大規模修繕はロープアクセスが提案可能な東京の明誠へ

創業から6000棟超の施工実績

管理会社に「切られる」マンションが急増する時代へ——小規模物件から始まった“管理難民”のなかで、収益物件オーナーと管理組合が大規模修繕を自ら主導し、工法選択でコストを守る実務【2026年7月】

管理会社に「切られる」マンションが急増する時代へ——小規模物件から始まった“管理難民”のなかで、収益物件オーナーと管理組合が大規模修繕を自ら主導し、工法選択でコストを守る実務【2026年7月】

「うちのマンション、来年から管理会社が引き受けてくれないかもしれない」。

そんな相談を、私はこの半年でずいぶん受けるようになりました。以前なら、管理組合が管理会社を「選ぶ」のが当たり前でした。ところが今は逆です。管理会社の側から「この規模では採算が合わないので、契約を更新できません」と通告される。いわゆる管理会社の“逆リプレイス”、そして行き場を失った「管理難民」という言葉が、業界の外にまで広がり始めています。

先日、日本経済新聞が「小規模マンションを切り捨てる管理会社『うまみない』と突然解約」という記事を出しました(出典:日本経済新聞)。ここで語られているのは、単なる一部の話ではありません。マンション管理という仕組みそのものが、静かに、しかし確実に地殻変動を起こしているという話です。

私は塗装・防水から始めて、足場を組む大規模修繕もロープアクセス(産業用ロープを使った無足場の高所作業)も、20年近く現場でやってきました。その立場から正直に申し上げます。管理会社に切られる時代というのは、裏を返せば「管理組合とオーナーが、修繕を自分の頭で考えなければ生き残れない時代」だということです。今日はその現実と、では何をすればいいのかを、できるだけ具体的にお話しします。


なぜ管理会社は小規模マンションを「切る」のか

管理業者は13年連続で減っている

まず、これは一部の管理会社の気まぐれではありません。構造的な問題です。

国土交通省が2025年6月に公表したデータによれば、マンション管理業者の登録数は2025年3月末時点で1,776社。前年から28社減り、13年連続の減少となりました(出典:国土交通省「マンション管理業者」)。

一方で、管理を委託したいマンション(管理組合)の数は増え続けています。分譲マンションのストックは全国で700万戸を超え、築古物件も年々積み上がっている。つまり、「頼みたい側」は増え、「引き受ける側」は減っている。需要と供給が逆転しているのです。

供給が足りなくなれば、供給する側が相手を選ぶようになる。これは経済の当たり前の帰結です。そして最初に選別の対象になるのが、手間の割に実入りの少ない小規模マンションでした。

小規模ほど「割に合わない」という現実

なぜ小規模から切られるのか。理由はコスト構造にあります。

30戸のマンションと100戸のマンションで、清掃や設備点検、フロント業務にかかる手間はそれほど変わりません。管理員を配置する手間も、理事会に出席する手間も、戸数に単純比例はしないのです。ところが管理会社が受け取る管理委託費は、おおむね戸数に比例します。

結果として、戸数が少ないマンションほど、1戸あたり・1㎡あたりの管理コストが割高になる。管理会社から見れば「同じ人手をかけても利益が薄い現場」ということになります。

私が現場でお付き合いのある管理組合でも、20戸台・30戸台の物件は、正直なところ管理会社の担当者の顔が半年に一度しか見えない、というところが少なくありません。人手が足りないから、採算の合う大規模物件に人が回される。小さいマンションほど後回しになる——これが今、全国で静かに起きていることです。

人手不足とカスハラ、そして法改正が背中を押した

もう一つ、現場を預かる者として見逃せない要因があります。担い手不足です。

管理員の高齢化が進み、募集をかけても応募が来ない。労働条件の厳しさもあって、現場に十分な人を配置できない。これは私たち工事会社の職人不足とまったく同じ構図で、建設・不動産管理の業界全体が抱える病です。

加えて2025年6月には、企業に対してカスタマーハラスメント対策を義務づける法律が成立しました。従業員を守る観点から、「クレームが過剰で継続が難しい現場からは撤退する」という判断を下す管理会社も出てきています。従業員を守るのは当然のことですが、その反射として「切られる」管理組合が生まれているわけです。

そして2026年4月には、改正マンション管理適正化法改正区分所有法が施行されました(参考:国土交通省「マンション管理」)。管理組合を守るための制度整備が進む一方で、管理会社にとっては対応コストが増える面もあり、「不採算物件からの撤退」に拍車がかかるのではないか、という見方が業界内で語られています。組合を守るはずの制度が、皮肉にも撤退を後押しする一因になり得る——ここは冷静に見ておくべきところです。


「管理難民」が大規模修繕にとって本当に怖い理由

管理会社に解約されること自体も大変ですが、私がもっと心配しているのは、その先にある大規模修繕です。管理難民の問題は、実は修繕の問題と一本の線でつながっています。

「丸投げ」が通用しなくなる

これまで多くのマンションでは、大規模修繕の段取りを管理会社に任せてきました。修繕時期の判断、業者選び、見積りの取りまとめ、工事中の窓口——その多くを管理会社が担ってきたのです。

ところが管理会社が薄く広くしか関われなくなる、あるいは撤退してしまうと、この「丸投げ」が成立しなくなります。修繕の主導権を、管理組合とオーナー自身が握らざるを得なくなる。準備不足のまま12〜15年に一度の大工事に臨むことになれば、判断を誤ってコストが膨らんだり、必要な工事を先送りして劣化を進行させてしまったりする危険があります。

私はいつも理事長さまに、「管理会社にお任せでも、修繕の中身だけはご自分の言葉で説明できるようにしておいてください」とお伝えしています。管理難民の時代には、この備えが効いてきます。

「談合」という、もう一つの落とし穴

主導権を握らなければならないのに、判断材料が乏しい。そこにつけ込まれるリスクもあります。

記憶に新しいところでは、2026年6月、公正取引委員会がマンション大規模修繕工事をめぐる談合を認定し、施工会社と設計コンサルタントあわせて約40社に排除措置命令を出す方針を固めた、という報道がありました。対象は関東のマンション大規模修繕で、施工会社36社と設計コンサルタント2社の計38社。工事業者には総額約16億円の課徴金納付命令が予定され、遅くとも2021年秋以降、見積り合わせで受注予定業者を事前に決めていたとされます。しかも、その調整の場に関わっていたのが、本来は中立であるべき設計コンサルタントだったというのです(出典:さくら事務所「マンション大規模修繕の談合、約40社に排除措置命令へ」)。

これは私にとって、現場20年で一番悔しいタイプの話です。管理組合は「専門家に任せておけば安心」と信じていた。ところがその専門家の中立性が崩れていた。管理会社にも十分頼れず、頼った相手にも足元を見られる——この二重の不安こそが、今の管理難民時代の本質だと私は考えています。

だからこそ、「誰かに任せきりにしない」体制づくりが、これまで以上に大切になっているのです。


管理会社に頼り切らないための、修繕の「自衛」5ステップ

では、具体的に何をすればいいのか。ここからが本題です。管理会社に切られても、あるいは切られる前でも、管理組合とオーナーが自分たちで修繕を守るための手順を、5つに整理します。

ステップ1:自分のマンションの「劣化の現在地」を知る

修繕の主導権を握る第一歩は、建物の状態を自分たちで把握することです。外壁のひび割れ、タイルの浮き、屋上防水の膨れ、鉄部のサビ——こうした劣化は、素人目にもある程度は見えます。

私がおすすめしているのは、年に一度、理事会メンバーで建物を一周する「点検散歩」です。専門的な打診調査(タイルを叩いて浮きを探す検査)まではできなくても、「去年より汚れが増えた」「あの継ぎ目から水が垂れた跡がある」といった変化に気づけるだけで、業者任せにしない目が育ちます。

管理会社が薄くしか関われないなら、その分を組合の「気づく力」で補う。これが出発点です。

ステップ2:長期修繕計画を「現実の数字」で見直す

次に、長期修繕計画(今後20〜30年の修繕時期と費用を見込んだ計画書)を開いてみてください。多くのマンションで、この計画が数年前の物価で作られたままになっています。

ご存じのとおり、ここ数年で建設資材も人件費も大きく上がりました。塗料も防水材も値上がりが続き、計画時の見積りと実際の相場が乖離しているケースは珍しくありません。計画上は「積立金で足りるはず」でも、いざ発注すると足りない——という事態が起きやすくなっています。

管理会社に任せきりだと、この見直しも後回しになりがちです。最新の相場観で計画を洗い直し、積立金の不足があるなら早めに手を打つ。値上げにせよ工法の工夫にせよ、選択肢は時間があるほど広がります。

ステップ3:見積りは「複数社・同じ条件」で取る

談合の話でも触れたとおり、1社だけの見積りを鵜呑みにするのは危険です。かならず複数社から、同じ工事範囲・同じ仕様で見積りを取ってください(これを「相見積り」といいます)。

このとき大事なのは、金額の安さだけで比べないことです。安いには安い理由が、高いには高い理由があります。使う塗料のグレード、防水の工法、足場の有無、保証年数——条件を揃えて初めて、金額の差が意味を持ちます。

私はお客さまに、「見積書は金額の欄より、仕様の欄をじっくり読んでください」とお願いしています。数字だけを見比べても、本当に比較したことにはならないからです。

ステップ4:発注方式のメリット・デメリットを理解する

大規模修繕の進め方には、大きく分けて2つの方式があります。ここは自分のマンションの規模に合わせて選ぶべきところです。

設計監理方式は、設計コンサルタントが仕様づくりと工事監理を担い、施工会社を分けて発注する方式です。透明性が高いとされる一方、今回の談合報道が示したように、コンサルタントの中立性が崩れると逆効果になります。また、コンサルタント費用が別途かかるため、小規模マンションには負担が重くなりがちです。

責任施工方式は、調査から設計、施工までを一つの施工会社に任せる方式です。窓口が一本化されて話が早く、コンサルタント費用が不要な分、小規模物件では総額を抑えやすいという利点があります。ただし、施工会社の力量と誠実さに結果が左右されるため、信頼できる会社を見極める目が前提になります(参考:国土交通省 マンション管理関連情報)。

どちらが正解ということはありません。ただ、管理会社に頼りきれない小規模マンションほど、責任施工方式が現実的な選択肢になりやすい、というのが私の実感です。大切なのは、両方の長所と短所を理事会が理解したうえで選ぶことです。

ステップ5:工法の選択肢を「発注前に」持っておく

そして、私が一番お伝えしたいのがこれです。工事のコストは、工法の選び方で大きく変わります。

大規模修繕というと、多くの方が「建物全体に足場を組む」ことを当たり前だと思っています。たしかに足場は万能で、複雑な形状の建物や、全面的にじっくり作業したい場合には欠かせません。ただ、足場の設置と解体には、工事費全体の2割前後がかかるとも言われます。ここは見過ごせないコストです。

そこで選択肢になるのが、ロープアクセス工法です。産業用ロープを使い、足場を架けずに高所を作業する工法で、足場費を抑えられ、工期も短くなりやすい。何より、足場で建物を覆わないぶん、住んでいる方・使っている方の生活への影響が小さくて済みます。窓が塞がれない、防犯面の不安が減る、日当たりが確保される——居住者にとってのメリットは小さくありません。

もちろん、ロープアクセスが万能というわけではありません。大きな面をまとめて塗る作業や、足場が必要な部位もあります。だからこそ私は、足場とロープアクセスを部位ごとに使い分ける「ハイブリッド工法」を、必ずワンセットで検討するようにしています。ベランダ側は足場、外周のシンプルな壁面はロープアクセス、というように組み合わせれば、品質を落とさずに総額を下げられる余地が生まれます。

管理会社に頼れない時代だからこそ、「足場一択」ではなく、複数の工法から自分の建物に最適なものを選ぶという発想を、発注の前に持っておいていただきたいのです。

弊社では、ロープアクセス工法と足場仮設の両方を自社で扱い、建物ごとにどの工法が最適かをご提案しています。大規模修繕工事の総合的なご相談にも応じていますので、「そもそもうちは足場が要るのか要らないのか」という段階からでも、遠慮なくお声がけください。


もし管理会社から「更新しません」と言われたら——最初の90日でやること

ここまでは「切られる前の備え」の話でしたが、すでに更新拒否や解約の通告を受けてしまった管理組合もあるでしょう。その場合に、私が理事長さまにお伝えしている「最初の90日」の動き方を整理しておきます。慌てて動くと足元を見られますが、順序立てて動けば、必ず道はあります。

最初の30日:事実確認と引き継ぎ資料の確保

まずやるべきは、感情的に反発することではなく、事実の確認です。契約書を開いて、解約の予告期間(多くは3〜6か月前)と、次の管理者へ引き継ぐべき書類の範囲を確認してください。

このとき何より大切なのが、管理に関する書類・データの確保です。長期修繕計画書、過去の修繕履歴、設計図書、点検記録、修繕積立金の会計帳簿——これらは管理組合の財産であり、次の体制に移るための命綱です。私は「解約を告げられたら、まず紙とデータを全部こちらの手元に集めてください」とお願いしています。ここが抜けると、次の見積りも計画も組み直しになってしまうからです。

31〜60日:自主管理か、新しい管理会社か

次に、これからの体制を決めます。大きく分けて、自主管理(管理組合が自分たちで運営する)か、新しい管理会社を探す(リプレイス)かの二択です。

小規模マンションほど、この判断は悩ましいところです。新しい管理会社を探しても、同じ理由で断られたり、委託費が大幅に上がったりすることが珍しくありません。一方で、清掃や点検などの業務を個別の専門業者に切り分けて発注し、会計や総会運営だけをマンション管理士などの専門家に部分委託する「一部委託型の自主管理」で、むしろコストを下げている組合もあります。

正解は物件ごとに違います。ただ、どちらを選ぶにせよ、「大規模修繕をどう進めるか」だけは、この段階で切り離して考えておくことをおすすめします。管理体制が固まるのを待っていると、肝心の修繕が何年も先送りされ、その間に劣化が進んでしまうからです。

61〜90日:修繕の“単独ライン”を確保しておく

管理体制の移行と並行して、修繕については独立した相談ラインを持っておくと安心です。管理会社が薄くなっても、劣化は待ってくれません。

私のところにも、「管理会社が変わる過渡期で、修繕の話が完全に止まってしまった」というご相談がよく来ます。そういうとき私は、まず建物を見せていただき、「これは急ぐ工事か、数年待てる工事か」を切り分けます。雨漏りや鉄部の激しい腐食のように待てないものだけ先に手を打ち、全面的な大規模修繕は体制が落ち着いてから——という段取りにすれば、混乱期でも建物を守れます。

管理難民の時期こそ、「修繕だけは止めない」。これが資産価値を守る要だと、私は考えています。

工法で何が変わるのか——生活影響とコストの早見表

「工法を選ぶ」と言われても、素人にはイメージがわきにくいものです。そこで、足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3つが、コストと生活にどう影響するかを、私の現場感覚で早見表にまとめました。あくまで一般的な傾向で、実際は建物の形状や劣化状況で変わりますが、判断の入り口としてお使いください。

比較項目 通常足場工法 ロープアクセス工法(無足場) ハイブリッド工法
仮設コスト 高い(工事費の2割前後) 大幅に抑えられる 部位を絞るため中間
工期 長め 短くなりやすい 中間
生活への影響 建物を覆い、窓が塞がれやすい 影響が小さい 部位により差
防犯面 足場からの侵入リスクに注意 リスクが小さい 部位により差
向く建物 複雑形状・全面的な作業 高層・足場架設が難しい物件 大規模・部位ごとに条件が違う物件
注意点 費用と工期がかさみやすい 大面積の一括作業には不向きな面も どの部位をどちらで施工するか設計が要

この表で一番お伝えしたいのは、「足場が悪い・ロープが良い」という単純な話ではないということです。複雑な形状で全面をじっくり直したい建物なら、足場が最適解になることもあります。逆に、シンプルな四角い建物で、住民の生活影響を抑えたいなら、ロープアクセスやハイブリッドが効いてきます。

大切なのは、発注する前に、この3つを同じ土俵で比較できる会社に相談することです。1つの工法しか扱っていない会社に相談すれば、当然その工法の見積りしか出てきません。私たちが3つの工法を自社で持っていることにこだわるのは、まさにこの「比較して選べる」状態を、お客さまにお渡ししたいからです。

よくある質問(管理難民と大規模修繕)

最後に、実際に理事会や個別相談でよく受ける質問を、いくつかお答えの形でまとめておきます。

Q. 管理会社に切られたら、大規模修繕はもうできないのでしょうか。
いいえ、できます。大規模修繕は、管理会社を通さずに、管理組合が直接、施工会社に相談・発注することも可能です。むしろ「責任施工方式」で施工会社に一本化すれば、窓口はシンプルになります。管理会社の有無と、修繕ができるかどうかは、別の問題だとお考えください。

Q. 小規模マンションだと、工事も割高になりますか。
戸数が少ないと1戸あたりの負担が大きく見えるのは事実です。ただ、そこで効いてくるのが工法の工夫です。足場費を抑えられるロープアクセスやハイブリッドは、総額を圧縮できる分、小規模物件ほど1戸あたりの効果が体感しやすい、という面もあります。まずは工法込みで概算を出してみることをおすすめします。

Q. 相見積りは何社くらい取ればいいですか。
一般的には3社程度が目安とされます。大切なのは社数よりも、同じ工事範囲・同じ仕様で揃えて比較することです。条件がバラバラの見積りを何枚集めても、正しい比較にはなりません。

Q. 談合のニュースを見て不安です。どう身を守ればいいですか。
「専門家に任せておけば安心」という発想を、少しだけ疑うことです。中立であるはずの立場が崩れる可能性があると知ったうえで、複数社から仕様を揃えて見積りを取り、金額の根拠を説明できる会社を選ぶ。この基本を徹底するだけで、リスクはかなり下げられます。

Q. まだ管理会社に切られていませんが、今から準備すべきですか。
はい、切られる前こそ動きどきです。管理会社が元気なうちに、長期修繕計画を最新の数字で見直し、工法の選択肢を知っておく。この準備があれば、万が一体制が変わっても、修繕で慌てずに済みます。

戸あたりで考えると、判断はもっとシンプルになる

ここまで制度や工法の話をしてきましたが、最後に、理事会で判断するときの「ものさし」を一つお渡しします。それは、すべてを戸あたりで考えるということです。

たとえば、ある工事で全体の見積りが100万円下がったとします。総額だと大きな数字に見えますが、40戸のマンションなら1戸あたり2万5千円、20戸なら5万円です。逆に、足場費を削れずに総額が膨らめば、その負担も戸あたりで全員にのしかかります。

管理会社に任せきりだった時代は、こうした数字を「自分の財布の話」として実感する機会が少なかったかもしれません。けれど、これからは違います。管理難民の時代には、理事会の一人ひとりが「これは自分の家計にいくら響く話か」を体感として持つことが、いい判断につながります。

私はいつも、見積書を戸あたりに割り戻してお見せするようにしています。「総額300万円の差」より「1戸あたり月々いくらの積立で吸収できる差」のほうが、皆さん腹落ちが早いからです。数字を体感に変える——これは管理会社の手が薄くなるほど、組合自身が身につけるべき力だと思います。


まとめ:切られる時代は、選べる時代でもある

管理会社に切られるかもしれない、という不安は、決して小さくありません。頼れる相手が減っていくのは事実です。管理業者は13年連続で減り、人手不足も法改正も、その流れを後押ししています。

ただ、私はこの状況を、悲観だけで語りたくはありません。管理会社に「切られる」時代は、裏を返せば、管理組合とオーナーが自分の建物のことを、自分の頭で選べるようになる時代でもあるからです。劣化の現在地を知り、計画を現実の数字で見直し、相見積りを取り、発注方式を理解し、工法の選択肢を持つ。この5つを備えておけば、たとえ管理会社が薄くなっても、修繕でつまずくことはぐっと減ります。

そして工法の選択は、その中でも一番、コストと住み心地に直結する部分です。足場か、ロープアクセスか、その組み合わせか。ここを発注前に検討できるかどうかで、同じ建物でも結果は変わります。

これは私が現場で20年見てきた、嘘偽りのない感想です。管理会社の動きに不安を感じたら、あるいは次の大規模修繕が5年以内に控えているなら、お問合せフォームからご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の、工法や概算の整理だけでも、お力になれることがあります。次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。


出典・参考資料

本記事は2026年7月20日時点の公開情報にもとづきます。制度・補助金・法令の内容は変更される場合がありますので、実際のご検討にあたっては各機関の最新の一次情報をご確認ください。