大規模修繕はロープアクセスが提案可能な東京の明誠へ

創業から6000棟超の施工実績

修繕積立金が10年で5割増、それでも足りない——「住民格差」で大規模修繕が止まる前に。収益物件オーナーと管理組合がいま打つべき手【2026年6月】

修繕積立金が10年で5割増、それでも足りない——「住民格差」で大規模修繕が止まる前に。収益物件オーナーと管理組合がいま打つべき手【2026年6月】

修繕積立金が10年で5割増、それでも足りない——「住民格差」で大規模修繕が止まる前に。収益物件オーナーと管理組合がいま打つべき手【2026年6月】

先日、ある管理組合の理事長さまから、こんなご相談をいただきました。「毎月きちんと積み立ててきたつもりなのに、二回目の大規模修繕の見積もりを取ったら、積立金がまるで足りない。住民から一時金を集めるしかないと言われて、頭を抱えている」——。

これは、決して珍しい話ではありません。むしろ、いま全国のマンションで静かに進行している「共通の悩み」です。

ちょうどこの数日、分譲マンションの修繕積立金がこの10年で平均5割も上がったにもかかわらず、それでも修繕費が足りず、高額な一時金が請求されるケースがあるというニュースが出ていました。さらに深刻なのは、その負担をめぐって住民の間に温度差が生まれ、合意がまとまらずに大規模修繕そのものが止まってしまうという現象です。

今日は、このニュースの中身を整理したうえで、収益物件をお持ちのオーナーさま、そしてマンションの管理組合の理事長さま・修繕委員のみなさまが、「積立金が足りない」という壁にぶつかったとき、どう判断し、何から手を付ければいいのかを、現場の目線でお話しします。読み終えたときに「うちの管理組合でも、一度この観点で点検してみよう」と思っていただけたら幸いです。


まず何が起きているのか——「10年で5割増、それでも足りない」というニュースの中身

報じられたのは「積立金不足が修繕を止める」という現実

きっかけは、弁護士JPニュースが報じた一本の記事です。分譲マンションの修繕積立金は10年間で平均5割ほど負担が増えているにもかかわらず、それでも費用が足りず、住民に高額な一時金が請求されるケースがあるという内容でした。そして、その負担をめぐって入居時の一体感が薄れ、住民間の「格差」から合意形成が難しくなり、修繕が前に進まなくなる、という構図が描かれていました(出典:弁護士JPニュース「分譲マンション『修繕積立金』10年間で平均5割“負担増” それでも費用が足りず高額な一時金請求も」2026年6月)。

私がこの記事を読んで「これは多くの方に知っておいてほしい」と思ったのは、問題が「お金が足りない」だけにとどまっていないからです。お金の不足が、人間関係の対立を生み、その対立が建物の劣化を放置させる——この負の連鎖こそが、いちばん怖いところなのです。

国の数字でも「5割増」は裏付けられている

「5割増」という数字は、感覚論ではありません。国土交通省のデータでも、分譲マンションで必要とされる修繕積立金の平均は、2011年度の一戸あたり月額1万4,210円から、2021年度には月額2万1,420円へと、10年で約5割上昇しています。

つまり、住民のみなさんは「払う額」をきちんと増やしてきたのです。それでも足りない。ここに、この問題の根の深さがあります。値上げが足りなかったというより、そもそも当初の積立計画が低く設定されすぎていたことと、近年の資材高騰が重なった結果なのです。

実際、国の調査では、現在の積立額が長期修繕計画に対して不足しているマンションは全体の約36.6%にのぼると報告されています(出典:国土交通省「令和5年度マンション総合調査の結果について」)。およそ3棟に1棟が、計画どおりにはお金が貯まっていない計算です。


なぜ足りなくなるのか——「段階増額方式」という仕組みのカラクリ

新築の約99%が「最初は安く、あとから上げる」方式

ここで、多くのオーナーさま・理事長さまに知っておいていただきたいのが、修繕積立金の「集め方」には二つの方式があるということです。

一つは「均等積立方式」。これは、長期修繕計画の全期間で必要なお金を、最初からならして毎月一定額で集めていく方式です。家計でいえば、毎月決まった額を貯金箱に入れていくイメージで、見通しが立てやすいのが利点です。

もう一つが「段階増額積立方式」。こちらは、販売時は積立金を低めに設定しておき、5年・10年といった節目ごとに段階的に引き上げていく方式です。新築マンションの長期修繕計画の約99%がこの段階増額方式を採用している、というのが実態です。

なぜ新築でこの方式が多いのか。正直に申し上げます。販売時の月々の負担を少しでも軽く見せたほうが、マンションは売りやすいからです。これは販売側の事情であって、住民のためというより、売り手のための設定になりがちな構造があるのです。

「上げます」と決めても、住民の合意がいる

段階増額方式の落とし穴は、「あとから上げる」ことが計画書に書いてあっても、実際の値上げには総会での合意が必要だという点です。最初に安く設定された月々の負担に慣れた住民にとって、「来月から積立金を1.5倍にします」という提案は、なかなか受け入れがたいものです。

その結果、値上げの議案が否決されたり、先送りされたりして、計画よりも積み立てが進まない。気づいたときには、大規模修繕の直前になって「数十万円から百万円規模の一時金をお願いします」という事態になってしまう。これが、冒頭の理事長さまが直面したことの正体です。

令和6年改定で「上げ幅のルール」ができた

この問題を重く見て、国土交通省は令和6年6月、「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を改定しました(出典:国土交通省「『長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント』及び『マンションの修繕積立金に関するガイドライン』の改定について」令和6年6月)。

改定の目玉は、段階増額方式における「適切な引き上げの考え方」が示されたことです。具体的には、段階増額方式の月あたり徴収額について、均等積立方式とした場合の金額を基準額としたとき、計画の初期額は基準額の0.6倍以上、最終額は1.1倍以内にとどめるべき、という目安が新たに盛り込まれました。

平たく言えば、「最初を極端に安くして、あとで急激に跳ね上げるようなやり方は、もうやめましょう」という国からのメッセージです。これからマンションを買うオーナーさまにとっては、この比率を逸脱した計画は要注意という判断材料になります。


あなたのマンションは大丈夫か——ガイドラインの「目安額」で自己診断する

「うちの積立金は、足りているのか、足りていないのか」。これを判断する手がかりが、令和6年6月改定の修繕積立金ガイドラインに示された専有面積あたりの目安額です(出典:国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン(令和6年6月改定)」)。

ガイドラインは、実際に作成された長期修繕計画の事例を集め、その「平均値」を専有面積1㎡あたりの月額で示しています。代表的な目安は次のとおりです。

建物の規模(地上階数/建築延床面積) 月額の目安(平均値の例)
20階未満/建築延床5,000㎡未満 約335円/㎡・月
20階未満/建築延床5,000〜10,000㎡未満 約252円/㎡・月
20階未満/建築延床10,000㎡以上 約271円/㎡・月
20階以上(タワー型など) 別途の目安(一般に高め)

※上記は全国の事例から算出された参考値です。実際の必要額は、建物の形状・立地・仕様・これまでの修繕履歴によって大きく変わります。正確な判断は専門家による長期修繕計画の見直しが前提です。

たとえば、専有面積70㎡・建築延床8,000㎡規模のマンションなら、「252円 × 70㎡ = 月額約1万7,640円」が一つの目安になります。ご自宅やお持ちの収益物件の積立金が、この水準を大きく下回っていないか。まずはここを確認してみてください。下回っているなら、いま足りていても、いずれ不足する可能性が高いというサインです。

ただし、ここで一つ申し添えたいことがあります。この目安額は、あくまで「これまでの相場」を集計したものです。ここ数年の資材・人件費の高騰は、まだ十分には織り込まれていない可能性があります。つまり、目安どおりに積み立てていても、これから工事をすると「目安では足りなかった」ということが起こり得る。だからこそ、次にお話しする「工事費そのものを下げる」という発想が効いてくるのです。


「一時金か、借入か」——足りないと分かったときの3つの選択肢と落とし穴

積立金の不足が判明したとき、管理組合が取り得る道は、大きく分けて三つです。それぞれにメリットと落とし穴があります。

選択肢1:一時金を徴収する。
最も直接的な方法ですが、冒頭の事例のとおり、住民間の合意形成が最大の壁になります。現金に余裕のある住民とそうでない住民、住んでいる区分所有者と賃貸に出しているオーナー、終の棲家と考える高齢世帯と将来売却を考える若い世帯——立場が違えば、一時金への賛否は割れます。ここで対立が深まると、修繕そのものが止まります。

選択肢2:金融機関から借り入れる。
住宅金融支援機構などの「マンション共用部分リフォーム融資」を使う方法です。一時金の重さを将来に分散できる利点がありますが、当然ながら利息という追加コストが発生します。借入には総会の特別決議が必要なことも多く、ここでも合意のハードルは残ります。

選択肢3:積立金を計画的に増額する。
本来あるべき正攻法ですが、すでに工事が目前に迫っている場合には間に合いません。早く気づけば気づくほど選べる選択肢だと言えます。

なお、いずれの選択肢にも共通するのが「住民の合意」という関門です。マンションの大規模修繕や借入、修繕積立金の変更は、区分所有法や管理規約に基づいて、総会での決議が必要になります。普通決議で足りる事項もあれば、特別決議(おおむね組合員および議決権の各4分の3以上の賛成)が求められる事項もあります。つまり、いくら理事会が「これがベストだ」と考えても、住民の理解を得られなければ前に進みません。だからこそ、住民が納得しやすい「負担の軽い案」を用意できるかどうかが、合意形成の成否を大きく左右します。負担が軽ければ軽いほど、反対する理由は減っていくからです。

私は、この三つはどれも「お金の集め方」をいじる話にすぎない、という点に注意していただきたいと思っています。どの道を選んでも、支払う総額(=工事費)そのものは変わりません。住民の負担を本当に軽くしたいなら、集め方だけでなく、工事費そのものを下げるという、もう一つの軸を持つことが大切なのです。


私が現場で最も効くと感じる一手——「工法の見直し」で修繕費そのものを下げる

大規模修繕費の中で、意外と大きい「足場費」という固定費

ここからは、私たちが日々現場で向き合っている「工事費の中身」の話です。

マンションの大規模修繕というと、塗装や防水、タイルの補修といった「仕上げ」に目が行きがちです。ですが、実は工事費のなかで無視できない割合を占めるのが、足場の仮設費用です。建物の周囲にぐるりと足場を組み、工事が終わったら解体して撤去する。この足場代だけで、工事全体のおおよそ2割前後を占めることも珍しくありません(建物の形状や規模によって変動します)。

しかも足場は、「修繕した成果」として建物に残るものではありません。工事のために一時的に必要なだけの、いわば“消えていく費用”です。ここに修繕積立金の少なくない部分が吸い込まれている、という事実は、もっと知られてよいと私は考えています。

足場を組まない「ロープアクセス工法」という選択肢

そこで近年、注目が高まっているのが、足場を組まずに作業員がロープで建物外壁を昇降しながら施工する「ロープアクセス工法(無足場工法)」です。ビルの窓ガラス清掃で、上からロープで降りてくる作業を見たことがあるかもしれません。あの技術を、塗装・防水・タイル補修・シーリング打ち替えといった修繕工事に応用したものです。

ロープアクセス工法には、修繕積立金の不足に悩む管理組合にとって、見逃せない利点があります。

比較項目 通常の足場工法 ロープアクセス工法(無足場) ハイブリッド工法
足場の仮設・解体費 必要(工事費の約2割前後) 不要 必要な部位のみ
工期 長め(足場の組立・解体に日数) 短縮しやすい 中間
居住者の生活影響 窓周りが覆われ採光・防犯面の不安 影響が小さい 部位により異なる
防犯面 足場が侵入経路になるリスク リスクが低い 部位により異なる
適する建物 中低層・複雑な形状 高層・足場架設が難しい物件 大規模・複雑物件の総合最適

足場費がまるごと不要になれば、その分だけ工事費が下がり、結果として一時金の額を圧縮したり、借入を回避できたりする可能性が出てきます。これは「集め方」をいじる三つの選択肢とは、まったく次元の違うアプローチです。

「全部ロープ」でも「全部足場」でもない——ハイブリッドという発想

ただし、ここは正直にお伝えしなければなりません。ロープアクセス工法が万能というわけではありません。 大規模な打ち替えや、足場がないと品質・安全を確保しにくい部位もあります。低層で形状が複雑な建物では、足場を組んだほうが結果的に合理的なこともあります。

だからこそ私たちは、「足場かロープか」の二択ではなく、建物の部位ごとに最適な工法を組み合わせる「ハイブリッド工法」を基本に考えています。手の届きにくい高層部や、足場架設が難しい面はロープアクセスで、足場が必要な部位は足場で。こうして全体の総コストを最適化するのです。

通常足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3つの工法から、建物にとって本当にベストな組み合わせを提案できる会社は、日本でもまだ多くありません。私たちが大切にしているのは、「自社が得意な工法に当てはめる」のではなく、「その建物にとっていちばん無駄のない工法を選ぶ」という姿勢です。

「百万円」を住民一人あたりに換算してみる

数字を体感に落とし込んでみましょう。仮に、総戸数50戸のマンションで、工法の見直しによって工事費全体を800万円圧縮できたとします。これを単純に戸数で割れば、一戸あたり16万円の負担軽減です。一時金として「一戸あたり50万円お願いします」と言われていたのが「34万円で済みます」となれば、合意形成のハードルはぐっと下がります。

金額の大小もさることながら、私が現場で実感するのは、「負担が減る」という事実そのものが、住民の対立をやわらげるということです。お金の話で人間関係がこじれるのを防ぐためにも、まず工事費を下げる努力をする。これは、技術の問題であると同時に、コミュニティを守る問題でもあるのです。


収益物件オーナーにとっての「修繕積立金問題」——利回りを守る視点

ここまでは管理組合の理事長さま・修繕委員のみなさまを主な読者として想定してお話ししてきました。ですが、この問題は区分マンションを賃貸に出している収益物件オーナーにとっても、決して他人事ではありません。むしろ、立場が違うぶん、別の難しさがあります。

賃貸に出しているオーナーは、その住戸に自分が住んでいるわけではありません。それでも、修繕積立金は所有者として支払う義務があり、一時金の請求が来れば、当然オーナーが負担します。家賃収入から見れば、これは利回りを直撃する想定外の支出です。たとえば年間の家賃収入が120万円の住戸で、50万円の一時金を求められれば、その年の手残りはほぼ吹き飛びます。

さらに悩ましいのが、総会での意思決定です。賃貸に出しているオーナーは総会に足を運びにくく、気づいたときには値上げや一時金が決まっていたということが起こりがちです。私がお伝えしたいのは、収益物件のオーナーこそ、「他人任せにしない」姿勢が利回りを守るということです。委任状を出して終わりにせず、長期修繕計画と積立金の水準にだけは目を通しておく。それだけで、突然の一時金に慌てる確率はぐっと下がります。

そして、もしオーナーとして修繕委員や理事に関わる機会があるなら、ぜひ「工法の見直し」を議題に出してみてください。工事費が下がれば、それは管理組合全体の利益であると同時に、オーナー自身の利回りを守ることに直結します。コスト感覚を持った所有者が一人いるだけで、管理組合の議論は驚くほど現実的になります。これは、私が数多くの現場でお手伝いしてきた中での、率直な実感です。


制度を味方につける——管理計画認定制度と長寿命化促進税制

工事費を下げるのと並行して、ぜひ活用していただきたいのが、国や自治体の制度です。

一つが、「マンション管理計画認定制度」です。これは、修繕積立金の積立てや長期修繕計画の作成など、管理状況が一定の基準を満たすマンションを、自治体が「適切に管理されている」と認定する仕組みです(出典:国土交通省「住宅:管理計画認定制度」)。

認定を受けるメリットは、主に次のようなものです。市場で「管理が行き届いたマンション」として評価されやすくなること。修繕積立金の運用に使える「マンションすまい・る債」の利率の上乗せを受けられること。そして、2023年度の税制改正で創設された「マンション長寿命化促進税制」(一定の要件を満たす大規模修繕工事を行ったマンションへの固定資産税の特例措置)の対象となり得ること、などです。

自治体の動きも進んでいます。たとえば神戸市では、令和4年9月から管理計画認定制度の受付が始まり、認定の前提としてマンションの「管理状況の届出」を求める運用がとられています(出典:神戸市「マンション管理計画認定制度」)。こうした「管理状況を行政に届け出る」流れは、今後ほかの自治体にも広がっていくと見られます。お住まいの、あるいは収益物件のある自治体の制度を、一度確認しておくことをおすすめします。

なお、これらの制度の要件・上限額・期限は年度や自治体によって変わります。「予算枠に達した時点で締め切られる」補助制度もあるため、検討される際は各制度の公募要領や自治体の最新の案内をご確認のうえで進めてください。


今日からの「次の一歩」——まず3つだけ点検してください

長くなりましたので、読み終えてすぐに動けるよう、要点を整理します。

第一に、自分のマンションの積立方式を確認すること。長期修繕計画書を開いて、「均等積立方式」か「段階増額方式」かを見てください。段階増額方式なら、将来の値上げが本当に計画どおり実行されているか、要チェックです。

第二に、ガイドラインの目安額と、いまの積立額を比べること。専有面積あたりの月額が目安を大きく下回っているなら、いずれ不足するサインです。

第三に、次の大規模修繕の見積もりを取るときに、工法の選択肢を比較すること。「足場ありき」で一社だけに見積もりを取るのではなく、ロープアクセスやハイブリッドを含めて、複数の工法で比べてみてください。ここで工事費が変われば、一時金や借入の話そのものが不要になることもあります。

この三つは、専門家でなくても、理事会や修繕委員会で今日から話題にできることです。


よくあるご質問(修繕積立金と大規模修繕)

最後に、現場でよくいただくご質問にお答えしておきます。

Q. 修繕積立金が不足していると、すぐに大規模修繕はできないのでしょうか。
A. そんなことはありません。不足が判明しても、借入の活用、工事範囲の優先順位づけ、そして工法の見直しによる工事費の圧縮など、打てる手はいくつもあります。大切なのは、足りないと分かった時点で早めに専門家に相談し、選べる選択肢が多いうちに動くことです。先送りするほど、劣化が進んで工事費が膨らみ、選択肢が狭まっていきます。

Q. ロープアクセス工法は、足場工法より品質が劣るのではないですか。
A. 工法によって品質が決まるわけではなく、施工する職人の技術と管理体制で決まる、というのが私の考えです。ロープアクセスは、技能を認定された作業員が間近で外壁に向き合うため、むしろ細部の状態を目視しやすいという面もあります。一方で、足場が向く部位があるのも事実です。だからこそ、部位ごとに最適な工法を組み合わせるハイブリッドの発想が活きてきます。

Q. 工法を見直すと、本当にどのくらい費用が下がるのですか。
A. 建物の高さ・形状・劣化状況によって幅があるため、一律に「何割下がる」とは申し上げられません。足場費は工事費の2割前後を占めることが多く、その全部または一部が圧縮できれば、相応のコスト効果が見込めます。正確な金額は、建物を実際に診断したうえでお出しするお見積もりでご確認いただくのが確実です。

Q. 自分のマンションの積立金が適正か、どこに相談すればいいですか。
A. まずは管理会社や、利害関係のない第三者の専門業者に、長期修繕計画と積立金水準の点検を依頼するのが第一歩です。複数の意見(セカンドオピニオン)を取ることで、提示された計画が妥当かどうかを冷静に判断できます。私たちも、こうした点検のご相談を承っています。


大規模修繕の「工法」と「費用」のご相談について(自社サービスのご案内)

ここからは、私たちのサービスのご案内です。押し売りをするつもりはありません。ただ、「うちの積立金で、本当にこの工事ができるのか」「足場を組まずに費用を下げられないか」と迷っておられるなら、判断材料を一緒に整理するお手伝いはできます。

私たちは、マンション・ビル・ホテルの大規模修繕を、通常の足場工法・ロープアクセス工法(無足場)・両者を組み合わせたハイブリッド工法の3つから、建物にとって最適な形でご提案しています。ロープアクセス工法については、塗装・防水・タイル・電気・看板など各分野の専門職が加盟するロープアクセス工事のフランチャイズを展開し、高品質と低価格の両立をめざしています。

「まず自分のマンションの状態を知りたい」という方には、建物診断・長期修繕計画の見直しのご相談から承っています。具体的なお見積もりやセカンドオピニオンのご依頼は、お問い合わせ窓口よりお気軽にどうぞ。相談だけでも構いません。

あわせて、資材高騰やサプライチェーンの動きについては、これまでの記事もご参考になさってください(資材高騰と工事中断リスクを工法選択でどう守るか今夏の大規模修繕に省エネ改修と補助金をどう組み込むか)。


修繕積立金が足りない、という現実は、決して恥ずかしいことでも、誰かの怠慢でもありません。多くは、新築時の設定と、その後の資材高騰という、住民の力では避けにくい事情が重なった結果です。大事なのは、足りないと分かったときに、「集め方」だけでなく「かかり方」にも手を入れられると知っておくことだと、私は思います。

今回ご紹介したニュースは、決して特別なマンションだけの話ではありません。築年数を重ねたすべての建物が、いつか必ず向き合うテーマです。だからこそ、まだ余裕のある今のうちに、長期修繕計画と積立金、そして工法の選択肢を一度きちんと点検していただきたいのです。早めに手を打てば打つほど、選べる道は広く、住民の負担は軽く済みます。

お金の話は、ときに住民同士の関係をぎくしゃくさせます。だからこそ、対立が深まる前に、工事費そのものを一円でも下げる工夫をする。それが、建物の資産価値を守るだけでなく、そこに暮らす人たちの穏やかな関係を守ることにもつながると、私は現場で何度も感じてきました。みなさまのマンションが、次の大規模修繕を気持ちよく乗り越えられるよう、心から願っています。