
塗料用シンナー、政府が23日から“直接販売”を開始——供給ひっ迫の転機。止めていたマンション大規模修繕、いつ動かすか。収益物件オーナー・管理組合の判断軸【2026年6月】
朝のニュースで「シンナーをメーカーから直接買えるようにする」という見出しが流れました。塗装や防水の見積りを手元に、着工のタイミングを計りかねているオーナーさま、あるいは総会で工事の可否を諮ろうとしている管理組合の理事長さまにとっては、見過ごせない一報だったはずです。
結論から申し上げます。これは、ここ数か月続いてきた「材料が高い・入ってこない」という供給ひっ迫に対する、政府の初動の一手です。供給が一夜で元に戻るわけではありません。けれども、流れが変わる「入口」に差しかかったことは確かです。だからこそ今、「待つべきか、動くべきか」「どの工法で進めるか」という判断が、これまで以上に資産の行く先を左右します。
今日は、報じられている事実を冷静に押さえたうえで、収益不動産をお持ちのオーナーさまと、マンション管理組合の理事長さま・修繕委員のみなさまが「自分の建物で何をすべきか」を決めるための要点を、現場の言葉で整理します。煽るためではありません。判断の土台をそろえるためです。
ニュースの要点——政府が「塗料用シンナーの直接販売」を6月23日に開始
まず、いま何が報じられているのかを正確に押さえます。
赤澤亮正経済産業相は2026年6月19日の閣議後会見で、シンナーメーカーから自動車整備事業者や工務店などの需要家に対し、塗料用シンナーを直接販売する仕組みを立ち上げ、6月23日から需要家の注文受付を開始すると明らかにしました(出典:日本経済新聞、NHK、共同通信・朝日新聞ほか)。配送は通販会社アスクルの物流網を活用し、需要家のもとへ直接届けられる形です。
ここで言う「需要家」とは、シンナーを実際に使って仕事をする現場、つまり整備工場や工務店、塗装業者などを指します。これまでは、メーカーから卸・販売店を経て現場に届く流通経路が一般的でした。その経路のどこかで在庫が滞り、現場までモノが回らない——いわゆる「流通の目詰まり」が起きていました。今回の仕組みは、その目詰まりを避け、メーカーから現場へ直接モノを流す「バイパス」を一本通すものだと理解すると分かりやすいと思います。
赤澤経産相は会見で、この措置について「需給ひっ迫による価格上昇を抑制する効果も一定程度期待している」と述べています。供給を増やすだけでなく、値上がりに歯止めをかける狙いもにじみます。
6月2日の「原料を最大1.8倍供給」スキームとセットで動く
今回の直接販売は、単独の思いつきで出てきたものではありません。政府は先立つ2026年6月2日、シンナーの原料を最大1.8倍供給するスキームを発表していました。今回の直接販売は、この増産スキームで生産されたシンナーを、滞りなく現場へ届けるための「出口」にあたります。
つまり、「原料を増やす(入口)」と「現場へ直接届ける(出口)」が、6月2日と6月19日の二段構えでそろった、という構図です。片方だけでは効きません。原料を増やしても流通で詰まれば現場に届かず、流通を整えても元の量が足りなければ品薄は解けません。両方が動いて初めて、供給ひっ迫の緩和に向けた現実的な道筋が見えてきます。
なぜ「直接販売」という、やや異例の手を打つのか
平時であれば、政府が特定の建材の流通に直接手を入れることはそう多くありません。それをあえて行うということ自体が、現場の逼迫が看過できない水準にあることの裏返しでもあります。塗料用シンナーは、外壁塗装をはじめとする工事に欠かせない基礎資材です。これが回らなければ、塗装が止まり、塗装が止まれば大規模修繕の工程全体が止まる。経済活動への波及が小さくないからこそ、踏み込んだ措置がとられた、と読むのが自然でしょう。
そもそも、なぜ塗料・シンナーがここまで逼迫したのか
ここで一度、背景を整理しておきます。経緯を知っておくと、「直接販売でどこまで解決するのか」を冷静に見極められます。
塗料用シンナーは、原油などを原料とする石油化学製品の一種です。塗料を適切な粘度に薄めたり、道具を洗ったりするのに使われ、外壁塗装の現場では欠かせません。そして、この原料となる石油化学品の供給は、2026年に入ってからの中東情勢の緊迫化、とりわけ原油・石油製品の主要な輸送路をめぐる混乱によって、世界的に不安定になりました。
原料が細れば、その川下にあるシンナー・塗料・防水材・シーリング材(目地を埋める弾力性のある材料)の供給と価格に波及します。これは構造上、避けにくい連鎖です。実際、業界向けの情報や塗装会社の発信では、シンナーや塗料について「出荷数量の制限」「価格改定」「入手難」が相次いで伝えられてきました。一部報道や業界情報では、これまで一缶4,000円程度だったシンナーが15,000円を超える実勢価格で取引された例や、大手メーカーが大幅な値上げに踏み切った例も伝えられています(※こうした価格水準は品目・メーカー・時期によって幅があり、すべての現場に一律で当てはまる数字ではありません)。
念のため申し添えます。これらの個別の価格や倍率は、二次的に伝えられている情報を含みます。ご自分の見積りがどの水準にあるかは、内訳を一つずつ確認しないと分かりません。大切なのは、数字の一つひとつに振り回されることではなく、「自分の工事に使う材料が、いまの逼迫の影響を受ける部分はどこか」を見える化することです。
これは「正常化の入口」か——楽観も悲観もしない読み方
オーナーさま・管理組合のみなさまがいちばん知りたいのは、「で、これで安くなるのか、早く工事できるのか」という点だと思います。ここは、正直にお答えします。
まず、今回の措置は明確に前向きな材料です。政府が増産と直接流通の二段で動いたことで、これまで「お金を出してもモノが手に入らない」状態が、少しずつ緩む方向に向かう可能性が高い。これは、待つことしかできなかった現場にとって、確かな前進です。
一方で、楽観しすぎるのも禁物です。直接販売が始まる6月23日を境に、翌日から価格が平時に戻る、という話ではありません。増産スキームで生産されたシンナーが市中に行き渡り、価格と納期が落ち着くまでには、相応の時間がかかると見ておくのが現実的です。経産相自身が「価格上昇の抑制効果も一定程度期待」と、慎重な言い回しをしている点にも注意が必要です。「一定程度」という言葉には、効果はあるが万能ではない、という含みがあります。
私が現場で20年見てきた感覚で言えば、こうした局面では「戻る前提」と「長引く前提」の両方で段取りを描いておくのが、いちばん安全です。今回のニュースは、振り子が「改善」の方向へ振れ始めたことを示しています。けれど、振り切るまでの速度と幅は、まだ読み切れません。だからこそ、ニュースに一喜一憂して着工を前倒し・後ろ倒しするのではなく、自分の物件の事情に即して判断軸を持つことが大切になります。
オーナー・管理組合に起きる「3つの実害」と、その変化
抽象論ではなく、これまで現場で実際に起きてきたことを3つに整理し、今回のニュースで何が変わり得るかを添えます。
実害1:工期が後ろにずれる——緩む方向だが、まだ前提にはできない
最も直接的なのが工期の遅延です。塗料やシンナー、防水材が予定どおり届かなければ、着工していても途中で手が止まります。賃貸物件であれば、足場が長く架かっている期間そのものが、入居者の生活ストレスや、退去・募集への悪影響につながりかねません。今回の直接販売で、この納期リスクは緩む方向に向かうと期待されます。ただし、現時点では「もう遅延しない」と言い切れる段階ではありません。発注時には、業者に最新の納期見通しを確認し、遅延した場合の代替段取りまで握っておくのが安全です。
実害2:見積りが上振れする・有効期限が短くなる
材料価格が動いている局面では、見積りの「有効期限」が短くなります。半年前に取った見積りが、着工時には通用しないことも起こり得ます。業者側もリスクを織り込むため、安全を見て高めに出してくることがあります。これは業者が不誠実なのではなく、先が読めないがゆえの自衛です。今回の供給対策で値上がりに歯止めがかかれば、この上振れ圧力も和らぐ可能性があります。オーナー側にできるのは、内訳を開示してもらい、「どの材料の、どのリスクを、いくら織り込んだのか」を可視化することです。
実害3:「価格が読めない」局面での相見積りの形骸化
価格が読みにくく、対応できる業者も限られる局面では、相見積り(複数社からの見積り取得)が形だけになりやすいという問題があります。数字の妥当性を判断する「ものさし」を持たないまま、提示された金額を受け入れてしまう——これが、こうした局面で最も避けたい事態です。相見積りは、社数をそろえることが目的ではありません。「同じ条件で」「内訳まで」比べられて初めて意味を持ちます。後述する「工法の比較」は、このものさしを持つための有力な手段でもあります。
価格が読みにくい今こそ「工法の選択」が効く——足場費という大きな見落とし
ここからが、私がいちばんお伝えしたい話です。
供給対策が動き始めたとはいえ、材料費が完全に元の水準へ戻るには時間がかかります。では、材料の値段が読み切れないあいだ、オーナーや管理組合は手をこまねくしかないのか。そうではありません。総工費は材料費だけでできているわけではないからです。
大規模修繕の見積りは、おおまかに「材料費」「仮設費(足場の費用)」「労務費」「諸経費」で構成されます。今回高騰しているのは主に材料費です。材料は品質に直結するため、むやみには削れません。安い材料に替えて数年で再劣化すれば、かえって高くつきます。であれば、見直すべきは「材料以外の費目」、とりわけ仮設費(足場の費用)です。
大規模修繕の見積りで、足場の架設・解体・養生にかかる仮設費は、総工費の少なくない割合を占めます。建物の形状や高さによっては、想像以上の比重になります。ところが、多くのオーナーさまは足場を「工事に必要な、動かせない前提」と捉えていて、ここを検討対象から外してしまいがちです。材料の価格が読みにくい今こそ、この大きな費目に光を当てる価値があります。
ロープアクセス(無足場工法)が、いまの局面で効く理由
私たち明誠が得意とするのが、産業用ロープを使って職人が壁面を上下しながら施工するロープアクセス工法、いわゆる無足場工法です。仮設足場を建物全体に架けず、必要な部位に職人が直接アクセスして、塗装・防水・タイル補修・シーリング打ち替えなどを行います。
この工法が、いまの局面で効く理由は3つあります。
第一に、足場の仮設費を抑えられること。読みにくいのは材料費です。であれば、材料以外の大きな費目を圧縮できれば、総額の振れ幅を和らげられます。ロープアクセスは、足場をフルに組まない分、仮設費の構造そのものが変わります。
第二に、工期を短くしやすいこと。足場の組立・解体には相応の日数がかかります。これを省ける場面では、着工から完了までの期間を圧縮できます。資材の入手がなお不安定な局面では、工事が建物に手をかけている「窓」を短くできること自体が、リスクの低減になります。
第三に、居住者・利用者の生活影響を小さくできること。建物全体を足場とメッシュシートで覆う期間が短い、あるいは限定的であれば、採光・通風・防犯面のストレスが減ります。賃貸物件であれば入居者の満足度に、分譲であれば住民合意の取りやすさに効いてきます。
もちろん、ロープアクセスは万能ではありません。建物の形状、劣化の範囲、作業量によっては、足場を組んだほうが合理的なケースもあります。大切なのは、「足場ありき」でも「無足場ありき」でもなく、建物にとって最適な工法を、コストと工期と品質の三つの軸で選ぶことです。
ハイブリッド工法という第三の選択
明誠が提案できるもう一つの選択肢が、ハイブリッド工法です。これは、足場が必要な部位には足場を組み、ロープアクセスが向く部位には無足場で対応する、という「部位ごとの使い分け」です。
たとえば、劣化が集中している面や作業量の多い面には足場を架けて効率を上げ、点検や部分補修で足りる面はロープアクセスで身軽に対応する。こうすることで、足場をすべてに架けるよりも仮設費を抑えつつ、無足場一本では難しい大がかりな作業もこなせます。大規模・複雑形状の物件で、総コストの最適点を探るときに有効です。
足場一本、無足場一本ではなく、3つの工法を建物特性に応じて比較・提案できる会社は、国内でも多くありません。私たちが大切にしているのは、工法を売ることではなく、建物にとっての最適解を一緒に探すことです。そしてこの「複数の工法で比べる」という姿勢こそ、前章で述べた、価格が読みにくい局面で必要な「ものさし」を持つことにつながります。
見積書の読み方——塗料・シンナー逼迫の局面で確認すべき費目
「内訳で見る」と申し上げても、見慣れていないと、どこを見ればよいか分かりにくいものです。大規模修繕の見積書を、費目ごとに何を確認すべきかという観点で整理します。
一つ目は直接仮設費。足場、養生シート、昇降設備など、工事のための「足場まわり」の費用です。今回の局面で最初に光を当てたいのがここです。総工費に占める割合を確認し、「この建物で、本当にフルの足場が必要か」を業者に問い直してみてください。無足場やハイブリッドで圧縮できる余地があるなら、ここが効きます。
二つ目は材料費(直接工事費のうち材料分)。塗料、シンナー、防水材、シーリング材など、まさに今回逼迫している費目です。見積書では「一式」とまとめられがちですが、できれば主要材料の単価とメーカー・グレードまで開示してもらいましょう。とくに塗料は、シンナーをほとんど使わない水性系への切り替えが供給面で有利になる場面もあります。グレードや耐久性を落とさずに逼迫を回避できる代替があるのか、ないのかを、根拠とともに確認します。
三つ目は労務費。職人の人件費です。これは資材とは別の論理で動きます。工期が延びれば、間接的に膨らむこともあります。工期短縮が労務費にどう効くかも、あわせて見ておきたい点です。
四つ目は諸経費(現場管理費・一般管理費)。現場運営や会社の管理にかかる費用で、総工費に対する比率で見るのが基本です。極端に高い・低い場合は、その理由を尋ねます。
この4つを「同じ条件で」複数社から取り、横に並べる。これが、価格が読みにくい局面で自分の身を守る最も確実な手順です。総額だけを比べると、どこで差がついているのか分からず、結局は「安いところ」か「言われるまま」になりがちです。費目で比べれば、差の理由が見え、交渉の土台ができます。
修繕積立金・長期修繕計画との兼ね合い——資金計画の見直しどき
分譲マンションの管理組合にとって、資材の逼迫と価格変動は長期修繕計画と修繕積立金の問題に直結します。長期修繕計画とは、将来必要になる修繕を時期と概算費用とともに見通した計画で、修繕積立金はその原資です。
ここで起きがちなのが、「計画を立てた当時の単価」と「いま実際にかかる費用」のかい離です。数年前に組んだ長期修繕計画の前提単価は、今回の高騰を織り込んでいません。そのまま進めると、積立金が想定より早く不足したり、一時金の徴収や借入れが必要になったりすることがあります。
だからこそ、いまの局面では長期修繕計画の見直し(再算定)と、工法によるコスト圧縮の検討を、セットで進めることをおすすめします。材料費の動きは読みにくくても、仮設費と工期を工法で抑えられれば、計画全体の総額を平準化できる可能性があります。修繕積立金の値上げ幅を最小限にとどめることは、住民合意の取りやすさにも直結します。総会で「材料が上がったので積立金も上げます」とだけ説明するのと、「材料は上がったが、政府の供給対策の動きも見つつ、工法を見直して総額の振れをこれだけ抑えた」と説明できるのとでは、住民の納得感はまったく違います。
賃貸の収益物件オーナーさまにとっても、構図は同じです。修繕費の上振れは、その期のキャッシュフローと利回りを直接削ります。融資の返済計画とのバランスも崩れかねません。「いくらかかるか」を早めに精緻化し、工法で抑えられる部分を抑えることが、長期の収益を守ることに直結します。
明誠のロープアクセスが「高品質×低価格」を両立できる理由
「無足場で安くなるのは分かったが、品質は大丈夫か」——よくいただくご質問です。ここは正面からお答えします。
明誠のロープアクセス工事は、産業用ロープを用いた国際的な技術基準に沿った手法で行います。命綱を含む二系統のロープで安全を確保し、訓練を受けた技術者が施工します。足場がないこと自体は、品質を落とす理由にはなりません。むしろ、職人が壁面に直接近づいて一面ずつ手で確かめながら進めるため、劣化の発見や部分補修の精度はむしろ高められる場面もあります。
そして、私たちが「高品質でありながら低価格」を実現できている背景には、もう一つの理由があります。明誠は、ロープアクセス工事の分野で日本で初めてのフランチャイズ展開を行っており、塗装・防水・タイル・電気・看板といった各分野の専門職が加盟しています。それぞれの道のプロが、自分の得意領域を担う。だから品質が安定し、中間マージンの構造も無駄をそぎ落とせる。これが、価格と品質を両立できる仕組みです。
繰り返しますが、私たちは無足場を売りたいのではありません。足場が最適な建物には足場を、無足場が向く建物には無足場を、両方を使い分けるべき建物にはハイブリッドを——建物にとっての最適解を、3つの選択肢の中から正直にご提案します。供給が揺れる局面で大切なのは、特定の工法に縛られず、フラットに比べられる相手を持つことです。
いま、オーナー・管理組合が打つべき5つの手
最後に、明日から動ける具体策を5つに絞ってお伝えします。
一つ目は、手元の見積り・計画の「資材リスク」を一枚に書き出すこと。どの工事に、どの材料(塗料・シンナー・防水・シーリング等)が、どれだけ使われるのか。逼迫の影響を受けやすい部分を見える化します。
二つ目は、見積りを「総額」でなく「内訳」で見ること。材料費・仮設費・労務費・諸経費に分け、価格が動いているのがどこかを把握します。とくに仮設費の大きさは、多くの方にとって発見になるはずです。
三つ目は、工法の選択肢を一度フラットに検討すること。いまの足場前提が本当に最適か。無足場やハイブリッドで仮設費と工期を圧縮できないか。建物を見たうえでの比較が、価格の妥当性を測るものさしになります。
四つ目は、業者に「最新の供給・納期見通し」を確認すること。6月23日からの直接販売をはじめ、供給環境は動いています。発注の前に、材料の入手見込みと、遅れた場合の代替段取りを確認しておきましょう。
五つ目は、「待つ」「進める」を感情でなく段取りで決めること。供給が戻る前提と、長引く前提の両にらみで、着工時期と支払いの段取りを描いておく。先延ばしが正解の物件もあれば、いま動くべき物件もあります。決め手は、物件ごとの劣化の進み具合と資金計画です。
よくあるご質問
Q. 6月23日からシンナーが直接買えるようになれば、すぐ工事費は下がりますか。
すぐに平時へ戻るとは見ていません。増産分が市中に行き渡り、価格と納期が落ち着くには時間がかかります。経産相も「価格抑制効果も一定程度期待」と慎重な言い方をしています。改善の方向ではあるが、過度な楽観は禁物です。
Q. 供給が落ち着くまで、工事を待ったほうがいいですか。
一概には言えません。劣化が進んでいる物件は、待つほど被害(雨漏り、躯体劣化、タイル落下のリスク)が広がり、結果的に費用が膨らむことがあります。「待つことの費用」と「いま動く費用」を並べて比べることをおすすめします。
Q. 塗料を水性系に替えれば、供給難を避けられますか。
シンナーをほとんど使わない塗料系統は、供給面で有利になる場面があります。ただし、建物の劣化状況や下地との相性、求める耐久性によって適否が分かれます。一律に「水性なら安心」ではなく、現地を見たうえでの判断が必要です。
Q. 無足場(ロープアクセス)にすれば、安くなりますか。
建物の形状や作業量によります。安くなる物件も、足場のほうが合理的な物件もあります。だからこそ、3つの工法を同じ土俵で比較することに意味があります。
Q. 管理組合として、まず何から始めればよいですか。
長期修繕計画と直近の見積りを手元にそろえ、資材リスクと足場費の比重を確認することからです。そのうえで、複数工法での概算比較を取ると、総会での説明がぐっと通りやすくなります。
まとめ——供給対策が動き出した今は、「工法を見直す」好機でもある
政府は6月23日、塗料用シンナーをメーカーから工務店などへ直接販売する仕組みを始めます。6月2日の「原料を最大1.8倍供給する」スキームとあわせ、入口(増産)と出口(直接流通)の二段で、供給ひっ迫の緩和に向けて動き出しました。これは、待つことしかできなかった現場にとって、確かな前進です。
ただし、価格と納期が平時へ戻るには時間がかかります。だからこそ、ニュースに一喜一憂して着工時期を動かすよりも、自分の物件の事情に即した判断軸を持つことが大切です。そして、材料費がなお読みにくいいまは、これまで「動かせない前提」とされてきた足場費に光を当て、工法そのものを見直す好機でもあります。材料費はすぐには下げられません。けれど、仮設費と工期は、工法の選び方で変えられます。無足場(ロープアクセス)やハイブリッドという選択肢を、いちど自分の物件で検討してみる価値は、いまこそ高いと考えます。
私たち明誠は、足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3工法を、建物にとっての最適解という一点から比較・提案できる、数少ない会社です。供給が揺れる局面で「総額をどう守るか」「資産価値をどう維持するか」にお悩みのオーナーさま・管理組合のみなさまは、現状の見積りを片手に、まずはお気軽にご相談ください。建物を拝見し、複数工法での概算比較からお手伝いします。
- ロープアクセス(無足場工法)について詳しくは:明誠のロープアクセス工事
- 大規模修繕の進め方・施工事例:大規模修繕のご案内
- 見積り比較・ご相談:お問い合わせ
本記事は2026年6月21日時点の公開情報(日本経済新聞・NHK・共同通信・朝日新聞・日刊自動車新聞ほか)をもとに、株式会社明誠が大規模修繕の実務目線で整理したものです。価格・納期・制度の最新状況は、各一次情報および専門業者にご確認ください。


