大規模修繕はロープアクセスが提案可能な東京の明誠へ

創業から6000棟超の施工実績

都心3区の中古マンションが73カ月ぶり下落——「価格調整」局面で収益物件オーナーが資産価値を守る最後の砦は、大規模修繕の“工法選択”にある【2026年6月】

都心3区の中古マンションが73カ月ぶり下落——「価格調整」局面で収益物件オーナーが資産価値を守る最後の砦は、大規模修繕の“工法選択”にある【2026年6月】

「都心のマンションは持っていれば上がる」。長くそう信じられてきた前提が、いま静かに揺らいでいます。2026年6月、東洋経済オンラインやダイヤモンド不動産研究所などが相次いで「都心3区の中古マンション価格が下落に転じた」と報じました。千代田・中央・港の都心3区で、成約価格が約6年ぶり(73カ月ぶり)に前年同月を下回ったという内容です。

私は大規模修繕の現場を20年以上預かってきましたが、こうした「価格の潮目」が変わる局面こそ、オーナーさんの真価が問われると考えています。なぜなら、金利も為替も海外マネーの動きも、私たちにはコントロールできません。けれど、自分の物件の「物理的な状態」と「維持管理コスト」は、唯一オーナー自身がコントロールできる変数だからです。

この記事では、いま都心マンション市場で何が起きているのかを公的データで整理したうえで、価格調整局面で収益物件オーナーと管理組合が資産価値を守るために何をすべきか、現場の視点で具体的にお伝えします。結論から言えば、これからは「選ばれる物件」と「選ばれない物件」の二極化が進みます。その分かれ目を握るのが、大規模修繕の進め方、とりわけ「工法選択」です。

いま都心マンション市場で起きていること——「73カ月ぶり下落」の中身

まず事実関係を、冷静に押さえておきましょう。

報道によると、都心3区(千代田区・中央区・港区)の中古マンションの成約平均坪単価は、2026年4月の739万円から5月には643万円へと、ひと月で約13%下がりました。成約された物件の平均価格で見ると、約1億4,600万円から約1億1,700万円へと、こちらは約20%の下落です。前年の同じ月と比べても2割ほど低い水準で、過去1年でもっとも低い成約価格になったと報じられています(ダイヤモンド不動産研究所、マンションリサーチ株式会社のレポートより、2026年6月時点)。

ここで一度、言葉の整理をします。「坪単価」とは1坪(約3.3平方メートル)あたりの価格のことで、物件の広さに関係なく値段の水準を比べるための指標です。「成約価格」は実際に売買が成立した価格で、売り出し価格(売主の希望額)とは別物です。つまり、売主が下げたというより、「実際に取引が成立した値段」が下がってきた、という点が今回のポイントです。

ただし、私はこれを「バブル崩壊」「投げ売り」と煽るつもりはありません。複数の専門家が指摘しているとおり、これは市場全体の暴落というより、これまで突出して高騰していた一部の物件で「実需(実際に住む人の予算)に見合った価格への調整」が進んでいる、という解釈が妥当だと考えています。

なぜ潮目が変わったのか——3つの構造変化

では、なぜこのタイミングで価格が頭打ちになったのでしょうか。背景には、いくつかの構造的な変化が重なっています。

ひとつは金利です。日本の政策金利が1%近辺まで上がってきたことで、住宅ローンや不動産投資の借入コストが上昇しました。借入金利が上がれば、同じ家賃収入でも手元に残る利益は減りますから、買い手が出せる価格には自然と上限ができます。

ふたつめは在庫の増加です。2026年に入ってから、都心部では売り出される中古マンションの数が増えてきたと報じられています。売り物が増えれば、買い手は選べる立場になり、強気の価格は通りにくくなります。

みっつめは、これまで都心のタワーマンション市場を支えてきた投資需要の変化です。中国経済の減速や、海外投資家・インバウンド需要の動きが変わったことで、「値上がり益(キャピタルゲイン)狙い」で都心物件を買っていた一部のマネーが、以前ほど勢いよく入ってこなくなった可能性が指摘されています。

参考までに、より長い目で見ると、国土交通省が公表している「不動産価格指数」では、マンション(区分所有)の価格は2010年平均を100とした基準で、2025年時点でおよそ220前後——つまり約2.1倍まで上がってきました(国土交通省「不動産価格指数」)。13年近くにわたって上がり続けてきたわけですから、どこかで一服する局面が来ること自体は、不思議ではありません。

「値上がり益の時代」から「実力の時代」へ

ここからが本題です。

価格が右肩上がりの時代は、極端に言えば「どんな物件でも持っていれば値上がりした」面がありました。多少手入れが行き届いていなくても、立地さえよければ価格が上がってくれたのです。けれど、価格が調整局面に入ると話は変わります。買い手が冷静になり、物件を選別し始めるからです。

私は、これを「値上がり益の時代から、物件の実力の時代へ」の転換だと捉えています。これからは、同じエリア・同じ築年数でも、「資産価値が保てる物件」と「じわじわ評価を下げる物件」の差がはっきり出てきます。

その差はどこから生まれるのか。立地はもう変えられません。総戸数も変えられません。けれど、変えられるものがあります。それが「建物の物理的なコンディション」と「修繕の財務的な健全性」です。具体的には、外壁・防水・鉄部などがきちんと維持されているか、長期修繕計画(今後の修繕の見通しを示した計画書)が現実的に組まれているか、そして修繕積立金が将来必要な工事に対して足りているか。これらは、オーナーや管理組合の努力で確実に動かせる変数です。

中古を買う人・貸す相手は「ここ」を見ている

買い手や借り手の立場に立って考えてみます。

中古マンションを買う人、とりわけ住むために買う実需層は、いまや管理状態をシビアに見ます。中古マンションの取引では「重要事項に係る調査報告書」を通じて、修繕積立金の総額、滞納の有無、長期修繕計画の有無、大規模修繕の実施履歴などが買主側に開示されるのが一般的です。積立金が枯渇していたり、大規模修繕の予定が立っていなかったりすれば、それは値引き材料になります。「買ったあとに一時金(追加の負担金)を求められるかもしれない」というリスクは、買い手にとって価格を下げる十分な理由になるのです。

賃貸でも同じです。外壁が色あせ、共用部に雨染みが残るような建物は、内見の段階で敬遠されます。価格調整で空室が出やすくなる局面では、この「第一印象の差」がそのまま稼働率の差、ひいては家賃水準の差になって表れます。

つまり、価格が緩む局面ほど、「きちんと維持されている建物」のプレミアムが効いてくるということです。

資産価値を守る現実解——大規模修繕の「工法選択」でコストを下げる

ここで多くのオーナーさんがぶつかる壁が、「資産価値のために修繕は大事だと分かっている。でも、その修繕費そのものが重いのだ」という現実です。資材価格は高止まりし、職人の人件費も上がっています。価格調整で売却益も家賃も伸びにくい局面で、修繕費だけが膨らんでいく——これでは利回りが削られる一方です。

だからこそ私は、「工事の中身を削る」のではなく「工事のやり方(工法)を見直す」ことをお勧めしています。同じ品質の修繕でも、工法を変えるだけで総額を大きく下げられる余地があるからです。

大規模修繕には、大きく分けて3つの工法があります。

工法 概要 向いている物件・状況
通常足場工法 建物全体に仮設足場を組んで施工する従来型 中低層、形状が複雑な建物、全面的な改修
ロープアクセス工法(無足場工法) 産業用ロープで作業員が降下して施工。足場を架けない 高層、足場が組みにくい立地、部分補修、コスト最重視
ハイブリッド工法 足場とロープアクセスを部位ごとに使い分ける 大規模・複雑な物件で総合的にコストを最適化したいケース

なかでも私が長く力を入れてきたのが、ロープアクセス工法です。これは産業用のロープを使い、作業員が建物の上から降下しながら外壁の塗装・補修や防水、シーリング(目地のゴム状の充填材)の打ち替えなどを行う、足場を架けない工法です。

ロープアクセスの利点は、まず仮設足場の架設・解体費がかからないこと。大規模修繕の費用のうち、足場関連は決して小さくない割合を占めます。ここを圧縮できれば、総額に対するインパクトは大きくなります。次に、工期の短縮が見込めること。足場の組み立て・解体に必要な日数が要らないぶん、工事全体が早く終わる傾向があります。そして、居住者や利用者の生活への影響を抑えられること。建物全体を足場とメッシュシートで覆わないため、日当たりや眺望、防犯面のストレスが軽くなります。賃貸物件であれば、「工事中だから」という理由での退去や空室リスクを抑えやすい、という実利にもつながります。

ただし、ロープアクセスが万能なわけではない

ここは正直にお伝えしておきます。ロープアクセスは、すべての物件・すべての工事に最適というわけではありません。

たとえば、外壁の広範囲を一度に張り替えるような全面改修や、バルコニー内部の込み入った作業など、足場があったほうが効率的で品質を担保しやすいケースもあります。建物の形状や周辺環境によっては、ロープを下ろす支点が取りにくいこともあります。

だからこそ、私たちは「ロープアクセスありき」では考えません。建物を実際に調査したうえで、足場が向く部分は足場で、ロープアクセスが向く部分はロープで、と部位ごとに使い分ける「ハイブリッド工法」を提案することが少なくありません。大切なのは、工法を売ることではなく、その建物にとっての総合的な最適解を見つけることです。3つの工法を自社の選択肢として持ち、フラットに比較提案できる会社は、日本でも多くありません。私たちはそこに価値があると考えています。

そもそも、なぜ建物は定期的に直さなければならないのか

価格や工法の話の前に、建物の劣化そのものを少し整理しておきます。ここを理解しておくと、修繕の優先順位が見えやすくなります。

外壁の塗装は、紫外線・雨・温度差にさらされ続けることで、年々保護機能が落ちていきます。塗膜が劣化すると、表面を触ると白い粉が手につく「チョーキング(白亜化)」が起き、やがてひび割れや色あせにつながります。塗装は見た目の問題と思われがちですが、実は建物内部への水の侵入を防ぐ「防水の最前線」でもあります。

シーリングは、外壁パネルやサッシまわりの目地を埋めているゴム状の充填材です。これも時間とともに硬化し、痩せたり切れたりします。シーリングが切れると、そこから雨水が壁の内部に入り込み、鉄筋の腐食やコンクリートの劣化を早めます。

屋上やバルコニーの防水層も同様です。表面の保護層が傷むと、下地まで水が回り、最悪の場合は最上階の住戸で雨漏りが発生します。雨漏りは、起きてから直すと費用も手間も跳ね上がります。

そしてもっとも注意したいのが、タイル外壁の「浮き」です。タイルが下地から剥がれかけている状態を放置すると、ある日突然、上階のタイルが落下します。これは資産価値以前に、通行人や居住者の安全に関わる重大事故になりかねません。だからこそ、建築基準法第12条では一定の建物に定期的な外壁の調査・報告が義務づけられているのです。

つまり大規模修繕は「きれいにするため」だけのものではなく、「水と劣化から建物の構造を守り、事故を防ぐため」のものです。一般的に12年前後が一つの周期の目安とされますが、立地や建物の仕様によって最適なタイミングは異なります。だからこそ、画一的な年数ではなく、現地の状態を見て判断することが大切になります。

足場とロープアクセス、それぞれの長所と短所を正直に

工法選択を語る以上、それぞれの長所と短所を公平にお伝えするのが筋だと考えています。

通常足場工法の長所は、作業の安定性と全面的な施工のしやすさです。建物全体を覆って一度に作業できるため、大規模な張り替えや、込み入った部位の作業に向いています。職人が安定した足場の上で作業できるため、作業効率が高い場面も多くあります。一方の短所は、架設・解体に費用と日数がかかること、工事期間中は建物がシートで覆われ、日当たりや眺望、防犯面で居住者にストレスがかかること、そして足場が近隣との距離問題や駐車スペースの確保を必要とする場合があることです。

ロープアクセス工法の長所は、足場費がかからないこと、工期が短くなりやすいこと、建物を覆わないため生活への影響が小さいこと、そして足場が組みにくい高層部や狭隘地でも施工できることです。短所は、一度に作業できる範囲が足場ほど広くないこと、天候の影響を受けやすいこと、そして広範囲の全面改修には必ずしも向かないことです。また、ロープアクセスは高度な技能と安全管理を要するため、施工者の技術力と資格・実績の見極めが、足場以上に重要になります。

この長所・短所を見比べれば、「どちらが優れている」という単純な話ではないことが分かります。要は、建物のどの部分を、どんな状態で、いつ直すのか。その条件に合わせて工法を選び、必要なら組み合わせる。これがハイブリッド工法の発想です。

数字で実感する——工法選択で「いくら」変わるのか

抽象論ではイメージが湧きにくいので、ざっくりとした目安で考えてみます。ここでお示しするのは、あくまで考え方を伝えるための概算であり、実際の金額は建物の規模・形状・劣化状況・地域によって大きく変わります。正確な数字は必ず現地調査のうえでの見積もりでご確認ください。

大規模修繕工事の費用は、一般に「仮設工事費(足場など)」「直接工事費(塗装・防水・タイル補修など実際の施工)」「諸経費」に大きく分かれます。このうち仮設足場の費用は、工事総額のおおよそ2割前後を占めると言われることが多く、決して無視できない金額です。

仮に、ある中規模マンションの大規模修繕で、足場の架設・解体に関わる費用が1,000万円かかるとします。建物の形状や工事内容によっては、この部分をロープアクセスやハイブリッドに置き換えることで、仮設にかかるコストを大きく圧縮できる余地があります。圧縮できた金額は、そのまま組合の負担軽減になり、あるいは「足場を浮かせたぶんで、本当に直すべき箇所により予算を回す」という前向きな選択にもつながります。

ここで大切なのが「一世帯あたりに換算する」感覚です。たとえば総戸数50戸のマンションで、工法見直しによって総額が500万円圧縮できたとすれば、単純計算で一世帯あたり10万円の負担軽減です。総会で「総額500万円」と言われてもピンとこなくても、「一世帯あたり10万円」と聞けば、合意形成は一気に進みやすくなります。私が現場で実感してきたのは、こうした「自分ごとに翻訳された数字」が、止まりかけた大規模修繕を動かす力になるということです。

賃貸オーナーの視点——「利回り」で考える修繕

収益物件を持つオーナーさんにとって、修繕は感情論ではなく、利回りの問題です。少し計算で考えてみましょう。

価格調整局面では、売却益(キャピタルゲイン)を当てにしにくくなります。すると、収益の柱は家賃収入(インカムゲイン)に戻ってきます。家賃収入を守るうえで効いてくるのが「稼働率」と「家賃水準」、そして「支出のコントロール」です。

たとえば、外壁や共用部の見た目が劣化して空室期間が延びれば、年間の実質家賃収入は確実に目減りします。逆に、適切なタイミングできれいに整えれば、内見時の印象が良くなり、空室の埋まりが早くなります。これは数字に直結します。家賃8万円の部屋が1部屋、空室期間を2カ月短縮できれば、それだけで16万円。10戸あれば、その効果は積み上がります。

一方で、修繕にかける支出を工法選択で抑えれば、同じ建物のコンディションを「より少ない支出」で維持できます。収入を守り、支出を抑える。この両面から、ネット利回り(諸経費を差し引いた実質的な利回り)を守るのが、価格調整時代のオーナーの基本戦略だと私は考えています。修繕を先送りして見た目を悪化させ、結果として家賃も売値も下げてしまう——これがいちばん避けたいシナリオです。

ホテル・宿泊施設のオーナーにも同じことが言える

今日(2026年6月)のニュースを見ても、ホテルの新築・改修の話題が続いています。重要文化財を活用した宿泊施設の開業や、地方都市での歴史的建物のホテル改修工事など、既存ストックを活かす動きが活発です。

ホテルや宿泊施設のオーナーにとって、外壁や防水の修繕は「稼働を止められない」という固有の難しさを抱えています。足場を建物全体に架けてしまえば、外観の印象が悪くなり、予約や客室稼働率に響きかねません。ここでもロープアクセス工法は、建物全体を覆わずに必要な箇所を補修できるため、「営業しながら直す」選択肢として有効です。マンションでも、ホテルでも、商業ビルでも、「利用者の生活・利用を止めずに資産価値を守る」という課題は共通しています。

長期修繕計画は「価格が緩んだ今」こそ見直す

長期修繕計画とは、これから30年程度の間に、いつ・どこを・いくらかけて修繕するかを示した計画書のことです。多くのマンションで作られていますが、「作って以来、一度も見直していない」というケースが少なくありません。

資材価格や人件費が上がっている今、数年前に作った計画の金額は、現実から乖離している可能性が高いです。計画上は積立金で足りるはずだったのに、いざ工事の段になって「全然足りない」と判明する——これがいちばん怖いパターンです。

価格調整で市場が落ち着いてきた今は、腰を据えて計画を点検する好機でもあります。工法の選択肢を織り込んだうえで計画を組み直せば、「想定よりも安く、想定よりも長く建物を保たせる」道筋が見えてくることもあります。計画の見直しは、専門家を交えて行うことをお勧めします。

オーナー・管理組合が「いま」打つべき3つの手

価格調整というニュースを前に、不安を感じる必要はありません。やるべきことは、むしろシンプルです。今日からできる順に整理します。

第一に、自分の物件の「健康診断」をすることです。前回の大規模修繕からの経過年数、外壁や防水の劣化状況、長期修繕計画と修繕積立金の残高のバランスを、いま一度棚卸ししてください。とくに、外壁タイルの浮きやひび割れは、放置すると剥落事故につながり、資産価値どころか賠償リスクの問題になります。建築基準法第12条に基づく定期報告(一定規模以上の建物に義務づけられた、専門家による定期的な調査・報告)の対象であれば、その結果も確認しておきましょう。

第二に、次の修繕の「見積もりの取り方」を変えることです。1社の言い値で進めるのではなく、工法の違いを含めて複数の提案を比較してください。「足場前提でいくらか」だけでなく、「ロープアクセスやハイブリッドならいくらか」を並べて初めて、本当に妥当なコストが見えてきます。

第三に、判断を急がないことです。価格調整局面は、裏を返せば「冷静に建物の足元を固める好機」でもあります。慌てて売るのではなく、維持管理で物件の評価を底上げしてから次の一手を考える——そのほうが、長い目で見て収益を守れるケースは多いはずです。

なお、補助金を活用できる場合もありますが、省エネ改修などの補助制度は年度ごとに内容が変わり、予算枠に達し次第その年度の受付が締め切られることが一般的です。利用を検討する際は、各自治体の公式情報で最新の要件と期限をご確認ください(参考:国土交通省「マンション管理・再生」関連情報)。

良い施工会社をどう見極めるか

価格調整局面では、工事費を抑えたいという思いから、つい「いちばん安い見積もり」に飛びつきたくなります。けれど、ここは慎重になっていただきたいところです。

近年、塗装・防水工事を手がける会社の倒産が増えているという報道もあります。工事の途中で施工会社が立ち行かなくなれば、工事は止まり、追加の費用や時間がかかり、結局は高くつきます。安さだけで選ぶことには、こうしたリスクがあるのです。

見極めのポイントはいくつかあります。まず、見積書の内訳がきちんと開示されているか。「一式」ばかりの見積もりは、後から追加請求が出やすい傾向があります。次に、工法の選択肢を提示してくれるか。足場一択ではなく、ロープアクセスやハイブリッドも含めて比較してくれる会社は、その建物に合った最適解を探そうとしている証拠です。そして、ロープアクセスを扱う場合は、その技術力と安全管理体制、実績を確認することです。

私たち明誠は、塗装・防水・タイル・電気・看板といった各分野の専門職が加盟するフランチャイズの形で、高い品質と適正な価格の両立を目指してきました。また、一般社団法人全国建設業支援協会(JCSA)の運営を通じて、建設業界全体の底上げにも取り組んでいます。こうした体制の背景には、「目の前の一棟を大切に直すこと」と「業界全体が誠実であること」は地続きだ、という私たちの考えがあります。

「直してから売る」か「そのまま売る」か——売却を考えるオーナーへ

価格調整のニュースを受けて、「いっそ売却を」と考えるオーナーさんもいるでしょう。その場合に悩ましいのが、修繕してから売るか、現状のまま売るか、という判断です。

一概には言えませんが、考え方の軸はあります。買い手は、購入後に大きな修繕費がかかると分かれば、その分を価格交渉の材料にします。とくに大規模修繕が長く行われていない物件は、「買ったあとにお金がかかる物件」として敬遠されやすくなります。一方で、修繕に大金をかけても、その全額がそのまま売値に上乗せされるとは限りません。

ですから、フルリノベーションのような大がかりな投資ではなく、外壁や共用部の「見た目と安全に直結する部分」を、工法選択でコストを抑えながら整える——という現実的な落としどころが、費用対効果の面で合理的なことが多いのです。ここでも、「いくらかけて、どこまで価値が戻るか」を冷静に見積もることが欠かせません。判断に迷うときは、売却に詳しい専門家と、修繕に詳しい専門家の双方に相談されることをお勧めします。

よくあるご質問(FAQ)

Q. 都心3区の価格が下がったということは、いま修繕にお金をかけても無駄になりませんか?
A. むしろ逆だと考えています。価格が緩む局面ほど、買い手や借り手は物件を選別します。維持管理が行き届いた物件は評価を保ち、そうでない物件は値を下げます。修繕は「コスト」ではなく、資産価値を守る「投資」として捉えるのが現実的です。

Q. ロープアクセス工法にすると、足場工法より品質が落ちませんか?
A. 作業の種類によります。外壁の塗装・補修やシーリングの打ち替え、防水の部分補修などはロープアクセスで十分な品質を確保できます。一方で全面的な張り替えなどは足場が向く場合もあります。だからこそ、部位ごとに最適な工法を組み合わせるハイブリッドのご提案をしています。

Q. 修繕積立金が足りていない場合、どうすればよいですか?
A. 選択肢は主に「一時金の徴収」「借入」「積立金の増額」の3つです。どれを選ぶにせよ、まず工事費そのものを工法選択で抑えれば、必要な金額自体が小さくなります。資金計画と工法は、セットで考えることをお勧めします。

おわりに

ニュースの見出しは、どうしても「暴落」「崩壊」と刺激的になりがちです。けれど、現場で建物と向き合ってきた私の実感は少し違います。市場が冷静さを取り戻すというのは、ごまかしの効かない、まっとうな時代が来るということでもあります。

立地や金利は変えられません。でも、自分の建物をどう守り、どう整えるかは、オーナーさんと管理組合の手の中にあります。私たちは、その建物にとっていちばん無理のない方法を、足場・ロープアクセス・ハイブリッドという3つの引き出しから一緒に探すお手伝いをしています。「うちの物件はどうだろう」と少しでも気になったら、見立てだけでもかまいません。お気軽にご相談いただければと思います。

価格の潮目が変わるいまだからこそ、足元を固める。それが、これからの時代に資産を守る、いちばん確かな一手だと考えています。


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