大規模修繕はロープアクセスが提案可能な東京の明誠へ

創業から6000棟超の施工実績

大月市のマンション補助金|大規模修繕2026年版

大月市のマンション補助金|大規模修繕2026年版

この記事で答える質問

「山梨県大月市のマンション管理組合が、大規模修繕で使える補助金はあるのか?」

先に結論を申し上げます。2026年8月19日時点で公開されている大月市の情報を確認した限り、分譲マンションの共用部大規模修繕(外壁塗装・屋上防水・シーリング打ち替えなど)そのものに直接お金が出る市の補助制度は、見当たりません

ただし、これで話が終わるわけではありません。大月市には、管理組合が使える可能性のある制度が「別の名前」で存在しています。そして大月市には、他の自治体の記事には書けない、この市に固有の重大な注意点があります。

それは——大月市の住宅関係の補助事業は、令和7年度、そのほとんどが年度途中で受付を終了しているという事実です。

私はこの記事で、この1点を中心に据えてお話しします。制度の一覧を並べるだけの記事なら、他にいくらでもあります。しかし大月市の管理組合にとって本当に重要なのは「どの制度があるか」ではなく、「いつ動けば間に合うのか」だからです。


大月市の補助金は「あるかどうか」より「間に合うかどうか」

まず、私が今回いちばん驚いた事実からお伝えします。

大月市の公式サイト「住まい」のページ(更新日:2026年7月30日)を開くと、住宅の耐震対策・建築・リフォーム関連の補助事業が4つ並んでいます。そして、そのすべてに同じ注記が付いています。

制度名 令和7年度の状況
木造個人住宅耐震診断事業 (令和7年度の補助金申請の受付は終了いたしました。)
木造住宅耐震改修等事業 (令和7年度の補助金申請の受付は終了いたしました。)
木造住宅耐震シェルター設置事業 (令和7年度の補助金申請の受付は終了いたしました。)
ブロック塀等安全確保対策支援事業 (令和7年度の補助金申請の受付は終了いたしました。)

(出典:大月市「住まい」/2026年7月30日更新)

4つ中4つ。全滅です。

さらに、「木造住宅耐震改修等事業」のページには、もう一段踏み込んだ記述があります。

令和7年度の「木造住宅耐震改修等事業」につきましては、予定件数に達したため、受付を終了いたしました。今年度の事業実施予定はございませんが、事前のご相談には随時対応しておりますので、ご希望の方は建設課までお問い合わせください。

(出典:大月市 木造住宅耐震改修等事業/2025年5月21日更新)

予定件数に達したため」。この一文が、大月市という自治体の補助金の性格を端的に表しています。

大月市は人口およそ1万9千人の市です。予算規模は東京23区や政令市とは桁が違います。だから制度そのものは丁寧に整備されているのに、枠が小さく、早い者勝ちで埋まる

私はこれまで多くの管理組合の理事長さまとお話ししてきましたが、補助金で失敗する理由の第1位は「制度を知らなかった」ではありません。「知っていたが、動き出したときにはもう年度の枠が埋まっていた」です。大月市は、まさにこのパターンが起きやすい自治体だと言えます。

大月市の管理組合が最初にやるべきこと

制度の中身を勉強するより先に、やるべきことがあります。電話を1本かけることです。

大月市 産業建設部 建設課 土木建築担当
電話:0554-20-1851(ダイヤルイン)
所在地:〒401-0015 山梨県大月市大月町花咲1608番地19

聞くべきことは、次の3つだけです。

  1. 「令和8年度の住宅関係の補助事業は、いつから受付が始まりますか」
  2. 「昨年度は予定件数に達して受付終了になったと拝見しました。受付開始のタイミングを事前に知る方法はありますか」
  3. 「分譲マンションの共用部について、市で使える補助や相談窓口はありますか」

3番目の質問で「ありません」と言われても、落胆する必要はありません。その回答自体が、理事会・総会で「市の補助は当てにせず自己資金と融資で組む」という方針を決めるための、正式な根拠になります。理事長さまが総会で「市に確認したところ、共用部への直接補助はないとのことでした」と言えるかどうかで、議案の通りやすさはまったく変わります。

私はいつも理事長さまに「補助金は、あるかないかを調べるものではなく、議案に書ける形にするものです」とお伝えしています。


★大月市の目玉:ブロック塀の補助は”2段構え”になっている

大月市の制度の中で、私がもっとも「これは管理組合が見落としている」と感じたのが、ブロック塀等安全確保対策支援事業です。

多くの自治体のブロック塀補助は「一律で上限20万円」といった単純な設計です。しかし大月市は違います。面している道路の種類によって、補助額が2段階に分かれています。

区分 補助率 上限額 対象経費の算定 高さ要件
①避難路一般路線 対象経費の2/3以内 20万円 延長1mにつき15,000円を乗じた額、または除却等経費(見積額)のいずれか少ない額 高さ1m以上
②避難路重要路線 対象経費の2/3以内 30万円 延長1mにつき25,000円を乗じた額、または見積額のいずれか少ない額 高さ1m以上(2.2m超のブロック塀も対象

(出典:大月市 ブロック塀等安全確保対策支援事業

「高さ」は、基礎を含む地盤面からブロック塀等の上面までの高さで測ります。

「一般路線」と「重要路線」の違いを正確に押さえる

ここが実務上いちばん大事なところです。

  • ①避難路一般路線:大月市耐震改修促進計画に避難路等として位置付けた道路等
  • ②避難路重要路線:大月市地域防災計画に記載された第一次および第二次緊急輸送道路、もしくは、いずれかの緊急輸送道路から指定避難所まで至る道路で市が指定した道路

大月市には国道20号と中央自動車道が東西に走り、中央本線の大月駅を中心に市街地が形成されています。幹線道路沿いに建っているマンションは、②の重要路線に該当する可能性が十分にあります。

そして重要路線の場合、単価が1mあたり15,000円から25,000円へ、上限が20万円から30万円へ上がるだけでなく、「基礎を含む道路面から上面までの高さ2.2mを超えるブロック塀も対象となる」という要件緩和が入ります。

古いマンションの敷地境界には、駐車場やゴミ置き場を囲む形で、2m超の高いブロック塀が残っていることがあります。通常の制度なら「高すぎて対象外」と諦めるケースでも、大月市の重要路線区分なら拾える可能性があるわけです。

私が現場で見てきた、ブロック塀の落とし穴

正直に申し上げます。ブロック塀は、大規模修繕の見積書のなかでもっとも「後回し」にされる項目です。

以前、ある管理組合で、外壁と屋上防水の工事を終えた翌年に「やはり塀も直しましょう」という話になったことがあります。そのときすでに足場も仮囲いも撤去済み。改めて重機を入れ、ガードマンを立て、残土処分の手配をし直しました。1年前に一緒にやっていれば済んだ段取りが、すべて二重になったのです。

外構は、本体工事と同じタイミングで検討してください。 ただし1点、大月市の要綱には見逃せない条件があります。

除去及び耐震改修工事の契約および着工は、必ず補助金交付決定後としてください。

(出典:大月市 ブロック塀等安全確保対策支援事業

つまり、大規模修繕の総合契約に塀の撤去を混ぜ込んで一括発注してしまうと、交付決定より先に契約したことになり、補助対象から外れる恐れがあります。私はこれを避けるため、塀の部分だけを別契約に切り出し、交付決定が下りてから着手する段取りを組むようにしています。数十万円の補助のために手間をかける価値があるか——工事金額と天秤にかけて判断すべきですが、判断できる状態にしておくことが理事会の仕事です。

なお、市税(市民税、固定資産税、軽自動車税および国民健康保険税)の滞納がないことも交付要件です。管理組合名義での申請可否については要綱上で明確な記載を確認できませんでしたので、この点は建設課への事前相談で確かめてください。


木造3事業は、なぜマンション管理組合が使えないのか

インターネットで「大月市 耐震 補助金 143万円」と検索すると、限度額1,437,500円という数字が出てきます。これを見て「うちのマンションにも使えるのでは」と期待される理事長さまがいらっしゃいます。

結論から言えば、分譲マンションの共用部には使えません。そして、その根拠は市の公式ページに明文で書かれています。

根拠①:耐震診断事業が「共同住宅」を明文で除外している

木造個人住宅耐震診断事業の対象住宅は、次の6項目すべてに該当するものと定められています。

要件 内容
(1) 着工時期 昭和56年5月31日以前に着工された住宅
(2) 構造 木造在来工法(ツーバイフォー、丸太組、プレハブ、混構造は対象外)
(3) 階数 2階建て以下
(4) 面積 延べ床面積300平方メートル以内
(5) 所有・居住 自己の所有で、自らが居住している住宅(長屋および共同住宅は除く
(6) 併用住宅 延べ床面積の1/2以上を住宅として使用

(出典:大月市 木造個人住宅耐震診断事業

(5)に「長屋および共同住宅は除く」と、はっきり書かれています。分譲マンションは共同住宅ですから、この時点で対象外です。加えて(2)の木造在来工法、(3)の2階建て以下という要件も、RC造・SRC造のマンションでは満たしようがありません。

根拠②:改修事業は診断結果とセットになっている

木造住宅耐震改修等事業の補助額は「耐震改修等に要する費用に対し、限度額1,437,500円」です。ネットで見かける143万7,500円は、この数字です。

しかし対象は「山梨県木造住宅耐震診断マニュアル等に基づいて耐震診断を行った結果、総合評点が1.0未満と診断された住宅」。つまり上の診断事業を経ていることが前提であり、診断事業が共同住宅を除いている以上、改修事業も同じ土俵には乗りません。

補助対象となる工事の定義も明確です。

耐震改修工事とは、基礎、柱、はり、筋かい(耐力壁)の補強または軽量化のための屋根の葺替え工事等による改修の結果、総合評点が1.0以上となるものをいう。※増・改築工事および耐震性を伴わないリフォーム等の工事は対象外。

「筋かい(耐力壁)」という言葉が示すとおり、これは木造住宅の話です。そして「耐震性を伴わないリフォーム等の工事は対象外」——外壁塗装や屋上防水は、ここで明確に外れます。

この情報を、理事会で「使える形」にする

「対象外でした」で終わらせるのは、もったいない話です。私はこう提案しています。

理事の皆さまご自身が、市内に木造の実家や別宅をお持ちの場合、この制度は使えます。 診断費用は市が全額負担(無料)で、診断結果は社団法人山梨県建築士事務所協会員で組織する耐震判定会の審査を経て、市から報告書が届きます。改修が必要となれば限度額1,437,500円の補助が視野に入る。大月市は昭和56年以前の木造住宅が一定数残る地域です。

理事会だよりや掲示板に「マンション共用部は対象外ですが、市内の木造戸建てをお持ちの方はこちらが使えます」と1行添えるだけで、管理組合の情報発信としての価値が生まれます。理事会が「調べて共有してくれる存在」だと認識されると、次の大規模修繕の総会は驚くほどスムーズになります。これは私が20年近く現場で見てきた、確かな法則です。

なお、大月市は木造住宅耐震シェルター設置事業(高齢者・身体障害者向け)も実施しており、いずれも令和7年度は受付終了となっています。市のページには「大月市では、耐震改修工事等について業者のあっせんは行っていません」という注意書きもあります。「市の紹介で来ました」と名乗る業者がいたら、その時点でお断りして差し支えありません。


大月市という土地が、マンションの外壁に与える3つの負荷

補助金の話から少し離れます。しかし理事長さまにとっては、こちらのほうが金額インパクトが大きいかもしれません。

大月市は山梨県東部の郡内地方に位置し、桂川(相模川)や支流の笹子川・葛野川に沿って市街地が形成された、谷あいの地形を持つ市です。岩殿山をはじめとする山々に囲まれ、市域の大半は山間部です。この地形と気候が、建物の劣化スピードに直結します。

要因 建物への影響 修繕計画上の意味
冬季の凍結融解 水は凍ると体積がおよそ9%増える。外壁のひび割れやシーリングの隙間に入った水が凍結・融解を繰り返し、内部から破壊が進む ひび割れの放置期間が、そのまま補修費の増加につながる。年1回の目視点検を冬前に
谷あい・河川沿いの高湿度 日照時間が限られる北面・低層部で、藻やカビが定着しやすい。塗膜の含水が続くと剥離や膨れの原因になる 一律の塗り替え周期ではなく、方位別に劣化度を評価した仕様設計が必要
国道20号・中央自動車道の沿道環境 交通量の多い幹線沿いは、排気ガス由来の汚れが外壁に定着しやすい。低汚染型塗料の効果が出やすい立地 塗料グレードの選定で、次回までの美観維持期間が変わる

大月市は海から遠く、塩害の影響は比較的軽微と考えられます。だからこそ、塩害対策に使うはずだった予算を、凍結融解対策とシーリング更新に厚く配分できるというのが、私の考え方です。

同じ「築25年、外壁塗装」でも、湘南の海沿いのマンションと大月市のマンションでは、優先すべき仕様がまったく違います。地域の気候を無視した一律仕様の見積書が出てきたら、その業者は現地を見ていない可能性があります。

私が今でも悔しく思っている現場の話

寒暖差の大きい地域で、屋上防水の膨れを「畳1枚ぶんくらいですから、次回の修繕でまとめてやりましょう」とお伝えしたことがあります。当時の私は、コストを抑えることが親切だと思っていました。

1年後、その膨れは数倍に広がっていました。凍結と融解を繰り返すうちに防水層の縁が切れ、下地のコンクリートまで水が回った。最上階の1室の天井にシミが出て、住民の方からの信頼を取り戻すのに半年かかりました。費用は、最初に直していれば済んだ額の何倍にもなりました。

寒暖差の大きい地域で、防水層の膨れを1年放置するのは、私はもう二度としません。 これは私の失敗談です。

ロープアクセス工法の技術情報や一般的な安全基準については、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで詳しく解説していますので、部分補修の選択肢を検討される際にご参照ください。


マンション管理計画認定制度——大月市はどこに申請するのか

管理計画認定制度は、管理組合の管理計画が一定の基準を満たす場合に、地方公共団体から認定を受けられる制度です。認定を受けると、マンション長寿命化促進税制の要件を満たしやすくなったり、住宅金融支援機構の融資で優遇を受けられたりします。

ここで、大月市の管理組合が注意すべき点があります。

山梨県のページには、県が受け付けるのは「町村部にあるマンションのみ」で、令和4年4月1日から受付を開始したと記載されています(出典:山梨県 マンション管理計画認定制度について)。

大月市は「市」です。したがって、県の窓口では申請できません。

では大月市自身が「マンション管理適正化推進計画」を作成し、認定の受付をしているのか。私が公開情報を確認した範囲では、その有無を確認できませんでした。「制度がない」と断定するつもりはありません。公表されていないだけの可能性もあります。

ここは、大月市役所(0554-22-2111)に1行だけ質問すれば済む話です。

「大月市はマンション管理適正化推進計画を作成していますか。管理計画認定の申請は市で受け付けていますか」

認定が取れない場合の「次善の手」

仮に大月市で認定の受付がなかったとしても、管理組合が評価される道は残っています。

手段 実施主体 管理組合にとっての意味
マンション管理適正化診断サービス 日本マンション管理士会連合会 第三者の診断結果を総会資料に添付でき、議案の説得力が増す
マンション管理適正評価制度 マンション管理業協会 星の数で管理状態が可視化され、売却・賃貸時の訴求材料になる
マンションすまい・る債 住宅金融支援機構 2026年度から、評価制度・診断サービスの利用も利率上乗せの対象に拡充

私は理事会で「認定が取れないなら意味がない」という声を聞くたびに、こうお伝えしています。認定はゴールではなく、通過点です。 大事なのは「うちの管理組合は、第三者に見せられる状態か」という一点。それさえ整っていれば、認定でも診断でも評価制度でも、使えるものを使えばいい話です。


マンション長寿命化促進税制——固定資産税が減額される可能性

一定の要件を満たす大規模修繕工事を行った場合、翌年度分の建物にかかる固定資産税が減額される制度があります(出典:国土交通省 マンション長寿命化促進税制)。

主な要件は次のとおりです。

項目 内容
対象工事の期間 令和5年4月1日〜令和9年3月31日に工事完了
対象 築20年以上、総戸数10戸以上のマンション
減額対象 建物にかかる固定資産税(1戸あたり100平方メートル相当分まで)
適用回数 1回限り
申告期限 工事完了後3か月以内
その他要件 管理計画認定を受けている、または助言・指導を受けて長期修繕計画を適切に見直したこと等

注意点を2つ申し上げます。

1つ目。減額割合は市町村の条例で定まります。 地方税法上は参酌基準が1/3、条例で定められる範囲が1/6〜1/2とされています。大月市の減額割合がいくつなのかは、市の税務担当に確認する必要があります。私はここを推測で書きません。

2つ目。申告期限が「工事完了後3か月以内」です。 これは、竣工して理事会が一段落したころに、ちょうど過ぎてしまう長さです。私は工事契約の段階で、竣工予定日の3か月後をカレンダーに赤で書き込んでいただくようお願いしています。

大月市役所への確認は、着工前に済ませてください。聞くべきは次の3点です。

  1. 「マンション長寿命化促進税制について、大月市の減額割合は何分の1ですか」
  2. 「適用にあたって、市への事前相談は必要ですか」
  3. 「管理計画認定を受けていない場合、要件を満たす方法はありますか」

大月市 代表電話:0554-22-2111(〒401-8601 山梨県大月市大月2丁目6-20)


住宅金融支援機構の2つの武器

市の補助が期待できない以上、資金調達の話は避けて通れません。管理組合が使える公的な仕組みは、実は補助金より融資のほうが充実しています。

①マンション共用部分リフォーム融資

項目 内容
借入名義 管理組合名義(区分所有者個人の借入ではない)
金利 全期間固定金利(金利は毎月見直されるため、申込時点の最新金利を機構サイトで確認)
保証 マンション管理センターの債務保証を利用することで、理事長個人の連帯保証が不要
優遇 管理計画認定等を受けている場合、返済期間の延長や金利引下げの対象になる場合がある

(出典:住宅金融支援機構 マンション共用部分リフォーム融資

私がこの制度を推す理由は、金利の話ではありません。総会の議案の性格が変わるからです。

「大規模修繕のため、1戸あたり50万円の一時金をお願いします」——この議案は、荒れます。年金生活の高齢区分所有者にとって、50万円の一時金は現実的でないことが多いからです。

「大規模修繕のため、機構融資を利用し、月々の修繕積立金を〇〇円見直します」——こちらは、通ります。負担の総額が同じでも、「今すぐ50万円」と「月々数千円」では、心理的な意味がまったく違うからです。

②マンションすまい・る債

修繕積立金を計画的に積み立てるための債券です。年1回の募集で、口数に上限があるため実質的な先着順になります。2026年度からは、管理計画認定に加えて、管理適正評価制度や管理適正化診断サービスの利用も利率上乗せの対象に拡充されています。

(出典:住宅金融支援機構 マンションすまい・る債


修繕積立金が足りない——4つの打ち手と、その順番

大月市に限らず、私が伺う管理組合の多くが直面するのがこの問題です。打ち手は4つあります。そして、検討する順番が決定的に重要です。

# 打ち手 長所 短所
一時金の徴収 借入なしで完結 総会で紛糾しやすい。滞納リスク
住宅金融支援機構の融資 月々の負担に分散できる 利息が発生。返済期間中の管理が必要
工事の段階施工(分割発注) 単年度の支出を抑えられる 仮設費が回数ぶん発生し、総額はむしろ増える
工法の見直し(足場以外の選択肢を検討) 仮設費そのものを圧縮できる 建物との相性の見極めが必要

私が最初に検討していただきたいのは④です。 理由は単純で、④だけが「使える時期」が限られているからです。

設計に入る前なら、①②③④の4択があります。ところが設計事務所と仕様を固め、業者選定に入ってしまうと、④は選択肢から消えます。すでに全面足場を前提とした数量が積み上がっているからです。

積立金不足の相談をいただくタイミングは、たいてい「業者の見積が出てから」です。そのときにはもう、いちばん効く手が使えなくなっている。これが、私が現場でいちばん悔しい思いをする場面です。


大月市のマンションが抱える、もう1つの構造問題

人口1万9千人規模の市であることは、管理組合にとって具体的な不利益をもたらします。分譲マンションの総数が少ないため、大規模修繕を専門に手がける地元業者が育ちにくいのです。

その結果、何が起きるか。

  • 相見積りを取ろうにも、市内・近隣で声をかけられる先が限られる
  • 甲府や東京の業者に依頼すると、遠方からの移動・宿泊費が経費に乗る
  • 比較対象が少ないため、提示された金額が高いのか安いのか判断できない

これは大月市の管理組合の責任ではありません。市場構造の問題です。

だからこそ、私は大月市の管理組合にこそ、「工法から見直す」というアプローチが効くと考えています。業者を3社集めて価格を比べるより、そもそも工事のやり方を変えるほうが、削れる金額が桁違いに大きいからです。


足場・ロープアクセス・ハイブリッド——3つの工法の比較

株式会社明誠は、この3つの工法すべてを提案できる、日本でも数少ない会社です。それぞれの特性を、正直にお伝えします。

比較項目 通常足場工法 ロープアクセス工法(無足場工法) ハイブリッド工法
仮設費 総工事費の15〜25%程度を占める 大幅に圧縮できる 部位ごとに最適化
工期 架設・解体だけで2〜4週間 架設不要のため短縮できる 足場部分のみ架設
居住者への影響 バルコニーが数か月ふさがる。洗濯物・窓の開閉に制約 作業箇所のみ、短時間 影響範囲を限定できる
防犯面 足場を伝った侵入リスクが生じる 足場がないためリスクが低い 足場設置箇所のみ要注意
向く建物 全面改修、複雑な形状、下地補修が広範囲 高層、狭隘地、部分補修、外壁の一部のみ劣化 大規模で部位ごとに劣化度が異なる建物
向かない条件 敷地に余裕がない、コスト最優先 全面的な下地補修が必要な建物 小規模で単純な形状の建物

数字で申し上げます。仮設足場は総工事費の15〜25%程度を占めます。 5,000万円の工事なら、750万円〜1,250万円が足場代です。

先ほどご紹介したブロック塀の補助が上限20万円(重要路線で30万円)であることを思い出してください。桁が違います。 もちろん20万円は20万円で大切な財源です。しかし、理事会の議論の時間をどちらに割くべきかは明らかです。

「敷地に余裕があるから足場」で思考停止しないために

大月市は都心と比べて敷地に余裕のある物件が多い地域です。だからこそ「足場を架けられるのだから、足場でいい」という判断になりがちです。

その判断の前に、私は3つの問いを立てていただきたいと思っています。

  1. 本当に全面改修が必要ですか? 劣化診断の結果、補修が必要なのは南面と西面だけ、ということはありませんか
  2. 居住者が3か月間バルコニーをふさがれる生活を、受け入れられますか? 高齢の方や在宅勤務の方が多い建物では、この負担は数字以上に重くのしかかります
  3. 見積書の「仮設工事」という費目の下に、何が入っていますか? 足場・養生シート・昇降設備・ガードマン・仮設トイレ。一式表記なら、内訳を出してもらってください

ロープアクセス工法の詳細はロープアクセス工法のご紹介にまとめています。技術的な背景や安全基準については、ロープアクセスドットコムでより踏み込んだ解説をしています。


大月市でのモデルケース2本

実際の物件が特定されないよう、条件を一般化した2つのケースでご説明します。金額はあくまで想定であり、建物の状態によって変動します。

ケースA:大月駅周辺/築28年・8階建て・36戸

項目 全面足場での想定 ハイブリッド工法での想定
仮設費 約1,000万円 約450万円
総工事費 約6,200万円 約5,400万円
差額 ▲約800万円(1戸あたり約22万円)
工期 約4か月 約3か月(約1か月短縮

劣化が集中していた南面・西面は足場を架けて全面補修、劣化の軽微だった北面・東面はロープアクセスで部分補修とシーリング更新のみ。「全面に足場を架ける」という前提を外しただけで、この差が出ます。

ケースB:市郊外/築40年超・5階建て・16戸

項目 全面足場での想定 ロープアクセス主体での想定
総工事費 約3,000万円 約2,400万円
差額 ▲約600万円(1戸あたり約37万円)
資金調達 一時金の検討が必要 機構融資の活用で一時金ゼロも視野に

このケースで注目していただきたいのは、16戸で3,000万円という数字の重さです。1戸あたり187万円。戸数の少ないマンションは、1戸あたりの負担がどうしても重くなります。大月市のように中小規模の物件が中心の地域では、工法の選択が家計に直結します


大月市の気候を踏まえた、工事の適期カレンダー

時期 適性 理由
3月下旬〜6月上旬 気温・湿度が安定。塗料の乾燥条件が良い
6月中旬〜7月上旬 梅雨。工程が天候に左右され、工期が延びやすい
7月中旬〜8月 乾燥は早いが、猛暑による作業効率低下と職人の安全に配慮が必要
9月〜11月中旬 気温・湿度が安定。年内竣工を狙える
11月下旬〜3月中旬 × 凍結の恐れ。塗料・シーリングの施工条件を下回る日が出る

大月市は谷あいの地形で、冬季は冷え込みます。塗料やシーリング材には施工可能な気温・湿度の下限が定められており、それを下回る日は作業ができません。 無理に施工すれば、密着不良や硬化不良という形で、数年後に表面化しかねません。

つまり、大月市で工事ができるのは実質的に春と秋の年2回。しかも春の枠は人気が集中します。

「来春の工事枠を押さえたいなら、前年の秋までに業者選定を終える」——これが逆算の起点です。


18か月逆算スケジュール

理事の任期が1年の管理組合が多いことを踏まえ、引き継ぎを前提にしたスケジュールをご提案します。

時期 やること 担当の目安
18か月前 劣化診断の実施。長期修繕計画との突き合わせ 理事会
15か月前 大月市 建設課(0554-20-1851)へ電話。次年度の補助事業の受付時期と、共用部への支援の有無を確認 理事長または担当理事
12か月前 工法の選定(足場/ロープアクセス/ハイブリッド)。ここが④の分岐点 理事会+専門会社
12か月前 大月市 税務担当へ電話。長寿命化促進税制の減額割合を確認 会計担当理事
9か月前 資金計画の確定。機構融資を使うなら事前相談 会計担当理事
6か月前 補助金の交付申請(ブロック塀等を使う場合)。契約より前に 理事長
4か月前 交付決定を受けてから工事契約 理事長
着工〜竣工 工程管理、居住者への告知 理事会+施工会社
竣工後3か月以内 長寿命化促進税制の申告 会計担当理事
引き継ぎ時 上記の進捗表を次期理事会へ書面で申し送り 全理事

最後の行が、いちばん大事です。18か月かかる仕事を、任期1年の理事会で回すのは無理があります。 私が関わった管理組合で、うまくいったところには例外なく「次の理事会に渡す紙」がありました。


相見積りで見るべき3つのポイント

大月市のように比較対象が限られる地域では、「安いほうを選ぶ」だけの比較は危険です。見るべきは次の3点です。

①数量が揃っているか

A社が「外壁補修 3,200平方メートル」、B社が「外壁補修 2,800平方メートル」と書いていたら、そもそも同じ工事を見積もっていません。数量の根拠を出させてください。

②仕様が揃っているか

塗料のグレード(アクリル/ウレタン/シリコン/フッ素)、防水の工法(ウレタン塗膜/シート/アスファルト)、シーリングの材種。ここが違えば、金額が違って当然です。メーカー名と製品名まで書かせてください。

③「別途」に何が入っているか

見積書の欄外に小さく「※下地補修は別途」と書かれていることがあります。大規模修繕でもっとも金額がブレるのが下地補修です。

私が理事長さまにお願いしているのは、「想定数量を超えた場合の追加単価を、契約前に見積書へ明記させること」です。これを書かせておくだけで、工事中の「予想より傷んでいたので追加で〇百万円」という交渉が、格段にフェアになります。

大規模修繕工事全体の進め方については大規模修繕工事のご紹介でもご説明しています。


よくある質問(FAQ)

Q1. 大月市に、マンション共用部の大規模修繕への直接補助はありますか。
A. 2026年8月時点で公開されている大月市の情報を確認した限り、共用部の外壁塗装・屋上防水等に直接交付される市の補助制度は見当たりませんでした。制度の新設や改定の可能性はありますので、大月市 建設課(0554-20-1851)へご確認ください。

Q2. 大月市のブロック塀の補助は、いくらまで出ますか。
A. 避難路一般路線に面する場合は対象経費の2/3以内かつ上限20万円、避難路重要路線に面する場合は2/3以内かつ上限30万円です。重要路線では高さ2.2mを超えるブロック塀も対象になります(出典:大月市)。

Q3. 「大月市の耐震補助は143万7,500円」と見ましたが、マンションでも使えますか。
A. 使えません。1,437,500円は木造住宅耐震改修等事業の限度額で、前提となる耐震診断事業の対象から「長屋および共同住宅」が明文で除外されています。また「耐震性を伴わないリフォーム等の工事は対象外」とも定められており、外壁塗装や防水はここに該当します。

Q4. 令和7年度は受付が終了しているとのことですが、もう何もできませんか。
A. 市のページには「事前のご相談には随時対応しております」と記載されています。次年度の受付開始時期を今のうちに確認し、年度初めに動ける準備を整えておくことが現実的な対応です。

Q5. マンション管理計画認定は、大月市で申請できますか。
A. 山梨県が受け付けるのは町村部のマンションのみと明記されているため、市である大月市のマンションは県窓口では申請できません。大月市自身が受付をしているかは公開情報で確認できませんでしたので、市役所(0554-22-2111)へお問い合わせください。

Q6. ロープアクセス工法は、大月市のマンションでも使えますか。
A. 建物の形状や劣化状況によります。全面的な下地補修が必要な建物には足場が適していますし、部分補修が中心なら無足場工法が効きます。技術的な前提や安全基準はロープアクセスドットコムで解説しています。

Q7. 冬に工事はできませんか。
A. できない期間があります。塗料やシーリング材には施工可能な気温・湿度の条件があり、大月市の冬季はこれを下回る日が生じます。11月下旬〜3月中旬は避けるのが無難です。

Q8. 補助金の申請は、工事契約の前ですか、後ですか。
A. 前です。大月市のブロック塀の要綱には「契約および着工は、必ず補助金交付決定後としてください」と明記されています。木造耐震改修も「契約および着工は、必ず設計(報告書提出)後」と定められています。契約を先に済ませてしまうと、補助が受けられなくなる恐れがあります。


この記事のポイントまとめ

  • 大月市に共用部大規模修繕への直接補助は見当たらないが、電話1本で「議案に書ける根拠」になる
  • 令和7年度は住宅関係4事業すべてが受付終了。大月市は枠が小さく、早い者勝ち
  • ブロック塀の補助は一般路線20万円/重要路線30万円の2段構え。幹線沿いの物件は要確認
  • 木造3事業は「長屋および共同住宅は除く」と明文で除外。143万7,500円はマンションに使えない
  • 仮設足場は総工事費の15〜25%。補助金より工法見直しのほうが金額インパクトが大きい
  • 工法の見直しは設計に入る前しか選べない。積立金不足の相談は早いほど打ち手が多い

おわりに

大月市は、桂川の流れと岩殿山に囲まれた、風景の美しい市です。同時に、谷あいの気候と限られた行政予算という現実のなかで、マンションを守っていかなければならない土地でもあります。

補助金の情報は、調べれば出てきます。しかし「うちの建物にとって、どの順番で何をすべきか」は、建物ごとに違います。私は、その順番を一緒に整理するところから、お手伝いしたいと思っています。

見積書を持ってきてください、という話ではありません。総会の前段階で、理事会の頭のなかを整理する。 そこだけでもお力になれることがあります。ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。

お問合せフォームからご連絡いただけます。


執筆者:本間 幸紘(株式会社明誠 代表取締役)
専門領域:マンション大規模修繕/ロープアクセス工法/建物長寿命化計画
実務経験:建設・改修業界 20年以上
所属:一般社団法人 全国建設業支援協会(JCSA)

株式会社明誠について:東京都小平市を拠点に、東京・関東一円および周辺地域で、通常足場工法・ロープアクセス工法(無足場工法)・ハイブリッド工法の3つから、建物にとって最適な工法をご提案できる改修会社です。日本で初めてロープアクセス工事のフランチャイズを展開し、塗装・防水・タイル・電気・看板など各分野の専門職が加盟することで、高品質かつ適正価格の工事を実現しています。

最終更新:2026年8月19日

ご注意:本記事に記載した制度の内容・金額・期間は、2026年8月19日時点で公開されている情報に基づくものです。制度は変更される場合がありますので、申請にあたっては各窓口の最新情報をご確認ください。本記事は特定の制度の適用を保証するものではありません。


出典・参考資料