
2026年8月19日 更新
この記事で答える質問:賃料が過去最高水準まで上がっているのに、なぜマンションやビルの手取りは増えないのか。そして、上がり続ける大規模修繕の費用に、オーナーと管理組合は何から手を打てばいいのか。
おはようございます。株式会社明誠の本間です。
昨日(2026年8月18日)、私のところに立て続けに3件、同じ趣旨のご相談がありました。「今年に入って賃料は上げられた。なのに、修繕の見積りを取ったら前回より高くて、結局手元に残らない」。1件は都内の分譲マンション管理組合の理事長さま、2件は収益物件をお持ちのオーナーさまです。
同じ日に3件重なると、これは個別の事情ではなく市場全体で起きていることだな、と私は考えます。実際、この2つの数字は同じ週に並んで発表されています。
結論:賃料は「+0.4%」、資材は「供給そのものが不安定」。同じ物差しで比べてはいけない
先に結論から申し上げます。
- 首都圏の分譲マンション賃料は、2026年7月に1㎡あたり4,209円。前月比+0.4%で、直近1年間の最高値を再び更新しました(出典:東京カンテイ「分譲マンション賃料月別推移 2026年7月」2026年8月17日公表)。
- 一方で不動産事業者の7割弱が中東情勢による事業への影響を認識しており、影響が大きい分野として最多に挙がったのが「大規模修繕工事等での資材価格高騰による建築コスト上昇」で62%でした(出典:長谷工ライブネット調査/東京都宅地建物取引業協会 業界関連ニュース)。
- 賃料の上昇は月次で0.4%という「率」の世界です。一方の修繕費は、材料がそもそも手に入るかという「量」の世界に入りつつあります。率の改善で、量の制約は埋まりません。
私が申し上げたいのは「だから修繕を諦めましょう」ではありません。逆です。上がり方の性質が違う以上、収入側ではなく支出側の設計、つまり“工法の選び方”で勝負するしかない、ということです。ここからが本題です。
何が起きているのか:2026年8月時点の2つの事実
賃料は上がっている。ただし「首都圏だけ」が正確
東京カンテイの2026年7月分データを、圏域別に並べます。
| 圏域・エリア | 2026年7月の平均賃料 | 前月比 | コメント |
|---|---|---|---|
| 首都圏 | 4,209円/㎡ | +0.4% | 小幅に続伸、直近1年間の最高値を再び更新 |
| 東京23区 | 5,157円/㎡ | +0.8% | 2ヵ月連続で上昇 |
| 近畿圏 | - | 反落 | 主要エリアの弱含みで9ヵ月ぶりのマイナス |
| 中部圏 | - | 下落傾向 | 継続的に軟調 |
(出典:東京カンテイ 賃料月別推移 2026年8月17日公表分)
ここは正確にお伝えしたいところです。「マンション賃料が過去最高」という見出しが独り歩きしていますが、東京カンテイ自身の表現は「直近1年間での最高値を再び更新」です。統計開始以来の史上最高という意味ではありません。そして上がっているのは首都圏・東京23区であって、近畿圏は9ヵ月ぶりに反落、中部圏は下落傾向です。
もう少し長い目盛りで見ると、首都圏の年間平均賃料は2023年3,512円/㎡ → 2024年3,603円/㎡ → 2025年3,803円/㎡と推移しています。2年でおよそ8%の上昇です。悪くありません。悪くありませんが、後で見る工事費の動きと比べると、決して余裕のある数字ではありません。
資材は「値上がり」ではなく「供給の目詰まり」の段階に入った
もう一方の事実です。2026年6月16日、国土交通省は「中東情勢の変化による建設資材への影響に係る直轄工事の対応について」という報道発表を行いました。要点はこうです。
国土交通省では、ナフサを由来とする建設資材について、昨今の中東情勢の変化に伴って生じている供給の偏りや流通の目詰まりの解消に努めているところです。(中略)代替資材の調達や流通経路の見直し等、追加で必要となる内容を設計変更する運用を、直轄工事において導入します。
(出典:国土交通省 報道発表資料(令和8年6月16日))
ナフサ(粗製ガソリン)とは、原油を精製してつくる石油化学の基礎原料です。素人向けに言い換えると、「プラスチック・ゴム・塗料・接着剤のもと」になるものです。国が直轄工事、しかも既契約の工事まで含めて設計変更を認める運用を入れたということは、現場で「発注時の材料が手に入らない」事態が実際に起きている、という意味です。
私は正直に申し上げます。国交省がここまで踏み込むのは、通常のインフレ対応ではありません。「予定していた材料が来ないので、代わりの材料で組み直す」ことを制度として認めたわけです。民間の大規模修繕にも、当然ながら同じ物理現象が及びます。
なぜ大規模修繕が、新築より先に効くのか
「新築のほうがたくさん材料を使うのでは」と思われるかもしれません。ところが大規模修繕のほうが、この種のショックに弱い構造があります。
理由は3つです。
- 工程のほぼ全部がナフサ由来材料に依存している。外壁塗装(塗料)、屋上・バルコニーの防水(ウレタン・塩ビシート)、目地のシーリング(変成シリコーン等)、タイル補修の接着剤、養生シート。私が現場で使う材料を並べていくと、コンクリートと金物以外はほぼ石油化学製品です。
- 代替が効きにくい。新築なら設計段階で仕様変更ができますが、改修は「既存の下地と相性の良い材料」を選ぶ必要があります。既存防水がウレタンなら、上に載せられる材料は限られます。「安いものに替える」が技術的に許されない場面が多いのです。
- 工期の延伸コストが直撃する。材料の入荷待ちで2週間止まったとき、止まっているあいだも足場のリース料は日割りで発生し続けます。ここが今回いちばん怖いところで、次の章の主題です。
日経クロステックも2026年に入ってから、建材不足による大規模修繕の計画見直しリスクを継続的に報じています(参考:日経クロステック「建材不足でマンション大規模修繕に停止の危機、計画見直しも」)。業界紙の記事は有料部分もありますが、見出しだけでも空気は伝わると思います。
なお、行政の建物でも同じことが起きています。福岡市城南区役所別館では、令和8年8月21日から12月まで外壁改修工事および屋上防水工事が予定されており、案内文には「工事期間中は、建物の周囲に足場を設置します」と明記されています(出典:福岡市 城南区役所別館 外壁改修工事および屋上防水工事のお知らせ)。約4ヵ月にわたって足場が建ち続ける——この期間そのものが、コストであり、テナントや利用者への負荷でもあります。
賃料と工事費を「同じ物差し」で見る:NOIで考えると何が見えるか
ここで、収益不動産オーナーさま向けに、財布の感覚に落とし込みます。
NOI(Net Operating Income/純営業収益)とは、家賃収入から管理費・修繕費・税金などの運営費を引いた、実際に手元に残る利益のことです。物件の価値は最終的にこのNOIで決まります。
仮に、専有面積合計1,000㎡の賃貸マンションを想定します。
| 項目 | 計算 | 金額(月額) |
|---|---|---|
| 賃料収入(4,209円/㎡想定) | 4,209円 × 1,000㎡ | 約420.9万円 |
| 前月比+0.4%で増えた分 | 420.9万円 × 0.4% | 約1.7万円/月 |
| 年間の増加分 | 1.7万円 × 12ヵ月 | 約20万円/年 |
一方で、大規模修繕工事の総額が仮に5,000万円だとして、資材高騰で5%上振れすれば250万円の追加負担です。賃料の月次+0.4%を12年積み上げても、この上振れ1回分に追いつかない計算になります。
※この試算は、賃料水準を東京カンテイの首都圏平均値で単純に置いた仮定計算です。実際の賃料は立地・築年・専有面積で大きく異なりますので、ご自身の物件の数字に置き換えてご覧ください。
私がお伝えしたいのはこの一点です。「賃料を上げて吸収する」という発想では、この局面は乗り切れません。支出側、それも工事費の構造そのものに手を入れる必要があります。
工事が止まると何が起きるか:足場リース料という「時計」
資材の入荷が遅れたときに、いちばん静かに効いてくるのが仮設足場のリース料です。ここは私が現場でもっとも神経を使うところなので、少し詳しくお話しします。
足場は「建てて、あとは工事が終わるまで置いておくもの」ではありません。架設・解体の費用と、置いている期間に応じたリース料の2階建てになっています。つまり、工事が止まっているあいだも、足場だけは料金メーターを回し続けます。
私が実際に経験した話をします。ある10階建てのマンションで、屋上防水の材料が入荷待ちになり、2週間工程が空いたことがありました。職人は他現場に回せますが、足場は動かせません。壁面積の広い建物ほど、この「止まっている2週間」の重みが増します。そのとき理事長さまに私が申し上げたのは、「工事費が上がったのではなく、時間が費用に変わってしまいました」という説明でした。あれは説明する側としても、本当に苦しかった記憶があります。
止まったときのコストを、ざっくり整理すると次のようになります。
| 止まっている間に発生し続けるもの | 止めれば減らせるもの |
|---|---|
| 仮設足場のリース料 | 職人の人工(にんく=1人1日あたりの労務費) |
| 現場事務所・仮設トイレ等の賃料 | 材料の追加発注 |
| 近隣対応・警備の一部 | 産業廃棄物の処理費 |
| 居住者のバルコニー使用制限(金銭以外の負担) | — |
左側の列は、工事が進んでいるかどうかに関係なく発生する費用です。資材の供給が不安定な年ほど、この左列が膨らむリスクが高くなります。
だからこそ私は、2026年の見積り比較では「総額がいくらか」だけでなく、「止まったときに何がいくら増えるか」を先に聞いておくことを強くお勧めしています。足場を使わない工法であれば、この左列の最大項目そのものが存在しません。これは値引き交渉では得られない種類の差です。
賃料が上がる物件と、上がらない物件を分けているもの
もうひとつ、収益不動産をお持ちのオーナーさま向けに申し上げたいことがあります。
東京カンテイの数字は圏域の平均です。平均が+0.4%ということは、上がった物件と下がった物件の両方があるということでもあります。では、その差はどこでつくのか。
私が管理会社さんや仲介の方から聞く範囲では、築年が同じでも「外から見たときの印象」で内見数が明確に変わるそうです。具体的には次のような点です。
- 外壁の汚れ・チョーキング(塗膜が粉状になり、手で触ると白く付く現象)
- 共用廊下・階段の鉄部のサビ、手すりの塗装の剥がれ
- エントランス周りのシーリングの割れ、タイルの浮き
- バルコニー隔て板の劣化、屋上からの雨だれ跡
いずれも構造の安全性には直結しにくいが、写真に写ってしまう項目です。内見前の段階、つまりポータルサイトの写真で選別されている時代ですから、ここは家賃に直結します。
一方で、これらは部分補修で改善できる項目でもあります。全面改修の予算が今年は組めなくても、目に見える範囲だけを先に手当てするという判断はあり得ます。そして、部分補修こそロープアクセス工法が最も費用対効果を発揮する領域です。建物全体に足場を組まずに、傷んでいる面だけを直せるからです。
私はいつもオーナーさまに、「今年やる工事」と「3年以内にやる工事」を分けて書き出すことをお願いしています。全部を今年やる前提で見積りを取ると、資材高騰の影響をまともに受けてしまうためです。
費用高騰局面で、管理組合とオーナーが打てる5つの手
私が今年、理事会や個人オーナーさまとの打ち合わせで実際にお勧めしている順番で並べます。
手1:見積書を「材料費」「労務費」「仮設費」の3つに割って見る
多くの見積書は工種別(塗装工事一式、防水工事一式…)に並んでいます。これを材料・労務・仮設の3分類に組み替えてもらってください。資材高騰の影響を受けるのは材料費だけです。にもかかわらず全体が一律に上がっているなら、その理由を聞く根拠になります。
手2:仮設費(足場)の比率を確認する
一般的な中高層マンションの大規模修繕では、仮設足場が工事費全体の20〜25%程度を占めるケースが少なくありません(物件形状・階数・道路条件で大きく変動します)。ここは材料高騰とは無関係に発生する固定費です。資材が高いときほど、仮設費の削減余地が相対的に大きくなります。
手3:工程を分割し、材料調達リスクを分散する
外壁と屋上防水を必ず同時にやる必要はありません。材料の入手性が読めない工種を後ろに回し、確保できているものから着手する。この判断は施工会社と一緒でないとできません。分割すると足場を二度組むことになる、と心配される方が多いのですが、後半をロープアクセス工法で回せば、その心配は小さくなります。工程の組み替えと工法の組み替えは、本来セットで考えるべきものだと私は思っています。
手4:修繕積立金の水準を、値上げの前に「計画」から見直す
国土交通省は「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(平成23年4月策定、直近では令和6年6月改定)を公表しています(出典:国土交通省 マンションの修繕積立金に関するガイドライン)。積立金の額は長期修繕計画から逆算されますので、計画の工事内容と周期が現実と合っているかを先に点検するほうが順序として正しいと私は考えています。
手5:管理計画認定制度の取得を検討する
適切な管理計画をもつマンションを自治体が認定する制度です(国土交通省 マンション管理計画認定制度)。認定を受けると、住宅金融支援機構の融資条件や一部自治体の助成で有利になる場合があります。ただし要件・優遇内容は自治体により異なりますので、必ずお住まいの自治体の最新情報でご確認ください。
工法で削る:仮設足場という「最大の固定費」に手を入れる
ここからは、私どもが日本でも数少ない立場として、正直にお話しできる部分です。利益相反を避けるため、自社サービスの話であることを最初に明示します。
株式会社明誠は、通常の足場仮設による工法、無足場工法であるロープアクセス工法、そして両者を部位ごとに使い分けるハイブリッド工法の3つから、建物にとって最適なものをご提案しています。
3工法の比較
| 工法 | 仮設費 | 工期 | 居住者・テナントへの影響 | 向いている建物 |
|---|---|---|---|---|
| 通常足場工法 | 大(全体の20〜25%程度) | 長め | 大(採光・防犯・バルコニー使用制限) | 中低層、複雑形状、全面的な改修 |
| ロープアクセス工法(無足場) | 小 | 短め | 小(生活・営業を止めにくい) | 高層、足場架設が困難な物件、部分改修 |
| ハイブリッド工法 | 中 | 中 | 中 | 大規模・複雑物件、総合コスト最適化が必要なケース |
ロープアクセス工法とは、産業用ロープで職人が壁面に降下して作業する無足場の施工方法です。もともとは欧州の産業ロープアクセス技術が起源で、日本では高層ビルの外壁調査や部分補修から普及しました。ロープアクセス工法の技術的な解説や一般的な安全基準については、姉妹サイトのロープアクセスドットコムに詳しくまとめていますので、技術面をもう少し知りたい方はそちらをご覧ください。
私が今年ご提案の場で必ず申し上げているのは、「資材が高い年こそ、仮設費を見直す年です」ということです。材料費は市況で決まってしまい、私たちにも下げようがありません。しかし仮設費は、工法の選択という設計判断で変えられる領域です。工期が短くなれば、材料の入荷待ちで止まったときの足場リース料の垂れ流しも小さくできます。
弊社の詳しいサービス内容はロープアクセス工法のご紹介と大規模修繕工事のご紹介にまとめています。
フランチャイズによる「高品質×低価格」
もうひとつ、私どもの特徴を申し上げます。明誠はロープアクセス工事として日本で初めてのフランチャイズ展開を行っており、塗装・防水・タイル・電気・看板といった各分野の専門会社が加盟しています。中間マージンの多層構造を減らし、専門職が直接施工に入る体制をつくることで、品質を落とさずにコストを抑えることを目指しています。資材高騰局面では、この体制の意味がより大きくなると私は感じています。
ただし、ロープアクセスが不向きな場合もあります
両論併記でお伝えします。私は「すべてロープアクセスにしましょう」とは申し上げません。以下のようなケースでは、素直に足場を組んだほうが総額でも品質でも有利です。
- 外壁の全面を張り替える、タイルを大面積で貼り替えるなど、常時大量の材料を壁面に上げ続ける工事
- バルコニー内部の床防水を全戸分やるなど、水平面の作業が中心の工事
- 建物形状が極端に複雑で、支点(ロープを固定する箇所)が屋上に十分に取れない場合
- 公的な仕様書で足場設置が要件になっている工事(自治体発注案件などに見られます)
「足場が要らない」ことが目的ではありません。建物にとって総額と品質と生活影響のバランスが最も良い組み合わせを選ぶことが目的です。だからこそ、3工法をすべて自社で持っている意味があると私は思っています。
見積書のここを見てください(実務チェックリスト)
最後に、明日の理事会でそのまま使える形でまとめます。
- [ ] 仮設費(足場・養生・昇降設備)が総額の何%かが分かる内訳になっているか
- [ ] 材料費の上昇分が、工種ごとにいくらなのか説明できるか
- [ ] 材料の入荷遅延が起きたときの工期延伸の扱い(追加費用の負担者)が契約書に書かれているか
- [ ] 代替材料を使う場合の承認プロセスが定められているか
- [ ] 見積りの有効期限(資材高騰局面では短くなりがちです)
- [ ] 足場を使わない選択肢での比較見積りを取っているか
- [ ] 建築基準法第12条に基づく定期報告・外壁全面打診調査の時期と、修繕工事のタイミングを合わせられているか(出典:国土交通省 定期報告制度)
特に3つ目と4つ目は、2026年の今だからこそ入れておくべき条項です。私が現場で20年やってきて一番悔しい思いをするのは、技術の問題ではなく、契約に書いていなかったせいで誰も責任を取れなくなり、工事が止まる場面です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 賃料が上がっているなら、修繕費の値上がりは吸収できるのでは?
A. 数字の性質が違います。首都圏賃料の直近の伸びは前月比+0.4%(2026年7月、東京カンテイ)である一方、資材は価格だけでなく供給の安定性そのものが揺れています。本文の「NOIで考える」章の試算をご覧ください。
Q2. 資材高騰はいつまで続きますか?
A. 時期を断定できる立場にはありません。ただ、国土交通省が令和8年6月16日に直轄工事で代替資材への設計変更を認める運用を導入していることから、短期で解消する前提では計画を組まないほうが安全だと私は考えています(出典:国土交通省)。
Q3. 大規模修繕を延期すれば、費用は抑えられますか?
A. 一時的な支出は抑えられますが、劣化が進んでから直すほうが総額は大きくなる傾向があります。特に防水は、下地まで水が回ると補修範囲が一気に広がります。延期する場合でも、部分補修で進行を止める判断はセットで検討してください。
Q4. ロープアクセス工法にすると、品質は落ちませんか?
A. 施工方法が変わるだけで、使う材料も工程も基本は同じです。むしろ職人が壁面に密着して作業するため、劣化の発見精度が上がる面もあります。ただし本文で挙げたとおり、大面積の張り替え工事など不向きな場面もあります。
Q5. 修繕積立金の値上げは避けられませんか?
A. 避けられるかどうかは物件ごとに異なります。ただ、値上げの前に「長期修繕計画の工事内容と周期が現実と合っているか」を点検する順序をお勧めしています(参考:国土交通省 マンションの修繕積立金に関するガイドライン)。
この記事のポイントまとめ
- 首都圏の分譲マンション賃料は2026年7月に4,209円/㎡、直近1年間の最高値を更新
- 不動産事業者の62%が「大規模修繕等の資材価格高騰」を最大の影響分野に挙げた
- 国交省は令和8年6月、ナフサ由来資材の代替調達を直轄工事で設計変更対象にした
- 賃料の月次+0.4%では、工事費の一度の上振れを吸収しきれない
- 材料費は下げられないが、仮設費は工法の選択で下げられる余地がある
執筆者:本間 幸紘(株式会社明誠 代表取締役)
専門領域:マンション・ビル・ホテルの大規模修繕/ロープアクセス工法/建物長寿命化計画
実務経験:建設・改修業界 20年以上
所属:一般社団法人 全国建設業支援協会(JCSA)
株式会社明誠について:東京都小平市を拠点に、マンション・ビル・ホテルの大規模修繕工事を手がける改修会社です。通常の足場仮設工法、無足場のロープアクセス工法、両者を組み合わせたハイブリッド工法の3つから、建物にとって最適な工法をご提案できます。ロープアクセス工事としては日本初のフランチャイズを展開しています。
最終更新:2026年8月19日
見積りが上がってきた理由を、材料のせいなのか、体制のせいなのか、切り分けて説明してくれる会社かどうか。私はそこが今年いちばんの見極めどころだと思っています。ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。
出典・参考資料
- 東京カンテイ「分譲マンション賃料月別推移 2026年7月」(2026年8月17日公表)
- 東京カンテイ「賃料月別推移 バックナンバー」
- 国土交通省「中東情勢の変化による建設資材への影響に係る直轄工事の対応について」(令和8年6月16日)
- 国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(平成23年4月策定/令和6年6月改定)
- 国土交通省「マンション管理計画認定制度」
- 国土交通省「定期報告制度(建築基準法第12条)」
- 東京都宅地建物取引業協会「中東情勢、7割弱が「事業に影響」/長谷工LN」
- 福岡市「城南区役所別館 外壁改修工事および屋上防水工事のお知らせ」
- 日経クロステック「建材不足でマンション大規模修繕に停止の危機、計画見直しも」
※本記事に記載した制度・数値は執筆時点のものです。制度は変更される可能性がありますので、ご検討の際は必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的・税務的助言ではありません。


