「あの札幌の再開発すら縮んだ」——2026年夏に届いたニュースの意味
正直に申し上げます。この夏、私がいちばん考え込んだニュースは、塗料でも金利でもなく、札幌の再開発でした。あなたが収益物件をお持ちのオーナーさま、あるいはマンションの理事長さまなら、これは決して遠い北の街の話ではありません。むしろ「うちの建物をこの先どうするか」を左右する、とても身近な話だと私は思っています。
何が起きたのか。JR北海道が進めてきた札幌駅南口の大型再開発(北5西1・西2地区)が、当初の計画から規模を大きく縮小し、延べ床面積は約32万6500平方メートルに落ち着くことになりました。従来計画から約6万平方メートル、東京ドーム1個分をゆうに超える面積を削ったことになります。理由ははっきりしています。資材価格の上昇と労務コストの増大による「工事費高騰」です。そして、高層階に入る予定だった外資系の高級ホテル、マリオットとの契約は解除され、ホテル計画そのものが白紙になりました(出典:建設通信新聞Digital「札幌の再開発、規模縮小し32.6万㎡に 高級ホテルも撤退」、札幌市「北5西1・西2地区」)。
スケジュールも後ろ倒しになりました。報道によれば、低層棟(西2)は2027年度に着工して2030年度の竣工、高層棟(西1)はその後2030年度に着工して2034年度の竣工を目指すとされ、建物の高さも従来計画から15メートルほど引き下げられます。当初描かれていた華やかな超高層+高級ホテルの絵姿は、工事費という現実の前に、静かに描き直されたわけです。
私がこのニュースに手を止めたのは、規模の大きさではありません。JR北海道という体力のある事業主体が、しかも札幌の玄関口という一等地で、それでも「予定どおりには建てられない」と判断した、その事実の重さです。資本力のある大手ですら旗艦プロジェクトを削り、目玉のホテルを手放す。ここまで来たか、というのが現場から見た率直な感想でした。
そしてこう考えました。これは「新築がしんどい時代」の象徴的なサインではないか、と。新しく建てる採算が合いにくくなれば、世の中の重心は自然と「いま建っているものを、いかに長く・賢く持つか」へ動きます。つまり、既存の建物を適切に直して価値を保つ——大規模修繕(マンションやビルの外壁・防水などを12年前後の周期でまとめて直す工事)の戦略的な重みが、これまで以上に増すということです。
この記事では、まず「なぜ新築が縮むのか」を建設費の公的データで確かめます。次に、その裏返しとして「既存ストックを長く持つ」ことがなぜ賢い選択になりつつあるのかを、国の統計と政策から整理します。そのうえで、「でも修繕費だって上がっているじゃないか」という当然の反論に正面から向き合い、工法の選び方でコストと工期をどう守るかを、私の現場経験からお伝えします。築15〜25年でそろそろ2回目・3回目の修繕が視野に入っている管理組合の方、区分マンションや一棟物件を複数お持ちのオーナーの方に、「うちの話」として読んでいただけるはずです。
なぜ「新築が縮む」のか——資材と労務、二つの高騰
札幌の一件は、特殊な失敗ではありません。全国どこの現場でも起きている「建設費高騰」が、たまたま目立つ場所で表面化しただけです。ここは体感ではなく、国が出している数字で確かめておきましょう。見積書の妥当性を判断するうえでも、この土地勘は必ず役に立ちます。
なぜ一つの再開発の話を、これほど自分の資産に引きつけて読んでいただきたいのか。理由はシンプルです。大手が動かせる資金は、私たち中小の現場が扱う金額とは桁が違います。その大手ですら採算が合わず計画を縮めるということは、より体力の限られる中小規模の建物では、同じコスト上昇がもっと重くのしかかるということだからです。「大きな話」ほど、実は小さな建物の未来を先取りして見せてくれる。私はいつも、業界のマクロなニュースを、目の前の一棟に翻訳して読むようにしています。
建設工事費デフレーターで見る「10年で約3割」
建設費の水準を示す代表的な公的指標に、国土交通省の「建設工事費デフレーター」があります。これは2015年度を100として、建設工事にかかる費用が何倍になったかを示すものです。最新のデータでは、建設総合でおおむね133前後、木造住宅でも130前後まで上がっています(出典:国土交通省「建設工事費デフレーター」)。
かみ砕くと、2015年に1億円で建てられた(あるいは直せた)ものが、いまは1億3000万円ほどかかる、という意味です。この10年ほどで、建設のコストはざっくり3割上がりました。しかも一度上がったきり下がらず、高い水準で張り付いています。私が20年近くこの業界にいて、これほど長く一方向に上がり続ける局面は記憶にありません。
労務単価は14年連続上昇——「人の値段」が構造的に上がった
もう一つ、材料と並ぶ大きな柱が人件費です。国土交通省が毎年公表する「公共工事設計労務単価」は、令和8年(2026年)3月から適用される最新版で、全国全職種の平均が2万5834円となり、統計上はじめて2万5000円を超えました。前年度比で約4.5%の引き上げ、これで14年連続の上昇です(出典:国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」)。
この「14年連続」という数字を、私は現場でよく引き合いに出します。材料費は世界情勢で上下しますが、人の値段はそう簡単には下がりません。職人の高齢化と担い手不足は構造的な問題で、賃金を上げなければ次の世代が入ってこない。裏を返せば、労務費の上昇は一過性ではなく、これからも続く前提で計画を組むべきだ、ということです。材料と労務、この二つが同時に、しかも長期で上がっている。だから札幌のような判断が出てくるのです。
正直に言えば、私たち工事会社にとっても、この高騰は他人事ではありません。同じ工事をしても以前より原価がかさむ。それでもお客さまに納得いただける金額に収めるために、どこでムダを削れるかを日々考えています。その答えの一つが、後ほどお話しする「工法の選択」です。
「建てるより直す」へ——既存ストックの価値が相対的に上がる
新築が縮むということは、視点を変えれば「いま建っている建物の価値が、相対的に上がる」ということでもあります。ここは収益物件オーナーの方にこそ、じっくり読んでいただきたい部分です。
築40年超が約2割、10年後には倍増する
国土交通省の統計によると、分譲マンションのストック総数は2024年末時点で約713万戸に達しました。日本の人口の1割以上、およそ1500万人以上がマンションに住んでいる計算です。そのうち、築40年を超えるマンションは約148万戸で、全体のおよそ2割を占めます。そしてこの数は、10年後の2034年末には約293万戸、20年後の2044年末には約482万戸へと膨らむと見込まれています(出典:国土交通省「住宅:マンションに関する統計・データ等」)。
高経年の建物が、これから雪だるま式に増えていく。これは分譲マンションの話ですが、賃貸マンションやビルでも事情は同じです。日本全体が「新しく建てる」から「長く使う」へ、否応なく重心を移していく局面に入っている、ということです。
オーナーの立場で言えば、これは「出口」と「保有」の両面に効いてきます。新築の供給が細れば、中古市場に出てくる築浅の競合も減り、相対的に築古でも手入れの行き届いた物件が選ばれやすくなります。売るにしても貸すにしても、「修繕履歴がきちんと残っている」ことが、これまで以上に価格や客付けの決め手になっていく。私はこれを、長く物件を持つオーナーさまにとって、むしろ追い風だと考えています。
建替えは、多くの場合「現実解」になりにくい
「古くなったなら建て替えればいい」と思われるかもしれません。ですが国土交通省の資料でも、老朽化したマンションを建替えだけで解消するのは現実的ではない、と明確に整理されています。建替えは費用も合意形成も極めてハードルが高く、実際に実現した件数は全国で累計300件あまりにとどまります。148万戸という母数に対して、この数字がいかに小さいかは、あえて説明するまでもないでしょう。だからこそ国は、適切な維持管理と「長寿命化」——つまり大規模修繕をきちんと重ねて建物を長く使うこと——を政策の柱に据えています。
私はこの流れを、悲観ではなく機会だと捉えています。新築の供給が細れば、きちんと手入れされた既存物件の希少価値は上がります。裏を返せば、修繕を怠って傷んだまま放置した物件との差は、これから残酷なほど開いていく。同じ築年数、同じ立地でも、「直してきた建物」と「直してこなかった建物」で、賃料も売却価格もはっきり分かれる時代が来ると私は見ています。大規模修繕は、もはや「仕方なく出ていく出費」ではなく、「資産価値を守り、育てる投資」なのだ——このことは、明誠の大規模修繕工事のご紹介でもお伝えしている、私たちの基本的な考え方です。
「でも修繕費だって上がっているじゃないか」——その通り、だから工法で守る
ここまで読んで、鋭い方はこう思われたはずです。「新築が高いなら、修繕だって同じ建設費高騰の波を受けているだろう」と。まったくそのとおりです。ごまかすつもりはありません。大規模修繕の費用も、この10年で確実に上がりました。だからこそ私は、「上がった前提で、どこを削れるか」を工法から考えることを、いつもお客さまにお伝えしています。ここが今日の記事の、いちばんお伝えしたい実務の話です。
足場という「工事費の2割前後」をどう扱うか
大規模修繕の見積書を開くと、多くの方が意外に感じるのが「仮設足場」の金額の大きさです。建物の形状にもよりますが、足場の設置・解体・養生は、工事費全体の2割前後を占めることも珍しくありません。しかもこの費用は、外壁を1平米直そうが100平米直そうが、建物をぐるりと囲う以上まとまってかかる「固定費」に近い性質を持っています。建設費が高騰している今、この大きな固定費をどう扱うかが、コスト防衛の最初の分かれ目になります。
私がいつもお伝えするのは、「足場をかけるのが当たり前だと思い込まない」という視点です。もちろん足場が最適な建物はたくさんあります。ですが、部位や建物によっては、足場をかけずに直せる方法があるのです。
無足場のロープアクセス——強みと、正直なデメリット
その代表が、ロープアクセス工法です。これは産業用のロープを使い、作業員が屋上から吊り下がって外壁の塗装や補修、防水、タイルの点検・補修などを行う、無足場の工法です。足場という大きな固定費を圧縮できるため、条件が合えばコストを抑えられます。加えて、足場の組立・解体にかかる期間がないぶん工期が短くなりやすく、足場が建物を覆わないので居住者や利用者の日当たり・視界・防犯面への影響も小さく済みます。高層で足場架設が難しい建物や、限られた部位だけを直したいケースでは、特に力を発揮します。詳しくはロープアクセス工法のご紹介にまとめています。
ただ、良いことばかりを並べるのは誠実ではありません。ロープアクセスにも、はっきりとした向き・不向きがあります。まず、建物全面を一度に、しかも大量に塗り替えるような工事では、足場をかけて多人数で一気に進めたほうが結局は速く、安くなる場合があります。ロープでの作業は一度に展開できる人数や範囲に限りがあるからです。また、屋上にロープを固定できる強固な支点が取れない構造では採用できませんし、天候の影響も足場作業より受けやすい。さらに、有資格の技術者が必要なため、施工できる会社そのものが限られます。「無足場だから何でも安い」という単純な話ではないのです。ここを正直にお伝えしないと、あとで「思ったのと違った」となってしまいます。
ハイブリッドという第三の選択
では、どうするか。私が現場で20年やってきて行き着いた答えが、「一棟まるごと同じ工法で縛らない」という考え方です。たとえば、複雑で作業量の多い低層部やバルコニー周りは足場をかけ、単調で高所の外壁面はロープアクセスで、と部位ごとに使い分ける。これがハイブリッド工法です。建物の形状と傷み具合を一つずつ見て、「ここは足場、ここはロープ」とパズルのように組み合わせることで、総額を最も低く抑えられる組み方を探ります。
私はこれを、必ず複数のパターンでお見積りするようにしています。「全面足場だといくら」「一部ロープを組み合わせるといくら」と並べて、判断の材料をお渡しする。工法ありきではなく、その建物にとっての最適解を一緒に探す——足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3つを自社で扱えるからこそできる提案だと、私は思っています。ビルオーナーの方はビルオーナーさま向けのご案内、管理組合の方は管理組合さま向けのご案内も、あわせてご覧いただければ、判断の助けになるはずです。
3つの工法の性格を、ざっくり一覧にすると次のようになります。ご自身の建物がどれに近いか、あたりをつける参考にしてください。
| 観点 | 通常足場工法 | ロープアクセス工法(無足場) | ハイブリッド工法 |
|---|---|---|---|
| 仮設費(固定費) | 大きい | 小さく抑えやすい | 部位を絞れば圧縮できる |
| 工期の傾向 | 組立・解体の期間が必要 | 短くなりやすい | 中間 |
| 全面・大量塗替え | 得意 | 一度に展開できる範囲に限りあり | 面は足場、他はロープで最適化 |
| 高層・足場架設が難しい建物 | 不利な場合あり | 得意 | 得意 |
| 居住者・利用者への影響 | 建物を覆うため大きめ | 小さい | 部位により小さくできる |
| 主な制約 | 費用と設置スペース | 支点確保・天候・有資格者の確保 | 設計の巧拙で差が出る |
表はあくまで一般的な傾向です。実際には建物の形状、劣化の位置、周辺の道路状況などで最適解は変わります。だからこそ、一律に当てはめず一棟ずつ見る必要があるのです。
一つ、具体的な話をさせてください。以前、ある5階建ての賃貸マンションで、当初は全面足場で約1200万円というお見積りが出ていた物件がありました。私が現地を拝見すると、傷んでいたのは主に高所の外壁面と屋上防水で、低層部やエントランス周りはまだ手を入れる段階ではありませんでした。そこで、傷んだ高所面をロープアクセス、複雑な低層部だけ部分足場に切り替えるハイブリッドで組み直したところ、仮設まわりを中心に費用を圧縮でき、工期も2週間ほど短くできました。オーナーさまには「足場代を丸ごと払う前に、本当に全面必要かを一度見てほしい」とお伝えしています。数字を大きく動かすのは、たいてい派手な新工法ではなく、こうした地味な「かけ方の見直し」なのです。
収益物件オーナー・管理組合が2026年後半に動く実務
ここからは、明日から使える具体的な話に落とします。建設費が高い今、損をしないために押さえておきたい実務のポイントを整理します。
見積書の「どこを見るか」
まず、見積書は必ず「工事の内訳が部位ごと・工種ごとに分かれているか」を確認してください。「一式」で大きくまとめられた見積は、金額の妥当性を検証しようがありません。特に、先ほどお話しした仮設足場の金額が独立して書かれているか。ここが独立していれば、「この部分をロープアクセスに置き換えたらいくら変わるか」という比較検討ができます。
次に、材料のグレードと数量の根拠です。建設費高騰の局面では、安く見せるために材料のグレードをこっそり下げる、あるいは必要な数量を少なく見積もる、といったことも起こり得ます。逆に、不安をあおって過剰な仕様を勧められることもあります。相見積もりを取り、金額だけでなく「なぜその仕様・数量なのか」の説明を求めることを、私はいつもおすすめしています。
見積書を受け取ったら、最低でも次の5点はチェックしてみてください。
- 仮設足場の費用が、独立した項目として金額とともに書かれているか(「一式」で埋もれていないか)
- 外壁補修・塗装・防水・シーリングなど、工種ごとに数量(平米・メートル)と単価が分かれているか
- 使用する材料のメーカー名・製品グレードが明記され、なぜその仕様なのか説明があるか
- 「予備費」「諸経費」の割合が常識的な範囲か、その中身を尋ねて答えが返ってくるか
- 保証年数とアフター点検の内容が書面に含まれているか
この5点がクリアな見積は、金額の高い・安いに関わらず、話のできる相手だと私は判断します。逆に、どれも曖昧なまま総額だけ大きく出ている見積は、金額の妥当性を検証しようがありません。戸あたりに換算して「1戸あたりいくらの負担か」を出してみると、住民説明のときにも数字の体感がつかみやすくなります。
「待つ」か「今やる」か——タイミングの判断軸
「建設費が高いなら、下がるまで待つべきでは」というご相談も、この夏よくいただきます。私の考えを正直に申し上げます。値下がりを当て込んで待つのは、多くの場合おすすめしません。理由は二つです。一つは、材料費はともかく労務費が構造的に上がり続けており、全体として大きく下がる見通しが立てにくいこと。もう一つ、そして私が現場でより重く見ているのが、建物の劣化は待ってくれないという事実です。
外壁のひび割れや防水の傷みを1年、2年と放置すれば、そのすき間から雨水が入り、鉄筋や躯体そのものを傷めます。そうなると、本来は表面の補修で済んだはずが、躯体補修という桁違いに高い工事になってしまう。私が現場でいちばん悔しい思いをするのは、「あと1年早ければ、この費用は半分で済んだのに」というケースに立ち会うときです。建設費が数%動くかどうかを気にして、劣化による数十%の増額を招いては本末転倒です。ですから判断軸は「建設費が上がるか下がるか」ではなく、「うちの建物の劣化が、待てる段階か、待てない段階か」。まずはそこを、専門家の目で見極めることが先だと私は考えています。
もちろん、緊急性が低く、資金計画上どうしても時期を調整したいケースもあります。その場合でも、点検だけは先に行い、「どこまでなら待てるか」を数字で押さえておく。相談だけでも、待つべきか動くべきかの整理はお手伝いできます。
よくあるご質問(FAQ)
Q. 新築が減ると、中古物件の価値は本当に上がるのですか?
A. 立地や管理状態によります。ただ、新築供給が細り、高経年ストックが増えていく大きな流れの中で、「きちんと修繕され管理された建物」の相対的な希少価値は高まりやすいと考えられます。逆に、修繕を怠った建物との価格差は開きやすくなります。断定はできませんが、維持管理の巧拙が資産価値をこれまで以上に左右する時代になる、というのが私の見立てです。
Q. ロープアクセス工法にすれば、必ず安くなりますか?
A. 必ずではありません。建物全面を一度に塗り替える工事では、足場を組んだほうが結果的に安く・速いこともあります。ロープアクセスが効くのは、高層で足場架設が難しい、限られた部位だけを直したい、居住者への影響を抑えたい、といった条件に合う場合です。建物ごとに複数パターンで見積もって比べるのが確実です。
Q. 修繕積立金が足りません。それでもできることはありますか?
A. あります。まずは点検で劣化の緊急度を仕分けし、「今すぐ必要な部位」と「数年待てる部位」を分けて、工事を段階的に計画するだけでも、資金繰りは大きく変わります。そのうえで工法を工夫して足場などの固定費を抑えれば、限られた予算でも優先度の高い部分を守れます。
Q. タワーマンションや大型ビルでも、工法の使い分けは効きますか?
A. むしろ規模が大きい建物ほど効きます。高層部は足場の架設費が跳ね上がるため、その部分をロープアクセスに置き換えるだけで、仮設費の削減幅が大きくなりやすいからです。一方、低層部の複雑な形状や、一度に広い面を仕上げたい工程では足場が向きます。建物が大きいほど「どこを足場にして、どこをロープにするか」という設計の余地が広がり、ハイブリッドの効果が出やすいと私は感じています。規模の大きな物件こそ、複数パターンの比較見積りをおすすめします。
Q. まず何から始めればよいですか?
A. 建物の現状を専門家に見てもらう「調査」からです。劣化の程度が分からなければ、待てるかどうかも、いくらかかるかも判断できません。明誠では無料の調査・お見積りに対応しています。お問合せフォームからお気軽にご相談ください。
まとめ——札幌のニュースを、自分の資産の話として読む
札幌の旗艦再開発が縮み、高級ホテルが撤退した。このニュースは、資材と労務の高騰がもはや局所的な問題ではなく、日本の建設全体を覆う潮流であることを、はっきりと示しました。新築が採算で縮む時代は、裏を返せば「いま持っている建物を、いかに長く・賢く持つか」が資産戦略の中心になる時代です。国も、建替えではなく長寿命化を政策の柱に据えています。
その主役が、大規模修繕です。ただし、修繕費も同じ高騰の波を受けている以上、「やるかやらないか」だけでなく「どう工法を組んでコストを抑えるか」まで踏み込まなければ、資産は守れません。足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3つを建物ごとに使い分ける——私たちがこの3つを自社で持ち、必ず複数パターンで比べてご提案するのは、まさにそのためです。会社としての考え方は明誠の想い(コンセプト)にもまとめています。
これは私が現場で20年見てきた、嘘偽りのない感想です。建設費が高いことを嘆くより、その現実の中で自分の資産をどう守るかに頭を切り替えたオーナーさま・管理組合さまが、10年後に笑っていると私は思います。ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。
出典・参考資料
- 建設通信新聞Digital「札幌の再開発、規模縮小し32.6万㎡に 高級ホテルも撤退」
- 札幌市「北5西1・西2地区 第一種市街地再開発事業」
- 国土交通省「建設工事費デフレーター」
- 国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」
- 国土交通省「住宅:マンションに関する統計・データ等」


