大規模修繕はロープアクセスが提案可能な東京の明誠へ

創業から6000棟超の施工実績

ホテル大規模修繕の費用相場|1室あたり年13〜62万円

ホテル大規模修繕の費用相場|1室あたり年13〜62万円

この記事で答える質問:ホテルの大規模修繕は、1室あたり年いくら積んでおけばよいのか?

2026年9月3日 更新/執筆:株式会社明誠 代表取締役 本間幸紘(大規模修繕・ロープアクセス工法 実務20年)

先日、業界メディアで「ホテルの資本的支出は1室あたり年13万〜62万円」という見出しを見かけました。ホテルREIT5社のIR開示(投資家向けの情報開示資料)を集計した記事です(出典:ホテルバンク「ホテルの資本的支出は1室あたり年13万〜62万円 — REIT5社のIR開示で読む大規模修繕」)。

私はこの数字を見て、正直に申し上げて「ようやく比較できる物差しが出てきたな」と思いました。ホテルの大規模修繕は、これまで「1棟いくら」でしか語られてこなかったからです。1棟いくらでは、80室のビジネスホテルと400室のシティホテルを並べて考えることができません。

この記事では、この「1室あたり年○万円」という物差しをどう読み、自社のホテルの修繕予算にどう落とし込むかを、現場側の人間の視点で整理します。あわせて、多くのオーナー様が見落としている建築基準法第12条の外壁全面打診調査という法定コスト、そして営業を止めずに外壁を直すロープアクセス工法(無足場工法)という選択肢についても、数字を添えてお話しします。


結論:ホテル大規模修繕は「1室あたり年13万〜62万円」を出発点に置く

先に結論を書きます。

A. ホテルの大規模修繕・資本的支出(CAPEX)は、1室あたり年13万〜62万円のレンジで積み立てるのが、上場REITの開示から読み取れる実務水準です。

このレンジの幅がなぜ4倍以上も開くのか。理由はシンプルで、ホテルのグレードと、修繕を「客室内装まで含めるか」「建物躯体・外装に限るか」で中身がまるで違うからです。

区分 1室あたり年額の目安 主な内訳
下限側(年13万円前後) 13万〜20万円 LCC(長期修繕計画に基づく維持更新)中心。外壁・屋上防水・設備更新
中間帯 20万〜40万円 上記+客室内装の部分更新、共用部リフレッシュ
上限側(年62万円前後) 40万〜62万円 上記+バリューアップ工事(客室全面改装、ブランド転換)

私がオーナー様にいつもお伝えしているのは、「下限の13万円は、削れる下限ではなく、守らないと建物が傷む最低ライン」だということです。ここを削ると、5年後に倍返しになります。

B. そして、この積立額の中に「建築基準法第12条の外壁全面打診調査」の費用が入っていないケースが、私の体感で3割以上あります。

これは法律で決まっている調査です。入っていなければ、ある年に突然、想定外の支出として降ってきます。詳しくは後述します。


なぜ今、「1室あたり」という数字が注目されるのか

「1棟いくら」では投資判断ができない

私は20年近くこの業界にいますが、ホテルの修繕見積を「1室あたり」に割り戻して説明する会社は、正直まだ少数派です。

理由は単純で、足場を架けて外壁を直す工事は、客室数と比例しないからです。同じ100室でも、細長い10階建てと、平べったい4階建てでは、外壁の面積がまるで違います。だから施工側は「㎡いくら」で見積もる。オーナー様は「室いくら」で回収を考える。ここに翻訳のズレがずっとありました。

今回のREIT開示の集計は、そのズレを埋める試みとして意味があります。投資家目線の「1室あたり年○万円」と、施工目線の「外壁㎡あたり○円」を、同じテーブルに載せられるようになったということです。

稼働率は高いのに、工事が止まる

もうひとつの背景が、稼働率です。

観光庁の宿泊旅行統計調査によると、2025年(令和7年)の年間確定値で、客室稼働率は全体61.6%、施設タイプ別ではビジネスホテル75.3%、シティホテル74.1%、リゾートホテル56.9%、旅館38.2%、簡易宿所29.6%でした。延べ宿泊者数は6億6,111万人泊(前年比+0.3%)、うち外国人が1億7,992万人泊(前年比+9.4%)です(出典:観光庁「宿泊旅行統計調査(2026年4月・第2次速報、2026年5月・第1次速報及び2025年年間値(確定値))」)。

シティホテル74.1%という数字は、平たく言えば「4室のうち3室が毎晩埋まっている」状態です。ここで足場を架けて全館休館すれば、その間の売上はゼロになります。

一方で、直近の2026年5月の客室稼働率は全体60.6%、延べ宿泊者数5,339万人泊(前年同月比-4.8%)、外国人は1,382万人泊(同-13.4%)と、やや落ち着いた数字も出ています(同上)。なお観光庁は令和8年1月分調査から層化基準を「従業者数」から「客室数」へ変更しており、前年同月比の単純比較には注意が必要とされています。

つまり今は、「止めれば損失は大きいが、需要のピークは少し緩んでいる」という、修繕計画を練り直すには悪くないタイミングだと私は見ています。


ホテル大規模修繕の費用が読みにくい3つの理由

理由1:LCCとバリューアップが混ざっている

REITの開示でも、LCC(ライフサイクルコスト=建物を維持するために必要な計画的支出)バリューアップ工事(収益を上げるための攻めの投資)を分けて書く法人と、合算して書く法人があります。

この2つは性質がまったく違います。

区分 目的 止められるか 典型的な工事
LCC(維持) 建物を壊さないため 止められない(先送りは劣化を加速) 外壁補修、屋上防水、シーリング打替、設備更新
バリューアップ 収益を上げるため 市況次第で判断可能 客室内装刷新、ロビー改装、ブランド転換

私が理事会やオーナー会議で必ずお願いするのは、「まずこの2つを分けて紙に書きましょう」ということです。分けないまま「修繕費が高い」と議論すると、削ってはいけないLCCから削られてしまいます。

理由2:仮設費(足場代)が工事費を大きく押し上げる

外壁や屋上まわりの工事では、仮設足場費が工事費全体の15〜25%程度を占めるのが一般的です。100室クラスのホテルの外壁改修で総額1億円なら、1,500万〜2,500万円が「直接は何も直していない費用」ということになります。

しかもホテルの場合、足場を架けると次の3つが追加で発生します。

  1. エントランス・車寄せの動線変更(お客様の第一印象に直撃)
  2. 防犯・プライバシー対策(足場は上から客室内が見えます。ホテルでは致命的です)
  3. 景観シート・養生の追加(ブランドイメージ維持のため)

私の経験上、ホテルの足場工事では、この「足場の周辺費用」がマンションの1.3〜1.5倍になります。

理由3:営業を止めるコストが見積書に載らない

これが一番厄介です。

休館すれば、その期間の売上がまるごと消えます。しかしその逸失利益は工事見積書のどこにも書かれていません。だから工事費だけを見比べると、「安いから休館案でいこう」という判断になりがちです。

私はいつも、次の一行を電卓で叩いていただくようお願いしています。

客室数 × 平均客室単価(ADR) × 稼働率 × 休館日数 = 見積書に載っていない工事費

たとえば100室・ADR15,000円・稼働率74%のホテルが30日休館すると、単純計算で約3,330万円です。先ほどの足場代2,000万円より大きい。「足場代を削る」より「休館日数を削る」ほうが、金額インパクトは大きいことがあるわけです。


見落とされがちな法定コスト:建築基準法第12条の外壁全面打診調査

ここからが本題です。

ホテルは「特定建築物」として定期報告の対象

建築基準法第12条は、劇場・病院・ホテル・共同住宅・百貨店など、多数の人が利用する一定規模以上の建築物(特定建築物)の所有者・管理者に対し、有資格者(一級建築士・二級建築士・建築物調査員など)による定期的な調査と、特定行政庁への報告を義務づけています(出典:国土交通省「建築基準法に基づく定期報告制度について」)。

報告をしなかった場合や虚偽の報告をした場合、建築基準法第101条の規定により、100万円以下の罰金に処される可能性があります。

10年に一度、外壁の「全面打診調査」が必要になる

そして、多くのオーナー様が知らないのがこちらです。

平成20年(2008年)4月1日施行の改正により、定期調査報告の調査項目・方法・判定基準が国土交通省告示第282号で明確化されました。ここで、外壁等の落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分について、竣工・外壁改修等・全面打診等から10年を超えている場合には、次回の定期調査までに全面打診等による調査を行うことが求められています(出典:国土交通省「建築基準法第12条に基づく定期報告制度 ~見直しのポイント~」(PDF))。

打診調査とは、打診棒という道具で外壁のタイルやモルタルを叩き、音の違いで内部の浮き(剥離)を探す調査です。目視だけでは、浮いているタイルは見つかりません。叩かないと分からないのです。

ここで問題になるのが「どうやって外壁全面に手を届かせるか」です。方法は主に4つあります。

調査方法 概算コスト感 営業への影響 精度
足場を架けて打診 最も高い(仮設費が全額かかる) 大(1〜2か月)
ゴンドラ 中〜高(設置可否は屋上形状次第)
ロープアクセスによる打診 低〜中 小(客室単位の調整で済む)
赤外線調査(ドローン含む) 極小 条件依存(外気温・日射・仕上材に左右される)

私が申し上げたいのは、「10年に一度、外壁を全面的に叩く義務がある」なら、その機会を修繕工事と統合設計すべきだということです。調査で足場を架け、翌年に補修でまた足場を架けるのは、仮設費の二重払いです。

私が一番悔しい思いをするとき

現場で20年やってきて、私が一番悔しい思いをするのは、「調査だけのために足場を架けてしまった」あとに相談をいただくときです。

数年前、都内の12階建てホテルで、竣工から11年目に定期報告の指摘を受け、慌てて足場を架けて打診調査をされた案件がありました。調査で浮きが見つかり、補修工事のご相談をいただいたのは、足場を解体した3か月後です。

もしご相談が3か月早ければ、調査と補修を1回の仮設で回せた。私はそのとき「なぜもっと早くお会いできなかったか」と思いました。あのときの仮設費の二重払いは、正直に申し上げて、避けられたものでした。

だから今は、ホテルのオーナー様には「定期報告の年度は先に教えてください」と必ずお願いしています。


営業を止めずに外壁を直す:ロープアクセス工法という第3の答え

ロープアクセス工法とは

ロープアクセス工法(無足場工法)とは、産業用ロープと専用器具を使い、作業員が建物の屋上などから吊り下がって高所作業を行う工法です。足場を架けずに外壁の調査・補修・塗装・シーリング打替・防水などができます。

ロープアクセス工法の技術情報や安全基準の解説は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムに詳しくまとめています。工法の考え方をより深く知りたい方はそちらもご覧ください。

ホテルにロープアクセスが向いている4つの理由

  1. 営業を止めなくてよい:足場がないため、エントランス・車寄せの動線が変わりません
  2. プライバシーが守られる:足場のように常時人が外にいる状態になりません。作業する面・時間帯を客室の予約状況に合わせて調整できます
  3. 仮設費を圧縮できる:足場なし工法では、工事費の15〜25%を占める仮設足場費を大きく削減できます
  4. 部分施工がしやすい:「北面だけ」「10階以上だけ」といったピンポイント施工が現実的な費用で成立します

ただし、向かない場合もあります

正直に申し上げます。ロープアクセスは万能ではありません。

  • 屋上に確実な支点(アンカー)が取れない建物では採用できないことがあります
  • 外壁の劣化面積が広く、全面的な塗り替え・タイル貼り替えが必要な場合は、足場のほうが総額で安くなることがあります
  • バルコニーが深い、庇が大きく張り出しているなど複雑形状の部位は、ロープでは作業効率が落ちます

だからこそ私は、足場・ロープアクセス・両者を組み合わせたハイブリッド工法の3つを、必ずワンセットで比較提案するようにしています。

工法 向いているケース 注意点
通常足場工法 全面改修、複雑形状、低層 仮設費が大きい、営業影響が大
ロープアクセス工法(無足場) 部分補修、高層、営業継続が必須 屋上支点が必要、全面改修では割高になる場合も
ハイブリッド工法 低層部は足場・高層部はロープ等 設計段階での工区分けの精度が重要

株式会社明誠は、この3工法すべてを自社で提案できる、日本でも数少ない会社です。工法の詳細はロープアクセス工法のご紹介、大規模修繕の全体像は大規模修繕工事のご紹介、ホテル案件の考え方はホテルオーナー様向けサービスにまとめています。


ホテル大規模修繕の主な工事項目と、費用の考え方

「1室あたり年13万〜62万円」を自社に翻訳するには、その中身を分解しておく必要があります。ホテルの外装・躯体系で発生する主な工事を、周期と考え方の目安で整理しました。

工事項目 一般的な周期の目安 費用が動く主因 止められるか
外壁塗装・塗替え 12〜15年 外壁面積、下地の劣化度、仮設方法 先送りは劣化を加速
外壁タイル補修(浮き・剥落) 10年ごとに調査、随時補修 浮き面積、階数、通行人の有無 落下リスクがあり先送り不可
シーリング(目地)打替 10〜12年 目地の総延長、既存材の種類 漏水の起点になるため優先度高
屋上・バルコニー防水 12〜15年 面積、既存防水層の種類、下地含水 漏水後は客室損害に直結
鉄部(手摺・扉枠など)塗装 4〜6年 海沿い・幹線道路沿いは短周期化 見た目とサビ進行に直結
給排水管の更生・更新 20〜30年 配管方式、露出/隠蔽、稼働中施工の可否 漏水事故の主因
サッシ・窓まわり改修 20〜30年 遮音・断熱性能の要求水準 クレーム対応と直結

このうち、外壁塗装・タイル補修・シーリング打替・鉄部塗装の4項目は、ロープアクセス工法での施工が現実的に成立しやすい領域です。逆に給排水管の更生や屋上防水の全面やり替えは、ロープアクセスの守備範囲外です。

私はいつもオーナー様に、「ロープアクセスは万能の安い工法ではなく、外装の“面”の工事を安全に安く回すための道具です」とお伝えしています。道具の得意分野を外して使うと、かえって高くつきます。

「㎡単価」ではなく「室あたり換算」で見る訓練

もう一段、実務的な話をします。

たとえば100室・延べ床6,000㎡・外壁面積4,000㎡のホテルで、外壁塗装+シーリング打替を行うとします。仮に外壁関連の直接工事費が4,000万円だとすると、1室あたり40万円です。これを12年周期で割り戻すと、1室あたり年約3.3万円

同じ計算で、屋上防水・鉄部・共用部を積み上げていくと、「1室あたり年13万円」というLCCの下限がどこから来ているのかが見えてきます。この作業を一度やっておくと、次に業者から見積書が来たとき、高いか安いかが自分で判断できるようになります。

私が理事会やオーナー会議で「電卓を出してください」とお願いするのは、このためです。数字を人任せにすると、工法の議論も人任せになります。


築年数別|ホテルで今すぐ確認すべきポイント

ホテルは築年数によって、優先すべき論点が変わります。私が現地調査でまず見る順番を、そのまま書きます。

築年数 最優先で見るところ よくある落とし穴
築5〜10年 シーリングの硬化・ひび、屋上ドレン(排水口)の詰まり 「まだ新しい」と点検を飛ばし、10年目に一気に費用が出る
築10〜15年 外壁タイルの浮き、鉄部のサビ、初回の全面打診調査 定期報告の「全面打診10年超」に気づかず慌てて足場を架ける
築15〜25年 防水層の膨れ、サッシまわりの漏水、給排水管 客室内の漏水クレームが出てから外装を疑い始める
築25年〜 躯体のひび割れ、鉄筋の露出・爆裂、設備の全面更新 部分補修を繰り返し、総額が全面改修を超えている

築10〜15年のホテルが、いちばん取り返しがきく

私の経験上、築10〜15年のタイミングが、最も費用対効果が高いと感じています。

理由は3つあります。第一に、タイルの浮きがまだ「点」で済んでおり、面に広がっていないこと。第二に、シーリングの打替と外壁補修を1回の仮設でまとめられること。第三に、この時期ならロープアクセスによる部分施工で十分成立する劣化度合いであることが多いからです。

逆に、ここを見送って築20年を過ぎると、劣化が面に広がり、結局は足場を架けての全面改修になります。そうなると仮設費も休館期間も一気に膨らみます。「早く手を入れたほうが安い」というのは、精神論ではなく計算の話です。

ある地方都市のビジネスホテルでの話

数年前、地方都市の8階建て・98室のビジネスホテルで、外壁タイルの浮きについてご相談をいただきました。

支配人が最初におっしゃったのは「休館はできない」の一言でした。稼働率が高く、企業の出張需要で平日がほぼ埋まっている物件です。そこで私たちは、北面・東面・西面・南面を4工区に分け、各面ごとにロープアクセスで打診・補修を回す計画を組みました。作業する面の客室だけ、その期間は販売を止める。それ以外は通常営業です。

結果として、休館日はゼロ。販売停止した客室は、延べで全体の1割程度に収まりました。支配人からは「足場を組む前提の見積もりを見たときは、正直あきらめかけていた」と言っていただきました。

正直に申し上げますと、この案件は「屋上に確実な支点が取れた」という条件に助けられています。すべてのホテルで同じ結果になるわけではありません。だからこそ、まず現地を見る必要があります。


ホテルオーナー・支配人が今週できる4ステップ

難しい話をしてきましたが、明日からできることは意外とシンプルです。

ステップ1:直近の定期報告書を引っ張り出す

まず、建築基準法第12条の定期調査報告書を探してください。総務や施設担当の書棚にあるはずです。見るべきは1点だけ、「外壁全面打診等を最後に実施した年月」です。

これが10年以上前なら、次回の定期調査までに全面打診が必要になります。

ステップ2:CAPEXを「LCC」と「バリューアップ」に色分けする

過去3年の修繕・改装費を、先ほどの表に沿って2色に塗り分けます。LCCが1室あたり年13万円を大きく割っているなら、どこかにツケが溜まっています。

ステップ3:休館コストを1日単位で数字にする

「客室数 × ADR × 稼働率」で、休館1日あたりの逸失利益を出しておきます。この数字を持っていると、工法比較の議論が一気に具体的になります。

ステップ4:外壁を「叩く年」と「直す年」を揃える

調査と補修の仮設を1回にまとめられないか、設計段階で検討します。ここが、私が最も費用差が出ると考えているポイントです。


おまけ:見積もりを取るときに聞いてほしい5つの質問

工法の話は専門的で、オーナー様が全部を理解する必要はありません。ただ、次の5つを聞くだけで、その会社が本当に建物を見ているかどうかが分かります。

  1. 「この建物で、足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3案を出せますか?」
    → 1案しか出せない会社は、持っている道具に合わせて建物を説明しがちです。
  2. 「屋上の支点(アンカー)は、どこにどう取る想定ですか?」
    → ロープアクセスを提案しながらここを即答できない場合、現地を十分に見ていません。
  3. 「前回の全面打診はいつですか。次の定期報告はいつですか?」
    → 法定調査の時期を工事計画に織り込めているかが分かります。
  4. 「休館・客室販売停止は、延べ何室夜になりますか?」
    → 「室夜」(客室数×日数)で答えられる会社は、ホテルの収益構造を理解しています。
  5. 「今回やらない工事は何で、それはいつ必要になりますか?」
    → やらない工事を説明できる会社は、フルパッケージを押し込んできません。

私は、5番目がいちばん大事だと思っています。必要な工事を全部並べて「今回はここまで」と線を引ける会社かどうか。ここに、その会社の姿勢が出ます。


よくある質問(FAQ)

Q1. ホテルの大規模修繕は、何年周期で行うべきですか?

A. 外壁・屋上防水などの躯体系は12〜15年周期、シーリングは10〜12年、客室内装は7〜10年が一般的な目安です。ただし海沿い・幹線道路沿いなど立地条件で大きく変わります。建築基準法第12条の外壁全面打診が「10年超」を基準にしているため、10年目を最初の節目に置く設計をおすすめしています。

Q2. 1室あたり年13万円は、どんなホテルでも当てはまりますか?

A. いいえ。これはREITが保有する比較的築浅・大規模な物件群から読み取れる水準です。築30年を超える物件や、海沿いで塩害を受ける物件では、これを上回る前提で計画されることをおすすめします。あくまで出発点の物差しとお考えください。

Q3. 営業しながらの工事は、本当に客室に影響しませんか?

A. ゼロではありません。ロープアクセスでも、作業面の客室には振動や作業音が伝わります。ただし「その面・その時間だけ」に限定できるのが足場との決定的な違いです。予約状況を見ながら施工面を組み替える運用が現実的です。

Q4. 定期報告を出していない場合、どうすればよいですか?

A. まずは所在地の特定行政庁(都道府県・市の建築指導課など)にご相談ください。報告義務違反には建築基準法第101条により100万円以下の罰金の規定があります。制度の運用(対象建築物の範囲・報告時期)は特定行政庁ごとに定められているため、必ず所管の窓口と最新の公式情報でご確認ください。

Q5. 赤外線調査やドローン点検で、打診調査の代わりになりますか?

A. 条件が整えば有効な手段のひとつですが、外気温・日射・仕上材の種類などの条件に精度が左右されます。採用可否と適用範囲は特定行政庁の運用にもよるため、事前確認が必要です。当社ではドローン点検も含め、建物ごとに最適な調査手法を組み合わせています。


まとめ:数字を持ってから、工法を選ぶ

ホテルの大規模修繕は、「いくらかかるか」より先に、「1室あたり年いくら積むか」「休館1日でいくら失うか」「外壁を最後に叩いたのはいつか」という3つの数字を押さえることから始まります。

この3つが手元にあれば、足場・ロープアクセス・ハイブリッドのどれが自社のホテルにとって合理的か、社内で判断できるようになります。工法から入ると、必ず売り手のペースになります。数字から入ってください。

株式会社明誠は、東京・関東一円を拠点に、マンション・ビル・ホテルの大規模修繕を、通常足場工法・ロープアクセス工法(無足場工法)・ハイブリッド工法の3つから最適な形でご提案しています。ロープアクセス工事では日本で初めてとなるフランチャイズ展開も行っており、塗装・防水・タイル・電気・看板といった各分野の専門職が加盟することで、高品質と低価格を両立しています。

定期報告の年度が近い、外壁を最後に叩いた時期が分からない、休館せずに直せるか知りたい——そうしたご相談だけでも遠慮なくお声がけください。現地調査とお見積りは無料です。総会や取締役会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。

ご相談はお問合せフォームから承っております。

次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。

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出典・参考資料

※本記事に記載の制度・数値は2026年9月3日時点の情報です。制度は変更される可能性がありますので、最新の内容は必ず所管の特定行政庁および各公式サイトでご確認ください。本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。

執筆者:株式会社明誠 代表取締役 本間幸紘
東京都知事認可(般-29)第148121号。マンション・ビル・ホテルの大規模修繕、ロープアクセス工法(無足場工法)を専門とし、実務歴20年。一般社団法人全国建設業支援協会(JCSA)代表理事。