
結論:小金井市で管理計画認定を取ると何が変わるか、手数料はいくらか
先に結論からお伝えします。小金井市でマンション管理計画認定を取得する場合、市への申請手数料は無料ではありません。小金井市に直接申請(紙)する場合は27,200円(同一マンションで複数の長期修繕計画を提出する場合、2件目以降は1件につき15,700円を加算)、公益財団法人マンション管理センターを経由してオンライン申請する場合は3,900円(複数の場合は1件につき1,700円を加算)です(出典:小金井市「マンションの管理計画認定制度」、2023年6月13日更新)。国が定める基準に上乗せする独自基準は設けていません。
私はこれまで小金井市内のマンションの理事長さまから「認定の手数料は最近どこも無料になったと聞いたのですが」というご質問を何度も受けてきました。実際、東京23区の多くは手数料を無料化していますが、小金井市のように従来どおり手数料を徴収している自治体もまだ少なくありません。ここを事前に確認せず予算組みをすると、総会での承認手続きに手戻りが出ます。加えて小金井市には認定制度とは別に「マンション管理状況届出制度」という届出義務の仕組みもあり、この二つを混同されている理事会役員の方にもよくお会いします。この記事では、小金井市ならではの手数料体系と届出制度との関係まで整理しておきます。
認定主体はどこか(小金井市が認定行政庁)
マンション管理計画認定制度は令和4年4月に始まった国の制度で、実際に審査・認定を行う「認定行政庁」(用語補足:認定の申請を受け付け、審査し、認定書を交付する権限を持つ役所のことです)は自治体ごとに異なります。制度の設計上、特別区および市の区域内はその区市自身が認定行政庁となり、町村の区域内は都道府県が担う仕組みです(出典:国土交通省「マンションの管理計画認定制度」)。
小金井市は「市」ですので、小金井市自身が認定行政庁です。窓口は小金井市まちづくり推進課住宅係(電話042-387-9861)が担当しています。私の経験上、この窓口確認を後回しにして東京都のホームページだけを見て手続きを進めようとしてしまう理事会が意外と多いのですが、小金井市の場合は都ではなく市が審査主体である点をまず押さえておく必要があります。
認定17要件(国が定める5分野の基準)
管理計画認定制度の認定基準は、国土交通省が示すガイドラインに沿って全国共通で以下の5分野に整理されています(出典:国土交通省「マンションの管理計画認定制度」)。
- 管理組合の運営:集会(総会)が年1回以上開催されていること、監事が選任されていること
- 管理規約:管理規約が作成されていること(マンション標準管理規約に準拠していることが望ましい)
- 管理組合の経理:管理費と修繕積立金が区分経理されていること、修繕積立金が積立方式で計画的に積み立てられていること
- 長期修繕計画の作成及び見直し等:計画期間が30年以上で、かつ残存期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれていること、長期修繕計画の内容が総会で決議されていること
- その他:組合員名簿・居住者名簿が適切に管理されていること、反社会的勢力の排除に関する規定が管理規約にあること
これらのうち、私の肌感覚として小金井市の管理組合が最初につまずくのは「4.長期修繕計画」です(用語補足:長期修繕計画とは、建物の劣化状況をふまえ、いつ・どの部位を・いくらで修繕するかを長期にわたって定めた計画書のことです)。築年数の古いマンションほど、計画期間が30年に届いていなかったり、直近の改定から時間が経っていて実勢価格と乖離していたりするケースが目立ちます。なお、国土交通省は令和9年4月1日から分譲事業者も認定申請できるよう制度を拡充する方針を示しており、今後は新築段階からの認定取得も選択肢に入ってくる見込みです(出典:国土交通省「マンションの管理計画認定制度」)。
独自基準の有無と実務への影響(小金井市の場合)
東京都内では、区や市によって国の基準に上乗せする独自基準を設けているところがあります。防災マニュアルの整備や防災訓練の実施実績、コミュニティ活動の状況などを追加要件にしている自治体です。これに対して小金井市は、私が確認した限り独自の上乗せ基準を設けていません。国が定める基準にそのまま準拠する形です(出典:小金井市「マンションの管理計画認定制度」)。
正直に申し上げると、これは小金井市のマンションにとって「ハードルが低い」という意味ではありません。独自基準がないぶん、国の基準そのものを漏れなく満たしているかどうかがそのまま審査結果に直結します。私はこれを、必ずワンセットで理事会にお伝えするようにしています。「上乗せ基準がないから楽」ではなく、「基準がシンプルな分、書類の精度がそのまま審査に響く」という考え方で準備を進めるべきだということです。
手数料と申請ルート(直接申請 vs マンション管理センター経由)
小金井市での申請には、大きく分けて二つのルートがあります。
ルート①:小金井市への直接申請(紙)
市への手数料は27,200円(複数の長期修繕計画を同時に提出する場合、2件目以降は1件につき15,700円を加算)です。事前確認を経ずに申請することも制度上は可能ですが、要件適合のチェックをすべて管理組合側で行う必要があります。
ルート②:マンション管理センターを経由したオンライン申請(管理計画認定手続支援サービス)
市への手数料は3,900円(複数の場合は1件につき1,700円を加算)と直接申請より安く設定されていますが、これに加えてシステム利用料10,000円(税別、消費税909円)と、マンション管理士による事前確認の審査料が発生します(出典:公益財団法人マンション管理センター「管理計画認定手続支援サービス」)。事前確認審査料は、管理組合が個別にマンション管理士に依頼するパターンでは組合と管理士の間で金額を取り決める形になり、業界団体経由・直接申込みのパターンでは1計画あたり10,000円(税別)が目安です。
私の経験上、市への手数料だけを見るとルート②の方が安く見えますが、システム利用料と事前確認審査料を合計すると総額はルート①とそれほど変わらないこともあります。それでも私がルート②を勧めることが多いのは、マンション管理士による事前確認で書類不備による差し戻しのリスクが下がるからです。
マンション管理状況届出制度との関係にも注意
小金井市には、管理計画認定制度とは別に「マンション管理状況届出制度」という仕組みがあります。これは昭和58年以前に新築された6戸以上の分譲マンションを対象に、管理組合の有無や管理規約の有無、長期修繕計画の有無などを東京都に届け出る義務を課す制度で、令和2年4月1日から運用が始まっています(出典:小金井市「マンション管理状況届出制度について」)。
私はこれを、認定制度と混同されている理事会役員の方に必ずお伝えしています。届出制度は「管理状況を行政に報告する義務」であり、認定制度は「一定水準を満たしていることの証明を受ける任意の手続き」という違いがあります。対象となる築年数のマンションでは、まず届出義務を果たしたうえで、任意である認定取得を検討するという順序で進めるのが実務的です。
認定の3つの経済効果(長寿命化促進税制/フラット35/共用部リフォーム融資)
管理計画認定を受けることで、次の3つの経済的なメリットを受けられる可能性があります。いずれも小金井市固有のものではなく全国共通の制度ですが、認定を取得していることが前提条件になります。
①マンション長寿命化促進税制(固定資産税の減額措置)
長寿命化に資する大規模修繕工事を行った認定マンションについて、工事完了翌年度分の家屋にかかる固定資産税額が3分の1減額されます(1戸あたり100平方メートルに相当する部分まで)。対象となるのは令和5年4月1日から令和9年3月31日までの間に工事が完了したマンションで、同一の家屋につき1回のみの適用です(出典:千葉県船橋市「マンション長寿命化促進税制」、2026年4月1日更新/制度の根拠:国土交通省「マンション長寿命化促進税制」)。
②【フラット35】の金利引下げ
管理計画認定マンションを購入する場合、【フラット35】の借入金利が当初5年間、年0.25%引き下げられます(出典:東京都マンションポータルサイト掲載資料)。区分所有者にとっては資産としての魅力向上にもつながる部分です。
③マンションすまい・る融資(共用部分リフォーム融資)の金利引下げ
管理組合が大規模修繕工事の資金を借り入れる際、住宅金融支援機構の「マンションすまい・る融資」を利用できますが、管理計画認定を受けている場合は融資金利が年0.2%引き下げられます(出典:住宅金融支援機構「マンションすまい・る融資」)。
こうした金利優遇は工事費そのものを直接下げるものではありませんが、資金計画全体で見れば無視できない差になります。私が現場から申し上げたいのは、認定取得による優遇と、工法選定による直接的なコスト削減は両方追いかけてこそ効果が最大化するということです。たとえば10階建て・外周80m・工期3ヶ月程度の建物なら、通常の足場工事で足場費が168万円ほどかかるところ、ロープアクセス工法(無足場工法)に切り替えると59万円程度に収まり、差額はおよそ109万円というのが私どもの実感値です(目安であり、実際の金額は建物の形状・立地・工事範囲により変動します)。工法選定の考え方はロープアクセスドットコムでも技術面から詳しく解説しています。
逆算スケジュール(総会決議→書類準備→認定申請→交付)
小金井市での認定取得までの標準的な流れは、おおむね次のとおりです。
- 長期修繕計画の見直し・総会決議:計画期間30年以上・大規模修繕2回以上を満たすよう改定し、総会で決議
- 管理規約・名簿の整備:管理規約の内容確認、組合員名簿・居住者名簿の最新化
- 申請ルートの選定:直接申請(紙)にするか、マンション管理センター経由(事前確認あり)にするかを理事会で決定
- 事前確認(ルート②を選んだ場合):マンション管理士による審査を受け、適合証の交付を受ける
- 小金井市への申請:まちづくり推進課住宅係へ申請書類一式を提出
- 審査・認定証の交付:認定の有効期間は5年間で、更新には改めて申請が必要
私はこの流れを理事会にご説明する際、必ず「総会決議から逆算して、遅くとも申請の半年前には長期修繕計画の見直しに着手してください」とお伝えしています。計画の改定自体に専門家の関与と一定の期間が必要なため、認定取得を急いでも見直しが間に合わなければ意味がないからです。
まとめ|今週動くこと3点
小金井市のマンション管理計画認定制度は、独自基準こそありませんが、手数料が発生する点、そして管理状況届出制度という別の仕組みが並走している点が実務上のポイントです。今週理事会で動けることとして、次の3点をおすすめします。
- 長期修繕計画が「計画期間30年以上・大規模修繕2回以上」を満たしているか、現行の計画書を確認する
- 管理規約と組合員名簿・居住者名簿が最新の状態に整備されているか棚卸しする
- 直接申請かマンション管理センター経由か、費用と事務負担のバランスを踏まえて申請ルートを理事会で検討する
私はいつも理事長さまに、「制度は使わなければただの紙です。使うと決めた瞬間から逆算スケジュールで動きましょう」とお伝えしています。管理組合の大規模修繕のご相談は管理組合向けの大規模修繕サービスでも承っています。
よくあるご質問
Q. 小金井市の管理計画認定の手数料はいくらですか?
A. 小金井市への直接申請(紙)は27,200円、マンション管理センターを経由したオンライン申請は市への手数料が3,900円です。ただしオンライン申請にはシステム利用料や事前確認審査料が別途かかります(出典:小金井市「マンションの管理計画認定制度」)。
Q. マンション管理センター経由と直接申請、どちらがお得ですか?
A. 市への手数料単体ではセンター経由の方が安いですが、システム利用料・事前確認審査料を合算すると総額はほぼ同水準になることが多いです。書類不備による差し戻しリスクを下げたい場合はセンター経由をおすすめしています。
Q. 小金井市は独自基準がありますか?
A. 私が確認した限り、小金井市は国の基準に上乗せする独自基準を設けていません。国の認定基準にそのまま準拠する形です。
Q. マンション管理状況届出制度と管理計画認定制度は同じものですか?
A. 別の制度です。届出制度は昭和58年以前に建てられた6戸以上のマンションが対象で、管理状況を東京都に報告する義務です。認定制度は任意で、一定水準を満たしていることの証明を受ける手続きです。
Q. 認定の有効期間はどれくらいですか?
A. 認定の有効期間は5年間です。継続して優遇措置を受けるには、期限が来る前に更新の申請が必要です。
Q. 認定を受けると固定資産税はいくら安くなりますか?
A. 長寿命化に資する大規模修繕工事を行った場合、工事完了翌年度分の家屋の固定資産税が3分の1減額されます(1戸あたり100平方メートル相当まで、同一家屋1回のみ)。詳細は資産税を所管する部署にご確認ください。
Q. 大規模修繕でロープアクセス工法を使うと、認定の審査に影響しますか?
A. 影響しません。認定基準は長期修繕計画の内容や管理組合の運営状況を見るものであり、工法そのものは審査対象ではありません。むしろ足場費を抑えられる分、長期修繕計画上の資金計画に無理が出にくくなるという副次的なメリットがあります。
Q. 申請には管理組合の総会決議が必要ですか?
A. 長期修繕計画の改定内容そのものは総会決議を経ておく必要があります。認定申請の手続き自体は理事会決議で進められる場合もありますが、管理規約の定めに従って進めてください。
この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営し、これまでに約6,000棟の大規模修繕に携わってきました。ロープアクセス工法における高所作業では、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業で過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
最終更新:2026年9月27日
本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月27日時点で公表されている小金井市および国土交通省・住宅金融支援機構・公益財団法人マンション管理センターの公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・要件変更があり得ます。実際に申請される前に、必ず小金井市まちづくり推進課住宅係および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。
出典・参考資料
- 小金井市「マンションの管理計画認定制度」(2023年6月13日更新)
- 小金井市「マンション管理状況届出制度について」
- 小金井市「小金井市マンション管理適正化推進計画」(令和4年3月)
- 国土交通省「マンションの管理計画認定制度」
- 国土交通省「マンション長寿命化促進税制」
- 千葉県船橋市「マンション長寿命化促進税制」(2026年4月1日更新)
- 公益財団法人マンション管理センター「管理計画認定手続支援サービス」
- 住宅金融支援機構「マンションすまい・る融資(管理組合申込みの場合)」
- 東京都マンションポータルサイト掲載資料「府中市 管理計画認定マンションに対する優遇措置」(フラット35金利引下げの確認用)
大規模修繕そのものの進め方や費用の考え方は大規模修繕の料金の考え方やロープアクセス工法の技術詳細のページでもご紹介しています。工法選びに関するより専門的な情報はロープアクセスドットコムもあわせてご参照ください。明誠のこれまでの施工事例は明誠の施工事例からご覧いただけます。


