大規模修繕はロープアクセスが提案可能な東京の明誠へ

創業から6000棟超の施工実績

【令和8年度版】千代田区の12条点検・外壁打診調査|対象建築物と全面打診10年ルール

【令和8年度版】千代田区の12条点検・外壁打診調査|対象建築物と全面打診10年ルール

【令和8年度版】千代田区の12条点検・外壁打診調査|対象建築物と全面打診10年ルール

2026年9月12日 更新

「うちのビル、12条点検って何年おきにやるんでしたっけ」——千代田区内のオーナーさまから、この夏だけで3件、同じ質問をいただきました。

この記事で答えるのは、「千代田区にあるマンション・ビルは、いつ・誰に・どこへ12条点検を報告し、外壁の全面打診はいつ必要になるのか」という一点です。

私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近く建物の外壁と向き合ってきました。足場を組む工事も、ロープ1本でぶら下がる工事も、両方やってきた人間として、今日は制度の話を「現場でどう効いてくるか」まで含めてお話しします。


結論:千代田区で12条点検の対象になる建物と、全面打診が必要になるタイミング

先に結論から申し上げます。

論点 千代田区での答え
誰が指定するか 千代田区長(特定行政庁) が指定した一定規模以上の建築物
根拠法令 建築基準法第12条第1項、千代田区建築基準法施行細則第8条
誰が調査するか 一級建築士・二級建築士・特定建築物調査員
報告先 原則として千代田区 環境まちづくり部 建築指導課 安全対策担当(例外あり/後述)
共同住宅の報告周期 3年ごと。東京都の報告年次は令和6年度・令和9年度・令和12年度
手の届く範囲の打診 おおむね6か月から3年以内に一度
外壁の全面打診等 おおむね10年に一度(竣工・外壁改修等から10年を経た後の最初の調査時)

(出典:千代田区「定期調査報告等」東京都都市整備局「3.定期報告対象建築物・建築設備等及び報告時期一覧」国土交通省「定期報告制度における外壁のタイル等の調査について」

ここで千代田区のオーナーさま・理事長さまに強く申し上げたいことが一つあります。

共同住宅(マンション)の次の報告年度は令和9年度です。つまり令和8年度(2026年度)は、多くの分譲マンションにとって「報告の谷間」にあたります。

私の経験上、この谷間の年こそが一番危ない。「今年は報告がないから」と何もしないまま令和9年5月を迎え、慌てて調査会社を探し、全面打診が必要だと言われて仮設費の見積りに驚く——この流れを、私は何度も見てきました。

令和9年度の報告受付は令和9年5月1日から10月31日までです。逆算すると、調査・是正・大規模修繕との調整を落ち着いて進められるのは、まさに今からの1年間です。


建築基準法第12条とは何か——「1項の調査」と「3項の検査」は別物です

まず用語を整理させてください。ここを混同されている管理組合さまが本当に多いのです。

第12条第1項:特定建築物定期調査(建物本体)

建築物そのもの——敷地、構造、防火区画、避難施設、そして外壁——を調べるのが第1項の定期調査です。千代田区では、区長が指定した一定規模以上の建築物の所有者または管理者が、調査資格者に調査させ、その結果を特定行政庁に報告する義務を負います(千代田区)。

外壁打診調査が出てくるのは、この第1項の中です。

第12条第3項:防火設備・建築設備・昇降機等の定期検査

一方、第3項に基づくのは設備側の検査です。千代田区建築基準法施行細則第10条第1項および第11条により、次のものが対象になります。

  • 防火設備:防火扉、防火シャッター、耐火クロススクリーン、ドレンチャー等(熱や煙で作動するもの)
  • 建築設備:換気設備、排煙設備、非常用の照明装置、給排水設備
  • 昇降機等:エレベーター(ホームエレベーターを除く)、エスカレーター、小荷物専用昇降機(テーブルタイプを除く)、いす式階段昇降機など

窓口も分かれています。特定建築物と防火設備は建築指導課 安全対策担当、建築設備と昇降機等は建築指導課 設備審査係です。

なぜこの制度があるのか

千代田区の公式ページには、制度の趣旨がはっきり書かれています。適正な維持保全がなされていない状態で地震や火災が起きれば大きな災害を招く恐れがある、という考え方です。区は令和3年12月17日の大阪市北区のビル火災を例として挙げています。

正直に申し上げます。私たち施工側から見ると、12条点検は「お上に出す書類仕事」ではありません。落下事故が起きる前に、落ちそうな場所を見つけ出すための最後の網です。タイル1枚、モルタル片ひとかけらでも、10階から落ちれば人の命に関わります。

報告しないとどうなるか

定期報告は建築基準法上の義務です。報告を怠ったり虚偽の報告をしたりした場合には、同法の罰則規定の対象となり得ます。加えて、外壁が落下して通行人に被害が及べば、民法第717条の工作物責任という別の問題も待っています。

私はいつも理事長さまに、「罰則より先に、事故そのものを考えましょう」とお伝えしています。


全面打診が必要になる4つのトリガー

ここからが本題です。「うちは全面打診が要るのか、要らないのか」を見分ける判断軸を整理します。

平成20年国土交通省告示第282号では、外装仕上げ材等におけるタイル、石貼り等(乾式工法によるものを除く)、モルタル等の劣化・損傷の状況の調査について、次の二段構えが定められています(国土交通省)。

  1. おおむね6か月から3年以内に一度、手の届く範囲の打診等
  2. おおむね10年に一度、落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分の全面的な打診等

この「10年」が動き出すトリガーは、実務上おおよそ次の4つです。

トリガー1:竣工から10年が経過した

最も基本的なパターンです。竣工から10年を経てから最初に迎える定期調査の際に、全面打診等が求められます。

千代田区のマンションで言えば、平成28年(2016年)前後に竣工した物件が、令和9年度の報告でちょうどこの山に当たります。

トリガー2:外壁改修から10年が経過した

一度大規模修繕で外壁を改修していれば、そこから10年で再びカウントが回ります。前回の大規模修繕が平成28〜29年だったマンションは要注意です。

トリガー3:前回調査で「要是正」「要調査」の判定が出ている

手の届く範囲の打診や目視で異常が認められた場合、落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分について、全面的な打診等による確認が求められます。10年を待たずに前倒しになるパターンです。

トリガー4:実際に落下や剥離が発生した

言うまでもありません。1枚でも落ちたら、その壁面は「異常が認められた」状態です。

見落とされがちな「初回免除」の落とし穴

新築・改築後の特定建築物には「初回免除」という仕組みがあります。検査済証の交付を受けた日の属する年度の翌年度以降の2回目の報告時期から報告が必要になる、というものです(東京都都市整備局)。

都のページにある3年周期の共同住宅の例では、令和5年度中に検査済証が交付された建築物は令和6年度の報告が免除となり、令和9年度(令和9年5月1日から10月31日まで)から報告が必要になるとされています。

ここが落とし穴です。検査済証の取得時期によって、最初の報告までの期間には幅が出ます。「新築だからまだ関係ない」と思っていた築11年のマンションが、実は令和9年度が初回報告で、しかも築10年超なので全面打診の対象——という組み合わせが起こり得るのです。

私はこの確認を、必ず検査済証の日付から逆算するようにしています。


千代田区固有の運用——提出先が2つに分かれます

ここは千代田区のオーナーさまが最も間違えやすいところです。

原則:千代田区役所へ

千代田区内の特定建築物の定期調査報告は、原則として区の窓口が所管します。

項目 内容
担当課(特定建築物・防火設備) 環境まちづくり部 建築指導課 安全対策担当
電話 03-5211-4315
担当課(建築設備・昇降機等) 環境まちづくり部 建築指導課 設備審査係
電話 03-5211-4311
所在地 〒102-8688 東京都千代田区九段南1-2-1
開庁時間 月〜金 8時30分〜17時(祝日・年末年始を除く)

(出典:千代田区「定期調査報告等」

区のページからは、建築物除却使用休止届/建築物再使用届/建築物等の所有者等変更届特定建築物定期調査報告に関する改善計画書/完了報告書などの様式がダウンロードできます。所有者が変わったときの変更届を出し忘れて、報告通知が旧所有者に届き続けている——という事例も、私は実際に見ています。

例外:敷地内に延べ面積1万㎡超の建築物がある場合は「東京都」へ

ここが千代田区で特に効いてくるポイントです。

東京都都市整備局によれば、特別区の区域であっても、敷地内に延べ面積が1万㎡を超える建築物がある場合は、東京都 市街地建築部 建築企画課が所管となります。

  • 特定建築物・防火設備:建築安全担当 直通 03-5388-3344
  • 建築設備・昇降機等:設備担当 直通 03-5388-3349

千代田区は大手町・丸の内・大手門・飯田橋・秋葉原と、延べ面積1万㎡を超える大規模建築物が23区の中でも際立って多いエリアです。大規模複合ビルや大規模タワーマンションを保有されているオーナーさまは、そもそも提出先が区ではなく都になる可能性が高い。ここを間違えると、受付そのものが差し戻されます。

都所管分は電子報告が可能に

東京都所管の定期報告については、東京都定期調査・検査報告電子システムによるオンライン提出の運用が始まっています。事前に都のシステムのアカウント登録を行い、その後、受付機関である公益財団法人 東京都防災・建築まちづくりセンターのシステムからアカウント登録のうえ提出する流れです(東京都都市整備局「5.提出先(受付機関)」)。

収受印付き副本の返却は行われませんが、収受印のない報告書データを都のシステムからPDFでダウンロードでき、都の受理書は受付機関から交付されるとされています。

ただし、これは東京都所管の定期報告に関する説明です。千代田区所管分の提出方法や書式は区の運用に従いますので、実際の提出前に建築指導課へご確認いただくのが確実です。区によって書式や提出方法が異なる場合がある、という注意は東京都のページにも明記されています。

報告時期は「用途」と「規模」で決まる

特定建築物の報告年度は、建物の用途と規模によって定められた用途コードで決まります。東京都の一覧では、共同住宅は3年ごとで、報告年次は令和6年度・令和9年度・令和12年度の並びです。

用途判断に迷う場合は、①全体の階数・面積、②各用途に供する面積、③各階の用途等を整理したうえで所管の特定行政庁に問い合わせるよう、東京都が案内しています。千代田区には店舗・事務所・住宅が同居した複合用途のビルが多く、この判断が一筋縄でいかないケースが少なくありません。


千代田区の建物ストックから見た、実務上の論点

数字で見ておきましょう。

公益財団法人まちみらい千代田が実施した令和5年度千代田区マンション実態調査では、区内の分譲マンション509棟を対象にアンケートおよび現地調査が行われました(まちみらい千代田・2024年7月17日公開)。

509棟。この数字を、私は「決して多くはないが、一棟あたりの難易度が突出して高い集団」と受け止めています。理由は3つあります。

論点1:敷地に余白がない

千代田区の物件は、隣地境界ギリギリまで建っているものが多い。番町・麹町の高級マンションでも、神田・岩本町の中規模マンションでも、足場を建てようとすると隣地の協力が要る、あるいは歩道を占用しなければならない、という状況が頻繁に起こります。

私が神田で見た現場では、建物の三方が公道と隣地に囲まれ、足場を組むために道路使用許可と隣地使用承諾の両方を取る必要がありました。この調整だけで、着工までに数か月を要したと伺っています。

論点2:通行量が多い=落下リスクの帰結が重い

「落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分」——告示のこの表現は、千代田区では文字通りの意味を持ちます。オフィスワーカー、観光客、通学路。人通りが少ない立地とは、事故が起きたときの結果の重さが違います。

だからこそ、全面打診の範囲判断を安易に狭めるべきではない、というのが私の考えです。

論点3:オフィス併設・テナント入居で「止められない」

千代田区のビルは、1階が店舗、中層階がオフィス、上層階が住宅という複合構成が珍しくありません。足場を組んで建物全体をメッシュシートで覆えば、店舗の看板は隠れ、オフィスの窓は暗くなり、テナントから減額交渉が来る——これは収益不動産オーナーさまにとって実損です。

12条点検の外壁調査は、建物の稼働を止めずにどう実施するか、が千代田区では最大の論点になります。


実務コスト感——仮設の選び方で調査費は大きく変わる

外壁の全面打診等は、手の届かない高さまで人が近づかなければできません。そのための「仮設」をどう選ぶかで、費用構造がまったく変わります。

一般的に、外壁調査の単価は使用する仮設方法によって変動し、足場の設置を伴う場合が最も費用が高く、次いでゴンドラ、ロープアクセス、高所作業車といった順に変動する傾向があるとされています(民間の調査会社各社が公開している費用解説による一般的な傾向)。

ここは公的な統一単価が存在しない領域ですので、金額を断定することはできません。私の実務感覚として、構造の違いだけ整理しておきます。

仮設方法 費用構造の特徴 千代田区での向き・不向き
仮設足場 架設・解体・養生で固定費が大きい。調査だけのために組むと割高になりやすい 敷地に余白がある物件。大規模修繕と同時なら合理的
ゴンドラ 屋上に設置スペースと固定条件が必要。設置・移動に時間がかかる 屋上に既存ゴンドラ設備がある大型ビル
ロープアクセス(無足場工法) 仮設の固定費が小さい。人が下りられる面なら直接打診できる 敷地に余白がない物件、稼働を止めたくない物件
高所作業車 道路占用・搬入経路の確保が前提。届く高さに限界 低中層かつ前面道路に余裕がある物件

ロープアクセスによる打診調査を扱う事業者の公開情報では、足場を伴う調査に比べて㎡あたりの費用を抑えられた事例が紹介されています。ただし、これは建物形状・階数・調査面積・立地条件によって大きく動く数字ですので、「一律に安くなる」と受け取っていただくのは適切ではありません。同じ建物で複数の仮設方法を比較見積りするのが、最も確実な判断方法です。

ロープアクセス工法の安全基準や技術的な背景については、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで詳しく解説しています。


ロープアクセス工法が12条打診で選ばれる理由

ここからは、私の専門分野の話をさせてください。

明誠は、通常の足場仮設による工事、無足場工法であるロープアクセス、そしてその両方を部位ごとに使い分けるハイブリッド工法の3つの工法から建物にとって最適なものをご提案できる、日本でも数少ない会社です。詳しくは明誠のロープアクセス工法のご紹介私たちの考え方をご覧ください。

12条点検の外壁調査でロープアクセスが選ばれる理由は、主に次の4点です。

理由1:仮設の固定費が小さい

足場は「組んで、解体する」という作業そのものに大きなコストと日数がかかります。調査のためだけに全面足場を架けるのは、費用対効果の面で厳しい判断になりがちです。ロープアクセスは、屋上にアンカーを取り、そこから人が下りる。仮設の固定費を圧縮できます。

理由2:居ながら調査ができる

建物をメッシュシートで覆いません。テナントの看板は見えたまま、住戸の窓も塞ぎません。防犯面の不安——足場から侵入されるのではないかという懸念——も生じにくい。千代田区のように「建物を止められない」立地では、この差が効きます。

理由3:複雑な形状・狭小敷地に対応しやすい

セットバックした上層階、入り組んだバルコニー、隣地との隙間。足場が建てられない面でも、ロープなら下りられる場合があります。私が20年やってきて一番悔しい思いをするのは、「足場が建てられないので、その面は目視で済ませました」という調査報告書を見たときです。

理由4:打診という「本物のデータ」が取れる

ここは大事なところなので、丁寧に申し上げます。

令和4年1月18日付けで平成20年国土交通省告示第282号が一部改正され、打診以外の調査方法として、無人航空機(ドローン)による赤外線調査であって、テストハンマーによる打診と同等以上の精度を有するものが明確化されました。同等以上の精度の判定にあたっては、一般財団法人日本建築防災協会が取りまとめた「定期報告制度における赤外線調査(無人航空機による赤外線調査を含む)による外壁調査ガイドライン」を参照することとされています(国土交通省)。

ドローン赤外線は、条件が整えば有力な選択肢です。私も否定しません。ただし千代田区という土地柄を考えると、飛行に関する調整のハードルは決して低くない。皇居周辺をはじめとする飛行の制約、隣接建物との離隔、風の条件——都心部ならではの難しさがあります。

その点、ロープアクセスによる打診は、人の耳で「浮き」の音を拾う方法です。調査員が壁に触れ、テストハンマーで叩き、その場でチョークを入れて記録できる。浮きを見つけた瞬間に、その周辺を追加で叩いて範囲を確定できる。この機動性は、遠隔からの調査にはない強みだと私は考えています。

さらに言えば、調査と是正を同じ体制でつなげられるのがロープアクセスの最大の利点です。浮きを見つけたその日のうちに、同じ職人がアンカーピンニングの下地処理に入れる。調査会社と施工会社が別々だと、ここで一度仮設が解体され、また架け直すことになります。

ロープアクセスの一般的な安全基準や事例はロープアクセスドットコムにまとめてあります。工法選定の前に一度目を通していただけると、判断の軸が定まるはずです。


12条点検を大規模修繕と一体化するメリット

私はこれを、必ずワンセットでご提案するようにしています。

メリット1:仮設費の二重払いを避けられる

12条点検の全面打診で足場を組み、その2年後に大規模修繕でまた足場を組む。これほどもったいない話はありません。全面打診の周期(おおむね10年)と、大規模修繕の周期(おおむね12〜15年)は、無関係ではなく揃えられるものです。

長期修繕計画を作り直すときに、12条点検の報告年度を線表に書き込んでみてください。多くのマンションで、「1回分の仮設を統合できる」ポイントが見つかります。

メリット2:調査結果が、そのまま修繕の設計根拠になる

全面打診で作成した浮き・欠損の展開図は、大規模修繕の数量拾いの基礎資料そのものです。別々に発注すれば、同じ調査を2回やることになります。

メリット3:管理組合の合意形成が進みやすい

「法律で決まっているから調査します」だけでは、総会は動きません。しかし「12条点検で外壁の浮きが◯㎡見つかりました。このまま放置すると通行人への落下リスクがあります。同じ仮設で修繕までやれば、別々にやるより仮設費が1回分で済みます」と説明すれば、話は前に進みます。

私の経験上、理事会が動くのは危機感と数字が揃ったときです。12条点検は、その両方を提供してくれる制度でもあります。

分譲マンションの管理組合さま向けのご提案は管理組合さま向けサービス、ビル・収益物件のオーナーさま向けはビルオーナーさま向けサービスにまとめています。

参考:外壁タイルの「落下防止措置」に関する国の動き

外壁タイルまわりでは、国土交通省から比較的新しい技術的助言が出ています。令和7年6月30日付 国住参建第1579号「建築物の定期調査報告における落下防止措置付き外壁タイルの取扱いについて」【最終改正】、および令和8年7月21日付 事務連絡「落下防止措置付き外壁タイルの性能検証法について」が公表されています(国土交通省)。

落下防止措置を施したタイルの定期調査上の取扱いは、修繕方法の選定にも関わる論点です。修繕方針を決める段階で、設計者・調査資格者と最新の助言内容を確認されることをおすすめします。


まとめ——千代田区のオーナーさま・理事長さまが今週動くこと3点

長くなりましたので、行動に落とし込みます。

1. 検査済証の交付日と、前回の定期報告の年度を確認する

書類を1枚探すだけです。検査済証の交付年度から、初回免除を踏まえた報告年度が逆算できます。共同住宅なら、次は令和9年度(令和9年5月1日〜10月31日)が本番です。

2. 延べ面積が1万㎡を超えるかどうかを確認する

超えていれば提出先は東京都(市街地建築部 建築企画課/03-5388-3344)、超えていなければ千代田区(建築指導課 安全対策担当/03-5211-4315)です。ここを確認しておくだけで、来年の慌ただしさがひとつ減ります。

3. 前回の大規模修繕からの経過年数を、長期修繕計画に重ねてみる

外壁改修から10年が近いなら、全面打診と次回大規模修繕を一体で考える価値があります。仮設を1回に統合できるかどうか、線表の上で確認してみてください。

12条点検は、書類を出すための作業ではありません。建物から何も落ちない状態を作るための、10年に一度の総点検です。千代田区のように人の往来が多い街では、その意味がひときわ重くなります。

調査の方法、仮設の選び方、大規模修繕との統合タイミング。ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。お問い合わせはこちらのフォームからどうぞ。


よくある質問(FAQ)

Q1. 千代田区の12条点検は、どこに報告すればよいですか。
A. 原則は千代田区 環境まちづくり部 建築指導課 安全対策担当(03-5211-4315)です。ただし敷地内に延べ面積1万㎡を超える建築物がある場合は、東京都 市街地建築部 建築企画課(建築安全担当/03-5388-3344)が所管となります(出典:千代田区東京都都市整備局)。

Q2. マンション(共同住宅)の次の報告はいつですか。
A. 東京都の報告年次では共同住宅は3年ごとで、令和6年度・令和9年度・令和12年度の並びです。令和9年度の報告期間は令和9年5月1日から10月31日までとされています。令和8年度は報告年度にあたらないケースが多いため、準備期間として使うのが現実的です。

Q3. 外壁の全面打診は何年ごとですか。
A. 平成20年国土交通省告示第282号により、おおむね10年に一度、落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分について全面的な打診等を行うこととされています。加えて、おおむね6か月から3年以内に一度、手の届く範囲の打診等が求められます(出典:国土交通省)。

Q4. ドローンの赤外線調査で打診の代わりになりますか。
A. 令和4年1月18日付けの告示第282号の一部改正により、無人航空機による赤外線調査であって、テストハンマーによる打診と同等以上の精度を有するものが調査方法として明確化されました。同等以上の精度の判定は、日本建築防災協会がとりまとめたガイドラインを参照することとされています。適用可否は建物条件によりますので、調査資格者にご確認ください。

Q5. 全面打診に必ず足場が必要ですか。
A. 足場以外に、ゴンドラ、ロープアクセス(無足場工法)、高所作業車などの選択肢があります。費用は仮設方法によって変動し、足場を伴う場合が最も高くなる傾向があるとされています。建物形状・立地・調査面積によって最適解が変わりますので、複数の仮設方法で比較見積りを取ることをおすすめします。


この記事のポイントまとめ

  • 千代田区の12条第1項報告は原則として区の建築指導課が窓口
  • 敷地内に1万㎡超の建築物があると提出先は東京都に変わる
  • 共同住宅の次の報告年度は令和9年度(5月1日〜10月31日)
  • 全面打診はおおむね10年に一度、竣工・外壁改修から起算
  • 仮設の選び方で調査費は変わる。比較見積りが最も確実

関連リソース


出典・参考資料


本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月12日時点で公表されている千代田区および国土交通省・東京都の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・運用変更があり得ます。実際に報告・申請される前に、必ず千代田区 環境まちづくり部 建築指導課および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。


執筆者:本間 幸紘(株式会社明誠 代表取締役)
専門領域:マンション大規模修繕/ロープアクセス工法/建物長寿命化計画
実務経験:建設・改修業界 20年以上
所属:一般社団法人 全国建設業支援協会(JCSA)

株式会社明誠について:東京都東大和市を拠点に、通常足場工法・ロープアクセス工法(無足場工法)・ハイブリッド工法の3つから建物に最適な工法をご提案できる改修会社です。日本初のロープアクセス工事フランチャイズを展開し、塗装・防水・タイル・電気・看板などの専門職が加盟しています。

最終更新:2026年9月12日

ロープアクセス工法の詳細解説は、姉妹サイトロープアクセスドットコム(https://rope-access-method.com/)をご覧ください。