
この記事で答える質問:山梨県北杜市の分譲マンションで大規模修繕をするとき、市の補助金は使えるのか。使えないとしたら、代わりに何が管理組合の負担を軽くしてくれるのか。
先に結論から申し上げます。北杜市には、分譲マンションの共用部の大規模修繕工事そのものに直接お金を出す補助金は、私が公開情報を調べた範囲では見当たりませんでした。ここは正直にお伝えします。
ただし北杜市には、山梨県内の他の市にはない、管理組合にとって非常に大きな武器がひとつあります。北杜市は「マンション管理計画認定制度」を市が自ら受け付けている自治体だという点です。
これがどれほど珍しいことか。私はこの数か月、山梨県内の市を順番に調べてきました。山梨市、都留市、大月市、上野原市——どこも、山梨県のマンション管理計画認定の窓口が「町村部にあるマンションのみ対象」となっているため、市部のマンションは県では申請できず、かといって市自身が受付をしている形跡も公開情報では確認できませんでした。つまり、認定を取りたくても取りようがない状態だったのです。
北杜市は違います。市が「北杜市マンション管理適正化推進計画」を作成し、「北杜市マンションの管理計画認定制度」を創設しています(出典:北杜市「北杜市マンションの管理計画認定制度」)。申請先は北杜市 建設部 土地政策課です。
そしてこの認定は、固定資産税の減額と、住宅金融支援機構の金利優遇という、金額の大きい二つの出口につながっています。補助金というかたちではありませんが、管理組合の財布に効く制度としては、ブロック塀の補助金より桁が大きくなる可能性があります。
この記事では、北杜市の一次情報をひとつずつ当たりながら、管理組合が2026年度に何をどの順番で動かせばいいのかを整理します。私は建設・改修の業界に20年以上おりますが、こういう「制度はあるのに誰も使っていない」状態を見るのが、いちばんもったいないと感じます。
最終更新:2026年8月20日
北杜市で管理組合が使える制度の全体像
まず全体像を1枚の表にします。ここだけ読んでいただければ、理事会で共有できる内容になっています。
| 制度・仕組み | 共用部の大規模修繕に効くか | 金額の目安 | 所管・根拠 |
|---|---|---|---|
| 市の共用部大規模修繕への直接補助 | × 公開情報では確認できず | — | — |
| 北杜市マンションの管理計画認定制度 | ◎ 税・融資の入口になる | 認定自体は無償ではないが、下記2つを開く | 建設部 土地政策課 |
| マンション長寿命化促進税制(固定資産税減額) | ◎ | 建物部分の固定資産税を1/3減額 | 地方税法/北杜市 |
| 住宅金融支援機構 共用部分リフォーム融資 | ◎ | 認定で金利引下げ・返済期間延長 | 住宅金融支援機構 |
| マンションすまい・る債 | ○ | 積立金の運用利率上乗せ | 住宅金融支援機構 |
| ブロック塀等安全確保対策支援事業 | △ 外構のみ | 2/3以内・上限26万円(重要路線は39万円) | 建設部 土地政策課 |
| アスベスト飛散防止対策事業 | △ 吹付け建材のみ | 調査上限25万円/除去等上限400万円 | 建設部 土地政策課 |
| 木造住宅耐震診断・耐震改修等支援事業 | × 戸建て木造限定 | 診断無料/改修上限143万7,500円 | 建設部 土地政策課 |
| 空き家バンク活用促進リフォーム補助金 | × 空き家バンク登録物件 | 2/3以内・上限100〜150万円 | 建設部 土地政策課 |
| やまなしKAITEKI住宅普及促進事業費補助金 | × 自ら居住する住宅 | 最大160万円 | 建設部 土地政策課 |
| 宅配ボックス購入費補助金 | △ 賃貸集合住宅の管理者等 | 1/2・1基あたり上限1万円 | 産業観光部 商工課 |
| 住宅省エネ2026キャンペーン(国) | ○ 窓・給湯・断熱 | 事業ごとに設定 | 国土交通省ほか |
北杜市役所の代表番号は0551-42-1111、建設部 土地政策課は0551-42-1361です(出典:北杜市「木造住宅の耐震診断・耐震改修について」)。この記事に出てくる制度の大半は土地政策課が窓口ですので、電話は1本で足ります。
北杜市は管理計画認定を「市」が受け付ける、県内で数少ない市
山梨県の窓口は町村部限定である
まず前提の確認です。山梨県のページには、認定を受けられるのは「自治体が『マンション管理適正化推進計画』を作成している地域にあるマンション」であり、「県(町村部にあるマンションのみ対象)では、令和4年4月1日から認定の受付を開始しました」と明記されています(出典:山梨県「マンション管理計画認定制度について」/2025年12月24日更新)。
つまり、市に所在するマンションは県の窓口では受け付けてもらえません。ここで多くの管理組合が止まってしまいます。
北杜市は自前の推進計画と要綱を持っている
北杜市のページには、マンション管理適正化法に基づき「北杜市マンション管理適正化推進計画」を作成し、「北杜市マンションの管理計画認定制度」を創設した旨が記載されています。あわせて「北杜市マンションの管理計画の認定等の手続に関する要綱」も公開されています。
手続きの流れは、原則として次のようになります。
- 公益財団法人マンション管理センターに申請書類の事前確認を依頼する
- 「事前確認適合証」の交付を受ける
- 北杜市に、添付書類と事前確認適合証を添えて認定申請書(別記様式第1号)を提出する
- 不備がなければ北杜市から認定通知書が交付される
マンション管理センターの専用ダイヤルは03-5801-0858、受付は月〜金の午前10時から午後5時までと市のページに記載があります。
認定の有効期間は5年で、5年ごとに更新できます。更新をしなければ効力を失いますので、有効期間の満了日までに更新申請(別記様式第1号の3)を出す必要があります。
手数料は市ページに記載がない
正直に申し上げます。北杜市のページには申請手数料の記載が見当たりませんでした。「手数料」という語自体が本文にありません。
参考までに山梨県の手数料は、長期修繕計画が1つの場合で適合証あり3,600円、適合証なし25,500円です。同じ7倍近い差があるかどうかは、北杜市については断定できません。土地政策課(0551-42-1361)に「認定申請の手数料はいくらですか。事前確認適合証がある場合とない場合で違いますか」と聞くのが確実です。電話1本、1分で終わります。
なお市のページの更新日は2023年7月10日で、固定資産税の軽減措置の説明が「令和5年4月1日から令和7年3月31日までの間に完了した長寿命化工事」のままになっています。国の制度側はその後延長されていますので、この点も窓口で最新の取扱いを確認してください。私は資料をそのまま総会に配らず、一度は窓口で裏を取るようにしています。
認定基準5分野を、理事会でそのまま点検する
北杜市のページに掲載されている認定基準は、次の5分野です。理事会のチェックリストとしてそのまま使えます。
1 管理組合の運営
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| (1) | 管理者等が定められていること |
| (2) | 監事が選任されていること |
| (3) | 集会が年1回以上開催されていること |
「管理者等」とは、理事長など管理組合を代表して業務を行う人のことです。ここは多くの組合でクリアできるはずです。
2 管理規約
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| (1) | 管理規約が作成されていること |
| (2) | 災害等の緊急時や管理上必要なときの専有部の立入、修繕等の履歴情報の管理等について定められていること |
| (3) | 管理組合の財務・管理に関する情報の書面等の交付について定められていること |
私の経験上、ここでつまずく組合が最も多いのが (2) です。分譲当時のままの規約を使っていると、専有部立入や修繕履歴の管理の条項が入っていないことがあります。国土交通省のマンション標準管理規約に合わせて規約を改正する総会決議が、認定申請の前段階として必要になるケースです。
3 管理組合の経理
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| (1) | 管理費及び修繕積立金等について明確に区分して経理が行われていること |
| (2) | 修繕積立金会計から他の会計への充当がされていないこと |
| (3) | 直前の事業年度末時点で、修繕積立金の3か月以上の滞納額が全体の1割以内であること |
滞納の「1割以内」という数字は具体的です。滞納が積み上がっている組合は、認定を目指す過程で回収に取り組むことになります。これは認定のためというより、組合の体力そのものの話です。
4 長期修繕計画の作成及び見直し等
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| (1) | 長期修繕計画標準様式に準拠して作成され、計画の内容と修繕積立金額が集会で決議されていること |
| (2) | 作成又は見直しが7年以内に行われていること |
| (3) | 計画期間が30年以上で、残存期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれること |
| (4) | 将来の一時的な修繕積立金の徴収を予定していないこと |
| (5) | 計画期間全体での修繕積立金の平均額が著しく低額でないこと |
| (6) | 計画期間の最終年度において借入金の残高のない計画となっていること |
ここが本丸です。特に (4) の「将来の一時金徴収を予定していない」は重い要件です。長期修繕計画のどこかに「○年目に一時金○万円」と書いてあると、そこが引っかかります。
そして (5) の「著しく低額でない」。ここは国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインと修繕積立金ガイドラインが判断の物差しになります。
5 その他
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| (1) | 組合員名簿、居住者名簿を備え、1年に1回以上は内容の確認を行っていること |
| (2) | 北杜市マンションの管理の適正化に関する指針に照らして適切なものであること |
北杜市の指針は、山梨県マンション管理適正化推進計画(町村部)の指針を準用していると注記されています。
添付書類は9点です。集会議事録の写し、長期修繕計画の写しと決議議事録、直前事業年度の貸借対照表・収支計算書と各月の修繕積立金滞納額が確認できる書類、管理者選任決議の議事録、監事設置決議の議事録、申請日直近の集会議事録、名簿を年1回以上更新していることが確認できる書類、規約の写しなどです。
理事の任期が1年の組合では、この書類集めだけで任期が終わってしまいます。私はいつも理事長さまに「認定を取ると決めたら、次期理事会への申し送り書を先に作ってください」とお伝えしています。
認定が効く出口①:マンション長寿命化促進税制
認定を取る目的は、認定証を額に入れて飾ることではありません。出口が二つあります。ひとつ目が固定資産税です。
北杜市のページには、認定を受けたマンションで長寿命化工事が実施された場合、翌年度に課される建物部分の固定資産税が減額され、減額割合は3分の1と記載されています。対象は次のマンションです。
- 築後20年以上が経過している10戸以上のマンションであること
- 長寿命化工事を過去に1回以上適切に実施していること
- 長寿命化工事の実施に必要な積立金を確保していること
国の制度(一般に「マンション長寿命化促進税制」と呼ばれます)としての要件は、屋根防水工事、床防水工事、外壁塗装等の工事を一体で実施することなどが定められています。
ここで数字の感覚をお伝えします。仮に建物部分の固定資産税が1戸あたり年間4万円だとすると、3分の1の減額で年1万3千円ほど。50戸なら組合全体で年65万円相当です。1年限りの減額ですので、それだけで大規模修繕がまかなえるわけではありません。それでもブロック塀の補助金上限26万円と比べれば、規模の違いは明らかです。
なお減額割合は市町村の条例で定めることになっており、参酌基準が3分の1、範囲が6分の1から2分の1とされています。北杜市のページには3分の1と書かれていますが、条例の最新の内容は税務課で確認してください。北杜市役所の代表0551-42-1111から総務部 税務課につないでもらえます。着工前に聞くべきことは3つです。
- 当市の長寿命化促進税制の減額割合は何分の1ですか
- 申告の期限と必要書類は何ですか
- 管理計画認定を取っていない場合、助言・指導を受けて積立金を引き上げるルートは当市で運用されていますか
認定が効く出口②:住宅金融支援機構の金利優遇
ふたつ目の出口が融資です。北杜市のページにも、認定を受けると住宅金融支援機構の金利が優遇されると記載があります(マンション共用部分リフォーム融資、マンションすまい・る債、【フラット35】維持保全型)。
マンション共用部分リフォーム融資
管理組合名義で借りられる融資です。私が理事会でこの話をすると、必ずと言っていいほど「理事長個人が保証人になるのでは」と心配されます。公益財団法人マンション管理センターの債務保証を利用することで、理事長個人の連帯保証を不要にできる仕組みがあります(出典:住宅金融支援機構「マンション共用部分リフォーム融資」)。
全期間固定金利で、管理計画認定などを受けている場合には返済期間の延長や金利引下げの取扱いがあります。金利は毎月見直されますので、ここでは具体的な数字を書きません。事前相談で当月の条件を確認してください。
この融資が総会で効いてくるのは、議案の性格が変わるからです。「一時金を1戸あたり50万円お願いします」という議案は、まず通りません。「月々の修繕積立金を3,000円見直します」という議案なら、議論の土俵に乗ります。同じ工事、同じ総額でも、区分所有者の受け止め方はまったく違います。
マンションすまい・る債
積立金を機構の債券で運用する仕組みです。年1回の募集で、口数に上限があるため実質的に先着順になります。2026年度からは管理適正評価制度や管理適正化診断サービスも利率上乗せの対象に拡充されています。
認定が間に合わない組合でも、日本マンション管理士会連合会の「管理適正化診断サービス」や、マンション管理業協会の「マンション管理適正評価制度」を経由することで、すまい・る債の利率上乗せにたどり着ける可能性があります。認定は取れなくても、諦める前に代替ルートがあるということです。
ブロック塀等安全確保対策支援事業(県内でも高い水準)
北杜市のブロック塀補助は、山梨県内の他市と比べて金額が高く設定されています。
| 区分 | 補助率 | 1mあたり単価 | 上限 |
|---|---|---|---|
| 一般 | 補助対象経費の3分の2以内 | 1万9,500円の3分の2以内 | 26万円 |
| 重要路線 | 補助対象経費の3分の2以内 | 3万2,500円の3分の2以内 | 39万円 |
「補助対象経費合計額の3分の2以内」と「延長1mにつき単価を乗じた額の3分の2以内」のいずれか少ない額、かつ上限額が適用されます(出典:北杜市「木造住宅の耐震診断・耐震改修について」/2026年5月29日更新)。
重要路線とは、山梨県及び北杜市の地域防災計画に位置付けられた第一次・第二次緊急輸送道路のことです。国道20号、中央自動車道、国道141号、中央本線沿いの主要県道など、市内の幹線に面した敷地であれば、重要路線に該当する可能性があります。該当するかどうかは土地政策課に聞けば教えてもらえます。
対象となるのは、次の避難路に面して設置されている危険性の高いブロック塀等です。
- 通学路
- 緊急輸送道路及び避難路
- 住宅から避難所、避難地等へ至る道路
ここが北杜市固有の注意点:対象者が「個人」と書かれている
北杜市のページには、「次の全ての要件を満たす個人が対象になります」と明記されています。
- 危険性の高いブロック塀等の所有者
- 同一敷地内で過去にこの補助金を受けたことがない方
- 申請者が市税等を滞納していない者
- 北杜市暴力団排除条例に規定する暴力団又は暴力団員等でない者
山梨市や都留市の同種の制度が「補助対象建築物の所有者等」と書いているのに対し、北杜市は「個人」という語を使っています。分譲マンションの敷地内の塀は区分所有者全員の共有物であり、管理組合が申請主体になれるのかどうか、この文言だけでは判断できません。ここは断定を避けます。土地政策課に「分譲マンションの管理組合名義で申請できますか。できない場合、どういう名義であれば受け付けられますか」と確認してください。
もうひとつ実務上の落とし穴があります。申請前に着工したものは補助対象となりません。 大規模修繕の総合契約に外構の塀を混ぜ込んでしまうと、契約日が交付決定より前になって対象から外れる恐れがあります。塀だけは別契約に切り出して、交付決定を待ってから契約する。この段取りを設計段階で決めておいてください。
危険性の高いブロック塀とは、建築物の既設の塀の安全点検について定める外観に基づく点検の項目において、いずれかの項目に不適となったものを指します。北杜市はブロック塀の点検のチェックポイントというPDFを公開していますので、理事会で1枚配って現地を歩けば、その日のうちに判定の目安がつきます。
また「申込は随時受付を行っていますが、定数になり次第締め切ります」との注記があります。予算枠がある制度は、年度の後半になるほど不利になります。
アスベスト飛散防止対策事業(★仕上塗材は対象外と明記)
北杜市のアスベスト補助は、金額としては県内他市と同水準ですが、対象範囲の書き方が明確なのが特徴です。
| 事業 | 補助率 | 上限 |
|---|---|---|
| 調査事業 | 補助対象経費の10分の10以内 | 25万円 |
| 除去等事業 | 補助対象経費の3分の2以内 | 400万円 |
- 補助対象者:補助対象建築物の所有者であること、市税等を滞納していない者であること
- 補助対象建築物:市内に存する建築物で除去予定のない建築物
- 事業期間:補助金の交付決定の日の属する年度の3月末日まで(事前に着手した場合は対象外)
- 対象事業:吹付け建材のアスベスト含有の有無に係る調査事業/吹付けアスベストの除去、封じ込め又は囲い込み事業
(出典:北杜市「北杜市アスベスト飛散防止対策事業」/2026年4月2日更新)
大規模修繕でいちばん大事なのはこの一文です
北杜市のページには、こう書かれています。
外壁等に使用されている仕上塗材や屋根等に使用されているスレート板等は、吹付け建材と異なるため、補助の対象外となります。
これは、大規模修繕を検討している管理組合にとって決定的に重要な一文です。
大規模修繕の現場でアスベストが問題になるのは、実は吹付け材より外壁の仕上塗材であることが多いのです。1980年代までの建物では、外壁の吹付けタイルやリシンといった仕上塗材にアスベストが含まれていることがあります。これが含有していると、下地調整や既存塗膜の剥離作業に石綿障害予防規則上の措置が必要になり、養生や作業手順、廃棄の扱いが変わって、工事費が跳ね上がります。
北杜市の補助は、この仕上塗材には使えません。つまり、外壁の仕上塗材のアスベスト対応費用は自己負担で予算を組む前提で長期修繕計画を見直す必要があります。ここを知らずに「アスベストは市の補助があるから大丈夫」と考えていると、着工後に数百万円の追加が発生します。
一方で、吹付け建材が見つかりやすいのは次のような場所です。
- 機械室、電気室の天井や梁
- 屋内駐車場の天井
- 階段室の裏側
- エレベーター機械室
- パイプスペース内部
私が悔しい思いをするのは、こういう箇所が「足場を架けた後」「天井を開口した後」に見つかるケースです。工程が止まり、居住者への説明も一からやり直しになります。調査事業は補助対象経費の10分の10、つまり全額が上限25万円まで見てもらえる制度ですので、設計に入る前に調査だけ先に走らせるのが賢い順番です。
なお、令和8年(2026年)3月時点で建築物石綿含有建材調査者による事前調査と報告が法令上求められています。補助の有無にかかわらず調査は必要になりますので、どうせやるなら補助を取ってから、という発想でいいと思います。
木造3事業がマンション共用部の対象外である根拠
インターネットで「北杜市 補助金 リフォーム」と検索すると、「最大143万7,500円」という数字が並んだまとめサイトが上位に出てきます。管理組合の理事さまがこれを見て「うちも使えるのでは」と期待されるのは自然なことです。
先に結論を申し上げます。この143万7,500円は、戸建ての木造住宅のための金額です。 鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造の分譲マンションの共用部には使えません。
根拠は北杜市のページの明文です。
木造住宅耐震診断事業の対象要件(すべてを満たすこと):
- 既存木造住宅で昭和56年5月31日以前に着工されたもの
- 木造在来軸組工法及び伝統工法で建築したもの
- 戸建て住宅で長屋、共同住宅以外のもの
- 階数が2階建て以下のもの
- 北杜市内に住所を有する耐震診断希望者が所有する木造住宅で、かつ居住している者で、市税を滞納していない者
- 過去に耐震診断事業の実施をしていないもの
- 北杜市暴力団排除条例に規定する暴力団又は暴力団員等でない者
3番に「長屋、共同住宅以外のもの」と書かれています。ここで分譲マンションは外れます。
木造住宅耐震改修等支援事業の補助対象者にも、「既存木造住宅(北杜市内に住所を有する個人が所有する住宅で、かつ、その個人が居住するものであって、長屋、共同住宅以外の戸建て住宅をいう。)を所有する者であること」とあります。
補助金額は次のとおりです。
| 事業 | 上限 |
|---|---|
| 木造耐震改修工事 | 143万7,500円 |
| 耐震建替工事 | 143万7,500円 |
| 耐震シェルター等設置工事 | 24万円 |
耐震シェルターの上限24万円は、山梨市・都留市・上野原市の36万円と比べて低く設定されています。同じ県内でも市によって額が違うということです。まとめサイトの数字をうのみにしないでください。
それでも理事会で共有する価値はあります
診断は市が無料で実施します。理事の方の中に、市内に昭和56年5月以前の木造の実家をお持ちの方はいらっしゃいませんか。掲示板やお知らせで「マンション共用部には使えませんが、市内の戸建てをお持ちの方はこういう制度があります」と情報還元すると、理事会への信頼が上がります。総会の議案が通りやすくなるのは、こういう積み重ねです。
診断の申込は市営住宅課の窓口とされていますが、補助金の所管は建設部 土地政策課です。件数に限りがある旨も明記されています。
誤読しやすい制度を先回りで仕分けする
北杜市には住宅関連の補助がいくつもありますが、分譲マンションの共用部に効くものと効かないものが混在しています。理事会での議論が空回りしないよう、先に仕分けしておきます。
| 制度 | 共用部の大規模修繕 | 除外の根拠 |
|---|---|---|
| 空き家バンク活用促進リフォーム補助金 | × | 対象は空き家バンク登録物件。所有者等は「個人」と定義。外構工事は除外 |
| やまなしKAITEKI住宅普及促進事業費補助金 | × | 「自ら居住する目的で建築又は取得した方」が対象。KAITEKI住宅認定住宅が前提 |
| 子育て世帯マイホーム取得支援事業費補助金 | × | 新築・建売・中古住宅の取得費が対象。外構工事は対象外 |
| 宅配ボックス購入費補助金 | △ | 「管理者等」は賃貸を目的とする集合住宅の所有者・管理会社等と定義 |
補足しておきます。
空き家バンク活用促進リフォーム補助金は、令和8年度の受付が始まっています。家財処分事業が補助対象経費の3分の2以内で上限100万円、リフォーム事業が3分の2以内で上限150万円(所有者が賃貸する場合)と、金額としてはかなり大きい制度です。対象工事には屋根・外壁・雨樋・建具・ベランダ・バルコニーの外装工事が含まれています。ただし対象はあくまで空き家バンク登録物件で、外構工事は除外されています。市内に本社・支社・支店・営業所を有する法人か、市内で事業を営む個人が施工することも条件です。
宅配ボックス購入費補助金は、少し可能性があります。「管理者等」の定義が「賃貸を目的とする戸建て又は集合住宅の所有者、物件管理会社等その他賃貸を目的とする戸建て又は集合住宅の管理権限を有する者」となっており、1棟につき1回、総戸数に相当する基数まで、補助対象経費の2分の1で1基あたり1万円が上限です。賃貸マンションのオーナーさまには直接効きます。 ただし「賃貸を目的とする」という限定があるため、分譲マンションの管理組合が対象になるかどうかは市のページからは判断できません。また購入期間が令和8年3月10日までとなっており、令和8年度の継続については記載が見当たりません。所管は産業観光部 商工課(0551-42-1354)です。
私が北杜市の制度全体を見て感じたのは、除外する場合はきちんと明文で書く傾向があるということです。「戸建て住宅で長屋、共同住宅以外のもの」「自ら居住する目的で」「賃貸を目的とする」——いずれも書き方が具体的です。裏を返せば、明文の除外がない制度については、窓口に確認する価値があるということでもあります。
使い方を知られていない制度:建築物防災出張講座
北杜市のページに、こういう記載があります。
「山梨県で地震は起こるの?」「住宅の耐震診断って何?」「耐震改修ってどんなことをするの?」「補助金はあるの?」——住宅の耐震化に関する疑問について、「建築物防災出張講座」として、職員が地区やサークル等の会合の場に伺い、映像等によりわかりやすく説明します。費用負担はありませんので、利用したい方はお申し込みください。
これは、私が北杜市の資料を読んでいていちばん「使える」と思った制度です。
管理組合の総会や理事会は、まさに「会合の場」です。市の職員の方に来ていただいて、耐震と補助制度の説明を直接していただく。これができれば、区分所有者の納得感がまったく違います。
私のような施工会社の人間が「この工事は必要です」と説明するのと、市の職員の方が「制度としてはこうなっています」と説明するのとでは、聞く側の受け止め方が違うのです。これは私自身の立場を差し引いて申し上げています。理事会が業者に押し切られたのではなく、公的な情報を踏まえて自分たちで判断した——その形をつくることが、大規模修繕の合意形成では何より効きます。
申込書とパンフレットは北杜市のページからダウンロードできます。総会の30分前に設定する、というやり方もあります。
北杜市の気候が外壁と防水にかける3つの負荷
北杜市は山梨県内でも特殊な環境です。市の公式資料によると、面積は602.48平方キロメートルで県全体の13.5パーセントを占め、県内最大。大泉観測点の年間日照時間は2,081時間で全国平均の1,934時間を上回り、年平均気温10.7度、年間降水量1,138ミリメートルで全国平均より少ない、とされています(出典:北杜市「北杜市の位置と地勢、面積、気象」)。明野町は日照時間の長さで知られています。
この気象条件が、建物の外皮に何をするか。3つに整理します。
| 要因 | 建物への影響 | 予算配分の考え方 |
|---|---|---|
| 日照時間が長く紫外線量が多い | 塗膜の劣化とシーリングの硬化・ひび割れが平地より早く進む | 塗料グレードを1段上げる。シーリングは打ち増しでなく打ち替え範囲を広く取る |
| 標高が高く冬の凍結融解が厳しい | 水は凍ると体積が約9パーセント増える。微細なひび割れに入った水が凍って割れを広げる | タイルの浮き、防水層の膨れを年1回は点検。特に秋 |
| 年間降水量が少なく乾燥・寒暖差が大きい | 目地の伸縮量が大きく、シーリングの追従性が問われる | 高耐久・高追従のシーリング材を選ぶ。単価差より打ち替え周期の差で見る |
海から遠いため塩害はほとんど考えなくて構いません。そのぶんの予算を、紫外線対策と凍結融解対策に振り向けるのが合理的です。
現場のエピソードをひとつ。寒暖差の大きい地域で、屋上防水に畳1枚ほどの膨れが出ているのを見つけたことがあります。理事会では「来年の点検まで様子を見よう」となりました。1年後に伺うと、膨れは数倍に広がり、下地まで水が回って最上階の天井にシミが出ていました。膨れの中に溜まった水が冬に凍り、防水層を内側から押し広げていたのです。結果として、部分補修で済んだはずの工事が全面改修になり、費用は数倍。何より、最上階にお住まいだった方との関係を修復するのに半年かかりました。
寒冷地では、屋上防水の膨れは「様子を見る」対象ではありません。私はこれを、秋の点検項目に入れていただくようお願いしています。
リゾート・二地域居住マンションと、2026年施行の改正区分所有法
北杜市の分譲マンションには、他の市とは違う事情があります。小淵沢、清里、大泉といった八ヶ岳南麓のエリアには、別荘・セカンドハウス・二地域居住を前提としたマンションが存在します。
この場合、区分所有者の相当数が東京都・神奈川県など県外に居住していることになります。管理組合として何が起きるか。
- 総会の出席率が上がらない
- 議決権行使書や委任状の回収に時間がかかる
- 相続で所有者が変わったまま連絡先が更新されていない
- 「たまにしか来ないから、外壁の色にはこだわらない」という無関心
私は、こういう組合の理事長さまが本当に苦労されているのを何度も見てきました。大規模修繕の議案が出席者数の関係で流れる。次の年も流れる。そうしているうちに劣化が進み、工事費が上がる。
ここで2026年4月1日施行の改正区分所有法(令和7年法律第47号)が効いてきます。改正では、決議の母数の考え方が見直され、集会に出席した区分所有者を基礎とする方式が導入されました。欠席者や無回答の区分所有者は母数から除かれ、所在等不明の区分所有者については裁判所の関与のもとで母数から除外する仕組みも設けられています。
これがどういう意味を持つか。過去に「賛成は多かったのに、母数が全区分所有者だったせいで決議に届かなかった」組合ほど、2026年度に再提案する価値があるということです。
ただし建替え等の重い決議については従来の要件が残る部分もあります。自分の組合の議案がどちらに当たるかは、マンション管理士や弁護士に確認してください。ここは私の専門領域ではありませんので、断定を避けます。
そして、この改正と管理計画認定は相性がいいのです。認定基準には「集会が年1回以上開催されていること」「組合員名簿、居住者名簿を年1回以上確認していること」が含まれています。認定を目指す過程で名簿を整備すれば、県外区分所有者への連絡が通るようになる。連絡が通れば、決議が動く。制度を取りに行くこと自体が、組合の体質改善になります。
工事の適期カレンダーと、逆算の考え方
寒冷地では施工可能な季節が限られます。塗装も防水も、気温5度以下・湿度85パーセント以上では原則として施工できません。
| 時期 | 適性 | 理由 |
|---|---|---|
| 3月下旬〜6月上旬 | ◎ | 気温・湿度とも安定。最有力 |
| 6月中旬〜7月上旬 | △ | 梅雨。工程が読みにくい |
| 7月中旬〜8月 | ○ | 高温だが施工は可能。標高が高い分、平地より作業環境は良い |
| 9月〜11月中旬 | ◎ | 秋晴れが続く。第2の適期 |
| 11月下旬〜3月中旬 | × | 朝晩の冷え込みで施工条件を下回る日が多い |
つまり北杜市で工事に使える窓は、年間で実質2つしかありません。しかもその2つに、県内外の管理組合が集中します。
春の窓を取るには、前年の秋までに業者選定を終えている必要があります。 これが逆算の起点です。「来春やろう」と今年の冬に思い立っても、まず間に合いません。
理事の任期が1年の組合では、この逆算が世代をまたぎます。だからこそ、書面での申し送りが要ります。
3工法の比較と、仮設費という費目の正体
ここからは私の本業の話です。利益相反があることを先に明示しておきます。株式会社明誠は、足場を使う工事も、ロープアクセスによる無足場工法も、その両方を組み合わせたハイブリッド工法も手がけている会社です。そのうえで、数字だけをご覧ください。
大規模修繕工事において、仮設足場の費用は総工事費のおおむね15〜25パーセントを占めます。
| 総工事費 | 仮設足場費の目安(15〜25%) |
|---|---|
| 3,000万円 | 450万〜750万円 |
| 5,000万円 | 750万〜1,250万円 |
| 8,000万円 | 1,200万〜2,000万円 |
北杜市のブロック塀補助の上限は26万円、重要路線でも39万円です。桁が2つ違います。
私が申し上げたいのは、「補助金を探すな」ということではありません。理事会が議論に費やす時間の配分を、金額の大きさに合わせてくださいということです。補助金の話で理事会を3回使うより、仮設のあり方を1回議論するほうが、削れる金額は大きいのです。
| 工法 | 特徴 | 向いている建物 |
|---|---|---|
| 通常足場工法 | 全面に仮設足場を架ける従来型 | 中低層、形状が複雑、全面的な下地補修が必要 |
| ロープアクセス工法(無足場工法) | 産業用ロープで技術者が降下して施工。足場を架けない | 高層、敷地が狭い、斜面地、部分補修中心、コスト最優先 |
| ハイブリッド工法 | 部位ごとに足場とロープアクセスを使い分ける | 大規模・複雑な建物で総合的にコストを最適化したいケース |
ロープアクセス工法の技術的な解説や安全基準については、姉妹サイトのロープアクセスドットコムに詳しくまとめています。工法そのものを理事会で説明する資料をお探しでしたら、そちらのほうが体系的です。
弊社のサービス内容はロープアクセス工法のご紹介と大規模修繕工事のご紹介にまとめています。
「敷地に余裕があるから足場」という思考停止への3つの問い
北杜市は敷地に余裕のある物件が多い地域です。だからこそ「足場を架けられるのだから足場でいい」となりがちです。理事会で次の3つを確認してみてください。
- 今回の工事は全面改修ですか、部分補修ですか。 部分補修が中心なら、全面に足場を架ける合理性は下がります。
- 居住者が2〜3か月、バルコニーを塞がれて窓に近寄れない生活を受け入れられますか。 リゾートマンションでオーナーさまが滞在する時期と工期が重なると、苦情になります。
- 見積書の「仮設工事」という費目の下に、何がいくらで入っていますか。 架設・解体・運搬・養生シート・昇降設備。内訳を出させると、比較の土俵ができます。
モデルケースで見る、工法選定の金額差
北杜市で想定される2つのケースで、概算をお示しします。実在の物件ではありません。相場感をつかむための試算としてご覧ください。
ケース1:小淵沢エリア、築26年、6階建て32戸
| 項目 | 従来足場工法 | ハイブリッド工法 |
|---|---|---|
| 総工事費 | 5,600万円 | 4,800万円 |
| 差額 | — | ▲800万円 |
| 1戸あたり | 175万円 | 150万円(▲25万円) |
| 工期 | 約4か月 | 約3か月(約1か月短縮) |
バルコニー側は足場を架けて全面の下地補修と塗装、開口部の少ない妻面と屋上まわりはロープアクセスで対応する組み方です。工期が1か月縮むことは、二地域居住のオーナーさまが多い建物では金額以上の価値があります。
ケース2:市内郊外、築42年、5階建て18戸
| 項目 | 従来足場工法 | ロープアクセス主体 |
|---|---|---|
| 総工事費 | 3,300万円 | 2,700万円 |
| 差額 | — | ▲600万円 |
| 1戸あたり | 183万円 | 150万円(▲33万円) |
| 資金 | 一時金が必要 | 機構融資で一時金ゼロも視野 |
18戸で3,300万円。1戸あたり183万円です。戸数が少ない建物は、1戸あたりの負担が重くなります。北杜市の分譲マンションは大規模なものが多くありませんから、この「戸数の少なさゆえの重さ」は現実的な問題です。だからこそ、工法の選択肢を持っているかどうかで結果が変わります。
弊社の価格の考え方については適正価格へのこだわりにまとめています。
修繕積立金が足りないときの4つの打ち手
| 打ち手 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| ① 一時金の徴収 | 区分所有者から不足分を集める | 総会で最も通りにくい。県外区分所有者が多いと特に |
| ② 機構融資の活用 | 管理組合名義で借り、積立金から返済 | 議案の性格が「一時金」から「月々の見直し」に変わる |
| ③ 段階施工 | 工事を2回3回に分ける | 仮設費が回数分かかる。総額はむしろ増えることが多い |
| ④ 工法の見直し | 足場前提の仕様を組み直す | 設計に入る前でないと選択肢が消える |
順番が大事です。④を最初に検討してください。 設計に入る前なら4つの選択肢がありますが、設計事務所と業者を決めて仕様を固めてしまうと、④は消えます。残るのは①②③だけです。
私が現場で20年やってきて一番もったいないと感じるのは、④を検討しないまま①で総会が紛糾している組合です。工法から見直せば削れたはずの600万円が、そこにあったのに。
18か月の逆算カレンダー
北杜市の管理組合が、来春または来秋の工事を狙う場合の時間軸です。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 18か月前 | 劣化診断の実施。長期修繕計画の作成・見直しから7年以内かを確認 |
| 16か月前 | 管理計画認定の要件を5分野で自己点検。規約改正が必要かを判定 |
| 15か月前 | 土地政策課(0551-42-1361)へ電話。認定申請手数料、ブロック塀の申請主体、アスベスト調査の相談の3点 |
| 14か月前 | アスベスト調査事業の交付申請(上限25万円・補助率10/10以内) |
| 12か月前 | 工法の選定。税務課へ長寿命化促進税制の減額割合と申告要件を確認 |
| 10か月前 | マンション管理センターへ事前確認を依頼。適合証の取得 |
| 9か月前 | 資金計画。住宅金融支援機構へ事前相談。相見積り先のリストアップ |
| 8か月前 | 北杜市へ管理計画認定を申請 |
| 6か月前 | ブロック塀補助の交付申請(塀は別契約に切り出す) |
| 4か月前 | 交付決定を受けてから契約。ここまでは契約しない |
| 着工 | 工事開始 |
| 竣工後3か月以内 | 長寿命化促進税制の申告 |
| 引き継ぎ時 | 次期理事会へ書面で申し送り |
この表を印刷して、理事会の議事録に添付してください。理事が交代しても、時間軸は引き継げます。
相見積りで見るべき3つのポイント
金額の総額だけを比べても、業者選定はうまくいきません。私はいつも次の3点を見るようお伝えしています。
- 数量の根拠:外壁の塗装面積、シーリングの延長メートル、タイルの補修数量。この数量がどこから出た数字なのかを聞いてください。図面から拾ったのか、現地で測ったのか。数量が違えば、単価が同じでも総額は変わります。
- 仕様の粒度:「高耐久塗料」ではなく、メーカー名・製品名・グレードまで書かせてください。ここが曖昧な見積りは、後から安いものに置き換えられます。
- 「別途」の中身:見積書に「別途」と書かれた項目が何を指すのか。特に下地補修は、開けてみないと数量が確定しません。想定を超えた場合の追加単価を、契約前に見積書へ明記させてください。 ここを詰めておくかどうかで、竣工時の追加請求が決まります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 北杜市に、マンションの大規模修繕そのものへの補助金はありますか。
A. 私が公開情報を調べた範囲では、共用部の大規模修繕工事に直接交付される市の補助金は見当たりませんでした。代わりに、管理計画認定を経由した固定資産税の減額と住宅金融支援機構の金利優遇が、金額として大きな効果を持ちます。
Q2. 北杜市はマンション管理計画認定の申請を受け付けていますか。
A. はい。北杜市は「北杜市マンション管理適正化推進計画」を作成し、「北杜市マンションの管理計画認定制度」を創設しています。申請先は北杜市 建設部 土地政策課です(出典:北杜市)。山梨県の窓口は町村部のマンションのみが対象ですので、市部にあるマンションは市に申請します。
Q3. 認定の申請手数料はいくらですか。
A. 北杜市のページには手数料の記載が見当たりませんでした。参考として山梨県は適合証あり3,600円、適合証なし25,500円(長期修繕計画が1つの場合)です。北杜市の額は土地政策課(0551-42-1361)にご確認ください。
Q4. 長期修繕計画は何年分あればよいですか。
A. 認定基準では、計画期間が30年以上で、かつ残存期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれるように設定されていることが求められます。また作成又は見直しが7年以内に行われていることも要件です。
Q5. ブロック塀の補助金は管理組合の名義で申請できますか。
A. 北杜市のページには対象者が「個人」と記載されています。管理組合名義で受け付けられるかどうかは、この記載だけでは判断できません。土地政策課へ事前にご相談ください。なお申請前に着工したものは対象外です。
Q6. 外壁の吹付けタイルにアスベストが入っていたら、市の補助は使えますか。
A. 使えません。北杜市のページに「外壁等に使用されている仕上塗材や屋根等に使用されているスレート板等は、吹付け建材と異なるため、補助の対象外となります」と明記されています。補助の対象は吹付け建材です。仕上塗材の対応費用は自己負担で予算を組んでおいてください。
Q7. 「北杜市は最大143万7,500円の補助」と書いてあるサイトを見ました。
A. その金額は木造住宅耐震改修等支援事業のもので、対象は「長屋、共同住宅以外の戸建て住宅」と市のページに明記されています。鉄筋コンクリート造の分譲マンション共用部には使えません。
Q8. ロープアクセス工法は、どんな建物に向いていますか。
A. 敷地が狭い、斜面地で足場の基礎が組みにくい、部分補修が中心、居住者の生活影響を抑えたい、といった条件で効果が出やすい工法です。一方、全面的な下地補修が必要な建物では足場のほうが合理的な場合もあります。技術的な条件はロープアクセスドットコムで解説しています。
この記事のポイントまとめ
- 北杜市に共用部大規模修繕への直接補助は公開情報で確認できず
- 北杜市はマンション管理計画認定を市が受け付ける県内でも数少ない市
- 認定は固定資産税1/3減額と機構融資の金利優遇につながる
- ブロック塀補助は上限26万円、重要路線なら39万円と県内では高い水準
- アスベスト補助は吹付け建材のみ。外壁の仕上塗材は対象外と明記
- 木造3事業は「長屋、共同住宅以外の戸建て」と明文で対象外
- 建築物防災出張講座は無料。理事会や総会に市の職員を呼べる
- 日照時間の長さと凍結融解が、北杜市の外壁と防水の二大負荷
- 仮設足場は総工事費の15〜25%。補助金より桁が大きい
- 工法の見直しは設計に入る前でないと選択肢が消える
出典・参考資料
- 北杜市「北杜市マンションの管理計画認定制度」(2023年7月10日更新)
- 北杜市「木造住宅の耐震診断・耐震改修について」(2026年5月29日更新)
- 北杜市「北杜市アスベスト飛散防止対策事業」(2026年4月2日更新)
- 北杜市「【住宅】北杜市耐震改修促進計画」
- 北杜市「北杜市の位置と地勢、面積、気象」
- 北杜市「北杜市宅配ボックス購入費補助金交付事業について」
- 山梨県「マンション管理計画認定制度について」(2025年12月24日更新)
- 国土交通省「マンション標準管理規約及び長期修繕計画作成ガイドライン」
- 住宅金融支援機構「マンション共用部分リフォーム融資」
- 公益財団法人マンション管理センター「管理計画認定手続支援サービス」
- 株式会社明誠 姉妹サイト「ロープアクセスドットコム」
※本記事の制度情報は2026年8月20日時点で公開されている情報に基づいています。補助金・税制は年度ごとに要件や予算枠が変わり、予算の上限到達により受付が終了することがあります。申請にあたっては、所管課の最新の案内をご確認ください。また本記事は法的助言・税務助言を目的とするものではありません。個別の判断は専門家にご相談ください。
最後に、北杜市の理事長さまへ。この記事でお伝えしたことは、突き詰めれば電話2本です。建設部 土地政策課(0551-42-1361)に「管理計画認定の手数料とブロック塀の申請主体」を、税務課(代表0551-42-1111)に「長寿命化促進税制の減額割合と申告要件」を。合わせて20分もかかりません。
その20分が、数十万円から数百万円の差になることがあります。ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。お問い合わせはこちらから承っています。
執筆者:本間 幸紘(株式会社明誠 代表取締役)
専門領域:マンション大規模修繕/ロープアクセス工法/建物長寿命化計画
実務経験:建設・改修業界 20年以上
所属:一般社団法人 全国建設業支援協会(JCSA)
株式会社明誠について:東京都小平市を拠点に、東京・関東一円でロープアクセス工法と従来足場工法の両方を提案できる改修会社です。日本初のロープアクセス工事フランチャイズを展開しています。
最終更新:2026年8月20日


