
この記事で答える質問:豊川市の分譲マンションで、共用部の大規模修繕に使える補助金はどれか。そして、いくらで、いつまでに動けばいいのか。
2026年9月11日 更新
こんにちは。株式会社明誠の本間です。
先日、東三河のある管理組合の理事長さまから、こんな言い方で相談を受けました。「補助金の話を聞くと、だいたい最後は『戸建てが対象です』で終わるんですよ」。
正直に申し上げます。その感覚は、多くの自治体では当たっています。私はこのシリーズで180を超える市区町村の制度を1件ずつ読んできましたが、住宅系の補助金の大半は木造の戸建てを念頭に組まれています。分譲マンションの共用部にそのまま乗る制度は、驚くほど少ない。
ただ、豊川市は少し違います。市の耐震補助が「共同住宅等」という区分を正面から持っていて、金額まで公表されている。これはありがたいことです。
その代わり、豊川市には別の厳しさがあります。募集件数が「共同住宅等1件(予定)」と書かれている。つまり、年に1枠です。
ここからが本題です。
結論:豊川市で共用部に効くのは「2制度+1つの上乗せ」
先に答えを出します。豊川市の2026年度(令和8年度)制度を、分譲マンションの共用部に使えるか使えないかで仕分けると、こうなります。
| 制度名 | 共用部に使えるか | 金額 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 非木造住宅耐震診断費補助金 | ○ 使える(共同住宅等の区分あり) | 共同住宅等 上限120万円 | 豊川市 |
| 非木造住宅耐震改修補助 | ○ 使える(共同住宅等の区分あり) | 共同住宅等 1戸につき上限30万円 | 豊川市 |
| 住宅リフォーム工事費補助金 | △ 上乗せとして使える(非木造住宅耐震改修に併せる場合のみ) | 工事費の20%・上限20万円 | 豊川市 |
| 吹き付けアスベスト対策補助金 | ○ 使える(民間の既存建築物) | 分析調査 上限25万円/除去等 2/3以内・上限180万円 | 豊川市 |
| ブロック塀等撤去費補助金 | ○ 使える(敷地まわり) | 上限10万円 | 豊川市 |
| 地球温暖化対策設備導入促進費補助金 | × 共用部は読み込めない(「自ら居住する住宅」が要件) | 単独5万円〜/一体的導入 上限10万円 | 豊川市 |
| 合併処理浄化槽設置費補助制度 | △ 条件付き(「専用住宅」要件・下水道予定区域は対象外) | 8人槽から50人槽 548,000円ほか | 豊川市 |
| 老朽空家等解体費補助金 | × 対象外(戸建て又は長屋) | 2/3・20万円から40万円 | 豊川市 |
| マンション管理計画認定制度 | ○ 使える(認定そのもの) | 市への手数料は無料 | 豊川市 |
この表を理事会に持ち込むだけでも、議論の時間はかなり短くなるはずです。「うちのマンションでこれは使えるのか」という往復が一番時間を食いますから。
そして、もう一つ先に言っておきます。豊川市の主要な建築系補助は、受付期間が全部そろっています。
令和8年5月7日(木曜)から令和8年12月25日(金曜)まで
耐震診断も、耐震改修も、リフォームも、ブロック塀も、アスベストも、同じ日付です(出典:豊川市 住宅関係補助制度)。私はこれを、かなり管理組合思いの設計だと思っています。日付を1本覚えればいい。理事会の年間スケジュールに落とし込みやすい。
「共同住宅等1件(予定)」——この一行をどう読むか
豊川市の制度を読んでいて、私が一番長く手を止めたのがここでした。
非木造住宅耐震診断費補助金の募集件数は、市のページにこう書かれています。
- 一戸建て 1件(予定)
- 共同住宅等 1件(予定)
非木造住宅耐震改修補助も同じく、一戸建て1件(予定)、共同住宅等1件(予定)です(出典:豊川市 非木造住宅耐震改修補助)。
これは「狭き門」なのか、それとも「空いている枠」なのか
両方の読み方ができます。私の経験上、後者の可能性のほうが高い。
理由は単純で、昭和56年5月31日以前に建てられた非木造の分譲マンションで、管理組合として耐震診断に踏み切るところが、そもそも多くないからです。枠が1件しかないのではなく、1件で足りてしまっているという状態は、地方都市では珍しくありません。
ただ、これは私の推測です。実際の申請状況は市しか把握していません。だからこそ、建築課に電話して「今年度の共同住宅等の枠は埋まっていますか」と聞くのが、何よりも先にやるべきことになります。
豊川市建設部建築課建築指導係 電話:0533-89-2117
この電話1本が、理事会の議論を半年短くします。枠が空いているなら動く価値がある。埋まっているなら来年度の予算組みに回す。判断はそれだけです。
「予定」という言葉の重み
もう一つ、実務的な注意点を。募集件数に「(予定)」と付いているということは、予算の状況で変わりうるということです。市のページには先着順とも抽選とも書かれていません。
そして両制度とも、申込みの前に建築課への書類提出が必要と明記されています。
- 耐震診断:申込みの前に、建築課へ事前相談書の提出が必要
- 耐震改修:申込みの前に、建築課へ事業計画書の提出が必要
つまり、いきなり申請書を出す制度ではありません。相談から入る制度です。ここを知らずに「申請書はどこですか」と窓口に行くと、一往復余計にかかります。
非木造住宅耐震診断費補助金:上限120万円の中身
まず入口となる診断のほうから、条件を正確に押さえます。
対象になる建物
豊川市内の昭和56年5月31日以前に建築された、現在お住まいの木造以外の一戸建て住宅・長屋住宅・共同住宅(出典:豊川市)。
昭和56年5月31日というのは、建築基準法の耐震基準が大きく変わった日付です。この日以前に建築確認を受けた建物を「旧耐震」と呼びます(新耐震基準への移行日)。築年数でいうと、2026年時点で概ね築45年以上です。
ここで一つ、見落としやすい言葉があります。「現在お住まいの」という限定です。
分譲マンションの場合、区分所有者が全員居住しているとは限りません。賃貸に出している住戸もあれば、空き住戸もある。この「現在お住まいの」がどこまでを指すのか——建物単位なのか住戸単位なのか——は、市のページの記載だけでは読み切れません。建築課へ要確認の項目です。
私はこういう項目を曖昧なまま提案書に書かないようにしています。管理組合に「使えます」と言っておいて後から覆るのが、一番信用を落とすからです。
金額の決まり方
- 一戸建て住宅=上限13万6千円
- 共同住宅等=上限120万円
そして「それぞれ建物の面積により補助金額が決定されます」とあります。面積に応じた単価表は市のページには掲載されていないため、具体的な金額は建築課への確認が必要です。ここも推測で数字を埋めるべきところではありません。
なお参考までに、一戸建ての13万6千円と共同住宅等の120万円は、約8.8倍の開きがあります。共同住宅の耐震診断が、戸建てとは比べものにならない手間とコストを要する作業だと市が認識していることの表れだと、私は読んでいます。
申込みができるのは誰か
「申込みは、住宅所有者に限ります」とあります。
分譲マンションの共用部は区分所有者全員の共有ですから、管理組合が管理者として動くことになります。誰の名義で出すのか、総会決議はどの段階で必要か。ここは申請実務の核心なので、事前相談の場で必ず確認してください。
非木造住宅耐震改修補助:1戸30万円が効く規模感
診断の結果、「安全ではない」と判断された場合に、次のステップとして使えるのがこちらです。
対象になる工事
非木造住宅耐震診断補助事業の結果、安全でないと判断された建築物について、耐震改修計画認定を受けて行う改修工事(出典:豊川市)。
条件が二重になっている点に注意してください。
- 市の診断補助事業を使って診断していること
- 耐震改修計画の認定を受けること
1について。自費で診断した場合に対象になるのかは、ページの文言からは読み切れません。これも要確認です。ただ、文言をそのまま読むなら「診断補助 → 改修補助」という順路が想定されています。診断の枠を取れるかどうかが、改修の枠にそのまま効いてくるわけです。
2について。耐震改修計画の認定とは、建築物の耐震改修の促進に関する法律に基づく手続きで、市が改修計画の内容を審査して認定するものです。豊川市は耐震改修計画認定に関する要綱を別途定めています。
戸数で考えると金額が変わって見える
- 一戸建て住宅=上限60万円
- 共同住宅等=1戸につき上限30万円
「1戸につき」がこの制度の肝です。戸あたりで積み上がるので、規模が大きいほど総額は伸びます。
| 総戸数 | 上限額の単純計算(1戸30万円) |
|---|---|
| 20戸 | 600万円 |
| 30戸 | 900万円 |
| 50戸 | 1,500万円 |
| 80戸 | 2,400万円 |
ただし、これはあくまで上限の単純計算です。市のページには「それぞれ補助対象経費の内容により補助金額が決定されます」とあり、実際の交付額は補助対象経費に応じて決まります。この表の金額が出ると断定はできません。あくまで「規模によってはこれくらいのオーダーの話になる」という体感のための試算として見てください。
それでも、50戸のマンションで修繕積立金の総額を考えたときに、1,500万円というオーダーが視野に入るかどうかは、理事会の温度をまったく変えます。私はこういう数字を、必ず戸あたりの負担額に直してお伝えするようにしています。1戸あたり30万円は、一時金を集める議論をするときの、かなり大きな材料です。
見落とされがちな上乗せ:住宅リフォーム工事費補助金
ここが、豊川市の制度を読んでいて私が一番「よく見つけた」と思った部分です。
豊川市住宅リフォーム工事費補助事業は、名前だけ見ると木造戸建て向けに見えます。実際、制度の趣旨には「地震発生時における木造住宅の倒壊等による被害を軽減し」と書かれている。
ところが、対象住宅の定義を読むと、こうなっています。
豊川市の耐震改修補助事業に併せてリフォーム工事を行う住宅。耐震改修補助事業とは下記のものをいいます。
– 木造住宅耐震改修
– 木造住宅の段階的耐震改修
– 木造住宅耐震シェルター等整備
– 非木造住宅耐震改修
(出典:豊川市 住宅リフォーム工事費補助金)
4つ目に「非木造住宅耐震改修」が入っています。
つまり、非木造の共同住宅で耐震改修補助を使う場合、それに併せて行うリフォーム工事に対して、工事費の20%・上限20万円が上乗せで出る可能性があるということです。募集件数は8件(予定)と、耐震の1件枠よりは広く取られています。
ただし条件は厳しい
- リフォームのみを行う工事は対象外
- すでに工事が終わってしまっているものは対象外
- 申請前に着手した場合は補助を受けられない
- 豊川市の他のリフォーム助成を受けている場合、併用できないことがある
「リフォームのみは対象外」。ここが決定的です。大規模修繕だけを単独でやっても、この補助は出ません。耐震改修と同時に組んだときだけ開く扉です。
そして、これは工事の組み立て方そのものに関わる話です。耐震改修と大規模修繕を別々の年度にバラして発注すると、この20万円は消えます。それ以上に、仮設費を二度払うことになる。
私が管理組合にいつもお伝えしているのは、「耐震改修をやるなら、外壁と防水は必ず同じ足場の上で考えてください」ということです。補助金20万円は、正直に言えばおまけです。本体は仮設費の一本化にあります。
共用部には使えない制度も、はっきりさせておく
「使える制度」と同じくらい、「使えない制度」を早く切ることが理事会の時間を守ります。豊川市で共用部に読み込めない制度を、理由つきで並べます。
地球温暖化対策設備導入促進費補助金
太陽光・蓄電池・HEMSなどが対象で、金額もそれなりにあります。共用部のLED化や太陽光の話が出たときに、真っ先に候補に挙がる制度です。
しかし、交付対象設備の共通事項にこう書かれています。
自ら居住し、又は居住を予定する市内の住宅(店舗等との併用住宅を含む。)に令和9年(2027年)3月10日までに購入して設置するもの
「自ら居住し」です。管理組合名義で共用部に設置する、という読み方は難しい。さらに、申請時には市税等の完納証明書(納税証明書では不可)が必要で、これも個人を前提にした設計です。
加えて、断熱窓改修工事については「既築戸建住宅に対する改修工事のみが対象」と明記されています。マンションの窓は、はっきり外れています。
なお、この制度は予算の残額がリアルタイムで公開されています。令和8年9月9日17時00分現在で、予算額22,200,000円、交付決定済額13,150,000円、受付可能金額9,050,000円。先着順で予算がなくなり次第終了です。区分所有者の方が個人として自宅に設置する場合は、この残額表示を見ながら動く形になります。
老朽空家等解体費補助金
対象が「戸建て又は長屋の住宅」で、区分所有のマンションは入りません(出典:豊川市 老朽空家等解体費補助金について)。マンション内の空き住戸が増えている、という悩みには、この制度は答えてくれません。
合併処理浄化槽設置費補助制度
人槽区分は8人槽から50人槽で548,000円と、共同住宅サイズまで用意されています(5人槽332,000円、6人槽から7人槽414,000円)。ここは川根本町のように10人槽で打ち止めになっている自治体とは違い、集合住宅を想定した行があります。
ただし、対象は「専用住宅の敷地内の全ての既存単独処理浄化槽又はくみ取便所の使用を廃止するとともに、新たに浄化槽を設置する事業」で、かつ「建築確認申請を伴わないこと」。さらに、下水道事業計画の予定処理区域や農業集落排水処理事業計画区域は対象から除かれます(概ね7年以上下水道整備が見込まれない区域は除外の例外)。
豊川市の市街地は下水道の整備区域が広く、分譲マンションの立地とこの補助の対象区域が重なるケースは限られると考えられます。該当しそうな場合は産業環境部環境課(0533-89-2141)へ確認してください。
敷地まわりで確実に使える2制度
建物本体だけが修繕ではありません。敷地まわりで、管理組合が使える制度が2つあります。
ブロック塀等撤去費補助金
対象:豊川市内に存する道路又は公共施設の敷地に面する高さ1メートル以上のコンクリートブロック、レンガ、天然石等を用いた組積造の塀(門柱を含む)。万年塀やプレキャストコンクリートを積み上げた塀も対象です。
補助金額:次の1と2の低い額の2分の1、かつ上限10万円。
- ブロック塀等の撤去に要する費用
- ブロック塀等の撤去長さ(メートル)× 1万円
市のページには、親切なことに計算例まで載っています。
| ケース | 撤去長さ | 工事費 | ①工事費÷2 | ②(長さ×1万円)÷2 | 補助額 |
|---|---|---|---|---|---|
| 例1 | 8m | 10万円 | 5万円 | 4万円 | 4万円 |
| 例2 | 22m | 30万円 | 15万円 | 11万円 | 10万円(上限) |
(出典:豊川市 ブロック塀等撤去費補助金)
例2から分かるのは、20メートルを超えたあたりで上限10万円に張り付くということです。マンションの敷地境界のブロック塀は、たいてい20メートルを超えます。つまり、多くのケースで「10万円」と考えておけばいい。
募集件数は10件(予定)と、比較的余裕があります。そして「申請前に着手した場合は、補助を受ける事が出来ません」。これは全制度共通の鉄則ですが、外構工事は業者の都合でつい先に手が付きやすい。理事会で「交付決定前に着工しない」を申し合わせておくことをおすすめします。
吹き付けアスベスト対策補助金制度
築45年以上の非木造建築物では、機械室や駐車場の天井などに吹き付け材が残っていることがあります。
補助金額
- 吹付けアスベスト分析調査に要する額(上限250,000円)
- 吹付けアスベスト除去等に要する額の3分の2以内(上限1,800,000円)
補助件数:分析調査1件(予定)/除去工事(要相談)
(出典:豊川市 吹き付けアスベスト対策補助金制度)
ここで豊川市に特徴的な条件が一つあります。分析調査については、愛知県が整備するアスベスト調査台帳に記載された建築物が対象とされている点です。
調査台帳への記載状況は豊川市へお問い合わせください。
つまり、自分のマンションが台帳に載っているかどうかが、この補助の入口になります。これは管理組合側では調べようがありません。建築課に聞くしかない。
もう一つ、令和元年度から「建築物石綿含有建材調査者が関与し、実施すること」が条件に加わっています。これは建築物石綿含有建材調査者講習登録規程に基づく資格者で、誰でも調査できるわけではありません。施工会社を選ぶ際に、この資格者が社内にいるか、あるいは確実に手配できるかを確認しておくと話が早く進みます。
マンション管理計画認定制度:豊川市は手数料無料。ただし「防災」が要る
ここは豊川市の制度の中で、私が最も強くおすすめしたいものです。
まず、豊川市は自分で認定できる
マンション管理計画認定制度は、マンションの管理の適正化の推進に関する法律に基づき、管理計画が一定の基準を満たすマンションを行政が認定する制度です。
愛知県のページには、こう明記されています。
愛知県は、県内の町村の区域を対象として、2022年4月1日から、マンション管理計画認定制度を運用しています。なお、市の区域におけるマンション管理計画認定制度に関しては、各市へお問い合わせください。
(出典:愛知県 マンション管理について)
豊川市は「市」ですから、豊川市自身が認定権者です。そして豊川市は、令和6年1月から制度を開始しています(出典:豊川市マンション管理適正化推進計画の策定について)。
手数料は無料
市のページに一行、こう書かれています。
市への手数料は無料です。
これは大きい。参考までに、愛知県(町村区域)の場合は、事前確認適合証ありの電子申請なら無料ですが、書面申請では42,100円(長期修繕計画が2以上ある場合は(計画数−1)×22,500円の加算)です。豊川市域なら、市への手数料はかかりません。
ただし、公益財団法人マンション管理センターの事前確認手数料は別途必要です。ここは無料ではないので、予算を見ておいてください。
豊川市ならではの条件:「防災に関する取組」
認定基準は「国のマンション管理適正化指針及び愛知県町村区域内マンション管理適正化指針と同様の内容」とされています。そして愛知県は、国の基準に加えて防災に関する取組を独自の認定基準として追加しています。
豊川市では、申請時に提出する「表明保証書」で、次の7項目のうち1つ以上を実施していることを確認します。
- 自主防災組織を組織
- 災害時の対応マニュアルを作成
- 防災用品や医療品・医薬品を備蓄
- 非常食や飲料水を備蓄
- 防災用名簿を作成
- 定期的に防災訓練を実施
- その他管理組合として実施する防災に関する取組
正直に言って、これはハードルというよりきっかけだと思います。7項目のうち1つでいい。非常食を備蓄する、防災用名簿を作る——理事会でその日のうちに決められる内容です。南海トラフ地震の想定区域にある東三河のマンションで、この7項目が一つも実施されていないとしたら、認定のためというより住民のために手を付けるべき話でしょう。
認定のメリット
豊川市のページが挙げているのは次の4つです。
- 適正に管理されたマンションとして市場で評価される
- 区分所有者がマンションの管理状況に改めて意識を向ける
- 住宅金融支援機構のフラット35や、共用部分のリフォーム融資の金利引き下げ
- 長寿命化工事を実施した場合に、翌年度に課される建物部分の固定資産税の減税
4つ目が、大規模修繕を控えた管理組合にとって直接効く部分です。国土交通省のマンション長寿命化促進税制に基づく固定資産税の減額措置で、一定の要件を満たす長寿命化工事が対象になります。
申請の流れで間違えやすい点
申請者が、豊川市へ直接「事前確認適合証」及び「認定申請書」を提出することはできません。
これは市のページに注意書きとして明記されています。公益財団法人マンション管理センターの管理計画認定手続支援システムを通じて申請する必要があります。窓口に持ち込んでも受け付けてもらえません。
認定期間は5年間。5年経過後は更新手続きが必要で、手続きは新規と同様です。長期修繕計画や修繕資金計画を変更した場合は変更申請が必要になります。
2026年度の逆算カレンダー
日付が全部そろっているのが豊川市の良いところなので、そのまま逆算表にします。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 今すぐ(9月) | 建築課(0533-89-2117)へ電話。「非木造の共同住宅等の枠は今年度まだ空いているか」「アスベスト調査台帳に自分の建物が載っているか」を確認 |
| 9月から10月 | 理事会で建物の建築年(昭和56年5月31日以前かどうか)と構造を確認。竣工図・確認済証を探す |
| 10月から11月 | 建築課へ事前相談書を提出(耐震診断補助の前提手続き) |
| 11月から12月25日 | 令和8年度の申請受付期限。12月25日(金曜)が全制度共通の締切 |
| 年明け以降 | 診断実施。結果が「安全でない」なら、耐震改修補助・リフォーム補助の事業計画書へ |
| 次年度(令和9年度) | 5月7日から受付開始。改修工事と大規模修繕を同一の仮設で組む設計 |
2026年9月11日時点で、令和8年度の受付期限まで残り約3か月半です。総会を待っていると間に合わない可能性があります。まずは電話で枠の状況を押さえ、動けるなら理事会決議で事前相談まで進める。この順番が現実的です。
工法の選び方:補助金の枠が1件だからこそ、費用側を削る
ここまで制度の話をしてきましたが、補助金は工事費の一部にしか効きません。しかも豊川市の共同住宅枠は1件です。枠が取れなかったときにどうするかも、同時に考えておく必要があります。
答えは単純で、工事費そのものを下げる設計をすることです。
大規模修繕の総工事費のうち、仮設足場が占める割合は決して小さくありません。私が現場で20年見てきて一番悔しい思いをするのは、外壁の一部しか傷んでいないのに建物全周に足場を組み、その費用が総額を押し上げ、結果として工事の範囲を削らざるを得なくなる場面です。
株式会社明誠では、建物の状態に応じて3つの工法をご提案しています。
| 工法 | 向いているケース | 主な効果 |
|---|---|---|
| 通常足場工法 | 中低層、形状が複雑、施工範囲が全面に及ぶ | 作業性が高く、大量の部位を同時に進められる |
| ロープアクセス工法(無足場工法) | 高層、足場の架設が難しい、部分補修が中心 | 足場費の削減、工期短縮、居住者の生活影響の最小化 |
| ハイブリッド工法 | 大規模・複雑な物件で総合的なコスト最適化が要る | 部位ごとに使い分け、必要なところだけ足場を組む |
ロープアクセス工法は、産業用ロープで作業員が建物外壁に直接アクセスして施工する無足場の工法です。足場を組まないため、バルコニーが塞がれる期間が短く、居住者の生活への影響を抑えられます。空き巣のリスクという観点でも、足場がないことは管理組合にとって安心材料です。ロープアクセス工法の詳細解説は姉妹サイトロープアクセスドットコムをご参照ください。
豊川市のマンションについて言えば、豊川(とよがわ)の河岸段丘上に立つ物件と、市街地の平坦地に立つ物件とで、劣化の出方が変わります。遠州灘から吹き上げる風の通り道にあたる面は、シーリングの劣化が他面より早く進むことがある。私は診断の段階で「建物を4面バラバラに見る」ことをお勧めしています。全面が同じスピードで傷んでいる建物は、まずありません。
面ごとに劣化度が違うなら、面ごとに工法を変えればいい。傷みの激しい面は足場を組んで全面改修、健全な面はロープアクセスで部分補修と塗装。これがハイブリッド工法の考え方です。詳しくはロープアクセス工法のご紹介と大規模修繕工事のご紹介をご覧ください。
私はこれを、必ずワンセットで提案するようにしています。補助金が取れた場合と取れなかった場合、両方の見積りを並べて理事会に出す。そうすれば、枠の結果に振り回されずに計画を進められます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 豊川市で分譲マンションの共用部に直接使える補助金はどれですか。
A. 非木造住宅耐震診断費補助金(共同住宅等 上限120万円)と非木造住宅耐震改修補助(共同住宅等 1戸につき上限30万円)の2本が中心です。どちらも昭和56年5月31日以前に建築された非木造住宅が対象です(出典:豊川市)。
Q2. 築25年のマンションでも対象になりますか。
A. 豊川市の耐震関係の補助は、昭和56年5月31日以前の建築が要件です。築25年(2001年前後の竣工)の建物は対象外になります。ただし、マンション管理計画認定制度には築年数の要件はありません。
Q3. 募集件数が「共同住宅等1件」とは、1棟しか受けられないという意味ですか。
A. 市のページには「1件(予定)」と記載されており、予算の状況によります。先着順か抽選かの記載はないため、現在の申請状況は建築課(0533-89-2117)へ直接確認してください。
Q4. 大規模修繕工事だけでリフォーム補助は使えますか。
A. 使えません。住宅リフォーム工事費補助金は「耐震改修補助事業に併せて」行う工事が対象で、リフォームのみの工事は対象外と明記されています(出典:豊川市)。非木造住宅耐震改修と同時に組んだ場合にのみ、工事費の20%・上限20万円が対象になります。
Q5. 共用部のLED化や太陽光に、市の温暖化対策の補助は使えますか。
A. 対象設備の共通事項が「自ら居住し、又は居住を予定する市内の住宅」に設置するものとされているため、管理組合名義で共用部に設置する形は読み込めません。断熱窓改修工事も既築戸建住宅のみが対象です(出典:豊川市)。
Q6. マンション管理計画認定の申請に、豊川市への手数料はかかりますか。
A. 市への手数料は無料です。ただし、公益財団法人マンション管理センターが発行する事前確認適合証の手数料は別途必要です。また、市へ直接書類を提出することはできず、マンション管理センターのシステムを通じた申請になります(出典:豊川市)。
Q7. 2026年度(令和8年度)の申請はいつまでですか。
A. 耐震診断、耐震改修、住宅リフォーム、ブロック塀等撤去、吹き付けアスベストのいずれも、令和8年5月7日(木曜)から令和8年12月25日(金曜)までです。なお、地球温暖化対策設備の補助は令和8年4月1日からの先着順で、予算がなくなり次第終了という別の仕組みです。
この記事のポイントまとめ
- 豊川市の共用部に効く中心は、非木造の耐震診断(上限120万円)と耐震改修(1戸30万円)
- ただし共同住宅等の募集枠は診断・改修とも「1件(予定)」。まず電話で枠の状況を確認する
- 非木造耐震改修に併せれば、住宅リフォーム補助20%・上限20万円が上乗せできる
- 主要5制度の受付は令和8年5月7日から12月25日で完全に統一されている
- 管理計画認定は市への手数料が無料。防災の取組7項目のうち1つ以上が要件
出典・参考資料
- 豊川市「住宅関係補助制度」
- 豊川市「非木造住宅耐震診断費補助金」(更新日:2026年4月1日)
- 豊川市「非木造住宅耐震改修補助」(更新日:2026年4月1日)
- 豊川市「住宅リフォーム工事費補助金」(更新日:2026年4月1日)
- 豊川市「ブロック塀等撤去費補助金」(更新日:2026年4月1日)
- 豊川市「吹き付けアスベスト対策補助金制度」(更新日:2026年4月1日)
- 豊川市「地球温暖化対策設備導入促進費補助制度」(更新日:2026年9月10日)
- 豊川市「合併処理浄化槽の設置費補助制度」
- 豊川市「豊川市マンション管理適正化推進計画の策定について」
- 豊川市「老朽空家等解体費補助金について」
- 愛知県「マンション管理について」(更新日:2025年11月28日)
- 国土交通省「マンション管理計画認定制度」
- 国土交通省「マンション長寿命化促進税制(固定資産税の特例措置)」
- 公益財団法人マンション管理センター「管理計画認定手続支援サービス」
制度は変更される可能性があります。金額・期限・要件は必ず豊川市の公式ページまたは担当課でご確認ください。 本記事は2026年9月11日時点で公開されている情報に基づいています。
豊川市の主な問い合わせ先
- 耐震診断・耐震改修・リフォーム・ブロック塀・アスベスト:建設部建築課建築指導係 0533-89-2117(建築課代表 0533-89-2144)
- マンション管理計画認定:建設部建築課 0533-89-2144
- 地球温暖化対策設備・浄化槽:産業環境部環境課 0533-89-2141
- 豊川市役所代表:0533-89-2111(〒442-8601 愛知県豊川市諏訪1丁目1番地)
関連リソース
- ロープアクセス工法のご紹介
- 大規模修繕工事のご紹介
- ロープアクセスドットコム(ロープアクセス工法の技術情報・安全基準の解説)
- お問合せフォーム
最後に一つだけ。
豊川市の制度を読み込んで、私が受けた印象は「制度はある。ただし枠は細い」というものでした。年に1件の枠を、どの管理組合が取るのか。それは早く動いたところです。
12月25日まで、あと3か月半あります。まずは0533-89-2117に電話をして、「枠は空いていますか」と聞いてみてください。それだけなら5分で終わります。その5分が、来年度の修繕計画の前提を変えるかもしれません。
ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。
執筆者:本間 幸紘(株式会社明誠 代表取締役)
専門領域:マンション大規模修繕/ロープアクセス工法/建物長寿命化計画
実務経験:建設・改修業界 20年以上
所属:一般社団法人 全国建設業支援協会(JCSA)
株式会社明誠について:ロープアクセス工法と従来足場工法の両方を提案できる改修会社。建物の状態に応じて通常足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3工法から最適な工法をご提案します。日本初のロープアクセス工事フランチャイズを展開し、塗装・防水・タイル・電気・看板など各分野の専門職が加盟しています。
最終更新:2026年9月11日


