大規模修繕はロープアクセスが提案可能な東京の明誠へ

創業から6000棟超の施工実績

大規模修繕の施工会社が工事中に倒産したら?管理組合とオーナーの自衛策

大規模修繕の施工会社が工事中に倒産したら?管理組合とオーナーの自衛策

「契約した施工会社が、工事の途中で倒産してしまったら——」。ふだんは考えたくもない話だと思います。ですが今、この“まさか”が、決して他人事ではない数字として現れはじめています。

築15年、20年を超えたマンションの理事長さまや、区分マンションを何戸か持つオーナーさまにこそ、今日はこの話を届けたいのです。大規模修繕は、多くの管理組合にとって数千万円から、規模によっては億単位になる一世一代の大仕事です。その相手が、工事の真っ最中に立ち行かなくなったら——足場だけが残り、住民の生活と資産だけが宙に浮く。そんな最悪の展開を避けるために、発注する側が今から準備できることがあります。

私は現場で20年近く、塗装と防水を中心に大規模修繕に携わってきました。正直に申し上げます。今の建設業界の倒産の増え方は、現場にいる人間の肌感覚として、明らかに以前とは違います。今日はニュースの数字を入り口に、「なぜ増えているのか」「発注者にどんな打撃があるのか」「では何をすればよいのか」を、できるだけ噛み砕いてお伝えします。

ニュースの要点:塗装・防水工事の倒産が「過去最多ペース」に

まず、今回の話の起点となったニュースです。企業信用調査で知られる帝国データバンク(TDB)が2026年6月に公表した調査によると、2026年1〜5月に発生した「塗装工事業」と「防水工事業」の倒産は合計80件。これは、通年で2000年以降の最多を記録した2025年(5月までで87件)に次ぐ高い水準です(出典:帝国データバンク「『塗装・防水工事』の倒産動向(2026年 1-5月)」)。

内訳を見ると、塗装工事が56件、防水工事が24件。そして注目すべきは、負債1億円未満の小規模事業者が69件と、全体の約86.3%を占めていることです。つまり、体力の小さな会社から順番に、静かに姿を消しているということです。

TDBはさらに踏み込んで、「今後、原材料の供給不安が解消されなければ、倒産件数は2025年を上回り、2000年以降での最多を更新する可能性もある」と指摘しています(出典:同上、および帝国データバンク プレスリリース(PR TIMES))。塗装・防水は、まさに大規模修繕の中核をなす工事です。その担い手が最多ペースで倒産している——この事実は、発注する側にとって決して無視できない前提だと私は考えています。

もう少し視野を広げると、状況の深刻さがはっきりします。TDBが2026年7月に公表した別の調査「『物価高倒産』の動向(2026年上半期)」では、原材料高や人件費高が引き金となった「物価高倒産」が上半期で556件発生し、前年同期(449件)から23.8%増加。半期としては集計を開始した2018年以降で最多を更新しました。そのうち建設業は151件と業種別で最も多く、前年同期(118件)から約3割増。建設業の倒産は4月以降に増え、2026年6月には単月で最多となる36件に達しています(出典:帝国データバンク「『物価高倒産』の動向(2026年上半期)」)。

数字が続いて恐縮ですが、ここでお伝えしたいのは一つだけです。「安いから」「感じがよかったから」だけで施工会社を選ぶには、今はあまりにリスクの高い時期に入っている、ということです。

なぜ、いま倒産が増えているのか——現場から見た3つの構造要因

ニュースの数字だけを見ると「不景気だから」で片づけたくなります。ですが現場にいる私の実感では、今回の倒産増加には、もう少し具体的で、根の深い理由が3つ重なっています。順番に説明します。

要因1:資材の値上がりと「ナフサ不足」

塗料や防水材の多くは、石油から作られる化学製品です。その原料の川上にあるのが「ナフサ」(原油を精製してできる、プラスチックや塗料原料のもとになる中間製品)です。TDBの調査では、中東情勢の影響によるナフサ不足が、すでに塗料・防水材の納期や価格に影響を及ぼしていると報告されています(出典:ITmedia ビジネスオンライン「『塗装・防水工事』業者の倒産、過去最多ペース」)。

現場では、材料そのものが手に入りにくくなるだけでなく、「見積もりを出した時点の材料価格が、実際に発注する頃には上がっている」という事態が起きます。私自身、この1〜2年で「見積り時と発注時で材料代が変わってしまい、頭を抱える」場面が明らかに増えました。値上がり幅が読めないと、正確な工事金額を提示すること自体が難しくなる。ここが、体力のない会社を追い詰めていきます。

要因2:職人の高齢化と若手不足

もう一つは人の問題です。TDBの物価高倒産の分析でも、若手職人の不足と高齢職人の引退が重なり、現場作業員が足りず、外注費の高騰から「人件費増」による倒産が目立つと指摘されています(出典:前掲・物価高倒産の動向)。

塗装も防水も、機械では代われない、手と経験がものを言う仕事です。腕のいい職人ほど引く手あまたで、単価が上がる。人を確保できない会社は工期を守れず、守れなければ次の仕事が来ない。この悪循環が、静かに小規模事業者の首を絞めています。

要因3:「安値受注」というジレンマ

そして三つ目が、私が最も歯がゆく思う点です。材料も人件費も上がっているのに、受注競争のために価格を上げられない。むしろ「他社より安く」で仕事を取ってしまい、蓋を開けたら利益が出ない——この「安値受注のジレンマ」が、資材高・人件費高と噛み合って、会社の体力をじわじわ削っていきます。

現場で20年やってきて、私が一番悔しい思いをするのは、腕は確かなのに、この価格の綱引きに負けて廃業していく同業を見るときです。安さは、発注者にとって一見ありがたい。けれど「相場より極端に安い見積り」は、実は危険信号かもしれない——今はそう疑うべき時代になったと、私は考えています。

「工事の途中で施工会社が倒産」は、発注者に何をもたらすのか

では、実際に契約した施工会社が工事の途中で倒産すると、管理組合やオーナーにはどんな打撃が及ぶのでしょうか。ここは冷静に、けれど正確に押さえておいてください。

第一に、工事が止まります。足場が組まれたまま、防水の途中で雨仕舞いが不完全なまま、現場が放置されるリスクがあります。梅雨や台風の時期にこれが起きると、雨漏りなど二次被害に直結します。

第二に、支払い済みのお金が返ってこない恐れがあります。大規模修繕では、着工金・中間金として工事費の一部を先に支払うのが一般的です。倒産すると、この前払い分に見合う工事が完了していない差額が、宙に浮きます。

第三に、やり直しに余計な費用と時間がかかります。別の会社に引き継いでもらうにしても、前の会社の施工品質を調査し、責任範囲を切り分ける手間が発生します。多くの場合、費用は当初の想定を上回ります。

そして意外と見落とされがちなのが、第四の点です。工事完了後に発覚した不具合(瑕疵)を、誰も直してくれなくなるリスクです。施工した会社が消えてしまえば、通常の工事保証は事実上、機能しなくなります。

戸あたりの感覚でお伝えします。仮に100戸のマンションで総額1億円の大規模修繕を組み、着工・中間で6割にあたる6,000万円を支払った段階で施工会社が倒産したとします。出来高が5割しかなければ、単純計算で1,000万円分、戸あたり10万円が「払ったのに形になっていない」お金として宙に浮く計算です。これはあくまで単純化した例ですが、「倒産は管理組合の財布を直撃する」という現実を、数字で感じていただければと思います。

もう一つ、見過ごされがちな打撃があります。時間です。倒産した会社の現場を別の会社が引き継ぐには、まず「どこまで、どんな品質で施工されているか」を一から調査し直さなければなりません。防水層のように、いったん仕上げてしまうと内部の状態が見えなくなる工事では、この調査自体が難航します。私も過去に、別の会社が途中まで手掛けた現場の引き継ぎに立ち会ったことがあります。図面と実際の施工が合っておらず、下地の状態を確かめるために一部を剥がして確認する——それだけで数週間が飛びました。理事の皆さまが「早く終わらせたい」と気を揉むなか、工期はずるずると延び、住民説明の負担だけが増えていく。お金の損失は数字で見えますが、この「時間と手間の損失」は、渦中にいる管理組合にとって本当に重いものだと、私は現場で痛感しました。

自衛策1:契約する前に「見抜く」——施工会社の体力チェック

ここからが本題です。発注する側にできる備えを、契約の「前」「時」「進行中」の3段階に分けてお伝えします。まずは契約前、会社選びの段階です。

私はいつも理事長さまに、こうお伝えしています。「相見積りは金額だけでなく、“この会社は3年後も存在しているか”という目で見てください」と。具体的には、次のような点を確認するとよいでしょう。

  • 建設業許可の有無と業種:塗装工事業・防水工事業など、該当する業種の許可を持っているか。許可情報は各都道府県や国土交通省の建設業者・宅建業者等企業情報検索システムなどで確認できます。
  • 経営事項審査(経審)の評点:公共工事の受注を目指す会社が受ける財務・技術の審査です。数値が公開されていれば、財務の健全性の一つの目安になります。
  • 施工実績と継続年数:同規模のマンション大規模修繕の実績があるか。極端に若い会社や、実績が説明できない会社は慎重に。
  • 見積りの内訳の明瞭さ:材料・人工・諸経費が項目ごとに分かれているか。「一式」ばかりの見積りは、後で「値上がりしたので追加で」となりやすい。

そして繰り返しますが、相場から極端に安い見積りには理由があります。今の資材高・人件費高のなかで、なぜその価格が出せるのか。合理的な説明ができない安さは、赤字受注か、どこかで手を抜く前提か、あるいは体力の限界での駆け込み受注か——いずれにせよ、発注者にとってのリスク要因です。安さの根拠を、遠慮なく質問してください。

自衛策2:契約に「保証」を組み込む——完成保証と各種保険

会社選びをどれだけ慎重にしても、倒産を100%予見することはできません。だからこそ、「万一倒れても、こちらの損害を抑える仕組み」を契約の段階で用意しておくことが重要です。ここは、知っているかどうかで結果が大きく変わる部分です。

大規模修繕工事「完成保証」

完成保証とは、工事会社が倒産などで工事を続けられなくなったとき、第三者機関が進捗状況と支払い済みの着工金・中間金を調査し、現場の出来高との差額に生じた損害を保証する仕組みです。工事の再開・完了をサポートする制度も登場しています。

ただし、ここには重要な注意点があります。完成保証や保険は、「追加負担ゼロで最後まで工事を完成させてくれる」万能の制度ではありません。補償の対象や上限は制度ごとに異なり、支払い済みの前払い金と出来高の差額を守るタイプが中心です。「入っていれば全部安心」ではなく、「何を、どこまで守る制度なのか」を必ず確認してください。

そしてもう一つ、見落としやすい実務上のポイントがあります。完成保証の保証料は、多くの場合、工事会社が負担します。つまり、管理組合の側から「完成保証を付けてください」と申し入れないと、工事会社は自発的には付けてくれないことがあるのです。これは総会や見積り依頼の段階で、こちらから条件として提示すべき事項です。

大規模修繕工事「かし(瑕疵)保険」

大規模修繕工事かし保険は、工事完了後に施工部分の瑕疵(欠陥・不具合)が判明した場合、補修費用などを保険でカバーする仕組みです。国土交通大臣が指定する住宅瑕疵担保責任保険法人が扱っており、保険金の対象は修補費用・調査費用・仮住居や転居費用など、保険金額はおおむね1,000万円〜5億円と、請負金額等によって設定されます(出典:国土交通省「住宅瑕疵担保履行法および住まいの安心総合支援サイト(大規模修繕工事かし保険)」住宅瑕疵担保責任保険協会)。

この保険の心強い点は、施工会社が万一倒産して保証が受けられなくなっても、保険法人に直接、補修費用を請求できるケースがあることです。工事後の“もしも”に、施工会社の存続とは切り離した安全網をかけられます。

3つの仕組みを整理すると

保証・保険は名前が似ていて混乱しがちなので、「いつの、何を守るのか」で整理してみます。ご自身のマンションのケースに当てはめて読んでみてください。

仕組み 守るタイミング 主に守る対象 誰が申し入れる/負担するか
完成保証 工事の途中で会社が倒産 支払い済みの前払い金と出来高の差額 管理組合から申し入れる。保証料は工事会社負担が一般的
履行保証保険 工事の途中で会社が倒産 契約が履行されないことによる管理組合の損害 契約時に工事会社が付保
かし(瑕疵)保険 工事の完了後に欠陥が発覚 補修費用・調査費用・仮住居費用など 工事会社が加入。倒産後は保険法人に直接請求できる場合あり

大切なのは、どれか一つですべてが守られるわけではないという点です。工事中の倒産に備えるなら完成保証や履行保証保険、工事後の不具合に備えるならかし保険、と役割が分かれています。予算と物件の状況を踏まえ、どこまで備えるかを理事会で話し合う価値があります。

困ったときの公的相談窓口

制度の選び方や、実際にトラブルになったときの相談先も、あらかじめ知っておくと安心です。工事のトラブルは、公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センターの「住まいるダイヤル」で、弁護士と建築士による専門家相談を受けられます(参考:住宅リフォーム・紛争処理支援センター)。「どこに相談すればいいか分からない」で立ち止まらないための、公的な入り口です。

自衛策3:資材高・値上げ局面での「見積りの読み方」

3つ目は、進行中のトラブルを防ぐための視点です。今のような資材が乱高下する時期は、見積りと契約書の「値上がりの扱い」を最初に確認しておくことが、後のもめ事を防ぎます。

私が現場でお勧めしているのは、次の3点です。

まず、材料費の変動をどう扱うか、契約前に明文化すること。「契約後に材料が値上がりした場合、どちらがどこまで負担するのか」を曖昧にしたまま進めると、途中で「追加費用」を巡って対立し、最悪の場合は工事が止まります。スライド条項(一定以上の物価変動があれば金額を調整する取り決め)の有無を確認しましょう。

次に、「一式」ではなく数量と単価で見積りを出してもらうこと。数量が明示されていれば、値上がりの根拠も検証できます。

最後に、極端な短工期・低価格の提案を鵜呑みにしないこと。人手不足のなか、無理な工期は品質の低下か下請けへのしわ寄せにつながりがちです。「なぜその工期・その価格で可能なのか」を、納得できるまで聞いてください。

私が現場で考える「倒産に強い体制」とは

ここまで発注者側の自衛策をお伝えしてきました。最後に、施工する会社を選ぶ一つの視点として、私が大切にしていることをお話しさせてください。少しだけ当社の話にもなりますが、押し売りのつもりはありません。今の時代に「倒産に強い体制とは何か」という、一つの考え方として聞いていただければと思います。

倒産の引き金は、突き詰めれば「材料が高くなった」「人が足りない」「価格を上げられない」の3つでした。逆に言えば、この3つに耐性のある体制ほど、工事の完遂まで走り切れる可能性が高いということです。

私が所属する株式会社明誠は、マンション・ビル・ホテルの大規模修繕を主力に、通常足場工法・ロープアクセス工法(足場を組まない無足場工法)・両者を組み合わせるハイブリッド工法の3つの工法を、建物ごとに中立的に提案しています。足場ありきでもロープありきでもなく、建物にとって最適な工法を選べること自体が、実はコスト耐性につながります。たとえば足場が必須と思われがちな部位でも、ロープアクセスを併用できれば足場コストと工期を圧縮でき、資材高・人件費高の局面でも価格の無理を減らせるからです(ロープアクセスについてはロープアクセス工法のご紹介、大規模修繕全体については大規模修繕工事のご紹介をご覧ください)。

ここで、ロープアクセス工法(足場を組まず、産業用ロープで高所へ直接アプローチする無足場工法)の利点を、あらためて3点で整理させてください。第一に足場コストの削減。大規模修繕の費用のうち仮設足場が占める割合は決して小さくなく、必要な部位だけロープアクセスに置き換えられれば、その分を圧縮できます。第二に工期の短縮。足場の架設・解体という工程そのものが減るため、資材や人が細る局面でも工程の無理を減らせます。第三に入居者・利用者への影響が小さいこと。足場は防犯面の不安や日当たり・眺望への影響を伴いますが、ロープアクセスはその負担を抑えられます。私はこの3点を、単なる技術の売りとしてではなく、「資材高・人手不足の時代に、工事を破綻させないための現実的な選択肢」として捉えています。

もう一つの特徴が、ロープアクセスとしては日本で初めてとなるフランチャイズ展開です。塗装・防水・タイル・電気・看板など各分野の専門職が加盟し、それぞれが直接施工することで、高品質と低価格の両立を目指しています。専門職の裾野が広いということは、材料調達や人員の手当てを一社の体力だけに依存しない、ということでもあります。私はこれを、資材と人が細る時代における、一つの現実的な備えだと考えています。

繰り返しますが、これは「だから当社に発注してください」という話ではありません。どの会社に頼むにしても、「この会社は3つの引き金にどれだけ耐えられるか」という目で見てほしい、というのが私の本当に伝えたいことです。

補足:区分マンションを複数持つオーナーさまへ

ここまでは管理組合の理事長さまを主な想定読者にお話ししてきましたが、収益物件として区分マンションを何戸か保有しているオーナーさまにも、この話は深く関わります。

オーナーさまの場合、修繕は「入居者の満足」と「賃料・資産価値の維持」に直結します。共用部の大規模修繕は管理組合の判断で進みますが、専有部のリフォームや、保有物件の外壁・防水の手入れは、オーナーご自身が発注者になります。ここで施工会社が途中で倒産すれば、空室期間が延び、家賃収入が止まり、資産価値の下落にもつながりかねません。

私がオーナーさまにお伝えしているのは、「工事を、単発の出費ではなく、資産のメンテナンス投資として設計してください」ということです。複数戸を保有しているなら、なおさら、信頼できる施工パートナーを一社見つけておくメリットは大きい。物件ごとにその都度、安さだけで会社を選び直していると、今のような倒産増加局面では、いつか工事中断という形でしっぺ返しを受けるリスクが高まります。

とりわけ築古の区分マンションは、防水や塗装の劣化が進みやすく、資材高の影響を受けやすい工事が中心になります。だからこそ、「値上がり局面でも無理のない工法を提案してくれるか」「万一のときの保証まで一緒に考えてくれるか」を、パートナー選びの基準にしていただきたいのです。ロープアクセスを活用した部分補修など、足場を組まずに機動的に対応できる選択肢を持っておくことは、収益物件の維持コストを平準化するうえでも有効だと、私は考えています。

まとめ:総会の前に、1分だけこの話題を

長くなりましたので、要点を整理します。

  • 2026年1〜5月の塗装・防水工事の倒産は80件で、過去最多ペース。背景はナフサ不足による資材高・納期不安、人手不足、安値受注のジレンマ。
  • 施工会社が工事中に倒産すると、工事停止・前払い金の宙浮き・やり直し費用・工事後の瑕疵補修不能という打撃が管理組合やオーナーを直撃する。
  • 自衛策は3段階。①契約前に会社の体力(許可・実績・見積りの明瞭さ)を見抜く。②契約に完成保証やかし保険を組み込む(保証は自分から申し入れる)。③資材変動の扱いを契約で明文化する。
  • 会社を選ぶときは「資材高・人手不足・価格転嫁」の3つの引き金への耐性という視点を持つ。

大規模修繕は、十数年に一度の大仕事です。だからこそ、価格の安さだけでなく、「最後までやり切れる相手か」を見極める。その一手間が、数百万、数千万円の資産を守ることに直結します。

次の理事会や総会で、1分だけでも「うちの施工会社選び、倒産リスクまで見ているだろうか」という話題を出してみてください。それだけで、備えの質はぐっと変わります。工法の選び方や見積りの読み方など、判断に迷う場面があれば、お問合せフォームからご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会前の整理だけでも、お力になれることがあります。

これは私が現場で20年見てきた、嘘偽りのない感想です。次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。

よくある質問(FAQ)

Q. 施工会社が工事の途中で倒産したら、支払ったお金は必ず返ってきますか?
A. 残念ながら、必ず返ってくるとは言えません。着工金・中間金として前払いした分のうち、出来高に見合わない差額は、倒産手続きのなかで回収が難しくなるのが一般的です。だからこそ、契約前に完成保証などの仕組みを用意しておくことが重要になります。

Q. 完成保証に入っていれば、追加費用なしで工事は必ず完成しますか?
A. いいえ。完成保証や保険は、支払い済みの前払い金と出来高の差額など、一定範囲の損害を守るものが中心で、「追加負担ゼロで最後まで完成させる」万能の制度ではありません。補償の対象と上限を、制度ごとに必ず確認してください。

Q. かし保険と完成保証は何が違いますか?
A. ざっくり言うと、完成保証は「工事の途中で会社が倒れたとき」の前払い金の損害を、かし保険は「工事の完了後に見つかった欠陥」の補修費用を守る仕組みです。守るタイミングが違うので、両方を検討する価値があります。

Q. 安い見積りは避けたほうがよいのですか?
A. 安いこと自体が悪いわけではありません。問題は「なぜその価格が出せるのか」を説明できるかどうかです。資材高・人件費高のなかでの極端な安値は、赤字受注や品質面のしわ寄せの可能性があります。安さの根拠を必ず確認してください。

出典・参考資料