
結論:国立市で管理計画認定を取ると何が変わるか、手数料はいくらか
先に結論からお伝えします。国立市でマンション管理計画認定を新規に取得する場合、市への申請手数料は基本3,500円、長期修繕計画が2つ以上ある場合は1つ増えるごとに1,600円が加算されます(出典:国立市「マンション管理計画認定制度」、令和8年3月11日更新)。加えて、新規・更新の申請は公益財団法人マンション管理センターが運営する「管理計画認定手続支援サービス」を経由したオンライン申請が実質必須で、変更認定申請のみ紙での持参・郵送が認められています。
私はこれまで多摩地域のマンション理事長さまから「隣の市は無料なのに、うちはなぜ手数料がかかるのか」というご相談をいただいたことが何度もあります。実際、隣接する国分寺市は市への申請手数料が無料ですが、国立市は基本手数料3,500円に加算1,600円がかかり、変更認定になると項目によって1,900円から8,400円と幅があります。この差は自治体ごとの条例で決まっているだけで、審査の厳しさとは関係がありません。私の経験上、この「自治体ごとに金額がバラバラ」という事実自体を理事会が知らないまま総会に議案を出してしまい、後から質問が飛んで慌てるケースが少なくありません。この記事では、国立市ならではの手数料構造と、必須となるオンライン申請の進め方まで整理します。
認定主体はどこか(国立市が認定行政庁)
マンション管理計画認定制度は令和4年4月に始まった国の制度で、実際に審査・認定を行う「認定行政庁」(用語補足:認定の申請を受け付け、審査し、認定書を交付する権限を持つ役所のことです)は自治体ごとに分かれます。制度の設計上、特別区および市の区域内はその区市自身が認定行政庁となり、町村の区域は都道府県が担います(出典:東京都マンションポータルサイト「マンション管理計画認定制度」)。
国立市は「市」ですので、国立市自身が認定行政庁です。窓口は国立市都市整備部都市計画課住宅政策担当(国立市役所3階50番窓口)で、令和5年4月1日に制度が始まりました(出典:国立市「マンション管理計画認定制度 申請の手引き」)。私は一橋大学のある学園都市・文教地区として知られる国立市の分譲マンションを何棟も見てきましたが、閑静な住宅街に立地する物件ほど「うちは古い建物だから対象外だろう」と思い込んでいる理事会が多い印象です。管理計画認定は築年数を問わず、国の17要件を満たせば取得できる制度ですので、まず要件との照らし合わせから始めることをお勧めしています。
認定17要件(国が定める5分野の基準)
管理計画認定の基準は、マンション管理適正化法第5条の4等に基づき、全国共通で以下の5分野・17項目に整理されています(出典:国土交通省「マンションの管理計画認定の基準」)。
1. 管理組合の運営(2項目)
管理者等および監事が定められていること、集会(総会)が定期的に開催されていること。
2. 管理規約(3項目)
管理規約が作成されていること、緊急時等における専有部分への立入りに関する規定があること、修繕履歴情報の保管と管理費等の財務情報の開示に関する規定があること。
3. 管理組合の経理(3項目)
管理費と修繕積立金が区分経理されていること、修繕積立金が他の会計に充当されていないこと、修繕積立金や管理費の滞納者に対して督促等の措置を講じていること。
4. 長期修繕計画(8項目)
国の標準様式に準拠した長期修繕計画が総会決議されていること、計画の作成または見直しが7年以内であること、計画期間が30年以上かつ大規模修繕工事が2回以上含まれていること、都度の一時金徴収を前提としていないこと、修繕積立金の額が著しく低額でないこと、計画期間の最終年度において借入金の残高がないことなど。
5. その他(2項目)
組合員名簿・居住者名簿が備えられていること、都道府県のマンション管理適正化指針に適合していること。
私が現場で理事会にお伝えしているのは、「長期修繕計画」の8項目が実務上いちばん詰まりやすいという点です。特に修繕積立金の水準は、築年数が経つほど当初設定額とのズレが大きくなり、認定申請の直前に慌てて見直すケースを何度も見てきました。
独自基準の有無と実務への影響
国立市の申請の手引きには「国立市マンション管理適正化指針では、国の基準以外の独自基準を設けていない」と明記されています(出典:国立市「マンション管理計画認定制度 申請の手引き」)。渋谷区や文京区など一部の特別区では、令和7年4月の基準見直しに合わせて防災訓練の実施状況やコミュニティ活動に関する独自の確認項目を運用している例がありますが、国立市はこうした上乗せを行っていません。国の17項目のうち16項目に適合すれば、残る「都道府県の指針への適合」も自動的に満たされる仕組みになっている点も、実務上は覚えておくと安心です。
私はこれを「独自基準がないから審査が甘い」という意味だとは説明していません。国の基準そのものが長期修繕計画・修繕積立金・管理規約の実態を厳しく問うものであり、独自基準の有無にかかわらず準備には数ヶ月単位の時間を見ておく必要があります。むしろ国立市の場合は、独自基準がない分だけ、次に説明する「手数料」と「申請方法」の特殊性の方に理事会の注意を向けていただくべきだと私は考えています。
手数料と申請ルート(マンション管理センター経由が実質必須)
国立市の手数料体系を整理すると次のとおりです。
| 申請区分 | 国立市への手数料 | 備考 |
|---|---|---|
| 新規認定申請 | 3,500円(基本) | 長期修繕計画1つ増加ごとに1,600円加算 |
| 変更認定申請(管理組合の運営) | 4,200円 | 紙での持参または郵送 |
| 変更認定申請(管理規約) | 3,500円 | 同上 |
| 変更認定申請(管理組合の経理) | 4,000円 | 同上 |
| 変更認定申請(名簿関連) | 2,600円 | 同上 |
| 変更認定申請(長期修繕計画) | 8,400円(基本)+4,600円(加算) | 同上 |
| 変更認定申請(その他) | 1,900円 | 同上 |
(出典:国立市「マンション管理計画認定制度 申請の手引き」)
国立市の大きな特徴は、新規申請・更新申請について、(公財)マンション管理センターが運営する「管理計画認定手続支援サービス」を経由したオンライン申請が事実上のルートになっている点です。この支援サービスでは、まず認定基準への適合状況を専門家が事前に確認し、適合証が交付された後にオンラインで国立市へ申請が行われます。事前確認を担当できるのは、マンション管理センターの講習を修了したマンション管理士のみで、依頼のルートは独立系のマンション管理士、管理委託先の管理会社、日本マンション管理士会連合会、マンション管理センター直接依頼の4パターンがあります(出典:マンション管理センター「管理計画認定手続支援サービス」)。この支援サービスには国立市への手数料とは別に、システム利用料が1申請あたり10,000円(税込)、事前確認審査料が長期修繕計画1計画あたり10,000円(税込)程度かかります。
私は理事会に「国立市への手数料は数千円台だが、支援サービス利用料を含めた実質的な総コストは数万円規模になる」と必ずお伝えしています。総会で予算承認を取る際は、市への手数料だけでなく支援サービス利用料まで含めて総額を提示しないと、後日「思っていたより高い」という声が出やすいためです。なお変更認定申請だけは支援サービスを使わず、申請書正本・副本と添付書類を国立市の窓口へ持参または郵送する方式になっています。
認定の3つの経済効果(長寿命化促進税制/フラット35/共用部リフォーム融資)
管理計画認定を取得すると、主に3つの経済的なメリットにつながります。
① マンション長寿命化促進税制(固定資産税の減額)
外壁塗装等工事・床防水工事・屋根防水工事のいずれかを実施し、令和5年4月1日から令和9年3月31日までに工事を完了したマンションについて、工事完了翌年度の建物部分(専有部分が居住用で100㎡相当分まで)の固定資産税が1/6から1/2の範囲内で減額されます。適用には令和3年9月1日以降に修繕積立金を認定基準まで引き上げていることが条件です(出典:国土交通省「マンション長寿命化促進税制」)。
② フラット35の金利引下げ
管理計画認定を受けたマンションを購入する場合、フラット35の借入金利が一定期間引き下げられる制度があります。適用条件や引下げ幅は制度改定により変わることがあるため、申込み時点の最新条件を住宅金融支援機構の公式サイトで必ず確認してください(出典:住宅金融支援機構)。
③ マンションすまい・る融資(共用部リフォーム融資)の金利引下げ
管理組合が大規模修繕工事のために借り入れる共用部リフォーム融資では、申込時点で管理計画認定を取得している(かつ認定から5年以内の)場合、基準金利から年0.2%の引下げが適用されます(下限0.1%)。さらに耐震改修工事・浸水対策工事・省エネルギー対策工事のいずれかを併せて実施する場合は、返済期間を最大35年まで延長できます(出典:住宅金融支援機構「2026年度マンションすまい・る融資のご案内」)。
私はこの3つの中でも、②のフラット35と③のすまい・る融資は「認定を取ってから工事や借入を検討する」のでは間に合わないケースがある点を強調しています。国立市のように新規申請の実務が支援サービス経由の手続きに一本化されている自治体では、事前確認の依頼先を早めに決めておくことが、経済効果を取り逃さないための第一歩になります。
逆算スケジュール(総会決議→事前確認→認定申請→交付)
管理計画認定は、思いついてすぐ取れるものではありません。私が理事会にお勧めしている標準的な逆算の流れは次のとおりです。
- 理事会での方針決定(認定希望の4〜5ヶ月前):長期修繕計画・修繕積立金水準・管理規約の現状を17要件と突き合わせて事前診断する。
- 書類整備・見直し(3〜4ヶ月前):長期修繕計画の作成または見直しが7年を超えている場合は改定作業を先に完了させる。修繕積立金が著しく低額であれば増額の検討も必要。
- 事前確認の依頼先を決定(2〜3ヶ月前):管理委託先の管理会社、独立系マンション管理士、マンション管理センター直接依頼などから選び、事前確認審査料も含めて見積りを取る。
- 総会での決議(1〜2ヶ月前):管理計画認定の申請そのものと、必要に応じた管理規約改正・修繕積立金改定、支援サービス利用に伴う費用を総会議案として決議する。
- 事前確認・オンライン申請:マンション管理センターの支援サービスで事前確認を受け、適合証交付後にオンラインで国立市へ申請する。
- 市による審査・認定書の交付:書類不備がなければ数週間から1〜2ヶ月程度が目安です。認定後は有効期間(5年)の管理が始まり、更新申請の準備も視野に入れる必要があります。
総会は年1回の開催が基本のマンションが多いため、「今期の総会で決議しそびれると1年遅れる」という点を、私は現場で繰り返しお伝えしています。
まとめ+今週動くこと3点
国立市は市への申請手数料自体は数千円台と大きくありませんが、新規・更新申請で支援サービス経由のオンライン申請が実質必須という運用上の特徴があります。手数料が無料の隣接自治体と比べて「安い・高い」で単純比較するのではなく、支援サービス利用料まで含めた総コストと、事前確認という一段階多い手続きを理事会が理解しておくことが重要です。
今週、理事会で動いていただきたいのは次の3点です。
- 直近の長期修繕計画の作成・見直し日付を確認し、7年以内かどうかをチェックする。
- 事前確認を誰に依頼するか(管理委託先・独立系マンション管理士・マンション管理センター直接)の候補を挙げてみる。
- 次回総会の議案候補として「管理計画認定申請の実施」と、それに伴う支援サービス利用料の予算化を理事会で仮検討する。
大規模修繕工事そのものについては、足場を組む従来工法だけでなく、産業用ロープを使うロープアクセスドットコムの無足場工法や、部位ごとに使い分けるハイブリッド工法という選択肢もあります。私はこれまで約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕に携わってきましたが、足場費とロープアクセスの差額は、8階建て・外周70m・工期2.5ヶ月程度の物件で、足場約145万円に対しロープアクセス約52万円という比較事例もあり、修繕積立金の負担軽減に直結するケースが少なくありません(金額は物件条件により変動する目安です)。ロープアクセス工法における高所作業では、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業で過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。
管理計画認定の取得を機に、修繕積立金の使い道や工法選定まで含めて見直したいという理事会さまには、大規模修繕工事のご相談や管理組合向けサービスのご紹介から、無料の概算相談を承っています。技術面の詳細を深掘りしたい場合は、こちらも姉妹サイトのロープアクセスドットコムで解説しています。
これまでの明誠の施工事例もあわせてご覧いただけます。
よくあるご質問
Q. 国立市への申請手数料はいくらですか?
A. 新規認定申請の基本手数料は3,500円で、長期修繕計画が2つ以上ある場合は1つ増えるごとに1,600円が加算されます。変更認定申請は項目によって1,900円から8,400円まで幅があります。
Q. 国立市には独自の上乗せ基準がありますか?
A. ありません。国立市マンション管理適正化指針では国の基準以外の独自基準を設けておらず、国の17要件のうち16項目に適合すれば残る1項目も自動的に満たされる仕組みです。
Q. マンション管理センターの支援サービスは必ず使わないといけませんか?
A. 新規認定申請・更新申請については、支援サービス経由のオンライン申請が実質必須です。変更認定申請のみ、申請書を持参または郵送する方式が認められています。
Q. 支援サービスを利用すると、市への手数料以外に何がかかりますか?
A. システム利用料が1申請あたり10,000円(税込)、事前確認審査料が長期修繕計画1計画あたり10,000円(税込)程度かかります。市への手数料と合わせて総額を見積もることをお勧めします。
Q. 「マンション管理状況届出制度」と管理計画認定制度は同じものですか?
A. 別の制度です。届出制度は昭和58年12月31日以前に建築され、居住用の独立部分が6戸以上あるマンションが対象で、5年ごとの届出が義務付けられています。管理計画認定制度は任意の制度で、取得すると税制・融資面の優遇が受けられます。
Q. 認定を取得すると必ず固定資産税が減額されますか?
A. 自動的にではありません。長寿命化促進税制の対象となる外壁塗装等・床防水・屋根防水のいずれかの工事を、令和5年4月1日から令和9年3月31日までに完了し、別途申告する必要があります。
Q. 認定の有効期間はどれくらいですか?
A. 5年間です。有効期間満了前に更新申請を行わないと失効するため、更新スケジュールもあらかじめ管理会社や理事会内で共有しておくことをお勧めします。
Q. 小規模なマンションでも認定は取れますか?
A. 戸数による制限はありません。国の17要件を満たしていれば、規模にかかわらず申請可能です。
本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月28日時点で公表されている国立市、東京都、国土交通省、公益財団法人マンション管理センター、住宅金融支援機構の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・要件変更があり得ます。実際に申請される前に、必ず国立市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。
この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
最終更新:2026年9月28日
出典・参考資料
- 国立市「マンションの管理計画認定制度」
- 国立市「マンション管理計画認定制度 申請の手引き」(PDF)
- 東京都マンションポータルサイト「マンション管理計画認定制度」
- 国土交通省「マンションの管理計画認定制度」
- 国土交通省「マンションの管理計画認定の基準」(PDF)
- 国土交通省「マンション長寿命化促進税制」
- 公益財団法人マンション管理センター「管理計画認定手続支援サービス」
- 住宅金融支援機構「2026年度マンションすまい・る融資のご案内」(PDF)
- 住宅金融支援機構「金利情報」


