 450万円〜750万円
5,000万円 750万円〜1,250万円
8,000万円 1,200万円〜2,000万円

この記事で扱ってきた伊豆の国市の補助金を、並べてみます。

  • ブロック塀の撤去:上限10万円
  • ブロック塀の改善:上限25万円
  • アスベスト分析調査:上限25万円
  • 管理計画認定の市への手数料:無料

桁が2つ違います。

私が理事会に呼ばれて、いつも不思議に思う光景があります。10万円のブロック塀の申請書類について3時間議論した後で、750万円の仮設工事が「一式」の1行のまま5分で承認される。

これは理事の皆さまが不真面目だからではありません。逆です。金額が小さいほうが、判断できるからです。10万円の書類は自分で読めるけれど、750万円の足場の妥当性は判断材料がない。だから議論が止まる。

私からのお願いはひとつです。議論の時間を、金額に比例させてください。

そのために必要なのは、たった1つの質問です。

「仮設工事の内訳を、平方メートル単価とリース期間に分解して出してもらえますか」

「一式」が「面積 × 単価 × 期間」に分解されると、比較ができるようになります。比較ができれば、判断できます。

3つの工法を、正直に比較します

仮設足場工法 ロープアクセス工法(無足場) ハイブリッド工法
仮設費用 高い(総工費の15〜25%) 大幅に圧縮できる 部位ごとに最適化
工期 架設・解体に日数が必要 短縮しやすい 中間
居住者への影響 バルコニーが2〜3か月使えない。窓が開けられない期間がある 影響が短時間・限定的 足場部分のみ影響
防犯 足場からの侵入リスクがある 足場がないので侵入経路が増えない 足場部分のみ注意
向く建物 下地補修の物量が多い/低層/複雑形状/全面改修 高層/敷地が狭い/部分補修中心/工期短縮が必要 面によって劣化状況が違う建物
向かない建物 高層でコストが跳ね上がる/敷地に余裕がない タイル浮きが広範囲で下地補修の物量が非常に多い建物 単純形状で全面が均一に劣化している建物

ロープアクセス工法の技術的な解説は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムにまとめています。安全基準や作業手順、どういう建物条件で成立するのかまで書いてありますので、理事会の資料集めの段階でご覧ください。

そして、はっきり書きます。

ロープアクセスは、すべての建物に向くわけではありません。

タイルの浮きが広範囲に及んでいて、下地補修の物量が非常に多い建物は、足場を架けたほうが安く、早く終わります。そういう現場で、私は「今回は足場でいきましょう」と正直に申し上げます。

なぜそう言えるのか。3つとも持っているからです。 ロープアクセスしか持っていない会社は、ロープアクセスを勧めるしかない。足場しか持っていない会社は、足場を勧めるしかない。私の会社は3つ持っているので、どれを選んでも売上にはなります。だから、建物にとって正しい選択を申し上げられる。

日本でロープアクセス工事のフランチャイズを最初に展開したのが私の会社です。塗装、防水、タイル、電気、看板といった各分野の専門職が加盟しており、それぞれの専門性を活かしながら高品質と適正価格を両立させています。詳しくはロープアクセス工法のご紹介大規模修繕工事のご紹介をご覧ください。

伊豆の国市の建物構成は、工法選定が最も効く条件です

理由を3つ挙げます。

理由1:9階以上が7棟。高さは足場の単価に直結する

繰り返しになりますが、足場費用は高さに強く効きます。13階建てのマンションに全面足場を架けるのと、5階建てに架けるのとでは、平方メートル単価も、架設・解体の日数も、必要な資材量も違います。

高層になるほど、足場以外の選択肢を検討する経済的な意味が大きくなります。 伊豆の国市の分譲マンションは、その条件にきれいに当てはまります。

理由2:リゾートマンションは「使えない期間」のコストが違う

常住のマンションで足場を架けると、居住者は2か月から3か月、バルコニーを使えません。洗濯物が干せない、窓が開けられない。不便ですが、生活は続きます。

リゾートマンションはどうか。所有者は、使うために来ます。 その時期に足場が架かっていて、バルコニーが養生シートで覆われていたら、来る理由がなくなります。年に数回しか来ない所有者にとって、その数回が潰れることの意味は、常住者の「不便」とは質が違います。

私は、これを工事の価値として見積書に書けない、といつも思っています。しかし理事会では、判断材料として議論に載せるべきだと思います。「工期が1か月短い」ことが、リゾートマンションでは常住マンションより重い価値を持ちます。

理由3:面によって劣化が違う建物が多い

伊豆の国市のマンションは、山側と川側、南面と北面で、日射も湿気も違います。

方位・部位 傷み方の特徴
南面・西面 紫外線で塗膜が劣化し、シーリングが硬化しやすい
北面 日照が少なく乾きにくい。藻・カビが出やすい
屋上・パラペット・笠木 降雨の直撃を受ける。防水層の膨れが出やすい
妻面 一様に劣化することが多く、補修の物量が読みやすい

面によって傷み方が違うということは、面によって最適な工法も違うということです。 補修物量が多い面は足場、少ない面はロープアクセス。これがハイブリッド工法の技術的な根拠です。

「敷地に余裕がある」は「足場を架けるべき」ではありません

伊豆の国市のマンションは、都心の物件と比べれば敷地に余裕があるところが多いはずです。「うちは足場が架けられるから」とおっしゃる理事長さまもいらっしゃいます。

架けられることと、架けるべきことは別です。

判断のために、3つ問いを置きます。

  1. 今回の工事は、全面改修ですか。それとも部分補修ですか。 劣化診断の結果、手を入れるべき箇所が建物の一部に集中しているなら、全面に足場を架ける必然性は下がります。
  2. 居住者(あるいは所有者)は、2〜3か月バルコニーが塞がれる生活を受け入れられますか。 リゾートマンションなら、この問いの重みは常住マンション以上です。
  3. 仮設工事の見積りは、「一式」ではなく平方メートル単価とリース期間に分解されていますか。 分解されていない見積りは、比較のしようがありません。

モデルケース|伊豆の国市で工法を変えると、いくら変わるか

私の会社の実績をもとにした試算です。実際の金額は建物の状態、劣化の程度、仕様、時期で変わります。「こういう構造で差が出る」という考え方を持ち帰っていただくための数字として読んでください。

ケース1:伊豆長岡エリア/築26年・11階建て・60戸

項目 全面足場工法 ハイブリッド工法
総工事費 9,000万円 7,700万円
差額 ▲1,300万円
1戸あたり 150万円 約128万円(▲約22万円)
工期 約6か月 約5か月(1か月短縮)

組み方は、バルコニー側は足場、妻面と屋上まわりはロープアクセスです。バルコニー側は手すりの塗装、隔て板の交換、床防水と作業の種類が多く、職人が長く滞在します。ここは足場のほうが効率的です。一方、妻面は開口部が少なく、作業が塗装とシーリングに絞られる。ここはロープアクセスが効きます。

11階建てで全面足場を架けると、仮設費だけで1,500万円を超えることがあります。 その一部を圧縮できるかどうかが、この差額の中身です。

ケース2:市郊外/築34年・5階建て・36戸

項目 全面足場工法 ロープアクセス主体
総工事費 5,400万円 4,500万円
差額 ▲900万円
1戸あたり 150万円 125万円(▲25万円)
資金 一時金が必要 機構融資と組み合わせて一時金ゼロも検討可

ここで、規模の話をさせてください。

36戸で5,400万円なら、1戸あたり150万円です。同じ工事内容でも、150戸のマンションなら1戸36万円になります。

つまり、戸数が少ないマンションほど、1戸あたりの負担が重くなり、工法選定の効き目が大きくなります。 伊豆の国市の10棟の中には、6戸、36戸、38戸、42戸といった小規模なマンションが含まれています。市内673戸のうち、100戸を超えるのは3棟だけです。

小規模マンションほど、この記事を最後まで読む価値があります。


修繕積立金が足りないとき、打ち手は4つです

打ち手 内容 私の評価
① 一時金の徴収 各区分所有者から不足分を集める 総会で最も通りにくい。リゾートマンションでは特に難しい
② 借入 住宅金融支援機構の共用部分リフォーム融資等 現実的。ただし返済計画が必要
③ 段階施工 工事を2回3回に分ける 仮設費が回数分かかり、総額はむしろ増えることが多い
工法の見直し 足場前提を疑い、3工法から選び直す 最初に検討すべき

順番の話を、もう一度させてください。

④は、設計に入る前でなければ実質的に選べません。

設計事務所と仕様を固め、足場を架ける前提で数量を拾ってしまうと、その後で工法を変えるには数量拾いをやり直す必要が出てきます。時間も費用もかかるので、多くの管理組合はそこで諦めます。

だから、工法の選定は設計の前です。順番を間違えると、選択肢が4つから3つに減ります。

住宅金融支援機構の3つの制度

制度 概要
マンション共用部分リフォーム融資 管理組合名義で借りられる。全期間固定金利。マンション管理センターの債務保証を使えば、理事長個人の連帯保証は不要
マンションすまい・る債 管理組合が積立金を運用する仕組み。年1回募集で口数に上限があり、実質的に先着順
マンションライフサイクルシミュレーション 長期修繕計画と資金計画を試算できる無料ツール

(出典:住宅金融支援機構「マンション共用部分リフォーム融資」「マンションすまい・る債」「マンションライフサイクルシミュレーション」

金利は情勢によって変わりますので、ここでは数字を書きません。ただ、規模感だけお伝えします。2,000万円を10年で借りる場合、金利が0.2%違えば、総支払額は数十万円変わります。 そして、管理計画認定を取っていると金利引き下げの対象になり得ます。認定の手間を、この数字と並べて考えてみてください。

そして、総会実務としての一言です。

「一時金50万円をお願いします」という議案と、「月々3,000円の見直しをお願いします」という議案は、同じ金額を集めるものであっても、議案の性格がまったく違います。 借入を選択肢に入れると、後者の形にできる場合があります。リゾートマンションで遠方所有者が多い伊豆の国市では、この差はさらに大きくなるはずです。


伊豆の国市版・18か月逆算カレンダー

大規模修繕は、思い立ってから工事開始まで、準備に1年半かかります。伊豆の国市の制度に合わせて組み直しました。

時期 やること 連絡先
今週 静岡県のマンション管理士無料派遣に申し込む(10件枠・令和8年11月14日締切 静岡県マンション管理士会 ファクス0544-27-6561
18か月前 劣化診断の実施を決める。長期修繕計画の見直しが7年以内か確認
17か月前 過去の工事記録を集める(税制の過去工事証明書に必要
16か月前 管理計画認定を取るか決める。認定基準5分野を自己点検 都市計画課 055-948-2909
15か月前 建築物等耐震診断事業の対象か、限度額はあるか、令和8年度の枠は残っているかを電話確認 危機管理課 055-948-1482
14か月前 アスベスト事前調査を工程と予算に計上。分析調査補助は着手前申請が必須 環境政策課 0558-76-8002
12か月前 工法を選定する(設計はこの後)
11か月前 長寿命化税制の要件確認。仕様書に屋根防水・床防水・外壁塗装の3工事が揃っているか点検 税務課 資産税係 055-948-2907
10か月前 マンション管理センターへ事前確認・適合証の取得手続き
9か月前 資金計画。機構への事前相談。相見積り先を市内に限定しない
8か月前 管理計画認定の申請(マンション管理センターのシステム経由)
7か月前 敷地図でブロック塀を洗い出し、前面道路が緊急輸送路・避難路かを確認 危機管理課 055-948-1482
6か月前 ブロック塀の交付申請。本体工事とは別契約に切り出す
4か月前 交付決定通知を受けてから契約・着工
着工時 工程表で雨天中止の見込み日数を再確認。総会説明では2週間上乗せして伝える
竣工後3か月以内 固定資産税の減額申告(管理組合が取りまとめ) 税務課 055-948-2907
引き継ぎ時 電話した日付・担当課・聞いたこと・答えの4点をA4用紙1枚にまとめて次期理事会へ

最後の行が、実は一番大事です。

18か月のカレンダーは、任期1年の理事会を2代またぎます。 前の理事会が市役所に電話して確認した内容が、引き継ぎで消えると、次の理事会はまた同じ電話をかけることになります。

A4用紙1枚で構いません。「いつ・どこに・何を聞いて・何と答えられたか」。 これを残すだけで、次の理事会が半年得をします。


相見積りで見るべき3点

工法を決めて、設計ができて、いよいよ見積りを取る段階での話です。

1. 数量の根拠は、図面拾いか、現地実測か

見積書の数量が「図面から拾った数字」なのか「現地で測った数字」なのかで、精度がまったく違います。特にタイルの浮き面積とシーリングの延長は、図面からは分かりません。

「この数量は、どうやって出しましたか」と聞いてください。

2. 仕様は、メーカー名・製品名・グレード・希釈率・塗布回数まで書かれているか

「シリコン塗料」では比較になりません。 同じ「シリコン」でも、価格帯は倍以上開きます。製品名まで書かれている見積りと、材料の分類しか書かれていない見積りを並べて「こちらが安い」と判断するのは、比較しているようで比較していません。

3. 「別途」の中身と、数量超過時の単価を契約前に明記させる

これが、私が最も強く申し上げたい点です。

下地補修の想定数量を超えたときの平方メートル単価を、契約前に見積書へ書かせてください。

「タイル浮き想定50平方メートルが、実際は120平方メートルだった」。これは珍しくありません。むしろ、想定どおりに収まるほうが少ないくらいです。そのときの単価が決まっていないと、工事の途中で価格交渉をすることになります。 足場が架かっていて、工事が止まっている状況で、対等な交渉ができるでしょうか。

契約前に1行入れておけば、紛争が起きません。それだけの話です。

相見積りは、市内に限定しないでください

伊豆の国市の人口は45,228人(令和8年8月1日現在/伊豆の国市「人口と世帯」)。分譲マンションは10棟です。

この規模の市で「市内の業者から3社」と決めると、探せて2社になることがあります。 2社では、相見積りの意味が半減します。

ここで、伊豆の国市の地の利を確認してください。

  • 伊豆縦貫自動車道・伊豆中央道で沼津・三島と直結
  • 伊豆箱根鉄道駿豆線で三島駅へ。三島駅から東海道新幹線
  • 東名沼津IC、新東名長泉沼津ICへの アクセス

首都圏からも静岡市からも日帰り圏です。 ということは、遠方の工事会社に依頼しても、宿泊費や長距離移動費が見積りに上乗せされにくい。範囲を広げても、コスト構造上の不利がほとんどありません。

3社、できれば4社。ぜひ範囲を広げてください。

今週できること、5つ

長い記事になりました。読み終えて何をすればいいのか、5つに絞ります。

  1. 静岡県のマンション管理士無料派遣に申し込む。 県内10件枠、令和8年11月14日締切。申込書は県のページからワード形式でダウンロードできます。ファクス0544-27-6561、またはメール t_gotoh@tx.thn.ne.jp。
  2. 都市計画課(055-948-2909)に電話する。 管理計画認定制度の受付状況と、助言・指導ルートについて。
  3. 危機管理課(055-948-1482)に電話する。 建築物等耐震診断事業が分譲マンション共用部で使えるか、限度額はあるか、令和8年度の枠は残っているか。
  4. 敷地図を広げて30分、ブロック塀を洗い出す。 駐輪場の裏、駐車場の外周、ゴミ置き場の脇、隣地境界。
  5. 9月12日(土)の三島市でのマンション管理セミナーを、理事会の議題に載せる。 理事長と次期理事候補のお二人で。

このうち、期限が明確に切られているのは1番だけです。10件です。


よくある質問(FAQ)

Q1. 伊豆の国市に、マンションの大規模修繕工事費そのものへの補助はありますか。

A. 2026年8月時点の公開情報からは、共用部の大規模修繕工事費に直接補助する市の制度は確認できませんでした。一方で、耐震診断費、アスベスト分析調査費、ブロック塀の撤去・改善費への補助と、固定資産税の減額措置があります。詳しくは本文の各章をご覧ください。

Q2. マンション管理計画認定制度は、伊豆の国市で申請できますか。

A. はい。伊豆の国市は令和5年12月から制度を開始しており、市への認定申請手数料は無料です。申請は公益財団法人マンション管理センターの管理計画認定手続支援サービス経由のみです(出典:伊豆の国市「マンション管理の適正化」)。

Q3. マンション長寿命化促進税制は、伊豆の国市で使えますか。減額はいくらですか。

A. 使えます。要件を満たすと、工事完了の翌年度1年間、家屋にかかる固定資産税(建物部分100平方メートルまで)の3分の1が減額されます。管理組合が各区分所有者の申告書を取りまとめて提出する方法を市が推奨しています(出典:伊豆の国市「大規模の修繕等が行われたマンションに係る固定資産税の減額措置」)。

Q4. 認定を取っていないと、長寿命化促進税制は使えませんか。

A. いいえ。要件5には(ア)管理計画認定マンションのルートに加えて、(イ)市の助言指導を受けて適切に長期修繕計画を作成または見直しを行ったマンションのルートがあります。伊豆の国市では助言・指導内容実施等証明書を都市計画課が発行します。

Q5. 築25年でも耐震診断の補助は使えますか。

A. 建築物等耐震診断事業の対象は昭和56年5月31日以前に建築された非木造住宅・建築物です。築25年(2001年頃の竣工)は対象外です。伊豆の国市の分譲マンション10棟のうち、この日付より前に竣工しているのは1棟のみと市の資料から読み取れます。

Q6. ブロック塀の補助はいくらまで出ますか。

A. 撤去事業は延長1メートルにつき9,200円と事業費を比較して少ない額の3分の2以内、1敷地につき10万円が限度。改善事業は1メートルにつき38,400円と事業費を比較して少ない額の3分の1以内、1敷地につき25万円が限度です。改善事業は緊急輸送路・避難路・避難地等に面する塀に限られます。

Q7. アスベストの除去費用に補助はありますか。

A. 伊豆の国市には分析調査への補助(10分の10以内・1棟25万円限度)はありますが、除去費への補助は公開情報では確認できませんでした。除去費は自己負担前提で長期修繕計画に計上することをおすすめします。

Q8. 補助金の申請はいつまでですか。

A. 伊豆の国市地震対策推進事業は「受付期間は4月中旬から11月末が目安」「申請は先着順」「予算の範囲内」と市が明記しています。アスベスト分析調査補助は令和8年4月1日から令和8年11月30日までですが、補助予定枠に達した場合はこれ以前に締め切られます。いずれも工事着手(契約)前の申請が必須です。

Q9. ロープアクセス工法は、どんなマンションに向いていますか。

A. 高層で足場費用が跳ね上がる建物、敷地に余裕がない建物、部分補修が中心の建物、工期短縮が必要な建物に向きます。逆に、タイルの浮きが広範囲で下地補修の物量が非常に多い建物は、足場のほうが安く早く終わることがあります。技術的な詳細はロープアクセスドットコムをご覧ください。

Q10. 伊豆の国市で工事をするなら、いつが良いですか。

A. 10月下旬から11月が最も安定していますが、伊豆の国市は御殿場市や裾野市と違って冬の冷え込みが厳しくないため、12月から2月も選択肢に入ります。工事会社の閑散期にあたるため、価格面で相談の余地があるかもしれません。9月から10月中旬は台風シーズンで避けたい時期です。


この記事のポイントまとめ

  • 伊豆の国市は市として管理計画認定制度を実施。市への申請手数料は無料
  • 静岡県の認定は「県内の町域」が対象。市である伊豆の国市は市に申請する
  • 市内の分譲マンションは10棟673戸。うち8棟がリゾートマンション
  • 10棟のうち7棟が1990〜1992年竣工。2030年前後に一斉に築40年を迎える
  • 市は「10年後に築40年以上が現在の約17.5倍」と明記している
  • 9階以上が7棟。高層ほど仮設足場の費用が跳ね上がる
  • 長寿命化促進税制は3分の1減額。管理組合が申告を取りまとめられる
  • 税制の要件には認定ルートと市の助言・指導ルートの2本がある
  • 長寿命化工事は屋根防水・床防水・外壁塗装の3つを一体で実施する必要がある
  • 建築物等耐震診断事業は非木造が対象。基準額は面積単価で3段階
  • 同事業の限度額は市ページに記載が見当たらない。要確認
  • ブロック塀は撤去上限10万円・改善上限25万円で、近隣より薄い
  • アスベスト分析調査は10分の10以内・25万円。除去補助は見当たらない
  • 各補助は受付4月中旬〜11月末が目安で先着順。着手前申請が必須
  • 窓口は危機管理課・都市計画課・税務課・環境政策課の4課に分かれる
  • 環境政策課だけ大仁庁舎。持参が必要で郵送不可
  • 静岡県のマンション管理士無料派遣は10件枠・11月14日締切
  • 県のセミナーは9月12日に三島市役所。伊豆の国市から車で30分程度
  • 市が管理組合アンケートを実施予定。返答が助言・指導ルートの入口になる
  • 相見積りは市内に限定しない。伊豆縦貫道と新幹線で日帰り圏

静岡県東部の近隣市の記事

同じ切り口で、静岡県東部の各市を書いています。近隣の制度と比べると、伊豆の国市の位置づけがより立体的に見えます。


主なお問い合わせ先

用件 担当課 電話番号 場所
マンション管理計画認定制度/助言・指導 都市計画課 055-948-2909 伊豆長岡庁舎別館2階
固定資産税の減額(長寿命化促進税制) 税務課 資産税係 055-948-2907 伊豆長岡庁舎1階
耐震診断・補強計画・ブロック塀 危機管理課 055-948-1482 伊豆長岡庁舎1階
アスベスト分析調査補助 環境政策課 0558-76-8002 大仁庁舎1階
マンション管理士無料派遣の申込 一般社団法人静岡県マンション管理士会 ファクス 0544-27-6561 メール t_gotoh@tx.thn.ne.jp

最後に

伊豆の国市の管理組合の理事長さまとお話ししていると、「うちの市には何もないでしょう」とおっしゃる方がいます。

私は、今回この記事を書くために伊豆の国市の一次情報を全部読んで、その認識は事実と違うと申し上げたくなりました。

伊豆の国市は、静岡県東部で私が調べた5市の中で、分譲マンションに対して市が最も明確に向き合っている市でした。マンション管理適正化推進計画を作り、市内10棟673戸を全数把握して一覧を公開し、管理計画認定制度を令和5年12月から自前で運用し、手数料を無料にし、長寿命化促進税制の説明ページを持ち、管理組合が申告を取りまとめる方法を推奨している。

ここまで揃っている市を、私はこの連載でまだ他に見ていません。

一方で、ブロック塀の補助は近隣より薄く、アスベストの除去には補助がなく、共用部の工事費への直接補助もない。制度が手厚いのは「調べる」「整える」「認定する」の側であって、「直す」の側ではありません。

これは、悪い話ではないと私は思っています。直す部分は、工法の選び方で減らせるからです。 調べて整える部分は自力では減らせませんが、そこは市が支えてくれる。工事費のほうは、足場という前提を一度疑えば、変わる余地があります。

そして、時計は動いています。7棟が1990年から1992年に建った市で、あと4年から6年で全部が築40年になる。市が「10年後に17.5倍」と書いた数字は、そういう意味です。

まずは電話3本で20分です。 都市計画課055-948-2909、危機管理課055-948-1482、税務課055-948-2907。

そして、静岡県のマンション管理士無料派遣の申込書だけは、今週中にファクスを送ってください。10件です。

ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。工法の話をする前に、まず建物を見せていただくところから始めます。お問合せフォームは24時間受け付けています。


出典・参考資料

伊豆の国市

静岡県

国・関係機関


執筆者:本間 幸紘(株式会社明誠 代表取締役)
専門領域:マンション大規模修繕/ロープアクセス工法/建物長寿命化計画
実務経験:建設・改修業界 20年以上
所属:一般社団法人 全国建設業支援協会(JCSA)

株式会社明誠について:東京都東大和市を拠点に、東京・関東一円および静岡県で、ロープアクセス工法・仮設足場工法・ハイブリッド工法の3工法を提案できる改修会社です。日本で初めてロープアクセス工事のフランチャイズを展開しました。

最終更新:2026年8月24日

免責事項:本記事は2026年8月時点で公開されている一次情報をもとに作成しています。補助制度の内容・金額・期間・要件は変更される場合があり、また予算の状況により受付が早期に終了する場合があります。申請にあたっては、必ず各担当課の最新情報をご確認ください。本記事は税務・法務の助言を目的とするものではありません。