大規模修繕はロープアクセスが提案可能な東京の明誠へ

創業から6000棟超の施工実績

大規模修繕の「資材高騰・工事中断」リスク——ナフサ不足と原油高で膨らむ修繕コストを、工法選択でどう守るか【2026年6月】

大規模修繕の「資材高騰・工事中断」リスク——ナフサ不足と原油高で膨らむ修繕コストを、工法選択でどう守るか【2026年6月】

大規模修繕の「資材高騰・工事中断」リスク——ナフサ不足と原油高で膨らむ修繕コストを、工法選択でどう守るか【2026年6月】

「見積もりを取ったら、数年前の話より2割も3割も高くなっていた」。最近、マンションの理事長さんやビル・ホテルのオーナーさんから、こうした声を本当によく聞きます。大規模修繕は十数年に一度の大仕事ですから、前回との差に驚かれるのは当然です。そして2026年6月、その「高くなった」背景を裏づけるようなニュースが、いくつも流れてきました。

ひとつは、原油価格の高止まりです。日本総研(日本総合研究所)は、原油高が建設投資を押し下げる方向に働き、とりわけ防水工事や内装工事といった「工事の後工程」で使う資材への影響が大きく、材料の調達が間に合わずに工事を中断する事例も出ている、という趣旨の指摘をしています。実際、防水・塗装を手がける施工会社が「ナフサ不足で材料の一部に受注停止が起き、現場が止まっていたが、ようやく入荷して再開できた」と現場の様子を発信する動きも見られました。

私は東京・関東を中心に、マンション・ビル・ホテルの大規模修繕に長く携わってきました。足場を架ける従来工法だけでなく、ロープアクセス(無足場工法)、そして両者を部位ごとに使い分けるハイブリッド工法まで、建物ごとに最適な工法を提案することを仕事の柱にしています。だからこそ、今回の「資材高騰」「材料が手に入らない」という話は、ニュースの向こう側の出来事ではなく、これから大規模修繕を控えるすべての建物オーナーさんに直結する問題だと受け止めています。

この記事では、まず何が起きているのかを正確に整理し、そのうえで「材料費が上がっている局面で、それでも修繕の総額をどう抑えるか」を、現場の目線でお伝えします。煽るつもりはありません。淡々と、事実と根拠で。なお、本記事は一般的な解説であり、個別の見積もりや工事判断を保証するものではありません。最終的な判断は、必ず現地調査と専門家の確認のうえで行ってください。


何が起きているのか——原油高・ナフサ不足が「修繕材料」を直撃している

防水・塗装の材料は「石油から生まれる」という事実

まず押さえておきたいのは、大規模修繕で使う材料の多くが、石油を原料にしているという事実です。私たちが現場で扱うウレタン防水材、塗料、シーリング材(コーキング)、接着剤——これらは、原油を精製してできる「ナフサ」という基礎原料から、さまざまな化学品を経てつくられています。つまり、原油価格が上がり、ナフサの供給が細ると、その影響が川下の防水材や塗料にまで波及してくる構造になっているのです。

2026年に入ってからの報道では、こうした石油化学系の資材で供給が不安定になり、一部の防水材・塗料で受注が止まる、納期が読めない、といった声が現場から上がっていました。日本総研も、原油高の影響が「工事の後工程で使う資材」に大きく出やすいと指摘しています。後工程というのは、まさに防水や塗装、内装といった、建物の仕上げに近い部分のことです。大規模修繕は外壁塗装・防水・シーリングが工事の中心ですから、ここが直撃を受けるというのは、私たち施工側にとっても他人事ではありません。

「材料が来ないと、工事は止まる」という当たり前の怖さ

資材高騰というと「値段が上がる」話だと思われがちですが、現場にとってより怖いのは「そもそも材料が手に入らず、工事が止まる」ことです。私自身、過去の資材逼迫の局面で、段取りどおりに進めていた現場が、材料の入荷待ちで数日から数週間ストップしてしまう、という経験を何度かしてきました。

足場を架けている現場で工事が止まると、何が起きるか。仮設足場は「架けている期間」に対して費用が発生します。工期が延びれば延びるほど、足場のリース費用や仮設まわりのコストがかさんでいきます。さらに、居住者や利用者にとっては、ベランダが使えない、窓を開けにくい、防犯面で不安、といった生活への負担が長引くことになります。つまり資材の供給不安は、「材料費の上昇」と「工期延長によるコスト増・生活影響の長期化」という、二重の負担としてのしかかってくるのです。

資材だけではない——人件費の上昇という構造要因

もうひとつ、忘れてはいけないのが人件費です。建設業の現場は慢性的な人手不足が続いており、職人さんの労務単価は年々上がっています。円安によって輸入資材の価格が押し上げられ、そこに人件費の上昇が重なる。建築費・修繕費は「高止まり〜緩やかな上昇」が当面続く、というのが多くの専門家のおおむね一致した見方です。

つまり、今回のナフサ不足・原油高は、もともと続いていた資材・労務の上昇トレンドに、供給制約という新たな一撃が加わった、という構図です。「待っていれば安くなる」と先送りするほど、材料費・人件費・そして建物自体の劣化が進む——この三重苦に向き合わざるを得ないのが、いまの大規模修繕の現実だと、私は考えています。


先送りが一番高くつく——「待つ」ことの本当のコスト

劣化は待ってくれない

「資材が高いなら、価格が落ち着くまで工事を待とう」。気持ちはよく分かります。けれど、建物の劣化は私たちの都合を待ってはくれません。外壁のタイルやモルタルの浮き、ひび割れ、防水層の劣化、シーリングの痩せ——これらは時間とともに確実に進みます。

特に怖いのが、外壁の剥落です。タイルやモルタルが浮いたまま放置されれば、いずれ落下し、通行人や居住者に当たる事故につながりかねません。万が一、人身事故が起きれば、建物所有者・管理組合が責任を問われる可能性があります。資材が高いから先送り、という判断が、結果としてはるかに大きな損失を招くリスクをはらんでいるのです。

防水を後回しにすると、修繕範囲が広がる

防水の劣化も同じです。屋上やバルコニーの防水層が切れると、雨水が建物内部に侵入します。最初は小さな雨漏りでも、放置すれば鉄筋を錆びさせ、コンクリートを内側から傷め(中性化・爆裂)、躯体そのものの寿命を縮めます。「防水のやり直しで済んだはずが、躯体補修まで必要になった」というのは、現場で本当によくある話です。材料費の上昇を嫌って先送りした結果、工事範囲そのものが広がってしまっては、本末転倒です。

修繕積立金の不足という、もうひとつの逆風

マンションの場合、ここに修繕積立金の問題が重なります。近年、新築時の積立金が低く設定され、計画どおりに値上げできていない管理組合は少なくありません。資材・人件費が上がる一方で、積立金は計画どおりに増えていない。この「ハサミ状の開き」が、多くの管理組合を悩ませています。だからこそ、限られた予算のなかで「同じ品質をどう安く実現するか」という工夫が、これまで以上に重要になっているのです。


数字で見る——資材と建築費は、どれくらい上がったのか

「高くなった」を感覚ではなく数字で押さえる

「高くなった」という実感を、できるだけ数字で確かめておきましょう。建築工事にかかる費用の動きを示す代表的な指標に、国土交通省が公表している「建設工事費デフレーター」があります。これは、建設工事にかかる費用の物価変動をとらえる指数で、近年は右肩上がりの傾向が続いてきました。木材が高騰した「ウッドショック」以降、セメント・鉄骨・石油化学系資材・労務費と、コストを押し上げる要因が次々に重なり、建築・修繕にかかる費用はコロナ禍前の水準には戻っていない、というのが大方の見方です。

大規模修繕に引き寄せて言えば、外壁の塗装・タイル補修・防水・シーリング、そして仮設足場——このいずれもが値上がり圧力にさらされてきました。材料は石油化学と金属、足場は鋼材、施工は人の手。どこを取っても、上昇トレンドの影響を受けやすい構造になっているのです。だからこそ、前回の修繕から十数年が経っている建物ほど、「前回の感覚」で予算を組むと、現実とのギャップに直面しやすくなります。

「これから下がる」とは考えにくい

では、この先は下がるのか。残念ながら、すぐに大きく下がるとは考えにくい、というのが多くの専門家の見立てです。理由は、値上がりの背景にあるのが一時的な要因ではなく、構造的な要因だからです。慢性的な人手不足による労務費の上昇、円安による輸入資材の高止まり、そして今回のような地政学リスクに端を発する原油・ナフサの供給制約。これらは、数か月待てば解消する、という性質のものではありません。

私は、お客様に「値下がりを待つ前提で計画を立てるのは危険です」と、率直にお伝えするようにしています。期待を持たせる言い方のほうが喜ばれるのは分かっています。それでも、根拠のない楽観で先送りを勧めて、結果的に劣化を進めてしまうほうが、よほど不誠実だと考えるからです。値下がりを待つのではなく、「上がる前提で、いかに賢く直すか」に発想を切り替える。これが、いまの局面での現実的な構えだと思います。


コストを抑える鍵は「工法選択」——足場ありきをやめる

ここからが、私が一番お伝えしたいところです。資材費そのものは、世界の原油市場や為替に左右されるため、私たち施工会社の努力だけでは下げられません。けれど、修繕の「総額」を構成するのは材料費だけではありません。仮設費(足場)、人件費、工期に連動するコスト——ここには、工夫の余地が大きく残されています。なかでも効果が大きいのが、工法の選択です。

3つの工法を比べる

大規模修繕の工法は、大きく次の3つに分けられます。明誠では、この3つを建物ごとに比較し、本当に最適な方法を提案しています。

工法 特徴 向いている建物・場面 コスト・工期への影響
通常足場工法 建物全体に仮設足場を架けて施工する従来型 中低層、形状が複雑な建物、全面的な改修 足場の架設・解体・リース費が発生。架設期間が長いほど費用増
ロープアクセス工法(無足場) 産業用ロープで作業員が降下し、足場を架けずに施工 高層、足場が架けにくい立地、部分補修、コスト最重視 足場費を大幅に圧縮。工期短縮・生活影響の最小化につながりやすい
ハイブリッド工法 足場とロープアクセスを部位ごとに使い分ける 大規模・複雑な建物で総コストを最適化したい場面 必要な部分だけ足場を使い、残りはロープで。総額を抑えやすい

ポイントは、足場費が修繕総額のなかで決して小さくない割合を占める、ということです。資材費が上がっている局面では、なおさらこの「仮設費をどう抑えるか」が効いてきます。足場を架けなければならない部位はしっかり足場を使い、ロープアクセスで対応できる部位はロープに切り替える。この使い分けができるかどうかで、最終的な負担額は大きく変わります。

ロープアクセスが効く理由——「資材高騰の時代」だからこそ

ロープアクセス(無足場工法)は、足場の架設・解体・リースにかかる費用と時間を圧縮できる工法です。資材高騰で材料費が上がっている今、足場という「仮設コスト」を削れる意味は、以前にも増して大きくなっています。

さらに、工期が短くなれば、先ほど触れた「工事中断による工期延長コスト」のリスクも相対的に小さくできます。万が一、材料の入荷待ちが発生しても、足場を長期間架けっぱなしにする工法に比べれば、仮設費の膨張を抑えやすい。居住者・利用者にとっても、ベランダや窓まわりが塞がれる期間が短く済むのは、大きなメリットです。ホテルや商業ビルであれば、営業や稼働を止めずに改修を進めやすい、という強みにもつながります。

もちろん、ロープアクセスが万能なわけではありません。全面打診や大がかりな下地補修が必要な現場では、足場のほうが適している場合もあります。だからこそ「足場ありき」でも「ロープありき」でもなく、建物ごとにフラットに比較できることが大切なのです。

フランチャイズという仕組みが、品質と価格を両立させる

明誠は、ロープアクセス工事の分野で、日本で初めてとなるフランチャイズ展開を進めてきました。塗装・防水・タイル・電気・看板など、各分野の専門職が加盟する仕組みです。専門性の高い職人がネットワークでつながることで、高い品質を保ちながら、中間マージンを抑えた価格を実現しやすくなります。資材費という「外から来る上昇圧力」に対して、施工体制の側で効率を高め、総額を抑える——この両面からのアプローチが、いまの時代には欠かせないと考えています。


現場から——ある中層マンションでの「工法を分けた」判断

少し、現場の話をさせてください。物件が特定されないよう、細部はぼかしてお伝えします。

以前、関東のある中層マンションで、大規模修繕のご相談をいただいたことがあります。当初、別の会社からは「全面に足場を架けて一式で」という見積もりが出ていて、管理組合の理事会は「思っていたより高い」と頭を抱えていらっしゃいました。ちょうど資材価格が上がっていた時期で、材料費はこちらの努力ではどうにもなりません。そこで私たちが提案したのは、建物を部位ごとに見て、足場が本当に必要なところと、ロープアクセスで対応できるところを分ける、という考え方でした。

その建物は、共用廊下側は形状が複雑で下地補修も多く、足場を架けてしっかり作業したほうが安全かつ確実でした。一方、外壁の一部やバルコニー側の塗装・シーリングのやり直しは、ロープアクセスで十分に品質を担保できる範囲でした。そこで、足場が要る面には足場を、それ以外はロープで——というハイブリッドの組み立てにしたのです。結果として、全面足場を前提にした場合に比べ、仮設にかかる費用と工期を圧縮でき、居住者の方々がベランダを使えない期間も短く抑えることができました。

私がこの仕事で大切にしているのは、「うちはこの工法しかできないから、これでいきましょう」と言わないことです。足場屋さんは足場を、ロープ屋さんはロープを勧めがちです。けれど、本当にお客様のためを思うなら、まず建物をフラットに見て、どの組み合わせがいちばん負担を小さくできるかを考えるべきだ、と。資材が高い時代だからこそ、この「見立て」の差が、最終的な金額に効いてくるのだと、現場に立つたびに感じています。


ホテル・商業ビルの大規模修繕——「止めない改修」という視点

資材高騰の話は、マンションだけの問題ではありません。ホテルや商業ビル、テナントビルのオーナーさんにとっては、もうひとつ重い論点があります。それは「改修中に、稼働や営業をどれだけ止めずに済むか」という問題です。

ホテルであれば、客室や外観を覆う足場は、稼働率や宿泊体験に直接響きます。商業ビルであれば、テナントの営業や来館者の動線に足場が影響します。つまり、足場を長期間架けることそのものが、材料費とは別の「機会損失」というコストを生むのです。資材高騰で工事費が上がっているうえに、足場で営業が止まれば、痛みは二重になります。

ここでも、ロープアクセスやハイブリッド工法の価値が際立ちます。足場を最小限に抑え、必要な部位だけ短期間で集中的に直す。外壁・窓まわり・看板といった部位を、稼働を止めずに、あるいは影響を最小化しながら改修していく。インバウンド需要が高止まりし、客室稼働を一日でも落としたくないホテルにとって、「止めない改修」は、コスト面でも体験面でも大きな意味を持ちます。私たちが3つの工法を提案できることの価値は、こうした「稼ぐ建物」でこそ、はっきりと表れると考えています。


よくある質問(FAQ)

Q. 資材が高いので、もう少し値下がりを待ってから工事したほうがよいですか?

値下がりを待つことはおすすめしにくい、というのが私の率直な考えです。資材・人件費の上昇は構造的な要因によるもので、短期での大幅な下落は見込みにくい状況です。むしろ、待っている間に建物の劣化が進み、修繕範囲が広がって総額が増えてしまうリスクのほうが現実的です。まずは点検で現状を把握し、優先順位をつけて計画的に進めるのが安全です。

Q. ロープアクセス(無足場工法)にすれば、必ず安くなりますか?

必ず安くなる、とは言えません。建物の形状や劣化の程度、必要な作業内容によっては、足場を架けたほうが安全かつ合理的な場合もあります。大切なのは「ロープありき」でも「足場ありき」でもなく、建物ごとに3つの工法を比較したうえで、コスト・工期・安全性・生活影響のバランスから最適な方法を選ぶことです。

Q. 見積もりが妥当かどうか、素人でも見分けられますか?

すべてを見分けるのは難しいですが、ポイントはあります。総額だけでなく「内訳」を見てください。材料費・仮設費(足場)・人件費・諸経費の割合が示されているか。特に仮設費は工法選択で大きく動く部分です。複数社から相見積もりを取り、工法の選択肢を持つ会社の説明と比べてみると、判断材料が増えます。


いま、建物オーナー・管理組合ができる5つのこと

最後に、資材が高く、供給も不安定なこの局面で、建物オーナーさんや管理組合の理事長さんが今すぐ着手できることを、5つにまとめます。どれも、大きなお金をかける前にできる「準備」と「確認」が中心です。

第一に、外壁・屋上・バルコニーなど、建物外皮の劣化状況を点検することです。タイルの浮きや剥落、防水層の劣化、シーリングの痩せ、手すりの腐食などは、安全と資産価値に直結します。落下や雨漏りのリスクがある部位は、資材価格に関わらず、優先して手を打つべきです。点検だけなら大きな費用はかかりません。

第二に、長期修繕計画の中身を見直すことです。場当たり的な補修を繰り返すより、いつ・どこを・どの工法で・いくらで直すかを計画として持っておくほうが、トータルコストは下がります。資材高騰を織り込んだうえで、優先順位をつけ直すことが大切です。

第三に、修繕積立金の水準を確認することです。資材・人件費の上昇に対して、積立金が計画どおりに増えているか。不足が見込まれるなら、値上げや一時金、借入なども含めて、早めに選択肢を検討しておくほうが、いざというときに慌てずに済みます。

第四に、見積もりを取る際は、工法の選択肢を持つ会社に相談することです。足場工法しか提案できない会社に依頼すれば、当然、足場ありきの見積もりになります。足場・ロープアクセス・ハイブリッドを比較したうえで、稼働とコストの両面から最適解を出せるかどうか。ここで最終的な負担額が変わってきます。

第五に、見積もりの「内訳」を確認することです。材料費・仮設費(足場)・人件費・諸経費が、それぞれどれくらいの割合か。総額だけでなく内訳を見れば、どこに削減の余地があるかが見えてきます。特に仮設費の比率は、工法選択で大きく動く部分です。

これらは、資材価格が世界情勢で揺れ動くなかでも、建物の側・発注の側でコントロールできる数少ないポイントです。外的な値上がりに振り回されるのではなく、自分たちでできる工夫を積み上げていく。その積み重ねが、最終的な総額と建物の寿命を左右します。


資材高騰の時代こそ、補助金・税制優遇を取りこぼさない

資材価格が上がる局面では、使える公的支援を取りこぼさないことも、実質的なコスト対策になります。マンションの大規模修繕や長寿命化に関しては、自治体によって補助制度が用意されている場合があり、外壁改修・屋上防水・省エネ改修などが対象になることがあります。また、一定の要件を満たす長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションについて、固定資産税が減額される制度が設けられている自治体もあります。耐震・バリアフリー・省エネといった改修にあわせて、固定資産税の減額措置が用意されているケースもあります。

ただし、補助金・優遇制度には注意点があります。第一に、制度の有無・対象・補助率・上限額・申請期限は、年度ごと、そして自治体ごとに異なります。第二に、補助金は予算枠が決まっており、枠に達した時点で受付が締め切られることが珍しくありません。「あるはず」と思い込まず、必ず最新の年度の情報を、お住まいの自治体や所管の窓口で確認してください。第三に、多くの制度は「工事の前」に申請・交付決定が必要で、着工後では対象にならないことがあります。計画段階から、補助金・税制優遇の活用可否を専門家とあわせて検討しておくことが、資材高騰時代の賢い進め方だと考えます。

なお、私たちが運営する一般社団法人 全国建設業支援協会(JCSA)でも、建設業向けに経営や制度活用に関する情報発信を行っています。発注する側・施工する側の双方が、こうした制度を正しく知ることが、業界全体の健全なコスト構造につながると考えています。


まとめ——「材料は選べなくても、工法は選べる」

2026年6月、原油高とナフサ不足は、防水・塗装といった大規模修繕の中心的な材料を直撃し、現場では工事中断という形でも影を落としています。日本総研が指摘するように、こうした影響は工事の後工程で大きく出やすく、大規模修繕はまさにその只中にあります。資材費の上昇と供給の不安定さは、当面続く構造的な課題だと考えておくべきでしょう。

けれど、私はこう考えています。材料の価格は選べなくても、工法は選べる、と。足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3つから、建物にとって本当に最適な方法を選べば、同じ「直す」でも、かかる費用と建物利用者への影響は大きく変わります。資材が高い時代だからこそ、仮設費を抑え、工期を縮め、稼働を止めない工法選択の価値が、いっそう際立つのです。

「うちの建物の修繕、今の見積もりで本当に最適なんだろうか」。少しでもそう感じたら、まずは現状を点検し、複数の工法で比較してみることから始めてみてください。建物を“長く使える資産”として守っていくために、私たちにできるお手伝いがあれば、いつでもご相談いただければと思います。淡々と、けれど本気で、お一人おひとりの建物に向き合います。

※本記事は2026年6月時点の報道および公開情報に基づく一般的な解説であり、個別の見積もり・工事判断・投資判断を保証するものではありません。資材価格や供給状況は今後変動する可能性があります。実際の修繕にあたっては、必ず現地調査と専門家の確認のうえでご判断ください。

出典・参考

  • 日本総合研究所(日本総研)「足元の原油高で建設投資は27年末に下振れも」(2026年6月/公表資料・報道による)
  • 国土交通省「建設工事費デフレーター」「建設投資見通し」(mlit.go.jp)
  • 防水・塗装施工会社による現場発信「ナフサ不足で停滞していた防水・塗装工事が材料入荷で再開」(2026年6月/報道・各社発信による)
  • 建設資材価格・建築費の動向に関する各種解説(2026年/各種報道・まとめによる)