
この記事で分かること
「建築基準法が変わるらしいけど、うちのマンションの大規模修繕に関係あるの?」——この記事はその疑問に、2026年9月11日に閣議決定された建築基準法施行令の改正内容をもとにお答えします。
きっかけは、国土交通省が公表した報道発表資料でした(出典:国土交通省「『建築基準法施行令の一部を改正する政令』を閣議決定」)。住宅の円滑な供給のための型式適合認定制度の拡充と、採光規制・防火規制・危険物の総量規制の合理化。ニュースの見出しだけを見ると新築住宅向けの制度改正に思えますが、私はこれを読んで、日々ご相談をいただいているマンション・ビルの大規模修繕の現場を思い浮かべました。資材調達や既存不適格建築物の扱いは、既存マンションの改修工事にも無関係ではないからです。
私は株式会社明誠の本間と申します。東京都東大和市を拠点に、マンション・ビル・ホテルの大規模修繕を20年近くやってきました。今日は、あまり大きく報じられていないけれど管理組合の理事長さまや収益不動産のオーナーさまに関わりのある建築基準法の改正を、現場目線でかみ砕いてお伝えします。
結論:2026年11月1日から、4つの規制が「合理化」されます
先に結論からお伝えします。2026年9月11日に閣議決定され、同年9月16日に公布された今回の政令改正は、2026年11月1日に施行されます(出典:国土交通省「『建築基準法施行令の一部を改正する政令』を閣議決定」)。柱は次の4つです。
| 項目 | 改正前 | 改正後(2026年11月1日〜) |
|---|---|---|
| 型式適合認定制度 | 「建築物全体」「建築物全体から建築設備を除いたもの」「建築設備」の3類型 | 「構造耐力に係る規定」の型式を新設し4類型に拡充 |
| 採光規制 | 児童福祉施設等も一律に採光規制の対象 | 滞在時間が短いなど衛生上支障がない施設は対象外に |
| 防火規制 | 施行令第109条の2の2、第112条等に基づく層間変形角・面積区画等の規制 | 防火・避難上支障がないと認められるものは規制対象外に |
| 危険物の総量規制 | 圧縮ガス・可燃性ガスを燃料とする設備は用途地域の危険物規制の対象 | 安全基準に適合する設備は危険物の総量から除外 |
いずれも「規制をなくす」のではなく、「支障がないと確認できる場合に限って対象から外す」という、条件付きの合理化である点がポイントです。具体的な線引きは、今後発出される告示で定められる予定になっています。
なぜ今、国は建築規制の合理化を急ぐのか
今回の改正の背景には、住宅・建築物の供給を円滑にしたいという国の方針があります。国交省の資料では「住宅の円滑な供給を図るための型式適合認定制度の拡充」という表現が使われており、資材価格の高騰や職人不足が続くなかで、審査の重複や過剰な規制を見直し、供給のボトルネックを減らそうとする姿勢がうかがえます(出典:国土交通省「『建築基準法施行令の一部を改正する政令』を閣議決定」)。
私はこれを、新築だけの話だとは思っていません。建設業界全体が資材高騰・人手不足という同じ荷物を背負っている以上、規制の合理化という追い風は、既存マンションの改修や設備更新を担う私たちの業界にも、遅かれ早かれ波及してくるはずです。実際、後述するとおり、既存建築ストックの長寿命化に向けた規定の合理化は2025年からすでに始まっており、今回の改正はその延長線上にある動きだと私は理解しています。
正直に申し上げると、こうした政令改正のニュースは、見出しだけ読んで「自分には関係ない」と読み飛ばされがちです。私自身、20年近くこの業界にいますが、法改正のニュースを毎回きちんと読み込んでいる同業者は、決して多くはないという印象があります。ですが、資材メーカー・元請・下請・発注者という業界の川上から川下までが同じルールの上で動いている以上、上流で起きた小さな規制緩和が、数年後には現場の見積書や工程表というかたちで、管理組合・オーナーさまの手元にまで届くことは少なくありません。今日お伝えする内容も、今すぐ何かが変わるという話ではありませんが、数年単位で自分のマンションの大規模修繕計画を立てるうえでの背景知識として、頭の片隅に置いていただければと思います。
型式適合認定制度の拡充──「構造耐力」区分が新設される意味
何がどう変わるのか
型式適合認定は、あらかじめ国に登録された審査機関が特定の仕様を認定しておくことで、個別の建築確認のたびに同じ審査を繰り返さずに済む仕組みです。これまでは「建築物全体」「建築物全体から建築設備を除いたもの」「建築設備」の3つの区分でしたが、今回新たに「構造耐力に係る規定」の区分が加わります(出典:国土交通省「建築基準法施行令の一部を改正する政令案」報道発表資料)。
分かりやすく言えば、これまでは建物の「骨組みの強さ」に関わる部分も含めて丸ごと型式認定を取る必要がありましたが、これからは骨組みの強さの部分だけを切り出して先に認定を受けておける、ということです。国交省の資料では、「建築資材の調達が困難になった場合に、構造耐力に係る規定の審査を省略したうえで、調達が困難になった資材だけを個別に確認する」柔軟な運用ができるようになる、と説明されています。
私はこの説明を読んで、以前の現場でこんな場面があったのを思い出しました。ある大規模修繕の見積り段階で、当初予定していた外壁の断熱下地材が半年待ちになり、代替材への切り替えに伴って構造計算のやり直しに近い確認作業が発生し、着工が2か月ほど後ろ倒しになったことがあります。構造に関わる部分と、構造に関わらない部分の審査を切り分けられれば、こうした足止めの一部は避けられたのではないか、というのが私の実感です。もちろん今回の制度は新築を主眼にしたものなので、既存マンションの改修に同じ仕組みがそのまま使えるわけではありませんが、考え方の方向性としては歓迎したいところです。
誰にとってのメリットか
この仕組みは、立場によって効いてくる場所が変わります。資材メーカーにとっては、構造耐力の型式認定を先に取得しておくことで、個別物件ごとの再審査の手間を減らせます。施工会社にとっては、想定していた資材が品薄になった際に、代替資材の個別確認だけで済み、全体の審査をやり直さずに済む可能性があります。そして発注者である管理組合・オーナーにとっては、この二つの積み重ねの結果として、想定外の資材不足による工期遅延のリスクが、これまでより多少なりとも下がることが期待できます。
大規模修繕の資材調達にどう関係し得るか
私がこの改正で真っ先に思い出したのは、2023年から2025年にかけて、外壁改修用の断熱材やシーリング材、金物類の一部が品薄になり、工期がずれ込んだ現場のことです。あのとき、代替資材への切り替えのたびに審査や承認のやり取りが発生し、現場が足止めを食う場面を私自身、何度も経験しました。今回の型式適合認定の拡充は主に新築の構造部材を念頭に置いた制度ですが、資材調達が困難な局面で個別審査を柔軟にするという発想そのものは、大規模修繕の現場が抱える悩みと重なります。
ロープアクセス工法(無足場工法)の資材、すなわちロープやアンカー金具、安全帯などの認証部材についても、同様の考え方で調達の柔軟性が広がっていくことを、私は一人の実務者として期待しています。ロープアクセス工法の一般的な安全基準や資材の考え方については、姉妹サイトのロープアクセスドットコムに詳しくまとめていますので、あわせてご覧いただければと思います。
採光規制の合理化──児童福祉施設等が対象、マンション複合用途への含意
現行の採光規制の考え方(おさらい)
建築基準法には、居室に一定の採光を確保することを求める規定があります(採光規制)。窓の面積が床面積に対してどれくらい必要か、という基準で、住宅だけでなく保育所や学童保育などの児童福祉施設等にも一律に適用されてきました。
何が変わり、何は変わらないか
今回の改正では、児童福祉施設等のうち「利用者の滞在時間が短いことその他の理由により衛生上支障がないもの」については、採光規制の対象から除外されます。国交省の資料では具体的な線引きは別途告示で定めるとされており、現時点ではどの施設が対象になるかは確定していません(出典:国土交通省「『建築基準法施行令の一部を改正する政令』を閣議決定」)。
マンションの共用部や低層階に学童保育・保育所などを併設する複合用途の物件では、増築や用途変更を検討する際にこの規定が関係してくる可能性があります。ただし、対象施設の範囲がまだ告示待ちの段階であるため、現時点で「うちのマンションは対象になる」と断定できる情報はありません。該当しそうな計画をお持ちの管理組合・オーナーさまは、告示の公表を待って設計者や自治体の建築指導課に確認されることをおすすめします。
防火規制・危険物の総量規制の合理化
層間変形角・面積区画の適用除外
防火規制については、施行令第109条の2の2、第112条第1項・第4項・第5項・第11項が改正対象です。現行の防火・避難規制のうち、「その構造及び用途並びに周囲の状況を考慮して防火上支障がないもの」は、層間変形角や防火区画・面積区画に関する規制の対象から除外されます(出典:国土交通省「建築基準法施行令の一部を改正する政令案」報道発表資料)。
耐火性能に優れた新しい構造・材料を使う建物では、これまで一律に求められていた区画や変形角の基準を、性能に応じて緩和できる余地が広がることになります。既存マンションの大規模修繕そのものを直ちに対象にする改正ではありませんが、増築や大規模な模様替えで防火区画の見直しが必要になった際に、選択肢が増える可能性がある改正だと私は捉えています。
給湯・ガス設備の危険物総量規制の緩和
もう一つ、マンションの設備更新に関わりそうなのが、危険物の総量規制の合理化です。用途地域ごとに、圧縮ガスや可燃性ガスを燃料とする設備は「危険物」として扱われ、貯蔵・使用できる量に制限がかかってきました。今回の改正では、安全上・防火上支障がないと大臣が定める基準に適合する設備については、この危険物の総量規制から除外されます。
大規模修繕にあわせて給湯設備や共用部のガス設備を更新するマンションは少なくありません。エコキュートやガス給湯器の高効率機種への入れ替え、太陽熱利用設備の追加など、設備更新の相談を受ける機会は年々増えている実感があります。総量規制の対象から外れる設備の範囲が広がれば、こうした設備更新の設計自由度が上がる可能性があります。もっとも、これも「大臣が定める基準」次第であり、現時点では詳細が未確定である点は、他の3項目と同じです。
大規模修繕と「既存不適格」──今回の改正とセットで押さえておきたい基本
「大規模の修繕」「大規模の模様替」とは
そもそも建築基準法上、「大規模の修繕」とは、壁・柱・床(最下階を除く)・はり・屋根・階段といった主要構造部のうち、いずれか一つの過半を「同じ材料で」復旧する工事を指します。同様に「大規模の模様替」は、主要構造部のいずれか一つの過半を「新しい材料で」つくり替える工事です(出典:建築基準法とらのまき「大規模の修繕・大規模の模様替とは」)。マンションの大規模修繕で実際によく行われる工事を、この定義に当てはめると次のようなイメージになります。
| 工事内容 | 該当しやすいか | 考え方 |
|---|---|---|
| 外壁全体の塗装・改修(下地補修を含む) | 該当する可能性がある | 壁の過半に及ぶ工事であれば対象になり得る |
| 屋上防水の全面改修 | 該当する可能性がある | 屋根の水平投影面積の過半に及べば対象になり得る |
| 給排水管の更新(構造部に手を加えない) | 該当しにくい | 主要構造部の過半の復旧・模様替えに当たらない |
| 外壁仕上げ材の部分補修・カバー工法 | 該当しにくい | 既存部材への上張りは対象外とされる |
あくまで一般的な考え方の整理であり、実際に該当するかどうかは工事範囲や工法によって変わります。最終的な判断は必ず設計者・特定行政庁に確認してください。
なお、大規模の修繕・大規模の模様替えに該当する工事であっても、建築確認申請が必要になるかどうかは、建物の構造や規模、増築の有無によってさらに条件が変わります。一般的には、木造以外の建築物で床面積が一定規模を超える場合や、防火・準防火地域内での工事などが確認申請の対象になりやすいとされています。マンションの大規模修繕では、既存の外観や構造を維持したまま行う工事であれば確認申請が不要なケースも多いのですが、これも建物ごとの個別判断が必要な領域です。「うちは確認申請がいるのか、いらないのか」という疑問は、大規模修繕の初期段階で設計者に確認しておくと、後々のスケジュールの見通しが立てやすくなります。
既存不適格建築物と遡及適用の原則
築年数の古いマンションの多くは、建築当時の基準には適合していても、現行の建築基準法には完全には適合していない「既存不適格建築物」です。この状態自体は違法ではありませんが、増築や大規模な模様替えを行う際には、原則として建物全体を現行基準に適合させる「遡及適用」が求められる場面があります。国土交通省は2025年に既存建築ストックの長寿命化に向けた規定の合理化を進めており、長寿命化工事を伴う場合に防火・避難規定の遡及適用を対象外とする、接道義務等の緩和を検討するといった見直しが行われています(出典:国土交通省「既存建築ストックの長寿命化に向けた規定の合理化」)。既存不適格建築物の緩和措置については、国交省が解説集も公表しています(出典:国土交通省「既存建築物の緩和措置に関する解説集(第4版)」)。
今回の2026年11月施行の改正は、この2025年からの一連の合理化の延長線上にある動きだと私は理解しています。既存マンションのストックを長く使い続けられるようにする、という国の方針が一貫している点は、大規模修繕を検討する管理組合・オーナーさまにとって、心強い追い風だと感じます。
法律・政令・告示のちがい──今回はなぜ「政令」改正なのか
制度の話が出るたびに「法律」「政令」「省令」「告示」という言葉が並ぶと、正直なところ読み飛ばしたくなる方も多いと思います。私も現場叩き上げの人間なので、最初はこの違いがよく分かりませんでした。ごく簡単に言うと、「法律」は国会が決める大枠のルール、「政令」は法律を実際に動かすために内閣が決める具体的な手続きやルール、「告示」はさらに細かい数値や基準を所管省庁が公表するものです。今回の建築基準法施行令の改正は、この真ん中の「政令」の部分にあたります。だからこそ、大枠の法律自体は変わらないのに、実務に直結する「型式適合認定の区分」や「採光規制の対象」といった具体的なルールが書き換わる、という改正になっています。
そして、今回何度も出てきた「支障がないもの」の具体的な線引きは、さらにその下の「告示」で決まる、という三段構えの仕組みになっているわけです。管理組合の理事会で「政令が変わった」という話を耳にしたときに、まだ細部まで決まっていない段階だと理解しておくだけで、変に急いで結論を出さずに済むはずです。私自身、現場で契約書や仕様書を読むときにも、この「どの階層のルールなのか」を意識するようにしています。契約条項の根拠が法律なのか、業界団体の自主基準なのかを区別するだけで、交渉の際に何を譲れて何を譲れないかがはっきりしてくるからです。
告示の公表をどう待てばよいか──JCSAとしても注視しています
今回の改正で最も肝心な「支障がないもの」の具体的な基準は、政令ではなく、この後発出される告示に委ねられています。私がこれまで見てきた同種の規制合理化では、政令の公布から告示の公表までに数か月かかることが珍しくありません。2026年11月1日の施行に告示が間に合うのか、それとも段階的に公表されるのかは、本記事執筆時点では確認できていません。
私は株式会社明誠の代表であると同時に、一般社団法人全国建設業支援協会(JCSA)の運営にも携わっています。JCSAでは全国の建設業者向けに経営支援の情報発信やオンラインセミナーを行っており、こうした制度改正の告示が公表され次第、会員企業の皆さまに向けて実務に落とし込んだ形で共有していく予定です。マンション管理組合・オーナーさまにおかれても、告示待ちの段階で「確定した」という情報が出回った場合は、一次情報である国土交通省の発表と照らし合わせて確認されることをおすすめします。
管理組合・オーナーが今すぐやるべきこと
確認しておきたい3点
今回の改正はほとんどが告示待ちで、細部は未確定です。だからといって「関係ないから放置してよい」というわけではありません。次の3点は、大規模修繕を計画中の管理組合・オーナーさまに、私からお伝えしたいポイントです。
- 自分のマンションが既存不適格建築物かどうかを設計者に確認する。増築・用途変更を伴う計画がある場合は特に重要です。
- 今回の改正で対象となる告示の公表状況を、施工会社や設計者を通じて追いかける。児童福祉施設等の採光規制の線引きや、防火規制の除外基準は今後発表されます。
- 資材調達のリードタイムを、通常より余裕を持って見込んでおく。型式適合認定の拡充が実務に反映されるまでには時間がかかるため、直近の工事計画では従来どおりの調達スケジュールを前提にするのが安全です。
- 管理組合の理事会・修繕委員会で、この改正を「情報共有」の議題にとどめておく。現時点で工事計画を変更する必要はありませんが、告示の内容次第では数年先の大規模修繕の選択肢が広がる可能性があるため、頭の片隅に置いておく価値はあります。
足場・ロープアクセス・ハイブリッドという選択肢
私たち株式会社明誠は、通常の足場仮設による大規模修繕と、ロープアクセス工法(無足場工法)、そして両方を組み合わせたハイブリッド工法の3つから、建物にとって最適な工法をご提案できる、日本でも数少ない会社です。制度が変わる過渡期だからこそ、工法や資材の選択肢を複数持っておくことが、工期やコストのリスクを抑えることにつながると、私は現場で20年近く感じてきました。管理組合さま向けのご相談窓口もご用意していますので、大規模修繕の計画段階からお問合せフォームよりお気軽にお声がけください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 今回の建築基準法施行令改正は、いつから施行されますか?
A. 2026年9月11日に閣議決定、同年9月16日に公布され、2026年11月1日に施行されます(出典:国土交通省)。
Q2. うちのマンションの大規模修繕に直接関係しますか?
A. 改正の主眼は新築時の型式適合認定・児童福祉施設等の採光規制・防火規制などで、既存マンションの大規模修繕を直接の対象とした改正ではありません。ただし、増築や用途変更を伴う計画、資材調達の柔軟性という観点では間接的に関係し得ます。
Q3. 型式適合認定制度に「構造耐力」区分が加わると、何が便利になりますか?
A. 資材調達が難しくなった局面で、構造耐力に関する審査をあらかじめ済ませておき、入手困難な資材だけを個別に確認するという柔軟な対応が可能になります(出典:国土交通省)。
Q4. 採光規制が緩和される児童福祉施設等の具体的な範囲は決まっていますか?
A. 「利用者の滞在時間が短いことその他の理由により衛生上支障がないもの」という考え方は示されていますが、具体的な基準は今後の告示で定められる予定で、本記事執筆時点では未確定です。
Q5. 古いマンションは「既存不適格」だから、大規模修繕をすると必ず現行基準への適合を求められますか?
A. 増築や大規模の模様替えの内容によって遡及適用の範囲は異なります。国交省は既存建築ストックの長寿命化に向けた合理化を2025年から進めており、一律にすべてを現行基準に合わせなければならないとは限りません(出典:国土交通省)。個別の判断は設計者・特定行政庁への確認が必要です。
Q6. 外壁塗装や屋上防水は「大規模の修繕」に当たりますか?
A. 壁の過半や屋根の水平投影面積の過半に及ぶ工事であれば該当する可能性があります。部分補修やカバー工法のみの場合は該当しにくいとされますが、最終的な判断は設計者にご確認ください(出典:建築基準法とらのまき)。
Q7. ロープアクセス工法は今回の改正と何か関係がありますか?
A. 直接の対象ではありませんが、型式適合認定の拡充が今後、ロープアクセス工法で使う認証部材の調達柔軟性にも波及していくことを、私は実務者として期待しています。
Q8. 「法律」「政令」「告示」は何が違うのですか?
A. 法律は国会が決める大枠のルール、政令はそれを実行するために内閣が決める具体的な手続き、告示は所管省庁が公表するさらに細かい基準です。今回の改正は政令の部分にあたり、最も細かい基準は今後の告示で決まります。
この記事のポイントまとめ
- 建築基準法施行令の改正は2026年11月1日施行、柱は4項目
- 型式適合認定に「構造耐力」区分が新設され、資材調達困難時の審査が柔軟に
- 採光規制は児童福祉施設等の一部が対象外に、詳細は告示待ち
- 防火規制・危険物総量規制も「支障がない場合」に限り合理化
- 既存不適格マンションの遡及適用は、2025年からの長寿命化改正の流れの中にある
- 大規模修繕を計画中の管理組合は、告示の公表状況と資材調達スケジュールに注意
執筆者:本間 幸紘(株式会社明誠 代表取締役)
専門領域:マンション大規模修繕/ロープアクセス工法/建物長寿命化計画
実務経験:建設・改修業界 20年以上
所属:一般社団法人 全国建設業支援協会(JCSA)
株式会社明誠について:東京都東大和市を拠点に、東京・関東一円でロープアクセス工法と従来足場工法の両方を提案できる改修会社。日本初のロープアクセス工事フランチャイズを展開しています。
最終更新:2026年9月28日
これは私が制度改正の一次情報を読むたびに感じることですが、法律や政令の変更点というのは、細部を知らなくても「大きな流れ」を知っておくだけで、いざという時の判断材料になります。次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。
出典・参考資料
- 国土交通省「『建築基準法施行令の一部を改正する政令』を閣議決定」
- 国土交通省「建築基準法施行令の一部を改正する政令案 報道発表資料」
- 国土交通省「既存建築ストックの長寿命化に向けた規定の合理化」
- 国土交通省「既存建築物の緩和措置に関する解説集(第4版)」
- 建築基準法とらのまき「大規模の修繕・大規模の模様替とは」
▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
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